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JP2006172112A - 地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置および方法 - Google Patents

地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置および方法 Download PDF

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JP2006172112A
JP2006172112A JP2004363235A JP2004363235A JP2006172112A JP 2006172112 A JP2006172112 A JP 2006172112A JP 2004363235 A JP2004363235 A JP 2004363235A JP 2004363235 A JP2004363235 A JP 2004363235A JP 2006172112 A JP2006172112 A JP 2006172112A
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Tetsuya Yamada
哲也 山田
Kuniaki Yamagishi
邦彰 山岸
Atsushi Komori
淳 小森
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Abstract

【課題】実際の耐震補強を普及させることにより地震が発生した際のリスクを低減する。
【解決手段】(1)先ず、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品を仲介する仲介者は、出資者より出資金をオプション料金(プレミアム)として集める。ここで、仲介者としては、特定目的会社(SPC)等が考えられる。(2)そして、仲介者は、出資者より集めた出資金を費用として、所有者の構造物の耐震補強工事を行う。(3)そして、契約で定めた期間内である大きさ以上の地震が発生した場合、所有者は、発生した地震の大きさに応じた精算金を仲介者を介して出資者に支払う。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震の発生に起因するリスクを低減するための金融商品である地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法および装置に関する。
地震の発生が多いわが国では、建築される構造物がクリアしなければならない耐震設計基準が設定されている。そして、この耐震設計基準は、実際に大規模な地震が発生することにより改正され新しい基準に変更されている。そのため、新しい耐震設計基準をクリアしていない既存の建築物は、本来は耐震補強が必要となる不適格建物となってしまう。
しかし、地震リスクは実際に地震が発生しないと実感し難いことと、耐震補強工事には多額の費用が必要になることが多いため、このような既存不適格建物に対する耐震補強が普及しないのが現実である。
地震リスクを回避するための手段としては、地震のリスクを金融的な技術で回避する各種のリスクファイナンス技術が提案されている。
このリスクファイナンスの1つとしては、いわゆる地震保険が存在する。この地震保険では、建築物の所有者が保険料を支払い、地震が発生してその建築物が損壊した場合、その損壊度合いに応じて保険金を支払われるというものである。また、地震保険に近い金融商品として、ある一定以上の大きさの地震が契約で定めた範囲内で発生した場合、損害の発生とは関係なく一定の給付金を顧客に支払うような地震関連デリバティブも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、地震保険以外のリスクファイナンス技術としては、証券化により地震リスクを低減させるCAT(カタストロフィー)ボンド等が提案されている。例えば、ある地域にある一定以上の大きさの地震が、設定された期間以内に発生した場合、出資者が投資した費用は没収され、その費用は契約者に支払われて改修費用等として使用されるというものである。このようなシステムでは、地震が発生しない場合には、出資者は普通の金融商品よりは高い利息+リスクプレミアムを受け取ることが可能であり、地震が発生しない場合には出資者にとっては魅力的な金融商品である。
しかし、このような従来のリスクファイナンス技術では、耐震補強そのものを普及させることは目的ではなく、地震時に実際に発生した損失を補填するためのものである。そのため、実際に地震が発生した場合には、現実に社会的・経済的損失(構造物の解体・除去による廃棄物の発生、復旧時間等)を発生させてしまうことになる。また、単に構造物の損壊だけでなく人命の損失、精神的なショック等の金銭では補填することができない被害が発生する場合もある。
