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JP2006128425A - 発光素子および発光素子の製造方法 - Google Patents

発光素子および発光素子の製造方法 Download PDF

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JP2006128425A JP2004315102A JP2004315102A JP2006128425A JP 2006128425 A JP2006128425 A JP 2006128425A JP 2004315102 A JP2004315102 A JP 2004315102A JP 2004315102 A JP2004315102 A JP 2004315102A JP 2006128425 A JP2006128425 A JP 2006128425A
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Kazunori Hagimoto
和徳 萩本
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、発光層部を含む半導体積層構造そのものの構造を変更することなく、光取り出し効率を改善できる発光素子とその製造方法とを提供することにある。
【解決手段】 発光素子100は素子本体部60を有する。この素子本体部60は、成長用基板としてのn型GaAs単結晶基板(以下、単に基板という)1と、その第一主表面上に形成されるn型GaAsバッファ層2と、このバッファ層2上に形成される発光層部24と、この発光層部上に形成される電流拡散層20とを含む。素子本体部60には、光取り出し面LEAと平行な平面への投影を考えたとき、光取り出し側電極9と重なる領域に、当該素子本体部60を厚さ方向の全部又は一部区間にて切欠いた形態の空隙が形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は発光素子およびその製造方法に関する。
特開平6−302857号公報 特開2002−359401号公報
発光素子は、化合物半導体層を積層することにより、p−n接合部を含む発光層部を形成したものである。素子アセンブリとしては、発光層部を有する素子チップのp層側もしくはn層側のいずれかの主表面をステージ上に銀ペースト等を用いて固定する一方、他方の主表面側にAu等で構成されたボンディングパッドを配置し、これに通電用のAuワイヤをボンディングし、全体を樹脂モールドした構造が一般的である。このボンディングパッドは、素子チップの主表面に形成された金属電極上に配置される。
この金属電極は遮光体として作用するため、例えば発光層部主表面の中央部のみを覆う形で形成され、その周囲の電極非形成領域から光を取り出すようにする。しかしながら、この電極に素子駆動のための電圧を印加した場合、素子内の電流密度は電極直下付近で高く、光取リ出し領域となる電極の周囲領域では低くなることより光取リ出し効率が低下しやすくなる。この問題は、従来、主に発光層部を含んだ半導体積層構造そのものを改良する観点から解決が試みられてきた。その代表的なものに、電極と接する化合物半導体層の内部において電極直下位置に、該半導体層と導電型が逆となる反転層を埋め込み形成する方法がある。また、これとは別に、ドーパント濃度を高めて抵抗率を下げた電流拡散層を、発光層部と電極との間に挿入する方法も広く採用されている。
また発光駆動電圧印加用の電極自体に、化合物半導体からなる素子本体部側へ通電電流が優先的に流れることを許容する電流許容層部と、同じく通電電流密度が電流許容層部よりも小さくなる電流抑制層部とが形成された発光素子が提案されている(特許文献2)。この方法によれば、ボンディングパッドの取付部直下など、光取リ出しの期待できない領域に電流抑制層部を形成することにより、その領域に余分な電流が流れることを阻止できる。他方、ボンディングパッドの周囲部分など、光取リ出しに有効寄与する領域に電流許容層部を形成することにより、その領域には電流を優先的に流すことができるので、結果として光取り出しに好都合な領域に電流を効率よく配分することができ、ひいては素子全体としての光取リ出し効率を高めることができる。
しかしながら反転層を埋め込みする方法では、電極領域に対応する反転層形成のためのフォトリソグラフィー工程を、化合物半導体層のエピタキシャル成長工程の途中に挿入する必要があり、工程の増加ひいては製造効率の低下につながりやすい。また発光駆動電圧印加用電極自体に、電流許容部と電流抑制部とを形成する方法では、これらを形成する余分な工程が必要である。
本発明の課題は、発光層部を含む半導体積層構造そのものの構造を変更することなく、光取り出し効率を改善できる発光素子とその製造方法とを提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の発光素子は、
