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JP2006176764A - 電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シート、およびそれを用いた電子部品ならびに電子機器 - Google Patents

電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シート、およびそれを用いた電子部品ならびに電子機器 Download PDF

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JP2006176764A JP2005338296A JP2005338296A JP2006176764A JP 2006176764 A JP2006176764 A JP 2006176764A JP 2005338296 A JP2005338296 A JP 2005338296A JP 2005338296 A JP2005338296 A JP 2005338296A JP 2006176764 A JP2006176764 A JP 2006176764A
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Daikichi Nishioka
大吉 西岡
Taiji Sawamura
泰司 澤村
Hideki Shinohara
英樹 篠原
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】 接着力、耐リフロー性に優れ、しかも速硬化性を有した電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シートおよびそれを用いた電子部品ならびに電子機器を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、無機質充填剤および一般式(I)で表されるイミダゾール化合物を含有することを特徴とする電子機器用接着剤組成物。
Figure 2006176764

【選択図】 なし

Description

本発明は、電子機器用接着剤組成物に関し、詳しくは補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用半導体集積回路を実装する際に用いられるテープオートメーテッドボンディング(TAB)方式のパターン加工テープ、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ用インターポーザー等の半導体接続用基板、フレキシブルプリント基板(FPC)におけるカバーレイや銅貼り積層板およびその補強板、多層基板における層間接着剤、およびそれらを用いた基板部品、リードフレーム固定テープ、LOC固定テープ、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着剤すなわちダイボンディング材、シールド材等に好適に用いられる電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シートおよびそれを用いた電子部品ならびに電子機器に関する。
近年、半導体集積回路(IC)パッケージにおいて、多ピン化、小型化の手段としてBGA方式、LGA方式、PGA方式、等が実用化されてきた。中でもBGA方式はプラスチック材料の利用による低コスト化、軽量化、薄型化の可能性が高く注目されている。
図1にBGA方式の例を示す。IC1を接続するために絶縁体層3および導体パターン5、接着剤層4からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層7、およびこれらを積層するための接着剤層6を、それぞれ少なくとも1層以上有しており、さらに金バンプ2、ソルダーレジスト8をもち、IC1を接続した半導体集積回路接続用基板の外部接続部としてICのピン数にほぼ対応する半田ボール9を格子状(グリッドアレイ)に有している。
一方、BGA方式は以下のような課題がある。(a)半田ボールの面の平面性を保つ、(b)放熱を良くする、(c)温度サイクルやリフローの際に半田ボールにかかる熱応力を緩和する、(d)リフロー回数が多いのでより高い耐リフロー性を要する。これらを改善する方法として、半導体集積回路接続用基板に補強、放熱、電磁的シールドを目的とする金属板等の材料を積層する方法が一般的である。この方法は、特に、ICを接続するための絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層にTABテープやフレキシブルプリント基板を用いた場合は重要である。
接着剤層4は、最終的にパッケージ内部に残留する。接着剤層4に要求される特性は、(a)易加工性、(b)耐リフロー性、(c)温度サイクルやリフローの際に、配線基板層と補強板等の異種材料間で発生する応力吸収(低応力性)、(d)配線上に積層する場合の絶縁性等が挙げられる。
中でも、重要な特性は耐リフロー性である。耐リフロー性は、半田浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ペーパーフェイズ法)や赤外線リフロー等パッケージ全体が高温に加熱される実装方法において要求される特性である。近年、環境への負荷を考慮し、外部端子接続に使用される半田からの鉛フリー化が取り組まれている。この各種鉛フリー半田は現行の鉛系半田より融点が高いため、接着剤に要求される耐リフロー性が高くなってきている。リフロー工程における不具合の発生は、接着剤層を硬化してから実装工程の間までに部材に吸収された水分が加熱時に爆発的に水蒸気化、膨張し、それにより高温状態で軟化した接着剤層に気泡が生じ、テープ基板界面が膨れ、半田端子がショートしてしまうという信頼性低下につながる。そこで接着剤としては、リフロー工程において発生する水蒸気の侵入を防ぐために硬く、低吸湿性で接着力の高いことが求められる。
また、実際の製造プロセスにおいては、接着剤単独のものよりも保護フィルム層を有する接着剤シートを用いる方法が一般的である。まず、打ち抜き等で適宜成型した接着剤シートから片側の保護フィルム層を除き、半導体接続用基板にラミネートまたはプレスで圧着する。次いで残りの保護フィルム層を除き、補強板、放熱板、別の回路基板の被着体を再度ラミネートまたはプレスで圧着する。必要に応じて加熱、加圧により接着剤を硬化させる。一般的に、熱硬化型接着剤は硬化工程に数時間を要するため、生産性低下の要因の一つとなっている。このため、加工工程短縮のために速硬化性の熱硬化型接着剤が望まれている。より好ましくは、接着剤シートの両側に被着体が圧着されると同時に硬化が完了することである。
