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JP2006119008A - ジャイロセンサの温度特性調整方法及びジャイロセンサ - Google Patents

ジャイロセンサの温度特性調整方法及びジャイロセンサ Download PDF

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JP2006119008A
JP2006119008A JP2004307757A JP2004307757A JP2006119008A JP 2006119008 A JP2006119008 A JP 2006119008A JP 2004307757 A JP2004307757 A JP 2004307757A JP 2004307757 A JP2004307757 A JP 2004307757A JP 2006119008 A JP2006119008 A JP 2006119008A
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】 温度変化に対して0点電圧の変動の影響を抑え、正確なジャイロセンサの出力を得ることができるジャイロセンサの温度特性調整方法及びジャイロセンサを提供する。
【解決手段】 回転角速度が加わっていないときの0点電圧の温度特性と温度センサ80の温度特性とを加算することによって0点電圧の温度特性を補正するジャイロセンサ10の温度特性調整方法であって、ジャイロセンサ10の所定温度毎における0点電圧の測定値から傾きaの一次補正対象直線35を求め、温度センサ80の所定温度毎における出力電圧の測定値から近似直線50を求め、近似直線50の傾きが(−a)になるようにゲイン調整を行い、温度センサ80の出力電圧の傾き(−a)の直線51を決定し、ジャイロセンサ10の0点電圧の一次補正対象直線35と温度センサのゲイン調整後の直線51とを加算してジャイロセンサ10の温度特性補正出力を求める。
【選択図】 図5

Description

本発明は、ジャイロセンサの温度特性調整方法、及びこの温度特性調整方法により温度特性が調整されたジャイロセンサに関する。
従来、角速度センサに回転角速度が加わっていないときの0点電圧(ヌル電圧)の温度特性を最小二乗法によって一次式で直線近似し、この近似直線の傾きに対応する電圧をセンサ出力に加算し、基準温度における無回転時のセンサ出力が、あらかじめ定められた既値の基準電圧に対して、前記近似直線の傾きに対応する電圧分だけずれるように構成することにより、この角速度センサの0点電圧を補正する0点電圧の温度に対する傾き情報を、抽出可能に角速度センサの出力に重畳する角速度センサが知られている。
さらに、この角速度センサの温度特性調整方法としては、角速度センサの基準電圧における無回転時の出力電圧を測定するステップと、出力電圧をあらかじめ定められた既知の基準電圧と比較することにより、角速度センサの0点電圧の直線近似した温度特性を解析するステップと、温度を測定するステップと、解析された角速度センサの0点電圧の温度特性と測定された温度から0点電圧の補正値を求めるステップと、0点電圧の補正値によって角速度センサの0点電圧を補正するステップを含む、角速度センサの温度特性の調整方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3292002号公報(第5,6頁、図4)
このような特許文献1では、角速度センサの0点電圧の温度特性を測定し、0点電圧の温度特性を最小二乗法により一次式で近似した近似直線の傾きと、既知の基準電圧と、を比較して近似直線の傾きに対応する電圧分だけずれるように補正しているが、最小二乗法では、温度特性が規格外のものも含まれることが考えられる。このような場合、出荷前検査等において、規格保証検査等を実施する必要性があり、最終出荷段階で歩留まりが低下することが推測されコスト高になるというような課題もある。
本発明の目的は、前述の課題を解決し、ジャイロセンサの温度特性の調整を効率よく行うとともに、温度変化に対して0点電圧の変動の影響を抑え、正確なジャイロセンサの出力を得ることができるジャイロセンサの温度特性調整方法、及びジャイロセンサを提供することである。
本発明のジャイロセンサの温度特性調整方法は、回転角速度が加わっていないときの0点電圧の温度特性と温度センサの温度特性とを加算することによって0点電圧の温度特性を補正するジャイロセンサの温度特性調整方法であって、前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値から傾きaの一次補正対象直線を求め、前記温度センサの所定温度毎における出力電圧の測定値から近似直線を求め、該近似直線の傾きが(−a)になるようにゲイン調整を行い、前記温度センサの出力電圧の傾き(−a)の直線を決定し、前記ジャイロセンサの0点電圧の一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整後の直線とを加算して前記ジャイロセンサの温度特性補正出力を求めることを特徴とする。
