本発明の画像処理装置は、画像データユニットに係る画像を複数の領域に区分する境界線の位置情報を記憶する境界線位置記憶手段と、前記境界線が前記画像内において移動するように、前記境界線位置記憶手段が記憶している前記境界線の位置情報を変更する位置情報変更手段と、前記画像データユニットを、前記複数の領域の各々に対応した複数の部分画像データユニットに分割する分割手段とを備えている。
本明細書において、「画像データユニット」とは、「画像に関するデータファイル」、または、「(データファイルが作成される前の)画像情報を構成するデータの集合」を意味する。
この構成によると、位置情報変更手段によって、境界線位置記憶手段に記憶されている境界線の位置情報を高い自由度で変更することが可能となる。したがって、各部分画像データユニットに基づいて各領域の画像をプリントするポスタプリントを行った場合に、見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記画像データユニットに係る前記画像の主要部を検出する主要部検出手段をさらに備えており、前記位置情報変更手段は、前記主要部検出手段が検出した前記主要部を前記境界線が横切らないように、前記境界線位置記憶手段が記憶している前記境界線の位置情報を変更するのが好ましい。この構成によると、主要部が異なる領域に区分されることがなくなる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、確実に見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記主要部検出手段が、人間の顔を前記画像内の前記主要部として検出してもよい。この構成によると、人間の顔が異なる領域に区分されることがなくなる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、確実に見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記主要部検出手段が、人間の目を前記画像内の前記主要部として検出してもよい。この構成によると、人間の目が異なる領域に区分されることがなくなる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、確実に見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記画像データユニットに係る前記画像において前記主要部が有する特徴を記憶する特徴記憶手段と、入力デバイスからの信号に基づいて、前記特徴記憶手段に記憶された前記特徴を書き換える特徴書換手段とをさらに備えていてもよい。この構成によると、オペレータが入力デバイスから指示を入力することによって、特徴記憶手段に記憶されている主要部の特徴を書き換えることができる。したがって、オペレータの意思により、何を画像の主要部とするかを任意に変更することができる。
本発明の画像処理装置は、前記位置情報変更手段が、入力デバイスからの信号に基づいて、前記境界線位置記憶手段が記憶している前記境界線の位置情報を微調整してもよい。この構成によると、オペレータが入力デバイスから指示を入力することによって、境界線の位置情報を微調整することができる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、さらに見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記位置情報変更手段が、入力デバイスからの信号に基づいて、前記境界線位置記憶手段が記憶している前記境界線の位置情報を変更してもよい。この構成によると、オペレータが入力デバイスから指示を入力することによって、境界線の位置情報を変更することができる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、オペレータの意に即した見易い画像を得ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記分割手段が前記画像データユニットを分割することによって得られた前記複数の部分画像データユニットの各々に関するプリントの要否情報を記憶するプリント要否記憶手段と、入力デバイスからの信号に基づいて、前記プリント要否記憶手段に記憶されたプリントの要否情報を書き換える要否情報書換手段とをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、要否情報書換手段によって、プリント要否記憶手段に記憶されたプリントの要否情報を書き換えることで、複数の領域に区分された画像のうち、必要な領域のみをプリントすることができる。
本発明の画像処理装置は、前記画像の上限プリントサイズを記憶するプリントサイズ記憶手段と、前記画像の拡大率を記憶する拡大率記憶手段と、前記拡大率記憶手段に記憶された拡大率に基づいて、前記複数の領域のうちに、前記プリントサイズ記憶手段に記憶された上限プリントサイズを超えるものがあるか否かを判断するサイズ判断手段とをさらに備えていてもよい。この構成によると、複数に区分された画像の領域が、上限プリントサイズを超えており、プリントされない部分が生じてしまうのを防ぐことができる。
本発明の画像処理装置は、前記プリントサイズ記憶手段が、前記画像がプリントされる用紙のサイズを記憶していてもよい。この構成によると、複数に区分された画像の各領域のプリントサイズが用紙サイズを超えており、プリントされない部分が生じてしまうのを防ぐことができる。
本発明の画像処理装置は、前記プリントサイズ記憶手段に記憶された上限プリントサイズを超える前記領域があると前記サイズ判断手段が判断した場合に、その旨を通知するための通知信号を生成する通知信号生成手段をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、通知信号生成手段によって生成された通知信号により、オペレータは、上限プリントサイズを超える領域があることを知ることができる。したがって、オペレータは、上限プリントサイズを超える領域がなくなるように、位置情報を変更することができる。
本発明の画像処理装置は、前記プリントサイズ記憶手段に記憶された上限プリントサイズを超える前記領域があると前記サイズ判断手段が判断した場合に、前記プリントサイズ記憶手段に記憶された上限プリントサイズを超える前記領域がなくなるように、前記位置情報変更手段が前記位置情報を変更してもよい。この構成によると、位置情報変更手段が、上限プリントサイズを超える領域がなくなるように、位置情報を変更するので、効率よく位置情報の変更を行うことができる。
本発明の画像処理装置は、前記複数の領域の各々についてプリント方向を記憶するプリント方向記憶手段と、前記複数の領域の各々が当該領域について前記プリント方向記憶手段に記憶されたプリント方向にプリント可能であるか否かを判断するプリント判断手段と、前記プリント方向記憶手段に記憶されたプリント方向にプリント不可能であると前記プリント判断手段によって判断された前記領域について、前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向を現在と直交する方向に書き換えるプリント方向書換手段とをさらに備えていてもよい。この構成によると、プリント不可能な方向にプリントを行い、プリントされない部分が生じてしまうのを防ぐことができる。
