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JP2006037001A - 熱可塑性樹脂製電極 - Google Patents

熱可塑性樹脂製電極 Download PDF

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Mitsunari Togawa
三成 外川
Seiichiro Eto
誠一郎 江藤
Toshihiro Hatsu
敏博 発
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Abstract

【課題】 高い導電性、成形加工性、量産性を兼ね備えた熱可塑性樹脂製電極を提供する。
【解決手段】 重量平均繊維長が0.35〜2mmである導電性繊維を10〜50重量%含有することを特徴とする熱可塑性樹脂製電極。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い導電性、成形加工性、量産性を兼ね備えた熱可塑性樹脂製電極に関する。
一般的に電極には金属が使用されるが、水存在下で錆びると、導電性が低下すること、成形品の形状自由度が低くコストアップに繋がりやすいことから、近年、樹脂材料の適用が検討されている。
樹脂材料を電極へ適用するためには、導電性の付与が必要である。樹脂材料への導電性付与は、マトリクス樹脂へ金属や炭素の繊維またはフィラーなど高導電性材料を添加する方法が一般的であり、近年では、ナノ技術による改良も盛んに検討されている。
例えば、熱可塑性樹脂と平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維とを含む樹脂組成物を成形してなる高導電性樹脂成形品が開示されている(特許文献1)。この技術は、微細炭素繊維をある程度凝集した状態でマトリックス樹脂中に分散して連続状のネットワークを形成することで高い導電性が得られるというものである。また、マトリクス中にカーボンナノチューブなどの炭素繊維を分散してなり、且つ、成形表面において該炭素繊維の先端が突している高導電部材として、また電子を放出する電極素子として利用することが開示されている(特許文献2)。
しかしながら、これらの技術では、実施例に記載のとおり、成形品の導電性は、体積抵抗値が10−1Ω・mより大きく、電極として使用するには不十分なレベルである。
他にも、特定の粘度を有する硬化性樹脂と炭素質材料からなる導電性硬化性樹脂組成物とその硬化体からなる電極などの導電部材が開示されている(特許文献3)。また、軸方向に沿って配向された長繊維の炭素繊維とマトリクス樹脂からなる棒状電極材が開示されている(特許文献4)。これらの方法によれば、高い導電性が得られるものの、金属材料と同様、成形品の形状自由度が低く、さらに成形加工も困難なため量産性に劣りひいてはコスト的に不利である。
以上のように、高い導電性と成形加工性、量産性を兼ね備えた電極の開発が強く望まれていた。
特開2004−35826号公報 特開2004−107534号公報 特開2003−268249号公報 特開平7−11466号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高い導電性、成形加工性、量産性を兼ね備えた電極を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、重量平均繊維長が0.35〜2mmである導電性繊維を10〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂製電極を提供する。
本発明により、高い導電性、成形加工性、量産性を兼ね備えた電極を提供することが可能となる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の電極は、熱可塑性樹脂をベースとしたものである。このことにより、金属に比べ優れた防錆性と成形加工性、量産性を得ることができる。
前記熱可塑性樹脂には、電極の導電性を付与するために熱可塑性樹脂100重量部に対し、導電性繊維を10〜100重量部含むことが必要である。10重量部未満では、電極に十分な導電性を付与することができず、また100重量部を超えると、成形時の流動性が低下するため問題がある。
導電性繊維としては例えば、炭素繊維、金属繊維(ステンレス鋼繊維、銅繊維など)などの単独で導電性を示す繊維を採用することができる。
また、絶縁性繊維(有機繊維としてはアラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維など、無機繊維としてはガラス繊維、シリコンカーバイド繊維、シリコンナイトライド繊維など)や導電性繊維(金属繊維、炭素繊維)に、導電体(金属、金属酸化物、カーボン等)を被覆した繊維も使用できる。導電体の被覆はメッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などが適用でき、ニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属による被覆が可能である。
これらは、単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。その中でも、力学的特性、導電性、比重のバランスに優れる炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、炭化水素による気相成長系炭素繊維、黒鉛繊維等が挙げられるが、なかでも、強度と弾性率などの力学的特性等のバランスに優れるPAN系炭素繊維が好ましい。