ここで、0点電圧とは、ジャイロセンサに回転角速度が加わっていないときの出力電圧を示す。また、温度センサは、あらかじめ所定の温度特性を有するものが選択使用される。
本発明によれば、ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値から求めた傾きaの直線と、温度センサの温度特性の近似直線をゲイン調整して求めた傾き(−a)の直線と、を加算することにより0点電圧の温度特性補正出力が得られるため、得られた0点電圧の補正出力は、所定の各温度において温度補正された出力電圧を得ることができる。
また、本発明のジャイロセンサの温度特性調整方法は、前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧を測定するステップと、前記温度特性の上限値範囲を示す直線及び下限値範囲を示す直線を求めるステップと、前記温度特性の上限値範囲を示す直線及び下限範囲を示す直線の傾きを比較し、傾きの絶対値が大きい直線を選択し、この直線の傾きをaとし、前記所定温度毎の0点電圧が全て含まれる領域の中央を通る傾きaの一次補正対象直線を決定するステップと、温度センサの所定温度毎における出力電圧を測定するステップと、前記温度センサの出力電圧から温度特性の近似直線を求めるステップと、前記温度センサの近似直線を傾き(−a)になるようにゲイン調整するステップと、前記一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整された直線とを加算し、0点電圧の一次補正直線を決定するステップと、を含むことを特徴とする。
このような温度特性の調整方法によれば、ジャイロセンサの温度特性の上限値範囲と下限値範囲を示す直線を求め、各所定温度毎の0点電圧の全てが含まれる領域を設定し、温度センサの温度特性を加算して補正出力を求めているために、各所定温度毎の0点電圧の全てが所定の温度特性範囲内に補正することができ、所定の温度特性管理範囲内におけるジャイロセンサの温度特性を補正することができる。
また、本発明では、前記0点電圧の一次補正直線を得るステップの前に、前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値が、所定の範囲内に存在することを判定するステップと、前記0点電圧が所定の範囲外にあるときは不良品と判定するステップと、を含むことが好ましい。
このようにすれば、ジャイロセンサの0点電圧の所定温度毎における測定値が所定の範囲外にあるときは不良品と判定し、次のステップには進まないようにすることで、不良品を排除し、所定範囲内にあるジャイロセンサのみを次のステップに進めることができるので、無駄なステップを排除し効率よくジャイロセンサの温度特性の調整を行うことができる。また、このことにより、0点電圧の一次補正直線を得るステップ以降の歩留まりを高めることができるというような効果がある。
また、前述のジャイロセンサの温度特性調整方法では、前記一次補正直線から求められる0点電圧を所定出力電圧にオフセット調整するステップを含むことが好ましい。
ここで、所定出力電圧とは、例えば、一次補正後の0点電圧の最低値が0V以上、最高値が駆動電圧以下になるような検出電圧範囲の中心電圧を意味する。
このようにすれば、一次補正直線が、前記のような所定電圧に設定されているため、ジャイロセンサ0点電圧が所定電圧を中心検出電圧範囲内に分布するので、0点電圧を有効な出力電圧として検出することができる。
さらに、前述のジャイロセンサの温度特性調整方法では、前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧を測定するステップと、前記温度センサの所定温度毎における出力電圧を測定するステップと、を並行して行うことが好ましい。
温度特性の測定は、例えば、恒温槽等を用いて行われるが、ジャイロセンサの0点電圧の所定温度毎における温度特性を測定及び温度センサの所定温度毎における測定を同一の恒温槽内で、同時に、かつ同条件で行うことで、正確なそれぞれの温度特性を得ることができるうえ、温度特性を測定するためには、恒温槽の温度環境設定に時間を要するため、別々に行うことに比べ、測定時間を大幅に短縮することができ、ジャイロセンサの温度特性調整の効率化を可能にする。
また、前述したジャイロセンサの温度特性調整方法によって温度特性が調整されるジャイロセンサであって、前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値から傾きaの一次補正対象直線を求め、前記温度センサの所定温度毎における出力電圧の測定値から近似直線を求め、該近似直線の傾きが(−a)になるようにゲイン調整を行い、前記温度センサの出力電圧の傾き(−a)の直線を決定し、前記ジャイロセンサの0点電圧の一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整後の直線とを加算して前記ジャイロセンサの温度特性補正出力を出力することを特徴とする。
