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JP2006116803A - プラスチックの接合方法、プラスチック接合装置、及びその接合方法を使用して接合されたプラスチック製品 - Google Patents

プラスチックの接合方法、プラスチック接合装置、及びその接合方法を使用して接合されたプラスチック製品 Download PDF

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JP2006116803A
JP2006116803A JP2004306728A JP2004306728A JP2006116803A JP 2006116803 A JP2006116803 A JP 2006116803A JP 2004306728 A JP2004306728 A JP 2004306728A JP 2004306728 A JP2004306728 A JP 2004306728A JP 2006116803 A JP2006116803 A JP 2006116803A
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Masaru Ota
賢 太田
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】プラスチック製品を、低温で、かつ強固に張り合わせるためのプロセス及び装置を提供し、さらにはそれにより張り合わされた各種プラスチック製品、特にプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップを提供すること。
【解決手段】プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品とを接合する方法であって、(1)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する工程、及び(2)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する工程、を有することを特徴とするプラスチックの接合方法。及びその接合方式を実現する接合装置。およびその方式を利用して製造されるプラスチック製品、特にプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップ。
【選択図】なし

Description

本発明はプラスチック製品に高い温度をかけずにプラスチック同士又はプラスチックとプラスチック以外の物質を良好に接合することができるプロセスを示し、その加工プロセスを実現する装置を示し、さらにはそれにより製造されるプラスチック製品、特にプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップに関するものである。
近年、創薬研究や臨床検査のハイスループット化を達成する手段として、生理活性物質を固層基板上に固定化したデバイスであるバイオチップが注目されている。固定化される生理活性物質としては、核酸、たんぱく質、抗体、糖鎖、糖タンパク、アプタマーなどが代表的なものであり、特に核酸を固定化したバイオチップである核酸マイクロアレイはすでに多数の商品が上市されている。チップの形態としては、平板の基板上に各種生理活性物質がスポットされ固定化されている形態であり、主に研究機関における研究分析用に活用されている。
さらに近年、マイクロ分析チップとか、μTAS(micro total analytical system)とか、ラボオンチップと呼ばれる、微細加工技術を利用した化学反応や分離、分析システムの微小化の研究が盛んになっており、マイクロチャネル(微細流路)上で各種の化学反応、特に生理学的反応を行うことが可能となっている。このシステムにおいては、微少量のサンプルを迅速分析できるため、この特長を生かした次期のバイオチップ、特に医療機関における診断用バイオチップとして商品化されることが期待されており、注目されている(これ以降、これらのシステムを、マイクロ分析チップと称する)。
このバイオチップや、マイクロ分析チップは、現在はガラス製のものが主流である。ガラス基板でマイクロ分析チップを作成するためには、たとえば、基板に金属、フォトレジスト樹脂をコートし、マイクロチャネルのパターンを焼いた後にエッチング処理を行う方法がある。その後、陽極接合などでガラス基板を張り合わせる(非特許文献1参照)。しかしガラスは大量生産に向かず非常に高コストであり、プラスチック化が望まれている。
プラスチック製のバイオチップやマイクロ分析チップは、種々のプラスチックを用いて射出成形等の各種の成形方法で製造することが可能であり、効率よく経済的なチップ製造が可能であるため、大量生産に向いている。しかしプラスチック製バイオチップもしくはマイクロ分析チップにはまだ技術上の欠点が多数あり、ガラス製に取って代わるだけの認知を得てはいない。たとえばマイクロ分析チップのように、必ずプラスチック基板同士を張り合わせる必要がある場合、張り合わせ処理法で最適な方式が見つかっていないことも、その理由のひとつである。
