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JP2006108615A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

電磁アクチュエータ Download PDF

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JP2006108615A JP2005051702A JP2005051702A JP2006108615A JP 2006108615 A JP2006108615 A JP 2006108615A JP 2005051702 A JP2005051702 A JP 2005051702A JP 2005051702 A JP2005051702 A JP 2005051702A JP 2006108615 A JP2006108615 A JP 2006108615A
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Yasuhiro Matsumoto
本 泰 弘 松
Nobutaka Kubota
信 孝 久保田
Takashi Noda
田 岳 志 野
Kazuhiro Matsuo
尾 和 宏 松
Kenji Kato
藤 健 二 加
Mitsutaka Honma
間 三 孝 本
Kosei Wakabayashi
林 孝 生 若
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Abstract

【課題】 磁束漏れを少なくして、高効率の電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】 電磁アクチュエータは、第1のコイル31と、第1のコイル31の中心軸上を移動する可動子2と、前記第1のコイル31の上面、下面、および外周面を覆う第1の固定子11と、可動子2をその可動区間の終端で固着ラッチする永久磁石15とを備えている。第1の固定子11に連続して、永久磁石15からの磁束を制御する第2の固定子12が設けられている。この第2の固定子12を設けたことにより、固着ラッチ状態の可動子2を解放するとき、永久磁石15に対して直接逆励磁することはなく、永久磁石11が減磁しない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、近接する電子機器や磁性体部材へ悪影響を及ぼさない電磁アクチュエータに関する。
従来、永久磁石により吸引状態を保持する電磁アクチュエータとして、いくつかの構成の物が提案されている。
その一つの電磁アクチュエータは、図38に示すように固定子1と可動子2とを有し、固定子1と可動子2はその対称軸を境にした断面が「日」の字状の磁気回路を形成している。日の字の2つの空間にそれぞれコイル31、32が設けられ、中央の線に相当する半径方向突出部14に、磁化した永久磁石15が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
図38において、第1の空隙41の空隙長が第2の空隙42の空隙長よりも小さいために永久磁石15が生成する磁束は第1の空隙41を含む磁気回路に多く流れ、これにより左向きの磁気吸引力が可動子2に発生して可動子2を左のラッチ位置に固定することが出来る。ラッチを解除するときにはコイル31、32に電流を流し、第1の空隙41の磁束を減じ、第2の空隙42の磁束を増加させ、可動子2を左方向に移動させる駆動力を発生させる。
また別の電磁アクチュエータは、図39に示すようにコイル3と前記コイル3の中心軸上を移動する可動子2と、前記コイル3の上面、下面、および外周面を覆うように設けた固定子1とを有している。永久磁石15が前記固定子1と前記可動子2で囲まれた空隙に配置され、前記永久磁石15が発生する磁界によって前記可動子2を前記固定子1に吸着させている(例えば、特許文献2参照)。
図39において、ラッチを解除するときにはコイル3に電流を流し、永久磁石15の磁束を減じ、可動子2に働く下向きの吸引力を減じればラッチが解除され、負荷により可動子2は上昇する。
特開平7−37461号広報 特開2002−289430号広報
前述した特許文献1に記載の電磁アクチュエータにおいて、コイル31、32が作る磁路中に永久磁石15が設けられているため、ラッチ解除時に永久磁石15を直接逆励磁する事になり、減磁する可能性があるという問題がある。
また、特許文献2に記載の電磁アクチュエータにおいて、永久磁石15の発生する磁束がアクチュエータの外部に漏れ、近接する電子機器や磁性体部材に悪影響を及ぼす可能性があるという問題がある。
また、電磁アクチュエータは高効率であることが望まれており、作動時の電流は出来るだけ少なくしたいという要望がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、コイルの発生する磁束がラッチ解除時に永久磁石を逆励磁して減磁する可能性がなく、かつ、永久磁石の磁束もれを最小限にして、近接する電子機器や磁性体部材へ悪影響を及ぼさない電磁アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明は、第1のコイルと、第1のコイルの中心軸に沿って移動する円筒状の可動子と、第1のコイルの上面に設けられた第1の板材と、第1のコイルの下面に設けられた第1の中空板材と、第1のコイルの外周面を覆う第1の円筒とを有する第1の固定子と、可動子を移動端部で固着する永久磁石と、第1の固定子に連続して設けられ、永久磁石の磁束を制御する第2の固定子と、を備えたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第2の固定子は第1の固定子の第1の中空板材に連続する第2の円筒と、第2の円筒の永久磁石側端部に設けられた第2の中空板材と、第2の円筒内に配置された内円筒とを有することを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子はプランジャーと、プランジャーから半径方向外方に突出する突出板材とを有し、内円筒にこの突出板材を受ける受け部を設けたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、永久磁石は第1の固定子の第1の中空板材に設けられ、第2の固定子は永久磁石に当接するフランジ部を有する円筒体を有することを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、永久磁石は第1の固定子の第1の中空板材に設けられ、第2の固定子は永久磁石に当接する第3の中空板材を有することを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、永久磁石の近傍に、永久磁石の磁束をショートさせるショートリングが設けられていることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1のコイルの中心に、第1の板材に連結されたポールピースを設けたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、ポールピースの長さは、第1のコイルの中心まで達する最長長さと、この最長長さから可動子のストロークの半分だけ短くした最小長さとの間に設定されたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子の外径と、前記ポールピースの外径との差は、可動子の外径の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子の断面積と、前記ポールピースの断面積との差は、可動子の