JP2006133718A - 光配向膜の製造方法、光配向膜、液晶配向フィルムの製造方法、液晶配向フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 トリアセチルセルロース基材上に、表面処理層を設けることなく、液晶化合物に対して良好な配向性を示す光配向膜を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する工程(1)、および前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向する工程(2)、を有することを特徴とする光配向膜の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する工程(1)、および前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向する工程(2)、を有することを特徴とする光配向膜の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、光配向膜の製造方法およびその製造方法により得られた光配向膜に関する。また本発明は、前記光配向膜を用いた液晶配向フィルムの製造方法に関する。また本発明は当該製造方法により得られた液晶配向フィルム、当該液晶配向フィルムを少なくとも1つ用いた光学フィルムに関する。本発明の液晶配向フィルムは単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、位相差板、視角補償フィルム、光学補償フィルム、楕円偏光フィルム等の光学フィルムとして使用できる。さらに本発明は、上記光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置に関する。
液晶表示装置に用いられる位相差板としては、屈折率異方性を有する延伸フィルムやガラスや高分子フィルム等の透明基材上に液晶化合物を塗工しその配向性を利用した液晶配向フィルムが知られている。特に、近年の液晶表示装置の薄型化に伴い、位相差板としては液晶配向フィルムが注目されている。
液晶化合物を位相差板として用いるためには、液晶化合物を形成する液晶分子または液晶性を示すメソゲン部をある一定の方向に配向させるかまたは配向方向は一定ではないが連続的に変化させて、それを固定化する必要がある。液晶化合物の配向方法としては、配向基材上に溶融された液晶化合物または液晶化合物を溶解した溶液を塗工して配向させる方法が知られている。配向基材としては、一般には一軸方向に延伸された高分子フィルム上や配向膜が用いられる。例えば、延伸フィルム上に液晶性高分子化合物の溶液を塗工し、液晶相を示す温度において熱処置を行い配向させる方法(特許文献1)が知られている。また、配向膜を用いた配向方法としては、斜方蒸着膜を用いる方法、長鎖アルキルポリイミドのラビング膜を用いる方法、特定のジアミンを原料とするポリイミドのラビング膜を用いる方法(特許文献2)、ポリシロキサンのラビング膜を用いる方法、フィラー含有量を制御しラビング処理したプラスチックフィルムを用いる方法(特許文献3)が知られている。
その他、配向方法としては光配向法などが知られている。光配向法は、非接触プロセスであり、ラビング膜のように異物等が発生して外観を損ねる問題がない。また光配向法は、傾斜配向の作製におけるチルトの制御が他の配向方法に比べ容易であることから注目されている。光配向法としては、例えば、光反応性ポリマーを良溶媒に溶解した塗工液をトリアセチルセルロース基材に塗工して塗工層を形成し、これに偏光UVを照射して、液晶化合物に対して配向性を示す光配向層を形成する方法が開示されている(特許文献4、特許文献5)。しかし、前記文献において塗工液に用いる良溶媒は、基材となるトリアセチルセルロースを溶解してしまい、透明な配向基材(光配向膜)を得ることが難しい。また透明な配向基材を得られたとしても、当該配向基材は液晶化合物に対する配向能を示さず、白濁しており液晶の配向が認められない。したがって、光配向膜の形成にトリアセチルセルロース基材を用いる場合には、トリアセチルセルロース基材にハードコート層などの表面処理層を少なくとも一層設けたものに光配向層を形成する必要があり、製造工程上に不利がある。また、この表面処理層は、塗工液中の光反応性ポリマーをはじくといった問題があり、さらには表面処理層には塗工ムラにより外観に悪影響を及ぼすといった問題があった。
特許第2631015号明細書
特開平5−11252号公報
特開平5−53016号公報
米国特許第6160597号明細書
米国特許第6300991号明細書
本発明は、トリアセチルセルロース基材上に、表面処理層を設けることなく、液晶化合物に対して良好な配向性を示す光配向膜を製造する方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該製造方法により得られる光配向膜を提供することを目的とする。
また本発明は、前記光配向膜上に、液晶モノマー等をUV硬化させて液晶配向フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該製造方法により得られる液晶配向フィルムを提供すること、当該液晶配向フィルムを用いた光学フィルムを提供すること、さらに当該光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、鋭意研究した結果、以下に示す液晶配向フィルムの製造方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明、トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する工程(1)、および前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向する工程(2)、を有することを特徴とする光配向膜の製造方法、に関する。
上記本発明の製造方法では、トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーにより塗工層を形成する工程(1)において、塗工液として、光反応性ポリマーを良溶媒により溶解し、さらに、そこに貧溶媒としてトルエンを特定の割合で添加し、調製した塗工液を用いている。かかる塗工液を用いて形成した塗工層に、偏光UVを照射し、光配向させる工程(2)を施すことにより、液晶化合物に対する液晶配向能を有し、かつ透明な光配向膜を得ることができる。
