JP2006199674A - アミノ化フラーレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フラーレンと2級アミンとをヒドロペルオキシド存在下で反応させる、アミノ化フラーレンの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明者らは、フラーレンC60骨格(以下適宜、「C60骨格」という)上の特定位置(シクロペンタジエン環に隣接する炭素)に5個の有機基が結合した化合物(以下、「5重付加C60誘導体」という)を種々合成し、報告してきた(特許文献1〜3及び非特許文献5〜7参照)。これらの化合物は、無置換のフラーレンC60と立体的構造や電子的性質が異なるため、新規の電子伝導材料、半導体、生理活性物質等として期待されている。
0)。
Chemical Reviews, 2002, vol.102, p.555-578 Nature, 2000, vol.403, p.669-672 J. Am. Chem. Soc. 2000, vol.122, p.2663-2664 現代化学,1992年4月号第12〜18頁 現代化学2000年6月号第46〜53頁 Chemical Reviews, 1998, vol.98, p.2527-2547 J. Am. Chem. Soc. 1996, vol.118, p.12850-120851 Org. Lett. 2000, vol2, p.3663-3665 J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1995, p.2023-2024. J. Org. Chem. 2004, 69, p.5800-5802
フラーレンとを反応させる方法は、転化率12%で収率31%であり、C60を基準とした収率は3.7%に過ぎない。
本発明の製造方法は、フラーレンと2級アミンをヒドロペルオキシド存在下で反応させる。従来のアミノ化フラーレンの製造方法に比べ、光を照射する必要がないため特殊な反応装置は不要である。
R1とR2とが結合していない場合は、R1及びR2は、通常、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、その炭素数は1〜15である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基およびこれらの炭化水素基が置換基を有するものなどが挙げられる。
本発明に係るヒドロペルオキシドは、過酸化水素に代表される無機ヒドロペルオキシドであっても有機ヒドロペルオキシドであってもよい。また、ヒドロペルオキシドが存在するとは、反応終了後の反応液を水で抽出し、市販の半定量試験紙(たとえばMACHERY−NAGEL社のQuantpfix Peroxide25など)で確認できることを言う。あるいは滴定で用いられる呈色反応によって検出されるなど、一般的な検出方法で検出されることを言う。ヒドロペルオキシド化合物を添加する場合の他、反応系中でヒドロペルオキシドを発生させるようなヒドロペルオキシドの前駆体を用いてもよい。
。このうち、t−ブチル基、ネオペンチル基、t−へキシル基、クミル基等の3級炭化水素基が安定で取り扱い易いため好ましい。また、t−ブチル基、クミル基が、工業的な入手の容易さから更に好ましい。なお、R3が3級炭化水素であるヒドロペルオキシドは、
通常、対応するR3−Hと酸素分子から製造され、例えば、R3がクミル基であるクメンヒドロペルオキシドは、5〜30重量%の未反応のR3−Hを含んでいることが多いが、フラーレンのアミノ化反応を妨げなければ、このように純度の低いヒドロペルオキシドを用いても構わない。
24時間照射しているが、本発明に係る製造方法で光照射しないとは、水銀灯や白熱灯などの人工的な光源で積極的に光照射しないことを言う。具体的には、消費電力が10W以上の光源を用いて、反応液中に光源を設置しての光照射、あるいは反応器表面から30cm以内での反応器への光照射を、行わないことを言う。
極性溶媒とは、極性官能基を有する溶媒である。具体的には、溶媒の極性を表す指標である比誘電率εrの値が通常25以上、好ましくは30以上の化合物である。比誘電率εrは、例えば、Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry 2nd Ed. 1990、VCH p.59に記載されている化合物に固有の値である。誘電率は、電束密度Dとそれによって与えられる電場Eとの比(D/E)であり、物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数である。各物質は固有の誘電率をもち、この値は外部から電場を与えたとき物質中の原子(又は分子)がどのように応答するか(誘電分極の仕方)によって定まる。そして、ε0を真空の誘電率(8.854×10-12F/m)とするとき、ε/ε0を比誘電率といい、εrで表す。各種極性有機溶媒に対する比誘電率εrの値は、以下の通りである(Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry 2nd Ed. 1990、VCH,p.408−p.410の「TableA−1」より抜粋。)。
N,N−ジメチルホルムアミド;36.71
N,N−ジメチルアセトアミド;37.78
N−メチルピロリドン;32.2
ジメチルスルホキシド;46.45
スルホラン;43.3
N,N'−ジメチルプロピレンウレア;36.12
ヘキサメチルホスホリックトリアミド;29.6
