JP2006124297A - Il−18様ペプチド、その融合ペプチド、製造方法および用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】IL−18に対する活性阻害作用を有し、各種炎症性疾患の治療可能なペプチトドを提供する。
【解決手段】アトピー性皮膚炎などの炎症または免疫異常性疾患に関与しているIL−18の、その受容体との相互作用を制御・調節することが可能なIL−18様ペプチド、当該ペプチドを有効成分とする医薬組成物、生理活性阻害剤。ヒト抗IL−18抗体を用いてファージランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることを含む当該IL−18様ペプチドの製造方法。本発明のIL−18様ペプチドは アトピー性皮膚炎などの免疫異常性疾患に関与していると考えられるIL−18と、その受容体との相互作用を制御・調節することが可能であってIL−18活性阻害剤として有用であり、各種炎症性疾患へ提供が期待できる。
【選択図】図1
【解決手段】アトピー性皮膚炎などの炎症または免疫異常性疾患に関与しているIL−18の、その受容体との相互作用を制御・調節することが可能なIL−18様ペプチド、当該ペプチドを有効成分とする医薬組成物、生理活性阻害剤。ヒト抗IL−18抗体を用いてファージランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることを含む当該IL−18様ペプチドの製造方法。本発明のIL−18様ペプチドは アトピー性皮膚炎などの免疫異常性疾患に関与していると考えられるIL−18と、その受容体との相互作用を制御・調節することが可能であってIL−18活性阻害剤として有用であり、各種炎症性疾患へ提供が期待できる。
【選択図】図1
Description
本発明はIL−18シグナルを阻害する抗IL-18抗体と結合し得るIL−18様ペプチド、その製造方法ならびにその用途に関する。このペプチドは、IL−18が原因となって惹起される炎症、免疫異常性疾患の治療薬として期待される。
サイトカインIL−18(インターロイキン18)はインターフェロン−ガンマ(IFN-γ)誘導因子として発見されたが、その後IgE抗体が介在するアレルギー反応や、IgEが介在しないアトピー性皮膚炎や気管支喘息の悪性化の原因であること、またこの過剰産生が肝臓や腸管で重篤な臓器障害が起こることが明らかとなっている。また、このような疾患以外にも、様々な疾患において、IL−18の病態への指摘されている(非特許文献1)。
最近、受容体−リガンド系における相互作用部位を同定する手段として、ファージランダムペプチドライブラリーを用いたスクリーニング法が注目されている。これはファージの構成蛋白質であるp3分子をコードする遺伝子(ジーン3)にランダムなアミノ酸配列を有するペプチド分子をコードする遺伝子を挿入することにより、当該ペプチド分子を含んだ形のp3分子(ジーン3蛋白質とランダムなアミノ酸配列を有するペプチド分子との融合体。以下、G3P体とも呼ぶ)をM13ファージ(繊維状一本鎖DNAのファージ)上に発現させ、ファージランダムペプチドライブラリーを作成し、パンニング等で目的とするペプチド分子を発現しているファージをスクリーニングし、当該ファージのジーン3遺伝子部分の塩基配列解析を行って、相互作用部位を決定する方法である。
この方法を用いて、抗p53モノクローナル抗体によるp53分子上のエピトープの決定(ただし、p53と相同性が高い)、抗bEGF抗体によりスクリーニングされたbEGF類似体がbFGFとその受容体FGFR−1の結合を阻害したこと、あるいは抗アセチルコリン受容体エピトープ抗体と結合するペプチド配列の発見(当該受容体とは相同性がないが、アセチルコリンと結合するか否かは言及せず)等が報告されている。
また、本発明者らはこの手法をさらに発展させて、CTLA−4に関して、抗CTLA−4モノクローナル抗体を用いて、当該抗体が結合する標的分子の立体構造をアミノ酸の一次配列に依存せずに模倣する分子であり、且つ受容体−リガンドの相互作用を制御できるような分子を得る方法を開発した(非特許文献2、3)。
J. Exp. Med. 1994(4), 535-545, 2004 Nature biotech. 16, 267-270, 1998 J. Immunol. 161: 6622-6628, 1998
J. Exp. Med. 1994(4), 535-545, 2004 Nature biotech. 16, 267-270, 1998 J. Immunol. 161: 6622-6628, 1998
以上のように、IL−18の産生あるいは活性の制御は、このようなIL−18依存性のアトピー性皮膚炎の治療法として、あるいはIL−18の過剰産生が原因となり疾患の発症が誘導あるいは憎悪するTh1病の治療法として、極めて重要である。それゆえ、IL−18の生理活性を阻害するIL−18様ペプチドを開発することができれば、IL−18の関与する多くの疾患の有効な治療手段になることが期待される。
