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JP2006152282A - 鑑識用粘着シート - Google Patents

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JP2006152282A JP2005318490A JP2005318490A JP2006152282A JP 2006152282 A JP2006152282 A JP 2006152282A JP 2005318490 A JP2005318490 A JP 2005318490A JP 2005318490 A JP2005318490 A JP 2005318490A JP 2006152282 A JP2006152282 A JP 2006152282A
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Eiji Yamanaka
英治 山中
Masanori Uesugi
正紀 上杉
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達雄 小山
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Abstract

【課題】採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる鑑識用粘着シートを提供する。
【解決手段】視覚化された痕跡を粘着剤層20の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、前記粘着剤層20の表面の水に対する接触角が100°以上であり、プローブタック法による前記粘着剤層20の初期タックが0.05〜0.80N/5mmφであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶液中に分散させた微粉末を噴霧する方法などで視覚化した指紋、足跡、タイヤ痕跡等の痕跡を、粘着面に転写して採取するのに使用する鑑識用粘着シートに関するものである。
従来、指紋、足跡等を採取する方法としては、採取対象面に粉末を刷毛等で塗布し、指紋の痕跡部分に付着させた粉末を採取する方法や、四三酸化鉄と界面活性剤を水で溶かした溶液を痕跡部分に塗布し、痕跡部分に付着した四三酸化鉄を、粘着シート等を用いて採取する方法等が知られている。
後者のように、四三酸化鉄、雲母等の溶液(分散液)を用いる湿式法では、指紋等の痕跡以外の部分に残留する四三酸化鉄等を水洗等で除去する必要が有り、水洗後の乾燥に長時間を要する場合があった。例えば、指紋を採取する対象が自動車である場合、乾燥するまでに5時間もかかる場合があった。また、雨天の場合でも、指紋の採取が必要な場合もあり、採取対象物が濡れた状態でも、指紋等を粘着面に十分転写して採取できる鑑識用粘着シートが望まれていた。
一方、従来、指紋等の採取に使用する鑑識用粘着シートとしては、透明フィルムの片面にウレタン系粘着シートを塗布したものが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。ウレタン系粘着シートは、耐熱性、耐寒性、耐水性を有するため、鑑識用粘着シートとして主に使用されてきた。その他、指紋検出や指紋採取用シートとして、下記の特許文献5〜7に記載のものが知られている。
しかしながら、上記従来のウレタン系粘着剤を用いた鑑識用粘着シートでは、採取対象物の表面が水分で濡れている場合、指紋等の接着力が低下し、また採取対象物に対して粘着シートのズレが生じ易く、指紋等の採取が困難であった。なお、ゼラチン系の鑑識用粘着シートも知られているが、ゼラチンが水に溶解するため、水分が存在する場合には、使用できなかった。
特開2001−40299号公報 特開2002−194302号公報 特開2002−200060号公報 特開2003−89776号公報 特開2000−83929号公報 特開平9−75329号公報 特開2004−187859号公報
そこで、本発明の目的は、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる鑑識用粘着シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す鑑識用粘着シートにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の鑑識用粘着シートは、視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、前記粘着剤層の表面の水に対する接触角が100°以上であり、プローブタック法による前記粘着剤層の初期タックが0.05〜0.80N/5mmφであることを特徴とする。本発明における各種の物性値は、具体的には実施例に記載の測定方法で評価される値である。
本発明によると、粘着剤層の表面の水に対する接触角が100°以上であり、初期タックも十分大きいため、シートの貼着時に水分を貼着方向へ排出しながら、水分の残存やズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる。
上記において、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜10.0N/20mmであることが好ましい。粘着力がこの範囲であると、転写・採取を行う際に、剥離の作業性も良好になる。
また、前記粘着剤層の厚みが10〜500μmであることが好ましい。この範囲であると、初期タックをある程度維持しながら、採取対象面に凹凸が有る場合でも、凹凸への追従性が良好になる。