化合物半導体層からなる発光層部を有した素子本体部と、素子本体部の光取り出し面となる主表面を第一主表面として、該第一主表面の一部を覆うように形成された光取り出し側電極とを有する発光素子であって、
素子本体部には、光取り出し面と平行な平面への投影において電極と重なる領域に、当該素子本体部を厚さ方向の全部又は一部区間にて切欠いた形態の空隙が形成されていることを特徴とする。
素子本体部において、光取り出し面と平行な平面への投影において電極と重なる領域に上記のような空隙を形成すると、その空隙の部分には、電流が流れなくなる。従来、光取り出し側電極直下に流れた電流により発光した光は、光取り出し側電極に遮光され、光として取り出されにくかったが、これにより周辺部へ電流が流れやすくなり、光取り出し効率を上げることができる。なお空隙の断面形状は、円状や多角形状(例えば、四角形状)などを採用することができるが、光取り出し側電極および該光取り出し側電極下の中央領域に電流が流れないようにできればよいため、どのような形状であってもよく、特には限定されない。
空隙は、光取り出し側電極下に形成された電流拡散層を貫く形態で形成することができる。これにより電流は、空隙の形成された電極中央領域や電極中央領域下に流れることなく、電極周辺部下へと流れる。このため電極によって遮光される電極下の発光層における発光を抑え、周辺部における発光を増やすことができるため、光取り出し効率を上げることができる。この場合、空隙は、素子本体部の第一主表面に設けられた光取り出し側電極を貫く形態で形成することができる。これによると、電極形成後に電流拡散層とともに一括して空隙を形成すればよいので製造も容易である。
一方、素子本体部において、発光層部の第二主表面に基板が配置される場合は、空隙は、裏面電極と基板とを貫く形態で形成することができる。基板に形成された空隙が、その直上に位置する、光取り出し面側電極で遮られた発光層部領域への通電を抑制し、周辺部における発光を増やすことができるため、光取り出し効率を上げることができる。また、該基板の第二主表面を裏面電極にて覆う場合は、上記空隙を、裏面電極を貫く形態で形成すると、電極形成後に基板とともに一括して空隙を形成すればよいので製造も容易である。
具体的には、素子本体部は、成長用基板の第一主表面にバッファ層を介して発光層部をエピタキシャル成長したものとすることができ、該成長用基板の第二主表面を裏面電極で覆うとともに、上記の空隙は、素子本体部の裏面電極と成長用基板とバッファ層とを貫く形態で形成することができる。電極形成後に電流拡散層とともに一括して空隙を形成すればよいので製造も容易である。なお、上記の基板は、発光層部から成長用基板を除去した後、後付けで貼り合わされた透明導電性基板(例えばGaP基板)としてもよい。
空隙は、内径が30μm以上300μm以下の円状断面形態に形成することが望ましい。内径が30μm未満では、加工による空隙形成が困難となり、300μmを超えると電流抑制効果が過剰となり、発光強度の低下につながる。円状断面形態の空隙は、例えばドリル等を用いて容易に形成できる利点がある。
空隙の断面積が、光取り出し側電極の面積に対し、10%以上とすることが望ましい。電流を効果的に素子周辺部へ流すために上記記載の程度、空隙を形成する。これにより、電極直下に電流が流れなくなり、光取り出し効率を上げることができる。ただし、空隙の断面積が、光取り出し側電極の面積の90%を超えると、発光駆動電流を十分に確保することが困難となり、発光強度の低下につながる場合がある。
さらに上記課題を解決するために、本発明の発光素子の製造方法は、上記本発明の発光素子を製造するために、前記の空隙を、機械加工、超音波加工またはレーザー加工のいずれかにて形成することを特徴とする。
本発明においては、機械加工により発光素子内に空隙を形成することができる。また超音波を使用して空隙を形成することもできる。この方法で形成された空隙は、電流阻止層またはブロック層としての働きをする。従来、電流阻止層またはブロック層を形成するためには特別の工程が必要であり、コスト高につながりやすかったが、本発明の電流阻止層の形成方法は、機械加工または超音波加工またはレーザー加工で、空隙を形成するのみであり、容易に行うことができる。
上記本発明の製造方法は、発光層部からの発光光束に対して透光性を有し、かつ、発光層部よりも導電率の高い化合物半導体からなる電流拡散用透光性導電基板の第一主表面に光取り出し面側電極を形成し、その光取り出し面側電極と電流拡散用透光性導電基板とに機械加工、超音波加工またはレーザー加工で空隙を形成する工程と、空隙を形成した電流拡散用透光性導電基板の第二主表面を、発光層部を含む化合物半導体層の第一主表面に貼り合わせる工程とを含むものとして実施できる。この方法によると、電流拡散用透光性導電基板上に光取り出し側電極を形成し、これらに空隙を形成したのち、主化合物半導体層へ貼り合わせるため、空隙の形成が容易にできる。この方法によると、空隙を確実に所望の位置にのみ形成することができる。
