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JP2006136794A - 液滴吐出装置、液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 - Google Patents

液滴吐出装置、液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 Download PDF

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JP2006136794A JP2004327974A JP2004327974A JP2006136794A JP 2006136794 A JP2006136794 A JP 2006136794A JP 2004327974 A JP2004327974 A JP 2004327974A JP 2004327974 A JP2004327974 A JP 2004327974A JP 2006136794 A JP2006136794 A JP 2006136794A
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liquid
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discharge
head
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Yutaka Takano
豊 高野
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】ヘッドのノズルを吸引後にヘッドのノズル内に気泡が進入することを防ぐことができ、吐出用液体を吐出する場合に気泡による吐出用液体の抜け現象や曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】ノズルから吐出用液体4をワークに吐出するためのヘッド11を封止して吸引する吐出用液体の吸引手段400を有する液滴吐出装置10であって、ヘッド11のノズルを封止するための吸引手段の本体401と、本体401内を負圧にしてヘッド11のノズルから吐出用液体4を吸引する負圧発生部402と、を有する吐出用液体の吸引手段400と、ヘッド11のノズルへ吐出用液体4を供給する吐出用液体貯留部300と、吐出用液体貯留部300からヘッド11側へ吐出用液体4を供給する際の供給圧力を上昇させる吐出用液体供給圧力上昇部500とを備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、吐出用液体をワークに吐出するための液滴吐出装置、液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関する。
液滴吐出装置は、描画システムとして用いられることがあり、この描画システムはインクジェット式で吐出用液体の液滴をワークに対して吐出するようになっている。この描画システムは、たとえばフラットパネルディスプレイのような電気光学素子の製造に用いられることがある。
インクジェット式で吐出用液体を液滴として吐出する液滴吐出装置は、液滴を吐出するためのヘッドを有している。このヘッドのノズル面のノズルからは、液滴を吐出するのであるが、ノズルにおける吐出用液体の目詰まりを防止するために、吐出用液体の強制的な排出処理を通常はクリーニング動作あるいは回復動作として行っている。
このようなヘッドのノズルのクリーニング動作あるいは回復動作は、ヘッドのノズルをキャップにより封止してキャップ内に負圧を作用させることにより、ノズルから吐出用液体を吸引して排出する。その後ノズル面はワイピングブレードなどによりワイピング処理を行う。
ヘッドのノズルが、吐出用液体の強制的な排出処理を行うと、キャップ内にはノズルから吸引された吐出用液体と、周囲から入り込んだ空気が存在し、キャップ内は泡立った状態になっている。そしてヘッドのノズルを吸引した後に、キャップ内を負圧状態から大気圧状態に戻すと、キャップ側からノズル内に気泡が進入する恐れがある。
このような吐出用液体の乾燥によるヘッドのノズルの目詰まりを防ぐために、ヘッドのノズル面は、インクを入れたタンクに浸漬しておき、ノズルから吐出用液体を吐出しない間の乾燥を防ぐものが提案されている(たとえば特許文献1)。
特開平7−195701号公報(第3頁、図1)
特許文献1に開示されているタンクの中にはインクが収容されており、このインクに対してヘッドのノズル面が浸漬できる。しかしこのような形式のタンクを使用すると、タンクの大きさはヘッドの大きさに比べてかなり大きく、プリンタの大型化が避けられない。そして、ヘッドのノズル面がタンク内のインクに浸漬されているだけであり、ヘッドのノズルを吸引した後にノズルに気泡が進入するのを防止することができるものではない。
そこで本発明は上記課題を解消し、ヘッドのノズルを吸引後にヘッドのノズル内に気泡が進入することを防ぐことができ、吐出用液体を吐出する場合に気泡による吐出用液体の抜け現象や曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる液滴吐出装置、液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
上記目的は、第1の発明にあっては、ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引する吐出用液体の吸引手段を有する液滴吐出装置であって、前記ヘッドの前記ノズルを封止するための前記吸引手段の本体と、前記本体内を負圧にして前記ヘッドの前記ノズルから前記吐出用液体を吸引する負圧発生部と、を有する前記吐出用液体の吸引手段と、前記ヘッドの前記ノズルへ前記吐出用液体を供給する吐出用液体貯留部と、前記吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる吐出用液体供給圧力上昇部と、を備えることを特徴とする液滴吐出装置により、達成される。
第1の発明の構成によれば、吐出用液体の吸引手段の本体は、ヘッドのノズルを封止するためのものである。吐出用液体の吸引手段の負圧発生部は、本体内を負圧にしてヘッドのノズルから吐出用の液体を吸引させる。
吐出用液体貯留部は、ヘッドのノズルへ吐出用液体を供給する。吐出用液体供給圧力上昇部は、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させるものである。
これにより、吐出用液体供給圧力上昇部が、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる。したがって、ヘッド側へ供給される吐出用液体の供給圧力が上昇されるので、本体内を負圧状態から大気圧状態に戻す際に本体内から気泡がノズル内に進入するのを確実に防ぐことができる。