プラスチック製マイクロ分析チップにおける張り合わせ工程では、接着剤を用いるか、加熱や超音波やレーザーにより熱圧着するなどの方式で、主に張り合わせが行われている(特許文献1参照)。接着剤の使用は、基板の間より余剰分が出やすく、マイクロチャネルの封鎖、内壁の汚染が生じやすい。加熱による融着は、後述する過熱による生理活性物質の失活問題発生しやすい。超音波による熱圧着では数センチ角の面での熱溶着には不向きであり溶着不足が生じやすい。レーザー照射では、照射面ならともかく、二枚のプラスチックの張り合わせ面などプラスチックの中心部のみの過熱は非常に困難であり、実用に値しない。分析用のチップ、特にバイオチップへの応用を考える場合、検出用の部位に各種の物質、特に核酸、たんぱく質、抗体、糖鎖、糖タンパク、アプタマーをコーティングもしくは固定化する場合が多く、これらの生理活性物質は加熱に弱く化学的に失活する可能性があるため、高温にさらされる接合プロセスは、バイオチップ及びマイクロ分析チップの製造には不向きである。以上より、比較的低温で、接触面同士を完全に接着でき、プラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップの張り合わせに使用できる技術は、いまだ見出されていない。なお核酸やアプタマーよりも、たんぱく質や抗体はよりいっそう加熱に弱く、これらを利用したプラスチック製バイオチップの実用化のために低温接合技術はより重要になると考えられている。
本田、化学工学、66、2、p.71、2002 特開2002−139419号公報
本発明は、プラスチック製品を、低温で、かつ強固に張り合わせるためのプロセス及び装置を提供し、さらにはそれにより張り合わされた各種プラスチック製品、特にプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、常温常圧で気体である物質を3MPa以上の高圧にしてプラスチックに溶け込ませ、その状態でプラスチック同士又はプラスチックと非プラスチックを加圧ないしは固定することにより、比較的低温でしかも良好に接合することができることを見出した。またその接合を可能とする装置を考案し、さらにその応用用途の製品、特にプラスチック製バイオチップやプラスチック製マイクロ分析チップが実現可能であることを確認し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品とを接合する方法であって、
(1)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する工程、及び(2)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する工程、を有することを特徴とするプラスチックの接合方法、
(2)プラスチックからなる第1の部品と非プラスチックからなる第2の部品とを接合する方法であって、前記(1)項記載の(1)及び(2)と同様の工程を有することを特徴とするプラスチックの接合方法、
(3)常温常圧で気体である物質が、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧することによって超臨界状態もしくは亜臨界状態になるものであることを特徴とする(1)又は(2)記載のプラスチックの接合方法。
(4)常温常圧で気体である物質が、窒素、二酸化炭素、及び炭化水素から選ばれる少なくとも1つの物資である(1)〜(3)いずれか記載のプラスチックの接合方法。
(5)プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品とを接合するための装置であって、
(a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する手段、及び(b)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段、を有することを特徴とするプラスチック接合装置、
(6)プラスチックからなる第1の部品と非プラスチックからなる第2の部品とを接合するための装置であって、(5)記載の(a)及び(b)と同様の手段を有することを特徴とするプラスチック接合装置、
(7)(a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する手段が、耐圧チャンバーであることを特徴とする(5)又は(6)記載のプラスチック接合装置、
(8)(b)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段が、油圧式加圧装置、電気式加圧装置、ねじ式固定装置、及びばね式固定装置から選ばれる少なくとも1つの装置である(5)〜(7)いずれか記載のプラスチック接合装置、
(9)更に、(c)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気を保持する手段、を有する(5)〜(8)いずれか記載のプラスチック接合装置、
(10)(c)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気を保持する手段が、ガスボンベ及びポンプである(9)記載のプラスチック接合装置、
(11)更に、(d)常温常圧で気体である物質を3MPa以上に加圧する手段を有する(5)〜(10)いずれか記載のプラスチック接合装置、
(12)(d)常温常圧で気体である物質を3MPa以上に加圧する手段が、加圧ポンプである(11)記載のプラスチック接合装置、
(13)更に、(e)常温常圧で気体である物質を100℃以下の温度に加熱する加熱装置、を有する(5)〜(12)いずれか記載のプラスチック接合装置、