本発明は、生体反応を制御するレセプターとリガンドの結合によるシグナルの伝達を阻害し、かつ当該分子の立体構造を認識するモノクローナル抗体を用いて、ファージペプチドライブラリーより得られる、目的タンパク分子の3次構造を模倣したペプチド配列をもつ免疫制御分子が単離できるという本発明者らの知見(非特許文献2および3)に基づき、上述の課題を解決するために、より低分子のIL−18阻害剤としてM13ファージライブラリー(PhD-12およびPhD-C7, Biolabs. USA)を用いたペプチド開発を試み、数種の抗IL−18抗体結合ファージクローンを得ることに成功し、次いでそれらファージクローンに挿入されたペプチドは共通のアミノ酸配列部位を有することを見いだし、それらの知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は以下の1)〜9)の通りである。
1)IL−18シグナルを阻害する抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチド。
2)IL−18のアミノ酸配列と相同性のある上記1)記載のIL−18様ペプチド。
3)IL−18と立体構造が類似している、および/またはIL−18とその受容体との相互作用を制御・調節する上記1)または2)記載のIL−18様ペプチド。
1)IL−18シグナルを阻害する抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチド。
2)IL−18のアミノ酸配列と相同性のある上記1)記載のIL−18様ペプチド。
3)IL−18と立体構造が類似している、および/またはIL−18とその受容体との相互作用を制御・調節する上記1)または2)記載のIL−18様ペプチド。
4)9残基もしくは12残基のアミノ酸配列、または両端にシステインを有する7残基のアミノ酸配列を有するポリペプチドである上記1)記載のIL−18様ペプチド。
5)配列表配列番号1〜7のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドである上記1)記載のIL−18様ペプチド。
6)上記1)〜5)のいずれかに記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体。
5)配列表配列番号1〜7のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドである上記1)記載のIL−18様ペプチド。
6)上記1)〜5)のいずれかに記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体。
7)上記1)〜5)のいずれかに記載のIL−18様ペプチド、あるいは上記6)記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体を有効成分として含有してなる医薬組成物。
8)上記1)〜5)のいずれかに記載のIL−18様ペプチド、あるいは上記6)記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体を有効成分として含有してなる免疫疾患治療剤。
8)上記1)〜5)のいずれかに記載のIL−18様ペプチド、あるいは上記6)記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体を有効成分として含有してなる免疫疾患治療剤。
9)抗IL−18抗体を用いて、ファージランダムペプチドライブラリーをスクリーニングし、当該抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチドを発現しているファージクローンを単離することを特徴とする、抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチドの製造方法。
本発明のIL−18様ペプチドは、アトピー性皮膚炎などに密接に関与しているIL−18の、受容体との相互作用を制御・調節することが可能であり、生理活性阻害剤として有用である。免疫異常性疾患におけるIL−18の作用を考えると、本発明のIL−18様ペプチドは、各種炎症性の疾患に適用可能である。
本発明において抗IL−18抗体と結合するIL−18様ペプチドとは、抗IL−18抗体と結合する、IL−18と立体構造が非常によく類似している、IL−18のアミノ酸配列とは相同性がある、IL−18とその受容体との相互作用を制御・調節する、等の特徴を有するものである。9個もしくは12個のアミノ酸のアミノ酸からなるペプチドが例示される。