したがって、本体によるノズルの封止を解除した後に、ヘッドのノズルが吐出用液体を吐出する場合に、ノズルには気泡が進入していないので、吐出用液体のノズル停止後や吐出用液体の曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる。この吐出用液体の抜け現象や、曲がり飛行現象の発生を防ぐことができるので、液滴吐出装置により製造される製造物の不良を減らすことができる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部の位置を上昇させる位置上昇部であることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、吐出用液体供給圧力上昇部は、吐出用液体貯留部の位置を上昇させる位置上昇部である。
これにより、位置上昇部は吐出用液体貯留部の位置を上昇させるだけで、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
第3の発明は、第1の発明の構成において、前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部に圧力を加える機械的加圧部材を有することを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、吐出用液体供給圧力上昇部は、吐出用液体貯留部に圧力を加える機械的加圧部材を有している。
これにより、機械的加圧部材が吐出用液体貯留部に対して圧力を加えることにより、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
第4の発明は、第1の発明の構成において、前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部に気体を供給して圧力を加える加圧用気体供給部であることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、吐出用液体供給圧力上昇部は、吐出用液体貯留部に気体を供給して圧力を加える加圧用気体供給部である。
これにより、加圧用気体供給部が、吐出用液体貯留部に気体を供給して圧力を加えることにより、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
第5の発明は、第1の発明ないし第4の発明のいずれかの構成において、前記本体内に追加用液体を供給して前記本体内に満たす追加用液体供給部をさらに有することを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、本体内に追加用液体を供給して本体内に満たすための追加用液体供給部をさらに要する。
これにより、追加用液体供給部が、本体内に追加用液体を供給して本体内に満たしておくことにより、本体内の空間の空気を外部に押し出して本体内における気泡の発生を防ぎ、ノズル側に気泡が進入するのを確実に防ぐことができる。
上記目的は、第6の発明にあっては、ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引する液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法であって、前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させることを特徴とする液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法によって、達成される。
これにより、吸引手段の本体がヘッドのノズルを封止して吐出用液体を吸引停止した後に、本体がノズルを封止した状態で本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる。したがって、ヘッド側へ供給される吐出用液体の供給圧力が上昇されるので、本体内を負圧状態から大気圧状態に戻す際に本体内から気泡がノズル内に進入するのを確実に防ぐことができる。
したがって、吸引手段の本体によるノズルの封止を解除した後に、ヘッドのノズルが吐出用液体を吐出する場合に、ノズルには気泡が進入していないので、吐出用液体のノズル停止後や吐出用液体の曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる。この吐出用液体の抜け現象や、曲がり飛行現象を防ぐことができるので、液滴吐出装置により製造される製造物の不良を減らすことができる。
第7の発明は、第6の発明の構成において、前記本体内に前記吐出用液体を吸引する前に、前記本体内に追加用液体を供給して前記本体内に満たすことを特徴とする。
これにより、本体内に吐出用液体を吸引する前に本体内には追加用液体を満たしておくことで、吸引前に本体内の空間の空気を外部に押し出して本体内における気泡の発生を防ぎ、ノズル側に気泡が進入するのを確実に防げる。
第8の発明は、第6の発明または第7の発明の構成において、前記本体が前記ヘッドを封止して吸引している間にも、前記追加用液体を前記本体内に追加して前記本隊内を満たすことを特徴とする。
これにより、本体内に吐出用液体を吸引している間においても、本体内には追加用液体が満たされていることにより、本体内には空気が入らずノズル側へ気泡が進入するのを確実に防ぐことができる。
上記目的は、第9の発明にあっては、ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引した後に前記ヘッドから前記吐出用液体を前記ワークに吐出する液滴吐出装置を用いて電気光学装置の製造をする電気光学装置の製造方法であって、前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させ、前記本体による前記ノズルの封止を解除した後に、前記ワークに対して前記吐出用液体を吐出することを特徴とする電気光学装置の製造方法により、達成される。
これにより、吸引手段の本体がヘッドのノズルを封止して吐出用液体を吸引停止した後に、本体がノズルを封止した状態で本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる。したがって、ヘッド側へ供給される吐出用液体の供給圧力が上昇されるので、本体内を負圧状態から大気圧状態に戻す際に本体内から気泡がノズル内に進入するのを確実に防ぐことができる。
したがって、本体によるノズルの封止を解除した後に、ヘッドのノズルが吐出用液体を吐出する場合に、ノズルには気泡が進入していないので、吐出用液体のノズル停止後や吐出用液体の曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる。この吐出用液体の抜け現象や、曲がり飛行現象を防ぐことができるので、液滴吐出装置により製造される電気光学装置の不良を減らしてより精度の高い電気光学装置の得られ、コストダウンを図ることができる。
上記目的は、第10の発明にあっては、ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引した後に前記ヘッドから前記吐出用液体を前記ワークに吐出する液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置であって、前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させ、前記本体による前記ノズルの封止を解除した後に、前記ワークに対して前記吐出用液体を吐出することにより製造されることを特徴とする電気光学装置により、達成される。