(14)(e)常温常圧で気体である物質を100℃以下の温度に加熱する加熱装置が、加熱用電熱ヒーターである(13)記載のプラスチック接合装置、
(15)(1)〜(4)いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製品、
(16)(1)〜(4)いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製のバイオチップ、
(17)核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、及び糖タンパクチップから選ばれる少なくとも1つである(16)記載のプラスチック製のバイオチップ、
(18)プラスチックからなる第1の部品が、表面に少なくとも1つのマイクロチャネルを有するマイクロチップ基板であり、(1)〜(4)いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製のマイクロ分析チップおよびバイオチップ、
である。
プラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップを張り合わせる場合、加熱による樹脂の張り合わせを行うと、たんぱく質や抗体などは加熱によりその生理活性を失活するため、加熱を伴う接合処理は利用できなかったが、本発明の方法は従来方式と比較して、100℃以下の比較的低温で貼り付け処理が可能であり、特にバイオ用プラスチック製チップの製造技術として有効な技術である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、比較的低温でプラスチック同士もしくはプラスチックと非プラスチックを良好に接合させるプロセス等に関するものである。以下に本発明のプロセスでプラスチック接合が可能である理由について簡単に説明する。気体は、高圧にすると、一般的にはプラスチック等の内部溶け込みやすくなる性質を持っている。特に高圧で超臨界流体もしくは亜臨界状態となった物質は、プラスチック等の各種の物質に容易に溶解するとされている。高圧ガスもしくは超臨界流体もしくは亜臨界物質で固体のプラスチックを処理すると、プラスチックはガスもしくは超臨界流体もしくは亜臨界物質を吸収し膨潤し、その結果プラスチック構成分子は動きやすく拡散しやすくなる。そしてその状態でプラスチック同士を接触させると、その接触面で互いの分子が拡散し絡み合いが生じると考えられる。その絡み合いの度合いが高くなった場合、バルクでの接合が達成されると考えられる。
以上はプラスチック同士に関する記述であるが、プラスチックと非プラスチックの接合に関してもほぼ同じ原理であると推定されている。本発明者はこの実験事実を見出し、さらにそのプロセスの利用方法を考案したものである。
本発明の接合方法は、プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品又は非プラスチックからなる第2の部品とを、(1)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、第1の部品又は第2の部品を処理する工程、及び(2)第1の部品と第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する工程を有する。第一工程の処理するタイミング、第二工程の加圧のタイミング、加圧の圧力等の運転条件に関しては、一切限定しない。
本発明に使用されるプラスチックとは、たとえば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、半硬化状態のフェノール樹脂、半硬化状態のエポキシ樹脂、その他各種の熱可塑性プラスチックの様に、融点とTgを有する高分子物質のことを示すが、その種類や重合度、融点やTgや弾性率などの物性に関して特に限定するものではない。
またプラスチック同士のみならず、プラスチックと非プラスチックに関してもこの手法で接合が可能であるが、ここでいう非プラスチックとは、ガラス、各種金属、各種セラミック、紙、木など、プラスチックに該当しないものや、あるいは完全硬化したフェノール樹脂や完全硬化したエポキシ樹脂もその範疇に入る。
本発明で使用される常温常圧で気体である物質は、目的のプラスチックを膨潤せしめるものであれば特に限定しない。比較的低温で超臨界状態、もしくは亜臨界状態となるものであればなお良い。具体的には、炭酸ガス、窒素、各種炭化水素、たとえばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン、プロピレン、フロン類などが好適に使用される。さらにはこれらの気体の混合物や、これらの気体に各種の炭化水素、たとえばヘキサン、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの若干沸点の高い炭化水素や、さらには水やアンモニア等の無機低分子物質を併用することも問題はない。
また、常温常圧で気体である物質を加圧する場合は3MPa以上が望ましい。それ以下の圧の場合は気体がプラスチックに吸収される量が少なく、プラスチックの接合が困難となる場合がある。
本発明に使用するプラスチック又は非プラスチックからなる部品の形状は、特に限定しない。接合部分の形状としては、平面状、曲面状、球面状、あるいはこれらの複合した形状等が挙げられる。
