JP2006116736A - 耐食性に優れた塗装ステンレス鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 過酷な腐食環境においても赤錆の発生がなく、外装材,内装材,表装材等として有用な塗装ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】 チタン及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物が共存する化成皮膜を介してマグネシウム塩,リン酸塩を含む下塗り塗膜が設けられた塗装ステンレス鋼板である。チタン及び/又はジルコニウム化合物には、ヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸又はそれらの金属塩が使用される。リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,トリポリリン酸マグネシウムの一種又は二種以上がマグネシウム塩に、リン酸亜鉛,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸アルミニウム,リン酸カルシウムの一種又は二種以上がリン酸塩に使用される。
【選択図】 なし
【解決手段】 チタン及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物が共存する化成皮膜を介してマグネシウム塩,リン酸塩を含む下塗り塗膜が設けられた塗装ステンレス鋼板である。チタン及び/又はジルコニウム化合物には、ヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸又はそれらの金属塩が使用される。リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,トリポリリン酸マグネシウムの一種又は二種以上がマグネシウム塩に、リン酸亜鉛,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸アルミニウム,リン酸カルシウムの一種又は二種以上がリン酸塩に使用される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、塗膜欠陥が発生しやすい曲げ部や切断端面においても優れた耐食性が維持され、環境負荷の大きなクロム化合物を含まない塗装ステンレス鋼板に関する。
外装材,内装材,表装材等では、耐食性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板が塗装原板として従来から使用されている。しかし、大気汚染の進行に伴ってイオウ酸化物,窒素酸化物等による大気や雨水の酸性化が著しい昨今、塗装鋼板の平坦部,加工部,切断端面,塗膜疵付き部等の塗膜下で溶融亜鉛めっき層の腐食が促進され、内装建材,外装建材等としての耐久性が懸念される状況になってきている。たとえば、平坦部の耐食性は、Clイオン等の腐食性イオンが塗膜を透過して溶融亜鉛めっき層の腐食を促進させ、体積膨張した亜鉛系腐食生成物によって塗膜が押し上げられ、塗膜フクレとして観察される。
溶融亜鉛めっき鋼板よりも優れた耐食性を得るため、塗装原板,塗装前処理,塗膜組成等について広汎な検討が進められている。
塗装原板に関しては、平坦部や塗膜疵付き部の耐食性に優れた溶融Zn-Al系合金めっき鋼板,溶融Zn-Al-Mg合金めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板等が使用され始めているが、加工部や切断端面の耐食性は必ずしも満足されない。たとえば、塗装溶融Zn-55%Alめっき鋼板を曲げ加工すると、延性が乏しいZn-Al系合金めっき層にクラックが発生し、クラックを介して露出した下地鋼が腐食の起点となりやすい。溶融アルミニウムめっき鋼板でも、延性に乏しいFe-Al-Si合金層に発生したクラックがAl-Siめっき層に伝播し、腐食発生の起点になる傾向がみられる。