断面積の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1の板材のうち可動子の外径と、同一径の円筒状断面積は、可動子の断面積と同一か2倍以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1のコイルの外周を覆う第1の円筒の断面積は、可動子の断面積と同一か2倍以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1の中空板材の中空面の断面積と、可動子の断面積との差は、第1の中空板材の中空面の断面積の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記第2の固定子のうち永久磁石の磁束に垂直な断面積と、永久磁石の断面積との差は、第2の固定子の断面積の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記第1のコイルと第1の固定子との間のギャップは、3mm以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記第1の固定子の第1の中空板材の中空面と、可動子の外周面とのギャップは、3mmから5mmであることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子の突出板材の断面積と、プランジャーの断面積との差は、突出板材の断面積の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子の突出板材の断面積と、第2円筒の受け部の内周面の断面積との差は、突出板材の断面積の±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子のプランジャーの外周面と、第2の固定子との間のギャップは1mmから5mmであることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1のコイルと同軸上に第2のコイルを設けたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1のコイルと第2のコイルは半径方向に並んで配置されていることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第1のコイルと、第1のコイルの中心軸に沿って移動する円筒状の可動子と、第1のコイルの上面に設けられた第1の板材と、第1のコイルの下面に設けられた第1の中空板材と、第1のコイルの外周面を覆う第1の円筒とを有する第1の固定子と、前記可動子をその作動終端位置で前記第1の固定子に吸着して固着ラッチする永久磁石と、前記第1の固定子に連続して設けられ、前記永久磁石の発する磁束を制御する第2の固定子とを備え、前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子の近傍に位置することを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、第2の固定子は第1の固定子の第1の中空板材に連続する第2の円筒と、第2の円筒の永久磁石側端部に設けられた第2の中空板材と、第2の円筒内に配置された内円筒とを有することを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子の開放終端側の端部近傍に配置されたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、可動子はプランジャーと、プランジャーから半径方向外方に突出する突出板材とを有し、内円筒にこの突出板材を受ける受け部を設けたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記可動子のプランジャーから半径方向外方に突出する突出部材の厚さと、前記永久磁石の厚さとの差は、突出部材の厚さの±15%以内であることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子のプランジャーから半径方向外方に突出する突出部材の近傍に配置されたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記第1の固定子の第1の中空板材と前記第2の固定子の内円筒との間に空間が形成されていることを特徴とする電磁アクチュエータである。
本発明は、前記第1の固定子の第1の中空板材と前記第2の固定子の内円筒との間の空間に、第2のコイルを設けたことを特徴とする電磁アクチュエータである。
(第1の実施の形態)
本発明による電磁アクチュエータの第1の実施の形態を図1乃至図7により説明する。
図1は本発明による電磁アクチュエータの断面図であってラッチ解除状態を示している。
電磁アクチュエータは、第1のコイル31と、第1のコイル31の中心軸上を移動する可動子2と、第1のコイルの上下面、外周及び内側に配置されて第1のコイル31を保持し、前記可動子2とともに第1のコイル31が発生する磁束を誘導するための磁気回路を構成する第1の固定子11と、第1のコイル31の同心上で可動子2より離れた位置に設けられ、その磁束が前記可動子2の移動方向と平行に着磁されたリング状の永久磁石15と、前記第1の固定子11に連結され、前記永久磁石15の磁束を前記可動子2に誘導するための磁性材料からなる第2の固定子12とを備えている。
第2の固定子12の近傍には前記可動子2の外周の空隙に第1のコイル31と同軸上に第2のコイル32が設けられ、また図示していない駆動機構の作用により第2の固定子の内部を可動子2と同一方向にショートリング4が摺動するようになっている。
図1において、可動子2は磁性体で構成され、可動子2は可動子2の端部に取り付けられた非磁性の軸5を介して可動子2を下方に押し下げる負荷Wに接続されている。
第1の固定子11は、全て磁性材料で構成されている。すなわち第1の固定子11は第1のコイル31の上端面を覆う板材(第1の板材)112と、第1の板材112に連結され、第1のコイル31の中心近傍まで延びる凸型のポールピース111と、第1のコイル31の外周を覆う円筒(第1の円筒)113と、第1のコイル31の下端面を覆う中空板材(第1の中空板材)114とを有している。ポールピース111は、第1のコイル31の中心まで達する長さを最長長さとし、この最長長さから可動子2のストロークXの半分だけ短くした長さを最小長さとして、その間の所望長さに設定されている。
第2の固定子12も、全て磁性材料で構成され、第1の固定子11の第1の中空板材114に接続する円筒(第2の円筒)121と、円筒121に取り付けられた中空板材(第2の中空板材)122と、円筒121内に配置されその内面123aが可動子2の外周にわずかな空隙を開けて近接する円筒(内円筒)123とを有し、永久磁石15は前記中空板材122と円筒123の間に固定されている。
第1の固定子11の第1の中空板材114と第2の固定子12の内円筒123との間には、第2のコイル32が可動子2を取り囲むように設けられている。
図1に示すように、高効率の電磁アクチュエータを実現するため、ポールピース111と可動子2の外径は同一となっており、ポールピース111のA−A断面と可動子2のB−B断面それぞれの断面積もほぼ等しくなっている。
本明細書において「ほぼ等しい」とはいずれか一方の値に対して±15%以内の差を指して言う事とする。第1の板材112の断面C−Cに沿った円筒断面積と円筒113の断面D−Dの断面積は、可動子2のB−B断面の断面積とほぼ等しいか2倍以下となっている。