従来の熱硬化型接着剤の一例として、特許文献1に記載されるような接着剤シートが使用されているが、電子機器用部品に圧着される時間が数分単位であると、硬化反応が不十分であるために耐リフロー性等の諸特性を満足することはできない。場合によっては、圧着による急激な圧力・高温負荷により接着剤シートに発泡等の問題が発生することもある。一般的な硬化促進剤を用いることで速硬化性を持たせることはできるが、なお十分な接着力、耐熱性(耐リフロー性)を得ることはできなかった。
また、特許文献2に記載されるように、エポキシ樹脂/フェノールノボラック樹脂/エラストマーの組成物にカップリング剤としてイミダゾールシランを添加したプリプレグが提案されている。これを本発明の技術分野に用いた場合は、イミダゾールシランによって基材との接着力は向上するが、リフロー工程等高温に何度も曝される環境下において、耐熱性が不足するために接着剤層に発泡やクラックが生じる課題がある。
また、特許文献3にはボンディングシートとして、エポキシ樹脂/カルボキシル基含有ニトリルゴム/硬化剤/イミダゾール化合物/シランカップリング剤/無機質粉末の組成物が提案されている。しかし、この場合もイミダゾール化合物によって硬化速度の調節が可能であるが、基材との接着力が不十分であった。
特開2001−049221号公報(第8〜第17段落) 特開2003−318499号公報(第9〜第14段落) 特開平06−322324号公報(第3〜第4段落)
従来の熱硬化型接着剤組成物を短時間(数分単位)で硬化させると、接着力や耐リフロー性等の特性がバランスよく得られなかった。本発明はこの問題点を解決し、接着力、耐リフロー性に優れ、しかも速硬化性を有した電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シートおよびそれを用いた電子部品ならびに電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。すなわち、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、無機質充填剤および一般式(I)で表されるイミダゾール化合物を含有する電子機器用接着剤組成物である。
Figure 2006176764
(ただし、Rは水素または炭素数が1〜20の飽和炭化水素基、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基を表す。R、R、RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、炭素数が1〜10のアルキル基を表す。XおよびXはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基または炭素数が1〜3のアルキル基を表す。pおよびqは1〜10の整数、lは1〜3の整数、rは1〜5の整数を表す。)
本発明によれば、短時間で硬化可能であり、接着力および耐リフロー性に優れ、加工性と信頼性のバランスがとれた電子機器用接着剤組成物を得ることができる。
本発明の電子機器用接着剤組成物(以下接着剤組成物という)とは、スティフナー、ヒートスプレッダー、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用半導体集積回路を実装する際に用いられるテープオートメーテッドボンディング(TAB)方式のパターン加工テープ、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ用インターポーザー等の半導体接続用基板、またフレキシブルプリント基板(FPC)やその補強板、カバーレイや銅貼り積層板、多層基板の層間接着剤、およびそれらを用いた基板部品、リードフレーム固定テープ、LOC固定テープ、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着剤すなわちダイボンディング材、シールド材等に使用でき、それら被着体の形状および材料は特に限定されない。
以下、本発明の構成を詳述する。本発明の接着剤組成物は、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、無機質充填剤および一般式(I)で表されるイミダゾール化合物を含有する。
本発明の接着剤組成物は、硬化後の接着力が好ましくは5Ncm−1以上、さらに好ましくは10Ncm−1以上であると耐リフロー性が向上するため好適である。
本発明の接着剤組成物は、熱可塑性樹脂を含むことにより、靱性を付与することができ、接着性の向上、可撓性の向上、熱応力の緩和等の効果が得られる。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン等公知のものが例示される。また、これらの熱可塑性樹脂は後述のエポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有することが好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基等である。これらの官能基によりエポキシ樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。
これらの中でも、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、スチレン−ブタジエン樹脂(SBS)等のブタジエンを共重合成分とする共重合体は、金属との接着性、耐薬品性等の観点から好適に用いられる。さらに、ブタジエンを共重合成分とし、かつカルボキシル基を有する共重合体はより好ましく用いられ、例えば、カルボキシル化NBR(NBR−C)、カルボキシル化SEBS(SEBS−C)およびカルボキシル化SBS(SBS−C)等が挙げられる。NBR−Cとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴム等が挙げられる。具体的には、PNR−1H(JSR(株)製)、“ニポール”1072J、“ニポール”DN612、“ニポール”DN631(以上日本ゼオン(株)製)、“ハイカー”CTBN(BFグッドリッチ社製)等がある。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が、SBS−CとしてはD1300X(シェルジャパン(株)製)が例示できる。
アクリル樹脂は、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体が好ましく使用できる。また、これらの共重合体についても後述のエポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等である。さらにこの場合、官能基としてカルボキシル基および/または水酸基を有する共重合体に、他の上述した官能基を有する共重合体を混合して用いるとさらに好ましい。他の官能基含有量については、0.07〜0.7eq/kgが好ましく、より好ましくは0.07〜0.45eq/kg、さらに好ましくは0.07〜0.14eq/kgである。