このようにして温度特性が調整されたジャイロセンサは、ジャイロセンサの所定の仕様範囲において、正確な温度特性補正出力を出力できるため、使用環境における温度の影響を低減した信頼性の高いジャイロセンサを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の実施形態に係るジャイロセンサの振動動作を説明する平面図、図3,4は、本実施形態の構成の一例を示す説明図、図5は工程図、図6〜図13には、具体的な工程を示すグラフが示されている。
(実施形態)
まず、本実施形態に係るジャイロセンサ10の振動動作について説明する。
図1、図2は、本実施形態のジャイロセンサ10の動作を模式的に説明するための平面図である。なお、図1、図2においては、振動形態を分かり易く説明するために、各振動腕は簡略化して線で表している。
図1は、駆動振動を説明する平面図である。図1において、駆動振動は、駆動振動腕15A,15B,15C,15Dの矢印Aで示す屈曲振動であって、実線で示す振動姿態と、二点鎖線で示す振動姿態と、を所定の周波数で繰り返している。このとき、駆動振動腕15A,15Bと駆動振動腕15C,15Dとが、中心点Gを通るY軸で線対称の振動を行っているので、基部12、連結腕13,14及び検出振動腕16A,16Bは、ほとんど振動しない。
ここで、このジャイロセンサ10は、水晶で形成され、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸のX軸とY軸を平面方向に切り出されたZカットの水晶基板から形成されている。ジャイロセンサ10は、所定の厚みの水晶基板で形成され、平面形状は、水晶の結晶軸に合わせてXY平面に展開され、中心点Gに対して180度点対称の形状をしている。中心点Gはジャイロセンサ10の重心位置である。このように形成されるジャイロセンサ10は、ダブルT型ジャイロセンサと呼ばれる。
図2は、検出振動を説明する平面図である。図2において、検出振動は、実線で示す振動姿態と、二点鎖線で示す振動姿態を、前述した駆動振動の周波数で繰り返している。検出振動は、ジャイロセンサ10が図1に示した駆動振動を行っている状態で、ジャイロセンサ10にZ軸周りの回転角速度ωが加わった時、駆動振動腕15A,15B及び15C,15Dに矢印Bで示す方向のコリオリ力が働くことによって発生する。
このことより、駆動振動腕15A,15B,15C,15Dが、矢印Bで示す振動を行う。矢印Bで示した振動は、中心点Gに対して周方向の振動である。また同時に、検出振動腕16A,16Bは、矢印Cに示すように、矢印Bの振動に呼応して矢印Bとは周方向反対向きの振動を行う。
本発明は、図2で示すようなジャイロセンサ10に回転角速度ωが加えられていないときのジャイロセンサの出力電圧(これを、0点電圧と表す)、つまり、図1で示す振動をしているときのジャイロセンサ10の0点電圧の温度特性調整方法を提供することを要旨としている。
次に、本実施形態のジャイロセンサの温度特性調整方法に係るシステムの構成について説明する。
図3、図4は、本システムの構成を示す説明図である。
図3には、本システムの全体構成が示されている。図3において、本システムは、基本構成としてジャイロセンサ10と、駆動部60と、検出部70と、から構成されている。駆動部60は、周知の構成であるので説明は省略するが、前述したジャイロセンサ10の駆動腕15A〜15Dに駆動信号を供給する。また、図示しないが、駆動部60からの漏れ振動成分を除去するための検出部70と同期した信号を作り出すため、駆動信号の90度移相を行う移相回路を備えている。
検出部70は、駆動部60の発振に同期してジャイロセンサ10の検出電極から発生する電流を電圧出力に変換するI/V変換アンプ71,72と、これらI/V変換アンプ71,72からの出力電圧が逆極性となっていることから不要成分を取り除く差動アンプ73と、角速度成分以外の漏れ振動成分等の不要振動線分を除去する同期検波器74と、ジャイロセンサ10の個々にばらついている感度を一定の感度にゲイン調整する可変ゲインアンプ75と、同期検波器74によって抽出される角速度信号に含まれる検出部70から出力される出力周波数に含まれる不要な信号を除去するためのLPF(Low pass filter)76とから構成される。
なお、本実施形態では、回転角速度ωが加えられていないので、ジャイロセンサ10から得られる出力電圧が0点電圧である。この0点電圧の温度特性と後述する温度センサ80(図4、参照)の温度特性とから、それぞれ求められた一次直線を加算し、さらにその結果からオフセット調整をすることによってジャイロセンサ10の温度特性調整を可能にする。
