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JP2006119472A - 高分子光導波路及びその製造方法 - Google Patents

高分子光導波路及びその製造方法 Download PDF

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JP2006119472A
JP2006119472A JP2004308694A JP2004308694A JP2006119472A JP 2006119472 A JP2006119472 A JP 2006119472A JP 2004308694 A JP2004308694 A JP 2004308694A JP 2004308694 A JP2004308694 A JP 2004308694A JP 2006119472 A JP2006119472 A JP 2006119472A
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silicon
polymer
carbon
optical waveguide
optical
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Michiaki Hashimoto
通晰 橋本
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】パターンの精度と形状に優れ、かつ耐熱性、光透過性に優れた光導波路パターンを形成することができる樹脂組成物及び簡便かつ低コストでパターン精度及び形状に優れた微細パターンが形成できるパターン形成方法を提供
【解決手段】 分子内に炭素-炭素不飽和結合及びケイ素‐水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いる高分子光導波路及び該樹脂組成物を基板3上に塗布し、硬化させて光学コア4及び/又は光学クラッド2、4用の膜を得るとともに、光学コアの形成を金型成型法により行う高分子光導波路の製造方法
【選択図】図1

Description

本発明は、光通信、光情報処理あるいはその他の光学分野で広く用いられる光導波路、光導波路デバイス、光集積回路又は光配線板に利用することのできる高分子材料を用いた光導波路及びその製造方法に関する。
光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化及び高速化の要求から、光の伝送媒体として光導波路が注目されている。一般に、光導波路用材料には、低光損失、製造容易性、耐熱性、屈折率制御性などの条件が要求される。低損失な光導波路としては、石英系が主に検討されているが、導波路作製時に高温が必要であり、特殊な製造装置が必要であり、製造時間が長くかかるなどの問題点がある。これに対し、ポリマー(高分子)系導波路材料は、熱光学効果など多様な機能を持つなどの材料物性、比較的容易にフィルム化など多様な形態形成性、低温・低真空度の低コストプロセスの活用ができるなどの経済性に特長があり、例えば特許文献1、非特許文献1あるいは非特許文献2に示されているように、近年さまざまな材料及び製造プロセスの開発がなされてきた。
ポリマー光導波路の作製方法としては、上述の文献に示されているように、選択重合法、反応性イオンエッチングとフォトリソグラフィを組み合わせる方法、直接露光法、射出成型利用法、フォトブリーチング法、金型成型法などが挙げられる。
反応性イオンエッチングを用いる方法は、高い加工精度が得られるが、加工に真空プロセスを経ることから、生産性、経済性に問題があった。また、直接露光法及びフォトブリーチング法はマスクを介しての露光が必要であり、さらに前者の方法ではその後の現像が必要であるため、露光機、現像装置等の高価な設備を使用することに加えて、やや煩雑な光導波路作製プロセスが要求されるという問題があった。
一方、金型成型法は、金型を用いた複製による量産化が容易であることから光導波路作製の低コスト化に対するポテンシャルが高い。光導波路用高分子としては、ポリメチルメタクリレートなどの各種の透明高分子が提案され光導波路化の研究開発が進められてきた。また、金型成型法による光導波路作製用に検討されてきた高分子材料はポリイミド樹脂、アクリル系樹脂などであった。これらの高分子光学材料で、アクリル系樹脂は耐熱性が低く、一方、耐熱性の向上に効果のある芳香族基を含むポリイミド樹脂などの材料では複屈折が大きいという、シングルモード光導波路用としては致命的な欠点を有していた。このような複屈折の大きい材料で作製された光導波路は、偏波依存性を有し、偏波面の変動により出力特性が変動し、光導波路として用いる場合には用途が制限されるという問題があった。また、アクリル系樹脂は通信波長(1.5μm)において光損失が大きいという問題があった。
金型成型法により光導波路を作製する場合には、用いる高分子材料は流動性のある液体状のものが望ましいが、従来の高分子材料、例えばポリイミド樹脂は固体状であり、これを溶剤に溶解して適用する方法が採られており、硬化時に溶剤の揮散による体積収縮が起こるという問題があった。
特開2002-277664号公報 丸山透:信学技報 PS2002-17,19(2002-5) OPTCOM 36頁〜45頁(August 2003)