前記光配向膜の製造方法において、工程(1)に用いる塗工液における良溶媒は、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、アニソール、塩化メチレンおよびクロロホルムから選択される少なくとも一つの溶媒であることが好ましい。
また前記光配向膜の製造方法において、工程(1)に用いる塗工液における光反応性ポリマーとしては、シンナメート基を有するポリマーが好適である。
また本発明は、前記光配向膜の製造方法により得られた光配向膜、に関する。
また本発明は、前記光配向膜上に、液晶モノマーまたはそのプレポリマーおよび光開始剤を含有する塗工液により液晶配向層を形成する工程(3)、
ならびに液晶配向層をUV照射して固定化する工程(4)を含むことを特徴とする液晶配向フィルムの製造方法、に関する。
ならびに液晶配向層をUV照射して固定化する工程(4)を含むことを特徴とする液晶配向フィルムの製造方法、に関する。
液晶モノマー等の液晶化合物は、上記光配向膜により良好に配向し、UV照射により、液晶配向層を固定化した、透明な液晶配向フィルムが得られる。
また本発明は、前記液晶配向フィルムの製造方法により得られた液晶配向フィルム、に関する。
また本発明は、前記液晶配向フィルムが、少なくとも1つ用いられていることを特徴とする光学フィルム、に関する。液晶配向フィルムは、薄型で、かつ均一な位相差を有し、位相差板等として好適に用いられる。また、液晶配向フィルム(位相差板)は偏光板と組み合わせて楕円偏光板等として好適に用いることができる。
また本発明は、前記光学フィルムを適用した画像表示装置、に関する。
以下に本発明の光配向膜の製造方法について、各工程を順次に説明する。
(工程(1))
工程(1)では、トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する。
工程(1)では、トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する。
トリアセチルセルロース基材には、ケン化処理、コロナ放電処理、紫外線オゾン処理等を施してもよく、配向膜でない樹脂層を設けることもできる。
トリアセチルセルロース基材の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。さらには5〜200μmが好ましい。
工程(1)において塗工層を形成する塗工液に用いる光反応性ポリマーは、光二量化または光異性化する光反応部位を有し、偏光UVの照射により、前記液晶モノマーまたはそのプレポリマー等の液晶化合物に対する配向性を示すものを特に制限なく使用することができる。光二量化型の反応部位としては、シンナメート基、カルコン基等を有する部位があげられ、光異性化型の反応部位としてはメソゲン基、アゾ基等を有する部位があげられる。メソゲン基は後述に例示のものがあげられる。光反応性ポリマーの具体例としては、例えば、Rolic社製のLPPF301を例示できる。
前記塗工液の調製は、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加することにより行う。良溶媒は、光反応性ポリマーを常温で溶解できるものを特に制限なく使用できるが、例えば、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、アニソール、塩化メチレン、クロロホルムが好適である。これらのなかでも、シクロペンタノンが好適である。良溶媒は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。良溶媒は、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように溶解する。光反応性ポリマーの前記固形分が0.5重量%よりも少なくなると配向機能を有しなくなる点で好ましくない。光反応性ポリマーの前記固形分が40重量%よりも大きくなると光反応性ポリマーが沈殿する点で好ましくない。光反応性ポリマーの前記固形分は、好ましくは1〜30重量%、さらには1.3〜20重量%、さらには1.5〜15重量%である。
一方、貧溶媒としてはトルエンを用いる。トルエンの添加量は、前記良溶媒との対比で、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように調整される。トルエンの添加量が前記範囲を割合より少なくなると、トリアセチルセルロース基材を溶解してしまい、液晶化合物に対して良好な配向性を示す光配向膜を得難い。トルエンの添加量が前記範囲を割合より多くなると、塗工液が相分離するので好ましくない。良溶媒:トルエンの重量比率は、好ましくは1:1.5〜1:11、さらに好ましくは1:3〜1:10、さらに好ましくは1:4〜1:10である。なお、光反応性ポリマーの前記固形分の濃度が高い場合には、光反応性ポリマーの溶解性を上げるため、トリアセチルセルロース基材を浸食しない程度に良溶媒の比率を高くすることが好ましい。例えば、光反応性ポリマーの前記固形分濃度が20重量%以上の場合には、良溶媒:トルエンの重量比率は、1:1.3〜1:5になるようにするのが好ましい。
前記塗工液は、トリアセチルセルロース基材上に直接塗工する。塗工方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法などを採用することができる。塗工後、溶媒を除去し、トリアセチルセルロース基材上に塗工層を形成する。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
塗工液は、得られる塗工層(最終的には光配向膜)の厚みが0.01〜10μm程度、好ましくは0.01~5μmとなるように塗工するのが好ましい。
(工程(2))
工程(2)では、前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向により光配向膜を得る。これにより、トリアセチルセルロース基材上に、液晶化合物に対して良好な配向性を示す光配向膜を直接設けることができる。
工程(2)では、前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向により光配向膜を得る。これにより、トリアセチルセルロース基材上に、液晶化合物に対して良好な配向性を示す光配向膜を直接設けることができる。