塗装原板に関しては、平坦部や塗膜疵付き部の耐食性に優れた溶融Zn-Al系合金めっき鋼板,溶融Zn-Al-Mg合金めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板等が使用され始めているが、加工部や切断端面の耐食性は必ずしも満足されない。たとえば、塗装溶融Zn-55%Alめっき鋼板を曲げ加工すると、延性が乏しいZn-Al系合金めっき層にクラックが発生し、クラックを介して露出した下地鋼が腐食の起点となりやすい。溶融アルミニウムめっき鋼板でも、延性に乏しいFe-Al-Si合金層に発生したクラックがAl-Siめっき層に伝播し、腐食発生の起点になる傾向がみられる。
めっき層欠陥部を起点とする腐食は、自己修復作用のある化成皮膜をめっき層表面に形成する塗装前処理により抑制される。自己修復作用のある化成皮膜は、代表的には六価Cr→三価Crの酸化還元反応を利用したクロメート処理で形成されているが、クロメート処理では環境に有害な六価Crの溶出が懸念されることから、クロムフリーの化成皮膜に置き換えられる傾向にある。本出願人は、Ti,Zr等のバルブメタルのフッ化物を含むクロムフリーの化成皮膜を開発している(特許文献1,2)。化成皮膜に含まれるバルブメタルのフッ化物は、腐食性雰囲気に溶出した後で難溶性の化合物となって再析出することにより欠陥部を自己修復する。
特開2002-30458号公報
特開2002-38280号公報
なかでも、溶融Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を塗装原板に用い、クロムフリー系の塗装を施すと、加工部や切断端面においても優れた耐食性を呈する。優れた耐食性は、めっき層欠陥部や切断端面等の下地露出部を覆う緻密で難溶性のMg系腐食生成物に由来すると考えられ、腐食抑制機能のある腐食生成物の生成に必要なMgを下塗り塗膜から補給しても同様に加工部や切断端面の耐食性が改善される。本発明者等は、かかる観点から下塗り塗膜にマグネシウム塩を配合した塗装Zn-Al系合金めっき鋼板(特許文献3),塗装アルミニウムめっき鋼板(特許文献4)を提案している。
特願2003-411501号
特願2004-75704号
本発明者等は、化成皮膜のチタン及び/又はジルコニウム化合物と下塗り塗膜のマグネシウム塩が共存する系で優れた耐食性が発現する現象を更に調査・検討した。その結果、チタン及び/又はジルコニウム化合物とマグネシウム塩との共存に由来する耐食性向上効果は、亜鉛系,アルミニウム系等のめっき鋼板に留まらずステンレス鋼板を塗装原板とする場合でも有効であることが判った。そればかりか、ステンレス鋼板を塗装原板に使用した場合、ステンレス鋼特有の隙間腐食も防止されることを見出した。
本発明は、かかる知見をベースに完成されたものであり、チタン及び/又はジルコニウム化合物を含む化成皮膜とマグネシウム塩,リン酸塩を含む下塗り塗膜とを組み合わせることにより、加工部や切断端面の耐食性を向上させると共に、隙間腐食も抑制された塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明の塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板を塗装原板に使用し、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物とを含む化成皮膜を介し、マグネシウム塩,リン酸塩が配合された下塗り塗膜が設けられている。
チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物としては、ヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸及びそれらの金属塩から選ばれた一種又は二種以上が使用される。
チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物としては、ヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸及びそれらの金属塩から選ばれた一種又は二種以上が使用される。