前述の機械加工の例としては、ドリル加工を例示できる。また、レーザー加工の例としては、レーザーマーカーを利用して行うことができる。これらの方法によれば、容易に空隙を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である発光素子100を示す概念図である。発光素子100は素子本体部60を有する。この素子本体部60は、成長用基板としてのn型GaAs単結晶基板(以下、単に基板という)1と、その第一主表面上に形成されるn型GaAsバッファ層2と、このバッファ層2上に形成される発光層部24と、この発光層部上に形成される電流拡散層20とを含む。そして、その素子本体部60の第一主表面側に、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための光取り出し側電極9が形成されている。
素子本体部60には、光取り出し面LEAと平行な平面への投影を考えたとき、光取り出し側電極9と重なる領域に、当該素子本体部60を厚さ方向の全部又は一部区間にて切欠いた形態の空隙が形成されている。光取り出し側電極9は第一主表面のほぼ中央に形成され、この第一主表面の周囲の領域が素子本体部24からの光取り出し領域LEAとされている。他方、基板1の第二主表面側には裏面電極15が全面に形成されている。また光取り出し側電極のほぼ中央と電流拡散層20には、電流阻止層(ブロック層)としての働きをする空隙CAVが形成されている。
発光層部24は、各々(AlGa1−xIn1−yP混晶(III−V族化合物半導体である)で構成されるとともに、p型クラッド層6、n型クラッド層4、及び両クラッド層6,4の間に位置する活性層5からなるダブルへテロ構造とされている。具体的には、ノンドープ(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55,0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、p型(AlGa1−xIn1−yPクラッド層6とn型(AlGa1−xIn1−yPクラッド層4とにより挟んだ構造となっている。図1の発光素子100では、光取り出し側電極9側にp型AlGaInPクラッド層6が配置されており、裏面電極15側にn型AlGaInPクラッド層4が配置されている。従って、通電極性は光取り出し側電極9側が正である。なお、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行わない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm程度を上限とする)をも排除するものではない。
図1に示すように光取り出し側電極9は、素子本体部60の第一主表面のほぼ中央領域に形成され、この光取り出し側電極9と、光取り出し側電極9下の電流拡散層20の中央領域を貫く形状で、空隙CAVが形成されている。この空隙CAVにより、光取り出し側電極直下に電流が流れなくなり、周囲の光取り出し領域に電流を集中させる効果が高められる。つまりこの空隙CAVは、電流阻止層としての働きをする。これにより光取り出し効率が一層向上する。
空隙CAVの形成は、例えば、ドリル(ユニオンツール社製:PCBドリル 50μm〜300μm)または超音波(ピアノ線を使用)またはレーザーマーカーによって行うことができる。電極中央領域下の発光層部24へ、電流が流れるのを防ぐため、電流拡散層20を貫く深さまで空隙CAVを形成する。
以下、図1の発光素子100の製造方法について説明する。まず、AlGaInP混晶と格子整合する化合物半導体単結晶基板であるGaAs単結晶基板1の第一主表面1aに、n型GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、次いで、発光層部24として、1μmのn型AlGaInPクラッド層4、0.6μmのAlGaInP活性層(ノンドープ)5、及び1μmのp型AlGaInPクラッド層6を、この順序にてエピタキシャル成長させる。これら各層のエピタキシャル成長は、公知の有機金属気相エピタキシャル成長(Metal organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法により行うことができる。Al、Ga、In、P及びAsの各成分源となる原料ガスとしては以下のようなものを使用できる;
・Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など;
・In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・P源ガス;ターシャルブチルホスフィン(TBP)、ホスフィン(PH)など。