ポリアミドは、80℃から200℃の温度範囲で可塑性を示すものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。特に、接着剤層に可撓性を持たせ、かつ低吸水性の炭素数が36であるジカルボン酸(いわゆるダイマー酸)を含有するものが好適である。ダイマー酸を含有するポリアミド樹脂は常法によるダイマー酸と2官能以上のアミンとの重縮合により得られるが、この際にダイマー酸以外のアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸を共重合成分として含有しても良い。ジアミンはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン等の公知のものが使用でき、吸湿性、溶解性の点から2種以上の混合でも良い。
一例として、200℃における溶融粘度が15Pa・s以下である低粘度ポリアミド樹脂と50Pa・s以上である高粘度ポリアミド樹脂を少なくともそれぞれ1種類組み合わせて使用することが有効である。これらを組み合わせることで、保護フィルム層に接着剤層を形成した後に有機絶縁性フィルムに張り合わせる工程において、接着剤の流動性を変えることができるため、有機絶縁性フィルムへの接着剤組成物の埋まり込み性を利用して接着剤層と有機絶縁性フィルムとの接着強度の制御が容易である。
上記の高粘度のポリアミド樹脂と低粘度のポリアミド樹脂との配合割合は、全ポリアミド樹脂に対して、高粘度ポリアミド樹脂が20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがより好ましい。高粘度のポリアミド樹脂が20重量%以上であれば、接着剤の流動性を低減することができるため、接着剤を有機絶縁性フィルムにラミネートする工程における接着剤のしみ出し、巻き取り時におけるブロッキング等を抑制することができる。また高粘度ポリアミド樹脂が80重量%以下であれば、有機絶縁性フィルムと接着剤層との密着力が向上する。
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂を含むことにより、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層にしたときの強度等の物性バランスを実現することができる。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものなら特に制限されず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、下記式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されるエポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、およびハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2006176764
(ただし、R〜R14はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、炭素数が1〜4の
アルキル基またはハロゲン原子を示す。)
Figure 2006176764
(ただし、R15〜R22のうち2つ以上は2,3−エポキシプロポキシ基であり、残りはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。)
Figure 2006176764
(ただし、R23〜R26はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。)
Figure 2006176764
(ただし、R27〜R36はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。)
これらのエポキシ樹脂の中で、本発明において好ましく使用されるのは、接着性、耐薬品性、絶縁性に優れる点で、上記式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されるエポキシ樹脂である。
上記式(II)において、R〜R14の好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、sec‐ブチル基、t−ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。上記式(II)で表されるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)―3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4 −ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチル−2−クロロビフェニル、4,4’− ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチル−2−ブロモビフェニル、4,4’−ビス2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラエチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラブチルビフェニル等が挙げられる。
上記式(III)で表されるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、1,5−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−7−メチルナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−8−メチルナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−4,8−ジメチルナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−2−ブロモナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−8−ブロモナフタレン等が挙げられる。