ジャイロセンサ10の温度特性調整に係る構成については、図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態のジャイロセンサ10の温度特性調整に係るシステムの構成を示す説明図である。図4において、温度特性調整に係るシステムは、ジャイロセンサ10から発生する電荷を検出し、ジャイロセンサ出力として出力する検出部77と、温度センサ80と、温度センサアンプ81と、後述するジャイロセンサ10の各温度毎における0点電圧の測定値から補正対象の直線を求めると共に、温度センサ用アンプのゲイン調整、一次補正直線のオフセット量を決定するメモリ回路90と、から構成されている。
さらに、メモリ回路90からの命令によって補正出力のオフセット調整を行うオフセット調整部91、感度のゲイン調整を行うための前述した可変ゲインアンプ75を含む感度調整部92とから構成されている。
なお、検出部77には、図3で示したI/V変換アンプ71,72、差動アンプ73、同期検波器74とを含んでいる。
このようなシステム構成により、本発明のジャイロセンサ10の0点電圧の温度特性調整が行われ、検出部77から温度特性が補正されたジャイロセンサ出力電圧が出力される。
続いて、本実施形態に係るジャイロセンサの温度特性調整方法について図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係るジャイロセンサ10の温度特性調整方法を示す工程図、図6〜図13は、その工程によって行われる具体的な温度特性調整の状態を示すグラフである。図5〜図13を参照して説明する。
図5では、左側にジャイロセンサ10に係る工程、右側に温度センサ80に係る工程を示している。
まず、ジャイロセンサ10の0点電圧を図示しない恒温槽内において検出部77によって所定温度毎に測定する(ST1)。図6は、その測定結果の一例を示している。縦軸yには、0点電圧の測定値(単位V)、横軸xには、測定する温度(単位℃)が示されている。測定温度としては、−40℃〜90℃までの範囲を10℃毎に測定している。ここで、−40℃〜90℃までが本実施形態における温度特性管理範囲である。これら各温度における0点電圧は、図6で示すようにばらついている。
次に、前述の測定結果から0点電圧の最高電圧側の直線30を求める(ST2)。
図7に、この直線30の求め方を示す。図7において、まず、測定した0点電圧の最高電圧を選択する。本実施形態では、ポイント21が最高電圧を示している。ここで、ポイント21を通りx軸に平行な直線31を求め、この直線31をポイント21を中心に反時計回り(図中、矢印E方向)、または時計周り(図中、矢印F方向)双方に回転し、直線31が最初に交わるポイント同士を比較し、そのポイントとポイント21を結んだ直線の一次係数を比較し、一次係数の絶対値の大きい方の直線を選択する。図7では、ポイント22が選択される。次に、ポイント21とポイント22とを直線30で結ぶ。この直線30の方程式を仮にy=ax+bとする。この直線30が、0点電圧の上限値範囲を示す直線である。
次に、0点電圧の最低電圧側の直線40を求める(ST3)。
図8に、この直線40の求め方を示す。図8において、まず、0点電圧の最低電圧を示すポイントを選択する。本実施形態では、ポイント23が最低電圧を示している。ここで、ポイント23を通りx軸に平行な直線41を求め、この直線41をポイント23を中心に時計周り(図中、G方向)、または反時計回り(図中、H方向)双方にに回転し、最初に交わるポイント同士を比較し、そのポイントとポイント23を結んだ直線の一次係数を比較し、一次係数の絶対値の大きい方の直線を選択する。図8では、ポイント24を選択し、ポイント23とポイント24とを結ぶ直線40を得る。この直線40の方程式を仮にy=cx+dとする。この直線40が、0点電圧の下限値範囲を示す直線である。
なお、前述した直線30と直線40とは、その両線に挟まれた領域に、測定された各温度における0点電圧が全て含まれるように選択され決定される。
続いて、一次補正対象直線35を決定する(ST4)。
図9に、一次補正対象直線35の求め方を示す。図9において、まず、先に求めた直線30と直線40の傾きを比較し、傾きの大きい直線を選択する。本実施形態では、それぞれの直線の傾きa,cを比較する。仮にa>cとして傾きが大きい直線30を選択し、この直線をy軸に平行に、測定された全ての0点温度が含まれるポイントまで移動させる。本実施形態では、ポイント23まで移動し直線32を求める。この直線の方程式をy=ax+eとする。そして、直線30と直線32との中心を通る直線35を得る。従って、直線35は、0点電圧の上限値範囲と下限値範囲の領域の中央を通る直線である。この直線35の方程式はy=ax+(b+e)/2で示される。この直線35が、以降のステップにおけるジャイロセンサ10の温度補正を行う基礎となる一次補正対象直線である。
