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JP2006029300A - スロットル弁 - Google Patents

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JP2006029300A
JP2006029300A JP2004213483A JP2004213483A JP2006029300A JP 2006029300 A JP2006029300 A JP 2006029300A JP 2004213483 A JP2004213483 A JP 2004213483A JP 2004213483 A JP2004213483 A JP 2004213483A JP 2006029300 A JP2006029300 A JP 2006029300A
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air
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清司 山本
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峰保 小穴
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Honda Motor Co Ltd
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】 流体抵抗を小さくしてスロットルレスポンスを向上させ、スワールを生成するために、吸気系を簡単な構造にするとともに、重量を低減し、更に、部品数を削減し、吸気ポートの短縮化が図れ、吸気系の設計自由度に制約を受けにくい、スロットル弁を提供する。
【解決手段】 内燃機関の吸入空気量を調整するために吸気通路13と直交するスロットル軸32,33に取付けたスロットル弁11であって、このスロットル弁11は、それぞれ別々に開閉可能な第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38で構成され、これらの第1・第2スロットル弁37,38により、吸気通路13に沿うように空気を流す主空気通路61,62と、吸気通路13にほぼ直交するように空気を流す副空気通路63,64とを形成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、スロットル弁に関するものである。
従来のスロットル弁として、スロットル軸に取付けた円板状のバタフライバルブが知られている。このスロットル弁の作用を次に説明する。
図12は従来のスロットル弁を示す作用図であり、吸気通路201に直交するようにスロットル軸202を設け、このスロットル軸202にスロットル弁203を取付け、このスロットル弁203を開けて吸入空気量を調整する状態を示す。
このとき、空気の流れには、矢印で示すように、スロットル弁203の下流側近傍で無数の渦からなる後流が発生する。
また、スロットル弁を配置する吸気系の構造によって燃焼室内にスワールを生成する従来技術として、(1)スワールコントロールバルブを設けたもの(例えば、特許文献1参照。)、(2)スワールコントロールバルブ及びスワールポートを設けたもの(例えば、特許文献2参照。)、(3)一対の吸気ポートの上流側にスロットル弁を設けるとともにこのスロットル弁を支持するスロットル軸を傾けたもの(例えば、特許文献3参照。)、(4)ヘリカルポートを設けたもの(例えば、特許文献4参照。)が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平11−247661号公報 特開2002−235546公報 特開2002−201968公報 特開平7−158459号公報
特許文献1の図1を以下の図13で説明する。なお、符号は振り直した(特許文献2〜特許文献4についても同じ。)。
図13は従来のスワール生成技術を示す吸気渦流発生装置の構成図(従来例1)であり、吸気渦流発生装置は、吸気管210内に、スロットルバルブ211及びこのスロットルバルブ211の下流側に配置したスワールコントロールバルブ212を設け、このスワールコントロールバルブ212の回転軸となるシャフト213にステップモーター214を接続し、このステップモーター214を、スロットル開度センサー215、吸入空気量計216、機関回転計217からの信号に基づいてコントロールユニット218で制御することでスワールコントロールバルブ212を開閉し、渦流を発生させるものである。
特許文献2の図1を以下の図14で説明する。
図14は従来のスワール生成技術を示す吸気渦流発生装置の断面図(従来例2)であり、吸気管220内に、スロットルバルブ221と、このスロットルバルブ221の下流側を隔壁222で分離して形成したメインポート223及びスワールポート224と、メインポート223内に配置したスワールコントロールバルブ225と、メインポート223内の吸気流をスワールポート224側に向けるガイドフィン226を設けたものである。なお、227はスワールコントロールバルブ225を駆動する駆動モータ、228は駆動モータ227を制御するコントローラ、229はシリンダである。
特許文献3の図5〜図7を以下の図15(a)〜図15(c)で説明する。(図5を図15(a)、図6を図15(b)、図7を図15(c)で説明する。)
図15(a)〜(c)は従来のスワール生成技術を示す吸気装置の説明図(従来例3)である。
(a)において、吸気装置は、スロットルボディ231にスロットル軸232を介してスロットル弁233を取付け、スロットルボディ231のスロットルボア236下流側に一対の吸気ポート237,238を連通させ、これらの吸気ポート237,238を燃焼室241に連通させるとともに吸気ポート237,238の出口に吸気弁242,242を設けたものである。
スロットル弁233は、下方弁部244と上方弁部245とからなる。
(b)において、スロットルボア236は、上方弁部245の全閉位置から中負荷運転時の開度までの設定開度θ1に対応する位置に、上方弁部245の外周の軌跡に沿った形状の凹曲面部246を形成したものである。
従って、スロットル軸232を微小回転させると、スロットル弁233の下方弁部244は開き、上方弁部245は閉じたままの状態となり、吸入空気は、下方弁部244側のみから流れるため、(a)において、一方の吸気ポート237側を通じて燃焼室241に流れ込み、燃焼室241内にスワール流を生成する。