上記式(IV)で表されるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、HP−7200(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記式(V)においてR27〜R36の好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。上記式(V)で表されるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の接着剤組成物中に含有されるエポキシ樹脂の量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部が好ましく、より好ましくは20〜200重量部である。エポキシ樹脂の含有量を5重量部以上とすることで、高温での弾性率を向上させることができ、400重量部以下とすることで、線膨張係数を高めて熱応力の緩和効果が得られるとともに、リフロー工程において被着体との接着界面で生じるクラックの発生を抑えることができる。
本発明の接着剤組成物は、さらに無機質充填剤を添加することにより、接着剤膜強度が増し、応力分散能が向上するため優れた耐リフロー性が得られる。また、打ち抜き性等の加工性、熱伝導性、難燃性を一層向上させることができる。無機質充填剤は、接着剤の特性を損なうものでなければ特に限定されず、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素を単独または2種以上混合して用いても良い。中でも熱分解温度が300℃を大きく超えるため接着剤の耐リフロー性に有利である点、接着剤シートの流動性を調整しやすい点、粒径の安定性からシリカが特に好ましい。粒子形状、結晶性は特に制限されず、破砕系、球状、鱗片状等が用いられるが、塗料への分散性の点から、球状が好ましく用いられる。さらに無機質充填剤の粒径は特に限定されないが、分散性および塗工性、耐リフロー性、熱サイクル性等の信頼性の点で、平均粒径3μm以下、最大粒径10μm以下のものが用いられ、好ましくは平均粒径1μm以下、最大粒径6μm以下、さらに好ましくは、平均粒径0.7μm以下、最大粒径2μm以下である。尚、ここでいう平均粒径、最大粒径は堀場LA500レーザー回折式粒度分布計で測定を行ったものをいう。また、粒子の純度は99%を超え、好ましくは99.8%を超え、さらに好ましくは99.9%を超えることが好ましい。特に、不純物イオンのNaイオンは0.1ppm以下、Clイオンは0.2ppm以下であることが好ましい。また、無機質充填剤の添加量は接着剤組成物中2〜50重量%が適当である。無機質充填剤の添加量を2重量%以上とすることで、リフロー耐熱性の向上効果が得られ、50重量%以下とすることで、接着力を向上させることができる。
本発明の接着剤組成物は、イミダゾールシランと称される、一般式(I)で表されるイミダゾール化合物を含有する。イミダゾールシランは、イミダゾール基がエポキシ樹脂に対して硬化促進作用を有するとともに、銅および銅合金に対して錯体を形成して高い吸着能も有する。また、アルコキシシリル基が金属や無機材料からなる基材とも強く吸着するため基材との密着性が向上する。さらに、Rがエポキシ基と反応する官能基であるため、さらに架橋密度が上がり、接着力およびリフロー耐熱性が向上する。エポキシ基と反応する官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等が挙げられる。また、イミダゾールシランは、アルコキシシリル基の長さに起因して接着剤硬化物の弾性率を低下させる傾向にあり、本発明において用いられるイミダゾール化合物は、一般式(1)におけるR〜Rの炭素数が1〜10の範囲である。
一般式(I)で表されるイミダゾール化合物の含有量は、接着剤組成物中に含まれるエポキシ基に対して0.1〜2.0mol%が適当である。ここで、接着剤組成物中に含まれるエポキシ基とは、熱可塑性樹脂にエポキシ基が含まれる場合には、熱可塑性樹脂およびエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の総量を指す。0.1mol%以上とすることで、硬化促進作用が得られ、接着力が向上する。一方、2.0mol%以下とすることで、弾性率を高く保ち、接着剤膜の強度と耐熱性を向上させることができる。
また、イミダゾールシランとともに硬化速度の調整等のために公知のイミダゾール化合物を含有することができる。例として、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体が挙げられる。これら公知のイミダゾール化合物の含有量は、一般式(I)で表されるイミダゾール化合物100重量部に対して20重量部から100重量部が適切である。
Figure 2006176764
ただし、上記式中、Rは水素または炭素数が1〜20の飽和炭化水素基、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基を表す。R、R、RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、炭素数が1〜10のアルキル基を表す。XおよびXはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基または炭素数が1〜3のアルキル基を表す。より好ましくは、水素、カルボキシル基、水酸基、メチロール基である。pおよびqは1〜10の整数、lは1〜3の整数、rは1〜5の整数を表す。
本発明の接着剤組成物に硬化剤を含有することは何等制限されない。たとえば、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、ジシアンジアミド、フェノール樹脂等が使用できる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。含有量は接着剤組成物中0.1〜60重量%であると好ましい。
また、本発明の接着剤組成物に、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を含有することも有効である。具体的には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、シアン酸エステル樹脂、等公知のものが例示される。エポキシ樹脂との反応性が良く、絶縁性に優れることから、フェノール樹脂は特に好ましい。
フェノール樹脂としてはノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂がいずれも使用できる。たとえば、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールからなる樹脂が挙げられる。フェノール樹脂の含有量は特に限定されないが、接着剤組成物中、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%の範囲である。フェノール樹脂の含有量をこの範囲にすることにより、接着力と耐熱性を両立させることができる。特に接着剤がレゾール型フェノール樹脂を20〜60重量%の範囲で含有することが好ましい。