ここで、0点電圧の一次補正範囲を求める(ST5)。一次補正範囲とは、各温度で測定された0点温度のうち補正を行うべき領域を意味している。図9において、直線30と直線32とのy軸に平行な距離33は、(b−e)で表され、直線30,32の傾きはaであるため、直線30と直線32との垂直距離34は、(b−e)/(a2+1)1/2で示される。この領域に各温度の0点電圧が含まれている。この(b−e)/(a2+1)1/2で表される範囲が一次補正範囲である(以降、垂直距離34を一次補正範囲34と表す)。
次に、一次補正範囲34と仕様範囲Lとを比較する(ST6)。図9において、ST5で求められた一次補正範囲34とあらかじめ設定されている仕様範囲L(図示しない規格値)とを比較し、一次補正範囲34>仕様範囲Lで表される所定の仕様範囲外のジャイロセンサは規格外品として排除され、一次補正範囲34<仕様範囲Lで表される範囲に存在するジャイロセンサは次のステップに移行する。
さらに、前述したST1〜ST6のステップと並行して、温度センサ80の測定を行う。
まず、温度センサ80の出力電圧を恒温槽内において所定温度毎に測定する(ST11)。図10は、その測定結果の一例を示している。縦軸(y)には、温度センサ80の出力電圧の測定値(単位V)、横軸(x)には、測定する温度(単位℃)が示されている。温度は、−40℃〜90℃までを10℃毎に測定している。ここで、−40℃〜90℃までがジャイロセンサ10の本実施形態における温度特性管理範囲に相当する。
なお、温度センサ80の出力電圧の測定は、同じ測定条件にするために、ジャイロセンサ10の温度特性の測定と同じ恒温槽内で同時並行して行うことが好ましい。
次に、これら各温度における出力電圧を表すポイントを結び温度センサの出力電圧の近似直線50を求める(ST12)。この温度センサ80は、あらかじめ所定の傾きと直線性を有するものが選択仕様されている。
続いて、この温度センサの出力電圧の近似直線50をジャイロセンサ10の0点電圧の一次補正対象直線35の傾きaを打ち消すような傾きにするべくゲイン調整を行う(ST13)。
図11に、このステップ(ST13)を示す。図11において、ST12で求められた温度センサ80の温度特性を示す近似直線50を、ゲイン調整によって、一次補正対象直線35の傾きと逆の傾き(−a)の直線51を求める(ST14)。この直線51は、一次補正対象直線35とは、一般に常温とされる25℃の位置で交差するようにゲイン調整される。ゲイン調整量は、一次補正係数としてメモリ回路90に書き込まれる。このステップST14(図11、参照)で求められる直線51の方程式をy=−ax+fで表す。
そして、一次補正対象直線35とゲイン調整された直線51とを加算(合成)し、一次補正直線を決定する(ST20)。図12にその状態を示す。図12において、一次補正対象直線35とゲイン調整された直線51とを加算するとx軸に平行な直線36が求められる。直線36の方程式は、y=x+{(b+e)/2+f}/2で示される。すなわち、直線36は、ジャイロセンサの各測定温度毎の0点電圧が、{(b+e)/2+f}/2ボルト(V)であることを示している。この0点電圧は、0点温度の発生領域の中心値である。
また、このようにして直線36を求めることを一次温度補正と呼び、直線36を一次補正直線と呼ぶ。
続いて、この一次補正直線36を所定電圧までオフセット調整を行う(ST21)。
図13にオフセット調整の状態を示す。図13において、一次補正直線36を所定電圧値までオフセットする。オフセット調整は、一次補正直線36で示される0点電圧と所定電圧との差を調整ビット数に換算してメモリ回路90に書き込まれる。このオフセット電圧は、一次補正後の0点電圧の最低値が0V以上、最高値が少なくとも駆動電圧以下になるような検出電圧範囲の中心電圧であり、検出電圧範囲の幅によって適宜設定される値である。オフセット量は、図13においてはJであり、所定電圧としては、本実施形態においては2.5Vとしている。従って、オフセット量Jは、J=2.5−{(b+e)/2+f}/2で表される。オフセットされた直線37の方程式は、y=2.5で表され、この直線37が温度特性補正後の直線である。そして、各温度毎の0点電圧は、一次補正範囲34で示される領域に入る。
一次補正範囲34は、ST5(図9、参照)で説明したように(b−e)/(a2+1)1/2で示される。従って、各温度毎の0点電圧は、2.5±{(b−e)/(a2+1)1/2}/2の範囲となり、ジャイロセンサの温度特性調整(温度補正)が完了する。このようにして温度特性調整(温度補正)されたジャイロセンサ出力は検出部77から温度特性補正出力として出力される。
なお、前述した、ジャイロセンサ10の0点電圧、温度センサ80の出力電圧の取り込み及び各直線の決定、ゲイン調整量の決定、オフセット量の決定は、メモリ回路90とソフトウエアによって行われる。