第1の中空板材114の中空面E−Eの断面積はポールピース111のA−A断面の断面積とほぼ等しくなっている。また、第1の中空板材114の内面と可動子2とのギャップG1は、ラッチ状態における永久磁石15の磁束を効率的にポールピース111と可動子2の吸着面に集中させるため3〜5mmが適当である。第2の円筒121のF−F断面における断面積と、第2の中空板材122のG−G断面に沿った円筒断面積と、内円筒123のH−H断面における断面積と、永久磁石15の断面積は、可動子2のB−B断面における断面積とほぼ等しくなっている。内円筒123の対向面J−Jの面積は、可動子2がポールピース111に近接した状態で、可動子2のB−B断面における断面積とほぼ等しいかそれ以上とする。
第1のコイル31の導体あるいは第2のコイル32の導体と、それらを囲む周囲の磁性体112、113、114、121、123とのギャップG2は、それぞれのコイル31、32が発生する磁束を効率よく利用できるよう、3mm以下となっている。
次にこのような構成からなる実施の形態の作用について説明する。
図2に示すように、可動子2とポールピース111との間のギャップXが0あるいは極めて小さいとき、永久磁石15に発生する磁束は矢印61のように第1の固定子11と、第2の固定子12と、可動子2との間に磁路を形成し、可動子2にポールピース111方向に吸引力Pが発生し、負荷Wに抗してラッチ状態となる。
図2の状態でショートリング4を永久磁石15の近傍にスライドさせると、永久磁石15が発生する磁束の一部が図3の矢印62のようにバイパスされ、ポールピース111と可動子2の間の磁束が減少し、吸引力Pより負荷Wが勝って、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図2に示す状態で、図4に示すように、第1のコイル31および第2のコイル32のうち、一方あるいはその両方に永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流すと、第1のコイル31が発生する矢印63で示す磁束、および第2のコイル32が発生する矢印64で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石15による磁束61が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pより負荷Wが勝り、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図5に示すように、可動子2がラッチ解除状態でストロークXだけポールピース111から離れた状態では、可動子2と第1の中空板材114との間の空隙の方が可動子2とポールピース111との距離より小さいため、永久磁石15の磁束は矢印65の様に磁路を形成して可動子2に吸引力Pは発生しない。
ここで図6に示すように、第1のコイル31に電流を流して永久磁石15の磁束と同方向に磁束を発生させると、磁束は矢印66の様に流れ、可動子2はポールピース111側へ吸着される。図7に示すように、可動子2がポールピース111に吸着完了した状態で、永久磁石15の磁束は矢印61の状態になり、第1のコイル31の電流を切っても、図2に示すように永久磁石15が発生する磁束により可動子2はポールピース111に吸着したままの状態、即ちラッチ状態を保つことが出来る。
以上のように本実施の形態によれば、いずれの状態においても永久磁石15は、第1のコイル31あるいは第2のコイル32から発生する磁束により逆励磁されることがない。また、永久磁石15、第1のコイル31、および第2のコイル32は、強磁性体製の第1の固定子11、第2の固定子12、および可動子2によりほぼ囲まれているため、磁束が漏れることはない。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態を図8乃至図14により説明する。
図8乃至図14に示す第2の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図8乃至図14において、可動子2は磁性体で構成され第1のコイル31の中心軸上を移動するプランジャー21と、負荷Wに接続された非磁性の軸5と反対側に設けられプランジャー21から半径方向外方へ突出する磁性体の板材(突出板材)22とを有している。
第2の固定子12のうち、第2の円筒121と第2の中空板材122とは第1の実施の形態と同一構成であるが、内円筒123は段部をなす受け部124を有する2段円筒形状となっている。
すなわちラッチ状態において、可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124とが接触するようになっている。
以上の構成で、例えば永久磁石15のN極が上、S極が下を向くように配置されていたとすると、ポールピース111にはS極が、内円筒123の受け部124にはN極が現れ、ラッチ状態ではSN2極で可動子2を吸引することになる。
図8乃至図14において高効率の電磁アクチュエータを実現するため、ポールピース111とプランジャー21の外径は同一であり、かつポールピース111のA−A断面とプランジャー21のB’−B’断面はそれぞれほぼ等しい断面積を有する。
第1の板材112の断面C−Cに沿った円筒断面積と、第1の円筒113の断面D−Dの断面積は、プランジャー21のB’−B’断面の断面積とほぼ等しいか2倍以下となっている。第1の中空板材114の中空面E−Eの断面積は、ポールピース111のA−A断面の断面積とほぼ等しくなっている。第2の円筒121のF−F断面における断面積と、第2の中空板材122のG−G断面に沿った円筒断面積と、内円筒123のH−H断面における断面積と、永久磁石15の断面積と、内円筒123のJ−J断面に沿った円筒断面積と、可動子2の板材22のK−K断面に沿った円筒断面積と、突出板材22と内円筒123の受け部124が接触する面積Q−Qは、プランジャー21のB−B断面における断面積とほぼ等しくなっている。
また、第1の中空板材114の内面と可動子2とのギャップG1と、プランジャー21と内円筒123とのギャップG3と、可動子2の突出板材22と内円筒123のギャップG4は、ラッチ状態における永久磁石15の磁束を効率的にポールピース111とプランジャー21の間と可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124の間に収集させるため、ギャップG1は3〜5mm、ギャップG3とギャップG4は1〜5mmとなっている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図9に示すように、プランジャー21とポールピース111との間、および可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124との間のギャップXが0あるいは極めて小さいとき、永久磁石15が発生する磁束は矢印71に示すように第1の固定子11と、第2の固定子12と、可動子2に磁路を形成し、可動子2にポールピース111方向に吸引力Pが発生し、負荷Wに抗してラッチ状態となる。