本発明のIL−18様ペプチドの具体例としては、配列表配列番号1(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−2ともいう)、配列表配列番号2(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−4ともいう)、配列表配列番号3(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−5ともいう)、配列表配列番号4(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−13ともいう)、配列表配列番号5(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−C7ともいう)、配列表配列番号6(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−C25ともいう)、配列表配列番号7(以下、当該アミノ酸配列からなるペプチドを、後述する由来ファージクローンに基づいて108−C27ともいう)、等のアミノ酸配列からなるペプチド分子等が挙げられる。尚、各アミノ酸配列中の各記号は前述の定義のとおりである。
本発明のIL−18様ペプチドは抗IL−18抗体と結合する為に必要な立体構造を保持した状態であればその使用形態は特に限定されず、何らかのキャリヤー上か、あるいは何らかの蛋白質に組み込まれた形態であるか、またはペプチド合成等により作成し得るペプチド単独の形態でも使用可能である。より具体的には前述の108−2、108−4、108−5、108−13、108−C7、108−C25、108−C27ならびにこれらのペプチドがジーン3蛋白質に組み込まれている態様であるG3P体(それぞれ108−2−G3P、108−4−G3P、108−5−G3P、108−13−G3P、108−C7−G3P、108−C25−G3P、108−C27−G3Pともいう。)等があげられる。当該ペプチドは、それぞれのアミノ酸配列情報に基づきその立体構造を保持した状態で使用し、当該立体構造が保持された範囲であれば当該アミノ酸配列を欠失、置換、付加または修飾させてもよい。
本発明のIL−18様ペプチドは、例えば、IL−18−受容体系に関与した分子間の結合を阻止し、且つIL−18の立体構造を認識することができる抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を用いて、108種類以上のランダムに並んだ少なくとも9個以上のアミノ酸を有するペプチド分子を提示する、ファージランダムペプチドライブラリーのスクリーニング、ファージクローンの選択、選択したファージクローンの回収、当該ファージからの精製といった一連の工程を行うことによって得ることができる。本発明のIL−18様ペプチドは、精製した状態のものの他、ペプチドがその表面に提示されたファージとしても使用可能である。
本発明において使用される抗IL−18抗体は、IL−18−受容体系に関与した分子間の結合を阻害する能力のある抗体であればどのような動物種の抗体でもよく、サブクラスやアイソタイプは限定されない。
ここで、コンフォメーショナルエピトープを認識する抗体とは、エピトープの立体構造を認識する抗体、すなわち、その抗体の抗原結合領域がカウンターパートの立体構造の鋳型となるような抗体をいう。具体的には免疫沈降反応等抗原がネイティブな状態であれば結合できるが、抗原が変性状態にある場合に結合できない抗体のことであり、例えば還元状態下でのウエスタンブロッティング法では抗原と結合できない抗体、またはエピトープの構成アミノ酸配列をもとに合成されたリニアなペプチドには結合できないような抗体等が挙げられる。
ここで、コンフォメーショナルエピトープを認識する抗体とは、エピトープの立体構造を認識する抗体、すなわち、その抗体の抗原結合領域がカウンターパートの立体構造の鋳型となるような抗体をいう。具体的には免疫沈降反応等抗原がネイティブな状態であれば結合できるが、抗原が変性状態にある場合に結合できない抗体のことであり、例えば還元状態下でのウエスタンブロッティング法では抗原と結合できない抗体、またはエピトープの構成アミノ酸配列をもとに合成されたリニアなペプチドには結合できないような抗体等が挙げられる。
本発明において使用される抗IL−18抗体の具体例としては、ヒト抗ヒトIL−18モノクローナル抗体(h18−108)が挙げられる(特願2003−125948号)。
当該h18−108はIL−18とその受容体との結合阻害活性を有する中和抗体であり、ヒト由来の抗体のFvドメインをリンカーペプチドでつないだ単鎖Fv(scFv)抗体(特願2003−125948号)のことである。
当該h18−108はIL−18とその受容体との結合阻害活性を有する中和抗体であり、ヒト由来の抗体のFvドメインをリンカーペプチドでつないだ単鎖Fv(scFv)抗体(特願2003−125948号)のことである。
ヒト抗ヒトIL−18抗体および該抗体フラグメントは、例えば特願2003−125948号に記載の方法に従って以下の方法よって作製することができる。