つまり、従来のリスクファイナンス技術は、耐震補強の代替手段と位置付けられていて、建築物の地震に対するリスクを軽減するものではなくリスクを保有し、そのリスクを他に移転するだけであった。
地震が発生した際に、建築物の被害を最小限に抑制するためには耐震補強が必要となる。しかし、多額の費用をかけて耐震補強を実施したとしても、実際に地震が発生しない場合にはその効果を実感することができないため、耐震補強を無駄であると感じてしまうことになる。また、そもそも耐震補強の費用を用意できない場合には、耐震補強を実施することができない。
特開2003−162641号公報
上述した従来のリスクファイナンス技術では、実際に建築物の耐震補強を普及させるものではないため、地震が発生した際の被害の発生を抑制することはできないという問題点があった。
本発明の目的は、実際の耐震補強を普及させることにより地震が発生した際のリスクを低減することが可能な地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置および方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置は、出資者より集めた出資金を費用として対象建物の耐震補強工事を行い、契約で定めた償還期間内にある大きさ以上の規模の地震が発生した場合に、前記対象建物の所有者が発生した地震の規模に応じた精算金を前記出資者に支払う金融商品を設計するための地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置であって、
地震発生時の対象地域における地震規模がある一定値を超える確率を1年あたりで示した年超過確率が各対象地域毎に格納されている年超過確率データベースと、
前記対象建物の構造耐震性能を目標値まで高めるために必要な耐震補強工事に必要となる耐震補強費と、前記償還期間と、前記対象建物が設置されている地域の位置情報とを入力し、前記位置情報に基づいて前記対象建物が設置されている地域における年超過確率を前記年超過確率データベースから読み出し、前記償還期間内に前記対象建物が建築されている地域において地震が発生した際に発生した地震の規模に応じて所有者が出資者に支払う精算金の額を決定するための支払い曲線を、前記耐震補強費、前記償還期間および当該地域における年超過確率とに基づいて作成して出力する支払い曲線作成部とを備えている。
また、前記支払い曲線作成部は、前記償還期間内に発生した地震の規模が大きくなるほど、前記精算金の額が大きくなるように前記支払い曲線を設定する。
また、前記支払い曲線作成部は、前記対象建物における耐震補強を行った場合の損害率と耐震補強を行わなかった場合の損害率とから、耐震補強を行った場合の損害額と行わなかった場合の損額額を算出し、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額を超えないように前記支払い曲線を設定するようにしてもよい。
本発明による地震関連リスクファイナンス商品では、先ず最初に出資者からの出資金を用いて耐震補強工事が実際に行われるので、地震が発生した際のリスクを低減することが可能となる。つまり、従来の地震保険のような従来のリスクファイナンスと比較して、地震が発生した際の損害自体を防ぐことが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、先ず最初に出資者からの出資金を用いて耐震補強工事が実際に行われるので、実際の耐震補強を普及させることにより地震が発生した際のリスクを低減することができるという効果を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置について説明する前に、本実施形態における地震関連リスクファイナンス商品の概要について図1を参照して説明する。
(1)先ず、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品を仲介する仲介者は、出資者より出資金をオプション料金(プレミアム)として集める。ここで、仲介者としては、特定目的会社(SPC)等が考えられる。
(2)そして、仲介者は、出資者より集めた出資金を費用として、対象建物である所有者の構造物の耐震補強工事を行う。
(3)そして、契約で定めた期間である償還期間内にある大きさ以上の規模の地震が発生した場合に、対象建物の所有者は、発生した地震の大きさに応じた精算金を仲介者を介して出資者に支払う。
この地震関連リスクファイナンス商品では、出資者が負担する耐震補強費をCとして表し、発生した最大規模の地震の大きさに応じて決定される建物所有者の支払い額をPとした場合、耐震補強費Cと建物所有者の支払額Pは下記のような関係となる。