また、図9に示す状態でショートリング4を永久磁石15の近傍にスライドさせると、永久磁石15が発生する磁束の一部が図10の矢印72のようにバイパスされ、ポールピース111とプランジャー21の間、および可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124との間の磁束が減少し、吸引力Pより負荷Wが勝り可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図9に示す状態で、図11に示すように第1のコイル31および第2のコイル32のうち一方、あるいはその両方に永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流すと、第1のコイル31が発生する矢印73で示す磁束や、第2のコイル32が発生する矢印74で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石の磁束が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pより負荷Wが勝り可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図12に示すように、プランジャー21がラッチ解除状態でストロークXだけポールピース111から離れた状態では、プランジャー21と第1の中空板材114および内円筒123との空隙の方が、プランジャー21とポールピース111との間、または可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124との間の距離より小さいため、永久磁石15の磁束は主に矢印75の様に磁路を形成するため可動子2に吸引力Pは発生しない。
ここで図13に示すように、第1のコイル31に電流を流して永久磁石15の磁束と同方向の磁束を発生させると、磁束は矢印76の様に流れ、可動子2はポールピース111へと吸着される。図14に示すように、可動子2がポールピース111および内円筒123の受け部124に吸着完了した状態で第1のコイル31の電流を切っても、図9のように永久磁石15により、可動子2はポールピース111と内円筒123の受け部124に吸着されたままの状態、即ちラッチ状態を保つことが出来る。
以上のように本実施の形態によれば、いずれの状態においても永久磁石15は、第1のコイル31あるいは第2のコイル32から発生する磁束により逆励磁されることがない。また、永久磁石15、第1のコイル31、および第2のコイル32は強磁性体製の第1の固定子11、第2の固定子12、および可動子2でほぼ囲まれているため、磁束が漏れることはない。さらに、ラッチ時には永久磁石15のSN2極で可動子2を吸引するため、少ない永久磁石でラッチ力を確保できる。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態を図15乃至図21により説明する。図15乃至図21において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図15乃至図21において、永久磁石15は第1の固定子11の第1の中空板材114に取り付けられている。そして、第2の固定子12は、円筒体125を有し、この円筒体125は永久磁石15に当接するフランジ125bを有している。円筒体125の内面125aは、可動子2の外周にわずかな空隙を開けて近接している。第2のコイル32は第2の固定子12の円筒体125内部に配置されている。またショートリング4が、円筒体125のフランジ125b付近から永久磁石15の外周付近まで摺動可能に設けられている。
図15乃至図21に示すように、高効率の電磁アクチュエータを実現するため、ポールピース111と可動子2の外径は同一であり、かつポールピース111のA−A断面と、可動子2のB−B断面はそれぞれほぼ等しい断面積を有する。
第1の板材112の断面C−Cに沿った円筒断面積と、第1の円筒113の断面D−Dの断面積は、可動子2のB−B断面の断面積とほぼ等しいか、2倍以下となっている。第1の中空板材114の中空面E−Eの断面積は、ポールピース111のA−A断面の断面積とほぼ等しくなっている。円筒体125のF−F断面に沿った円筒断面積は、永久磁石15の断面積とほぼ等しくなっている。円筒体125の内面125aと可動子2の対向面J−Jの断面積は、可動子2がポールピース111に近接した状態で、可動子2のB−B断面における断面積とほぼ等しいかそれ以上となっている。
また、第1の中空板材114の内面と可動子2とのギャップG1は、ラッチ状態における永久磁石15の磁束を効率的にポールピース111と可動子2の吸着面に集中させるため3〜5mmとなっている。第1の中空板材114の外径、永久磁石15の外径、および円筒体125のフランジ125bの外径は互いに同一となっており、永久磁石15と第1の中空板材114の内径差G5は3mm以上となっている。
第1のコイル31の導体と周囲の磁性体112、113、114との間隔は、第1のコイル31が発生する磁束を効率よく利用できるよう、3mm以下となっている。また第2のコイル32とフランジ125bを有する円筒体125との間隔は、第2のコイル32が発生する磁束を効率よく利用できるよう、径方向、軸方向とも3mm以下となっている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図16に示すように、プランジャー21とポールピース111との間のギャップXが0あるいは極めて小さいとき、永久磁石15が発生する磁束は矢印81に示すように、第1の固定子11と、第2の固定子12と、可動子2に磁路を形成し、可動子2にポールピース111方向に吸引力Pが発生し、負荷Wに抗してラッチ状態となっている。
また、図16に示す状態でショートリング4を永久磁石15の近傍にスライドさせると、永久磁石15が発生する磁束の一部が図17の矢印82のようにバイパスされ、ポールピース111と可動子2の間の磁束が減少し、吸引力Pより負荷Wが勝り、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図16の状態で、図18に示すように第1のコイル31および第2のコイル32のうち一方、あるいはその両方に永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流すと、第1のコイル31が発生する矢印83で示す磁束、および第2のコイル32が発生する矢印84で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石の磁束が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pより負荷Wが勝り、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図19に示すように、可動子2がラッチ解除状態でストロークXだけポールピース111から離れた状態では、可動子2と第1の中空板材114との空隙の方が、可動子2とポールピース111との間の距離より小さいため、永久磁石15の磁束は矢印85の様に磁路を形成し、このため可動子2に吸引力Pは発生しない。
図20に示すように、第1のコイル31に電流を流して永久磁石15の磁束と同方向の磁束を発生させると、磁束は矢印86の様に流れ、可動子2はポールピース111へと吸着される。図21に示すように、可動子2がポールピース111に吸着完了した状態で第1のコイル31の電流を切っても、図16に示すように永久磁石15が発生する磁束により可動子2はポールピース111に吸着したままの状態、即ちラッチ状態を保つことが出来る。
以上のように本実施の形態によれば、いずれの状態においても永久磁石15は、第1のコイル31あるいは第2のコイル32から発生する磁束によって逆励磁されることがない。また、永久磁石15を電磁アクチュエータの最外周に配置したことにより、磁束密度の小さい安価な磁石を使用でき、このため近年の高性能な磁石に代えて、安価な電磁アクチュエータを提供できる。