本発明のプラスチック接合装置は、(a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、プラスチックからなる第1の部品とプラスチック又は非プラスチックからなる第2の部品を処理する手段、及び(b)第1の部品と第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段、から構成される。
本発明の(a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、プラスチックからなる第1の部品とプラスチック又は非プラスチックからなる第2の部品を処理する手段、としては、(a)耐圧チャンバーであることが好ましい。
(a)耐圧チャンバーは、対象となるプラスチックを処理するための反応容器である。その容器の内部では、各種気体を3MPa以上の高圧で保持する能力が必須条件となる。それ以外の条件としては、超臨界状態または亜臨界状態にまで圧縮し保持する場合は、高圧及び、必要に応じ高温に耐えうる性能を要求される。例えば、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPa(73気圧)であり、これ以上の温度や圧力が要求される場合があると考えられる。またさらには一般に超臨界状態を保持するためには数十気圧〜数百気圧の気圧が必要であり、それに耐えうる耐圧設計で設計された耐圧チャンバーが必要である場合がある。対象とする各種の超臨界流体の種類によって、臨界温度や臨界圧力は異なるので、使用する流体の特性に合わせた設計が必要である。
本発明の(b)第1の部品と第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段は、プラスチック同士もしくは、プラスチックと非プラスチックをお互いに押し付けるための装置であり、油圧式加圧装置、電気式加圧装置、ねじ式固定装置、及びばね式固定装置から選ばれる少なくとも1つの装置であることが好ましい。単に押さえつけるだけの治具でも良く、あるいは積極的に加圧する装置でも問題ないが、超臨界流体により膨潤したプラスチック同士、またはプラスチックと非プラスチック同士を、比較的低温で押し付けあうことで溶着せしめる装置であるため、より望ましくは油圧式もしくは電気式の加圧装置にて強い圧力を引加する方が望ましい。
加圧する圧力は特に制限しないが、0〜100MPaが望ましく、より望ましくは0.1〜50MPaである。また、(b)加圧装置が(a)耐圧チャンバーの外部にあり、加圧装置の圧力をチャンバー内部の装置に伝達させることが必要な場合、加圧装置からの圧力伝達部と、耐圧チャンバーの接触面をシールして耐圧チャンバー内部の圧力を保持する機構を追加することが必要である。その機構に関しては特に限定はしないが、テフロン(登録商標)シールなど従来の手法が好適に使用される。
本発明の接合装置には、更に(c)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気を保持する手段を有することが好ましく、この手段としては、ガスボンベであることが好ましい。(c)ガスボンベは(a)耐圧チャンバーの外に設置されており、(a)耐圧チャンバー内で高圧処理される気体又は超臨界流体又は亜臨界物質を保管しておくための容器である。この保管装置の中では、目的の物質は、気体でも、液体でも、超臨界流体でも問題は無い。この装置は耐圧チャンバーに直接、あるいは他の装置を媒介として間接的に接続されており、最終的には耐圧チャンバーに目的の物質を送り込むこととなる。ガスボンベとしては、その構造や性状に関しては特に限定されないが、高圧ガスボンベがもっとも好適に使用される。その理由は、ボンベ内で加圧されているために比較的簡単に超臨界状態を得られることや、配管のつなぎ具合でガスでも液体でも導出できること、たとえばボンベ内のガス成分のところに配管を繋ぐとガスが出、ボンベ内の底に溜まった液体成分のところに配管を繋ぐと液体が出るという特徴があるためである。
本発明の接合装置には、更に、(d)常温常圧で気体である物質を3MPa以上に加圧する手段を有することがより好ましく、この手段としてはガス用の加圧ポンプ又は液体用の加圧ポンプであることが好ましい。(d)ガス用の加圧ポンプ又は液体用の加圧ポンプとは、(c)ガスボンベから送り出された気体もしくは液体もしくは超臨界流体を加圧し、所定の気圧もしくは超臨界状態もしくは亜臨界状態にまで加圧する装置を示す。装置の形状・構成等は特に限定はしないが、(c)ガスボンベからガスが送られる場合ならガスブースターポンプ、液体が送られる場合ならプランジャーポンプでの加圧が好適に使用される。
本発明の接合装置には、更に、(e)常温常圧で気体である物質を100℃以下の温度に加熱する加熱装置を有することが好ましいが、この加熱装置は特に限定しない。加熱装置としては一例としては加熱用の電熱ヒーター、オイルバス、ウオーターバスなどが上げられる。なおもっとも好適には加熱用電熱ヒーターが用いられる。(e)加熱装置は対象の気体を必要に応じて加温し、プラスチックへの相溶性を向上させることを目的とするものである。また気体を、必要に応じて超臨界状態もしくは亜臨界状態に保持するための装置でもある。特に(a)耐圧チャンバーや、各種配管部分、特に(c)ガスボンベ又は液剤保管タンクと(d)ガス用の加圧ポンプ又は液体用の加圧ポンプとを結ぶ配管や、(d)ガス用の加圧ポンプ又は液体用の加圧ポンプと(a)耐圧チャンバーを結ぶ配管部分などに設置されることが好ましい。対象の気体の種類によっては、加熱装置を使用しなくても常温で超臨界流体になるものもあるので、(e)加熱装置の設置場所や構造、能力等に関しても特に限定しない。