本発明の電子機器用接着剤シート(以下接着剤シートという)とは、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層と、1層以上の剥離可能な保護フィルム層とを有する構成のものをいう。たとえば、保護フィルム層/接着剤層の2層構成、あるいは、図2に示す保護フィルム層11/接着剤層12/保護フィルム層11の3層構成がこれに該当する。接着剤層とは接着剤組成物の単膜以外にポリイミド等の絶縁性フィルムが積層された複合構造も含まれる。また、接着剤自体の粘着性を下げ、銅箔や補強板等の被着体への貼り合わせ時における気泡の噛み込みを防止するため、接着剤層の片面もしくは両面を粗面化してもよい。接着剤層自体の粘着性が高くとも、粗面化することで貼り合わせる対象物への接点が分散されることにより、粘着性が低減される。接着剤の粗面化の方法としては、特に限定されるものではないが、次の例が挙げられる。接着剤組成物を溶剤に溶解した塗液を、エンボス加工やサンドマット加工等により表面に凹凸を有するフィルム上に塗布、乾燥し、半硬化状態の接着剤シートを作製することにより、フィルムの凹凸が接着剤シート表面に転写される。また、接着剤シートの保護フィルムとして、凹凸のあるフィルムを用いてラミネートすれば同様に凹凸が接着剤シート表面に転写される。ただし、フィルム表面の凹凸に接着剤が埋まり込むことより、実際の使用の際、フィルムを剥がしにくくなり得るため、使用するフィルムとして特に本発明で好ましく用いられるものは、離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。その他にも、接着剤シートを凹凸のあるゴムロール等で表面粗化することもできる。また、通常の接着剤層に、低粘着な接着剤層を薄く積層して粘着性を下げる手法と表面粗化を組み合わせることで、より低粘着な接着剤シートにすることもできる。低粘着な接着剤層の具体的な例としては、無機粒子を増量した組成からなる接着剤、もしくは薄厚の接着剤シートを加熱エージングすることで粘着性をコントロールしたもの等が挙げられる。
接着剤層の厚みは、弾性率および線膨張係数との関係で適宜選択できるが、2〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。
ここでいう保護フィルム層とは、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)あるいは導体パターンが形成されていない層(スティフナー等)に接着剤層を貼り合わせる前に、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離できれば特に限定されない。たとえばポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーンあるいはフッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムおよびこれらのフィルムをラミネートした紙、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙等が挙げられる。保護フィルム層は、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることができる。
接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF、F(F>F)としたとき、F−Fは好ましくは5Nm−1以上、さらに好ましくは15Nm−1以上である。F−Fを5Nm−1以上とすることで、目的の保護フィルム層を安定して剥離することができるため作業性が良い。また、剥離力F、Fはいずれも好ましくは1〜200Nm−1、さらに好ましくは3〜100Nm−1 である。この範囲であれば、保護フィルム層の脱落や、接着剤層の損傷等のトラブルを防ぐことができる。
次に本発明の接着剤組成物を用いた接着剤シートの製造方法の例について説明する。
(a)本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、離型性を有するポリエステルフィルム上に塗布、乾燥する。接着剤層の膜厚は10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分が好ましい。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤あるいはこれらの混合物が好適である。
(b)(a)のフィルムに上記よりさらに剥離強度の弱い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルム層をラミネートして本発明の半導体装置用接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、該接着剤層を複数回積層すればよい。ラミネート後に、たとえば40〜70℃で20〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
本発明における電子部品とは、本発明の接着剤シートを用いて作製されるものをいい、例えば半導体集積回路接続用基板が挙げられる。
半導体集積回路接続用基板は、シリコン等の半導体基板上に素子が形成された後、切り分けられた半導体集積回路(ベアチップ)を接続するものであり、(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ1層以上有するものであれば、形状、材料および製造方法は特に限定されない。したがって、最も基本的なものは、A/C/Bの構成であるが、A/C/B/C/B等の多層構造もこれに含まれる。
(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層は、半導体素子の電極パッドとパッケージの外部(プリント基板等)を接続するための導体パターンを有する層であり、絶縁体層の片面または両面に導体パターンが形成されているものである。
ここでいう絶縁体層は、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルム、アルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス等のセラミック基板が好適であり、これらから選ばれる複数の層を積層して用いてもよい。また、必要に応じて、絶縁体層に加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
導体パターンの形成は、一般にサブトラクティブ法あるいはアディティブ法のいずれかで行われるが、本発明ではいずれを用いてもよい。