健常人の末梢血Bリンパ球よりmRNAを抽出し、免疫グロブリン遺伝子のVH鎖、VL鎖を、その両端を規定するプライマー対を用いてRT−PCR法により増幅し、多様な配列を有するH鎖、L鎖のV領域集団を得る。次に更にペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端を各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅して、H鎖、L鎖のV領域のランダムな組み合わせによる多様なscFv DNA集団を調製する。得られたscFvDNAをファージミドベクターpCANTAB5Eに組み込み、scFvディスプレイファージライブラリーを作製する。このライブラリーをプラスチックチューブに固相化したIL−18と反応させ、洗浄により未反応のscFvディスプレイファージを除去した後に、IL−18と結合しているscFvファージクローンを酸で溶出する。分離したファージクローンからscFv DNAを調製し、これを発現ベクターに組み込み、該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って培養して目的のscFv蛋白のみを得ることができる。
健常人の末梢血Bリンパ球よりmRNAを抽出し、免疫グロブリン遺伝子のVH鎖、VL鎖を、その両端を規定するプライマー対を用いてRT−PCR法により増幅し、多様な配列を有するH鎖、L鎖のV領域集団を得る。次に更にペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端を各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅して、H鎖、L鎖のV領域のランダムな組み合わせによる多様なscFv DNA集団を調製する。得られたscFvDNAをファージミドベクターpCANTAB5Eに組み込み、scFvディスプレイファージライブラリーを作製する。このライブラリーをプラスチックチューブに固相化したIL−18と反応させ、洗浄により未反応のscFvディスプレイファージを除去した後に、IL−18と結合しているscFvファージクローンを酸で溶出する。分離したファージクローンからscFv DNAを調製し、これを発現ベクターに組み込み、該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って培養して目的のscFv蛋白のみを得ることができる。
scFv DNAの発現方法としては、例えば、大腸菌で発現させることができる。大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列等、発現させるscFvを機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、lacZプロモーター、araBプロモーター等を挙げることができる。scFvの分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに発現させる場合、pelBシグナル配列(Lei, SP., et al. J. Bacteriol., 1987, 169: 4379-4383)を用いるとよい。培養上清中に分泌させるにはM13ファージのg3蛋白のシグナル配列を用いることもできる。
前記のように発現させたscFvは細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。ここで発現されるscFvは、そのC末端にE tag配列が付加されているので、抗E tag抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いて、容易に短時間で精製することができる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を組み合わせて精製することも可能である。例えば、限外濾過、塩析、ゲル濾過/イオン交換/疎水クロマト等のカラムクロマトグラフィーを組み合わせれば抗体を分離・精製することができる。
次に、本発明のIL−18様ペプチドの作製で使用するファージランダムペプチドライブラリーは、ファージ表面にランダムなアミノ酸配列を有するペプチド分子が提示されているものであれば、いかなる種類のファージベクターで構築されたものでも使用可能であり、具体的には公知の方法(サイエンス、249巻、386〜390頁、1990年発行。J.Mol.Biol.,248,p58〜78,1995年発行。Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,10638〜42および10643〜47,1993年発行。ネイチャー・バイオテクノロジー、16巻、278〜270頁、1998年発行等)によって作製され得る。