発生した地震の規模が小さい場合 P<C
発生した地震の規模が大きい場合 P>C
つまり、契約した期間(償還期間)内に大きな地震が発生した場合、耐震補強工事によって地震による被害が抑えられたと考えられるため、建物所有者は、地震による損害額が抑制されたことに対する対価として精算金を支払う。ただし、この場合でも、建物所有者が支払う精算金は、耐震補強を行わなかった場合の損害額よりも少ない値に設定される。この場合には、出資者は最初に支払った出資金以上の費用を受け取ることになる。
そして、契約した期間以内に大きな地震が発生しなかった場合、耐震補強工事を行ったことによるメリットを得ることはできなかったため、出資者に対して精算金が支払われることはない。この場合には、出資者は最初に支払った出資金を回収できないことになる。
次に、本実施形態における地震関連リスクファイナンス商品を設定する際の全体の手順を図2を参照して説明する。図2は本発明の一実施形態における地震関連リスクファイナンス商品を設計する際の手順を示したフローチャートである。
(1)耐震補強対象建物(群)の設定(ステップ101)
先ず、全国になる既存構造物のうち、耐震補強が必要と考えられる構造物の候補リストを蓄積したデータベースを作成する。そして、作成したデータベースの中から、用途、築年、地域、所有者の耐震補強の希望の程度等を考慮していくつかの耐震補強対象構造物を選択する。具体的には、全国から鉄筋コンクリート造集合住宅20棟、鉄骨鉄筋コンクリート造のオフィスビル30棟を選択する。ただし、ここでは説明を簡単にするため耐震補強対象建物が1棟の場合を用いて説明する。
(2)各建物の耐震性能評価(ステップ102)
建物の耐震性能は、財団法人日本建築防災協会出版の耐震診断基準に準じ評価する。耐震性能としては、強度指標・靭性指標・その他形状などをもとに構造耐震指標(IS値)で評価することができる。構造耐震指標(IS値)が規定値(例えば0.6)以下の場合、耐震性能が不足していると評価され、耐震改修により構造耐震指標(IS値)を規定値以上になるようにする必要がある。
(3)耐震補強レベルの設定(ステップ103)
次に、耐震補強工事によって構造物の耐震性をどこまで向上させるかの設定を行う。上記の(2)「各建物の性能評価」(ステップ102)において説明したように、一般的な基準として構造耐震指標(IS値)が0.6より大きくなるような耐震補強を実施すれば良いことになるが、近年では、必要に応じて任意の耐震レベルを設定する方法(性能設計)を採用する場合がある。
性能設計とは、単に基準をクリアするだけでなく、必要な性能を把握し、それに合致した耐震補強を行うことである。よって、Is値を0.6以下の値に設定することも可能である。つまり、構造物の用途・建築場所、所有者の考え等によりIs値は0.5で充分であると考えられる場合には、Is値を0.3から0.5にすることでそれなりに補強効果はあると考えることができる。また逆に、0.6では不十分であると考えられる場合には、0.8や0.9等の補強レベルを設定する場合もある。
つまり、構造物の補強レベルは、必要な耐震性能を設定し、加えて補強方法による費用・使い勝手の変化、施工方法、施工期間等を所有者が勘案して決定されるものである。
(4)再調達価格の算定(ステップ104)
再調達価格とは、現在と同じ構造物を建設しようとした場合に要する費用の総額を意味する。再調達価格は、耐震補強費や被害額を相対的に表すための基準として使用される。例えば、再調達価格が1億円の構造物に対して、ある地震により3000万相当の被害が発生した場合、再調達価格の30%の被害が発生したと表現することができる。また、必要な耐震補強費が1000万円の場合には、耐震補強費は再調達価格の10%であると表現することができる。このように再調達価格に対する割合で表現することにより、異なる複数の構造物を同じ指標で判断することが可能となる。
再調達価格の求め方は、詳細な方法から簡略な方法までさまざま存在する。最も正確な方法は、対象建物の見積書から算定する方法である。見積書が無い場合には、再度見積もりを取るか、一般的な同規模の構造物から類推して算出することも可能である。
ただし、地震リスク評価を行う場合の再調達価格は、部位別に分けて算出する必要がある。例えば、躯体、設備、内装、外装、基礎等に分けて算出する。そして、それぞれの部位毎に要する費用を算出して、総和を取ることにより再調達価格を求める。
例えば、集合住宅であれば、再調達価格を1とした場合、基礎の価格は0.1、躯体の価格は0.3、設備の価格は0.2、内装の価格は0.2、外装の価格は0.2などと振り分けて考える。ただし、当然ながら構造物の用途によってこの比率は変化する。つまり、外装に費用をかけている建物は、外装に係る費用の比率は他の建物と比較して高くなる。
(5)耐震補強費用の算定(ステップ105)