サブトラクティブ法では、絶縁体層に銅箔等の金属板を絶縁性接着剤で接着するか、あるいは金属板に絶縁体層の前駆体を積層し、加熱処理等により絶縁体層を形成する方法で作製した材料を、薬剤処理でエッチングすることによりパターン形成する。材料の具体例としては、リジッドあるいはフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープ等が挙げられる。中でも、少なくとも1層以上のポリイミドフィルムを絶縁体層とし、銅箔を導体パターンとするフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープが好ましく用いられる。
アディティブ法では、絶縁体層に無電解メッキ、電解メッキ、スパッタリング等により直接導体パターンを形成する。いずれの場合も、形成された導体に腐食防止のため耐食性の高い金属がメッキされていてもよい。また、配線基板層には必要に応じてビアホールが形成され、両面に形成された導体パターンがメッキにより接続されていてもよい。
(B)導体パターンが形成されていない層は実質的に(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層または(C)接着剤層とは独立した均一な層であり、半導体集積回路接続用基板の補強および寸法安定化(補強板あるいはスティフナーと称される)、外部とICの電磁的なシールド、ICの放熱(ヒートスプレッター、ヒートシンクと称される)、半導体集積回路接続基板への難燃性の付与、半導体集積回路接続用基板の形状的による識別性の付与等の機能を担持するものである。したがって、形状は層状だけでなく、たとえば放熱用としてはフィン構造を有するものでもよい。上記の機能を有するものであれば絶縁体、導電体のいずれであってもよく、材料も特に限定されない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン、ステンレス等、無機材料としてはアルミナ、ジルコニア、ソーダーガラス、石英ガラス、カーボン等、有機材料としてはポリイミド系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、エポキシ系等のポリマー材料が挙げられる。また、これらの組み合わせによる複合材料も使用できる。例えば、ポリイミドフィルム上に薄い金属メッキをした形状のもの、ポリマーにカーボンを練り込んで導電性をもたせたもの、金属板に有機絶縁性ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。また、上記(A)配線基板層に含まれる絶縁体層と同様に種々の表面処理を行うことは制限されない。
一般的には、パターン形成された銅箔等の金属板の上からさらにカバーレイフィルムで保護する。このカバーレイフィルムにも本発明の接着剤組成物を用いることができる。さらにこの可撓性を有する配線基板に金属板または有機絶縁性フィルム等の補強板を貼り付ける際の接着剤層としても本発明の接着剤組成物を用いることができる。
本発明のカバーレイフィルムの主な構成としては、ポリイミドフィルムまたはアラミドフィルム等の有機絶縁性フィルム(12.5〜125μm)/接着剤層(5〜50μm)/剥離可能な保護フィルム(12.5〜125μm)等が挙げられる。
本発明の、接着剤層を介して有機絶縁性フィルムと銅箔を張り合わせた銅張りポリイミドフィルムの主な構成としては、例えば片面品:銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/ポリイミドフィルム(12.5〜125μm)、両面品:銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/ポリイミドフィルム(12.5〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)等が挙げられる。また銅箔とは、一般的に圧延銅箔、電解銅箔等を用いることができるが、銅張りポリイミドフィルム、フレキシブルプリント配線基板、FPCの屈曲特性をより安定させる上で、圧延銅箔が好適である。
また、テープオートメーテッドボンディング(TAB)用接着剤付きテープとしては、剥離可能なポリエステル保護フィルム(12.5〜150μm)/接着剤層(5〜200μm)/剥離可能なポリエステル保護フィルム(12.5〜150μm)等を所定の規格幅(29.7〜60.6mm)にスリットした接着剤シートを、幅35〜70mmの規格幅の絶縁性フィルムの中央部に100〜160℃、10N/cm、5m/分の条件で熱ロールラミネートして作製されたもの等が例示される。
半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の電子部品に含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、各実施例で行った評価方法について述べる。
(1)反応率:DSC(Differential Scanning Calorimetry;示差走査熱量測定)によって求めた。接着剤の硬化前の反応熱量で硬化後の反応熱量を除した値に100を積した値を反応率とした。接着剤の硬化条件は0.5MPa加圧下、180℃、1分である。また、装置はセイコーインスツル社製DSC6200を使用し、昇温速度10℃/分で測定した。
(2)接着力:0.35mm厚のSUS304上に膜厚50μmの接着剤シートを130℃、1MPaの条件でラミネートした。その後、ポリイミドフィルム(75μm:宇部興産(株)製“ユーピレックス75S”)を先のSUS上にラミネートした接着剤シートの他方の面に130℃、1MPaの条件でさらにラミネートした後、0.5MPa加圧下、180℃、1分の加熱処理を行い、評価用サンプルを作製した。ポリイミドフィルムを5mm幅にスリットした後、5mm幅のポリイミドフィルムを90°方向に50mm/分の速度で剥離し、その際の接着力を測定した。ここで、接着力としては、加工性、ハンドリング性、半導体装置の信頼性の観点より、5N/cm以上であることが好ましい。
(3)耐リフロー性:30mm角に型抜きした50μm厚の接着剤シートの一方の保護フィルムを剥がし、30mm角の0.25mm厚SUS304の上に置く。シート同士がくっついている場合は、手でくっついている部分を剥がして行う。60℃、1MPa、1m/分の条件でロールラミネートした後、続いて接着剤シート上に導体幅100μm、導体間距離100μmの模擬パターンを形成した30mm角の半導体接続用基板を150℃、5MPa、1m/分の条件でロールラミネートした。その後、0.5MPa加圧下、180℃、1分の条件で硬化し耐リフロー性評価用サンプルを作製した。30mm角サンプル20個を30℃/70%RHの条件下、168時間吸湿させた後、すみやかに温度設定のされた赤外線リフロー炉を通過させて膨れが発生したか否かを超音波探傷機により観察した。赤外線リフロー炉の最高温度は245℃、260℃の2条件で行い、保持時間は各10秒である。評価用サンプル20個片中で膨れが発生したサンプル数をカウントした。