更に、前記転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末であることが好ましい。四三酸化鉄の微粉末は、その分散液が使用されるため、水洗が必要となり、本発明のように採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる鑑識用粘着シートが、特に有効になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の鑑識用粘着シートの一例の使用前の状態を示す断面図である。
本発明の鑑識用粘着テープは、図1に示すように、視覚化された痕跡を粘着剤層20の表面に転写して採取するものであるが、粘着剤層20は、基材10の片面側に形成される。このとき、粘着剤層20と基材10との間にはプライマー層などを設けてもよい。
また、本発明の鑑識用粘着テープは、使用前又は使用後には、通常、台紙30に貼着されている。台紙30は紙質シート32の裏面に黒色又は白色のプラスチックフィルム31を接着又は融着して有り、プラスチックフィルム31面に前記粘着剤層20が貼り合わされて形成されている。又、プラスチックフィルムに必要に応じ、シリコーン系や長鎖アルキル系等の離型処理剤を塗布する事が出来る。
視覚化される痕跡としては、鑑識の対象となる、指紋、足跡、タイヤ痕跡等が挙げられる。視覚化の方法としては、微粉末等を用いた乾式法によるものでもよいが、本発明の鑑識用粘着テープは、湿式法により視覚化する場合に特に有効である。
湿式法としては、例えば、四三酸化鉄の微粉末と界面活性剤を水で溶かした分散液を痕跡部分に塗布した後、水洗する方法や、その他、四三酸化鉄の代わりに、雲母類や真珠粉などの微粉末を使用する方法などが挙げられる。本発明では、特に転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末である場合に有効である。本発明の鑑識用粘着テープを用いると、水洗後に採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる。つまり、水洗の採取対象物の乾燥を実施しなくても転写・採取が可能であり、雨天の場合にもそれが可能となる。
本発明では、粘着剤層20の表面の水に対する接触角が100°以上であり、好ましくは105°以上であり、より好ましくは110°以上である。粘着剤面の水に対する接触角が、100°未満の場合は、粘着剤層が貼り合わせの際に十分に水分を押し出す事無く貼り合わされる為、痕跡部分と粘着剤層の間に水分が残存している状態となり、痕跡を鮮明に採取する事が出来ない。
また、粘着剤層20のプローブタック法による初期タックが0.05〜0.80N/5mmφであり、0.10〜0.60N/5mmφが好ましい。粘着剤層のステンレス板に対する粘着力は0.1〜10.0N/20mmであり、0.50〜8.0N/20mmが好ましい。
初期タックが0.05N/5mmφ未満の場合、または粘着力が0.10N/20mm未満の何れの場合でも、水で濡れた採取面への接着性が弱く、貼り合わせた場合に粘着シートのズレ等の障害が生じる場合があり、好ましくない。逆に、初期タックが0.80N/5mmφを超える場合、または粘着力が10.0N/20mmを超える場合、何れの場合でも水で濡れた採取面への接着性が強くなる為、粘着シートが剥がし難くなったり、採取面の塗装等を破壊する場合も有り、好ましくない。
粘着剤層の厚みは、10〜500μmが好ましく、30〜400μmがより好ましい。厚みが、10μm未満の場合は、凹凸面への追従性が低下し、凹凸のある採取面に対しての採取性が低下する傾向がある。厚みが500μmを超えると、製品サイズにカッティングする際の作業性が低下する傾向がある。
本発明の基材10は、特に限定されるものでは無いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムが使用出来る。この基材の粘着塗工面には、投錨性を向上させる為に必要に応じてコロナ処理等を施す事が出来る。この基材の厚みは採取作業性が良好であれば特に限定される物では無いが、好ましい厚みは50〜125μmである。
本発明の粘着剤層20の組成は特に限定されるものでは無いが、ウレタン系、アクリル系、ゴム系等が挙げられる。ゴム系の粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどの粘着剤のポリマーとして一般的に適用されるポリマーが挙げられる。
本発明では、特にアクリル系ポリマーを適宜架橋することで、水中での採取性が優れる鑑識用粘着シートが得られる。
本発明の鑑識用粘着テープに用いるアクリル系ポリマーとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートからなるアクリル系ポリマーが好適に用いられる。これらの炭素数6〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートからなるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、粘着剤層の初期タックやステンレス板に対する粘着力を、適度な範囲に制御することが容易となる。
その他のモノマー成分としては、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上成分や、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を用いることができる。その他の成分は1種または2種以上併用して用いることができる。
架橋方法の具体的手段としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物など、アクリル系ポリマーに適宜架橋化基点として含ませた力ルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基などと反応しうる基を有する化合物を添加し反応させる、いわゆる架橋剤を用いる方法がある。