偏光UVの照射は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いて行なうことができる。偏光を作製する方法としては、グランテーラープリズムなどのプリズムを用いる方法、偏光膜を用いる方法、石英ガラスなどのブリュスター角を利用する方法等があげられる。偏光を作製する方法であれば特に制限はない。また、前記塗工層に斜めから光照射することで偏光照射する効果を得ることも可能である。
また偏光UVの照射は、光配向能を示す化合物の光二量化または光異性化を利用するために、光配向能を示す化合物の光吸収域の光を照射するのが効果的であり、ランプの種類、フィルターなどによって照射光を調整することも可能である。また偏光UVの照射する際の温度は特に制限されないが、10〜150℃程度、さらには20〜130℃であるのが好ましい。
偏光UV照射量は、通常、10〜6000mJ/cm2程度が好ましい。さらに好ましくは20〜3000J/cm2である。偏光UV照射量が少ないと、光反応部位での反応が不十分で配向性が小さくなり、またUV照射量が多いと偏光方向以外の反応の進行やポリマーの分解が生じるため好ましくない。
次いで、前記で得られた光配向膜を用いた、液晶配向フィルムの製造方法について、各工程を順次に説明する。
(工程(3))
工程(3)では、前記光配向膜上に、液晶モノマーまたはそのプレポリマーおよび光開始剤を含有する塗工液により液晶配向層を形成する。
工程(3)では、前記光配向膜上に、液晶モノマーまたはそのプレポリマーおよび光開始剤を含有する塗工液により液晶配向層を形成する。
塗工液は、液晶モノマーまたはそのプレポリマーを含有する。液晶モノマーをプレポリマーとして用いる場合には、液晶モノマーの重合率は特に制限されないが20重量%以下の範囲とするのが塗工ムラ、フィルムの薄膜化の点から好ましい。
液晶モノマーは、ネマチック性、コレステリック性またはスメクチック性の液晶配向を示す各種骨格を有し、かつ末端に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合やエポキシ基等の重合性官能基を少なくとも1つ有する液晶性化合物である。これら液晶モノマーのなかでも、アクリロイル基またはメタアクリロイル基等の不飽和二重結合を少なくとも1つ有する液晶性化合物であり、ネマチック液晶性のものが賞用される。液晶モノマーとして、耐久性を向上させるには、光重合性官能基を2つ以上有するものが好ましい。このような液晶モノマーとしては、具体的には、下記式(1)で表されるモノマーがあげられる。これらの液晶モノマーは、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記式(1)において、A1およびA2は、それぞれ重合性基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、A1およびA2はいずれか一方が水素であってもよい。Xは、それぞれ単結合、−O−、−S−、−C=N−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−CH2−O−または−NR−CO−NRを表し、前記XにおいてRは、HまたはC1〜C4アルキルを表し、Mはメソゲン基を表す。
前記式(1)において、Xは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。前記式(1)のモノマーの中でも、A2は、それぞれA1に対してオルト位に配置されていることが好ましい。
また、前記A1およびA2は、それぞれ独立して下記式Z−X−(Sp)n・・・(2)
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
前記式(2)において、Zは架橋性基を表し、Xは前記式(1)と同様であり、Spは、1〜30個のC原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基からなるスペーサーを表し、nは、0または1を表す。前記Spにおける炭素鎖は、例えば、エーテル官能基中の酸素、チオエーテル官能基中の硫黄、非隣接イミノ基またはC1〜C4のアルキルイミノ基等により割り込まれてもよい。
前記式(2)において、Zは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましい。下記式において、Rとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等の基があげられる。
また、前記式(2)において、Spは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましく、下記式において、mは1〜3、pは1〜12であることが好ましい。
前記式(1)において、Mは、下記式(3)で表されることが好ましく、下記(3)において、Xは、前記式(1)におけるXと同様である。Qは、例えば、置換または未置換のアルキレンもしくは芳香族炭化水素原子団を表し、また、例えば、置換または未置換の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C12アルキレン等であってもよい。
前記Qが、前記芳香族炭化水素原子団の場合、例えば、下記式に表されるような原子団や、それらの置換類似体が好ましい。
前記式に表される芳香族炭化水素原子団の置換類似体としては、例えば、芳香族環1個につき1〜4個の置換基を有してもよく、また、芳香族環または基1個につき、1または2個の置換基を有してもよい。前記置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、C1〜C4アルキル、ニトロ、F、Cl、Br、I等のハロゲン、フェニル、C1〜C4アルコキシ等があげられる。
前記液晶モノマーの具体例としては、例えば、下記式(4)〜(19)で表されるモノマーがあげられる。
前記液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なるが、例えば、40〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜100℃の範囲であり、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。
工程(3)において液晶配向層を形成する塗工液は、液晶モノマーまたはそのプレポリマーの他に、光開始剤を含有する。光開始剤としては各種のものを特に限定することなく使用できる。光開始剤としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907、同184、同651、同369などを例示できる。光開始剤の量は、特に制限されないが、液晶モノマーまたはそのプレポリマー100重量部に対して、0.1〜20重量部程度、さらには0.3〜10重量部であるのが好ましい。