ファージ表面に提示されるべく挿入される遺伝子は、9個もしくは12個のアミノ酸または両端にシステインを有する7個のアミノ酸からなるペプチド分子をコードするものが例示される。さらにランダムなアミノ酸配列を有するペプチド分子はファージの表面に提示されていれば、いかなるファージの構成蛋白質に挿入されていてもよい。例えば、ジーン3蛋白質(例えば、特2000−297098参照)あるいはジーン8蛋白質などに挿入されたものが好ましい。ジーン3蛋白質の場合、そのN末端のAlaとスペイサーであるGly-Gly-Gly-Serの間に9個もしくは12個のランダムに並んだアミノ酸からなるペプチド分子が挿入されているものならば当該挿入されたペプチド分子の両端に延びるアミノ酸配列が、その挿入ペプチド分子の三次構造に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
本発明のIL−18様ペプチドの製造方法は、前述の抗IL−18抗体を用いて、ファージランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることから開始する。スクリーニング法としては抗体をプレート上に固定化して使用する一般的なパンニング方法や、抗体を固定化したアフィニティーカラム法等を使用することができる。また、パンニング-ファージ回収-ファージの増殖-パンニングの工程を2回以上繰り返すことによって、目的のファージクローンを濃縮することができる。このようなスクリーニング法によって抗IL−18抗体に結合するペプチドをその表面に提示しているファージクローンを濃縮することができる。通常、このようにして得られたファージクローンは、抗体との結合力の差や保持されているアミノ酸配列の種類によって、いくつかのクローン集団に分類することができる。得られたファージクローンの遺伝子の塩基配列解析はジデオキシ法等の常法により簡単に行うことができる。
本発明のIL−18様ペプチドは、IL−18に対して負の制御を行うことができる。故にIL−18活性阻害剤として、また、アトピー性皮膚炎などの炎症、免疫異常性疾患等の予防および治療に対して有用である。
本発明の医薬組成物ならびにIL−18活性阻害剤は、有効成分である本発明のIL−18様ペプチドを、必要に応じて適宜の医薬的に許容される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)等の製薬上必要な成分と混合し、軟膏として皮膚に塗布、または粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤等の態様にて経口的に、あるいは注射剤等の態様にて非経口的に投与することができる。投与量は有効成分の種類(ペプチドの種類)、投与ルート、患者の病状および疾患の種類、体重、年齢、性別等に応じて適宜増減できるが、一般的には成人1日当たりペプチドの量で0.001〜1000mgを、1日1回乃至数回に分けて塗布、あるいは投与するのが望ましい。
本発明の医薬組成物ならびにIL−18活性阻害剤は、有効成分である本発明のIL−18様ペプチドを、必要に応じて適宜の医薬的に許容される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)等の製薬上必要な成分と混合し、軟膏として皮膚に塗布、または粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤等の態様にて経口的に、あるいは注射剤等の態様にて非経口的に投与することができる。投与量は有効成分の種類(ペプチドの種類)、投与ルート、患者の病状および疾患の種類、体重、年齢、性別等に応じて適宜増減できるが、一般的には成人1日当たりペプチドの量で0.001〜1000mgを、1日1回乃至数回に分けて塗布、あるいは投与するのが望ましい。
本発明をより詳細に説明するために、参考例、実施例および実験例を以下に挙げるが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
参考例1
(健常者からのファージライブラリーの構築)
ファージライブラリーの構築は、J. D. Marksら(J. Mol. Biol., 222: 581-597, 1991)により報告されている方法を参考に、健常者20名由来末梢血由来リンパ球を出発材料に、構築した。構築したVH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλの各サブライブラリーはそれぞれ1.1×106、2.1×108、8.4×107、5.3×107クローンの多様性を有すると評価された。
参考例1
(健常者からのファージライブラリーの構築)