このうち、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、へキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(商品名TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C)[いずれも三菱瓦斯化学(株)製]などがあげられる。これらの架橋剤は単独で、又は2種以上の混合で使用される。
架橋剤の使用量は、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.5〜10重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、採取対象物への糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、初期タックが不十分となり、採取対象物に対して粘着シートのズレが生じ易くなる傾向がある。
さらに本発明の鑑識用粘着シートに用いられる粘着剤には、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(アクリル系ポリマーの作製)
作製例1(アクリルポリマー1)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルへキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部を酢酸エチル564重量部にて希釈し、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(固形分27%)を調製した。
作製例2(アクリルポリマー2)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルへキシルアクリレート200重量部、酢酸ビニルモノマー160重量部、アクリル酸モノマー10重量部をトルエン955重量部にて希釈し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1.2重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(28重量%)を調製した。
作製例3(アクリルポリマー3)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ブチルアクリレート200重量部、アクリル酸モノマー10重量部をトルエン477重量部に希釈し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.4重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(32重量%)を調製した。
実施例1
アクリルポリマー溶液2の固形分換算100重量部に対して、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C;三菱瓦斯化学(株)製)を固形分換算1重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが50μmとなるように塗布した。
実施例2
アクリルポリマー溶液1を固形分換算100重量部に対して、芳香族イソシアネート系架橋剤〔商品名コロネートL;日本ポリウレタン(株)製〕を固形分換算2重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが50μmとなるように塗布した。
実施例3
実施例1において、粘着剤の厚みを150μmとした以外は、実施例1と同配合にてサンプルを作製した。
実施例4
SISブロック共重合体(商品名クインタック3460;日本ゼオン(株)製)100重量部、水添テルペン樹脂(商品名クリアロンP−125;ヤスハラケミカル(株)製)30重量部、パラフィン系プロセスオイル(商品名ダイアナプロセスオイルPW−90;出光興産(株)製)50重量部をトルエン220重量部にて希釈し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが50μmとなるように塗布した。
比較例1
アクリルポリマー溶液1を固形分換算100重量部に対して、芳香族イソシアネート系架橋剤〔商品名コロネートL;日本ポリウレタン(株)製〕を固形分換算4重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが20μmとなるように塗布した。
比較例2
ポリウレタン樹脂(商品名タケラックXV−W37;三井武田ケミカル(株)製)溶液(固形分60%)100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名タケネートD−160N(固形分75%);三井武田ケミカル(株)製)3重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが280μmとなるように塗布した。
比較例3
アクリルポリマー溶液3を固形分換算100重量部に対して、ブチル化メラミン樹脂(商品名スーパーベッカミンJ820−60N;大日本インキ(株)製)を固形分換算1.5重量部,芳香族イソシアネート系架橋剤(商品名コロネートL:日本ポリウレタン(株)製)を固形分換算3重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが50μmとなるように塗布した。
比較例4