本発明は、上記問題点に鑑み、低光導波損失で低複屈折性かつ高耐熱性の高分子光導波路及び光導波路の金型成型法による従来よりも簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、分子内に炭素−炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含む樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドに用いることによって、または分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含む樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドに用いることによって、低光導波損失で低複屈折性かつ高耐熱性の高分子光導波路が得られ、また該樹脂組成物を用いることで金型成型法において、従来よりも簡便に製造することができることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成した発明である。
すなわち本発明は、
(1)分子内に炭素−炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いることを特徴とする高分子光導波路、
(2)前記シリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物と下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、共縮合させたものである上記(1)に記載の高分子光導波路、
1−SiX3 ・・・(I)
(R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
H−SiX3 ・・・(II)
(Xは上記と同様である。)
(3)分子内に炭素-炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー及び分子内にケイ素‐水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いることを特徴とする高分子光導波路、
(4)分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものであり、分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものである上記(3)に記載の高分子光導波路、
1−SiX3 ・・・(I)
(R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
H−SiX3 ・・・(II)
(Xは上記と同様である。)
(5)R1がビニル基又はその重水素置換体、スチリル基又はその重水素置換体あるいはフッ素置換体、(メタ)アクリロイル基又はその重水素置換体、エチニル基又はその重水素置換体から選ばれる少なくとも1種である上記(2)又は(4)に記載の高分子光導波路、
(6)分子内に炭素-炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させて光学コア及び/又は光学クラッド用の膜を得るとともに、光学コアの形成を金型成型法により行うことを特徴とする高分子光導波路の製造方法、
(7)分子内に炭素-炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー及び分子内にケイ素‐水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させて光学コア及び/又は光学クラッド用の膜を得るとともに、光学コアの形成を金型成型法により行うことを特徴とする高分子光導波路の製造方法、
(8)前記樹脂組成物を基板上に塗布してクラッド膜を形成する工程、該クラッド膜上に凸形状の金型を押圧して光学コアの形状の凹部をクラッド表面に形成する工程、クラッド膜を硬化させる工程、前記凹部に前記樹脂組成物を入れ、硬化させて光学コアを形成する工程、及び上部クラッドを形成する工程を含む上記(6)又は(7)に記載の高分子光導波路の製造方法、
(9)前記シリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物と下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、共縮合させたものである上記(6)又は(8)に記載の高分子光導波路の製造方法、
1−SiX3 ・・・(I)
(R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
H−SiX3 ・・・(II)
(Xは上記と同様である。)
(10)分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものであり、分子内にケイ素‐水素結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものである上記(7)又は(8)に記載の高分子光導波路の製造方法、
1−SiX3 ・・・(I)
(R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
H−SiX3 ・・・(II)
(Xは上記と同様である。)
(11)R1がビニル基又はその重水素置換体、スチリル基又はその重水素置換体あるいはフッ素置換体、(メタ)アクリロイル基又はその重水素置換体、エチニル基又はその重水素置換体から選ばれる少なくとも1種である上記(9)又は(10)に記載の高分子光導波路の製造方法、
を提供するものである。
本発明の高分子光導波路は、耐熱性、光透過性、複屈折性に優れ、光通信、光情報処理あるいはその他の光学分野で広く用いられる光導波路、光導波路デバイス、光集積回路又は光配線板等に広く適用することができる。また、本発明の製造方法によれば、上記高性能の高分子光導波路を、簡便かつ低コストで製造することができる。