マグネシウム塩には、リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,トリポリリン酸マグネシウムの一種又は二種以上が使用される。リン酸塩には、リン酸亜鉛,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸アルミニウム,リン酸カルシウムの一種又は二種以上が使用される。
化成皮膜は、有機・無機複合皮膜であっても良い。複合皮膜の有機樹脂としては、フェノール樹脂,アクリル樹脂,アクリルオレフィン樹脂,ポリウレタン樹脂から選ばれた一種又は二種以上が使用される。
化成皮膜は、有機・無機複合皮膜であっても良い。複合皮膜の有機樹脂としては、フェノール樹脂,アクリル樹脂,アクリルオレフィン樹脂,ポリウレタン樹脂から選ばれた一種又は二種以上が使用される。
本発明の塗装ステンレス鋼板では、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物とを含む化成皮膜が下地のステンレス鋼板表面に形成されている。化成皮膜は、下地のステンレス鋼板に強固に付着しており、曲げ加工等によってもステンレス鋼板から剥離し難い。仮に剥離した場合にあっても、皮膜欠陥部が自己修復作用によって補修され、腐食性雰囲気から下地のステンレス鋼板を保護する環境遮断能が持続される。
しかも、下塗り塗膜にマグネシウム塩,リン酸塩が配合されているので、塗膜割れの結果として露出した化成皮膜又はステンレス鋼板表面にMg,リン酸が供給され保護皮膜が再生される。したがって、塗膜の割れ部を介した化成皮膜又はステンレス鋼板表面への腐食性イオンの侵入がなくなり、塗膜下腐食や隙間腐食が防止される。
因みに、シリカ系皮膜を介して塗膜をステンレス鋼板表面に設けた場合、シリカ系皮膜の密着性が劣るため加工部でステンレス鋼板表面から塗膜が浮き上がりやすく、場合によっては剥離・脱落に近い現象が生じることがある。この状態の曲げ加工部に腐食性イオンが侵入すると、化成皮膜の浮上り部でステンレス鋼板の隙間腐食が進行する。一旦侵入した腐食性イオンは化成皮膜の浮上り部から系外に流出しがたいので、隙間部で腐食性イオンの濃度が上昇して隙間腐食が加速される。
因みに、シリカ系皮膜を介して塗膜をステンレス鋼板表面に設けた場合、シリカ系皮膜の密着性が劣るため加工部でステンレス鋼板表面から塗膜が浮き上がりやすく、場合によっては剥離・脱落に近い現象が生じることがある。この状態の曲げ加工部に腐食性イオンが侵入すると、化成皮膜の浮上り部でステンレス鋼板の隙間腐食が進行する。一旦侵入した腐食性イオンは化成皮膜の浮上り部から系外に流出しがたいので、隙間部で腐食性イオンの濃度が上昇して隙間腐食が加速される。
チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物とを含む化成皮膜とマグネシウム塩,リン酸塩を含む下塗り塗膜との組合せは、塗装ステンレス鋼板の切断端面を腐食から保護する上でも有効である。端面腐食は、化成皮膜や下塗り塗膜で覆われていない切断端面が腐食性雰囲気に曝されることが原因であるが、本発明の塗装ステンレス鋼板では下塗り塗膜から溶出したマグネシウム塩,リン酸塩が切断端面に再析出することにより腐食抑制機能のある保護皮膜が切断端面に形成され、切断端面の耐食性が向上する。しかも、ステンレス鋼板に対する化成皮膜の密着性が高いため、ステンレス鋼板/化成皮膜の界面への腐食性イオンの侵入が確実に抑えられ、切断端面を起点とする下塗り塗膜の浮上りがなく、切断端面近傍の隙間腐食も防止される。
塗装原板には、鋼種に格別の制約が加わるものではなく、従来から外装建材,内装建材,各種構造材等として用いられているフェライト系,オーステナイト系,マルテンサイト系,二相系等、各種ステンレス鋼板を使用できる。
ステンレス鋼板には、化成処理に先立って脱脂,酸洗,表面調整,洗浄等が施される。清浄化されたステンレス鋼板表面に化成処理液を塗布し、水洗することなく乾燥させると自己修復作用があり密着性に優れた化成皮膜が形成される。