導電性繊維の重量平均繊維長は、0.35〜2mmであることが必要である。0.35mm未満では、導電性が不十分となる。0.5mm以上とすると、優れた電磁波シールド性や機械強度を得ることができるため好ましい。また上限については、長い方が導電性の観点でより好ましいが、現状の熱可塑性樹脂の成形技術では、成形時の剪断応力により2mmが限界であるためこれを上限とした。
重量平均繊維長Lwは、個々の繊維の繊維長Liと、重量Wiに対して、
Lw=Σ(Wi×Li)/ΣWi
で表されるが、繊維径および密度が一定の場合には、繊維長Liを有する繊維の本数をNiとして、
Lw=Σ(Ni×Li)/Σ(Ni×Li)
として測定することができる。なお、熱可塑性樹脂中の繊維の重量平均繊維長を測定するサンプルを得るには、繊維は溶解せずに熱可塑性樹脂を溶解する溶媒を用い、熱可塑性樹脂成分を十分溶解させ、濾過することにより繊維を分離すればよい。
本発明において用いるベースとなる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル、ポリアリーレート、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、HIPS、ABS、AES、AASなどのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。また、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが挙げられる。これらのうち1種を単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
電極の強度、耐薬品性、耐摩耗性の観点からはPPS、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタールが好ましく、中でも強度、耐摩耗性などの機械特性、表面外観品位、経済性のバランスに優れたポリアミドが、より好ましい。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/ナイロン66の共重合体、ナイロンXD6、ナイロンMXD6、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6I、およびナイロン6/66/6Iコポリマーなどが挙げることができる。中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6、ナイロン6/66/6Iは、成形時の高い流動性が得られるとともに、成形後の収縮やヒケを抑制でき、高い成形性と外観品位に優れるので特に好ましい。ポリアミドはこれらのうち1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらポリアミドは、成形時の流動性の観点から、相対粘度ηrが、1.5〜2.5が好ましい。特に好ましくは1.8〜2.4の範囲である。
相対粘度ηrは、熱可塑性樹脂1gを98%硫酸100mLに溶解し、オストワルド粘度計を使用して25℃にて測定できる(98%硫酸法)。なお、熱可塑性樹脂の相対粘度ηrを測定するには、当該熱可塑性樹脂を溶解しうる溶媒にて十分溶解させ、濾過することにより熱可塑性樹脂を分離した後、測定することができる。(電極の熱可塑性樹脂の含有量は、他の成分(導電性繊維、導電性フィラー)の含有量から定まる。)
本発明の電極は、さらに導電性を付与するために導電性フィラーを添加することもできる。導電性フィラーとしては例えば、カーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、金属粉末などを採用でき、その中でも導電性向上の観点からカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを採用することができ、これらのうち1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。中でも、価格、導電性付与効果などの総合的な面から、ファーネスブラックが好ましい。
電極の導電性フィラーの含有量としては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜65重量部とすることが好ましい。1重量部未満では導電性フィラーの添加効果が発現せず、65重量部を超えると、成形時の流動性が悪くなるからである。
また樹脂組成物には、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で無機充填材や添加剤を添加しても良い。
無機充填材としては例えば、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、層状珪酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等)、焼成クレイ、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸カルシウム、ワラステナイト、ゼオライト、セリナイト、カオリン、ベントナイト、アルミナシリコート、マイカ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、フェライト、水酸化鉄、窒化硼素などを挙げることができる。
上記のような無機充填材は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、その形状としては、パウダー状、フレーク状、繊維状、ウィスカーバルーン状などを採用できる。