本発明の接合装置の全体像の代表例を図1〜3に示す。これらの図はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されるものではない。
図1に示す装置では、ガスボンベ4に二酸化炭素等に気体が保持され、ガスブースター5によって気体を3MPa以上に加圧し、バルブ7を介して耐圧チャンバー2に加圧された気体が導入される。加熱ジャケット6によって気体を100℃以下の温度に加温し、その雰囲気下で、2つのプラスチック基板(プラスチックサンプル1)を油圧加圧装置3によって加圧固定した状態で保持する。油圧加圧装置3と耐熱チャンバー2との接触面部はテフロン(登録商標)シール8によって気密に保持される。
図2に示す装置では、ガスボンベ14中に二酸化炭素等の液状気体が保持され、プランジャーポンプ15によって液体を3MPa以上に加圧し、バルブ17を介して耐圧チャンバー12に加圧された液体が導入される。加熱ジャケット16によって気体を100℃以下の温度に加温し、その雰囲気下で、2つのプラスチック基板(プラスチックサンプル11)を電動加圧装置13によって加圧固定した状態で保持する。電動加圧装置13と耐熱チャンバー12との接触面部はテフロン(登録商標)シール18によって気密に保持される。
図3に示す装置では、ガスボンベ24中に二酸化炭素等の気体が3MPa以上に加圧された状態で保持され、バルブ27を介して耐圧チャンバー22に加圧された気体が導入される。加熱ジャケット26によって気体を100℃以下の温度に加温し、その雰囲気下で、2つのプラスチック基板(プラスチックサンプル21)をねじ止め式固定装置23によって加圧固定した状態で保持する。
本発明のプラスチック接合方法を使用して各種のプラスチック部品、製品が得られる。本発明のプロセスで張り合わされることにより、低温で、汚染がなく、大面積のプラスチック部品を強固に接合できるという特徴がある。そこでそれを利用して製造されるプラスチック製品とは、たとえば食品用フィルムシート、薬品用フィルムシート、各種バイオチップ、各種分析用チップ(マイクロ分析チップ)などがあげられる。特に低温での接合を必須とされる各種プラスチック製バイオチップ及びマイクロ分析チップには有効であり、そのなかで核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、糖タンパクチップ等の生理活性物質をチップ表面又は内部に固定化している製品群が挙げられる。さらには表面に1つ以上のマイクロチャネル(微細流路)を有するプラスチック製のマイクロ分析チップおよびバイオチップなどもその対象となる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例)
2cm角で厚さ1mmの環状ポリオレフィンのシートに切削加工を施し、図4に示した様にマイクロ流路部32(線幅0.2mm、深さ0.1mm)と、スポット部31(5mm角、深さ0.2mm)、さらに貫通孔33(直径1mm)を設けた。このスポット部表面に3−アミノプロピルトリメトキシシラン1重量%の水溶液を塗布し、熱処理を施すことで表面にアミノ基を導入した。続いてグルタルアルデヒド1重量%の水溶液を塗布し、基板表面にアミノ基を介してアルデヒド基を導入した。末端にアミノ基を導入したオリゴヌクレオチド(オリゴ1)(24mer)の水溶液(0.1μg/μl)とエタノールを1:1で混合した溶液を基板のスポット上に塗布した。80℃で1時間熱処理した後、純水で洗浄した。その後、図5に示したように、上記加工基板41と、2cm角で厚さ1mmの環状ポリオレフィンの板42(マイクロ加工等のない平板)とを貼り付けてマイクロ分析チップを作成した。貼り付け方法は、図3に示した接合装置を用い、50℃、10MPaの超臨界二酸化炭素雰囲気下で、ばね式の固定装置(圧力1MPa)で加圧し、1時間処理して接合した。得られたマイクロ分析チップの評価方法は、下記の手順に従った。オリゴ1と相補的な配列で、末端にローダミン修飾を施したオリゴヌクレオチド(オリゴ2)を20ng/μlの濃度に調製した溶液を、シリンジポンプを利用してマイクロ分析チップに5分間流してハイブリダイゼーション反応を進行させた。チップは65℃に加温した状態で実験を行った。
(比較例)マイクロ分析チップの接合法として、熱プレス法(130℃で10分処理、プレスの圧力は30MPa、雰囲気は真空状態)を利用した以外は、実施例と同様にマイクロ分析チップを作成し、評価した。
(分析方法)
実施例及び比較例における蛍光量の計測には、Packard BioChip Technologies社製マイクロアレイスキャナ「ScanArray」を用いた。測定条件は、励起光555nm、測定波長570nm、レーザー出力90%、PMT感度45%、解像度30nmであった。
(評価結果)
表1に蛍光量の測定結果を示す。比較例は高温処理によってオリゴ1の劣化が起こりハイブリダイゼーション反応の検出量が減少したと判断された。

Figure 2006116803
本発明のプラスチック接合装置の一例を示す模式図である。 本発明のプラスチック接合装置の一例を示す模式図である。 本発明のプラスチック接合装置の一例を示す模式図である。 実施例、比較例におけるマイクロ分析チップの部品の形状を示す平面の模式図である。 実施例、比較例におけるマイクロ分析チップの構造を示す断面の模式図である。