ステンレス鋼板には、化成処理に先立って脱脂,酸洗,表面調整,洗浄等が施される。清浄化されたステンレス鋼板表面に化成処理液を塗布し、水洗することなく乾燥させると自己修復作用があり密着性に優れた化成皮膜が形成される。
化成処理液には、環境負荷の大きなクロムを含まないクロムフリー化成処理液が使用される。この種の化成処理液としては、エッチング作用のあるチタン化合物,フッ化物,有機樹脂を含む処理液(特許文献2),同様にエッチング作用のあるチタン化合物,ジルコニウム化合物,フッ化物を含む処理液(特許文献1)等がある。たとえば、ヘキサフルオロチタン酸(H2TiF6),ヘキサフルオロジルコニウム酸(H2ZrF6)及びそれらの金属酸塩等のフッ化物をプロポキシプロパノール(有機樹脂)に溶解したアミノメチル置換ポリビニルフェノールの水溶液として用意される。
チタン化合物,フッ化物,フェノール樹脂を含む有機-無機複合皮膜をクロムフリー皮膜として形成する場合、チタン化合物をTi換算付着量で1〜100mg/m2,フッ化物をF換算付着量で1〜200mg/m2の範囲に調整することが好ましい。チタン化合物は、塗装原板のステンレス鋼板表面から溶出したCr,Ni,Mo等の金属イオンと反応し,耐食性に優れた化成皮膜を形成する。有機樹脂を含む系では、チタン化合物,ジルコニウム化合物,Cr,Ni,Mo等の金属イオンが有機樹脂と反応し、難溶性の有機-無機複合皮膜を形成する。以下、有機-無機複合皮膜を例にとって説明するが、有機樹脂を含まない化成皮膜でも同様な機構で耐食性,塗膜密着性等が改善される。
少なすぎるチタン化合物では有機-無機複合皮膜の性能が劣り、優れた塗膜密着性,耐食性が得られない。逆に過剰量のチタン化合物では、有機-無機複合皮膜の性能改善効果が飽和し、却って塗装後の加工性や塗膜密着性が低下することにもなる。多すぎるチタン化合物は、化成処理コストからも好ましくない。フッ化物は化成処理液中でフッ素イオンに解離し、ステンレス鋼表面の表面に接触した状態では化成処理液中の酸成分と共にステンレス鋼表面をエッチングし不動態皮膜を高耐食性に改質する作用を呈する。フッ素イオンが少ないとエッチングが不足し、ステンレス鋼表面に対する有機-無機複合皮膜の密着性が低下する。逆に多すぎるフッ素イオンでは、過剰量の溶出金属が皮膜に取り込まれ、有機-無機複合皮膜が脆くなり、ステンレス鋼表面に対する有機-無機複合皮膜の密着性が低下する。
有機-無機複合皮膜は、チタン化合物に替え、或いは更にZr換算付着量で0.1〜30mg/m2のジルコニウム化合物を含むことができる。ジルコニウム化合物は、チタン化合物と同様な作用を呈し、ステンレス鋼表面から溶出したCr,Ni,Mo等の金属イオンと共に有機樹脂と反応し、難溶性の有機−無機複合皮膜を形成する。ジルコニウム化合物の付着量が少ないと密着性,耐食性に及ぼす効果が十分でないが、過剰量のジルコニウム化合物では塗装後の加工性や塗膜密着性が低下し、化成処理コストも高くなる。
化成処理後、クロムフリー化成皮膜の上に下塗り塗膜が設けられる。下塗り用の塗料組成物は、エポキシ,エポキシ・ウレタン,ポリエステル,アクリル,エポキシ変性ポリエステル,フェノキシ等をベース樹脂とし、マグネシウム塩,リン酸塩等の非クロム系防錆顔料を配合することにより調製される。マグネシウム塩,リン酸塩は、塗膜欠陥部では化成皮膜中のチタン化合物及び/又はジルコニウム化合物と反応し難溶性の皮膜を形成し、切断端面では溶出・再析出により腐食性雰囲気から切断端面を遮断する保護膜を形成する。
マグネシウム塩系防錆顔料にはリン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,トリポリリン酸マグネシウム等があり、リン酸塩系防錆顔料にはリン酸亜鉛,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸アルミニウム,リン酸カルシウム等がある。