(4)リフロー後のPCT(Pressure Cooker Test):接着力の評価で作製した評価用サンプルを耐リフロー性試験の条件にかけた後、0.2MPa、121℃、100%RH雰囲気で放置した。一定期間(10時間経過)毎に取り出して、接着力評価を行い、5N/cm以下となった時間をもって終了とした。
次に、接着剤組成物及び接着剤シートの作製方法について述べる。下記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、無機質充填剤、イミダゾール化合物、その他添加剤を、それぞれ表1〜3に示した組成比となるように配合し、濃度28重量%となるようにDMF/モノクロルベンゼン/MIBK混合溶媒に40℃で撹拌、溶解して接着剤溶液を作製した。この接着剤溶液をバーコータで、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)に約50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、保護フィルムを貼り合わせて、本発明の接着剤シートを作製した。実施例に使用した各原材料は次の通りである。
熱可塑性樹脂
A:NBR−C(PNR−1H、JSR(株)製)
B:SEBS−C(MX−073、旭化成(株)製)
C:アクリル樹脂(SG−280DR、帝国化学産業(株)製:ブチルアクリレートを主成分とするカルボキシル基含有アクリルゴム)
D:アクリル樹脂(SGP−3、帝国化学産業(株)製:ブチルアクリレートを主成分とするエポキシ基含有アクリルゴム)
E:アクリル樹脂(XF−1834、トウペ(株)製:エチルアクリレートを主成分とする水酸基含有アクリルゴム)
F:下記方法により合成したポリアミド樹脂
酸としてダイマー酸PRIPOL1009(ユニケマ社製)およびアジピン酸を、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミンを用い、酸/アミン反応物、消泡剤および1%以下のリン酸触媒を加え、反応体を調製した。この反応体を、140℃、1時間撹拌加熱後、205℃まで昇温し撹拌した。約2kPaの真空下で、0.5時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、200℃における溶融粘度80Pa・s、酸価0.2のポリアミド樹脂Fを取り出した。
G:下記方法により合成したポリアミド樹脂。
酸としてダイマー酸PRIPOL1009(ユニケマ社製)およびアジピン酸を、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミンを用い、酸/アミン反応物、消泡剤および1%以下のリン酸触媒を加え、反応体を調製した。この反応体を、140℃、1時間撹拌加熱後、205℃まで昇温し撹拌した。約2kPaの真空下で、0.5時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、200℃における溶融粘度10Pa・s、酸価20のポリアミド樹脂Gを取り出した。
エポキシ樹脂
A:ビスフェノールA型(“エピコート”828、エポキシ当量:186、ジャパンエポキシレジン(株)製)
B:ビフェニル型(YX4000、エポキシ当量:185、ジャパンエポキシレジン(株)製)
C:フェノールノボラック型(“エピコート”152、エポキシ当量:175、ジャパンエポキシレジン(株)製)
D:オルソクレゾールノボラック型(“エピコート”180S65、エポキシ当量:210、ジャパンエポキシレジン(株)製)
E:ジシクロペンタジエン型(HP−7200、エポキシ当量:260、大日本インキ化学工業(株)製)
F:トリスヒドロキシフェニルメタン型(“エピコート”1032、エポキシ当量:169、ジャパンエポキシレジン(株)製)
G:ナフタレン骨格エポキシ(HP4032H、エポキシ当量250、大日本インキ化学工業(株)製)
無機質充填剤
A:球状シリカ(SO−E1、平均粒子径2μm、(株)アドマテックス製)
B:球状シリカ(“エクセリカ”、平均粒子径2μm、トクヤマ(株)製)
C:水酸化アルミニウム(“H−42”、昭和電工(株)製)
イミダゾール化合物
A:イミダゾールシラン(IS−1000、(株)日鉱マテリアルズ製)
B:2−エチル−4−メチルイミダゾール
硬化剤
A:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(“スミキュアS”、住友化学工業(株)製)
フェノール樹脂
A:フェノールレゾール樹脂(PL2312、群栄化学工業(株)製)。
実施例1
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例2
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Bを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例3
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Bを40.0重量%、無機質充填剤Bを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例4
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Bを40.0重量%、無機質充填剤Cを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例5
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Cを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例6
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Dを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例7
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Dを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、イミダゾール化合物Bを0.1重量%、硬化剤Aを4.7重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例8
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Fを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.1重量%、硬化剤Aを4.9重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表1に示す。
実施例9