本発明の高分子光導波路は、分子内に炭素−炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマー(以下「シリコンポリマーA」という。)を含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いることを特徴とする。
シリコンポリマーAとしては種々あるが、例えば、下記一般式(I)と下記一般式(II)を加水分解し、共縮合させたものが好適に挙げられる。
1−SiX3 ・・・(I)
H−SiX3 ・・・(II)
ここで、R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、より具体的にはビニル基又はその重水素置換体、スチリル基又はその重水素置換体あるいはフッ素置換体、(メタ)アクリロイル基又はその重水素置換体、エチニル基又はその重水素置換体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。
上記加水分解・共縮合によって、分子内に炭素−炭素不飽和結合とケイ素−水素結合の両者を含むシルセスキオキサン化合物が合成される。なお、シリコンポリマーAの合成時には、末端シラノールの封止剤として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサンなどを用いることができる。
上記加水分解・共縮合に際しての一般式(I)及び(II)で表されるケイ素化合物の混合比率については特に制限されるものではないが、パターン形成の効率の観点から、炭素−炭素不飽和結合の数とケイ素−水素結合の数が、モル当量として10:1〜1:10であることが好ましく、さらには7:3〜3:7、特にはモル当量が同量であることが好ましい。
上記一般式(I)及び(II)で表されるケイ素化合物の縮合反応に用いられる溶媒としては、種々の溶媒を用いることができ、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒と親水性の溶媒、例えばエタノール,メタノール,2-プロパノール等のアルコール類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類を混合して用いることができる。
また、一般式(I)及び(II)で表されるケイ素化合物の加水分解・縮合反応には、触媒として、塩酸、リン酸のような無機酸類あるいはシュウ酸のような有機酸類を用いることができる。
上記のようにして合成されるシリコンポリマーAの重量平均分子量(Mw)は800〜200,000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が800以上であると十分な加熱・硬化性が得られ、重量平均分子量が200,000以下であると十分なモールド転写性が得られる。以上の観点から、重量平均分子量は、さらに1,000〜10,000の範囲内であることが好ましく、特に3,000〜8,000の範囲内であることが好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
本発明に係る樹脂組成物には、分子内に炭素-炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー(以下「シリコンポリマーB」という。)及び分子内にケイ素‐水素結合を有するシリコンポリマー(以下「シリコンポリマーC」という。)を含むものも包含される。すなわち、シリコンポリマーBとシリコンポリマーCを混合して得られる樹脂組成物も、本発明に係る樹脂組成物に包含される。この場合のシリコンポリマーBとシリコンポリマーCの混合割合については、本発明の効果を奏する範囲内で特に限定されないが、パターン形成の効率の観点から、炭素‐炭素不飽和結合の数とケイ素−水素結合の数が、モル当量として10:1〜1:10であることが好ましく、さらには7:3〜3:7、特にはモル当量が同量であることが好ましい。さらに、シリコンポリマーA、シリコンポリマーB及びシリコンポリマーCを混合した樹脂組成物も本発明に係る樹脂組成物の範囲に包含されるものである。
シリコンポリマーBとしては種々の化合物があるが、下記一般式(I)で表されるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものが好ましい。
1−SiX3 ・・・(I)
ここで、R1及びXは前述のものと同様である。この加水分解・縮合によって、分子内に炭素−炭素不飽和結合を含むシルセスキオキサン化合物が通常合成される。なお、シリコンポリマーBの合成時には、末端シラノールの封止剤として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサンなどを用いることができる。
次に、シリコンポリマーCについても種々の化合物があるが、下記一般式(II)で表されるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものが好ましい。
H−SiX3 ・・・(II)
ここで、Xは上記と同様である。この加水分解・縮合によって、分子内にケイ素−水素結合を含むシルセスキオキサン化合物が通常合成される。なお、シリコンポリマーCの合成時においても、末端シラノールの封止剤として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサンなどを用いることができる。