非クロム系防錆顔料は、塗料不揮発分に対し2〜50質量%(好ましくは、5〜40質量%)の割合で添加することが好ましい。2質量%以上の添加量で防錆効果が得られるが、50質量%を超える過剰量の非クロム系防錆顔料を添加すると塗装後の加工性や塗膜密着性が低下することがある。下塗り塗料には、非クロム系防錆顔料の他に酸化チタン等の着色顔料,シリカ,炭酸カルシウム,硫酸バリウム等の体質顔料,有機ビーズ,有機樹脂粉末,無機骨材等の各種添加剤が必要に応じて配合される。ベース樹脂の分子量,ガラス転位温度,顔料,骨材の配合量等は、塗装鋼板の用途に応じて適宜調整される。
非クロム系防錆顔料は、塗料不揮発分に対し2〜50質量%(好ましくは、5〜40質量%)の割合で添加することが好ましい。2質量%以上の添加量で防錆効果が得られるが、50質量%を超える過剰量の非クロム系防錆顔料を添加すると塗装後の加工性や塗膜密着性が低下することがある。下塗り塗料には、非クロム系防錆顔料の他に酸化チタン等の着色顔料,シリカ,炭酸カルシウム,硫酸バリウム等の体質顔料,有機ビーズ,有機樹脂粉末,無機骨材等の各種添加剤が必要に応じて配合される。ベース樹脂の分子量,ガラス転位温度,顔料,骨材の配合量等は、塗装鋼板の用途に応じて適宜調整される。
下塗り塗膜は、下地の隠蔽,塗膜密着性,耐食性のため3μm以上の膜厚で形成することが好ましい。しかし、20μmを超える厚膜では、塗料消費量が多くなることは勿論、塗装鋼板の加工時に塗膜剥離が生じやすくなる。
下塗り塗料の上に、好ましくは10〜300μmの上塗り塗膜が設けられる。上塗り用には、ポリエステル,ウレタン,アクリル,シリコーン変性ポリエステル,シリコーンアクリル,ポリ塩化ビニル,ポリフッ化ビニリデン-アクリル等の熱硬化性又は熱可塑性樹脂をベースとし,必要に応じ着色顔料,体質顔料,有機系骨材,無機系骨材,メタリック粉末,潤滑剤,汚れ防止剤,防かび剤,紫外線吸収剤,光安定剤(酸化防止剤),光触媒粒子,艶消し剤等の各種添加剤が配合した塗料組成物が使用される。該塗料組成物には、下塗り塗料と同様にマグネシウム塩,リン酸塩系防錆顔料の一種又は二種以上を添加しても良い。
下塗り塗料の上に、好ましくは10〜300μmの上塗り塗膜が設けられる。上塗り用には、ポリエステル,ウレタン,アクリル,シリコーン変性ポリエステル,シリコーンアクリル,ポリ塩化ビニル,ポリフッ化ビニリデン-アクリル等の熱硬化性又は熱可塑性樹脂をベースとし,必要に応じ着色顔料,体質顔料,有機系骨材,無機系骨材,メタリック粉末,潤滑剤,汚れ防止剤,防かび剤,紫外線吸収剤,光安定剤(酸化防止剤),光触媒粒子,艶消し剤等の各種添加剤が配合した塗料組成物が使用される。該塗料組成物には、下塗り塗料と同様にマグネシウム塩,リン酸塩系防錆顔料の一種又は二種以上を添加しても良い。
上塗り塗料をロールコータ等で塗布し焼き付けると、上塗り塗膜が下塗り塗膜に積層される。上塗り塗膜に替え、樹脂フィルムの貼付けで上層樹脂膜を形成しても良い。
このように、ステンレス鋼板の表面に有機-無機複合皮膜を介して非クロム系の下塗り塗膜を形成するとき、従来のクロメート皮膜の上にクロム系下塗り塗膜を設けた塗装ステンレス鋼板に匹敵する塗膜密着性,加工性が得られる。しかも、クロムを含んでいないことから、環境に優しい素材として種々の分野で使用される。
このように、ステンレス鋼板の表面に有機-無機複合皮膜を介して非クロム系の下塗り塗膜を形成するとき、従来のクロメート皮膜の上にクロム系下塗り塗膜を設けた塗装ステンレス鋼板に匹敵する塗膜密着性,加工性が得られる。しかも、クロムを含んでいないことから、環境に優しい素材として種々の分野で使用される。
板厚:0.4mmのSUS304ステンレス鋼2D仕上げ材を塗装原板に使用した実施例で本発明を具体的に説明するが、他の鋼種のステンレス鋼板や仕上げが異なるステンレス鋼板に対しても同様に適用されることは勿論である。
〔表面調整〕
ステンレス鋼板に、液温65℃のアルカリ脱脂水溶液(サーフクリーナー1089N-1:日本ペイント株式会社製)をスプレーして5秒間接触させた後、湯洗・水洗により洗浄して乾燥した。更に、液温:60℃のリン酸塩水溶液(サーフダインZS9100:日本ペイント株式会社製)をスプレーして5秒間接触させた後、湯洗・水洗で洗浄し乾燥した。