・As源ガス;ターシャルブチルアルシン(TBA)、アルシン(AsH)など。
また、ドーパントガスとしては、以下のようなものを使用できる;
(p型ドーパント)
・Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
・Zn源:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。
(n型ドーパント)
・Si源:モノシランなどのシリコン水素化物など。
・Te源ガス;ジメチルテルル(DMTe)、ジエチルテルル(DETe)など;など。
次いで、発光層部の基板に面しているのと反対側の主表面上に、AlGaAsまたはGaPよりなる電流拡散層を形成し、その主表面のほぼ中央に、発光層部に発光駆動電圧を印加するための光取り出し側電極(例えばAu電極)を形成する。続いて、電極上から素子のほぼ中央領域を貫くようにドリルまたは超音波またはレーザーマーカーにより空隙CAVを形成する。
図2に、光取り出し側電極9の第一主表面側から見た図を示す。(a)は、光取り出し側電極9の中央領域に円形の空隙を形成した例を示す。また(b)は、光取り出し側電極9の中央領域に四角形の空隙を形成した例を示す。この他にも、光取り出し側電極9の中央領域直下に電流が流れることを防ぐために、円形、四角形以外の形状の空隙を形成してもよい。
図3に示す発光素子110において、空隙を形成する位置について説明する。光取り出し側電極9の発光素子内に投影した部分内に空隙を形成すると、その領域には、電流が流れなくなる。従って、空隙の場所、形状は、いろいろ考えられる。光取り出し側電極9側から空隙を形成したり、裏面電極15側からドリル加工やレーザー加工により空隙を形成したりすることができる。
なお、発光層部24は、図4に示す発光素子120のように、光取り出し側電極9側にn型AlGaInPクラッド層4が配置され、裏面電極15側にp型AlGaInPクラッド層6が配置された、図1とは逆積層構造をもった形で形成することも可能である。この場合、基板1とバッファ層2はp型としておく必要がある。また通電極性は光取り出し側電極9側が負となる。図4のタイプの発光素子120は、素子全体としての機能は図1の発光素子100と全く同様である。空隙CAVの形成により、電流を電極周辺部へ流すことができ、光取り出し効率を上げることができる。
図5の発光素子130は、素子本体部60の積層形態は図1に示した発光素子100と同様であるが、光取り出し面と反対側の裏面電極15側から基板1を貫くように空隙CAVを形成している。このような形状でも電流が光取り出し側電極9下に流れることが抑制され、発光層の光取り出し側電極9下の領域からの発光を抑えることができるため、光取り出し効率を上げることができる。空隙CAVは、基板1とともにバッファ層2も貫通して形成されている。
続いて他の実施形態を説明する。図6の発光素子200は、導電性基板であるn型Si(シリコン)単結晶よりなるSi基板7の一方の主表面上に主金属層10を介して、発光層部24を含む化合物半導体層が貼り合わされ、素子本体部60が形成されている。主金属層10は反射面10R全体がAuを主成分(最も質量含有率の高い成分)とするAu系層として構成され、発光層部24(化合物半導体層)上に形成された第一Au系層10aと、Si基板7上に形成された第二Au系層10bとが貼り合せ熱処理により貼り合わされたものである。本実施形態において第一Au系層10a及び第二Au系層10bは、純AuもしくはAu含有率が95質量%以上のAu合金よりなる。
発光層部24は、前実施例と同様である。発光素子200においては、光取り出し側電極9側にp型AlGaInPクラッド層6が配置されており、金属層10側にn型AlGaInPクラッド層4が配置されている。従って、通電極性は光取り出し側電極9側が正である。
また、発光層部24の基板7に面しているのと反対側の主表面上には、AlGaAsよりなる電流拡散層20が形成され、その主表面の略中央に、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための光取り出し側電極(例えばAu電極)9が、この主表面の一部を覆うように形成されている。電流拡散層20の主表面における、光取り出し側電極9の周囲の領域は、発光層部24からの光取り出し領域をなす。また、Si単結晶基板7の裏面にはその全体を覆うように裏面電極(例えばAu電極である)15が形成されている。裏面電極15がAu電極である場合、裏面電極15とSi単結晶基板7との間には基板側接合層として、AuSb接合層16が介挿される。なお、AuSb接合層16に代えてAuSn接合層を基板側接合層として用いてもよい。