なお、シリコンポリマーB及びシリコンポリマーCの重量平均分子量(Mw)はシリコンポリマーAと同様の理由で、それぞれ800〜200,000の範囲内、さらに1,000〜10,000の範囲内、特に3,000〜8,000の範囲内であることが好ましい。また、シリコンポリマーB及びシリコンポリマーCの加水分解・縮合における溶媒及び触媒については、シリコンポリマーAについて記載したものと同様のものを好適に用いることができる。
光導波路作製に必要な樹脂の屈折率の制御については、各種ケイ素化合物(モノマー)の反応比率を適宜調整することによって可能である。具体的には、炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーの比率を多くすれば生成したポリマーの屈折率は大きくなり、フッ素含有モノマーの比率を多くすれば生成したポリマーの屈折率は小さくなる。こうした性質を利用して本発明に係る樹脂組成物の屈折率を調整することができる。
例えば、シリコンポリマーAに代表される分子内に炭素-炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーの場合には、炭素−炭素不飽和結合などの含有比率を制御することにより、屈折率を調整することができる。また、シリコンポリマーBに代表される分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマーとシリコンポリマーCに代表される分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーとを混合して用いる場合には、これらのポリマーの混合比率を変えることによって屈折率を調整することも可能である。
本発明の樹脂組成物には、上記シリコンポリマーA、B及びC以外に、基板との密着性を向上させるためのカップリング剤、例えばチタネートカップリング剤、あるいはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有したシランカップリング剤及び膜の平滑性を向上させるための界面活性剤(フッ素系、シリコーン系等)などの各種添加剤を必要に応じて適宜使用することができる。
次に、本発明の高分子光導波路の作製方法に関して、図1を用いて以下詳細に説明する。
まず、基板3上に本発明に係る樹脂組成物からなる下部クラッド層2を形成し、ここに形成すべき凸型のコア形状を持った金型1を押し付け、圧力を加えながら光照射又は加熱により硬化し、その後必要に応じて冷却して、金型を分離し、凹型形状を有するコアパターンのレプリカを形成する。次いで、このレプリカの凹部に下部クラッド材よりも屈折率が高く調整された本発明に係る樹脂組成物を入れ、硬化してコア4を形成する。この際、クラッドのレプリカの溝よりはみ出したコア部分をエッチングなどにより除去することも可能である。最後に、この上に、光導波路コアパターンを形成した樹脂よりも屈折率の低いクラッド用樹脂で上部クラッド5を形成し、埋め込み型光導波路を得る。本発明で用いられる樹脂組成物は、硬化後は相互にインタミキシングを起こさず、これによるコアとクラッドの間の屈折率差に変化が生じることも無く所望の機能が発現される。また、本発明で用いられる樹脂組成物は、他の硬化性樹脂に比べ、密度のゆらぎが小さく、金型法で生じやすい屈折率変動や複屈折などが回避できる。また、本発明に係る樹脂組成物は液体状であり、コアレプリカ部分への充填に際し、溶剤を使用する必要がなく、硬化時の溶剤の揮散による体積収縮などの問題が生じることがない。
コアの金型はスタンピングに使用できるものであれば材質は問わないが、通常無機材料としては、ニッケル、鉄、銅あるいはこれらの合金、炭化ケイ素(SiC)、サファイア、ケイ素(Si)、ダイヤモンド、石英等が使用される。また、有機材料の場合、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン系樹脂等を使用することができる。
コアの金型作製には、通常のフォトリソグラフィ、電子線リソグラフィ、X線リソグラフィ等の加工方法が使用される。また、レーザ光によるアブレーション加工などによりコアパターンを作製してこれを金型として使用しても良い。また、スタンピング成型で作製したパターンをコア金型として使用しても良い。
金型成型は通常、転写材料が軟化した状態で行われ、加熱温度は50〜350℃が好ましい。50℃以上であると、硬化反応が十分であり、350℃以下であれば劣化することがない。以上の観点から、さらに80〜250℃の範囲内がより好ましく、特に100〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、段階的に温度を上昇させて加熱、硬化することが可能である。加熱時間は0.01〜24時間とすることが好ましい。硬化の反応時間を短縮する必要があるときには、特性に影響しない範囲で硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒としては、白金含有化合物例えば塩化白金酸六水和物などを適用することができる。硬化触媒の量は、3質量%以下が好ましい。3質量%以下であれば硬化に対する十分な効果が得られ、光学特性などに影響を与えることがない。一方、これ以上加えても効果が飽和し、経済的ではない。
金型成型後の離型を良くするために、金型または転写基板上に離型剤を適用しても良い。
さらに、材料の劣化を抑制したり、材料中の気泡を除去するなどの必要に応じて窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを使用したり、真空中で上記金型成型を行うことが出来る。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
合成例1