〔表面調整〕
ステンレス鋼板に、液温65℃のアルカリ脱脂水溶液(サーフクリーナー1089N-1:日本ペイント株式会社製)をスプレーして5秒間接触させた後、湯洗・水洗により洗浄して乾燥した。更に、液温:60℃のリン酸塩水溶液(サーフダインZS9100:日本ペイント株式会社製)をスプレーして5秒間接触させた後、湯洗・水洗で洗浄し乾燥した。
〔化成処理〕
ヘキサフルオロチタン酸:55g/l,ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/l,アミノメチル置換ポリビニルフェノール:72g/lを含む温度20℃の塗布型クロムフリー化成処理液を表面調整後のステンレス鋼表面に塗布し、水洗することなく100℃で乾燥した。乾燥後のステンレス鋼表面を分析すると、Ti換算付着量:8mg/m2のチタン化合物,Zr換算付着量:2mg/m2のジルコニウム化合物,F換算付着量:16mg/m2のフッ化物,ポリビニルフェノール換算付着量:32mg/m2の有機成分を含む有機-無機複合皮膜が形成されていた。
ヘキサフルオロチタン酸:55g/l,ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/l,アミノメチル置換ポリビニルフェノール:72g/lを含む温度20℃の塗布型クロムフリー化成処理液を表面調整後のステンレス鋼表面に塗布し、水洗することなく100℃で乾燥した。乾燥後のステンレス鋼表面を分析すると、Ti換算付着量:8mg/m2のチタン化合物,Zr換算付着量:2mg/m2のジルコニウム化合物,F換算付着量:16mg/m2のフッ化物,ポリビニルフェノール換算付着量:32mg/m2の有機成分を含む有機-無機複合皮膜が形成されていた。
比較のため、チタン化合物,ジルコニウム化合物を含まない水分散性シリカ及びフェノール樹脂を含む温度20℃の塗布型クロムフリー化成処理液を表面調整後のステンレス鋼表面に塗布し、水洗することなく100℃で乾燥したところ、Si換算付着量:70mg/m2の化合物を含む有機-無機複合皮膜が形成されていた。また、塗布型クロメート処理液(サーフコートNRC300NS:日本ペイント株式会社製)をロールコーターで塗布し、水洗することなく100℃で乾燥させたところ、全Cr換算付着量:25mg/m2のクロメート皮膜が形成されていた。
〔下塗り塗装〕
エポキシ樹脂をベースとし、防錆顔料の他に酸化チタン(着色顔料),硫酸バリウム(体質顔料),シリカ粉末(体質顔料)を配合した下塗り塗料を化成処理後の塗装原板に塗布し、215℃の乾燥・焼付けにより乾燥膜厚:5μmの下塗り塗膜を形成した。
チタン化合物,ジルコニウム化合物,フッ化物,有機成分を含む有機-無機複合皮膜が設けられた塗装原板には、リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,リン酸亜鉛,トリポリリン酸アルミニウムを配合したクロムフリー下塗り塗料を塗布した。
エポキシ樹脂をベースとし、防錆顔料の他に酸化チタン(着色顔料),硫酸バリウム(体質顔料),シリカ粉末(体質顔料)を配合した下塗り塗料を化成処理後の塗装原板に塗布し、215℃の乾燥・焼付けにより乾燥膜厚:5μmの下塗り塗膜を形成した。
チタン化合物,ジルコニウム化合物,フッ化物,有機成分を含む有機-無機複合皮膜が設けられた塗装原板には、リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,リン酸亜鉛,トリポリリン酸アルミニウムを配合したクロムフリー下塗り塗料を塗布した。
比較のため、同様な有機-無機複合皮膜を設けた塗装原板に変性シリカ配合クロムフリー下塗り塗料を塗布した。また、クロムフリー系の比較として、チタン化合物,ジルコニウム化合物を含まない有機-シリカ複合皮膜が形成された塗装原板に、リン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,リン酸亜鉛,トリポリリン酸アルミニウムを配合したクロムフリー下塗り塗料を塗布した。クロム系の比較として、クロメート皮膜が形成された塗装原板に、クロム酸ストロンチウムを配合したクロメート系下塗り塗料を塗布した。下塗り塗膜に含まれる防錆顔料の種類及び配合量を表1に示す。