他方、発光層部24と主金属層10との間には、この主金属層10と発光層部24との接触抵抗を減ずるためにコンタクト金属層32が配置されている。そして、素子本体部60の、コンタクト金属層32と発光層部24との間に位置する部分が、発光層部24からの発光光束に対して透光性を有し、かつ、コンタクト金属層32から発光層部24への成分拡散を抑制する拡散防止層25とされている。本実施形態において、コンタクト金属層32はAuGeNi層32(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)であり、主金属層10(第一Au系層10a)の主表面上に分散形成され、その形成面積率は1%以上25%以下である。また、拡散防止層25は、AlGaAs、具体的にはn型クラッド層4に格子整合し(格子定数差にて1%以内)、かつ、活性層5よりもバンドギャップが広くなるように、AlGa1−aAsのAlAs混晶比aが0.4以上1以下に調整されたAlGaAsよりなる。なお、拡散防止層25の厚さtは1μm以上5μm以下である。
発光層部24からの光は、光取り出し面側に直接放射される光に、主金属層10による反射光が重畳される形で取り出される。主金属層10の厚さは、反射効果を十分に確保するため、80nm以上とすることが望ましい。また、厚さの上限に制限は特にないが、反射効果が飽和するため、コストとの兼ね合いにより適当に定める(例えば1μm以下)
図6に示すように、光取り出し側電極9と電流拡散層20とに空隙CAVを形成し、電流阻止部とする。これによって光取り出し側電極9下の領域に電流が流れにくくなり、電流は周辺部へと流れ、光取り出し効率を上げることができる。
まず、図7の工程1に示すように、発光層成長用基板をなす半導体単結晶基板であるGaAs単結晶基板1の主表面に、p型GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、AlAsからなる剥離層3を例えば0.5μm、さらにp型AlGaAsよりなる電流拡散層20を例えば5μm、この順序にてエピタキシャル成長させる。また、その後、発光層部24として、1μmのp型AlGaInPクラッド層6、0.6μmのAlGaInP活性層(ノンドープ)5、及び1μmのn型AlGaInPクラッド層4を、さらに、5μmのAlGaAsよりなる拡散防止層25を、この順序にエピタキシャル成長させる。これら各層のエピタキシャル成長は、公知のMOVPE法により行うことができる。
次に、工程2に示すように、拡散防止層25の主表面に、AuGeNi層32を分散形成する。AuGeNi層32を形成後、350℃以上500℃以下の温度域で合金化熱処理を行い、その後、AuGeNi層32を覆うように第一Au系層10aを形成する。拡散防止層25とAuGeNi層32との間には、上記合金化熱処理により合金化層が形成され、直列抵抗が大幅に低減される。また、この合金化熱処理時において、AuGeNi層32から発光層部24のn型クラッド層4を経て活性層5に向かう成分の拡散、特にGe成分の拡散が、拡散防止層25により妨げられ、活性層5がGe成分によって汚染される不具合が効果的に抑制される。また、拡散防止層25は活性層5からの発光光束に対して透光性を有するので、反射に関与する光束がこの拡散防止層25での吸収により減衰する心配もない。従って、発光層部24の発光能力を十分に引き出すことができ、主金属層10の反射効果による光取り出し効率も良好となる。
次に、工程3に示すように、別途用意したSi単結晶基板7(n型)の両方の主表面に基板側接合層となるAuSb接合層31,16(前述の通りAuSn接合層でもよい)を形成し、250℃以上359℃以下の温度域で合金化熱処理を行う。そして、AuSb接合層31上には第二Au系層10bを、AuSb接合層16上には裏面電極15(例えばAu系金属よりなるもの)をそれぞれ形成する。以上の工程で各金属層は、スパッタリングあるいは真空蒸着等を用いて行うことができる。
そして、工程4に示すように、Si単結晶基板7側の第二Au系層10bを、発光層部24上に形成された第一Au系層10aに重ね合わせて圧迫して、180℃よりも高温かつ360℃以下、例えば250℃にて貼り合せ熱処理することにより、基板貼り合わせ体50を作る。Si単結晶基板7は、第一Au系層10a及び第二Au系層10bを介して発光層部24に貼り合わせられる。また、第一Au系層10aと第二Au系層10bとは、上記貼り合せ熱処理を採用することにより十分な強度にて結合され、AuSb接合層31及びAuGeNi層32とともに金属層10となる。第一Au系層10a及び第二Au系層10bが、いずれも酸化しにくいAuを主体に構成されているため、上記貼り合せ熱処理は、例えば大気中でも問題なく行うことができる。当然、この貼り合わせ熱処理時にもコンタクト金属層32からGeが発光層部24に向けて拡散する可能性があるが、拡散防止層25を設けてあるので、この拡散の影響が発光層部24に及ぶ不具合が生じにくい。