従って、前述した実施形態によれば、ジャイロセンサ10の所定温度毎における0点電圧の測定値から求めた傾きaの一次補正対象直線35と、温度センサ80の温度特性の近似直線をゲイン調整した傾き(−a)の直線51と、を加算することにより0点電圧の補正出力の一次補正直線36が得られるため、得られた0点電圧の補正出力は、所定の各温度において温度補正された出力電圧を得ることができる。
また、ジャイロセンサ10の温度特性の上限値範囲と下限値範囲の直線30,32を求め、各所定温度毎の0点電圧の全てが含まれる領域を設定し、温度センサ80の温度特性を示す近似直線50を減調整して得られた直線51を加算して0点電圧の補正出力を求めているために、各所定温度毎の0点電圧の全てが所定の温度特性範囲内に補正することができ、所定の温度特性管理範囲内におけるジャイロセンサ10の温度特性を補正することができる。
また、ジャイロセンサ10の0点電圧の所定温度毎における測定値が所定の仕様範囲L外にあるときは不良品と判定し、次のステップには進まないようにすることで、不良品を排除し、所定仕様範囲L内にあるジャイロセンサ10のみを次のステップに進めることができるので、無駄なステップを排除し効率よくジャイロセンサ10の温度特性の調整を行うことができる。また、このことにより、0点電圧の一次補正直線36を得るステップ以降の歩留まりを高めることができるというような効果がある。
また、一次補正直線36から求められる0点電圧を所定出力電圧2.5Vにオフセット調整しているために、ジャイロセンサ10の0点電圧が所定出力電圧2.5Vを中心に分布することになるので、個々のジャイロセンサ毎の0点電圧の中心値の変動幅が小さくなると共に、出力電圧の検出値が処理しやすい大きさとなり、検出力を高めることができる。
さらに、ジャイロセンサ10の0点電圧の所定温度毎における温度特性を測定及び温度センサ80の所定温度毎における測定を、同一の恒温槽内で、同時に同条件で行うことで、正確な温度特性を得ることができるうえ、別々に行う方法に比べ、測定時間を大幅に短縮することができ、ジャイロセンサ10の温度特性調整の効率化を可能にすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の実施形態では、ダブルT型ジャイロセンサを例示したが、本発明のジャイロセンサの温度特性調整方法は、三角柱方の角速度センサ、H型ジャイロセンサ等にも採用することができる。
また、前述の実施形態では、ジャイロセンサ10の温度特性の測定と、温度センサ80の温度特性の測定と、を同じ恒温槽内において並行して行うことを例示したが、ジャイロセンサ10の温度特性の測定と、温度センサ80の温度特性の測定を時間をずらして行うことも、別の恒温槽を用いて測定することも可能である。
さらに、前述の実施形態では、ST6において(図5、参照)、ST5で求められた一次補正範囲34とあらかじめ設定されている仕様範囲L(図示しない規格値)とを比較し、一次補正範囲34>仕様範囲Lで表される所定の仕様範囲外のジャイロセンサは規格外品として排除しているが、ST1において0点電圧を測定する際に、測定された0点電圧が仕様範囲L内にあるかどうか判定し、使用範囲Lを外れた場合には、規格外品として排除する工程を選択することができる。
このようにすれば、規格外品をST2以降のステップに流動しなくてもよいので、ST2以降の工程における歩留まりを向上することができるという効果がある。
従って、前述の実施形態によれば、ジャイロセンサの温度特性の調整を効率よく行うとともに、温度変化に対して0点電圧の変動の影響を抑え、正確なジャイロセンサの出力を得ることができるジャイロセンサの温度特性調整方法及びジャイロセンサをを提供することができる。
本発明の実施形態に係るジャイロセンサの駆動振動を示す平面図。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの検出振動を示す平面図。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの温度特性調整のシステムを示す説明図。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの温度特性調整のシステムを示す説明図。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの温度特性調整方法を示す工程図。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定結果を示すグラフ。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの0点電圧の最高電圧側の直線30を示すグラフ。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの0点電圧の最低電圧側の直線40を示すグラフ。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの一次補正対象直線35を示すグラフ。 本発明の実施形態に係る温度センサの所定温度毎における出力電圧の測定結果を示すグラフ。 本発明の実施形態に係る温度センサのゲイン調整を示すグラフ。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサの一次補正直線36を示すグラフ。 本発明の実施形態に係るジャイロセンサのオフセット調整を示すグラフ。