〔上塗り塗装〕
次いで、シリコーン変性ポリエステル樹脂をベースとする上塗り塗料を塗布し、230℃の乾燥・焼付けにより乾燥膜厚15μmの上塗り塗膜を下塗り塗膜に積層した。
作製された各塗装鋼板から試験片を切り出し、評価対象の塗膜面を外側に設定して20℃の室内で2t曲げ加工した後、塗膜密着性試験,促進腐食試験,屋外暴露腐食試験に供した。
次いで、シリコーン変性ポリエステル樹脂をベースとする上塗り塗料を塗布し、230℃の乾燥・焼付けにより乾燥膜厚15μmの上塗り塗膜を下塗り塗膜に積層した。
作製された各塗装鋼板から試験片を切り出し、評価対象の塗膜面を外側に設定して20℃の室内で2t曲げ加工した後、塗膜密着性試験,促進腐食試験,屋外暴露腐食試験に供した。
〔塗膜密着性試験〕
50mm×50mmの試験片を曲げ加工し、曲げ部に対する粘着テープの貼付け・引剥がしにより塗膜の剥離状況を観察した。剥離しなかった塗膜を◎,5%以下の剥離が発生した塗膜をO,5〜20%の剥離が発生した塗膜を△,21%以上剥離が発生した塗膜を×として塗膜密着性を評価した。
なお、加工ままの状態においては、何れの塗膜構成でも化成皮膜のクラックが下塗り,上塗り塗膜に伝播して塗膜のクラックが加工部に視認されたが、塗膜自体に剥離等の異常は生じていなかった。
50mm×50mmの試験片を曲げ加工し、曲げ部に対する粘着テープの貼付け・引剥がしにより塗膜の剥離状況を観察した。剥離しなかった塗膜を◎,5%以下の剥離が発生した塗膜をO,5〜20%の剥離が発生した塗膜を△,21%以上剥離が発生した塗膜を×として塗膜密着性を評価した。
なお、加工ままの状態においては、何れの塗膜構成でも化成皮膜のクラックが下塗り,上塗り塗膜に伝播して塗膜のクラックが加工部に視認されたが、塗膜自体に剥離等の異常は生じていなかった。
〔塩水噴霧試験:CASS〕
塩水噴霧試験では、5%NaCl水溶液に塩化銅:0.26g/lを添加し、酢酸でpH3.1〜3.3に調整した腐食液を用い、49℃の雰囲気で腐食液を70mm×170mmの試験片に連続噴霧した後、480時間後に曲げ部,切断端面を観察した。
〔複合サイクル腐食試験:CCT〕
〔5%NaC1腐食液噴霧(35℃×1時間,pH7)→乾燥(50℃×4時間)→湿潤(50℃×3時間,相対湿度98%)〕を1サイクルとする腐食試験を90サイクル繰り返した後、曲げ部,切断端面を観察した。
塩水噴霧試験では、5%NaCl水溶液に塩化銅:0.26g/lを添加し、酢酸でpH3.1〜3.3に調整した腐食液を用い、49℃の雰囲気で腐食液を70mm×170mmの試験片に連続噴霧した後、480時間後に曲げ部,切断端面を観察した。
〔複合サイクル腐食試験:CCT〕
〔5%NaC1腐食液噴霧(35℃×1時間,pH7)→乾燥(50℃×4時間)→湿潤(50℃×3時間,相対湿度98%)〕を1サイクルとする腐食試験を90サイクル繰り返した後、曲げ部,切断端面を観察した。
〔屋外暴露腐食試験〕
屋外暴露腐食試験では、促進腐食試験とは逆に、腐食性飛来物を含む雨水が溜まりやすい下部の腐食が促進される状況になる。そこで、塗装ステンレス鋼板の下部塗膜面を外側に保持して2t折曲げ加工した100mm×200mmの試験片を用意した。千葉県市川市の東京湾岸から約5m内陸にある暴露試験場で一ヶ月間屋外暴露試験した後、曲げ部,切断端面を観察した。
屋外暴露腐食試験では、促進腐食試験とは逆に、腐食性飛来物を含む雨水が溜まりやすい下部の腐食が促進される状況になる。そこで、塗装ステンレス鋼板の下部塗膜面を外側に保持して2t折曲げ加工した100mm×200mmの試験片を用意した。千葉県市川市の東京湾岸から約5m内陸にある暴露試験場で一ヶ月間屋外暴露試験した後、曲げ部,切断端面を観察した。