ホスホラミドなどのリン酸アミド類;ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの亜リン酸アミド類などがあげられる。中でもスルホキシド類、アミド類がその効果の強さからより好ましく、工業的な入手の容易さから、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。極性溶媒を用いる場合、用いる溶媒の量はその種類にもよるが、芳香族系溶媒に対して体積比で好ましくは1〜99%、更に好ましくは5〜50%の範囲で用いられる。極性溶媒の割合が少な過ぎると、極性溶媒の効果が十分発揮されず、多過ぎると、相対的に芳香族系溶媒の割合が少なくなるため、フラーレンや反応中間体の溶媒への溶解性が低下してしまう。
各原料の使用比率は、フラーレン1molに対して、通常、4〜16molの2級アミン、3〜6molのヒドロペルオキシドを用いる。
溶媒量は、反応選択性の観点から、反応温度においてフラーレン、2級アミン及びヒドロペルオキシドを溶解するのに十分な量用いることが好ましく、溶媒の種類により異なるが、通常、フラーレンの濃度が4〜20mg/mLとなる。本発明の製造方法は、光照射方法で光透過性を保つために溶媒を2mg/mL程度用いていたのに比べ、より少量の溶媒で反応させることができるため、製造効率の観点から好ましい。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは室温(10〜35℃)である。反応時間は、2級アミンやヒドロペルオキシドの種類などにもよるが、通常、数時間〜数日である。本発明の製造方法は、通常、不活性ガスまたは空気下で行うが、ヒドロペルオキシドが酸化剤となると考えられるため、必ずしも酸素が存在しなくてもよい。その他、本発明のフラーレンのアミノ化反応を妨げなければどのような雰囲気下で行っても構わない。本発明のフラーレンのアミノ化反応が進行すれば、上記各成分の混合順序は、特に問わないが、副反応を抑えるため、通常、フラーレン溶液に2級アミンを加えてからヒドロペルオキシドを添加する。なお、化学的に不安定なヒドロペルオキシドを用いる場合は、安全に反応できるような添加速度で添加するのが好ましい。反応の進行は、オクタデシル基結合シリカゲル(ODS)カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析などにより確認することができる。
各原料の使用比率は、フラーレン1molに対して、通常、4〜16molの2級アミンを用いる。溶媒については、特に、ペルオキシド前駆体が分子状酸素の場合は、芳香族系溶媒と極性溶媒の混合溶媒を用いると光照射無しでも反応が進行するため好ましい。芳香族溶媒および極性溶媒の種類と混合比率、溶媒量、反応温度、反応時間は、上述のヒドロペルオキシド化合物を用いる場合と同様である。
反応収率は、用いる2級アミンの種類にもよるが、通常10〜100%である。特に、従来の光照射法では、その求核反応性が低いため全く得られなかったヘキサメチレンイミンなどの7員環の2級アミン化合物について、4重付加C60エポキシド体が得られるようになった点で優れた方法といえる。
びR2dは上述のR2と同様の置換基である。)
なお、本発明に係る製造方法によれば、従来公知の光照射法では合成できなかったt−ブトキシカルボニルアミノピペリジンなどのt−ブトキシカルボニル官能基を有するものが合成可能である。
これとは別に、2級アミンが分子内に2つの立体的に空いているNH基を有するもの、である場合、本発明の製造方法によれば、特に以下の部分構造を有するピペラジン環化付加体又はホモピペラジン環化付加体が生成されやすい。ここで、「立体的に空いているNH基を有する2級アミン」とは、窒素原子に隣接する炭素原子に置換基を有さない2級アミンであり、具体的には、無置換のピペラジンやホモピペラジンなどが挙げられる。
ngl.1993,32,1174"にC60の付加体として記載されている。該化合物は
、独特な電子的性質を有すると期待されるため、各種電子材料用途又は各種フラーレン誘導体の合成中間体として有用である。
本発明によりアミノ化フラーレンが製造されたことは、核磁気共鳴スペクトル(NMR)法、質量分析(MS)法、赤外線(IR)吸収スペクトル法などの各種有機分析法などで確認できる。
(実施例1) ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
フラーレンC60(40.0mg)とピペリジン(44.0μL)のクロロベンゼン(20mL)溶液に、クメンヒドロペルオキシド(純度80%、30.6μL)を加え、空気開放下室温で30時間撹拌後、ジメチルスルフィド(20μL)を添加して反応を停止させ、溶媒及び低沸点成分を減圧下留去した。4mLまで濃縮された溶液に室温で約50mLのメタノールを加え、生成した沈殿物を濾別、メタノール洗浄後室温で減圧乾燥して、目的物を得た(50.2mg、収率84%)。Org. Lett. 2000, vol2, p.3663-3665に記載の光反応法での収率53%に対し高収率であった。
核磁気共鳴スペクトル法(以下、13C―NMRと表す)による分析結果は、以下の通りであり、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2023 (1995)記載の化合物と同一物質と同定された。
1H―NMR(500 MHz, CDCl3)δ1.53-1.60 (m, 2H), 1.74-1.78 (m, 4H), 3.17-3.34 (m, 4H).13C―NMR(125 MHz, CDCl3)δ24.33, 24.65, 26.84, 26.88, 51.74, 52.19, 71.27, 72.67, 76.30, 76.61, 140.36, 141.45, 142.73, 142.90, 143.46, 143.77, 143.82, 143.86, 144.93, 144.95, 145.37, 145.38, 146.25, 146.35, 146.84, 146.89, 146.99, 147.13, 147.29, 147.43, 147.69, 147.70, 147.73, 149.01, 149.28, 150.03, 150.26, 152.04.