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態を図22乃至図28により説明する。図22乃至図28において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図22乃至図28において、可動子2は実施例2のものと同一の構成を有している。すなわち可動子2は磁性体で構成され第1のコイル31の中心軸上を移動するプランジャー21と、負荷Wに接続された非磁性の軸5と反対側に設けられプランジャー21から半径方向へ突出する磁性体の板材(突出板材)22とを有している。第2の固定子12は中空板材(第3の中空板材)126のみからなり、永久磁石15は、第1の固定子11の中空板材114と第2の固定子12の第3の中空板材126との間に挟まれている。第3の中空板材126は永久磁石15の下側に現れる磁極から発せられる磁束を調整し、可動子2の突出板材22へ整えて流すように作用する。第2のコイル32は第1の固定子11の外側に配置され、ショートリング4が第3の中空板材126付近から永久磁石15の外周付近までに摺動可能に設けられている。
図22乃至図28において、例えば永久磁石15のS極が上、N極が下を向くように配置されていたとすると、ポールピース111にはS極が、中空板材126の下側にはN極が現れ、ラッチ状態ではSN2極で可動子2を吸引することになる。
図22乃至図28に示すように、高効率の電磁アクチュエータを実現するため、ポールピース111とプランジャー21の外径は同一となっており、ポールピース111のA−A断面と、プランジャー21のB’−B’断面はそれぞれほぼ等しい断面積を有する。また板材112の断面C−Cに沿った円筒断面積と、円筒113の断面D−Dの断面積は、プランジャー21のB’−B’断面の断面積とほぼ等しいか、2倍以下となっている。第1の中空板材114の中空面E−Eの断面積は、ポールピース111のA−A断面の断面積とほぼ等しくなっている。第3の円筒126のF−F断面に沿った円筒断面積と、可動子2の突出板材22のG−G断面に沿った円筒断面積と、突出板材22と第3の中空板材126が接触する面積H−Hは、永久磁石15の断面積とほぼ等しくなっている。また、第1の中空板材114の中空面とプランジャー21とのギャップG1と、第3の中空板材126の中空面とプランジャー21とのギャップG3は、ラッチ状態における永久磁石15の磁束を効率的にポールピース111とプランジャー21の吸着面および第3の中空板材126と可動子2の突出板材22の接触面に集中させるため、G1は3〜5mm、G3は1〜5mmとなっている。さらに第3の中空板材114の外径と永久磁石15の外径と、円筒125のフランジの外径は同一となっている。永久磁石15の内径は第1の中空板材114の内径より3mm以上大きくなっている。
第1のコイル31および第2のコイル32の導体と、周囲の磁性体112、113、114、126との間隔は、それぞれのコイル31、32が発生する磁束を効率よく利用できるよう、3mm以下となっている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図23に示すように、プランジャー21とポールピース111との間のギャップXが0あるいは極めて小さいとき、永久磁石15が発生する磁束は矢印91に示すように第1の固定子11と、第2の固定子12と、可動子2に磁路を形成し、可動子2にポールピース111方向に吸引力Pが発生し、負荷Wに抗してラッチ状態となっている。
また、図23に示す状態でショートリング4を永久磁石15の近傍にスライドさせると、永久磁石15が発生する磁束の一部が図33の矢印92のようにバイパスされる。このときポールピース111と可動子2の間の磁束が減少し、吸引力Pより負荷Wが勝り、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図23の状態で、図25に示すように第1のコイル31および第2のコイル32のうち一方、あるいはその両方に永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流すと、第1のコイル31が発生する矢印93で示す磁束、および第2のコイル32が発生する矢印94で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石の磁束が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pより負荷Wが勝り、可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
また、図26に示すように、可動子2がラッチ解除状態となってストロークXだけポールピース111から離れた状態では、プランジャー21と第1の中空板材114や第3の中空板材126の空隙の方が、プランジャー21とポールピース111や可動子2の突出板材22と第3の中空板材126との距離より小さいため、永久磁石15の磁束は矢印95の様に磁路を形成し、このため可動子2に吸引力Pは発生しない。図27に示すように、第1のコイル31に電流を流して永久磁石15の磁束と同方向の磁束を発生させると、磁束は矢印96の様に流れ、可動子2はポールピース111へと吸着される。図28に示すように可動子2がポールピース111に吸着完了した状態で第1のコイル31の電流を切っても、図23のように永久磁石15の発生する磁束で可動子2はポールピース111に吸着したままの状態、即ちラッチ状態を保つことが出来る。
以上のように本実施の形態によれば、いずれの状態においても永久磁石15は、第1のコイル31あるいは第2のコイル32から発生する磁束によって逆励磁されることがない。また、永久磁石15を電磁アクチュエータの最外周に配置したことにより、磁束密度の小さい安価な磁石を使用でき、このため近年の高性能な磁石に代えて、安価な電磁アクチュエータを提供できる。さらに、ラッチ時には永久磁石15のSN2極で可動子2を吸引するため、少ない永久磁石でラッチ力を確保できる。
(第5の実施の形態)
次に本発明の第5の実施の形態を図29により説明する。第5の実施の形態はコイルの配置を入れ替えたものであり、他は上述した第1の実施の形態〜第4の実施の形態と同一である。
第1〜第4の実施の形態において、第2のコイル32を省略し、第1のコイル31に流す電流方向を切替える事により電磁アクチュエータを作動させることが出来る。
また、図29に示すように、第2のコイル32を第1のコイル31の外周部分に設けてもよい。図29において、可動子2をポールピース111へ吸引するときは第1のコイル31のみか、第1と第2のコイル31、32の両方かに電流を流す。一方、可動子2の永久磁石15によるラッチを解除するときは、第1のコイル31か第2のコイル32かあるいはその両方に電流をながして、電磁アクチュエータを作動させる。
(第6の実施の形態)
次に本発明の第6の実施の形態を図30乃至図33により説明する。図30乃至図33に示す第6の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図30は本発明の第6の実施の形態を示す電磁アクチュエータの断面図であって、開放状態を示している。
電磁アクチュエータは、第1のコイル31と、第1のコイル31の中心軸上を移動する可動子2と、第1のコイル31の上下面、外周及び内側に配置され、前記可動子2とともに第1のコイル31が発生する磁束を誘導する磁気回路を構成する第1の固定子11と、第1のコイル31の同心上に第1のコイル31から所定距離をおいて設けられ、磁束が前記可動子2の移動方向と平行に着磁されたリング状の永久磁石15と、前記第1の固定子11に連続し、前記永久磁石15の磁束を前記可動子2に誘導する磁性材料で構成された第2の固定子12と、前記第2の固定子12内であって前記可動子2の外周に設けられた第2のコイル32とを備えている。
このうち可動子2は磁性体で構成され、可動子2の端部に取り付けられた非磁性の軸5により駆動される。
また第1の固定子11は、全て磁性材料で構成され、第1のコイル31の中心近傍より上側から上端面まで設けられた凸型のポールピース111と、第1のコイル31の上端面を覆う第1の板材112と、第1のコイル31の外周を覆う第1の円筒113と、第1のコイル31の下端面を覆う第1の中空板材114とを有している。