次に、図8の工程5に進み、上記基板貼り合わせ体50を、例えば10%フッ酸水溶液からなるエッチング液に浸漬し、バッファ層2と発光層部24との間に形成したAlAs剥離層3を選択エッチングすることにより、GaAs単結晶基板1(発光層部24からの光に対して不透明である)を、発光層部24とこれに接合されたSi単結晶基板7との積層体50aから除去する。なお、AlAs剥離層3に代えてAlInPよりなるエッチストップ層を形成しておき、GaAsに対して選択エッチング性を有する第一エッチング液(例えばアンモニア/過酸化水素混合液)を用いてGaAs単結晶基板1をGaAsバッファ層2とともにエッチング除去し、次いでAlInPに対して選択エッチング性を有する第二エッチング液(例えば塩酸:Al酸化層除去用にフッ酸を添加してもよい)を用いてエッチストップ層をエッチング除去する工程を採用することもできる。
そして、工程6に示すように、GaAs単結晶基板1の除去により露出した電流拡散層20の主表面の一部を覆うように、ワイヤボンディング用の光取り出し側電極9(ボンディングパッド:図1)を形成する。
続いて工程7に示すように、ドリルを用いた機械加工または、超音波、レーザーマーカーなどによる加工を用いて光取り出し側電極9と電流拡散層20に空隙CAVを形成する。以下、通常の方法によりダイシングして半導体チップとし、これを支持体に固着してリード線のワイヤボンディング等を行った後、樹脂封止をすることにより最終的な発光素子が得られる。
次に、図9の発光素子300は、発光層部24の構造は図6の発光素子200と同様であり、該発光層部24の第一主表面側に電流拡散層として機能するGaP基板70が貼り合わされ、第二主表面には導電性基板であるSi基板7が貼り合せ金属層10を介して貼り合わされている。GaP基板70は、発光層部24からの発光光束に対して透光性を有し、かつ、発光層部よりも導電率の高い化合物半導体からなる電流拡散用透光性導電基板をなす。本実施形態の発光素子300においては、GaP基板70はp型GaPからなり、例えば、液体封止型チョクラルスキー法にて引き上げ成長した単結晶インゴットをスライスして製造されたものであり、電流拡散層として機能させるため、p型クラッド層6よりも高濃度にp型ドーパント(例えばZn)がドーピングされている。GaP基板70の厚さは例えば50μmであり、p型クラッド層6側に、結合層であるGaInP層8を介して貼り合わされている。
Si基板7は、n型Si単結晶インゴットをスライス・研磨して製造されたものであり、その厚みは例えば100μm以上500μm以下である。また、貼り合わせ金属層10は全体がAu系層として構成され、発光層部24(化合物半導体層)と接する第一Au系層10aと、Si基板7と接する第二Au系層10bとが貼り合せ熱処理により貼り合わされたものである。なお、貼り合せ金属層はAu系金属の代わりにAg系金属にて構成してもよく、さらに、反射面RPの形成部分と残余部分とで金属の材質を異ならせてもよい。具体的には、反射面RPの形成部分を、反射率が良好な(あるいは波長依存性の小さい)AgあるいはAlで構成し、残余部分を貼り合わせの容易なAu系金属で構成することができる。また、本実施形態においては、発光層部24は主化合物半導体層と同一実態であるが、主化合物半導体層には、貼り合わせ金属層10側のGaAsバッファ層など、発光層部24に属さない別の化合物半導体層が含まれていてもよい。
発光層部24と、反射面RPをなす第一Au系層10aとの間には、AuGeNi合金(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)からなる接合合金化層32が形成されており、素子の直列抵抗低減に貢献している。接合合金化層32は、第一Au系層10aの主表面上に分散形成されている。また、GaP基板70の主表面の略中央には、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための光取り出し側電極(例えばAu電極)9が、AuGeNi合金からなる接合合金化層33を介して、該主表面の一部を覆うように形成されている。そして、GaP基板70の主表面における、光取り出し側電極9の周囲の領域は、発光層部24からの光取り出し領域をなす。また、Si基板7の裏面にはその全体を覆うように裏面電極(例えばAu電極である)15が形成されている。裏面電極15はAu電極であり、Si基板7との間にはAuSb合金からなる接合合金化層16が介挿されている。なお、接合合金化層16は、AuSb合金に代えてAuSn合金を用いてもよい。なお、発光素子100の通電極性は光取り出し側電極9側が正である。
以下、図9の発光素子300の製造方法について説明する。まず、図10の工程1に示すように、成長用基板をなすn型GaAs単結晶基板1の主表面に、GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、AlAsからなる剥離層3を例えば0.5μm、さらに、発光層部24として、n型クラッド層4、活性層(ノンドープ)5、及びp型クラッド層6を、この順序にてエピタキシャル成長させる。これら各層のエピタキシャル成長は、公知のMOVPE法により行なわれる。