本発明の画像処理装置は、前記複数の領域の各々についてプリント方向を記憶するプリント方向記憶手段と、前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向を書き換えるプリント方向書換手段と、前記複数の領域のうち前記プリント方向記憶手段に記憶されたプリント方向が共通であり且つ互いに隣接した複数の第1の隣接領域を、これら第1の隣接領域について前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向に沿ってプリントしたときと、前記複数の第1の隣接領域の全体をこれら第1の隣接領域について前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向に直交する前記境界線で区分することによって得られた複数の第2の隣接領域を、前記第1の隣接領域について前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向と直交する方向に沿ってプリントしたときとで、いずれがプリント方向合計長さが短いかを判断する合計長さ判断手段とをさらに備えた画像処理装置であってもよい。そして、前記第1の隣接領域について前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向に直交する方向に沿って前記複数の第2の隣接領域をプリントしたときの方が合計長さが短いと前記合計長さ判断手段が判断した場合に、前記位置情報変更手段が、前記複数の第1の隣接領域の代わりに前記複数の第2の隣接領域が形成されるように前記境界線位置記憶手段が記憶している前記境界線の位置情報を変更すると共に、前記プリント方向書換手段が、前記複数の第2の隣接領域についての前記プリント方向を前記第1の隣接領域について前記プリント方向記憶手段に記憶された前記プリント方向と直交する方向とすることが好ましい。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るコントローラを備えた写真処理装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態の写真処理装置1は、スキャナ10と、コントローラ20と、プリンタ30と、プロセッサ40と、仕上げ処理部50と、インターフェイス部60とを有している。
スキャナ10では、主に現像済みの写真フィルムに記録されたコマ画像の読み取り処理が行われる。スキャナ部10は、フィルムが装着されるフィルム装着ユニット11と、スキャニング時にフィルムを照射する光源が収納されたスキャナ光源ユニット12とを有している。また、フィルム装着ユニット11の下方にはフィルム画像を撮像するためのCCDなどの撮像素子(図示せず)がライン状に配置されている。そして、撮像素子から出力される画像信号は、図示しないA/Dコンバータでデジタル信号に変換された後に、画像データファイルとしてコントローラ20に供給される。
コントローラ20は、図2に示すように、記憶部23と、ポスタプリント制御部24とを有している。また、コントローラ20には、CD−R(Compact Disc-Recordable:1度だけ書き込み可能な追記型CD)やFDなどの各種記録媒体に対してデータの読み書きを行うドライブ29が設けられており、記録媒体から画像データファイルを取得することができる。
記憶部23は、入力画像記憶部23a、境界線位置記憶部23b、特徴記憶部23c、プリント要否記憶部23d、プリントサイズ記憶部23e、拡大率記憶部23f、プリント方向記憶部23g、および拡大画像記憶部23hを備えている。
入力画像記憶部23aは、スキャナ10またはドライブ29から取得した画像データファイルを記憶する。境界線位置記憶部23bは、入力画像記憶部23aに記憶されている画像データファイルに係る画像(以降、単に「入力画像」と称する)を複数の領域に区分する境界線の位置情報が記憶される。そして、この位置情報は、後述する位置情報変更部24aによって変更することができる。なお、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線によって複数の領域に区分された入力画像が、後述するディスプレイ61に表示される。
特徴記憶部23cは、入力画像の主要部が有する特徴を記憶する。本実施の形態では、主要部として人間の顔及び目が有する特徴があらかじめ記憶されている。なお、この主要部が有する特徴は、後述する特徴書換部24dによって書き換えることができる。プリント要否記憶部23dは、入力画像記憶部23aに記憶されている画像データファイルを、後述する分割部24bによって分割した、複数の部分画像データファイルの各々に関するプリントの要否情報を記憶する。本実施の形態では、初期状態において全ての部分画像データファイルがプリントされるように記憶されており、プリント不要な部分画像データファイルがある場合には、後述する要否情報書換部24eによってプリントの要否情報を書き換えることができる。
プリントサイズ記憶部23eは、入力画像の1つの領域をプリントする際の上限プリントサイズを記憶する。本実施の形態では、後述するように、巻回された長尺の印画紙71に対してプリントを行うので、1つの領域をプリントする際の印画紙71の搬送方向(プリント方向)と直交する方向に沿う上限のサイズである上限プリント幅は、印画紙71の搬送方向と直交する方向の長さ(印画紙幅)と等しくなる。また、搬送方向に沿う上限のサイズである上限プリント長さは、拡大画像記憶部23hの容量によって決まる。なお、上限プリント長さは上限プリント幅よりも長い。拡大率記憶部23fは、後述するキーボード62やマウス63からなる指示入力装置からオペレータによって入力された入力画像の拡大率を記憶する。なお、本実施の形態では、入力画像の縦方向及び横方向の拡大率は互いに等しいとする。
プリント方向記憶部23gは、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線で区分された複数の領域の各々についてプリント方向を記憶する。このプリント方向は、後述するプリント方向書換部24hによって書き換えることができる。拡大画像記憶部23hは、後述する画像拡大部24jによって拡大された入力画像の画像データファイルを記憶する。なお、拡大画像記憶部23hには、1つの領域に対応する画像データファイルが記憶される。そして、この拡大画像記憶部23hに記憶された画像データファイルに基づいて、プリンタ30において1つの領域に対応する画像がプリントされる。
ポスタプリント制御部24は、位置情報変更部24a、分割部24b、主要部検出部24c、特徴書換部24d、要否情報書換部24e、サイズ判断部24f、プリント判断部24g、プリント方向書換部24h、合計長さ判断部24i、および画像拡大部24jを備えている。
位置情報変更部24aは、上述の境界線位置記憶部23bに記憶されている複数の領域に区分された入力画像の境界線の位置情報を変更することができる。詳細には、位置情報変更部24aは、主要部検出部24cによって検出された主要部を境界線が横切らないように境界線の位置情報を変更する。また、位置情報変更部24aは、後で詳述するサイズ判断部24fによって、上限プリントサイズを超える領域があると判断された場合に、上限プリントサイズを超える領域がなくなるように境界線の位置情報を変更する。さらに、位置情報変更部24aは、オペレータが後述するディスプレイ61に表示された複数の領域に区分された入力画像を確認し、指示入力装置によって境界線の位置を操作した場合に、境界線の位置情報を変更する。
分割部24bは、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線で区分された複数の領域にそれぞれ対応するように、入力画像記憶部23aに記憶されている画像データファイルを、複数の部分画像データファイルに分割する。