第2の固定子12も、全て磁性材料で構成され、第1の固定子11の第1の中空板材114に接続する第2の円筒121と、第2の円筒121に取り付けられた第2の中空板材122と、その内面123aが可動子2の外周にわずかな空隙を開けて近接する内円筒123とを有している。永久磁石15は第2の中空板材122と内円筒123の間に固定されている。
第1の固定子11の第1の中空板材114と第2の固定子122の内円筒123との間には第2のコイル32が可動子2を取り囲むように設けられている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図30に示すように、可動子2とポールピース111が離れていて、可動子2の下側の端面近傍に永久磁石15が配置されていると、永久磁石15が発生する磁束は磁気抵抗の少ない磁性体である可動子2の中を矢印62のように通る。このとき、磁石15により作用する上向きと下向きの磁気吸引力71、72が平衡して可動子2はポールピース111とのギャップがXとなる位置で保持される。
次に図30の状態で第1のコイル31に電流を流し、図31の矢印61のように磁束を発生させる。この場合、可動子2に第1のコイル31の電流の大きさに応じた上向きの力73が作用し、可動子2が上昇し始める。可動子2が上昇すると、永久磁石15により可動子2に作用している上向きと下向きの磁気吸引力71、72の平衡状態が崩れ、下向きの磁気吸引力72が可動子2の上昇量に応じて急激に大きくなり、一定上昇量で飽和し、それ以上上昇すると急激に減少する。
この間、可動子2の上昇量は、極めて微少となる。上向きの吸引力73が永久磁石15により生じる下向きの磁気吸引力72の飽和した値を上回ると、可動子2はポールピース111とのギャップXが0になるまで上昇する(図32)。
図32は可動子2とポールピース111のギャップXが0になり、可動子2がポールピース111に吸着している状態を示している。この状態で永久磁石15が発生する磁束は主に矢印63のように、内円筒123の内面から可動子2の外面に入り上面からポールピース111の端面に入った後に第1の固定子11の第1の板材112、第1の円筒113、第1の中空板材114、第2の固定子12の第2の円筒121、第2の中空板材122を通った後に再び永久磁石15に戻る経路をたどる。永久磁石15の吸引力74は可動子2の端面に作用するため、第1のコイル31の電流を切っても、可動子2はポールピース111に吸着したままの状態、即ちラッチ状態を保つことができる。
次に図32に示す状態から図33に示すように可動子2の軸5に負荷Wを作用させ、第2のコイル32に矢印63で示すような永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流す。このとき第2のコイル32が発生する矢印64で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石15の磁束が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pに比べて負荷Wが勝り可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
以上のように本実施の形態によれば、いずれの状態においても、永久磁石15が第1のコイル31あるいは第2のコイル32に発生する磁束により逆励磁されることはない。また、永久磁石15、および第1のコイル31、第2のコイル32が、強磁性体製の第1の固定子11、第2の固定子12、および可動子2により囲まれているため、磁束が漏れることはない。また、それぞれ独立した第1のコイル31および第2のコイル32に個別に電流を印可して可動子2を作動させるため、単純な電源により可動子2を作動させることができ、この作動方向を高速度に切り換える事も容易に行える。また、アクチュエータを解放状態で可動子2の近傍に永久磁石15を配置したので、可動子2との間で回路を作る永久磁石15の磁束により、可動子2に働く電磁吸引力を平衡状態に保つことができ、これにより可動子2がポールピース111とギャップXを開けた状態で保持される。
以上のように電磁アクチュエータは、第1のコイル31と第1のコイル31の中心軸上を移動する可動子2と、第1のコイル31の上面、下面、および外周面に設けた第1の固定子11と、可動子2をその作動終端位置で前記第1の固定子11に吸着して固着ラッチする永久磁石15とを備えている。永久磁石15は、可動子2が第1の固定子11から離れて開放終端位置にある状態で可動子2の近傍に配置されている。このため開放終端位置に有る可動子2を永久磁石15の磁力で固着することができる。また、作動終端位置に有る可動子2を解放するとき、永久磁石15に直接逆励磁せず前記永久磁石15が減磁することはなく、また、永久磁石15や第1のコイル31による磁束漏れを少なくすることが出来る。
(第7の実施の形態)
次に本発明の第7の実施の形態を図34乃至図37により説明する。図34乃至図37に示す第7の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図34は本発明の第7の実施の形態を示す電磁アクチュエータの断面図であって、開放状態を示している。
可動子2は磁性体で構成され、第1のコイル31の中心軸上を移動する磁性体からなるプランジャー21と、プランジャー21のうち軸5と反対側に設けられ、プランジャー21から半径方向外方に突出する突出板材25とを有している。突出板材22の厚さと、永久磁石15の厚さとの差は、突出板材25の厚さの±15%以内となっている。
第2の固定子12のうち、第2の円筒121と第2の中空板材122は第1の実施の形態と同一の構成を有しているが、内円筒123は段部をなす受け部124を有する2段円筒形状となっている。
可動子2のプランジャー21とポールピース111が接触すると、可動子2の突出板材22と内円筒123の受け部124とが接触するようになっている。
また永久磁石15は、たとえばN極が上、S極が下を向くように配置されている。この場合、可動子2の突出板材22が磁石15から離れているとき、ポールピース111にはS極が、円筒123の受け部124にはN極が現れ、可動子2の突出板材22が磁石15近傍にあってラッチ状態ではS極とN極によって可動子2を吸引することになる。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図34において、可動子2のプランジャー21がポールピース111と離れていて、可動子2の突出板材22が永久磁石15の近傍に有る。このとき、永久磁石15が発生する磁束は、磁気抵抗の少ない磁性体からなる可動子2の突出板材11の中を矢印62に示すように通り、可動子2は磁石15により作用する上向きと下向きの磁気吸引力71、72が平衡してポールピース111とのギャップがXとなる位置で保持される。
図34に示す状態で第1のコイル31に電流を流し、図35の矢印61に示すように磁束を発生させる。このとき、可動子2に第1のコイル31の電流の大きさに応じた上向きの力73が作用し、可動子2が上昇し始める。可動子2が上昇すると、永久磁石15により可動子2に作用している上向きと下向きの磁気吸引力71、72の平衡状態が崩れ、下向きの磁気吸引力72が可動子2の上昇量に応じて急激に大きくなり、一定上昇量で飽和し、それ以上上昇すると急激に減少する。
この間、可動子2の上昇量は、極めて微小である。上向きの吸引力73が永久磁石15により生じる下向きの磁気吸引力72の飽和した値を上回ると、可動子2はポールピース111とのギャップXが0になるまで上昇する(図36)。
