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JP2006176417A - 芳香族ビニル化合物の重合抑制方法 - Google Patents

芳香族ビニル化合物の重合抑制方法 Download PDF

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JP2006176417A
JP2006176417A JP2004368878A JP2004368878A JP2006176417A JP 2006176417 A JP2006176417 A JP 2006176417A JP 2004368878 A JP2004368878 A JP 2004368878A JP 2004368878 A JP2004368878 A JP 2004368878A JP 2006176417 A JP2006176417 A JP 2006176417A
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青磁 谷崎
Junichi Nakajima
淳一 中嶋
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Hakuto Co Ltd
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Abstract

【課題】 芳香族ビニル化合物の蒸留工程、精製工程および貯蔵工程において、長時間に亘り芳香族ビニル化合物の重合を抑制し、さらに該ビニル化合物の重合物による装置類・設備類の汚れの発生と付着を抑制する重合抑制方法を提供することにある。
【解決手段】 芳香族ビニル化合物の製造、精製、貯蔵および輸送工程において、2,6−ジニトロフェノール化合物を用いることを特徴とする芳香族ビニル化合物の重合抑制方法であり、好ましくは2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−エチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−sec−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノールから選ばれる1種以上を該芳香族ビニル化合物に対して、10〜10,000ppm添加する。
【選択図】 なし