主要部検出部24cは、上述の特徴記憶部23cに記憶された主要部の特徴に基づいて、入力画像の主要部を検出する。なお、本実施の形態の特徴記憶部23cには、上述したように、主要部として人間の顔及び目が有する特徴があらかじめ記憶されているので、主要部検出部24cでは、人間の顔及び目を検出することができる。そして、本実施の形態では、先ず顔を検出し、検出された顔の拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率で拡大された大きさが、上限プリントサイズを超える場合には、さらに目を検出する。特徴書換部24dは、指示入力装置からオペレータにより入力された書換指示に基づいて、上述の特徴記憶部23cに記憶されている主要部の特徴を書き換えることができる。
要否情報書換部24eは、上述のプリント要否記憶部23dに記憶されているプリント要否情報を書き換えることができる。具体的には、オペレータが、後述するディスプレイ61に表示された複数の領域に区分された入力画像を確認し、プリント不要な領域がある場合には、その領域のプリントを解除する指示を指示入力装置から入力する。このとき、要否情報書換部24eは、オペレータの指示に基づいて、プリント不要な領域に対応する部分画像データファイルがプリントされないようにプリントの要否情報を書き換える。
サイズ判断部24fは、上述の拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率に基づいて拡大された入力画像の各領域の中に、上述のプリントサイズ記憶部23eに記憶されている上限プリントサイズを超えるものがあるかどうかを判断する。
プリント判断部24gは、入力画像の複数の領域の各々について、上述のプリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向にプリント可能であるかどうかを判断する。具体的には、領域におけるプリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向と直交する方向の長さが、上限プリント幅である印画紙71の幅を超える場合には、プリント不可能と判断される。プリント方向書換部24hは、上述のプリント判断部24gによってプリント不可能と判断された領域について、上述のプリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向を現在と直交する方向に書き換える。
合計長さ判断部24iは、入力画像の複数の領域の中で、主要部(拡大された顔の大きさが上限プリントサイズを超えない場合には顔、上限プリントサイズを超える場合には目)が含まれる領域を除く領域のうち、上述のプリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向が共通であり、且つ互いに隣接した複数の第1の隣接領域を、これら第1の隣接領域のプリント方向に沿ってプリントした場合と、複数の第1の隣接領域の全体を第1の隣接領域のプリント方向と直交する境界線で区分することによって得られた複数の第2の隣接領域を、第1の隣接領域のプリント領域と直交する方向に沿ってプリントした場合とで、いずれがプリント方向の合計長さが短いかを判断する。
画像拡大部24jは、上述する拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率に基づいて、画像を拡大する。具体的には、画像拡大部24jは、画像を拡大する際に必要な元画像には存在しない画素を、補間法によって算出する。本実施の形態では、周囲の16ヶ所の画素から3次元関数を用いて補間を行っている。
プリンタ30では、拡大画像記憶部23hに記憶されている画像データファイルに基づいて、感光材料である印画紙71に対して露光処理が施される。プリンタ30は、巻回された長尺の印画紙71をそれぞれ収納する2つのペーパーマガジン31a、31bと、ペーパーマガジン31a、31bから印画紙71を引き出すアドバンスユニット32と、ペーパーマガジン31a、31bから引き出された所定幅を有する印画紙71を幅方向に沿ってプリントサイズに応じた所望の長さに切断するカッター33と、印画紙71の感光乳剤層が形成されていない面(裏面)に境界線の位置情報等の所望の情報を印字するための印字ユニット34と、所望の長さに切断された印画紙71を露光位置の前段にまで2〜3列で並列搬送するチャッカ35と、印画紙71に露光処理を施すための露光ユニット36と、印画紙71を搬送するための複数の搬送ローラ対38a〜38eと、搬送ローラ対38a〜38eを駆動するためのモータ39とを有している。
プロセッサ40では、露光処理済みの印画紙71に対して現像、漂白定着、安定化などの処理が施される。プロセッサ40は、プリンタ30から供給された印画紙71に対する現像、漂白定着、安定化の各処理を施すための処理槽41a〜41fと、処理槽41a〜41fに蓄えられた処理液の廃液および補充液のタンク42a〜42dと、印画紙71を搬送するための複数のローラ対43と、ローラ対43を駆動するためのモータ(図示せず)とを有している。
仕上げ処理部50では、プロセッサ40から排出された画像が顕在化した印画紙71に対して乾燥処理が施され、さらに排出口72から排出された印画紙71がオーダーごとに仕分けられる。仕上げ処理部50は、プロセッサ40から排出された印画紙71を迅速に乾燥させるためのヒータ51と、印画紙71を搬送するための複数のローラ対52と、ローラ対52を駆動するためのモータ(図示せず)とを有している。印画紙71は、ローラ対52によって搬送されて、仕上がりプリントとして排出口72から排出される。
インターフェイス部60では、写真処理装置1とそれを操作するオペレータとの間の情報のやり取りが行われる。インターフェイス部60は、その表示画面61aに写真処理装置1に関する様々な情報を表示してオペレータに告知するディスプレイ61と、オペレータが写真処理装置1に対して指示を与えるキーボード62やマウス63(図2参照)からなる指示入力装置とを有している。
次に、ポスタプリントする際の手順について説明する。図3A、図3Bは、ポスタプリントの手順を示すフローチャートである。本実施の形態では、ドライブ29またはスキャナ10から供給され、入力画像記憶部23aに記憶されている画像データファイルに係る、図4に示すような画像80を、拡大率記憶部23に記憶されている拡大率で拡大し、ポスタプリントを行う際の手順について説明する。
先ず、拡大率記憶部23に記憶されている拡大率に即したデフォルト位置を、境界線の位置情報として境界線位置記憶部23bに記憶する(ステップS101)。このとき、本実施の形態では、図5に示すように、画像80が右上部分、右下部分、左上部分、左下部分にそれぞれ対応する四つの領域81a〜81dに区分されるような境界線の位置情報が記憶されている。次に、主要部検出部24cが、特徴記憶部23cに記憶されている人間の顔の特徴に基づいて、画像80から人間の顔の位置を検出する(ステップS102)。ここで、画像80を区分する境界線が、ステップS102で検出された顔を横切るかどうかが判断される(ステップS103)。