上記の熱可塑性樹脂Bを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを1.0重量%、硬化剤Aを4.0重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例10
上記の熱可塑性樹脂Cを46.0重量%、エポキシ樹脂Aを15.0重量%、エポキシ樹脂Eを15.0重量%、無機質充填剤Aを20.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを3.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例11
上記の熱可塑性樹脂Dを46.0重量%、エポキシ樹脂Aを15.0重量%、エポキシ樹脂Eを15.0重量%、無機質充填剤Aを20.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを3.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例12
上記の熱可塑性樹脂Eを46.0重量%、エポキシ樹脂Aを15.0重量%、エポキシ樹脂Eを15.0重量%、無機質充填剤Aを20.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、硬化剤Aを3.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例13
上記の熱可塑性樹脂Fを20.0重量%、熱可塑性樹脂Gを20.0重量%、エポキシ樹脂Aを5.0重量%、エポキシ樹脂Gを15.0重量%、無機質充填剤Aを19.8重量%、イミダゾール化合物Aを0.2重量%、フェノール樹脂Aを20.0重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例14
上記の熱可塑性樹脂Aを47.0重量%、エポキシ樹脂Aを12.0重量%、無機質充填剤Aを37.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.1重量%、硬化剤Aを3.9重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例15
上記の熱可塑性樹脂Aを15.0重量%、エポキシ樹脂Aを47.0重量%、無機質充填剤Aを33.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.3重量%、硬化剤Aを4.7重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例16
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.03重量%、硬化剤Aを4.97重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
実施例17
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを23.0重量%、イミダゾール化合物Aを2.0重量%、硬化剤Aを5.0重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表2に示す。
比較例1
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、硬化剤Aを5.0重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表3に示す。
比較例2
上記の熱可塑性樹脂Aを30.0重量%、エポキシ樹脂Aを40.0重量%、無機質充填剤Aを25.0重量%、イミダゾール化合物Bを0.2重量%、硬化剤Aを4.8重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表3に示す。
比較例3
上記の熱可塑性樹脂Aを40.0重量%、エポキシ樹脂Aを53.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.3重量%、硬化剤Aを6.7重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表3に示す。
比較例4
上記のエポキシ樹脂Aを28.0重量%、エポキシ樹脂Eを28.0重量%、無機質充填剤Aを36.0重量%、イミダゾール化合物Aを0.4重量%、硬化剤Aを7.6重量%使用して接着剤シートを作製した。特性値を表3に示す。
表1〜3から明らかなように、本発明により得られた接着剤シートは、接着力、リフロー耐熱性およびPCT後の接着力のいずれも優れていた。一方、比較例1〜4は、リフロー時に膨れが生じ、比較例1、4に至っては、接着力が5N/cm未満であった。
Figure 2006176764
Figure 2006176764
Figure 2006176764
BGA型半導体装置(BOC)の一態様の断面図。 本発明の電子機器用接着剤シートの一態様の断面図。
符号の説明
1 半導体集積回路
2 金バンプ
3 可撓性を有する絶縁体層
4 配線基板層を構成する接着剤層
5 半導体集積回路接続用の導体パターン
6 接着剤層
7 導体パターンが形成されていない層
8 ソルダーレジスト
9 半田ボール
10 封止樹脂
11 保護フィルム層
12 接着剤層

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、無機質充填剤および一般式(I)で表されるイミダゾール化合物を含有することを特徴とする電子機器用接着剤組成物。
    Figure 2006176764
    (ただし、Rは水素または炭素数が1〜20の飽和炭化水素基、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基を表す。R、R、RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、炭素数が1〜10のアルキル基を表す。XおよびXはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基または炭素数が1〜3のアルキル基を表す。pおよびqは1〜10の整数、lは1〜3の整数、rは1〜5の整数を表す。)
  2. 一般式(I)で表されるイミダゾール化合物の含有量が、接着剤組成物中に含まれるエポキシ基に対して0.1〜2.0mol%であることを特徴とする請求項1記載の電子機器用接着剤組成物。
  3. 請求項1または2記載の電子機器用接着剤組成物からなる接着剤層と、1層以上の剥離可能な保護フィルム層とを有する電子機器用接着剤シート。
  4. 請求項3記載の電子機器用接着剤シートを用いた電子部品。
  5. 請求項3記載の電子機器用接着剤シートを用いた電子機器。
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