200mLのセパラブルフラスコにビニルトリメトキシシラン(13.3g、70mmol)、トリエトキシシラン(11.5g、70mmol)、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサン(0.67g、5mmol)、2-プロパノール(30g)及びトルエン(60g)を仕込んだ。室温(25℃)で撹拌下に、8.3gの塩酸(1.3%、HCl:3mmol、水:450mmmol)を5分で加えた。室温で終夜撹拌、放置後、反応溶媒などを70〜80℃の水浴中で減圧溜去し、無色透明の粘稠な液体を得た。これをトルエンに溶解し、水洗、酸を除去して、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を溜去することで無色の粘稠な液体であり、炭素−炭素不飽和結合としてビニル基及びケイ素−水素結合を分子内に有するシリコンポリマー(シルセスキオキサン化合物(以下「V-H-SQ」と記す。))を得た(収量;9.8g、収率;98%)。
この化合物のGPC分析により、重量平均分子量(Mw)は、5,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.9であることが分かった。なお、ここでMnは数平均分子量を示す。
V-H-SQのNMRスペクトルでは、4.2〜4.5ppmにシルセスキオキサン骨格に結合したケイ素−水素に由来する吸収が、0.2〜0.3ppmに1,1,2,2-テトラメチルジシロキサン由来のメチル基による吸収が、5.8〜6.3ppmにビニル基に基づく吸収が観測された。NMRの各シグナルの強度から、仕込み比率通りの組成となっていることが分かった。
また、赤外線吸収スペクトルの測定により、シルセスキオキサン骨格に結合したケイ素−水素結合に由来する吸収が2250cm-1付近に、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサン起源のジメチルシリル基中のケイ素−水素結合による吸収が2140cm-1付近に認められた。ビニル基の炭素−炭素二重結合及び炭素‐水素結合による吸収が1600、1410及び970cm-1に、ケイ素−酸素−ケイ素結合による吸収が1130cm-1付近に観測された。これらのことより、このV-H-SQポリマーが炭素−炭素二重結合及びケイ素−水素結合を分子内に持っていることが確かめられた。
合成例2〜5
第1表に示す試薬を用いて合成例1と同様の条件で本発明に係るシリコンポリマーを合成した。これらのシリコンポリマーについて、合成例1と同様にNMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトルで確認したところ、合成されたシリコンポリマーは、いずれも分子内に炭素−炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマー(ポリシルセスキオキサン類)であった。なお、各合成例により得られたシリコンポリマーの分子量及び分子量分布についても第1表に示す。
Figure 2006119472
*1 V-H-SQ:ビニル−ハイドロジェン−シルセスキオキサン
*2 V- Ph-H-SQ:ビニル−フェニル−ハイドロジェン−シルセスキオキサン
*3 V-F-H-SQ:ビニル−フルオロ−ハイドロジェン−シルセスキオキサン
*4 TRIES:トリエトキシシラン
*5 V-TRIES:ビニルトリエトキシシラン
*6 V-TRIMS:ビニルトリメトキシシラン
*7 Ph-TRIES:フェニルトリエトキシシラン
*8 F-TRIES:フルオロトリエトキシシラン
*9 TMDSO:1,1,2,2-テトラメチルジシロキサン
実施例1
合成例1で製造したV-H-SQをシリコン基板上に塗布し、約100μmの膜厚の下部クラッド用膜を形成した。この薄膜の表面上に凸型金型(凸部の高さ40μm、幅40μm、長さ5cm)を加圧しながら押し当て、150℃で2時間加熱、硬化した。冷却した後、金型を外し、凹状を有する下部クラッド(凹部の深さ40μm、幅40μm、長さ5cm)を作製した。次に、合成例2で製造したV-Ph-H-SQ(V-TRIES/Ph-TRIES=2/1で合成し、硬化後の屈折率をマルチモード光導波路用にコアとクラッドの比屈折率差を1%となるように調整したもの)をコア用樹脂として前記下部クラッド凹部に注入し、150℃で3時間加熱、硬化させることでコアを形成した。この際、凹状の下部クラッドとコアの間でのインタミキシングは全く認められなかった。コア部分を硬化させた後、合成例1で製造したV-H-SQを50μmの厚さにコーティングして、これを150℃で2時間加熱、硬化させて上部クラッド層とした。このようにして、埋め込み構造のマルチモード光導波路が得られた。コア転写パターンの形状は、走査型電子顕微鏡の観察により、矩形であり、エッジ部分は直線状で、良好なパターンが形成されていることが分かった。このV-Ph-H-SQ加熱硬化膜の屈折率(1300nm)は、TEモードで1.4718、TMモードで1.4715であり、複屈折率は0.0003と小さい値を示した。なお、ここでTEモード(Transvers Electric mode)とは、電界ベクトルが光伝播軸(方向)に垂直な波、TMモード(Transvers Magnetic mode)とは、磁界ベクトルが光伝播軸(方向)に垂直な波をいう。
また、光導波損失は1300nmで0.1dB/cmであり、光損失が極めて小さいことが分かった。さらに、TG-DTA(セイコー電子製)で測定した分解温度(5%質量減少温度)は490℃であり、800℃での質量損失率は10.2%と極めて高い熱安定性を示した。かくして、V-H-SQ/V-Ph-H-SQポリマーを用い金型法により作製した光導波路は透明性、耐熱性に優れ、低複屈折であり、かつ簡便な作製プロセスでパターン形成を行うことができ、光導波路作製方法として有用であることが分かった。