具体的には、基板の配置された成長炉内を第一温度である600℃以上800℃以下(例えば700℃)に昇温し、ここに上記の原料ガス及びドーパントガスをキャリアガスとともに送り込むことにより層成長を実施できる。キャリアガスとしては水素ガスを使用することができる。発光層部24の層成長が終了すれば、p型クラッド層6の主表面をなす第一主表面上に、接合層をなすGaInP層8を形成する。
次に工程2に示すように、別途用意したp型GaP基板70の主表面中央にAuZnまたはAuBe層を形成する。この状態で、第二温度である250℃以上500℃以下、本実施形態では450℃(熱処理時間:180秒)にてシンター処理を行う。これにより、AuZnまたはAuBe層はGaP基板と合金化し、接合合金化層33となる。さらに、接合合金化層33を覆うようにAu蒸着し、光取り出し側電極9を形成する。
続いて工程3に示すように、工程2で接合合金層33と光取り出し側電極9とを形成したp型GaP基板70に光取り出し側電極9と接合金属層33とも貫通するように空隙を形成する。これは、ドリルまたは、超音波、レーザーマーカーなどを用いて行うことができる。なお、p型GaP基板70には、貼り合せ面(第二主表面)側から空隙を形成することもでき、この場合は、p型GaP基板70の一部を残す形で、光取り出し側電極9と接合金属層33を貫通しなくても同様な働きをする空隙を形成することができる。
次に工程4に示すようにGaInP層8上に、先の工程で接合金属層33と光取り出し側電極9、そして穴を形成したp型GaP単結晶基板70を重ね合わせ、例えば加圧しながら第三温度である350℃以上750℃以下、本実施形態では600℃にて熱処理することにより貼り合せる(第一の貼り合せ工程)。
次に、工程5に進み、上記の貼り合せ体を、例えば10%フッ酸水溶液からなるエッチング液に浸漬し、バッファ層2と発光層部24との間に形成したAlAs剥離層3を選択エッチングすることにより、GaAs単結晶基板1(発光層部24からの光に対して不透明である)を、発光層部24から剥離する。なお、AlAs剥離層3に代えてAlInPよりなるエッチストップ層を形成しておき、GaAsに対して選択エッチング性を有する第一エッチング液(例えばアンモニア/過酸化水素混合液)を用いてGaAs単結晶基板1をGaAsバッファ層2とともにエッチング除去し、次いでAlInPに対して選択エッチング性を有する第二エッチング液(例えば塩酸:Al酸化層除去用にフッ酸を添加してもよい)を用いてエッチストップ層をエッチング除去する工程を採用することもできる。
次に、図11の工程6に示すように、発光層部24の主表面に、金属層としてAuGeNi層を分散形成する。この状態で、第四温度である250℃以上500℃以下、本実施形態では450℃(熱処理時間:180秒)にてシンター処理を行う。これにより、AuGeNi層は発光層部24をなすAlGaInPと合金化し、接合合金化層32となる。続いて、工程7に示すように、接合合金化層32を覆うようにAu蒸着し、第一Au系層10aを形成する。さらに、別途用意したSi基板7(n型)の両方の主表面に基板側接合層となるAuSb接合層31,16(前述の通りAuSn接合層でもよい)を形成し、250℃以上359℃以下の温度域でシンター処理を行う。そして、AuSb接合層31上には第二Au系層10bを、AuSb接合層16上には裏面電極15(例えばAu系金属よりなるもの)をそれぞれ形成する。
そして、工程8に示すように、Si基板7側の第二Au系層10bを、発光層部24上に形成された第一Au系層10aに重ね合わせて圧迫して、第五温度である80℃以上360℃以下、本実施形態では200℃にて熱処理することにより、第一Au系層10aと第二Au系層10bとを貼り合せて一体化して貼り合せ金属層10とする(第二貼り合せ工程)。以下、通常の方法によりダイシングして半導体チップとし、これを支持体に固着してリード線のワイヤボンディング等を行った後、樹脂封止をすることにより最終的な発光素子が得られる。
図12にエッチストップ層を含む発光素子400を示す。前述と同様にn型GaAs単結晶基板1上に素子本体部60が形成されている。素子本体部60には、発光層部24とその上にエッチストップ層29、電流拡散層20とを含む。
エッチストップ層29として、AlGaPを、電流拡散層としてGaAsPを採用することができる。または、エッチストップ層29として、GaAsPを、電流拡散層としてAlGaPを採用することができる。電流拡散層20のほぼ中央には、光取り出し側電極9が形成されている。さらに光取り出し側電極9と電流拡散層20には、空隙が形成され、これが電流阻止層の働きをする。