ファージライブラリーの構築は、J. D. Marksら(J. Mol. Biol., 222: 581-597, 1991)により報告されている方法を参考に、健常者20名由来末梢血由来リンパ球を出発材料に、構築した。構築したVH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλの各サブライブラリーはそれぞれ1.1×106、2.1×108、8.4×107、5.3×107クローンの多様性を有すると評価された。
参考例2
(パンニング)
ヒトIL―18は0.1M NaHCO3 1mLに溶解し、35mmのディシュ(岩城)に4℃で一晩反応させて固定化した。0.5%ゼラチン/PBSを用いて20℃で2時間ブロッキングした後、0.1%Tween20 PBSで6回洗浄した。これに健常人由来の抗体ファージライブラリー(一本鎖抗体提示ファージ液)を0.9mL(1x1012tu/mL)加え、反応させた。
(パンニング)
ヒトIL―18は0.1M NaHCO3 1mLに溶解し、35mmのディシュ(岩城)に4℃で一晩反応させて固定化した。0.5%ゼラチン/PBSを用いて20℃で2時間ブロッキングした後、0.1%Tween20 PBSで6回洗浄した。これに健常人由来の抗体ファージライブラリー(一本鎖抗体提示ファージ液)を0.9mL(1x1012tu/mL)加え、反応させた。
0.1%Tween20−PBSで10回洗浄した後、1.0mLのグリシン緩衝液(pH2.2)を加え、IL−18と結合する一本鎖抗体提示ファージを溶出させた。溶出したファージは1M Tris (hydroxymethyl)aminomethane-HCL、pH9.1を加えてpHを調整した後、対数増殖期の大腸菌TG1に感染させた。感染後のTG1は3000×g、10分で遠心分離して、上清を除き、200μLの2×YT培地で懸濁し、SOBAGプレート(2%グルコース、100μg/mLのアンピシリン含有SOBプレート)に播き、30℃のふ卵器中で一晩培養した。生じたコロニーは適量の2×YT培地を加えスクレイバー(Costar)を使って懸濁、回収した。
このTG1液50μLを、30mLの2×YTAG培地に植え、ヘルパーファージを用いてレスキューし、スクリーニング後のファージライブラリーを調製した。健常人由来ファージライブラリーVH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλ、それぞれについて前述のIL−18固定化プレートを用いてパンニングを計4回行った。4回目のパンニング後に、SOBAGプレートから任意にクローンを抽出し、scFvの発現の確認およびIL−18ELISAによる特異性の確認と塩基配列の解析を行った、
参考例3
(スクリーニングIL−18 ELISA)
分離したクローンのスクリーニングのためのELISAは以下のように行った。ヒトIL−18およびヒトMIP−1αをELISAプレートに固定化してスクリーニングに用いた。2μg/mLのヒトIL−18あるいはヒトMIP−1α 2.5μg/mLのヒト血清アルブミン(HSA)を40μL/well ELISAプレート(Nune)に入れ、4℃で16時間静置し、固定化した。固定化プレートは、0.5%BSA、0.5%ゼラチンおよび5℃スキムミルクを含むPBS400μL/wellをELISAプレートに入れ、4℃で2時間静置し、ブロッキングを行った。
参考例3
(スクリーニングIL−18 ELISA)
分離したクローンのスクリーニングのためのELISAは以下のように行った。ヒトIL−18およびヒトMIP−1αをELISAプレートに固定化してスクリーニングに用いた。2μg/mLのヒトIL−18あるいはヒトMIP−1α 2.5μg/mLのヒト血清アルブミン(HSA)を40μL/well ELISAプレート(Nune)に入れ、4℃で16時間静置し、固定化した。固定化プレートは、0.5%BSA、0.5%ゼラチンおよび5℃スキムミルクを含むPBS400μL/wellをELISAプレートに入れ、4℃で2時間静置し、ブロッキングを行った。
scFv提示ファージを含む試料液を40μL/wellを入れて反応させた後、試料液を捨て洗浄液で5回洗った。ビオチン標識した抗M13モノクローナル抗体(Pharmacia biotech)と反応させ、アルカリフォスファターゼ(AP)標識した抗マウスIgG抗体と反応させた。洗浄液で5回洗った後、発色基質液[(1g/mL p-nitrophenyl phoophato)(Wako)、10%ジエタノールアミン(Wako)を含むPBS溶液]を50μL/well入れ、遮光し、室温〜37℃で、5〜10分発色させた。マルチプレートオートリーダーNj−2001(Inter Med)で405nmの吸光度を測定した結果、評価したクローン全てが、IL−18に特異的であることが確認できた。
参考例4
(ヒト由来抗IL−18 scFvの発現と精製)