符号の説明
1 プラスチックサンプル
2 耐圧チャンバー
3 油圧加圧装置
4 ガスボンベ
5 ガスブースターポンプ
6 加熱ジャケット
7 バルブ
8 テフロン(登録商標)シール
11 プラスチックサンプル
12 耐圧チャンバー
13 電動加圧装置
14 ガスボンベ
15 プランジャーポンプ
16 加熱ジャケット
17 バルブ
18 テフロン(登録商標)シール
21 プラスチックサンプル
22 耐圧チャンバー
23 ねじ止め式固定装置
24 ガスボンベ
26 加熱ジャケット
27 バルブ
31 スポット部
32 流路部
33 貫通孔
41 加工基板
42 未加工の基板

Claims (18)

  1. プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品とを接合する方法であって、
    (1)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する工程、及び(2)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する工程、を有することを特徴とするプラスチックの接合方法。
  2. プラスチックからなる第1の部品と非プラスチックからなる第2の部品とを接合する方法であって、請求項1記載の(1)及び(2)と同様の工程を有することを特徴とするプラスチックの接合方法。
  3. 常温常圧で気体である物質が、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧することによって超臨界状態もしくは亜臨界状態になるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチックの接合方法。
  4. 常温常圧で気体である物質が、窒素、二酸化炭素、及び炭化水素から選ばれる少なくとも1つの物資である請求項1〜3いずれか記載のプラスチックの接合方法。
  5. プラスチックからなる第1の部品とプラスチックからなる第2の部品とを接合するための装置であって、
    (a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する手段、及び(b)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段、を有することを特徴とするプラスチック接合装置。
  6. プラスチックからなる第1の部品と非プラスチックからなる第2の部品とを接合するための装置であって、請求項5の記載の(a)及び(b)と同様の手段を有することを特徴とするプラスチック接合装置。
  7. (a)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気下で、前記第1の部品又は前記第2の部品を処理する手段が、耐圧チャンバーであることを特徴とする請求項5又は6記載のプラスチック接合装置。
  8. (b)前記第1の部品と前記第2の部品とを100℃以下の温度で加圧もしくは固定する手段が、油圧式加圧装置、電気式加圧装置、ねじ式固定装置、及びばね式固定装置から選ばれる少なくとも1つの装置である請求項5〜7いずれか記載のプラスチック接合装置。
  9. 更に、(c)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気を保持する手段、を有する請求項5〜8いずれか記載のプラスチック接合装置。
  10. (c)常温常圧で気体である物質を、100℃以下の温度で3MPa以上に加圧した雰囲気を保持する手段が、ガスボンベである請求項9記載のプラスチック接合装置。
  11. 更に、(d)常温常圧で気体である物質を3MPa以上に加圧する手段を有する請求項5〜10いずれか記載のプラスチック接合装置。
  12. (d)常温常圧で気体である物質を3MPa以上に加圧する手段が、加圧ポンプである請求項11記載のプラスチック接合装置。
  13. 更に、(e)常温常圧で気体である物質を100℃以下の温度に加熱する加熱装置、を有する請求項5〜12いずれか記載のプラスチック接合装置。
  14. (e)常温常圧で気体である物質を100℃以下の温度に加熱する加熱装置が、加熱用電熱ヒーターである請求項13記載のプラスチック接合装置。
  15. 請求項1〜4いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製品。
  16. 請求項1〜4いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製のバイオチップ。
  17. 核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、及び糖タンパクチップから選ばれる少なくとも1つである請求項16記載のプラスチック製のバイオチップ。
  18. プラスチックからなる第1の部品が、表面に少なくとも1つのマイクロチャネルを有するマイクロチップ基板であり、請求項1〜4いずれか記載のプラスチックの接合方法によって接合されたプラスチック製のマイクロ分析チップおよびバイオチップ。
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