これにより、吸引手段の本体がヘッドのノズルを封止して吐出用液体を吸引停止した後に、本体がノズルを封止した状態で本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる。したがって、ヘッド側へ供給される吐出用液体の供給圧力が上昇されるので、本体内を負圧状態から大気圧状態に戻す際に本体内から気泡がノズル内に進入するのを確実に防ぐことができる。
したがって、本体によるノズルの封止を解除した後に、ヘッドのノズルが吐出用液体を吐出する場合に、ノズルには気泡が進入していないので、吐出用液体のノズル停止後や吐出用液体の曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる。この吐出用液体の抜け現象や、曲がり飛行現象を防ぐことができるので、液滴吐出装置により製造される電気光学装置の不良を減らしてより精度の高い電気光学装置が得られ、コストダウンを図ることができる。
第11の発明は、第10の発明の前記電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
これにより、電子機器は、より高精度に作られた電気光学装置を搭載することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の液滴吐出装置の好ましい実施形態を示す平面図である。
図1に示す液滴吐出装置10は、描画システムとして用いることができる。この描画システムは、一例としていわゆるフラットパネルディスプレイの一種であるたとえば有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置の製造ラインに組み込まれるものである。この液滴吐出装置10は、たとえば有機EL装置の各画素となる発光素子を形成することができる。
液滴吐出装置10は、たとえばインクジェット式描画装置として用いることができる。液滴吐出装置10は、有機EL装置の発光素子を液滴吐出法(インクジェット法)で形成するためのものである。液滴吐出装置10のヘッド(機能液滴吐出ヘッドとも言う)は、有機EL素子の発光素子を形成できる。具体的には、有機EL素子の製造工程において、バンク部形成工程およびプラズマ処理工程を経て、バンク部が形成された基板(ワークの一例)に対して、発光機能材料を導入したヘッドを相対的に走査することにより、液滴吐出装置10は、基板の画素電極の位置に対応して正孔注入/輸送層および発光層の成膜部を形成することができる。
液滴吐出装置10はたとえば2台用意することにより、1台目の液滴吐出装置10が正孔注入/輸送層を形成し、もう1台の液滴吐出装置10はR(赤),G(緑),B(青)の3色の発光層を形成することができる。
図1の液滴吐出装置10はチャンバ12の中に収容されている。チャンバ12は別のチャンバ13を有している。このチャンバ13の中には、ワーク搬出入テーブル14を収容している。ワーク搬出入テーブル14は、ワークWをチャンバ12内のテーブル30の上へ搬入したりあるいは処理後のワークWをチャンバ12内のテーブル30の上から搬出するためのテーブルである。
図1に示すチャンバ12の中には、ヘッド11のメンテナンスを行うメンテナンス部15を収容している。またチャンバ12の外側には、回収部16を備えている。
メンテナンス部15は、吐出用液体の吸引手段400、ワイピングユニット(払拭ユニット)600、フラッシングユニット(図示せず)、吐出検査ユニット(図示せず)あるいは重量測定ユニット(図示せず)等を有している。
フラッシングユニットは、ヘッド11から予備的に吐出された吐出用液滴を受けるためのものである。吐出用液体の吸引手段400は、ヘッド11のノズル面のノズルから液体や気泡を吸引するためのものである。
吐出検査ユニットは、ヘッド11から吐出される吐出用液滴の吐出状態を検査する。重量測定ユニットは、ヘッド11から吐出される液滴の重量を測定する。
回収部16は、たとえば吐出用液滴を回収する液滴回収系とワイピングの後に用いる洗浄用の溶剤を供給する洗浄液供給系を有している。
図1に示すワイピングユニット600は、吸引した後のヘッドのノズル面を接触してワイピングする。
チャンバ12とチャンバ13は、個別にエアー管理されており、チャンバ12とチャンバ13の中の雰囲気に変動が生じないようになっている。このようにチャンバ12とチャンバ13を用いるのは、たとえば有機EL素子を製造する場合には大気中の水分等を嫌うために大気の影響を排除できるようにするためである。チャンバ12とチャンバ13の中にはドライエアーを連続的に導入して排気することで、ドライエアー雰囲気を維持する。
次に、図1に示すチャンバ12内の構成要素について説明する。
チャンバ12の中には、フレーム20、ヘッド11、キャリッジ19、吐出用液体貯留部300、第1操作部21、第2操作部22、テーブル30、ガイド基台17を収容している。
図1のフレーム20はX軸方向に沿って水平に設けられている。ガイド基台17はY軸方向に沿って設けられている。フレーム20はガイド基台17の上方にある。X軸は第1移動軸に相当し、Y軸は第2移動軸に相当する。X軸とY軸は直交しており、Z軸に対しても直交している。Z軸は、図1において紙面垂直方向である。
第1操作部21は、フレーム20に沿ってキャリッジ19とヘッド11を、X軸方向に沿って直線往復移動および位置決めするためのものである。
第2操作部22は、テーブル30を有している。このテーブル30は、図1に示すようなワークWを着脱可能に搭載することもできる。この第2操作部22のテーブル30は、ヘッド11からワークWに対して吐出用の液滴を与える際に、ワークWを保持する。そして第2操作部22は、ワークWを搭載したテーブル30をY軸方向に沿ってガイド基台17上を直線移動して位置決めすることができる。
第1操作部21は、キャリッジ19とヘッド11をX軸方向に直線移動して位置決めするためのモータ21Aを有している。このモータ21Aは、たとえば送りねじを用いることにより、キャリッジ19とこのヘッド11をX軸方向に直線移動することができる。モータ21Aは、この回転型の電動モータであってもよいし、リニアモータであってもよい。
第2操作部22のモータ22Aは、テーブル30をガイド基台17に沿ってY軸方向に直線移動して位置決め可能である。モータ22Aはたとえば送りねじを回転する回転型の電動モータを用いることができる。モータ22Aとしては回転型のモータの他にリニアモータを用いることも可能である。
第2操作部22のテーブル30は、搭載面30Aを有している。この搭載面30Aは、図1のZ軸方向に垂直な面である。搭載面30Aは、吸着部30Bを有している。この吸着部30Bは、ワークWを真空吸着により吸着することができるものである。これにより、ワークWは、搭載面30Aに対してずれることなく確実に着脱可能に固定することができる。
図1に示す制御部200は、モータ21A,22A、ヘッド11、および吐出用液体貯留部300の各々の動作制御を行う。
次に、図2と図3を参照して、キャリッジ19とヘッド11の構造例について説明する。
図2はキャリッジ19とヘッド11の周りの形状例を示す斜視図であり、図3は、図2のE方向から見た正面図の例である。
キャリッジ19は、図1に示すモータ21AによりX軸方向に移動して位置決め可能である。キャリッジ19はヘッドホルダ61を用いてヘッド11を着脱可能に保持している。