アクリルポリマー溶液2の固形分換算100重量部に対して、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C;三菱瓦斯化学(株)製)を固形分換算2重量部配合し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に、110℃×3分後乾燥後の粘着剤の厚みが10μmとなるように塗布した。
(評価内容)
実施例および比較例で作製したサンプルについて、特性面評価として、粘着剤面の水に対する接触角、粘着剤の初期タック、SUS板に対する粘着力について測定し、また、指紋採取評価として、指紋採取性(作業性と採取度合い)と凹凸追従性について評価し、鑑識用シートとしての総合判定を実施した。
[特性評価方法]
・接触角
接触角計(FACE CA−X型;協和界面化学社製)を使用し、室温(23℃)下で所定量の蒸留水の液滴(約0.8μl)を注射器の針先につくり、この液滴を粘着剤面に滴下させ、粘着剤表面に液滴を作る。滴下10秒後に生じる液滴と粘着剤表面との角度を図2の如く測定して、水に対する接触角とした。
図2は、接触角の測定方法を示す概念図であり、粘着剤層20の上に蒸溜水40を滴下させた状態である。蒸溜水40を粘着剤層20に滴下させ、10秒後に生じる角度50を接触角として求めた。
・初期タック(プローブタック法)
縦50mm×横25mmの試験片を、厚さ約2mm、幅40mm、長さ70mmの中央に7mm径の穴を開けた試験片ホルダーの中央に、粘着面が穴上部から露出するように貼り付け、試験片ホルダーを引張り試験機の下部チャックに固定する。
次に、試験機の上部チャックに吊るされた測定子(JIS G 4404(合金工具鋼鋼材)に規定するSKS3(合金工具鋼S3種)の材質からなる、底面の直径5.0mmの円筒状で、上部に糸を結んで吊り下げられるようにしその質量が2.0gのプローブ)の底面をトルエンでよく洗浄し、乾燥したものを、露出している粘着面の上に静かに載せ、10秒後、毎分300mmの速さで引き剥がし、粘着面と測定子が引き剥がされる最高値をプローブタック法による初期タック値とした。
〔粘着力試験〕
JISG 4305に規定するSUS304鋼板をJISR6253に規定する360番の耐水研磨紙で長さ方向によく磨いたものを試験片とし、試験前に試験片の表面をトルエンで洗い、十分乾燥させた後、20mm幅×100mmに切断した測定サンプルを2kgローラーを用いて、300mm/minの速度で圧着し、圧着30分後、引張り試験機にて、剥離速度300mm/minの条件で180°ピーリング法にて測定し、粘着力とした。
〔指紋採取評価〕
・作業性,採取度合い
空き缶の底部を酢酸エチルにて洗浄し、洗浄面に意図的に指を押し付けて指紋を残し、その指紋部に、四三酸化鉄粉末95重量部と非イオン系界面活性剤(花王(株)エマルゲン130K)5重量部を混合したものを蒸留水で3%溶液へと希釈調整した指紋採取用溶液を刷毛にて塗布した後、水洗することにより指紋を検出させる。検出した指紋上に水を掛け、濡れた状態の上から20mm×4Ommに切断した粘着シートサンプルの糊面を貼り付け、背面から指で押さえた後、粘着シートサンプルを剥がし、粘着剤面に転写した指紋跡を目視にて採取度合いを判定する。また、指紋採取する際の作業性(貼りやすさ,剥がしやすさ)についても判定する。
・凹凸追従性
100円玉の裏面を酢酸エチルにて洗浄し、洗浄面に意図的に指を押し付けて指紋を残し、その指紋部に、四三酸化鉄粉末95重量部と非イオン系界面活性剤5重量部を混合したものを蒸留水で3%溶液へと希釈調整した指紋採取用溶液を刷毛にて塗布した後、水洗、乾燥することにより指紋を検出させる。検出した指紋上に30mm×30mmに切断した粘着シートサンプルの糊面を貼り付け、背面から指で押さえた後、粘着シートを剥がし、粘着面に転写した100円玉の凹部の採取状態を目視にて判定する。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2006152282
上記表1の結果から明らかなように、実施例の粘着シートでは、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取できることが分かった。これに対して、接触角が100°未満の比較例2では、粘着シートがズレを起こして採取が困難となった。また、初期タックが不十分な比較例1及び4でも、粘着シートがズレを起こして採取が困難となった。逆に、初期タックと粘着力が大きすぎる比較例3では剥離時の作業性が悪く、実用上、問題があった。なお、粘着剤層の厚みが小さすぎる場合(比較例4)では、凹凸への追従性が不十分であった。
本発明の鑑識用粘着シートの一例の使用前の状態を示す断面図 接触角の測定方法を示す概念図
符号の説明
10 基材
20 粘着剤層
30 台紙
31 プラスチックフィルム
32 紙質シート
40 蒸溜水
50 角度(接触角)

Claims (4)

  1. 視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、前記粘着剤層の表面の水に対する接触角が100°以上であり、プローブタック法による前記粘着剤層の初期タックが0.05〜0.80N/5mmφであることを特徴とする鑑識用粘着シート。
  2. 前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜10.0N/20mmである請求項1記載の鑑識用粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の厚みが10〜500μmである請求項1又は2に記載の鑑識用粘着シート。
  4. 前記転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末である請求項1〜3いずれかに記載の鑑識用粘着シート。
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