対象建物に対して、どの程度の補強を行えばどの程度の補強性能が得られるかについては、上記で説明した(2)「各建物の性能評価」(ステップ102)において把握することができる。ここの処理においては、各補強レベルの施工費がどのように変化するかを確認する。補強レベルが上がれば、取り付ける部材も多くなるため、工事費も高くなる。但し、建物によっては、費用と性能との関係は比例する場合とそうでない場合など、様々なケースが考えられる。
また、耐震補強費用の算定についても、詳細な場合と簡略な場合とが考えられる。個別に設計図を参考にして見積もりを出す場合と、過去の実績データを元にして推定する方法とが考えられる。
具体的には、壁を増設する、ブレースを増設する、柱を鉄板で補強する、梁のサイズを大きくする、制震ダンパを取り付ける、免震建物に改修する等が考えられる。
(6)補強前と補強後の損害率および損害額の計算(ステップ106)
補強によってどの程度損害額が減少するかを計算する。損害率とは、図3に示されるように、縦軸が確率で、横軸が地震規模のグラフで表される。
また、損害率は、大破、中破、小破等により表現することも可能である。また、再調達価格の算定方法の説明の際にも述べたように、部位別に設定する必要がある場合もある。例えば、躯体、設備、内装、外装、基礎毎にその被害率を算定することも可能である。但し、一般的には過去の被害調査結果がこれら分類ごとにまとめられている必要がある。どの程度部位別に損害率を算出するかについては、各金融商品ごとの必要性に応じてデータを作成すればよい。
損害額は、損害率にその単価をかけて算定する。但し、この場合の単価は、損害率によって一定の場合もあるが変動する場合もある。つまり、被害率がある値を超えると、その被害額が急激に増加する場合もあるということである。これは、対象となる構造物の特性によって異なる。
損害率は、過去の地震被害調査結果を基に作成したデータから推定する。補強前、後ともそれらのデータから推定する。このようにして算出した補強前と補強後の損害額を図4に示す。
その他に、被害率を解析等のシミュレーションで求める方法もある。また、これらシミュレーションの結果をデータベースとして保有し、それも用いて個別の建物の被害率を算定する方法もある。
(7)地震関連リスクファイナンス商品の設計(ステップ107)
次に、上記のステップ101〜106で算出されたデータに基づいて地震関連リスクファイナンス商品の設計を行う。この地震関連リスクファイナンス商品の設計にあたっては、図5に示すような地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置を使用することができる。
本実施形態における地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置は、図5に示されるように、支払い曲線作成部501と、年超過確率データベースバンド(DB)502とから構成されている。
年超過確率DB502は、図6に示すような、各対象地域毎の年超過確率が予め格納されている。年超過確率とは、地震発生時の対象地域における地震規模がある一定値を超える確率を1年あたりで示した確率である。つまり、年超過確率とは、その地域である一定値以上の大きさの地震が今後1年間以内に発生する確率である。例えば、図6を参照すると、この地域では、地表面加速度が1000gal以上の地震が今後1年間以内に発生する確率は0.0008(0.08%)程度であることがわかる。
支払い曲線作成部501は、対象建物の構造耐震指標等の構造耐震性能を目標値まで高めるために必要な耐震補強工事に必要となる耐震補強費、償還期間、再調達価格、対象建物が設置されている地域の位置情報である住所、オプション取引パターン、ストライク地震規模、耐震補強前後の損害率等の情報を入力し、これらの情報と、年超過確率DB502に格納されている年超過確率とから、発生した地震の規模に応じて所有者が出資者に支払う精算金の額を決定するための支払い曲線を作成して出力する。
なお、支払い曲線作成部501は、少なくとも耐震補強費と、償還期間と、位置情報とを入力すれば、位置情報に基づいて対象建物が設置されている地域における年超過確率を年超過確率DB501から読み出して支払い曲線を作成することが可能である。
支払い曲線作成部501は、償還期間内に発生した地震の最大地震規模が大きくなるほど、精算金の額が大きくなるように支払い曲線を設定する。また、支払い曲線作成部501は、対象建物における耐震補強を行った場合の損害率と耐震補強を行わなかった場合の損害率とから、耐震補強を行った場合の損害額と行わなかった場合の損額額を算出し、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額を超えないように支払い曲線を設定する。支払い曲線作成部501は、図5に示したように、設定されたストライク地震規模より小さい規模の地震が発生した場合には、精算金の額をゼロとするような支払い曲線を設定するようにしてもよい。