図3に示すように、制御部200の指令によりモータ62が作動すると、ヘッドホルダ61とヘッド11のユニットがZ軸方向に沿って上下動して位置決め可能である。そして、制御部200の指令により、もう1つのモータ63が作動することにより、ヘッド11は、U軸を中心としてθ方向に回転可能になっている。
図2と図3に示すように、ヘッド11はノズルプレート64を有している。ノズルプレート64の下面はノズル面70である。このノズル面70は、複数のノズルのノズル開口121ないし126を有している。ヘッド11は、吐出用液体貯留部300に接続されている。この吐出用液体貯留部300は、ワークWに吐出するための液体を貯留するものであり、吐出用液体貯留部300は機能液貯蔵部ともいう。吐出用液体貯留部300内の吐出用液体は、ノズル開口121ないし126からたとえば図4(A)に示す圧電振動子789の作動によりインクジェット式で吐出させることができるのである。
図4(A)は、ヘッド11内に配置されている複数の圧電振動子789の例を示している。この圧電振動子789は、図2に示すヘッド11の各ノズルに対応して1つずつ配列されている。図4(A)の制御部200は、駆動部201に信号を与えることにより、駆動部201は、複数の圧電振動子789の中の任意の圧電振動子を動作させることで、動作された圧電振動子789に対応するノズルの図2に示すノズル開口121ないし126からはインクジェット式で液滴を吐出させることができるようになっている。
次に、吐出用液体貯留部300について、図5と図6および図4(B)を参照して説明する。
吐出用液体貯留部300は、たとえば図4(B)に示すように複数の吐出用液体の液体パック111ないし116と、これらの液体パックを収容している収容体301を有している。液体パック111ないし116は、この例では6つ示しているが、液体パックの数は特に限定されず1つあるいは2つ以上ないし5つ、あるいは7つ以上であっても勿論構わない。
各吐出用液体の液体パック111ないし116は、可撓性を有する材料により作られていて、各液体パックには同じ種類もしくは異なる種類の吐出用液体が収容されている。収容体301内は、図1の制御部200の指令により外部から圧縮空気を入れることにより、液体パック111ないし116を加圧して、各液体パック111ないし116から液体をヘッド11側へ別々に吐出させることができるようになっている。
図5に示す収容体301は、位置上昇部500の動作によりZ1方向に上昇させて、逆にZ2方向に下降させるようになっている。この位置上昇部500は、吐出用液体供給圧力上昇部の一例であり、各液体パック111ないし116からヘッド11のノズル81ないし86へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を高めることができる。
図5の各液体パック111ないし116は、ヘッド11の対応するノズル81ないし86に対して、液体供給チューブ91ないし96によりそれぞれ着脱可能に接続されている。液体供給チューブ91の一端部は、液体パック111の接続部111Aに対して着脱可能に接続されている。吐出用液体の液体供給チューブ91の他端部は、ヘッド11の接続部81Aに対して着脱可能に接続されている。
同様にして、液体供給チューブ92ないし96の一端部は、各液体パック112ないし116の接続部112Aないし116Aに対して着脱可能に接続されている。液体供給チューブ92ないし96の他端部は、ヘッド11側の接続部82Aないし86Aに対してそれぞれ着脱可能に接続されている。
図5に示すようにヘッド11は、複数のノズル81ないし86を有している。ノズル81ないし86は、それぞれノズル開口121ないし126を有している。各ノズル81は、たとえば図5の紙面垂直方向に沿って数10個若しくは数1000個配列されていて、ノズル列を形成している。その他のノズル82ないし86も、紙面垂直方向に関してノズル列を形成している。ノズル開口121ないし126は、ノズルプレート64のノズル面70に面して形成されている。
このノズル面70は、図5の例ではZ軸方向の下方向Z2に向いている。このように、ノズル面70には、たとえば6つのノズル列(ノズル開口列)が図5の紙面垂直方向に配列されている。
図5には、上述したヘッド11と吐出用液体貯留部300の他に、吐出用液体の吸引手段400の構造例を示している。
吐出用液体の吸引手段400は、図1に示すメンテナンス部15の中に配置されている。ヘッド11がこの吐出用液体の吸引手段400の上方に位置されると、図5に示すように、吐出用液体の吸引手段400の本体401は、ヘッド11のノズルプレート64のノズル面70の真下に対面する。
吐出用液体の吸引手段400は、本体401、吸引ポンプ402、廃インクタンク403および追加用液体供給部405を有している。廃インクタンク403は、図1に示す回収部16の中に配置することができる。
図6は、吐出用液体の吸引手段400とヘッド11を示している。本体401は、キャップなどとも呼ぶことができ、本体401は、たとえばプラスチックや金属により作ることができる。本体401は、たとえば箱型形状を有していて、4つの側面部410と、底面部411を有している。4つの側面部410の上縁部には、密着部材412が設けられている。この密着部材412は、ノズル面70に対して密着して封止できるように、たとえば弾性変形可能なゴムなどにより作られている。
図6の本体401の上部開口413は、ノズル面70のすべてのノズル開口121ないし126をカバーすることができる大きさを有している。本体401の中には、吸収材415が収容されている。この吸収材415は、ヘッド11のノズル開口から排出される吐出用液体を吸収できる材質であればよい。この吸収材415の材質としては、発泡プラスチックであるたとえばポリビニルアルコール(PVA)を原料としたスポンジなどを用いることができる。
図6の底面部411は、接続部416を有している。この接続部416は、チューブ417を介して吸引ポンプ402に接続されている。吸引ポンプ402は、チューブ417を介して、本体401内を負圧に設定できる負圧発生部である。吸引ポンプ402は、本体401内にたまった吐出用液体および気泡を廃インクタンク403側に排出する機能を有している。吸引ポンプ402は、制御部200の指令により動作する。
図6に示す追加用液体供給部405は、追加用液体を収容しており、追加用液体供給部405は、図7に示すように追加用液体MLを本体401の中に供給して満たすことができる。追加用液体MLが本体401内に満たされていると、追加用液体MLの表面419は、密着部材412に対して表面張力の作用でこぼれない程度に満たされることが望ましい。本体401内には追加用液体MLが満たされることにより、空気が本体401内に入り込むのを確実に防ぐことができる。
追加用液体供給部405が追加用液体を収容できる量は、たとえば本体401の容積の数倍以上である。追加用液体供給部405はチューブ420を介して本体401の側面部410の接続部410Rに接続されている。
チューブ420の途中にはバルブ420Aが設けられている。このバルブ420Aは、制御部200の指令により開閉でき、バルブ420Aを開けることにより、追加用液体供給部405からチューブ420を通じて本体401内に追加用液体を供給できる。
図7の追加用液体MLは、ヘッド11のノズル開口(ノズルともいう)121ないし126から吐出される各吐出用液体と同じ種類の液体を使用することができる。追加用液体MLと吐出用液体が同じ種類であるので、ノズル開口および本体内に吐出用液体と異なる種類の液体が混入するのを確実に防ぐことができる。