前記塗工液を、光配向膜上に塗工する方法は、前記材料を溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗工方法または溶融して溶融塗工する方法が挙げられるが、この中でも溶液塗工方法が好ましい。
前記溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、塗工液に用いる材料や光配向膜の種類により異なり一概には言えないが、通常、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素などを用いることができる。溶液の濃度は、用いる材料の溶解性や最終的に目的とする液晶配向フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%、好ましくは7〜40重量%の範囲である。
上記塗工液の光配向膜への塗工方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法などを採用することができる。塗工後、溶媒を除去し、光配向膜上に液晶層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
塗工液は、得られる液晶配向層の厚みが0.01〜10μm程度、好ましくは0.05~5μmとなるように塗工するのが好ましい。なお、特に液晶配向層の膜厚を精密に制御する必要がある場合には、光配向膜に塗工する段階で膜厚がほぼ決まるため、溶液の濃度、塗工膜の膜厚などの制御は特に注意を払う必要がある。
配向は、前記光配向膜上に形成された液晶層(塗工層)を液晶状態とし、配向させる。たとえば、液晶層が液晶温度範囲になるように熱処理を行う。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。熱処理温度は、液晶化合物や光配向膜の種類により異なるため一概には言えないが、通常60〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲において行う。また熱処理時間は、熱処理温度および使用する液晶材料や光配向膜の種類によって異なるため一概には言えないが、通常10秒間〜2時間、好ましくは20秒間〜30分間の範囲で選択される。
(工程(4))
工程(4)では、前記液晶配向層をUV照射して固定化する。これにより液晶配向層を固定化した液晶配向フィルムが得られる。
工程(4)では、前記液晶配向層をUV照射して固定化する。これにより液晶配向層を固定化した液晶配向フィルムが得られる。
前記液晶配向層の固定化は、UV照射により行う。UV照射により、液晶モノマー等は重合または架橋して固定化して、耐久性の高いフィルムが得られる。UV照射条件は、十分に反応を促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。通常、約80〜300mW/cm2の照度を有する高圧水銀紫外ランプが代表的に用いられる。メタハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時の液晶配向層表面温度が液晶温度範囲内になるように、フィルムまでの距離コールドミラー、水冷その他の冷却処理あるいはライン速度を早くするなどして適宜に調整する。
前記液晶配向層からなる液晶配向フィルムは、前記基材とともに用いることができ、また基材から剥離して、光学フィルムとして用いることができる。さらには別の光学フィルムに転写して用いることもできる。前記液晶配向フィルムは単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、位相差板、視角補償フィルム、光学補償フィルム、楕円偏光フィルム等の光学フィルムとして使用できる。以下これらについて説明する。
液晶表示装置等の画像表示装置に適用される光学フィルムには偏光板が用いられる。偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものである。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片側または両側に設けられている保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどがあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる保護フィルムは、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護層の厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、さらには1〜300μm、特に5〜300μmが好ましい。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合は、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムを用いることができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムとしては、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記偏光板は、位相差板を積層された楕円偏光板または円偏光板として用いることができる。前記楕円偏光板または円偏光板について説明する。これらは位相差板により直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶配向層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板には、例えば各種波長板や液晶配向層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどを使用することができ、また使用目的に応じた適宜な位相差を有する2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。位相差板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。
また視角補償フィルムとして偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。