ただし、ストライク地震規模を設定した場合のように、ある規模以上の地震が発生したか否かにより大幅に精算金の額を変化させる必要は必ずしもなく、支払い曲線を連続的な曲線として設定するようにしてもよい。このような場合には、支払い曲線作成部501には、ストライク地震規模の情報を入力する必要はない。つまり、支払い曲線は、償還期間内に発生した地震の規模が大きくなるほど、精算金の額が大きくなるように設定されていればどのような曲線に設定することも可能である。
金融商品の設定を決定する際には、一般的に図7に示すようなフローチャートにより設計が行われる。本実施形態における支払い曲線作成部501もこのような手法により支払い曲線の設定を行う。
先ず、金融商品の設計条件の設定が行われる(ステップ201)。そして、未知変数の確定が行われ(ステップ202)、パラメータメトリックスタディが行われる(ステップ203)。最後に、金融商品としての妥当性が確認され(ステップ204)、妥当性が有ると判定された場合には処理は終了し、妥当性が無いと判定された場合には、ステップ201〜203の処理が繰り返される。
次に、具体的な値を用いて本実施形態による地震関連リスクファイナンス商品の金融商品としての妥当性を判断する方法について説明する。
先ず、図6に示したような年超過率のグラフにおいて、地表面加速度が200、400、・・、1000galにおける年超過確率がそれぞれ図8に示すような値になっているものとする。ここで、年超過確率はその大きさ以上の地震が発生する確率なので、地震規模の大きさをいくつかの範囲に分割した場合、各範囲における年間発生確率は図9に示すような値となる。
そして、図5に示したような地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置における支払い曲線作成部501により作成された支払い曲線における支払い条件と支払い額(精算金の額)が図10に示すような値となっている場合、出資者が1年間で受け取る精算金の期待額は、図11に示すように、0.00627(再調達価格比)となる。つまり、償還期間を例えば、30年とすれば、30年間に出資者が受け取る精算金の期待額は、0.00627×30=0.1881(再調達価格比)となる。
そして、例えば、出資者が出資した耐震補強費用が0.2(再調達価格比)だとすると、出資者が受け取る期待額と対象建物の所有者が支払う精算金の予想額とはほぼ同一となり、図10に示した設定は金融商品として妥当性が有るということができる。また、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計と、耐震補強を行わなかった場合の損害額とを比較し、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額を超えていなければ、金融商品としての妥当性が有るということができる。
このようにして設定された地震関連リスクファイナンス商品において、償還期間内に発生した最大地震規模に対する出資者の損益の一例を図12に示す。ここでは、支払い曲線は連続的な曲線として設定された場合を用いて説明する。償還期間内に精算金の支払いが必要となる規模の地震が発生しなかった場合、出資者は精算金を受け取ることはないため、最初にオプション料金として出資した出資金分損をすることになる。そして、償還期間内に大きな地震が発生した場合、出資者は、その地震規模に応じて受け取る金額が増えるため、ある程度以上の規模の地震が発生して出資金以上の精算金を受け取った場合、利益が発生することになる。
また、対象建物の所有者が支払う金額と償還期間(n年間)内に発生した最大地震規模との関係を図13に示す。この図13を参照すると、当然ながら補強時の損害額よりも無補強時の損害額のほうが大きくなっている。また、所有者の支払い額は斜線で表示した部分であるが、ある地震規模以上の地震が発生すると、所有者にはその地震規模に応じた精算金の支払い義務が生じるため、発生した地震の規模が大きくなればなるほど所有者の支払い額も大きくなっていることがわかる。
さらに、図13では、所有者が本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品を利用せず自己の資金で耐震補強工事を行った場合の所有者の支払額、つまり補強時損害額と補強費の合計が点線で示されている。
ここで、補強費用をC、補強時の損害額をL、所有者が支払う精算金の額をPとすると、所有者が自己の資金で補強した場合に負担しなければならない資金の合計はC+Lとなり、所有者が本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品を利用した場合に負担しなければならない資金の合計は、P+Lとなる。