あるいは追加用液体MLは、吐出用液体の溶媒または吐出用液体の詰まりを防止する液体であることが望ましい。吐出用液体の溶媒または吐出用液体の詰まりを防止する液体としては、たとえばキシレン、アセトン、デカン、ブチルカルビトールアセテート(BCTAC)、γ−ブチロラクトンなどを使用することができる。
図9と図10には、図5に示す位置上昇部500の具体的な構造例を示している。
図9と図10に示す位置上昇部500は、収容体301をZ1方向に上昇させることができるものである。位置上昇部500は、収容体301とともに液体パック111ないし116を、図9に示すポジションP1から図10に示すポジションP2まで上昇させることができる。上昇させた後には、ポジションP2からポジションP1に下げることもできる。
このようにして、位置上昇部500が吐出用液体貯留部300の収容体301および液体パック111ないし116をZ1方向に上昇させることにより、各液体パック111ないし116からヘッド11のノズル81ないし86へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を高めることができる。図9において、吐出用液体貯留部300がポジションP1に位置決めされている時には、液体パック111ないし116の吐出用液体4の水頭位置は、破線で示すようにノズルプレート64のノズル面70に一致させている。
これに対して、図10に示すように吐出用液体貯留部300がポジションP2に位置決めされると、吐出用液体4の水頭は、ノズル面70に対して高さLだけ上昇された位置になる。これによって、吐出用液体4がノズル81ないし86側に供給される際の供給圧力を、図9のポジションP1に位置決めされる場合に比べて、高めることができるのである。
ノズル81ないし86に対する吐出用液体4の供給圧力を高めることにより、次のようなメリットがある。本体401がノズル面70のノズル81ないし86を吸引して吸引停止後に、さらに本体401がノズル面70を封止している状態で、本体401内を負圧の状態から大気圧状態に回復させる場合において、ノズル81ないし86における吐出用液体4の供給圧力が高く設定されるので、本体401内が負圧状態から大気圧状態へ回復される際に、本体401内に入った空気がノズル81ないし86に対して気泡として進入するのを確実に防ぐことができる。
図9と図10に示す位置上昇部500は、搭載台501、基台502、リンク503,504およびたとえば2つのシリンダ510,511を有している。
搭載台501と基台502は、平行に対面していて、リンク503,504により連結されている。そしてシリンダ510,511が制御部200の指令により作動すると、図9と図10に示すように、吐出用液体貯留部300はポジションP1からポジションP2まで上昇させることができる。また制御部200が指令することによりシリンダ510,511が作動すると、図10に示すポジションP2から図9に示すポジションP1までZ2方向に下げることができる。シリンダ510,511は、たとえば空気圧シリンダを用いることができる。
次に、本発明の液滴吐出装置10における吐出用液体の吸引方法の好ましい例について図12を参照して説明する。
図6は、吐出用液体の吸引手段400が吸引前に待機している状態を示していて、ヘッド11がすでに本体401の上方において離れて対面して待機している。
図7は、追加用液体MLが本体401の中に追加用液体供給部405から充填された状態を示している。図8は、本体401がノズル面を封止して、そして吸引ポンプ402が作動して本体401内を負圧にして吸引している状態を示している。
図9は、吸引動作が終了してはいるが、本体401がノズル面70をまだ封止している状態を示している。
図10は、吐出用液体貯留部300が図9のポジションP1から図10のポジションP2に上昇された状態を示している。
図11は、本体401がノズル面70から離れた状態を示し、図12は、吐出用液体の吸引方法の具体的な好ましい実施形態を示すフロー図である。
ステップST1
図12のステップST1では、図6に示すヘッドホルダ61およびヘッド11は、X(−)方向に移動して位置決めされる。この場合ヘッドホルダ61は図1のキャリッジ19とともに、モータ21Aの作動によりX(−)方向に移動されることにより、ヘッドホルダ61は吐出用液体の吸引手段400の本体401の上方に対面するようにして位置決めされることになる。たとえばヘッド11がX(−)方向に移動している間に、好ましくは追加用液体供給部405が本体401に対してチューブ420を通じて本体401内に追加用液体MLを充填する。図7に示すように追加用液体MLの表面419は、密着部材412の上端部分まで満たされる。
ステップST2
次に、図12のステップST2では、たとえば図7に示すヘッドホルダ61およびヘッド11が、Z2方向に下がることにより、図8に示すように本体401の密着部材412はノズル面70に対して密着される。これによって、ノズル面70の各ノズル開口121ないし126は、本体401により完全に封止される。しかも、追加用液体MLがノズル面70と本体401の間を完全に満たす。
このようにして、吸引ポンプ402が作動して本体401内を負圧にする前に、すでに本体401内には追加用液体MLが満たされ、しかも本体401はノズル面70を封止するのである。
ステップST3
図12のステップST3では、図8の吸引ポンプ402が、図1に示す制御部200の指令により、動作することで、本体401内は負圧状態になる。これによって、ノズル面70のノズル開口からは吐出用液体4および吐出用液体に含まれる気泡が本体401の吸収材415を通じてチューブ417を介して廃インクタンク403側に強制的に排出することができる。
吸引ポンプ402により本体401内を負圧に設定をする前に、本体401内に追加用液体MLを満たすことにより、本体401内の空間の空気を完全に押し出して、本体401内の気泡の発生をあらかじめ防ぐことができる。
しかも、吸引ポンプ402を作動して本体401内を負圧にすることで、ノズル開口から吐出用液体および気泡を吸引している間にも、追加用液体供給部405がチューブ420を介して本体401内に追加用液体MLを供給し続けることにより、本体401内に空気が新たに進入するのを防ぐことができる。
ステップST4
図12のステップST4では、図9に示すように、吸引ポンプ402の動作を停止することで、本体401内の負圧の発生を停止する。追加用液体供給部405から本体401内へは追加用液体MLの供給は停止する。
ステップST5
図9に示すように、吸引ポンプ402を停止して本体401がノズル面70の各ノズル81ないし86からの吐出用液体4の吸引を停止した後に、ステップST5では、図9に示す本体401内の負圧状態を大気圧状態に回復させる際には、図9に示すように本体401をノズル面70を封止した状態で放置することで徐々に回復させる。あるいは本体401に設けられた大気圧開放用のバルブ(図示せず)を開くことにより、本体401を負圧状態から大気圧状態に回復させることができる。
いずれにしても本体401内を大気圧に回復させる間は、図9に示す吐出用液体貯留部300は、位置上昇部500の動作により図9に示すポジションP1から図10に示すポジションP2までZ1方向に沿って上昇させる。