符号の説明
10…ジャイロセンサ、35…一次補正対象直線、36…一次補正直線、50…近似直線、51…ゲイン調整後の直線、80…温度センサ。

Claims (6)

  1. 回転角速度が加わっていないときの0点電圧の温度特性と温度センサの温度特性とを加算することによって0点電圧の温度特性を補正するジャイロセンサの温度特性調整方法であって、
    前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値から傾きaの一次補正対象直線を求め、
    前記温度センサの所定温度毎における出力電圧の測定値から近似直線を求め、該近似直線の傾きが(−a)になるようにゲイン調整を行い、前記温度センサの出力電圧の傾き(−a)の直線を決定し、
    前記ジャイロセンサの0点電圧の一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整後の直線とを加算して前記ジャイロセンサの温度特性補正出力を求めることを特徴とするジャイロセンサの温度特性調整方法。
  2. 0点電圧の温度特性を補正するジャイロセンサの温度特性調整方法において、
    前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧を測定するステップと、
    前記温度特性の上限値範囲を示す直線及び下限値範囲を示す直線を求めるステップと、
    前記温度特性の上限値範囲を示す直線及び下限値範囲を示す直線の傾きを比較し、傾きの絶対値が大きい直線を選択し、この直線の傾きをaとし、前記所定温度毎の0点電圧が全て含まれる領域の中央を通る傾きaの一次補正対象直線を決定するステップと、
    温度センサの所定温度毎における出力電圧を測定するステップと、
    前記温度センサの出力電圧から温度特性の近似直線を求めるステップと、
    前記温度センサの近似直線を傾き(−a)になるようにゲイン調整するステップと、
    前記一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整された直線とを加算し、0点電圧の一次補正直線を決定するステップと、
    を含むことを特徴とするジャイロセンサの温度特性調整方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のジャイロセンサの温度特性調整方法において、
    前記0点電圧の一次補正直線を得るステップの前に、
    前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値が、所定の範囲内に存在することを判定するステップと、
    前記0点電圧が所定の範囲外にあるときは不良品と判定するステップと、
    を含むことを特徴とするジャイロセンサの温度特性調整方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のジャイロセンサの温度特性調整方法において
    前記一次補正直線から求められる0点電圧を所定出力電圧にオフセット調整するステップを含むことを特徴とするジャイロセンサの温度特性調整方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のジャイロセンサの温度特性調整方法において、
    前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧を測定するステップと、
    前記温度センサの所定温度毎における出力電圧を測定するステップと、
    を並行して行うことを特徴とするジャイロセンサの温度特性調整方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の温度特性調整方法によって温度特性が調整されるジャイロセンサであって、
    前記ジャイロセンサの所定温度毎における0点電圧の測定値から傾きaの一次補正対象直線を求め、
    前記温度センサの所定温度毎における出力電圧の測定値から近似直線を求め、該近似直線の傾きが(−a)になるようにゲイン調整を行い、前記温度センサの出力電圧の傾き(−a)の直線を決定し、
    前記ジャイロセンサの0点電圧の一次補正対象直線と前記温度センサのゲイン調整後の直線とを加算して前記ジャイロセンサの温度特性補正出力を出力することを特徴とするジャイロセンサ。
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