前記参考例2、3で単離したヒトIL−18に反応するscFvクローン#10からプラスミドDNAを回収して、常法に従って大腸菌HB1251を形質転換した。2%グルコースを含む2×YT培地でこれらの大腸菌を一夜前培養後、グルコースフリーの2×YT培地に一部移植し、終濃度1mL IPTGを加えて更に一夜培養してscFvの発現誘導を行った。培養終了後菌体を遠心回収し、1mL EDTAを含むPBSに懸濁して氷中に30分菌体を放置した。次いで8,900×gで30分間遠心し、上清を回収して0.45μmフィルター濾過後、ペリプラズム画分からのscFvの精製出発材料とした。
(ヒト由来抗IL−18 scFvの発現と精製)
前記参考例2、3で単離したヒトIL−18に反応するscFvクローン#10からプラスミドDNAを回収して、常法に従って大腸菌HB1251を形質転換した。2%グルコースを含む2×YT培地でこれらの大腸菌を一夜前培養後、グルコースフリーの2×YT培地に一部移植し、終濃度1mL IPTGを加えて更に一夜培養してscFvの発現誘導を行った。培養終了後菌体を遠心回収し、1mL EDTAを含むPBSに懸濁して氷中に30分菌体を放置した。次いで8,900×gで30分間遠心し、上清を回収して0.45μmフィルター濾過後、ペリプラズム画分からのscFvの精製出発材料とした。
このようにして調製した精製の出発材料を、抗Etag抗体を用いたアフニィーティークロマトグラフィーで常法に従って精製した。PBSで透析後、エンドトキシン除去カラム Dotoxi−gel(PIERCE社)で添付のプロトコルに従いエンドトキンを除去した。分子量カット10,000のCentricon (Amicon 社)で濃縮後、0.45μmフィルター濾過して精製標品とした。
実施例1
(1)ファージ・デイスプレイ・ライブラリーは市販のものを使用した(NEB社;Ph.D.-C7CおよびPh.D.-12)。マイクロパンニングは福本らの報告(ネイチャー・バイオテクノロジー、16巻、278〜270頁、1998年発行)に準じて行った。
(1)ファージ・デイスプレイ・ライブラリーは市販のものを使用した(NEB社;Ph.D.-C7CおよびPh.D.-12)。マイクロパンニングは福本らの報告(ネイチャー・バイオテクノロジー、16巻、278〜270頁、1998年発行)に準じて行った。
続いて、上記の参考例に従って得た抗ヒトIL−18モノクローナル抗体(h18−108)を用いて、ファージランダムペプチドライブラリーのパンニングを行った。当該抗IL−18抗体はファージを選択するための鋳型として使用した。ライブラリーをスクリーニングして、抗IL−18抗体に結合するファージクローンを単離した。
抗IL−18抗体をイムノチューブ(ヌンク社製)に10μgコーテイングしたものに、先で調製したファージライブラリー〔5×1012Transducing Unit(以下、TU)〕を室温で1時間反応させた(パンニング)。未結合のファージを、0.5%トゥイーン20を含むトリス塩酸緩衝生理食塩液(TBS;50mMトリス塩酸、0.15M塩化ナトリウム含有、pH7.5)で洗浄後に、0.1N塩酸−グリシン緩衝液(pH2.2)を用いて、各種抗IL−18抗体と結合したファージを溶出した。回収後に1Mトリス塩酸(pH9.1)で中和した。得られたファージを大腸菌ER2738に感染・増殖させた。パンニングに用いる各種抗IL−18抗体量を5μgに減し同じ操作を繰り返し、より強く特異的に抗IL−18抗体と結合するファージクローンを選別した。パンニングは前述の2種類のライブラリーを用いて別々に行った。
抗IL−18抗体をイムノチューブ(ヌンク社製)に10μgコーテイングしたものに、先で調製したファージライブラリー〔5×1012Transducing Unit(以下、TU)〕を室温で1時間反応させた(パンニング)。未結合のファージを、0.5%トゥイーン20を含むトリス塩酸緩衝生理食塩液(TBS;50mMトリス塩酸、0.15M塩化ナトリウム含有、pH7.5)で洗浄後に、0.1N塩酸−グリシン緩衝液(pH2.2)を用いて、各種抗IL−18抗体と結合したファージを溶出した。回収後に1Mトリス塩酸(pH9.1)で中和した。得られたファージを大腸菌ER2738に感染・増殖させた。パンニングに用いる各種抗IL−18抗体量を5μgに減し同じ操作を繰り返し、より強く特異的に抗IL−18抗体と結合するファージクローンを選別した。パンニングは前述の2種類のライブラリーを用いて別々に行った。
それぞれのパンニングで得られたファージクローンについてELISA法による一次スクリーニングを行った。抗E−tag抗体80ng/40μl/穴をコートしたELISA用プレート(ヌンク社製)を0.5%BSAでコートした後、抗IL−18抗体 100ng/80μl/穴を反応させた。0.1%トウイーン20を含むPBSでプレートを洗浄し、各種ファージクローン8×1010ビリオン/40μl/穴およびビオチン化抗M13モノクローナル抗体(ファルマシア社製)を添加した。10000分の1に希釈したアルカリフォスファターゼ(AP)標識ストレプトアビジン(ベクターラボ社製)を室温で1時間反応させ、洗浄後に基質であるp-ニトロフェニルリン酸ナトリウム6水和物(和光純薬)を添加し、405nmにおける吸光度を測定した。7個のクローンが抗IL−18抗体と特異的に結合した。
