JP2006192443A - 角筒絞り加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 四角形薄板からなるブランクの周辺部をブランクホルダーによって保持した状態で前記ブランクの中央部に四角形状断面の筒状体に絞り成形する際、感圧紙を用いて試し打ちをしたときに、当該圧を付加された感圧紙の濃淡変化から四角形状断面筒状体の直辺部及びコーナー部のブランクホルダーとダイとの間の面圧を測定し、直辺部の面圧をコーナー部の面圧よりも高くなるように当り調整された金型を用いる。
面圧差の調整は、ブランクホルダーとそれを押圧するバックアッププレートとの間に挿入されるシム板の板厚の調整により行われることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
そこで、一般的にはコーナー部の材料流入をしやすくするために、直辺部よりもコーナー部の金型当りを弱くして絞り加工することが良いとされている。
このような当り取りの作業は、プレス加工の経験が豊富な熟練者であれば、少ない調整回数で容易に行える。しかしながら、通常の作業者であれば、試行錯誤の調整を行う場合が多く、金型当りの調整に時間がかかって生産性を悪くしている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、直辺部とコーナー部の面圧差を用いて定量的に金型当り調整を行い、しわの発生やコーナーダイR部の破断を抑制した角筒絞り加工方法を提供することを目的とする。
面圧差の調整は、ブランクホルダーとそれを押圧するバックアッププレートとの間に挿入されるシム板の板厚の調整により行われることが好ましい。
型当りが全面若しくは外当りとなっていると、フランジの流入抵抗が増大するために加工割れが発生しやすくなる。フランジ流入抵抗を小さくするためは、内当りで絞り加工することが必要となる。このために、ブランクホルダーとそれを押圧するバックアッププレートとの間にシム板を挿入している。
金型の初期状態(型当り状態)にもよるが、全面が均一に当たっている場合に金型の直辺部にシム板を挿入するとコーナー部に隙間が生じる。この隙間の形成により、コーナー部のフランジ材料が引き込まれやすくなり、加工割れを防ぐことができるようになる。しかし、隙間を大きくしすぎるとしわが発生しやすくなる。
そこで、本発明は、角筒絞り加工する際、シム板の板厚調整による直辺部とコーナー部の型当りを面圧差として定量化し、金型の初期状態に拘わらず、また個人差による影響を少なくして形状精度に優れた角筒絞り加工品を生産性良く製造しようとするものである。
以下に、本発明をより詳しく説明する。
本発明方法にも、基本的には上記のような従来から使用されている角筒絞り加工装置が用いられる。
金型当りの調整には、例えば厚さを50μmに調整したステンレス鋼の薄板のハード材をシム板Sとして用いる。シム板Sは、上型5のダイ3とプレート2の間か下型12のブランクホルダー9とバックアッププレート10の間に挿入されるが、プレス現場での金型の組み替えをスムーズに行うことを前提に考えると、下型12のブランクホルダー9とバックアッププレート10の間に挿入されることが好ましい。
プレス加工による試し打ちを行った後に、ブランクホルダー上の感圧紙を取り出す。平らなところで市販の面圧測定工具を用いて前記感圧紙の色が変化している部分の面圧を測定する。具体的には、シム板が配置された直辺部とコーナー部の面圧を測定し、両者の面圧差と、その後実際に絞り成形したときの角筒絞り成形体のしわや割れの発生状況とを対比する。そして、シム板の厚さを種々変え、角筒絞り成形体にしわや割れが発生していないときの、面圧差の適正範囲として設定する。
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304を素材とし、長辺190mm×短辺90mm×深さ90mmで、コーナーR40の角絞り成形品を得る場合には、5〜7MPaの面圧差とすることが好ましい。
310mm×295mmの切板を多角形にコーナーカットしたブランクを使用した。
角筒絞り形状は、長辺が190mm,短辺が90mmでコーナーRが40Rの長円形とした。用いた金型装置は、図1に示したものと同型で、金型のパンチRは15mm,ダイRは10mmとした。プレス機械は80トンの油圧プレスで、潤滑油として水性のものを使用し、しわ押さえ力を50トンまでの範囲内で変え、絞り加工後の製品高さを90mmとした。
なお、面圧分布は、感圧紙として富士写真フィルム社製の「プレスケール」(登録商標)を使用し、面圧測定工具として富士写真フィルム社製のプレスケール専用濃度計を用いて行った。また、角筒絞り成形品の外観観察は目視で行った。
図1に示す結果から、シム板の厚さが10〜20μmの範囲内では直辺部とコーナー部の面圧差が5〜7MPaであるのに対して、50〜100μmの範囲にすると直辺部とコーナー部の面圧差が殆どなくなることがわかる。
また、図2に示す結果から、シム板の厚さが10〜20μmの範囲内では広い範囲のしわ押さえ力でしわを発生させることなく角筒絞り成形品を得ることができている。これに対して、シム板の厚さを50〜100μmの範囲にすると、しわが発生しやすくなったり、割れが発生しやすくなったりしている。
図2及び3の結果を総合すると、シム板の厚さが10〜20μmでは面圧差が5〜7MPaになって、成形可能な条件幅が広くなって絞り成形しやすくなることがわかる。
言い換えると、シム板の利用により適切な面圧差を持つように当りが調整された金型を用いて角筒絞り加工を行うと、しわや加工割れのない絞り成形品が容易に得られるとも言える。
6:ボルスター 7:下ホルダー 8:パンチ 9:ブランクホルダー
10:バックアッププレート 11:クッションピン 12:下型
S:シム板
Claims (2)
- 四角形薄板からなるブランクの周辺部をブランクホルダーによって保持した状態で前記ブランクの中央部に四角形状断面の筒状体に絞り成形する際、感圧紙を用いて試し打ちをしたときに、当該圧を付加された感圧紙の濃淡変化から四角形状断面筒状体の直辺部及びコーナー部のブランクホルダーとダイとの間の面圧を測定し、直辺部の面圧をコーナー部の面圧よりも高くなるように当り調整された金型を用いることを特徴とする角筒絞り加工方法。
- 面圧差の調整が、ブランクホルダーとそれを押圧するバックアッププレートとの間に挿入されるシム板の板厚の調整により行われる請求項1に記載の角筒絞り加工方法。
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