フラーレンC60の量、2級アミンの種類と量、クメンヒドロペルオキシドの量、クロロ
ベンゼンの量、反応時間を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして、各種ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドを合成した。なお、実施例13では、最後に多量メタノール添加で粗生成物を析出させた後、更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン、次いで体積比でトルエン/メタノール=95/5)で精製を行い、目的物を得た。また、実施例16及び17では、濃縮溶液に多量のメタノールを加える代わりに、5重量%のNaHSO4水溶液に溶解し、トルエンで洗浄した後、NaHCO3を加えてpH9を越えるように調節し、この塩基性水溶液からクロロホルムで3回抽出し、クロロホルム相を乾燥後、減圧して溶媒留去し、得られた濃縮液に体積比で1000倍のジエチルエーテルを加えることで、目的物を得た。
実施例2
赤外線吸収スペクトル分析(以下、「IR」とする)(単位cm-1)、1H―NMR、13C―NMR及び大気圧化学イオン化法による質量分析(以下、「APCI-MS」とする)の結果
は以下の通りであった。IRν(cm-1) 3443, 2957, 2924, 2852, 1739, 1458, 1212, 1134,
860, 755. 1H−NMR(400 MHz,CDCl3)では、δ1.90-1.96 (overlapped t, J = 3.6 Hz, 16H), 3.20 (m, 8H), 3.33 (m, 8H). 13C-NMR(125MHz, CDCl3)δ 24.06, 24.18, 50.41, 51.26, 65.89, 70.17, 73.45, 77.68, 141.04, 141.70, 143.48, 143.85, 143.93, 144.02, 144.15, 144.63, 145.50, 145.71, 145.77, 146.66, 146.70, 147.21, 147.34, 147.42, 147.64, 147.77, 147.85, 148.07, 148.11, 148.20, 149.39, 149.61, 150.40, 150.42, 153.36. APCI-MS m/z 1017 (MH+).
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2956, 2850, 1479, 1458, 1162, 98, 852, 755. 1H−NMR (400 MHz, CDCl3
)δ2.1-2.3 (m, 8H), 3.7-3.9 (m, 8H), 3.9-4.1 (m, 8H). 13C−NMR (125MHz, CDCl3)
δ17.48, 17.67, 51.78, 52.29, 71.27, 71.58, 74.58, 76.55, 140.78, 143.24, 143.66, 143.76, 143.93, 144.37, 144.58, 145.19, 145.46, 146.17, 146.25, 146.70, 147.01, 147.29, 147.51, 147.77, 148.81, 149.05, 149.24, 149.49, 151.93. APCI-MS (IPA/toluene) m/z 961 (MH+).
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MSおよび高分解能質量分析(以下、「HRMS」
とする)の分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2926, 2854, 1461, 1256, 1103, 835, 774. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.01 (s, 12H), 0.02 (s, 12H), 0.84 (s, 18H), 0.85 (s, 18H), 1.31 (m, 8H), 1.53 (m, 4H), 1.75 (t, J = 13.3, 4H), 1.86 (t, J = 12.5, 4H), 2.59 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 10.8, 4H), 2.77 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 3.44 (d, J = 6.5 Hz, 4H), 3.48 (d, J = 6.5 Hz, 8H), 3.66 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 3.78 (d, J = 11.0,2H), 3.85 (d, J = 10.0, 4H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ-5.27, -5.26, 18.36, 18.38, 25.96, 25.98, 29.72, 29.77, 29.79, 29.81, 38.45, 38.79, 50.58, 51.07, 51.53, 68.05, 68.08, 71.33, 72.41, 76.03, 76.60, 140.32, 141.46, 142.76, 142.94, 143.49, 143.76, 143.79, 143.89, 144.85, 144.88, 145.32, 145.36, 146.25, 146.36, 146.86, 146.89, 147.00, 147.14, 147.25, 147.44, 147.65, 147.72, 149.03, 149.30, 150.03, 150.15, 152.02. APCI-MS m/z 1651 (MH+). HRMS calcd for C108H104N4O5Si4 (MH+) 1649.7162; found: 1649.7140.