このような視角補償位相差板としては、他に二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルム、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコチック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板があげられる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶配向層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶配向層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶配向層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
本発明の光学フィルムには、粘着層を設けることもできる。粘着剤層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。前記光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行ないうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行ないうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に前記光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が20重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(A1)を調製した。前記塗工液(A1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:3となるようにトルエンを添加し、塗工液(A2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が20重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(A1)を調製した。前記塗工液(A1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:3となるようにトルエンを添加し、塗工液(A2)を得た。
(光配向膜の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロース基板上に、直接、上記塗工液(A2)を、乾燥後の厚さが0.03μmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して塗工層を得た。前記塗工層に50℃の加熱下にて偏光UVを0.5mW/cm2を60秒間(310nm,積算光量:30mJ/cm2)照射して、光配向膜を得た。光の波長はUVフィルターWG295(schott社製)およびバンドパスフィルターUG11(schott社製)により制限した。
厚さ80μmのトリアセチルセルロース基板上に、直接、上記塗工液(A2)を、乾燥後の厚さが0.03μmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して塗工層を得た。前記塗工層に50℃の加熱下にて偏光UVを0.5mW/cm2を60秒間(310nm,積算光量:30mJ/cm2)照射して、光配向膜を得た。光の波長はUVフィルターWG295(schott社製)およびバンドパスフィルターUG11(schott社製)により制限した。
(液晶配向フィルムの作製のための塗工液の調製)
前記化6における式(10)で示される紫外線重合性ネマチック液晶モノマーに対し、光開始剤(チバスぺシャリティーケミカルズ社製のイルガキュア907)を固形分で0.5重量%とレベリング剤(ビックケミー社製のBYK361)を固形分で0.05重量%添加し、30重量%となるようにシクロペンタノンで希釈、撹拌した液晶塗工液(L)を調製した。
前記化6における式(10)で示される紫外線重合性ネマチック液晶モノマーに対し、光開始剤(チバスぺシャリティーケミカルズ社製のイルガキュア907)を固形分で0.5重量%とレベリング剤(ビックケミー社製のBYK361)を固形分で0.05重量%添加し、30重量%となるようにシクロペンタノンで希釈、撹拌した液晶塗工液(L)を調製した。
(液晶配向フィルムの作製)
上記光配向膜上に前記液晶塗工液(L)を、乾燥後の厚さが1.2μmとなるように塗工した後、120℃で2分間、加熱、乾燥して液晶配向層を得た。次いで、前記液晶配向層に、UVを積算光量で200mJ/cm2照射して、液晶配向層を固定化して、液晶配向フィルム(A)を得た。
上記光配向膜上に前記液晶塗工液(L)を、乾燥後の厚さが1.2μmとなるように塗工した後、120℃で2分間、加熱、乾燥して液晶配向層を得た。次いで、前記液晶配向層に、UVを積算光量で200mJ/cm2照射して、液晶配向層を固定化して、液晶配向フィルム(A)を得た。
(液晶配向層の確認)
上記液晶配向フィルム(A)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
上記液晶配向フィルム(A)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
実施例2
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が10重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(B1)を調製した。前記塗工液(B1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:1.5となるようにトルエンを添加し、塗工液(B2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が10重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(B1)を調製した。前記塗工液(B1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:1.5となるようにトルエンを添加し、塗工液(B2)を得た。
(光配向膜の作製)