境界線が顔を横切らない場合は(ステップS103:No)、後述するステップS104〜S113の手順を省略し、ステップS114に進む。一方、図5に示すように、境界線が顔を横切る場合には(ステップS103:Yes)、ステップS102で検出された顔の拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率で拡大された大きさが、上限プリントサイズに収まるかどうかが判断される(ステップS104)。拡大された顔に大きさが上限プリントサイズに収まる場合は(ステップS104:Yes)、位置情報変更部24aによって、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報が、境界線が顔を横切らないように変更される(ステップS107)。
一方、拡大された顔の大きさが上限プリントサイズに収まらない場合には(ステップS104:No)、主要部検出部24cが、特徴記憶部23cに記憶されている人間の目の特徴に基づいて、画像80から人間の目の位置を検出する(ステップS105)。ここで、図4に示す画像80の横方向(矢印Aで示す方向)に沿う顔の長さL1の拡大された長さと、縦方向(矢印Bで示す方向)に沿う顔の長さL2の拡大された長さとは、いずれも上限プリント幅よりも長い。したがって、画像80の顔の拡大された大きさは上限プリントサイズに収まらない。よって、ステップS105において目の位置が検出される。
続いて、ステップS105で検出された目を境界線が横切るかどうかが判断される(ステップS106)。境界線が目を横切らない場合は(ステップS106:No)、後述するステップS107〜S113の手順を省略し、ステップS114に進む。一方、図5に示すように、境界線が目を横切る場合には(ステップS106:Yes)、位置情報変更部24aによって、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報が、境界線が目を横切らないように変更される(ステップS107)。
このとき、本実施の形態の画像80を区分する境界線は、図6に示すように変更され、画像80は矢印A方向に沿って互いに隣接する4つの領域82a〜82dに区分される。なお、この四つの領域82a〜82dのうち、紙面右側の三つの領域82a〜82cの矢印A方向に沿う長さL3の拡大された長さは上限プリント幅と実質的に等しく、最も紙面左側の領域82dの矢印A方向に沿う長さL4の拡大された長さは上限プリント幅の約半分であるとする。また、四つの領域82a〜82dの矢印B方向に沿う長さL5の拡大された長さは、上限プリント長さよりも短い。そして、これらL3、L4、L5の間には、以下の(式1)に示すような関係が成り立つ。
L3:L4:L5=1:0.5:2 (式1)
上述のように、ステップS107では、ステップS104において、拡大された顔の大きさが上限プリントサイズに収まると判断された場合には、境界線が顔を横切らないように境界線の位置情報が変更され、ステップS104において、拡大された顔の大きさが上限プリントサイズに収まらないと判断されると共に、ステップS106において、境界線が目を横切ると判断された場合には、境界線が目を横切らないように境界線の位置情報が変更される。
その後、図6に示す四つの領域82a〜82dの拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率に基づいて拡大された大きさが、上限プリントサイズを超えるかどうかが、サイズ判断部24fによってそれぞれ判断される(ステップS108)。領域82a〜82dがいずれも上限プリントサイズを越えない場合には(ステップS108:No)、後述するステップS109を省略して、ステップS110に進む。一方、上限プリントサイズを超える領域が有る場合には(ステップS108:Yes)、上限プリントサイズを越える領域がなくなるように境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報を位置情報変更部24aによって変更する(ステップS109)。なお、上述したように、図6に示す四つの領域82a〜82dの拡大された大きさは、いずれも上限プリントサイズを超えないので、ステップS109は省略される。
このとき、プリント方向記憶部23gには、各領域82a〜82dが矢印B方向に沿ってプリントされるように記憶される。
次に、図6に示す画像80の四つの領域82a〜82dの中で、目が含まれる領域82bを除く領域82a、82c、82dのうち、上述のプリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向が共通であり、且つ互いに隣接する領域である領域82c、82dを矢印B方向に沿ってプリントした場合の方が、二つの領域82c、82dの全体を矢印Bと直交する矢印A方向に沿う境界線で区分することによって得られた、図7に示す紙面左側において矢印B方向に互いに隣接する二つの領域83c、83dを、矢印A方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが長いかどうかが、合計長さ判断部24iによって判断される(ステップS110)。
図6に示す領域82c、82dを矢印B方向に沿ってプリントした場合の方が、図7に示す領域83c、83dを矢印A方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが短い場合には(ステップS110:No)、後述するステップS111を省略して、ステップS112に進む。一方、図6に示す領域82c、82dを矢印B方向に沿ってプリントした場合の方が、図7に示す領域83c、83dを矢印A方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが長い場合には(ステップS110:Yes)、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報を位置情報変更部24aによって、図7に示すように変更し、プリント方向の合計長さが短くなるようにすると共に、プリント方向書換部24hが、領域83c、83dのプリント方向を矢印A方向とする(ステップS111)。
ここで、図6に示す領域82c、82dのプリント方向である矢印B方向に沿う長さはいずれもL5であるので、その合計長さは2×L5である。また、図7に示す領域83c、83dのプリント方向である矢印A方向に沿う長さはいずれもL3+L4であるので、その合計長さは2×(L3+L4)である。したがって、領域82c、82dの矢印B方向に沿う合計長さ2×L5と、領域83c、83dの矢印A方向に沿う合計長さ2×(L3+L4)とを比較することによって、プリント方向の合計長さを判断することができる。なお、(式1)の関係より、2×L5>2×(L3+L4)である。つまり、本実施の形態では、図6に示す領域82c、82dを矢印B方向に沿ってプリントした場合の方が、図7に示す領域83c、83dを矢印A方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが長い。よって、境界線は図7に示すように変更される。
次に、図7に示す画像80の四つの領域83a〜83dの各々について、プリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向にプリント可能かどうかをプリント判断部24gが判断する(ステップS112)。四つの領域83a〜83dがいずれもプリント可能である場合は(ステップS112:Yes)、後述するステップS113を省略して、ステップS114に進む。一方、プリント不可能な領域がある場合には(ステップS112:No)、プリント方向書換部24hによって、プリント方向記憶部23gに記憶されているプリント不可能な領域のプリント方向が現在の方向と直交する方向に書き換えられる(ステップS113)。