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2925, 1461, 1255, 1106, 834, 775. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ-0.01 (s, 12H), 0.00 (s, 12H), 0.83 (s, 18H), 0.84 (s, 18H), 1.32 (m, 8H), 1.46 (m, 12H), 1.73 (d, J = 12.0 Hz, 4H), 1.82 (d, J = 12.5 Hz, 4H), 2.57 (t, J = 11.2 Hz, 2H), 2.69 (t, J = 11.3 Hz, 4H), 2.76 (t, J = 11.0 Hz, 2H), 3.63 (m, 12H), 3.72 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 3.79 (d, J = 11.0 Hz, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ-5.23, -5.21, 18.29, 18.34, 25.96, 26.01, 32.16, 32.42, 33.15, 39.37, 50.87, 51.27, 51.35, 51.74, 60.83, 60.91, 71.39, 72.48, 76.05, 76.55, 140.35, 141.60, 142.77, 142.92, 143.47, 143.76, 143.82, 143.89, 144.69, 144.92, 145.33, 145.39, 146.27, 146.39, 146.89, 146.94, 147.02, 147.17, 147.25, 147.46, 147.56, 147.73, 149.07, 149.32, 149.93, 149.95, 151.96. APCI-MS m/z 1706 (MH+). HR-MS calcd for C112H112N4O5Si4: (MH+) 1705.7788; found: 1705.7783.
1H-NMR から実施例5と同一物質と同定された。
実施例7
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR―MSの分析結果は以下の通りであっ
た。
IR ν (cm-1) 3437, 2972, 2928, 2812, 1714, 1498, 1171, 1044, 860. 1H―NMR (500 MHz, CDCl3) δ1.47 (s, 18H), 1.49 (s, 18H), 1.50 (m, 8H), 2.10 (m, 8H), 2.33 (bs, 4H), 2.90 (m, 4H), 3.59 (bs, 8H), 3.74 (bs, 2H), 3.80 (bs, 2H), 4.59 (bs, 2H), 4.65 (bs, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ28.43, 28.45, 33.35, 33.61, 47.19, 47.63, 49.36, 49.74, 71.52, 71.82, 75.61, 76.51, 79.26, 140.15, 141.55, 142.85, 143.03, 143.09, 143.56, 143.86, 144.01, 144.37, 144.58, 145.07, 145.29, 146.16, 146.33, 146.85, 146.89, 146.98, 147.06, 147.12, 147.43, 147.70, 147.77, 149.08, 149.35, 149.59, 151.68, 155.11, 155.17. APCI-MS m/z 1535 (MH+). HR-MS calcd for C100H76N8O9: (MH+) 1533.5814; found: 1533.5813.
1H -NMR から実施例7と同一物質と同定された。
実施例9
IR、1H-NMR、13C-NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下の通りであった。IR :ν(cm-1)νcm-1 3413, 2955, 2883, 1668, 1463, 1364, 1308, 1231, 1146, 1079, 1038, 946, 914, 849, 754, 666, 545. 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.6-2.0 (m, 16H), 3.2-3.5 (m, 16H), 3.8-4.1 (m, 16H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ35.63, 35.79, 48.76, 49.39, 64.35, 64.36, 71.46, 71.79, 75.49, 76.45, 106.97, 107.12, 140.28, 141.56, 142.87, 143.08, 143.55, 143.67, 143.87, 144.00, 144.59, 144.72, 145.19, 145.34, 146.20, 146.36, 146.89, 146.92, 147.01, 147.15, 147.19, 147.47, 147.53, 147.74, 147.78, 149.08, 149.34, 149.81, 149.91, 151.79. APCI-MS (toluene:i-PrOH = 7:3) m/z 1305 (MH+). HR-MS calcd for C88H48N4O9: (MH+) 1305.3499; found: 1305.3492.