実施例2
下部クラッド用膜の膜厚を約20μmとし、凸型金型の凸部の高さ8μm、幅8μm、長さ5cmとし、下部クラッドの凹部を深さ8μm、幅8μm、長さ5cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、凹状部を有する下部クラッドを作製した。次に、合成例3で製造したV-Ph-H-SQ(V-TRIES/Ph-TRIES=11/1で合成し、硬化後の屈折率をシングルモード光導波路用にコアとクラッドの比屈折率差を0.3%となるように調整したもの)をコア用樹脂として前記下部クラッド凹部に注入し、150℃で3時間加熱、硬化させることでコアを形成した。この際、凹状の下部クラッドとコアの間でのインタミキシングは全く認められなかった。コア部分を硬化させた後、合成例1で製造したV-H-SQを20μmの厚さにコーティングして、これを150℃で2時間加熱、硬化させて上部クラッド層とした。このようにして、埋め込み構造のシングルモード光導波路が得られた。コア転写パターンの形状は、走査型電子顕微鏡の観察により、矩形であり、エッジ部分は直線状で、良好なパターンが形成されていることが分かった。このV-Ph-H-SQ加熱硬化膜の屈折率(1300nm)は、TEモードで1.4577、TMモードで1.4575であり、複屈折率は0.0002と小さい値を示した。また、光導波損失は1300nmで0.1dB/cmであり、光損失が極めて小さいことが分かった。さらに、TG-DTA(セイコー電子製)で測定した分解温度(5%質量減少温度)は490℃であり、800℃での質量損失率は10.2%と極めて高い熱安定性を示した。かくして、V-H-SQ/V-Ph-H-SQポリマーを用い金型法により作製した光導波路は透明性、耐熱性に優れ、低複屈折であり、かつ簡便な作製プロセスでパターン形成を行うことができ、光導波路作製方法として有用であることが分かった。
実施例3
合成例4で製造したV-F-H-SQ(フッ素含有量が3.3%になるようにポリマー合成時にF-TRIESの配合比率を調整して合成し、硬化後の屈折率をマルチモード光導波路用にコアとクラッドの比屈折率差を1%となるように調整したもの)を用いた以外は実施例1と同様にして、凹状部を有する下部クラッドを作製した。次に、合成例1で製造したV-H-SQをコア用樹脂として前記下部クラッド凹部に注入し、150℃で3時間加熱、硬化させることでコアを形成した。この際、凹状の下部クラッドとコアの間でのインタミキシングは全く認められなかった。コア部分を硬化させた後、合成例4で製造したV-F-H-SQを50μmの厚さにコーティングして、これを150℃で2時間加熱、硬化させて上部クラッド層とした。このようにして、埋め込み構造のマルチモード光導波路が得られた。コア転写パターンの形状は、走査型電子顕微鏡の観察により、矩形であり、エッジ部分は直線状で、良好なパターンが形成されていることが分かった。このV-H-SQ加熱硬化膜の屈折率(1300nm)は、TEモードで1.4572、TMモードで1.4570であり、複屈折率は0.0002と小さい値を示した。また、光導波損失は1300nmで0.1dB/cmであり、光損失が極めて小さいことが分かった。さらに、TG-DTA(セイコー電子製)で測定した分解温度(5%質量減少温度)は488℃であり、800℃での質量損失率は9.8%と極めて高い熱安定性を示した。かくして、V-H-SQ/V-F-H-SQポリマーを用い金型法により作製した光導波路は透明性、耐熱性に優れ、低複屈折であり、かつ簡便な作製プロセスでパターン形成を行うことができ、光導波路作製方法として有用であることが分かった。
実施例4
合成例5で製造したV-F-H-SQ(フッ素含有量が0.3%になるようにポリマー合成時にF-TRIESの配合比率を調整して合成し、硬化後の屈折率をシングルモード光導波路用にコアとクラッドの比屈折率差を0.3%となるように調整したもの)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、凹状部を有する下部クラッドを作製した。次に、合成例1で製造したV-H-SQをコア用樹脂として前記下部クラッド凹部に注入し、150℃で3時間加熱、硬化させることでコアを形成した。この際、凹状の下部クラッドとコアの間でのインタミキシングは全く認められなかった。コア部分を硬化させた後、合成例5で製造したV-F-H-SQを20μmの厚さにコーティングして、これを150℃で2時間加熱、硬化させて上部クラッド層とした。このようにして、埋め込み構造のシングルモード光導波路が得られた。コア転写パターンの形状は、走査型電子顕微鏡の観察により、矩形であり、エッジ部分は直線状で、良好なパターンが形成されていることが分かった。このV-H-SQ加熱硬化膜の屈折率(1300nm)は、TEモードで1.4572、TMモードで1.4570であり、複屈折率は0.0002と小さい値を示した。また、光導波損失は1300nmで0.15dB/cmであり、光損失が極めて小さいことが分かった。さらに、TG-DTA(セイコー電子製)で測定した分解温度(5%質量減少温度)は488℃であり、800℃での質量損失率は9.8%と極めて高い熱安定性を示した。かくして、V-H-SQ/V-F-H-SQポリマーを用い金型法により作製した光導波路は透明性、耐熱性に優れ、低複屈折であり、かつ簡便な作製プロセスでパターン形成を行うことができ、光導波路作製方法として有用であることが分かった。