Description

本発明は芳香族ビニル化合物の製造、精製、貯蔵および輸送工程で発生する重合の抑制、並びに該工程での芳香族ビニル化合物の重合による汚れの発生と汚れの付着の防止に有効な芳香族ビニル化合物の重合抑制方法に関する。
芳香族ビニル化合物であるスチレンおよびその誘導体は、ポリスチレン、合成ゴム、ABS樹脂などの製造原料として産業上非常に重要な化合物であり、工業的に大量に生産されている。一般に芳香族ビニル化合物は、極めて重合し易く、製造工程、精製工程並びに貯蔵時において、熱が加わる等の要因により容易に重合し、芳香族ビニル化合物モノマーの収率を低下させる。さらに関連設備の中に汚れ(ファウリング)を生じ、設備の運転上、支障を来たすなどの問題がある。また、芳香族ビニル化合物の製造、精製工程以外でも、石油精製プラント等では、芳香族ビニル化合物の存在により、該化合物の重合に起因する汚れの発生が問題となっている。その対策として、重合抑制剤をプロセス流中に添加する方法が提案され、実用に供されている。
具体的には、フェノール化合物、ニトロソフェノール化合物、ニトロフェノール化合物を用いるスチレンの重合抑制剤および重合抑制方法(例えば特許文献1参照)、ピペリジン−1−オキシル化合物を用いる方法(例えば、特許文献2参照)、ニトロフェノール化合物とピペリジン−1−オキシル化合物を用いる方法(例えば特許文献3参照)などがある。しかし、これらの重合抑制方法では、プラント内の長時間に加熱される箇所での重合抑制(ファウリング)に問題があり、例えば重合抑制剤の使用量を多くして対応しているが、依然として重合抑制に満足しうる効果を得ることはできず、その改善が強く望まれていた。
特開昭63−316745号公報 特開平1−165534号公報 特開平6−166636号公報
本発明の目的は、芳香族ビニル化合物の蒸留工程、精製工程および貯蔵工程において、長時間に亘り芳香族ビニル化合物の重合を抑制し、さらに芳香族ビニル化合物の重合物による当該工程内の装置類・設備類の汚れの発生と汚れの付着を抑制する重合抑制方法を提供することにある。
本発明者らは芳香族ビニル化合物の重合反応を詳細に検討した結果、従来から重合禁止剤として用いられているジニトロフェノール化合物の中でも、2,6−ジニトロフェノール化合物が他のジニトロフェノール化合物よりも優れた重合抑制効果を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本請求項1に係わる発明は、芳香族ビニル化合物の製造、精製、貯蔵或いは輸送工程において、一般式(1)(式中、Rは水素原子、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基およびアルキレン基を示す。)で表される2,6−ジニトロフェノール化合物を用いることを特徴とする芳香族ビニル化合物の重合抑制方法である。
Figure 2006176417
請求項2に係る発明は、請求項1記載の芳香族ビニル化合物の重合抑制方法であり、2,6−ジニトロフェノール化合物が、2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−エチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−sec−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノールから選ばれる1種以上であることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の芳香族ビニル化合物の重合抑制方法であり、2,6−ジニトロフェノール化合物を芳香族ビニル化合物に対して、10〜10,000ppm添加することを特徴としている。
本発明の方法により、芳香族ビニル化合物の製造工程、精製工程における芳香族ビニル化合物の重合を抑制し、重合に起因する装置・設備中での汚れの発生と付着を抑制し、従来の重合体除去作業の低減・改善をもたらし、プロセスの流れの維持、熱伝導の維持、長期連続運転を可能にし、安全操業、製品の収率向上、さらには製品品質の向上も達成できる等の経済的効果が得られる。
本発明の芳香族ビニル化合物の重合抑制方法(以下「本発明の重合抑制方法」とする。)は、芳香族ビニル化合物の製造工程、精製工程および貯蔵工程において、長時間に亘り芳香族ビニル化合物の重合抑制に優れ、さらに芳香族ビニル化合物の重合物による製造工程、精製工程および貯蔵工程の装置類・設備類の汚れの発生とその付着を抑制する重合抑制方法であり、従来から重合抑制剤として用いられているジニトロフェノール化合物の中でも、2,6−ジニトロフェノール化合物が予想し得ない優れた重合抑制を有していることを見出し、これを用いた芳香族ビニル化合物の重合抑制方法である。
本発明の対象となる芳香族ビニル化合物は、スチレン、炭素数1〜10のアルキル基を持つアルキルスチレン、α位に炭素数1〜10のフェニル基、アルキル基を持つα−アルキルスチレン、β位に炭素数1〜10のフェニル基、アルキル基を持つβ−アルキルスチレンなどの重合性ビニル基を持ったスチレンおよびスチレン誘導体である。具体的には、スチレン、メチルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、エチルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、プロピルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、ブチルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、オクチルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、ノニルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、デシルスチレン(オルト体、メタ体、パラ体およびこれらの混合物)、α−メチルスチレン(2−フェニルプロペン)、1−フェニル−1−プロペン(β−メチルスチレン:シス体、トランス体、およびその混合物)、2−フェニル−2−ブテン(シス体、トランス体、およびその混合物)、スチルベン(シス体、トランス体、およびその混合物)などがある。
本発明の対象となる工程は、芳香族ビニル化合物の製造工程、製造後の芳香族ビニル化合物の精製工程、製造および精製した芳香族ビニル化合物を貯蔵・保管する貯蔵工程であり、芳香族ビニル化合物を含む工程液と接する付随装置類、付帯設備類、さらにこれらを含む循環系や回収系も包含する。具体的には、芳香族ビニル化合物製造工程におけるアルキル芳香族化合物の脱水素反応塔や合成反応塔、反応後の反応物排出ラインや回収循環ライン、精製工程における精製塔への芳香族ビニル化合物のフィード配管や予熱ラインおよび冷却ラインさらに循環ライン、貯蔵工程における保管タンクや貯蔵タンク、移送タンクおよび輸送タンクさらにその移送ラインなどがある。
本発明における2,6−ジニトロフェノール化合物は、一般式(1)で表され、2位と6位の位置に2つのニトロ基を有するフェノール化合物である。また、式中、Rは水素原子、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基およびアルキレン基である。具体的には、2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−エチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−プロピルフェノール、2,6−ジニトロ−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジニトロ−4−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−sec−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−ペンチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−へキシルフェノール、2,6−ジニトロ−4−オクチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−デシルフェノール、2,6−ジニトロ−4−ドデシルフェノールなどがあり、好ましくは2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−エチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−sec−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノール、より好ましくは2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノールである。これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