実施例1において、塗工液(A2)の代わりに、上記塗工液(B2)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
実施例1において、塗工液(A2)の代わりに、上記塗工液(B2)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
(液晶配向フィルムの作製)
実施例1において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、液晶配向フィルム(B)を得た。
実施例1において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、液晶配向フィルム(B)を得た。
(液晶配向層の確認)
上記液晶配向フィルム(B)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
上記液晶配向フィルム(B)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
実施例3
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(C1)を調製した。前記塗工液(C1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:9となるようにトルエンを添加し、塗工液(C2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(C1)を調製した。前記塗工液(C1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:9となるようにトルエンを添加し、塗工液(C2)を得た。
(光配向膜の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロース基板上に、直接、上記塗工液(C2)を、乾燥後の厚さが0.03μmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して塗工層を得た。前記塗工層に50℃の加熱下にて偏光UVを0.5mW/cm2を100秒間(310nm,積算光量:50mJ/cm2)照射して、光配向膜を得た。光の波長はUVフィルターWG295(schott社製)およびバンドパスフィルターUG11(schott社製)により制限した。
厚さ80μmのトリアセチルセルロース基板上に、直接、上記塗工液(C2)を、乾燥後の厚さが0.03μmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して塗工層を得た。前記塗工層に50℃の加熱下にて偏光UVを0.5mW/cm2を100秒間(310nm,積算光量:50mJ/cm2)照射して、光配向膜を得た。光の波長はUVフィルターWG295(schott社製)およびバンドパスフィルターUG11(schott社製)により制限した。
(液晶配向フィルムの作製)
実施例1で調製した液晶塗工液(L)を、乾燥後の厚さが50nmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して液晶配向層を得た。次いで、前記液晶配向層に、UVを積算光量で200mJ/cm2照射して、液晶配向層を固定化して、液晶配向フィルム(C)を得た。
実施例1で調製した液晶塗工液(L)を、乾燥後の厚さが50nmとなるように塗工した後、90℃で2分間、加熱、乾燥して液晶配向層を得た。次いで、前記液晶配向層に、UVを積算光量で200mJ/cm2照射して、液晶配向層を固定化して、液晶配向フィルム(C)を得た。
(液晶配向層の確認)
上記液晶配向フィルム(C)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
上記液晶配向フィルム(C)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
実施例4
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(D1)を調製した。前記塗工液(D1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:5となるようにトルエンを添加し、塗工液(D2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(D1)を調製した。前記塗工液(D1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:5となるようにトルエンを添加し、塗工液(D2)を得た。
(光配向膜の作製)
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(D2)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(D2)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
(液晶配向フィルムの作製)
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、液晶配向フィルム(D)を得た。
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、液晶配向フィルム(D)を得た。
(液晶配向層の確認)
上記液晶配向フィルム(D)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
上記液晶配向フィルム(D)について、分光エリプソメーター(M−220型,日本分光社製)により正面位相差を測定した。正面位相差は119nmであり、正の一軸性フィルムであった。
比較例1
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(X1)を調製した。前記塗工液(X1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:1となるようにトルエンを添加し、塗工液(X2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(X1)を調製した。前記塗工液(X1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:1となるようにトルエンを添加し、塗工液(X2)を得た。
(光配向膜の作製)