吐出用液体貯留部300がZ1方向に上昇されることにより、吐出用液体4の水頭がノズル面70より高くなるので、吐出用液体4が各液体パック111ないし116からノズル81ないし86に供給される供給圧力が上昇する。これによって、大気圧状態に戻ろうとする本体401内には空気が本体401の外部から入ってくるが、この空気が気泡となってこの気泡がノズル81ないし86に進入するのを確実に防止することができる。
このようにして本体401内が負圧状態から大気圧状態に戻る間において、ノズル81ないし86には気泡が進入するのを確実に防ぐことができる。
ステップST6
図12のステップST6では、図1に示すように本体401がノズル面70から離れる。つまりヘッドホルダ61およびヘッド11がZ1方向に上昇することにより、本体401によるノズル81ないし86の封止を解除する。その後、図10の吐出用液体貯留部300は、図9に示すポジションP1まで下げられる。
ステップST7
その後、図12のステップST7では、ヘッド11が図1に示すモータ21Aの作動によりワークW側に戻ることにより、ヘッド11はワークWに対して吐出用液体を吐出することで必要な描画作業を行う。
本発明の他の実施形態
図13と図14は、本発明の別の実施形態を示している。図13と図14の実施形態が、図9と図10の実施形態と異なるのは吐出用液体供給圧力上昇部の構造である。
図13の実施形態におけるその他の構成要素は、図9の対応する構成要素と同じであるので、その説明を用いる。
図13に示す吐出用液体供給圧力上昇部は、機械的加圧部材530とモータ533を有している。
機械的加圧部材530は、カム531と軸532を有している。カム531は、軸532が固定されたたとえば偏心カムである。軸532はモータ533の動作によりRT方向に回転する。図13のカム531の状態では、カム531は収容体301内の各液体パック111ないし116に対して機械的な圧力を加えていない状態である。
これに対して、図14のカム531の状態では、カム531は180度回転していて、カム531は液体パック111ないし116に対して機械的な圧力Fを加えている。これによって、液体パック111ないし116の吐出用液体4は、より高い供給圧力によりノズル81ないし86に対して供給することができる。このように吐出用液体4の供給圧力を上昇させるのは、図9と図10の例で述べたように、本体401がノズル面70を封止した状態で、本体401内を負圧状態から大気圧状態に戻す際に、本体401内からノズル81ないし86に対して空気が気泡として進入するのを防ぐためである。
図15は本発明のさらに別の実施形態を示している。
図15に示す実施形態が図9と図10に示す実施形態と異なるのは、吐出用液体供給圧力上昇部の構造である。図15の実施形態のその他の構成要素は、図9に示す対応する構成要素と同じであるのでその説明を用いる。
図15の実施形態における吐出用液体供給圧力上昇部は、加圧用気体供給部550である。
この加圧用気体供給部550は、吐出用液体貯留部300の収容体301に対してチューブ551により接続されている。加圧用気体供給部550は、チューブ551を通じて収容体301内の液体パック111ないし116に加圧用の気体を供給するものである。加圧用気体が収容体301内に供給されることで、各液体パック111ないし116は、加圧用の気体により大きな圧力を受ける。圧力を受けた液体パック111ないし116からノズル81ないし86に対して、より高い供給圧力により吐出用液体を供給する。このように加圧用気体供給部550から加圧用気体を収容体301内に供給することにより、本体401がノズル面70を封止した状態で本体401内を負圧状態から大気圧状態に戻す時に、ノズル81ないし86に対して空気が気泡として進入するのを防ぐことができる。
加圧用気体の例としては、圧縮空気や不活性ガスなどを採用することができる。不活性ガスとしては、たとえば高圧の窒素ガスなどである。
本発明のさらに他の実施形態
図16は、本発明のさらに他の実施形態を示している。
図16に示す実施形態では、吐出用液体貯留部300の構造が、図5の吐出用液体供給部300の構造と異なる。図5の吐出用液体貯留部300では、複数の液体パック111ないし116が収容体301内に収容されている構造例である。そして各液体パック111ないし116は、ヘッド11の異なるノズル開口列に対して吐出用液体の液体供給チューブ91ないし96を通じて接続されている。
これに対して図16の吐出用液体貯留部300では、収容体301内にはたとえば1つの吐出用液体の液体パック119が収容されている。1つの液体パック119からは、液体供給チューブ91ないし96を通じて各ノズル開口列に対して1つの種類の吐出用液体を供給する構造のものである。
本発明の実施形態では、本体がヘッドのノズルを封止して吐出用液体を吸引停止した後に、本体がノズルを封止した状態で本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる。したがって、ヘッド側へ供給される吐出用液体の供給圧力が上昇されるので、気泡が本体内からノズル内に進入するのを確実に防ぐことができる。
したがって、本体によるノズルの封止を解除した後に、ヘッドのノズルが吐出用液体を吐出する場合に、ノズルには気泡が進入していないので、吐出用液体のノズル停止後や吐出用液体の曲がり飛行現象の発生を確実に防ぐことができる。この吐出用液体の抜け現象や、曲がり飛行現象を防ぐことができるので、液滴吐出装置により製造される製造物である電気光学装置の不良を減らすことができる。電気光学装置の品質の向上とコストダウンが図れる。
本発明の実施形態では、位置上昇部は吐出用液体貯留部の位置を上昇させるだけで、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
本発明の実施形態では、機械的加圧部材が吐出用液体貯留部に対して圧力を加えることにより、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
本発明の実施形態では、加圧用気体供給部が、吐出用液体貯留部に気体を供給して圧力を加えることにより、吐出用液体貯留部からヘッド側へ吐出用液体を供給する際の供給圧力を確実に上昇させることができる。
本発明の実施形態では、追加用液体供給部が、ノズルの吸引をする前に、本体内に追加用液体を供給して本体内に満たしておくことにより、本体内に吐出用液体を吸引する前においても、本体内の空間の空気を外部に押し出して本体内における気泡の発生を防ぎ、ノズル側に気泡が進入するのを確実に防ぐことができる。
本発明の実施形態では、本体内に吐出用液体を吸引する前と、そして本体内に吐出用液体を吸引している間においても、本体内には追加用液体が満たされていることにより、本体内には空気が入らずノズル側へ気泡が進入するのを確実に防ぐことができる。
本発明の液滴吐出装置の実施形態は、電気光学装置(デバイス)を製造するのに用いることができる。この電気光学装置(デバイス)としては液晶表示装置、有機EL(Electro−Luminescence)装置、電子放出装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する各種装置が考えられる。