ここで、図7の領域83a、83bのプリント方向と直交する方向である矢印A方向に沿う長さL3の拡大された長さ、及び領域83c、83dのプリント方向と直交する方向である矢印B方向に沿う長さL5/2の拡大された長さはいずれも上限プリント幅を超えないので、ステップS113は省略される。
このとき、ディスプレイ61の表示画面61aには、図7に示すように、上述のようにして決められた境界線で四つの領域83a〜83dに区分された画像80と、座標表示部85a、座標85aに表示された数値を増加させる増加ボタン85b、及び座標表示部85aに表示された数値を減少させる減少ボタン85bからなる座標変更部85と、確定ボタン86とが表示される。そして、オペレータは、図7に示す表示画面61aに表示された画像80を確認して、境界線の位置を必要に応じて微調整することができる。詳細には、マウス63で表示画面61aに表示された境界線をドラッグして移動させることによって境界線の位置を変更することができる。また、マウス63で表示画面61aに表示された境界線を選択すると、その境界線の座標(A方向に沿う境界線の場合にはB方向の座標、B方向に沿う境界線の場合にはA方向の座標)が、座標表示部85に表示されるので、その値をキーボード62から入力した数値に変更するか、または、マウス63で増加ボタン85b或いは減少ボタン85cをクリックすることで座標表示部85aに表示される数値を変更することができる。
したがって、ステップS113が終了した後、キーボード62やマウス63などを用いてオペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される(ステップS114)。オペレータによる操作がないと判断された場合には(ステップS114:No)、後述するステップS115を省略して、ステップS116に進む。一方、オペレータによって、境界線の位置が操作された場合には(ステップS114:Yes)、オペレータの指示に基づいて、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報が、位置情報変更部24aによって変更される(ステップS115)。
そして、オペレータによって、表示画面61aに表示された画像80を区分する境界線の位置を確定する確定ボタン86が押下されたかどうかが判断される(ステップS116)。確定ボタン86が押下されていないと判断された場合には(ステップS116:No)、ステップS114に戻って、再びオペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される。一方、確定ボタン86が押下された場合には(ステップS116:Yes)、入力画像記憶部23aに記憶されている画像80の画像データファイルが、分割部24bによって、表示画面61aに表示された四つの領域83a〜83dの各々に対応するように、四つの部分画像データファイルに分割される(ステップS117)。
次に、上述の四つの部分画像データファイルが全てプリントされるようにプリント要否記憶部23に記憶し、表示画面61aに表示された画像80の四つの領域83a〜83dを全て要プリント領域とする(ステップS118)。このとき、表示画面61aには、図8に示すように、ステップS116で確定された境界線で区分された画像80と、プリント不要領域を確定する不要領域確定ボタン87と、表示されている全ての領域のプリント要否を確定するプリント要否確定ボタン88とが表示される。オペレータは、表示画面61aに表示された画像80を確認し、プリント不要な領域がある場合には、その領域のプリント解除の指示を入力することができる。具体的には、例えば、領域83cのプリントが不要である場合には、図8に示すように、マウス63で表示画面61a上の領域83cを選択し、不要領域確定ボタン87を押下する。
したがって、ステップS118が終了した後、マウス63などを用いてオペレータがプリント解除操作を行った領域があるかどうかが判断される(ステップS119)。オペレータによるプリント解除操作が行われた領域がない判断された場合には(ステップS119:No)、後述するステップS120を省略して、ステップS121に進む。一方、プリント解除操作が行われた領域がある場合には(ステップS119:Yes)、オペレータのプリント解除指示に基づいて、プリント不要な領域に対応する部分画像データファイルがプリントされないように、プリント要否記憶部23dに記憶されているプリントの要否情報が、要否情報書換部24eによって書き換えられる(ステップS120)。その後、オペレータがプリント不要領域を全て選択し、プリント要否確定ボタン88を押下したかどうかが判断される(ステップS121)。
オペレータがプリント要否確定ボタン88を押下していないと判断された場合には(ステップS121:No)、ステップS119に戻って、再びオペレータがプリント解除操作を行ったかどうかが判断される。一方、プリント要否ボタンが押下された場合には(ステップS121:Yes)、画像拡大部24jが、拡大率記憶部23fに記憶されている拡大率に基づいて、1つの領域を拡大する(ステップS122)。そして、拡大された画像の部分画像データファイルは、拡大画像記憶部23hに記憶される。その後、拡大画像記憶部23hに記憶されている画像データファイルに基づいて、プリンタ30においてプリントが行われる(ステップS123)。さらに、画像80のプリント要領域のプリントが全て終了したかどうかが判断される(ステップS124)。プリントが全て終了していないと判断されると(ステップS124:No)、ステップS122に戻って、プリントが終了していない領域が拡大される。一方、プリントが全て終了した場合には(ステップS124:Yes)、画像80のポスタプリントの手順が終了する。
上述のような手順でポスタプリントが行われた画像80は、図9に示すように、四つの領域83a〜83dが、四枚の用紙の分けてプリントされる。
以上のように、本実施の形態に係るコントローラ20は、画像80を複数の領域に区分する境界線の位置情報を記憶する境界線位置記憶部23bと、境界線が画像80内において移動するように、境界線位置記憶部23bが記憶している境界線の位置情報を変更する位置情報変更部24aと、画像80の画像データファイルを、複数の領域の各々に対応した複数の部分画像データファイルに分割する分割部24bとを備えている。したがって、位置情報変更手部24aによって、境界線の位置情報を高い自由度で変更することが可能となる。したがって、ポスタプリントを行った場合に、見易い画像を得ることができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ20は、画像80の主要部である人間の顔及び目を検出する主要部検出部24cを備えている。そして、位置情報変更部24aは、主要部検出部24cが検出した人間の顔または目を境界線が横切らないように、境界線位置記憶部23bが記憶している境界線の位置情報を変更する。したがって、主要部である人間の顔または目が異なる領域に区分されることがなくなる。その結果、ポスタプリントを行った場合に、確実に見易い画像を得ることができる。
また、本実施の形態に係るコントローラは、特徴書換部24cによって、特徴記憶部23cに記憶されている主要部が有する特徴を書き換えることができる。したがって、オペレータの意思により、何を画像の主要部とするかを任意に変更することができる。
さらに、本実施の形態に係るコントローラ20は、オペレータによって入力された指示に基づいて、境界線位置記憶部23bが記憶している境界線の位置情報を、位置情報変更部24aが微調整する。したがって、ポスタプリントを行った場合に、さらに見易い画像を得ることができる。