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(X2)を用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(X2)を用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
(液晶配向フィルムの作製)
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行ったが、得られたフィルム(X)は、白濁しており、液晶の配向は認められなかった。
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行ったが、得られたフィルム(X)は、白濁しており、液晶の配向は認められなかった。
比較例2
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(Y1)を調製した。前記塗工液(Y1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:13となるようにトルエンを添加し、塗工液(Y2)を得た。
(光配向膜の作製のための塗工液の調製)
光反応性ポリマー(光二量化反応を示すシンナメート基を有するポリマー;Rolic社製のLPPF301)を固形分が2重量%となるようにシクロペンタノンで希釈し、撹拌して塗工液(Y1)を調製した。前記塗工液(Y1)にシクロペンタノン:トルエンの割合が1:13となるようにトルエンを添加し、塗工液(Y2)を得た。
(光配向膜の作製)
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(Y2)を用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
実施例3において、塗工液(C2)の代わりに、上記塗工液(Y2)を用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行い、光配向膜を得た。
(液晶配向フィルムの作製)
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行ったが、得られたフィルム(Y)は、白濁しており、液晶の配向は認められなかった。
実施例3において、光配向膜として、上記で得られたものを用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行ったが、得られたフィルム(Y)は、白濁しており、液晶の配向は認められなかった。
Claims (8)
- トリアセチルセルロース基材上に、光反応性ポリマーを固形分で0.5〜40重量%になるように良溶媒で溶解した後、さらにトルエンを、良溶媒:トルエンの重量比率が1:1.3〜1:12となるように添加して調製した塗工液により塗工層を形成する工程(1)、および前記塗工層に偏光UVを照射し、光配向する工程(2)、を有することを特徴とする光配向膜の製造方法。
- 良溶媒が、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、アニソール、塩化メチレンおよびクロロホルムから選択される少なくとも一つの溶媒であることを特徴とする請求項1記載の光配向膜の製造方法。
- 光反応性ポリマーが、シンナメート基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載の光配向膜の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光配向膜の製造方法により得られた光配向膜。
- 請求項4記載の光配向膜上に、液晶モノマーまたはそのプレポリマーおよび光開始剤を含有する塗工液により液晶配向層を形成する工程(3)、
ならびに液晶配向層をUV照射して固定化する工程(4)を含むことを特徴とする液晶配向フィルムの製造方法。 - 請求項5記載の液晶配向フィルムの製造方法により得られた液晶配向フィルム。
- 請求項6記載の液晶配向フィルムが、少なくとも1つ用いられていることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項7記載の光学フィルムを適用した画像表示装置。
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JP2005033314A JP2006133718A (ja) | 2004-10-07 | 2005-02-09 | 光配向膜の製造方法、光配向膜、液晶配向フィルムの製造方法、液晶配向フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009103900A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-05-14 | Nitto Denko Corp | 積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置 |
JP2010152069A (ja) | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Dic Corp | 重合性液晶組成物、及び光学異方体 |
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US8305531B2 (en) | 2009-08-05 | 2012-11-06 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Liquid crystal display panel and a method of manufacturing the same |
JP2016184013A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 林テレンプ株式会社 | 位相差フィルムとその製造方法および該位相差フィルムを有する光学部材 |
WO2019177119A1 (ja) * | 2018-03-16 | 2019-09-19 | 富士フイルム株式会社 | 光学フィルム、偏光板、画像表示装置 |
-
2005
- 2005-02-09 JP JP2005033314A patent/JP2006133718A/ja active Pending
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