(2) パンニングにより選択したファージに挿入されているDNAの配列解析ジーン3蛋白質に組み込まれた各種ペプチドのDNA配列をDNAシークエンサー(Applied Biosystems社)を用いて解析した。プライマーとして、配列表配列番号8の塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを用いた。
その結果、ジーン3蛋白質のアミノ酸配列のN末端のAlaとスペイサーであるGly-Gly-Gly-Serの間に挿入されているペプチドは、すべて異なったアミノ酸配列を有しており、配列表配列番号1、配列表配列番号2、配列表配列番号3、配列表配列番号4、配列表配列番号5、配列表配列番号6、配列表配列番号7で示される7種類に分類できた。
その結果、ジーン3蛋白質のアミノ酸配列のN末端のAlaとスペイサーであるGly-Gly-Gly-Serの間に挿入されているペプチドは、すべて異なったアミノ酸配列を有しており、配列表配列番号1、配列表配列番号2、配列表配列番号3、配列表配列番号4、配列表配列番号5、配列表配列番号6、配列表配列番号7で示される7種類に分類できた。
同定された7種類のペプチドのアミノ酸配列には明確な共通配列が保存されていた。さらにCLUSTAL W ver. 3.1によりこれらのペプチドとIL−18とのホモロジー検索を行った結果、一次配列に顕著な類似性を示した。
実験例1
抗IL−18抗体(h18-108)、および抗原特異性が未知の抗体(scFv:m18-92)を標品として用いて、実施例1で得られたファージクローンとの反応性を確認した。分析は実施例1のELISA法によった。その結果、いずれのクローンとも抗IL−18抗体と特異的に結合し、m18-92抗体とは反応しなかった。結果を図1に示す。
実験例1
抗IL−18抗体(h18-108)、および抗原特異性が未知の抗体(scFv:m18-92)を標品として用いて、実施例1で得られたファージクローンとの反応性を確認した。分析は実施例1のELISA法によった。その結果、いずれのクローンとも抗IL−18抗体と特異的に結合し、m18-92抗体とは反応しなかった。結果を図1に示す。
本発明のIL−18様ペプチドは、IL−18活性阻害剤として、またアトピー性皮膚炎などの炎症性疾患、免疫異常疾患等の予防および治療に有用である。
Claims (9)
- IL−18シグナルを阻害する抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチ。
- IL−18のアミノ酸配列と相同性のある請求項1記載のIL−18様ペプチド。
- IL−18と立体構造が類似している、および/または、IL−18とその受容体との相互作用を制御・調節する請求項1または2記載のIL−18様ペプチド。
- 9残基もしくは12残基のアミノ酸配列、または両端にシステインを有する7残基のアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項1記載のIL−18様ペプチド。
- 配列表配列番号(1)〜(7)のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項1記載のIL−18様ペプチド。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のIL−18様ペプチド、あるいは請求項6記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体を有効成分として含有してなる医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のIL−18様ペプチド、あるいは請求項6記載のIL−18様ペプチドとジーン3蛋白質との融合体を有効成分として含有する免疫疾患治療剤。
- 抗IL−18抗体を用いて、ファージランダムペプチドライブラリーをスクリーニングし、当該抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチドを発現しているファージクローンを単離することを特徴とする、抗IL−18抗体と結合し得るIL−18様ペプチドの製造方法。
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WO2017099222A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | 国立大学法人京都大学 | インターロイキン-18活性阻害剤 |
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2004
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