加えて、本実施の形態に係るコントローラ20は、複数の部分画像データファイルの各々に関するプリント要否情報を記憶するプリント要否記憶部23dと、オペレータが入力したプリント解除指示に基づいて、プリント要否記憶部23dに記憶されたプリント要否情報を書き換える要否情報書換部24eとを備えている。したがって、画像80の複数の領域のうち、必要な領域のみをプリントすることができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ20は、印画紙幅と拡大画像記憶部23hの容量とによって決まる入力画像の1つの領域をプリントする際の上限プリントサイズを記憶するプリントサイズ記憶部23eと、入力画像の拡大率を記憶する拡大率記憶部23fと、拡大率記憶部23fに記憶された拡大率で拡大された複数の領域のうちに、上限プリントサイズを超えるものがあるかどうかを判断するサイズ判断部24fとを備えている。したがって、1つの領域をプリントする際に、上限プリントサイズを超えており、プリントされない部分が生じてしまうのを防ぐことができる。
さらに、本実施の形態に係るコントローラ20では、サイズ判断部24fが、上限プリントサイズを越える領域があると判断した場合に、上限プリントサイズを超える領域がなくなるように、位置情報変更部24aが位置情報を変更する。したがって、効率良く、上限プリントサイズを超える領域がなくなるように境界線の位置情報を変更することができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ20は、複数の領域の各々についてプリント方向を記憶するプリント方向記憶部23gと、入力画像の複数の領域の各々について、プリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向にプリント可能であるかどうかを判断するプリント判断部24gと、プリント判断部24gによってプリント不可能と判断された領域について、プリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向を現在と直交する方向に書き換えるプリント方向書換部24hとを備えている。したがって、プリント不可能な方向にプリントを行い、プリントされない部分が生じてしまうのを防ぐことができる。
加えて、本実施の形態に係るコントローラ20は、入力画像の複数の領域の中で、主要部が含まれる領域を除く領域のうち、プリント方向記憶部23gに記憶されているプリント方向が共通であり、且つ互いに隣接した複数の第1の隣接領域を、これら第1の隣接領域のプリント方向に沿ってプリントした場合と、複数の第1の隣接領域の全体を第1の隣接領域のプリント方向と直交する境界線で区分することによって得られた複数の第2の隣接領域を、第1の隣接領域のプリント領域と直交する方向に沿ってプリントした場合とで、いずれがプリント方向の合計長さが短いかを判断する合計長さ判断部24iを備えている。したがって、プリント方向の合計長さを短くすることができる。その結果、印画紙71の使用量を減らし、コストを削減することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコントローラを備えた写真処理装置について説明する。
本実施の形態に係るコントローラを備えた写真処理装置の構成が、第1の実施の形態に係る写真処理装置1の構成と主に異なる点は、第1の実施の形態の写真処理装置1のコントローラ20では、入力画像を複数の領域に区分する境界線が主要部を横切る場合には、境界線が主要部を横切らないように、また拡大された複数の領域のうち上限プリントサイズを越える領域がある場合には、上限プリントサイズを超える領域が無くなるように、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報を、位置情報変更部24aが変更するのに対して、本実施の形態の写真処理装置のコントローラでは、境界線が主要部を横切る場合や拡大された複数の領域のうち上限プリントサイズを超える領域がある場合には、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報を、オペレータの指示に基づいて位置情報変更部が変更する点である。なお、その他の構成については、図1に示す写真処理装置1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
本実施の形態のコントローラは、第1の実施の形態のコントローラ20と同様に、記憶部とポスタプリント部とを有している。記憶部の構成は、第1の実施の形態の記憶部23の構成と同様である。ポスタプリント部は、第1の実施の形態のポスタプリント部24と同様に、位置情報変更部、分割部、主要部検出部、特徴書換部、要否情報書換部、サイズ判断部、プリント判断部、プリント方向書換部、合計長さ判断部及び画像拡大部を備えていると共に、通知信号生成部をさらに備えている。
通知信号生成部は、入力画像を区分する境界線が主要部を横切る場合や、上述のサイズ判断部によって、プリントサイズ記憶部に記憶されている上限プリントサイズを超える領域があると判断された場合に、表示画面161aに警告メッセージを表示し、オペレータにその旨を通知するための通知信号を生成する。
続いて、第2の実施の形態の写真処理装置においてポスタプリントする際の手順について説明する。図10A、図10Bは、ポスタプリントの手順を示すフローチャートである。本実施の形態では、ドライブまたはスキャナから供給され、入力画像記憶部に記憶されている画像データファイルに係る、図11に示すような画像180を、拡大率記憶部に記憶されている拡大率で拡大し、ポスタプリントを行う際の手順について説明する。なお、本実施の形態のポスタプリントの手順のステップS211〜ステップS225は、第1の実施の形態でのポスタプリントの手順のステップS110〜ステップS124とほぼ同様である。
また、図11の画像180における主要部は鳥であるので、あらかじめオペレータが入力した書換指示に基づいて、特徴記憶部に記憶されている人間の顔及び目の特徴は、特徴書換部によって、鳥の特徴に書き換えられる。なお、第1の実施の形態と同様に、図11〜図16における画像180の横方向を矢印A方向、縦方向を矢印B方向とする。
先ず、拡大率に即したデフォルト位置を境界線の位置情報として境界線位置記憶部に記憶する(ステップS201)。このとき、表示画面161aには、図12に示すように、右上部分、右下部分、左上部分、左下部分にそれぞれ対応する四つの領域181a〜181dに区分された画像180と、座標表示部185a、座標185aに表示された数値を増加させる増加ボタン185b、及び座標表示部185aに表示された数値を減少させる減少ボタン185bからなる座標変更部185と、確定ボタン186とが表示される。
次に、主要部検出部が、特徴記憶部に記憶されている鳥の特徴に基づいて、画像180から鳥の位置を検出する(ステップS202)。ここで、画像180を区分する境界線が、ステップS202で検出された鳥を横切るかどうかが判断される(ステップS203)。図12に示すように、境界線が鳥を横切る場合には(ステップS203:Yes)、図13に示すように、その旨をオペレータに伝える警告メッセージ187と、了解ボタン188とが、表示画面161aに表示される(ステップS204)。