図36は可動子2とポールピース111のギャップXが0になり、プランジャー21がポールピース111に吸着している状態を示している。この状態で永久磁石15が発生する磁束は主に矢印63のように内円筒123の受け部124から可動子2の突出板材22に入りプランジャー21からポールピース111の端面に入った後に第1の固定子11の第1の板材112、第1の円筒113、第1の中空板材114、第2の固定子12の第2の円筒121、第2の中空板材122を通った後に再び永久磁石15に戻る経路をたどる。永久磁石15の吸引力74はプランジャー21の端面と突出板材22と受け部124の接触面に作用するため、第1のコイル31の電流を切っても、プランジャー21はポールピース111に、可動子2の板材22は円筒123の受け部124にそれぞれ吸着したままの状態を保持できる。
次に、図36に示す状態から図37のように可動子2の軸5に負荷Wを作用させ、第2のコイル32に矢印63で示すような永久磁石15の磁束をうち消すように電流を流す。このとき、第2のコイル32が発生する矢印64で示す磁束により、可動子2、第1の固定子11、および第2の固定子12の中を通る永久磁石15の磁束が減少し、可動子2に働いていた吸引力Pに比べて負荷Wが勝り可動子2のラッチ状態が解除され可動子2が下降する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、いずれの状態においても、永久磁石15が第1のコイル31あるいは第2のコイル32に発生する磁束により逆励磁されることはない。また、永久磁石15、及び第1のコイル31、第2のコイル32が、強磁性体製の第1の固定子11、第2の固定子12、および可動子2でほぼ囲まれているため、磁束が漏れることはない。また、それぞれ独立した第1のコイル31、および第2のコイル32に個別に電流を印可して可動子2を作動させるため、単純な電源により可動子を作動させることができ、この作動方向を高速度に切り換える事も容易に行える。また、アクチュエータを開放状態で可動子2の近傍に永久磁石15を配置したので、可動子2との間で回路を作る永久磁石15の磁束により、可動子2に働く電磁吸引力を平衡状態に保つことができる。これにより可動子2がポールピース111とギャップXを開けた状態で保持される。
本発明による電磁アクチュエータの第1の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第1の実施の形態において、可動子が永久磁石により固着ラッチされた状態を説明する図。 本発明の第1の実施の形態において、ショートリングによりラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第1の実施の形態において、第1および第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第1の実施の形態において、ラッチ解除状態の電磁アクチュエータの状態を説明する図。 本発明の第1の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第1の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引されてラッチされる時の作用を説明する図。 本発明による電磁アクチュエータの第2の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第2の実施の形態において、可動子が永久磁石により固着ラッチされた状態を説明する図。 本発明の第2の実施の形態において、ショートリングによりラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第2の実施の形態において、第1および第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第2の実施の形態において、ラッチ解除状態の電磁アクチュエータの状態を説明する図。 本発明の第2の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第2の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引されてラッチされる時の作用を説明する図。 本発明による電磁アクチュエータの第3の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第3の実施の形態において、可動子が永久磁石により固着ラッチされた状態を説明する図。 本発明の第3の実施の形態において、ショートリングによりラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第3の実施の形態において、第1および第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第3の実施の形態において、ラッチ解除状態の電磁アクチュエータの状態を説明する図。 本発明の第3の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第3の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引されてラッチされる時の作用を説明する図。 本発明による電磁アクチュエータの第4の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第4の実施の形態において、可動子が永久磁石により固着ラッチされた状態を説明する図。 本発明の第4の実施の形態において、ショートリングによりラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第4の実施の形態において、第1および第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明の第4の実施の形態において、ラッチ解除状態の電磁アクチュエータの状態を説明する図。 本発明の第4の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第4の実施の形態において、第1のコイルに通電してラッチ解除状態の可動子がポールピースに吸引されてラッチされる時の作用を説明する図。 本発明による電磁アクチュエータの第5の実施の形態を説明する断面図。 本発明による電磁アクチュエータの第6の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第6の実施の形態において、第1のコイルに通電して可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第6の実施の形態において、第1のコイルに通電して可動子が作動し、ポールピースに吸着完了した時の状態を説明する図。 本発明の第6の実施の形態において、第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 本発明による電磁アクチュエータの第7の実施の形態を説明する断面図。 本発明の第7の実施の形態において、第1のコイルに通電して可動子がポールピースに吸引される時の作用を説明する図。 本発明の第7の実施の形態において、第1のコイルに通電して可動子が作動し、ポールピースに吸着完了した時の状態を説明する図。 本発明の第7の実施の形態において、第2のコイルに通電してラッチ状態が解除される時の作用を説明する図。 従来の電磁アクチュエータを説明する断面図。 従来の電磁アクチュエータを説明する断面図。
符号の説明
1 固定子
2 可動子
11 第1の固定子
12 第2の固定子
15 永久磁石
21 プランジャー
22 板材
31 第1のコイル
32 第2のコイル
41 空隙
42 空隙
111 ポールピース
112 板材
113 円筒
114 中空板材
121 円筒
122 中空板材
123 円筒
124 受け部
125 円筒体