図17は、本発明の液滴吐出装置を描画装置として用いて、フラットパネルディスプレイの一種類である有機EL装置の製造に用いる場合の有機EL装置の構造例を示している。有機EL装置701は、基板711、回路素子部721、画素電極731、バンク部741、発光素子751、陰極761(対向電極)、および封止用基板771から構成された有機EL素子702に対して、フレキシブル基板(図示省略)の配線および駆動IC(図示省略)を接続したものである。
有機EL素子702の基板711上には、回路素子部721が形成され、回路素子部721上には、複数の画素電極731が整列している。そして、各画素電極731間には、バンク部741が格子状に形成されており、バンク部741により生じた凹部開口744に、発光素子751が形成されている。バンク部741および発光素子751の上部全面には、陰極761が形成され、陰極761の上には、封止用基板771が積層されている。
有機EL素子702の製造プロセスは、バンク部741を形成するバンク部形成工程と、発光素子751を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子751を形成する発光素子形成工程と、陰極761を形成する対向電極形成工程と、封止用基板771を陰極761上に積層して封止する封止工程とを備えている。
すなわち、有機EL素子702は、予め回路素子部721および画素電極731が形成された基板711(ワークW)の所定位置にバンク部741を形成した後、プラズマ処理、発光素子751および陰極761(対向電極)の形成を順に行い、さらに、封止用基板771を陰極761上に積層して封止することにより製造される。なお、有機EL素子702は、大気中の水分等の影響を受けて劣化しやすいため、有機EL素子702の製造は、ドライエアーまたは不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム等)雰囲気で行うことが好ましい。
また、各発光素子751は、正孔注入/輸送層752およびR(赤)・G(緑)・B(青)のいずれかの色に着色された発光層753から成る成膜部で構成されており、発光素子形成工程には、正孔注入/輸送層752を形成する正孔注入/輸送層形成工程と、3色の発光層753を形成する発光層形成工程と、が含まれている。
有機EL装置701は、有機EL素子702を製造した後、有機EL素子702の陰極761にフレキシブル基板の配線を接続するとともに、駆動ICに回路素子部721の配線を接続することにより製造される。本発明の液滴吐出装置の実施形態は、たとえば正孔注入/輸送層752と、3色の発光層の形成に用いる。
次に、本発明の実施形態の液滴吐出装置10を液晶表示装置の製造に適用した場合について説明する。
図18は、液晶表示装置801の断面構造を表している。液晶表示装置801は、カラーフィルタ802と、対向基板803と、カラーフィルタ802と対向基板803との間に封入された液晶組成物804と、バックライト(図示省略)と、で構成されている。対向基板803の内側の面には、画素電極805と、TFT(薄膜トランジスタ)素子(図示省略)とがマトリクス状に形成されている。画素電極805に対向する位置に、カラーフィルタ802の赤、緑、青の着色層813が配列するようになっている。カラーフィルタ802および対向基板803のそれぞれ内側の面には、液晶分子を一定方向に配列させる配向膜806が形成されており、カラーフィルタ802および対向基板803のそれぞれ外側の面には、偏光板807が接着されている。
カラーフィルタ802は、透光性の透明基板811と、透明基板811上にマトリクス状に並んだ多数の画素(フィルタエレメント)812と、画素812上に形成された着色層813と、各画素812を仕切る遮光性の仕切り814と、を備えている。着色層813および仕切り814の上面には、オーバーコート層815および電極層816が形成されている。
液晶表示装置801の製造方法について説明すると、先ず、透明基板811に仕切り814を作り込んだ後、画素812部分にR(赤)・G(緑)・B(青)の着色層813を形成する。そして、透明アクリル樹脂塗料とスピンコートしてオーバーコート層815を形成し、さらに、ITO(Indium Tin Oxide)から成る電極層816を形成して、カラーフィルタ802を作成する。
対向基板803には、画素電極805とTFT素子を作り込んでおく。次に、作成したカラーフィルタ802および画素電極805が形成された対向基板803に配向膜806の塗布を行った後、これらを貼り合わせる。そして、カラーフィルタ802および対向基板803との間に液晶組成物804を封入した後、偏光板807およびバックライトを積層する。
本発明の液滴吐出装置の実施形態は、上記カラーフィルタのフィルタエレメント(R(赤)・G(緑)・B(青)の着色層813)の形成に用いることができる。また、画素電極805に対応する液体材料を用いることにより、画素電極805の形成にも用いることが可能である。
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の他、プレパラート形成を包含する装置が考えられる。上記した液滴吐出装置を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
本発明の電子機器は、上記電気光学装置を搭載している。この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータの他、各種の電気製品がこれに該当する。
図19は、電子機器の一例である携帯電話1000の形状例を示している。携帯電話1000は、本体部1001と表示部1002を有している。表示部1002は、上述したような電気光学装置であるたとえば有機EL装置701や液晶表示装置801を用いている。
図20は、電子機器の他の例であるコンピュータ1100を示している。コンピュータ1100は本体部1101と表示部1102を有している。表示部1102は、上述したような電気光学装置の一例である有機EL装置701や液晶表示装置801を使用することができる。
本発明の液滴吐出装置の実施形態は、ワークの一例である印刷対象に対して、白黒もしくはカラー印刷(印字)することにも使用できる。この場合には、吐出用液体貯留部は、インクカートリッジであり、このインクカートリッジは、1種類もしくは複数種類のインク(たとえばブラック、イエロー、マゼンダ、シアン、ライトシアン、ライトマゼンダ等)を別々に貯留しておく。各インクは吐出用液体の一例である。
また上述した実施形態の液滴吐出装置は、インクパックである液体パックがヘッド11とは別の位置に配置されているいわゆるオフキャリッジタイプのものである。しかしこれに限らずヘッド11が搭載されているキャリッジに対して液体パックを搭載するいわゆるオンキャリッジタイプの液滴吐出装置であっても勿論構わない。
図7と図8に示す例では、本体401がノズル面70のノズル開口を封止する前に、本体401内に追加用液体MLを満たしている。しかし、これに限らず本体401がノズル面70のノズル開口を封止した後で吸引を開始する前に、本体401内に追加用液体MLを満たすようにしても良い。
図9に示す位置上昇部500は、2つのシリンダ510,511を用いて、搭載台501に対して基台502をZ1方向に上昇させる構造を採用している。