このとき、オペレータは、表示画面161aの警告メッセージ187を確認し、了解ボタン188を押下する。そして、オペレータは、マウスで表示画面161a上の境界線をドラッグして移動させるか、座標表示部185aに表示される数値を変更することによって、境界線の位置を操作することができる。なお、本実施の形態では、オペレータは、領域181aと領域181cとの間の境界線を、図14に示すように矢印A方向と反対側に移動させ、境界線が鳥を横切らないようにする。
したがって、ステップS204が終了した後、オペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される(ステップS205)。オペレータによる操作がないと判断された場合には(ステップS205:No)、オペレータによる操作が確認されるまで、ステップS205の判断を繰り返す。一方、オペレータによって、境界線の位置が操作された場合には(ステップS205:Yes)、オペレータの指示に基づいて、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報が、位置情報変更部によって変更される(ステップS206)。その後、ステップS203に戻って、再び境界線が鳥を横切るかどうかの判断が行われる。
一方、画像180が、図14に示す四つの領域182a〜182dで区分されており、境界線が鳥を横切らない場合には(ステップS203:No)、領域182a〜182dの拡大率記憶部に記憶されている拡大率に基づいて拡大された大きさが、上限プリントサイズを超えるかどうかが、サイズ判断部によってそれぞれ判断される(ステップS207)。
上限プリントサイズを超える領域が有ると判断された場合には(ステップS207:Yes)、図15に示すように、上限プリントサイズを超える領域182aが選択されると共に、その旨をオペレータに伝える警告メッセージ189と、了解ボタン190とが、表示画面161aに表示される(ステップS208)。
このとき、オペレータは、表示画面161aの警告メッセージ189を確認し、了解ボタン190を押下する。そして、オペレータは、マウスやキーボードを用いて境界線の位置を操作することができる。なお、本実施の形態では、オペレータは、領域182a中に矢印B方向に沿う境界線を新たに追加することによって、領域182aをさらに二つの領域に区分し、上限プリントサイズを超えないようにする。つまり、図16に示すように、画像180は、上左部分、上中部分、上右部分、下左部分、下右部分にそれぞれ対応する五つの領域183a〜183eに区分される。
したがって、ステップS208が終了した後、オペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される(ステップS209)。オペレータによる操作がないと判断された場合には(ステップS209:No)、オペレータによる操作が確認されるまで、ステップS209の判断を繰り返す。一方、オペレータによって、境界線の位置が操作された場合には(ステップS209:Yes)、オペレータの指示に基づいて、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報が、位置情報変更部によって変更される(ステップS210)。その後、ステップS207に戻って、再び上限プリントサイズを超える領域があるかどうかが判断される。
一方、領域182a〜182dがいずれも上限プリントサイズを越えないと判断された場合には(ステップS207:No)、ステップS208〜S210を省略して、ステップS211に進む。このとき、プリント方向記憶部には、各領域183a〜183eが矢印A方向に沿ってプリントされるように記憶される。
次に、図16に示す画像180の五つの領域183a〜183dの中で、主要部である鳥が含まれる領域183bを除く領域183a、183c、183d、183eのうち、上述のプリント方向記憶部に記憶されているプリント方向が共通であり、且つ互いに隣接する領域である領域183d、183eを矢印A方向に沿ってプリントした場合の方が、図17に示すように、二つの領域183d、183eの全体を矢印A方向と直交する矢印B方向に沿う境界線で区分することによって得られた矢印A方向に互いに隣接する領域184d、184e、184f、184gを、矢印B方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが長いかどうかが、判断される(ステップS211)。
図16に示す領域183d、183eを矢印A方向に沿ってプリントした場合の方が、図17に示す領域184d〜184gを矢印B方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが短い場合には(ステップS211:No)、後述するステップS212を省略して、ステップS213に進む。一方、図16に示す領域183d、183eを矢印A方向に沿ってプリントした場合の方が、図17に示す領域184d〜184gを矢印B方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが長い場合には(ステップS211:Yes)、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報を、図17に示すように変更し、プリント方向の合計長さが短くなるようにすると共に、領域184d〜184gのプリント方向を矢印B方向とする(ステップS212)。
本実施の形態では、図16に示す領域183d、183eを矢印A方向に沿ってプリントした場合の方が、図17に示す領域184d〜184gを矢印B方向に沿ってプリントした場合よりもプリント方向の合計長さが短い。よって、ステップS212は省略される。
次に、図16に示す画像180の五つの領域183a〜183eの各々について、プリント方向記憶部に記憶されているプリント方向にプリント可能かどうかをプリント判断部が判断する(ステップS213)。五つの領域183a〜183eがいずれもプリント可能である場合は(ステップS213:Yes)、後述するステップS214を省略して、ステップS215に進む。一方、プリント不可能な領域がある場合には(ステップS213:No)、プリント方向記憶部に記憶されているプリント不可能な領域のプリント方向が現在の方向と直交する方向に書き換えられる(ステップS214)。なお、図16の五つの領域183a〜183eのは、いずれもプリント可能であるので、ステップS214は省略される。
このとき、オペレータは、図16に示すように表示画面161aに表示された画像180を確認して、キーボードやマウスなどを用いて境界線を操作し、境界線の位置を必要に応じて微調整することができる。そこで、ステップS214が終了した後、オペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される(ステップS215)。オペレータによる操作がないと判断された場合には(ステップS215:No)、後述するステップS216を省略して、ステップS217に進む。一方、オペレータによって、境界線の位置が操作された場合には(ステップS215:Yes)、オペレータの指示に基づいて、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報が変更される(ステップS216)。
そして、オペレータによって、表示画面161aに表示された画像180を区分する境界線の位置を確定する確定ボタン186が押下されたかどうかが判断される(ステップS217)。確定ボタン186が押下されていないと判断された場合には(ステップS217:No)、ステップS215に戻って、再びオペレータが境界線の位置を操作したかどうかが判断される。一方、確定ボタン186が押下された場合には(ステップS217:Yes)、入力画像記憶部に記憶されている画像180の画像データファイルが、表示画面161aに表示された五つの領域183a〜183eの各々に対応するように、五つの部分画像データファイルに分割される(ステップS218)。