126 中空板材

Claims (29)

  1. 第1のコイルと、
    第1のコイルの中心軸に沿って移動する円筒状の可動子と、
    第1のコイルの上面に設けられた第1の板材と、第1のコイルの下面に設けられた第1の中空板材と、第1のコイルの外周面を覆う第1の円筒とを有する第1の固定子と、
    可動子を移動端部で固着する永久磁石と、
    第1の固定子に連続して設けられ、永久磁石の磁束を制御する第2の固定子と、を備えたことを特徴とする電磁アクチュエータ。
  2. 第2の固定子は第1の固定子の第1の中空板材に連続する第2の円筒と、第2の円筒の永久磁石側端部に設けられた第2の中空板材と、第2の円筒内に配置された内円筒とを有することを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
  3. 可動子はプランジャーと、プランジャーから半径方向外方に突出する突出板材とを有し、内円筒にこの突出板材を受ける受け部を設けたことを特徴とする請求項2記載の電磁アクチュエータ。
  4. 永久磁石は第1の固定子の第1の中空板材に設けられ、第2の固定子は永久磁石に当接するフランジ部を有する円筒体を有することを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
  5. 永久磁石は第1の固定子の第1の中空板材に設けられ、第2の固定子は永久磁石に当接する第3の中空板材を有することを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
  6. 永久磁石の近傍に、永久磁石の磁束をショートさせるショートリングが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の電磁アクチュエータ。
  7. 第1のコイルの中心に、第1の板材に連結されたポールピースを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  8. ポールピースの長さは、第1のコイルの中心まで達する最長長さと、この最長長さから可動子のストロークの半分だけ短くした最小長さとの間に設定されたことを特徴とする請求項7に記載の電磁アクチュエータ。
  9. 可動子の外径と、前記ポールピースの外径との差は、可動子の外径の±15%以内であることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  10. 可動子の断面積と、前記ポールピースの断面積との差は、可動子の断面積の±15%以内であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  11. 第1の板材のうち可動子の外径と、同一径の円筒状断面積は、可動子の断面積と同一か2倍以内であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  12. 第1のコイルの外周を覆う第1の円筒の断面積は、可動子の断面積と同一か2倍以内であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  13. 第1の中空板材の中空面の断面積と、可動子の断面積との差は、第1の中空板材の中空面の断面積の±15%以内であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  14. 前記第2の固定子のうち永久磁石の磁束に垂直な断面積と、永久磁石の断面積との差は、第2の固定子の断面積の±15%以内であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  15. 前記第1のコイルと第1の固定子との間のギャップは、3mm以内であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  16. 前記第1の固定子の第1の中空板材の中空面と、可動子の外周面とのギャップは、3mmから5mmであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  17. 可動子の突出板材の断面積と、プランジャーの断面積との差は、突出板材の断面積の±15%以内であることを特徴とする請求項3乃至16のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  18. 可動子の突出板材の断面積と、第2円筒の受け部の内周面の断面積との差は、突出板材の断面積の±15%以内であることを特徴とする請求項3乃至17のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  19. 可動子のプランジャーの外周面と、第2の固定子との間のギャップは1mmから5mmであることを特徴とする請求項3乃至18のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  20. 第1のコイルと同軸上に第2のコイルを設けたことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
  21. 第1のコイルと第2のコイルは半径方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項20に記載の電磁アクチュエータ。
  22. 第1のコイルと、
    第1のコイルの中心軸に沿って移動する円筒状の可動子と、
    第1のコイルの上面に設けられた第1の板材と、第1のコイルの下面に設けられた第1の中空板材と、第1のコイルの外周面を覆う第1の円筒とを有する第1の固定子と、
    前記可動子をその作動終端位置で前記第1の固定子に吸着して固着ラッチする永久磁石と、
    前記第1の固定子に連続して設けられ、前記永久磁石の発する磁束を制御する第2の固定子とを備え、
    前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子の近傍に位置することを特徴とする電磁アクチュエータ。
  23. 第2の固定子は第1の固定子の第1の中空板材に連続する第2の円筒と、第2の円筒の永久磁石側端部に設けられた第2の中空板材と、第2の円筒内に配置された内円筒とを有することを特徴とする請求項22記載の電磁アクチュエータ。
  24. 前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子の開放終端側の端部近傍に配置されたことを特徴とする請求項22記載の電磁アクチュエータ。
  25. 可動子はプランジャーと、プランジャーから半径方向外方に突出する突出板材とを有し、内円筒にこの突出板材を受ける受け部を設けたことを特徴とする請求項22記載の電磁アクチュエータ。
  26. 前記可動子のプランジャーから半径方向外方に突出する突出部材の厚さと、前記永久磁石の厚さとの差は、突出部材の厚さの±15%以内であることを特徴とする請求項25記載の電磁アクチュエータ。
  27. 前記永久磁石は、前記可動子が前記第1の固定子から離れて開放終端位置にあるとき、可動子のプランジャーから半径方向外方に突出する突出部材の近傍に配置されたことを特徴とする請求項25または26のいずれか記載の電磁アクチュエータ。
  28. 前記第1の固定子の第1の中空板材と前記第2の固定子の内円筒との間に空間が形成されていることを特徴とする請求項22乃至27のいずれか記載の電磁アクチュエータ。
  29. 前記第1の固定子の第1の中空板材と前記第2の固定子の内円筒との間の空間に、第2のコイルを設けたことを特徴とする請求項28記載の電磁アクチュエータ。
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