1H-NMR から実施例9と同一物質と同定された。
実施例11
1H-NMRから、J. Chem. Soc., Chem.Commun. 2023 (1995)に記載のモルホリン4重付加C60エポキシドと同一物質であると同定された。
実施例12
1H-NMRから、特開2002−88075号公報記載のN−メチルピペラジン4重付加C60エポキシドと同一物質であると同定された。
IR, 1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下のとおりであった。IR ν(cm-1) 3029, 2948, 2818, 1705, 1428, 1133, 860, 733, 696. 1H-NMR (500MHz, CDCl3) δ3.25 (m, 16H), 3.67 (bs, 16H), 5.17 (s, 4H), 5.18 (s, 4H), 7.28-7.45 (m, 20H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ44.36, 50.23, 50.70, 67.21, 71.72, 71.74, 75.47, 76.26, 127.95, 128.07, 128.09, 128.50, 136.58, 136.60, 140.10, 141.82, 143.03, 143.26, 143.48, 143.63, 143.87, 143.98, 144.19, 144.39, 144.89, 145.26, 146.07, 146.33, 146.68, 146.85, 146.93, 146.98, 147.02, 147.14, 147.47, 147.75, 147.90, 148.84, 149.20, 149.31, 149.46, 151.07, 155.04, 155.10. APCI-MS: m/z 1615 (MH+). HR―MS calcd for C108H60N8O9: (MH+) 1613.4562; found: 1613.4565.
IR, 1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR:ν(cm-1) 3025, 2930, 2807, 1452, 1138, 1005, 859, 738, 698. 1H-NMR (400MHz, CDCl3)
δ2.2 - 2.8 (m, 16H), 3.0-3.3 (m, 8H), 3.3-3.5 (m, 8H), 3.5-3.6 (m, 8H), 7.2-7.4 (m, 20H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ50.53, 50.93, 53.58, 62.91, 71.54, 71.92, 75.54, 76.35, 127.06, 127.11, 128.22, 128.24, 129.14, 129.26, 137.88, 138.09, 140.33, 141.66, 142.90, 143.08, 143.48, 143.61, 143.86, 144.02, 144.37, 144.70, 145.13, 145.28, 146.17, 146.32, 146.84, 146.92, 146.99, 147.10, 147.13, 147.24, 147.43, 147.71, 147.78, 149.07, 149.33, 149.47, 151.57. APCI-MS m/z 1438 (MH+).
1H-NMR から実施例14と同一物質と同定された。
実施例16
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR: ν(cm-1) 3420, 2959, 2813, 1454, 1324, 1150, 1055, 873, 752. 1HNMR (500MHz, CDCl3) δ1.11 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.19 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.21 (d, J = 6.5 Hz, 6H ), 1.24 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.64 (bs, 4H), 2.34 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.43 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.48 (t, J = 11.0 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 3.06 (m, 4H), 3.11 (m, 4H), 3.53 (d, J = 10.0 Hz, 2H), 3.57 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 3.65 (d, J = 11 Hz, 2H), 3.72 (d, J = 11.0 Hz, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ20.13, 20.35, 20.53, 20.64, 51.10, 51.14, 51.17, 57.54, 57.90, 58.05, 58.45, 71.51, 72.01, 75.70, 76.43, 140.30, 141.73, 142.81, 143.06, 143.50, 143.75, 143.83, 143.99, 144.36, 144.65, 145.22, 145.35, 146.11, 146.33, 146.88, 146.91, 146.97, 147.12, 147.21, 147.43, 147.71, 147.77, 149.05, 149.33, 149.54, 149.61, 151.33. APCI-MS m/z 1191 (50), 1188 (M-, 90), 721 (100).