次に、上述の五つの部分画像データファイルが全てプリントされるようにプリント要否記憶部に記憶し、表示画面161aに表示された画像180の五つの領域183a〜183eを全て要プリント領域とする(ステップS219)。このとき、オペレータは、表示画面161aに表示された画像180を確認し、プリント不要な領域がある場合には、その領域のプリント解除の指示を入力することができる。
したがって、ステップS219が終了した後、オペレータがプリント不要領域のプリント解除操作を行ったかどうかが判断される(ステップS220)。オペレータによるプリント解除操作が行われなかったと判断された場合には(ステップS220:No)、後述するステップS221を省略して、ステップS222に進む。一方、プリント解除操作が行われた場合には(ステップS220:Yes)、オペレータの解除指示に基づいて、プリント不要な領域に対応する部分画像データファイルがプリントされないように、プリント要否記憶部に記憶されているプリントの要否情報が書き換えられる(ステップS221)。その後、オペレータがプリント不要領域を全て選択し、図示しないプリント要否確定ボタンを押下したかどうかが判断される(ステップS222)。
オペレータがプリント要否確定ボタンを押下していないと判断された場合には(ステップS222:No)、ステップS220に戻って、再びオペレータがプリント解除操作を行ったかどうかが判断される。一方、プリント要否確定ボタンが押下された場合には(ステップS222:Yes)、1つの領域を拡大する(ステップS223)。そして、拡大された画像の部分画像データファイルは、拡大画像記憶部に記憶される。その後、拡大画像記憶部に記憶されている画像データファイルに基づいて、プリンタ30においてプリントが行われる(ステップS224)。さらに、画像180のプリント要領域のプリントが全て終了したかどうかが判断される(ステップS225)。プリントが全て終了していないと判断されると(ステップS225:No)、ステップS223に戻って、プリントが終了していない領域が拡大される。一方、プリントが全て終了した場合には(ステップS225:Yes)、画像180のポスタプリントの手順が終了する。
以上のように、本実施の形態に係るコントローラは、第1の実施の形態のコントローラ20と同様に、ポスタプリントを行った際に、見易い画像を得ることができる。
また、本実施の形態のコントローラでは、オペレータによって入力された指示に基づいて、境界線位置記憶部が記憶している境界線の位置情報を、位置情報変更部が変更する。したがって、ポスタプリントを行った場合に、オペレータの意に即した見易い画像を得ることができる。
加えて、本実施の形態のコントローラは、画像180を区分する境界線が主要部である鳥を横切る場合や、上述のサイズ判断部によって、プリントサイズ記憶部に記憶されている上限プリントサイズを超える領域があると判断された場合に、表示画面161aに警告メッセージを表示し、オペレータにその旨を通知するための通知信号を生成する。したがって、オペレータは、表示画面161aに表示された警告メッセージを確認し、境界線を操作することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の第1及び第2の実施の形態では、コントローラが画像の主要部を検出する主要部検出部を有している場合について説明したが、主要部検出部は無くてもよい。オペレータが、表示画面に表示された入力画像中から主要部を確認し、その主要部を境界線が横切らないように、境界線位置記憶部に記憶されている境界線の位置情報を変更するようにすればよい。
また、第1の実施の形態では、人間の顔または目が主要部として検出されるように、特徴記憶部に人間の顔及び目が有する特徴があらかじめ記憶されている場合について説明したが、これには限られない。例えば、人間の手が主要部として検出されるように、特徴記憶部に人間の手の特徴があらかじめ記憶されていてもよい。
また、第1及び第2の実施の形態では、コントローラが特徴記憶部に記憶されている主要部の特徴を書き換える特徴書換部を有している場合について説明したが、特徴書換部は無くてもよい。
さらに、上述の第1の実施の形態では、位置情報変更部24aが、境界線が主要部を横切ることなく、上限プリントサイズを超える領域が無くなるように、境界線位置記憶部23bに記憶されている境界線の位置情報を変更した後、オペレータの境界線の操作によって境界線の位置情報の微調整が可能な場合について説明したが、これには限られない。オペレータの境界線の操作による境界線の位置情報の微調整は、できなくてもよい。
加えて、上述の第1及び第2の実施の形態では、コントローラが、入力画像を区分する複数の領域に対応する複数の部分画像データファイルの各々に関するプリント要否情報を記憶するプリント要否記憶部と、オペレータが入力したプリント解除指示に基づいて、プリント要否記憶部に記憶されたプリント要否情報を書き換える要否情報書換部とを有しており、プリントが必要な領域のみをプリントすることができる場合について説明したが、これには限られない。常に、全ての領域をプリントするようにしてもよい。
さらに、上述の第1及び第2の実施の形態では、拡大率記憶部に記憶された拡大率で拡大された複数の領域のうちに、プリントサイズ記憶部に記憶された上限プリントサイズを超えるものがあるかどうかを判断するサイズ判断部を有している場合について説明したが、サイズ判断部は無くてもよい。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、感光材料として長尺の巻回された印画紙を用いており、上限プリントサイズが印画紙幅と拡大画像記憶部の容量とによって決まる場合について説明したが、これには限られない。例えば、感光材料としてシート状の印画紙を用い、印画紙のサイズだけで上限プリントサイズが決まるようにしてもよい。
さらに、上述の第2の実施の形態では、コントローラが、画像180を区分する境界線が主要部を横切る場合や、サイズ判断部によって、プリントサイズ記憶部に記憶されている上限プリントサイズを超える領域があると判断された場合に、表示画面161aに警告メッセージを表示し、オペレータにその旨を通知するための通知信号を生成する通知信号生成部を有している場合について説明したが、これには限られない。通知信号生成部は無くてもよい。
加えて、上述の第1及び第2の実施の形態では、サイズ判断部によって、上限プリントサイズを超える領域があると判断された場合に、上限プリントサイズを超える領域が無くなるように境界線の位置情報を変更する場合について説明したが、これには限られない。上限プリントサイズを超える領域がある場合でも、境界線の位置情報を変更しないようにしてもよい。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、コントローラが、複数の領域の各々がプリント方向記憶部に記憶されたプリント方向にプリント可能であるかどうかを判断するプリント判断部を有している場合について説明したが、プリント判断部は無くてもよい。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、各領域のプリント方向の合計長さが短くなるように領域を変更する場合について説明したが、これには限られない。プリント方向の合計長さが短くなるように領域を変更しなくてもよい。