本発明において、2,6−ジニトロフェノール化合物は、従来より重合抑制効果を有するジニトロフェノール化合物の1成分として使用され、2,4−ジニトロフェノール化合物と同等の重合抑制効果を有すると考えられてきた。そのため、重合抑制剤として使用する場合には、通常、2,6−ジニトロフェノール化合物と2,4−ジニトロフェノール化合物を分割して使用することはなく、両者の混合物あるいは一方を主成分とし、他方を副成分する混合物で使用していた。しかし、本発明者らは、芳香族ビニル化合物の重合抑制について研究を進める中で、予想外にも2,6−ジニトロフェノール化合物が、2,4−ジニトロフェノール化合物よりも優れた重合抑制効果を有することを見出した。
一般に重合抑制方法としては、重合禁止法と重合抑制法に大別される。重合禁止法は、添加してから特定期間内の重合をほとんど起こらないようにするため、初期の重合抑制に優れているが、時間を経て該重合抑制剤が消耗されると、それ以後の重合抑制効果がなくなり、急速に重合が進む。一方、重合抑制法は、重合抑制剤を添加しても重合を完全に抑えることはできず、僅かながらも重合が起こっているが、長期間にわたって重合速度と重合速度の増加を抑えることができる。両者を厳密に区分することはできないが、通常、ジニトロフェノール化合物は重合抑制タイプの傾向が強いと考えられている。芳香族ビニル化合物を扱う工程では、滞留時間の長い個所がしばしば存在するので、一般的には重合抑制法が好ましく選ばれる。そのため、2,6−ジニトロフェノール化合物が、予想外の優れた重合抑制効果を有することは、芳香族ビニル化合物の重合抑制の向上に非常に大きく寄与する。
本発明の重合抑制方法において、2,6−ジニトロフェノール化合物の使用方法には、2,6−ジニトロフェノール化合物を単独で用いる方法、あるいは2,6−ジニトロフェノール化合物を溶解し得る有機溶剤に溶解して使用する方法、対象とする工程のプロセス流体と同じ液体(例えばスチレンの場合にはエチルベンゼンや粗スチレン)に溶解して添加する方法があり、いずれを用いても良い。有機溶剤に溶解して使用する場合の有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が有り、これらの1種以上が用いられる。重合抑制剤中の2,6−ジニトロフェノール化合物の濃度は、一律に決められるものではなく、適宜決定されれば良いが、一般には1〜20重量%である。また、本発明の効果を妨げない範囲において、従来から使用されてきた重合抑制剤を配合してもよく、その際に2,6−ジニトロフェノール化合物や従来から使用されてきた重合抑制剤の溶解度や溶解安定性を改善するためにアルコール類(例えば、メタノール、エチレングリコール、ブチルグリコール等)を配合しても何ら差し支えない。
本発明の2,6−ジニトロフェノール化合物の添加場所は、特に限定されるものではないが、通常、芳香族ビニル化合物が重合し、重合体を生成する箇所より上流のプロセスに添加する。例えば、前述のエチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造の場合、エチルベンゼンの脱水素反応後の反応混合物中に添加する方法、エチルベンゼンの脱水素反応後でスチレンを分離するための蒸留塔フィード油中に添加する方法、スチレンの蒸留分離する蒸留塔に添加する方法、蒸留塔塔底液貯留部に添加する方法、蒸留塔塔底と蒸発器(リボイラー)とを連結する配管に注入する方法等が有り、いずれを用いても良い。また、添加箇所は、特に限定されるものではないが、通常、特定の箇所に一括添加するか、あるいは複数の箇所に分けて添加するなどの方法が適宜選択される。
本発明の2,6−ジニトロフェノール化合物の添加量は、対象とする工程の条件、重合体生成抑制の必要度などにより異なり、一律に決められるものではないが、一般的には、対象とする芳香族ビニル化合物に対して2,6−ジニトロフェノール化合物として10〜10,000ppm、好ましくは50〜5,000ppm、さらに好ましくは100〜3,000ppmである。この添加量は、対象とする芳香族ビニル化合物の重合抑制効果を発揮する上で適当な範囲として見出されたものであり、この範囲より小さいと効果が充分に発揮されない場合があり、また、この範囲より多いと、効果は充分に発揮されるが、添加量に見合うだけの重合抑制効果の向上が得られず、経済的見地から好ましくない場合がある。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の公知の重合抑制剤を併せて用いることがあるが、本発明はなんら制限を加えるものではない。
実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
(2,6−ジニトロフェノール化合物)
・26DNP:2、6−ジニトロフェノール
・26DNPC:2、6−ジニトロ−4−メチルフェノール
(2,4−ジニトロフェノール化合物)
・24DNP:2、4−ジニトロフェノール
・24DNPC:2、4−ジニトロ−6−メチルフェノール
・24DNBP:2、4−ジニトロ−ブチルフェノール
(その他)
・TBC:tert−ブチルカテコール
・H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
〔重合抑制試験〕
スチレンモノマーおよびジビニルベンゼンをそれぞれ個別に水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ洗浄して、含まれる重合抑制剤を除き、水洗、乾燥させた後、還流冷却器を備えた4つ口セパラブルフラスコにスチレンモノマー95.5g、ジビニルベンゼン0.5gを入れ、さらに表1記載の重合抑制剤を所定量加え、高純度窒素を80mL/分の流量で通気しながら125℃に保持した。スチレンモノマーとジビニルベンゼン混合液の流動性が完全になくなるまでの時間(固化時間)を計測し、重合抑制剤の効果を評価した。固化時間が長いほど重合抑制効果が高く、好ましい。結果を表1に示した。
Figure 2006176417
本発明の2,6−ジニトロフェノール化合物の2,6−ジニトロフェノールおよび2,6−ジニトロ−4−メチルフェノールは、ともに2,4−ジニトロフェノール化合物の2,4−ジニトロフェノールおよび2,4−ジニトロ−6−メチルフェノールに比べて高い重合抑制効果を示すことが分かる。

Claims (3)

  1. 芳香族ビニル化合物の製造、精製、貯蔵および輸送工程において、一般式(1)(式中、Rは水素原子、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基およびアルキレン基を示す。)で表される2,6−ジニトロフェノール化合物を用いることを特徴とする芳香族ビニル化合物の重合抑制方法。
    Figure 2006176417
  2. 2,6−ジニトロフェノール化合物が、2,6−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−エチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−sec−ブチルフェノール、2,6−ジニトロ−4−tert−ブチルフェノールから選ばれる1種以上である請求項1記載の芳香族ビニル化合物の重合抑制方法。
  3. 2,6−ジニトロフェノール化合物を芳香族ビニル化合物に対して、10〜10,000ppm添加する請求項1又は2記載の芳香族ビニル化合物の重合抑制方法。



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