添加剤としては、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、耐電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤、難燃剤などを挙げることができる。
本発明の電極は、樹脂組成物の体積抵抗率が10−5〜10−3Ω・mであることが好ましい。より好ましくは10−5〜10−4Ω・mである。10−3Ω・m以下の導電性で有すれば、電極として好適に使用することができる。また体積抵抗率は、低い方がより好ましいが、熱可塑性樹脂製電極で達成することができる限界が10−5Ω・mであることからこれを下限とした。
ここで体積抵抗率とは、IEC60093規格にそって測定した値である。IECとは国際電気標準会議のことで、IEC60093規格は、JIS K7194規格に準拠している。かかる体積抵抗率は、前述のように導電性繊維や補助的に導電性フィラーを適宜採用することにより達成することができる。
本発明の熱可塑性樹脂製電極の製造方法としては、生産性・量産性の観点からは、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製し、これを成形に供するのが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物のペレットの製造方法としては、各必須成分及び任意の添加剤を一括して溶融混練する方法、成分の一部を溶融混練しその途中から残りの成分を添加する方法、成分の一部を予め溶融混練して一旦ペレットとし残りの成分と再度溶融混練する方法、また特定成分同士を別途溶融混練して複数種のペレットとし、これらをブレンドする方法などを採用することができる。
溶融混練には、単軸押出機、二軸押出機やニーダーなど、溶融状態下での機械的剪断を行うことができる装置を用いると良い。また、溶融混練装置の好ましい態様として、溶融混練時に発生する水分や低分子量の揮発成分を除去するためにベント口を設けても良い。また、溶融混練の途中から成分を添加できるようにホッパー口を複数個設けても良い。
また、導電性繊維として炭素繊維を採用し、これを熱可塑性樹脂等と溶融混練する場合には、機械的剪断がかかるシリンダー(ただし原料供給部付近は除く)の温度を樹脂組成物の熱可塑性樹脂の融点(変性PPEやポリアリレートなどの非晶性樹脂の場合には流動開始点)より10℃以上高くすることが好ましい。そうすることで、剪断による炭素繊維の過剰な折損を防ぐことができる。炭素繊維の過剰な折損を防ぐその他の手段としては、強い剪断のかかるようなスクリューの形状は避けること、スクリューの溝深さを深くとること、ダイス径を大きくすることなどが挙げられる。
また、炭素繊維を採用する他の態様として、溶融させた熱可塑性樹脂中に連続した炭素繊維を通過させて、炭素繊維の表面に熱可塑性樹脂を被覆させ、得られたストランドを冷却後に所定の長さに切断することによって、炭素繊維を含む長繊維ペレットとすることも好ましい。本ペレットの製法によれば、ペレットの長手方向にペレットの長さとほぼ同一の導電性繊維が配列した長繊維ペレットが得られる。長繊維ペレットから電極を成形する場合、炭素繊維は成形時の剪断により折損が進むので、成形品における所望の繊維長にあわせてペレットの切断長さ(すなわちペレット中の繊維長)を設定すると良く、前述のように成形品中で0.35〜2mmとするには、長繊維ペレットとしては3mm〜15mmとすることが好ましく、より好ましくは5〜10mmである。
本発明の電極は、かくして得られる樹脂組成物を射出成形、押出成形、圧縮成形などの方法で成形することによって得られる。なかでも射出成形は、生産性が高く、複雑な形状の成形品、薄肉成形品にも好適である。
射出成形においては、以下の点に配慮して、炭素繊維の過剰な折損を抑制することがより好ましい。すなわち好ましい成形条件の傾向としては、背圧を低くすること、射出速度を遅くすること、スクリュー回転数を遅くすること、また射出成形機において、ノズル径を太くすること、スクリューの溝深さを深くすること、テーパー角度を小くすること、圧縮比を低くすること、また成形用金型において、スプルー径、ランナー径、ゲート径を大きくすることなどである。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。
[測定・評価方法]
(1)熱可塑性樹脂の相対粘度ηr
熱可塑性樹脂1gを98%硫酸100mLに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
(2)成形下限圧
100mm×100mm×3mmの角板を射出成形により作製したときの成形下限圧を測定した。成形下限圧が低いほど成形が容易で、成形加工性、量産性に優れていることを表している。この条件では150kgf/cmより大きい値で成形が困難なレベルである。
(3)体積抵抗率
100mm×100mm×3mmの角板を射出成形により作製し、IEC60093規格にそって体積抵抗率を測定した。抵抗値は小さいほど導電性に優れていること表している。本発明の電極に使用する樹脂材料としては、10−3Ω・m未満が好ましく、10−4Ω・m未満がより好ましい。
(4)電極抵抗値
図1に示すような形状の電極を射出成形し、上面と下面間の抵抗値を一般的なテスターで測定した。抵抗値は小さいほど導電性に優れていることを表している。電極に使用するには140Ω未満の抵抗値が必要であり、100Ω未満がより好ましい。
(5)重量平均繊維長
作製した電極の一部から約0.5gを切り出し、蟻酸100ccに浸漬して12時間放置した。樹脂等の成分が溶解したのを確認した後、ペーパーフィルターを用いて繊維を濾過した。濾過して得た繊維を顕微鏡にて観察し、無作為に抽出した400本の繊維の繊維長を測定し、繊維径および密度が一定であるという前提のもと、次式を用いて算出した。