本実施例において、基板1上にバッファ層2、発光層部24、エッチストップ層29、電流拡散層20をこの順で形成した後、フォトレジスト層(図示せず)を形成したのち公知のフォトリソグラフィー処理を行い、穴の形成された光取り出し側電極9を設ける。そして電流拡散層20としてAlGaPを採用した場合は、塩酸にて、またGaAsPを採用した場合には、硫酸あるいは硫酸と過酸化水素水との混合液を使用することにより、これらをエッチング処理し、空隙を形成することができる。このようにして電流阻止層となる空隙を形成することができる。
この素子に穴を形成し、電流阻止層(ブロック層)とする方法は、上記実施例に限られない。様々なタイプの発光素子に応用することができる。前述の方法にて、発光素子の空隙を形成することによって、電流を光取り出し側電極下に流れないようにし、光取り出し効率を上げることができる。
本発明の発光素子の第一実施形態を積層構造にて示す図。 本発明の発光素子の平面模式図。 本発明の発光素子の第二実施形態を積層構造にて示す図。 本発明の発光素子の第三実施形態を積層構造にて示す図。 本発明の発光素子の第四実施形態を積層構造にて示す図。 本発明の発光素子の第五実施形態を積層構造にて示す図。 第五の実施形態の発光素子の製造工程を示す図。 図7に続く製造工程を示す図。 本発明の発光素子の第六実施形態を積層構造にて示す図。 第六の実施形態の発光素子の製造工程を示す図。 図10に続く製造工程を示す図。 第七の実施形態の発光素子の製造工程を示す図。
符号の説明
1 基板
2 バッファ層
4 クラッド層
5 活性層
6 クラッド層
9 光取り出し側電極
15 裏面電極
20 電流拡散層
24 発光層部(化合物半導体層)
25 拡散防止層
32 接合合金層(コンタクト金属層)
60 素子本体部
70 p型GaP単結晶基板
CAV 空隙

Claims (12)

  1. 化合物半導体層からなる発光層部を有した素子本体部と、前記素子本体部の光取り出し面となる主表面を第一主表面として、該第一主表面の一部を覆うように形成された光取り出し側電極とを有する発光素子であって、
    前記素子本体部には、前記光取り出し面と平行な平面への投影において前記電極と重なる領域に、当該素子本体部を厚さ方向の全部又は一部区間にて切欠いた形態の空隙が形成されていることを特徴とする発光素子。
  2. 前記空隙は、前記光取り出し側電極下に形成された電流拡散層を貫く形態で形成されている請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記空隙は、前記素子本体部の前記第一主表面に設けられた前記光取り出し側電極を貫く形態で形成されている請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記素子本体部において、前記発光層部の第二主表面に基板が配置され、前記空隙は前記基板を貫く形態で形成されている請求項1に記載の発光素子。
  5. 前記基板の第二主表面が裏面電極にて覆われるとともに、前記空隙は前記裏面電極を貫く形態で形成されている請求項4に記載の発光素子。
  6. 前記素子本体部は、成長用基板の第一主表面にバッファ層を介して前記発光層部をエピタキシャル成長したものであり、該成長用基板の第二主表面が前記裏面電極で覆われてなり、前記空隙は、前記素子本体部の前記裏面電極と前記成長用基板と前記バッファ層とを貫く形態で形成されている請求項1に記載の発光素子。
  7. 前記空隙は、内径が30μm以上300μm以下の円状断面形態に形成されている請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光素子。
  8. 前記空隙の断面積が、前記光取り出し側電極の面積に対し、10%以上である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法であって、
    前記空隙を、機械加工、超音波加工またはレーザー加工のいずれかにて形成することを特徴とする発光素子の製造方法。
  10. 発光層部からの発光光束に対して透光性を有し、かつ、発光層部よりも導電率の高い化合物半導体からなる電流拡散用透光性導電基板の第一主表面に前記光取り出し面側電極を形成し、その光取り出し面側電極と前記電流拡散用透光性導電基板とに機械加工、超音波加工またはレーザー加工で前記空隙を形成する工程と、
    前記空隙を形成した前記電流拡散用透光性導電基板の第二主表面を、前記発光層部を含む化合物半導体層の第一主表面に貼り合わせる工程とを含む請求項9に記載の発光素子の製造方法。
  11. 前記機械加工は、ドリル加工によって行われる請求項9または請求項10に記載の発光素子の製造方法。
  12. 前記レーザー加工はレーザーマーカーによって行われる請求項9または請求項10に記載の発光素子の製造方法。
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