よって、C+L>P+Lになるような規模の地震しか発生しなかった場合には、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品の利用により所有者は耐震補強に必要な費用を投資家に転嫁させることに成功し、C+L<P+Lになるような規模の地震が発生した場合には、所有者は、耐震補強による現実の補強効果を享受すると共に、その対価として初期の耐震補強費用以上の金額を投資家に支払うことになる。
ここで、C+L=P+L、つまりC(補強費用)=P(所有者が支払う精算金の額)となる地震の規模を図13上においてaとして示した。
また、このグラフを参照しても、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額が超えないように設定されていることがわかる。
本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品では、先ず最初に出資者からの出資金を用いて耐震補強工事が実際に行われるので、地震が発生した際のリスクを低減することが可能となる。つまり、従来の地震保険のような従来のリスクファイナンスと比較して、地震が発生した際の損害自体を防ぐことが可能となる。また、地震が発生しなかった場合の投資リスクを建物所有者だけに負担させずに出資者にも分散することができることにもなる。
なお、本実施形態において示した地震関連リスクファイナンス商品を金融商品として販売する場合、単独で販売するようにしてもよいが、他の金融商品と組み合わせて販売するようにすることも可能である。単独の金融商品としては妥当性に欠けるような場合でも、ポートフォリオという枠で、複数の金融商品(ハイリスクハイリターン型とローリスクローリターン型の組み合わせなど)のうちの1つとして位置付けることにより妥当性がでてくるような場合があるからである。
例えば、本実施形態において示した地震関連リスクファイナンス商品と通常の地震保険組み合わせることにより、大きな地震が発生した際には、建築物の所有者は、地震により実際に受ける損害を地震保険により補填できるようになるため、地震が発生した際の費用の発生を最小限に抑制することも可能である。
また、本実施形態では、地震の規模を表す指標として地表面加速度(地表面最大加速度)を用いたが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、地表面速度(地表面最大速度)、震度、マグニチュード等の他の指標を用いて設定することも可能である。
また、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品において使用する地震の規模としては、気象庁や防災科学技術研究所等の第三者機関により設置された地震計、地震観測所等の地震観測ポイントにより測定され正式に発表された値を用いる。これらの地震観測ポイントは、日本全国の各地に設置されているため、対象建物の所在地周辺に設置された地震観測ポイントを選択して予め契約で定めておくようにする。
また、図5には示されていないが、本実施形態の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置は、上記で説明した地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法を実行するためのプログラムを記録した記録媒体を備えている。この記録媒体は磁気ディスク、半導体メモリまたはその他の記録媒体であってもよい。このプログラムは、記録媒体から設計支援装置に読み込まれ、設計支援装置の動作を制御する。具体的には、設計支援装置内のCPUがこのプログラムの制御により設計支援装置のハードウェア資源に特定の処理を行うように指示することにより上記の処理が実現される。
本発明の一実施形態における地震関連リスクファイナンス商品の概要を説明するための図である。 本発明の一実施形態における地震関連リスクファイナンス商品を設計する際の手順を示したフローチャートである。 耐震補強前と補強後の損害率を示す図である。 耐震補強前と補強後の損害額を示す図である。 本実施形態における地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置の構成を示すブロック図である。 年超過確率の一例を示す図である。 金融商品の設定を決定する際の一般的な処理を示すフローチャートである。 地表面加速度が200、400、・・、1000galにおける年超過確率の値を示す図である。 地震規模の大きさをいくつかの範囲に分割した場合、各範囲における年間発生確率の値を示す図である。 支払い曲線作成部501により作成された支払い曲線における支払い条件と支払い額(精算金の額)を示す図である。 出資者が1年間で受け取る精算金の期待額を算出する方法を示す図である。 償還期間内に発生した最大地震規模に対する出資者の損益を示す図である。 対象建物の所有者が支払う金額と償還期間(n年間)内に発生した最大地震規模との関係を示す図である。