本発明の高分子光導波路は、耐熱性、光透過性、複屈折性に優れ、光通信、光情報処理あるいはその他の光学分野で広く用いられる光導波路、光導波路デバイス、光集積回路又は光配線板等に広く適用することができる。また、本発明の製造方法によれば、上記高性能の高分子光導波路を、簡便かつ低コストで製造することができる。
光導波路パターンを形成する工程を示す模式図である。
符号の説明
1.金型(コア用)
2.下部クラッド
3.基板
4.コア
5.上部クラッド

Claims (11)

  1. 分子内に炭素-炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いることを特徴とする高分子光導波路。
  2. 前記シリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物と下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、共縮合させたものである請求項1に記載の高分子光導波路。
    1−SiX3 ・・・(I)
    (R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
    H−SiX3 ・・・(II)
    (Xは上記と同様である。)
  3. 分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー及び分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を光学コア及び/又は光学クラッドとして用いることを特徴とする高分子光導波路。
  4. 分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものであり、分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものである請求項3に記載の高分子光導波路。
    1−SiX3 ・・・(I)
    (R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
    H−SiX3 ・・・(II)
    (Xは上記と同様である。)
  5. 1がビニル基又はその重水素置換体、スチリル基又はその重水素置換体あるいはフッ素置換体、(メタ)アクリロイル基又はその重水素置換体、エチニル基又はその重水素置換体から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は4に記載の高分子光導波路。
  6. 分子内に炭素-炭素不飽和結合及びケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させて光学コア及び/又は光学クラッド用の膜を得るとともに、光学コアの形成を金型成型法により行うことを特徴とする高分子光導波路の製造方法。
  7. 分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマー及び分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーを含有する樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させて光学コア及び/又は光学クラッド用の膜を得るとともに、光学コアの形成を金型成型法により行うことを特徴とする高分子光導波路の製造方法。
  8. 前記樹脂組成物を基板上に塗布してクラッド膜を形成する工程、該クラッド膜上に凸形状の金型を押圧して光学コアの形状の凹部をクラッド表面に形成する工程、クラッド膜を硬化させる工程、前記凹部に前記樹脂組成物を入れ、硬化させて光学コアを形成する工程、及び上部クラッドを形成する工程を含む請求項6又は7に記載の高分子光導波路の製造方法。
  9. 前記シリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物と下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、共縮合させたものである請求項6又は8に記載の高分子光導波路の製造方法。
    1−SiX3 ・・・(I)
    (R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
    H−SiX3 ・・・(II)
    (Xは上記と同様である。)
  10. 分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(I)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものであり、分子内にケイ素−水素結合を有するシリコンポリマーが、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を加水分解し、縮合させたものである請求項7又は8に記載の高分子光導波路の製造方法。
    1−SiX3 ・・・(I)
    (R1は炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、XはハロゲンまたはOR2(R2は炭素数1〜5のアルキル基を示す)である。)
    H−SiX3 ・・・(II)
    (Xは上記と同様である。)
  11. 1がビニル基又はその重水素置換体、スチリル基又はその重水素置換体あるいはフッ素置換体、(メタ)アクリロイル基又はその重水素置換体、エチニル基又はその重水素置換体から選ばれる少なくとも1種である請求項9又は10に記載の高分子光導波路の製造方法。

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