塩水噴霧試験,複合サイクル腐食試験,屋外暴露試験の何れにおいても、試験片表面に赤錆が発生しなかった試験片を◎,発生した赤錆の面積率が10%以下を○,10〜20%を△,20%を超える面積率で赤錆が発生した試験片を×として曲げ部,切断端面の耐食性を評価した。
表2の試験結果にみられるように、チタン化合物,ジルコニウム化合物とフッ化物を含むクロムフリー化成皮膜をマグネシウム塩,リン酸塩等のクロムフリー防錆顔料が配合された下塗り塗膜と組み合わせた試験番号1〜5(本発明例)では、塩水噴霧試験,複合サイクル腐食試験,屋外暴露試験の何れにおいても従来のクロメート系の試験番号8(比較例)に匹敵する加工部耐食性,端面耐食性が得られた。
同じクロムフリー化成処理液を用いても変性シリカを防錆顔料として配合した下塗り塗膜を設けた試験番号6(比較例)では、耐食性が不足しており、切断端面での赤錆発生が顕著であった。また、シリカ,有機樹脂系の化成皮膜を設けた試験番号7(比較例)では、塗膜密着性,加工部耐食性の何れにも劣っていた。
以上の例では、フッ化物と共にチタン化合物,ジルコニウム化合物の両者を含む化成皮膜を介して下塗り塗料を設けた場合を説明したが、チタン化合物,ジルコニウム化合物の何れか一方をフッ化物と共存させた化成皮膜でも同様に優れた耐食性,塗膜密着性が得られた。また、有機-無機複合皮膜に替えて有機樹脂を含まない化成皮膜を形成した場合でも、耐食性,塗膜密着性に優れた塗装ステンレス鋼板が製造された。
以上に説明したように、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物とを含む化成皮膜をマグネシウム塩及びリン酸塩が配合された下塗り塗膜とを組み合わせることによって、腐食抑制機能のあるMg,Ti,Zr系等の腐食生成物が緻密なバリア層となり、塗膜欠陥部や切断端面が被覆される。その結果、製品形状に加工する際に塗膜に亀裂や剥離が発生しても、下地鋼の露出表面や切断端面が腐食起点になることが抑えられ、ステンレス鋼板本来の優れた耐食性が長期にわたって維持され、ステンレス鋼特有の隙間腐食も抑制される。化成皮膜により塗膜の密着性も改善されているので、過酷な腐食環境に曝される外装材,内装材,表装材等として広範な分野に使用される。しかも、化成皮膜,塗膜共にクロム化合物を含んでいないため、環境保全が重視される傾向に適した素材となる。
Claims (5)
- チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物とフッ化物とを含む化成皮膜を介し、マグネシウム塩及びリン酸塩を含む下塗り塗膜がステンレス鋼表面に形成されていることを特徴とする耐食性に優れた塗装ステンレス鋼板。
- チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物がヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸及びそれらの金属塩から選ばれた一種又は二種以上である請求項1記載の塗装ステンレス鋼板。
- 化成皮膜がフェノール樹脂,アクリル樹脂,アクリルオレフィン樹脂,ポリウレタン樹脂から選ばれた一種又は二種以上の有機樹脂を含む有機・無機複合皮膜である請求項1記載の塗装ステンレス鋼板。
- マグネシウム塩がリン酸水素マグネシウム,リン酸マグネシウム,トリポリリン酸マグネシウムの一種又は二種以上である請求項1記載の塗装ステンレス鋼板。
- リン酸塩がリン酸亜鉛,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸アルミニウム,リン酸カルシウムの一種又は二種以上である請求項1記載の塗装ステンレス鋼板。
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-
2004
- 2004-10-19 JP JP2004304419A patent/JP2006116736A/ja not_active Withdrawn
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