しかしこれに限らず、リンク503,504を用いる代わりに他の形式のものを用いても良い。たとえば搭載台501は、リンク503,504を用いずに、シリンダ510,511により固定部分に対してZ1方向に上昇させるようにしても良い。シリンダ510,511は、空気圧シリンダに限らず他の形式のアクチュエータを用いても良い。たとえば他の形式のアクチュエータとしては、モータと送りねじを用いた機構や電磁ソレノイドのようなものを用いても勿論構わない。
図13に示す実施形態では、機械的加圧部材530は、偏心型のカム531を用いている。しかしこれに限らず機械的加圧部材530としては、空気圧シリンダのようなシリンダや電磁ソレノイドのような電気的なアクチュエータを用いても勿論構わない。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、上述の各実施形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
本発明の液滴吐出装置の好ましい実施形態を示す平面図。 図1の液滴吐出装置のキャリッジ、ヘッド等を示す斜視図。 図2のキャリッジおよびヘッド等を示す図2におけるE方向から見た正面図。 ヘッドの圧電振動子の例と液体貯留部の構造例を示す図。 吐出用液体貯留部、ヘッドおよび吐出用液体の吸引手段を示す図。 ヘッドおよび吐出用液体の吸引手段を示し、吐出用液体の吸引手段が待機している状態を示す図。 追加用液体が本体内に充填された状態を示す図。 本体によりノズル面が封止して吸引される状態を示す図。 本体が吸引動作を終了し、吐出用液体貯留部が上昇される前の状態を示す図。 吐出用液体貯留部が上昇された状態を示す図。 ヘッドのクリーニング(回復動作)の終了状態を示す図。 本発明の液体噴射装置における吐出用液体の吸引方法の一例を示すフロー図。 本発明の別の実施形態を示す図。 図13の実施形態においてカムが180度回転した状態を示す図。 本発明のさらに別の実施形態を示す図。 本発明のさらに別の実施形態を示す図。 本発明の液滴吐出装置により製造される有機EL装置の形状例を示す断面図。 本発明の液滴吐出装置により製造される液晶表示装置の構造例を示す断面図。 本発明の実施形態により製造された表示装置を備える電子機器の一例である携帯電話を示す斜視図。 電子機器の別の例であるコンピュータを示す斜視図。
符号の説明
4・・・吐出用液体、10・・・液滴吐出装置、11・・・ヘッド、70・・・ノズル面、121ないし126・・・ノズル開口、300・・・吐出用液体貯留部、400・・・吐出用液体の吸引手段、401・・・本体(キャップとも呼ぶ)、402・・・吸引ポンプ(負圧発生部)、405・・・追加用液体供給部、420・・・追加用液体の供給用のチューブ、500・・・位置上昇部(吐出用液体供給圧力上昇部)、530・・・機械的加圧部材(吐出用液体供給圧力上昇部の一部分)、550・・・加圧用気体供給部(吐出用液体供給圧力上昇部の一例)、ML・・・追加用液体

Claims (11)

  1. ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引する吐出用液体の吸引手段を有する液滴吐出装置であって、
    前記ヘッドの前記ノズルを封止するための前記吸引手段の本体と、
    前記本体内を負圧にして前記ヘッドの前記ノズルから前記吐出用液体を吸引する負圧発生部と、を有する前記吐出用液体の吸引手段と、
    前記ヘッドの前記ノズルへ前記吐出用液体を供給する吐出用液体貯留部と、
    前記吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させる吐出用液体供給圧力上昇部と、を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部の位置を上昇させる位置上昇部であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部に圧力を加える機械的加圧部材を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記吐出用液体供給圧力上昇部は、前記吐出用液体貯留部に気体を供給して圧力を加える加圧用気体供給部であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記本体内に追加用液体を供給して前記本体内に満たす追加用液体供給部をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  6. ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引する液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法であって、
    前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させることを特徴とする液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法。
  7. 前記本体内に前記吐出用液体を吸引する前に、前記本体内に追加用液体を供給して前記本体内に満たすことを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法。
  8. 前記本体が前記ヘッドを封止して吸引している間にも、前記追加用液体を前記本体内に追加して前記本隊内を満たすことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の液滴吐出装置における吐出用液体の吸引方法。
  9. ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引した後に前記ヘッドから前記吐出用液体を前記ワークに吐出する液滴吐出装置を用いて電気光学装置の製造をする電気光学装置の製造方法であって、
    前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させ、
    前記本体による前記ノズルの封止を解除した後に、前記ワークに対して前記吐出用液体を吐出することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  10. ノズルから吐出用液体をワークに吐出するためのヘッドを封止して吸引した後に前記ヘッドから前記吐出用液体を前記ワークに吐出する液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置であって、
    前記ヘッドの前記ノズルを封止するための吸引手段の本体が前記ノズルを封止して前記吐出用液体を吸引して吸引停止後に、前記本体が前記ノズルを封止した状態で前記本体内を大気圧に回復させる間は、吐出用液体供給圧力上昇部が、前記吐出用液体を貯留している吐出用液体貯留部から前記ヘッド側へ前記吐出用液体を供給する際の供給圧力を上昇させ、
    前記本体による前記ノズルの封止を解除した後に、前記ワークに対して前記吐出用液体を吐出することにより製造されることを特徴とする電気光学装置。
  11. 請求項10に記載の前記電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
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