Lw=Σ(Ni×Li2)/Σ(Ni×Li)
ここで、Lwは重量平均繊維長、Liは繊維長、Niは繊維長Liを有する繊維の本数とする。
(6)総合評価
上記成形性、導電性(抵抗率)から総合的に判断し、悪い方から×,○,◎の順に3段階で評価した。○,◎が電極に使用可能なレベルである。
[材料]
各実施例・比較例に用いた成分は以下のとおりのものを指す。
(熱可塑性樹脂)
A−1:ナイロン6樹脂(ηr=2.4)
A−2:ナイロン66樹脂(ηr=2.2)
(導電性繊維)
B−1:長炭素繊維(東レ(株)製トレカT700SC−12K)
B−2:短炭素繊維(東レ(株)製チョップドトレカTS−12)
(導電性付与剤)
C−1:カーボンブラック(三菱化学(株)製3050B)
[実施例1]
材料A−1の全量を単軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分混練された状態で押し出すと同時に、長炭素繊維B−1の糸条も上記クロスヘッドダイ中に連続的に供給することによって、溶融した熱可塑性樹脂等を長炭素繊維B−1の糸条の表面に被覆した。
得られたストランドを、引き続きオンラインで冷却後、オンラインでカッターにて7mmの長さに切断して成形用ペレットとした。
得られたペレットを80℃、5時間以上真空下で乾燥させた後、試験片および電極の射出成形に供し、日本製鋼所(株)製J350E2−SP型射出成形機を用いて、100mm×100mm×3mmの角板および図1に示すような電極モデル成形品を成形した。かかる電極モデル成形品は、上面φ10mm、下面φ20mm、高さ30mmの形状である。射出成形の条件は、シリンダー温度280℃、金型温度70℃、冷却時間30秒、射出速度70%とした。
[実施例2〜6、比較例1,2,4]
表1,2に示すような組成比で、熱可塑性樹脂、導電性フィラーの全量を単軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分混練された状態で押し出すと同時に、長炭素繊維B−1の糸条も上記クロスヘッドダイ中に連続的に供給することによって、溶融した熱可塑性樹脂等を長炭素繊維B−1の糸条の表面に被覆した。
得られたストランドを、引き続きオンラインで冷却後、オンラインでカッターにて7mmの長さに切断して成形用ペレットとした。
得られたペレットを80℃、5時間以上真空下で乾燥させ、以降は実施例1と同様にして角板と電極モデル成形品を成形した。
[比較例3,5]
表1、2に示すような組成比で、2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30α)を使用し、材料A−1,C−1の全量をメインフィーダーより供給し、次いで材料B−2の全量をサイドフィーダーより供給してコンパウンドした。シリンダー温度及びダイス温度は270℃とし、スクリュー回転数は200rpmに設定した。また、サイドフィード部とダイスの中間に減圧ベント部を設け、スクリュー形状はサイドフィード後にフルフライトにアレンジした。
得られたストランドを引き続きオンラインで冷却後、オンラインでカッターにて成形用ペレットとした。
得られたペレットを80℃、5時間以上真空下で乾燥させ、以降は実施例1と同様にして角板と電極モデル成形品を成形した。
実施例1〜6、比較例1〜5の組成および評価結果を表1,2に示す。
Figure 2006037001
Figure 2006037001
表1,2のとおり、実施例1〜6は、角板の成形下限圧が良好で電極抵抗値も130Ω未満であった。また、これら電極の重量平均繊維長は0.44〜0.48mmの範囲であった。これに対し、比較例1,3,5は体積抵抗値と電極抵抗値が大きく、電極として使用できない。また比較例2,4は、角板の成形ができず成形加工性に劣る。
電極モデル成形品の概略斜視図である。
符号の説明
1:電極モデル成形品
L1:上円板直径
L2:下面板直径
H1:高さ

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、重量平均繊維長が0.35〜2mmである導電性繊維を10〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂製電極。
  2. 導電性繊維以外の導電性フィラー1〜65重量部を含有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂製電極。
  3. ペレットの長手方向にペレットの長さとほぼ同一の導電性繊維が配列した長繊維ペレットを成形して得られる請求項1または2記載の熱可塑性樹脂製電極。
  4. 導電性繊維が炭素繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂製電極。
  5. 体積抵抗率が10−5〜10−3Ω・mの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4記載の熱可塑性樹脂製電極。
  6. 熱可塑性樹脂がポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタールから選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の熱可塑性樹脂製電極。
  7. 熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の熱可塑性樹脂製電極。
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