1H-NMR から実施例16と同一物質と同定された。
(実施例18)
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成;極性溶媒(ジメチルスルホキシド)およびヒドロペルオキシドの前駆体(分子状酸素)を用いる反応
フラーレンC60(250.0mg)をクロロベンゼン(100mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(25mL)を加えた。この溶液に、5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペリジン(177.4mg)を加え、12時間後にHPLC(高速液体クロマトグラフィー)でフラーレンC60が無くなったことを確認してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)で洗浄し、ジメチルスルホキシド及び過剰のアミンを除去した。水層をクロロベンゼン(20mL)で3回逆抽出し、あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して粗生成物を得た(405.7mg)。15 gのシリカゲルで3重量%酢酸エチル-トルエンを溶離液として最初のフラクションをとり、二硫化炭素-メタノールから再結晶し、目的化合物を得た(344.5 mg、収率92%)。1H―NMR分析により、生成物は、実施例1の生成物と同一の化合物であると同定された。半定量イオン試験紙であるMacherey-Nagel社のQuantofix peroxide25(検出限界は0.5 mg/L)を用いて、最初の分液で得られた水層(120 mL)中を分析したところ、2 mg/Lの過酸化水素が検出された。算出された検出量は、全量で13μmolであった。
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成:極性溶媒(ジメチルスルホキシド)および有機ヒドロペルオキシドを用いる反応フラーレンC60 (100.0mg) をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(10 mL)を加え、3回凍結脱気して窒素置換した後、クメンヒドロペルオキシド(63.41mg)を加え、ピペリジン(70.95mg)を窒素気流下で加えた。窒素気流下で6時間反応後、HPLCでフラーレンC60が無くなったことを確認し、ジメチルスルフィド(0.1mL)を加えた。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)で洗浄した後、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して粗生成物を得た(182.4mg)。7gのシリカゲルで3重量%酢酸エチル-トルエンを溶離液として最初のフラクションをとり、二硫化炭素-メタノールから再結晶し、目的化
合物を得た(103.8 mg、収率70%)。1H―NMR分析により、生成物は実施例1の生成物と同一
の化合物であると同定された。
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成:極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)およびヒドロペルオキシドの前駆体(分子状酸素)を用いる反応フラーレンC60(100.0 mg)をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)
を加えた。この溶液に、5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペリジン(70.96mg)を加えた。96時間後にHPLCでフラーレンC60が無くなったことを確認してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)で洗浄した。水層をクロロベンゼン(20mL)で3回逆抽出し、
あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥させた後、溶媒を留去して、粗生成物(158.4mg)を得た。HPLC分析および1H―NMR分析により、実施例1の生成物と同一の化合物が主成分であると同定した。
フラーレンC60の量、2級アミンの種類と量、クロロベンゼンの量、極性溶媒の種類と
量、反応時間を表1に記載の通りとした他は、実施例18と同様にして、各種ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドを合成した。
実施例21〜30の生成物の分析結果は、各々、以下の通りであった。
薄層クロマトグラフィー(以下、「TLC」とする。)における試料の移動度(以下、「Rf値」とする。)、IR、1H―NMR、13C―NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであり、
実施例2のピロリジン4重付加フラーレンC60エポキシドと同一物質であると同定された
。
Rf (10wt% ethyl acetate/toluene) 0.25. IR (powder, cm-1) ν3443 (m), 2957 (s),
2924 (s), 2852 (s), 1739 (w), 1458 (m), 1212 (w), 1134 (m), 860 (m), 755 (s), 541 (w). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.90-1.96 (overlapped t, J = 3.6 Hz, 16H), 3.20 (m, 8H), 3.33 (m, 8H). 13C―NMR (100 MHz, CDCl3)δ23.85 (CH2), 23.95 (CH2), 50.12 (CH2), 50.02 (CH2), 69.69, 71.42, 72.91, 77.89, 140.37, 140.93, 142.85, 143.23, 143.33, 143. 67, 143.99, 144.85, 144.95, 145.06, 145.16, 146.07, 146.16, 146.67, 146.77, 146.83, 147.07, 147.19, 147.32, 147.35, 147.51, 147.61, 148.84, 149.06, 149.59, 149.78, 152.59.MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1017, found 1017.
1H−NMRから実施例9の化合物と同一物質と同定された。
実施例23
1H−NMRから、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2023 (1995)記載のモルホリン4重付加フラーレンC60エポキシドと同一物質であると同定された。
実施例24
1H−NMRから実施例7の化合物と同一物質であると同定した。
1H−NMR及び13CNMRの分析結果は以下の通りであった。1H-NMR (270 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ1.39 (m, 8H), 1.57 (m, 8H), 1.91 (m, 8H), 2.62 (t, J = 12 Hz, 2H), 2.78 (m, 6H), 3.44 (m, 8H), 3.69 (d, J = 8 Hz, 4H), 3.88 (dd, J = 13, 12 Hz, 4H), 4.63 (t, J = 5 Hz, 2H), 4.67 (t, J = 5 Hz). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ30. 35, 30.48, 30.53, 38.94, 39.25, 50.99, 51.44, 51.47, 51.88, 66.85, 66.97, 71.54, 72.73, 76.42, 77.02, 140.75, 141.66, 142.96, 143.12, 143.60, 143.78, 144.10, 145.25, 145.53, 145.58, 145.68, 146.50, 146.51, 146.98, 147.03, 147.13, 147.27, 147.52, 147.54, 147.79, 147.85, 148.35, 149.10, 149.37, 150.38, 150.83, 152.60.