符号の説明
101〜107 ステップ
201〜204 ステップ
501 支払い曲線作成部
502 年超過確率DB(データベース)

Claims (6)

  1. 出資者より集めた出資金を費用として対象建物の耐震補強工事を行い、契約で定めた償還期間内にある大きさ以上の規模の地震が発生した場合に、前記対象建物の所有者が発生した地震の規模に応じた精算金を前記出資者に支払う金融商品を設計するための地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置であって、
    地震発生時の対象地域における地震規模がある一定値を超える確率を1年あたりで示した年超過確率が各対象地域毎に格納されている年超過確率データベースと、
    前記対象建物の構造耐震性能を目標値まで高めるために必要な耐震補強工事に必要となる耐震補強費と、前記償還期間と、前記対象建物が設置されている地域の位置情報とを入力し、前記位置情報に基づいて前記対象建物が設置されている地域における年超過確率を前記年超過確率データベースから読み出し、前記償還期間内に前記対象建物が建築されている地域において地震が発生した際に発生した地震の規模に応じて所有者が出資者に支払う精算金の額を決定するための支払い曲線を、前記耐震補強費、前記償還期間および当該地域における年超過確率とに基づいて作成して出力する支払い曲線作成部と、を備えた地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置。
  2. 前記支払い曲線作成部は、前記償還期間内に発生した地震の規模が大きくなるほど、前記精算金の額が大きくなるように前記支払い曲線を設定する請求項1記載の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置。
  3. 前記支払い曲線作成部は、前記対象建物における耐震補強を行った場合の損害率と耐震補強を行わなかった場合の損害率とから、耐震補強を行った場合の損害額と行わなかった場合の損額額を算出し、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額を超えないように前記支払い曲線を設定する請求項1または2記載の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援装置。
  4. 出資者より集めた出資金を費用として対象建物の耐震補強工事を行い、契約で定めた償還期間内にある大きさ以上の規模の地震が発生した場合に、前記対象建物の所有者が発生した地震の規模に応じた精算金を前記出資者に支払う金融商品を設計するための地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法であって、
    前記対象建物の構造耐震性能を目標値まで高めるために必要な耐震補強工事に必要となる耐震補強費と、前記償還期間と、前記対象建物が設置されている地域の位置情報とを入力するステップと、
    前記位置情報に基づいて前記対象建物が設置されている地域における年超過確率を、地震発生時の対象地域における地震規模がある一定値を超える確率を1年あたりで示した年超過確率が各対象地域毎に格納されている年超過確率データベースから読み出すステップと、
    前記償還期間内に前記対象建物が建築されている地域において地震が発生した際に発生した地震の規模に応じて所有者が出資者に支払う精算金の額を決定するための支払い曲線を、前記耐震補強費、前記償還期間および当該地域における年超過確率とに基づいて作成して出力するステップと、を備えた地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法。
  5. 前記支払い曲線を作成するステップでは、前記償還期間内に発生した地震の規模が大きくなるほど、前記精算金の額が大きくなるように前記支払い曲線を設定する請求項4記載の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法。
  6. 前記支払い曲線を作成するステップでは、前記対象建物における耐震補強を行った場合の損害率と耐震補強を行わなかった場合の損害率とから、耐震補強を行った場合の損害額と行わなかった場合の損額額を算出し、耐震補強を行った場合の損害額と所有者が支払うように設定されている精算金の額との合計が、耐震補強を行わなかった場合の損害額を超えないように前記支払い曲線を設定する請求項4または5記載の地震関連リスクファイナンス商品の設計支援方法。
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