1H−NMR及び13CNMRの分析結果は以下の通りであった。1H-NMR (270 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ1.38 (m, 8H), 1.56 (m, 16H), 1.92 (m, 8H), 2.64 (t, J = 12 Hz, 2H), 2.79 (m, 6H), 3.65 (m, 8H), 3.85 (m, 4H), 4.54 (t, J = 5Hz, 2H), 4.56 (t, J = 5Hz, 2H). 13C−NMR (100 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ32.71 , 32.97 , 33.79 , 33.84 , 33.93 , 33.96 , 41.24 (CH, 4C), 51.31 , 51.72 , 51.85 , 52.26 , 59.43 , 71.72 , 72.88 , 76.58 , 77.17 , 140.92 , 141.80 , 143.13 , 143.31 , 143.78 , 143.97 , 144.27 , 145.41 , 145.72 , 145.84 , 146.69 , 147.17 , 147.21 , 147.31 , 147.45 , 147.70 , 147.72 , 147.98 , 148.03 , 148.53 , 149.53 , 149.29 , 149.55 , 150.51 , 151.00 , 152.74.
IR、1H-NMR、13C-NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR (powder, cm-1) ν2923, 2852, 1793, 1723, 1713, 1692, 1659, 1644, 1632, 1613, 1451, 1409, 1391, 1358, 1335, 1306, 1285, 1239, 1223, 1181, 1113, 1075, 986, 967. 1H―NMR (500 MHz, CDCl3) δ1.68-1.86 (m, 10H), 3.34-3.44 (m, 2H), 3.45-3.50 (m, 1H), 3.59-3.64 (m, 1H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ27.09, 27.12, 29.47, 29.70, 52.07, 52.54, 71.12, 72.49, 76.04, 77.21, 139.68, 141.33, 142.62, 142.83, 143.55, 143.63, 143.72, 143.94, 144.99, 145.06, 145.43, 145.44, 146.33, 146.38, 146.83, 146.95, 146.96, 147.16, 147.18, 147.40, 147.65, 147.73, 148.56, 148.94, 149.24, 150.87, 150.96, 152.30.
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR (powder, cm-1) ν3390 (m), 2937 (s), 2795 (s), 2692 (w), 1651 (w), 1455 (s), 1375 (m), 128 7 (s),1158 (w), 1111 (m), 1004 (s), 858 (w), 793 (w), 752 (s), 661 (w), 551 (w),526 (w). 1H−NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.38 (s, 6H), 2.42 (s, 6H), 2.1-2.5 (br m, 16H), 2.5-3.5 (br m, 16H). 13C−NMR (100 MHz, CDCl3) δ46.07 (CH3), 46.09 (CH3),50.42 (CH2), 50.78 (CH2), 55.65 (CH2), 55.76 (CH2), 71.53, 71.83, 75.44, 76.31, 140.07, 141.48, 142.71, 142.90, 143.30, 143.41, 143.68, 143.87, 144.09, 144.45, 144.93, 145.10, 145.96, 146.12, 146.65, 146.71, 146.76, 146.79, 146.81, 146.91, 147.22, 147.50, 147.58, 148.88, 149.11, 149.14, 149.17, 151.21. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1133, found 1133.
TLCのRf値、IR、1H-NMR、13C-NMR及び,APCI-MSの分析結果は以下の通りであった。Rf (5wt% ethyl acetate/toluene) 0.42. IR (powder, cm-1)ν2955 (s), 2928 (s), 2867 (m), 2797 (w), 1725 (m), 1457 (s), 1419 (w), 1376 (w), 1266 (w), 1243 (w), 1215 (m), 1183 (w), 1132 (w), 1104 (w), 1064 (w), 1026 (m), 932 (w), 861 (m), 757 (s), 666 (w), 538 (m). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3 ) δ0.8-1.0 (m, 20H), 1.3-1.5 (m, 8H), 1.6-1.7 (m, 8H), 2.80 (s, 6H), 2.87 (s, 6H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.37, 14.45, 20.64, 20.77, 30.83, 31.00, 38.70, 39.34, 53.93, 54.43, 72.68, 72.86, 76.31, 76.48, 140.02, 141.36, 142.57, 142.61 , 142.81 , 143.36 , 143.66 , 143.74 , 144.80 , 144.95 , 145.25 , 145.32 , 146.15 , 146.26 , 146.76 , 146.86 , 146.87 , 147.07 , 147.42 , 147.59 , 147.67 , 147.99 , 148.92 , 149.20 , 150.06 , 150.41 ,151.90. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1081, found 1081.
LCのRf値、IR、1H-NMR、13C-NMR及び,APCI-MSの分析結果は以下の通りであった。
Rf (10 wt% ethyl acetate/toluene) 0.15. IR (powder, cm-1) ν3006 (w), 2975 (m), 2929 (w), 2856 (w), 2821 (w), 1698 (s), 1476 (w), 1453 (m), 1421 (s), 1365 (m), 1300 (w), 1286 (m), 1252 (s), 1171 (s), 1132 (s), 1001 (s), 862 (m), 755 (s), 699 (w), 665 (w), 581 (w), 547 (w), 536 (w), 505 (w). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.49 (overlapped s, 18H), 1.50 (overlapped s, 18H), 3.1-3.2 (m, 8H), 3.2-3.3 (m, 8H), 3.5-3.7 (m, 16H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3). δ28.54 (CH3), 28.57 (CH3), 50.41 (CH2), 50.89 (CH2), 52.90 (CH2), 53.08 (CH2), 71.71, 71.83, 75.56, 76.37, 137.70, 140.05, 141.65, 142.89, 143.12, 143.43, 143.52, 143.85, 143.94, 144.04, 144.38, 144.86, 145.18, 146.00, 146.24, 146.75, 146.87, 146.92, 147.04, 147.36, 147.64, 148.95, 149.07, 149.33, 151.12, 154.42, 154.56, 154.62. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1478, found 1478.
ピペラジン環化付加フラーレンC60の合成;
フラーレンC60(100mg)をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(10mL)を加えた。この溶液に5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペラジン(12.0mg)を加えた。36時間後に、高速液体クロマトグラフィーでフラーレンC60がなくなったことを確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、ジメチルスルホキシドおよび過剰のアミンを除去した。水層はクロロベンゼンで逆抽出し、あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去することで粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製後、フラーレン・ピペラジンの1:1付加体を単離収率20%、1:2付加体を単離収率9%得た。単離した1:1付加体および1:2付加体の分子量を質量分析法で確認するとともに、1H−NMRおよび13C−NMRを測定し、各々、Angew.Ch em.Int.Ed.Engl.1993,32,1174(1:1付加体)及びLiebigs Ann.1995,115(1:2付加体)記載のデータからその構造を確認した。
光照射法による{4−(tert−ブチルジメチルシロキシメチル)ピペリジン}4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
フラーレンC60100mgと4−(tert−ブチルジメチルシロキシメチル)ピペリジン1.019gをクロロベンゼン100mLに溶解し、60W白熱灯を照射しながら、空気下で20時間撹拌した。溶媒及び未反応のN−メチルピペラジンを減圧留去し、得られた褐色固体をヘキサンにより洗浄し、目的物49mgを得た。収率53%。
光照射法による{4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン}4重付加フラーレンC60エポキシドの合成検討
2級アミンを4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン888.8mgとした以外は、比較例1と同様に行ったが、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」とする。)及び1H―NMRの結果から{4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン
}4重付加フラーレンC60エポキシドは合成されなかったことが確認された。
光照射法による4−ベンジルピペラジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
2級アミンを4−ベンジルピペラジン769mLとした以外は、比較例1と同様に行ったところ、4−ベンジルピペラジン4重付加フラーレンC60エポキシド39.8mgが得られた。収率は20%であった。
光照射法反応におけるヒドロペルオキシドの定量
フラーレンC60 (100 mg)とピペリジン(378 mg)のクロロベンゼン (50 mL)溶液に、5cmの距離から60 W白熱灯を照射しながら攪拌し、8時間後に、水10mLで水溶性化合物を抽出し、Macherey-Nagel社のQuantofix peroxide25により過酸化水素を定量したが、検出限界(0.5 mg/L)以下であった。
長時間反応におけるヒドロペルオキシドの定量
フラーレンC60(100mg)とピペリジン(378 mg)のベンゼン(50 mL)溶液に空気を5分間流通後、そのまま空気下で1週間攪拌してから、水10mLで水溶性化合物を抽出し、Macherey-Nagel社のQuantofix peroxide25により過酸化水素を定量したが、検出限界(0.5 mg/L)
以下であった。
Claims (7)
- フラーレンと2級アミンとをヒドロペルオキシド存在下で反応させることを特徴とするアミノ化フラーレンの製造方法。
- 光照射せずに反応させることを特徴とする請求項1に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
- 分子状酸素又は有機ヒドロペルオキシドの存在下で反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
- 極性溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至3に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
- アミノ化フラーレンが、フラーレン骨格上に4個のアミノ基とエポキシドが結合しているテトラアミノフラーレンエポキシド構造であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
- テトラアミノフラーレンエポキシド構造が、フラーレン骨格上の1つのシクロペンタジエン環に隣接する5個の炭素原子のうちの4個にアミノ基が結合し、残り1個にエポキシドの酸素原子が結合していることを特徴とする、請求項1乃至5に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法により製造されるアミノ化フラーレン。
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