(c)において、吸気弁242,242のそれぞれの中心を結ぶ軸線247に対して、スロットル軸232を角度θ2だけ傾けるとともに、軸線247をスロットルボア236の中心に対してオフセットさせたことを示す。
特許文献4の図1を以下の図16で説明する。
図16は従来のスワール生成技術を示す吸気装置の説明図(従来例4)であり、第1ヘリカルポート251及び第2ヘリカルポート252を気筒内に連通させ、気筒内にスワールAを形成することを示す。なお、253は第1ヘリカルポート251を開閉する第1吸気弁、254は第2ヘリカルポート252を開閉する第2吸気弁である。
図12において、スロットル弁203の下流側近傍には無数の渦からなる後流が発生するため、スロットル弁203の下流側では圧力が大きく低下し、流体抵抗は大きくなる。このように流体抵抗が大きいと、スロットル弁203を開いたときに、燃焼室内にスムーズに十分な空気量が供給されず、エンジン回転数が直ちに上昇しない。上記した流体抵抗を小さくできれば、エンジン回転数が上昇し易くなり、スロットルレスポンスが向上できる。
また、上記の図13に示した技術では、スワール生成のために、スワールコントロールバルブ212、シャフト213、ステップモーター214が必要になり、更に、ステップモーター214を制御するために、スロットル開度センサー215、吸入空気量計216、機関回転計217からの信号をコントロールユニット218で処理するソフトウェアが必要になる。従って、吸気系は部品、ソフトウェアの増加によって複雑、大型になり、コストの増大を招く。
上記の図14に示した技術においても、スワール生成のために、吸気管220に隔壁222を設けたり、メインポート223にスワールコントロールバルブ225、ガイドフィン226を設けたり、スワールコントロールバルブ225を駆動するための駆動モータ227、コントローラ228が必要になるから、やはり、部品数が多くなって、吸気系の複雑化、大型化、コスト増を招く。
図15に示した技術において、例えば、吸気系を簡単な構造とするために吸気ポート237,238のうち一方のみを設ける場合は、吸気ポート237(又は、吸気ポート238)の出口位置を燃焼室241の中心に対してオフセットさせて設ける必要があり、吸気系の設計自由度が制約を受ける。
図16に示した技術では、第1ヘリカルポート251及び第2ヘリカルポート252の形状が複雑であるために、成形が難しく、スワールを形成するために十分なポート長を確保しなければならず、ポート長が長くなるから、生産性、コスト、重量、圧力損失の点で不利になる。
本発明は、(1)流体抵抗を小さくしてスロットルレスポンスを向上させ、(2)スワールを生成するために、吸気系を簡単な構造にするとともに、重量を低減し、更に、部品数を削減し、吸気ポートの短縮化が図れ、吸気系の設計自由度に制約を受けにくい、スロットル弁を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、内燃機関の吸入空気量を調整するために吸気通路と直交するスロットル軸に取付けたスロットル弁であって、このスロットル弁は、それぞれ別々に開閉可能な複数のスロットル弁要素で構成され、これらのスロットル弁要素により、吸気通路に沿うように空気を流す主吸気口と、吸気通路にほぼ直交するように空気を流す副吸気口とを形成することを特徴とする。
主吸気口で吸入空気量の調整を行うとともに、副吸気口で吸入空気量の調整に加えて、空気を吸気通路とほぼ直交する方向へ流し、吸気通路内に渦流を発生させる。
請求項2に係る発明は、スロットル弁要素が、それぞれスロットル軸に対して垂直に二分割されるほぼ半円形の半円部からなるとともにスロットル軸を中心としてそれぞれ逆方向に回動可能な第1スロットル弁及び第2スロットル弁であり、第1スロットル弁及び第2スロットル弁の一方を正回転させ、他方を正回転、又は逆回転、若しくは停止させて吸入空気量を調整しつつスワールを生成することを特徴とする。
二つのスロットル弁要素のみで、吸入空気量調整及びスワール生成を兼用するから、従来のようなスワール生成装置を省くことができる。また、従来よりも吸気通路を短縮できるから、通路の空気抵抗を小さくすることができる。更に、吸気通路を燃焼室に対して特別な位置に設けなくても、二つのスロットル弁要素で渦流を発生させることができる。
請求項3に係る発明は、第1スロットル弁及び第2スロットル弁をそれぞれ開いたときに、第1スロットル弁と第2スロットル弁との境界部の下流側に出来る扇形状の副吸気口の一部を遮断する遮断フィンを半円部に一体的に設けたことを特徴とする。
遮断フィンを設けることで、副吸気口を絞ることができ、従来のスロットル弁と同等の空気流量特性とすることができる。
請求項1に係る発明では、主吸気口で吸入空気量の調整を行うとともに、副吸気口で吸入空気量の調整に加えて、空気を吸気通路とほぼ直交する方向へ流すことで吸気通路内に渦流を発生させることができ、燃焼室内で混合気のスワールを発生させることができる。
請求項2に係る発明では、二つのスロットル弁要素のみで、吸入空気量調整及びスワール生成を兼用するから、従来のようなスワール生成装置を省くことができ、吸気系を簡素な構造にすることができる。従って、吸気系の小型・軽量化、部品数削減によるコスト低減を図ることができ、更に、吸気通路を短縮することができる。
また、従来よりも吸気通路を短縮できるから、通路の吸気抵抗を小さくすることができ、スロットル弁開閉時におけるエンジン回転のレスポンスを向上させることができる。
更に、吸気通路を燃焼室に対して特別な位置に設けなくても、二つのスロットル弁要素で渦流を発生させることができるから、吸気系の設計自由度を増すことができる。
請求項3に係る発明では、遮断フィンを設けたので、従来のスロットル弁と同等の空気流量特性とすることができ、従来と同様な感覚のスロットル操作を行うことができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るスロットル弁を示す吸気系の説明図であり、吸気系10は、スロットル弁11を備えるスロットル装置12と、このスロットル装置12内の吸気通路13に入口側を連通させるとともに出口側を燃焼室14に連通させた吸気ポート16と、この吸気ポート16の出口を開閉する吸気バルブ17と、吸気ポート16内に燃料を噴射する燃料噴射弁18とからなる。なお、21はスロットル装置12の入口に取付けたエアファンネル、22は排気ポート、23は排気ポート22を開閉する排気バルブ、24はシリンダ、26はシリンダ24内に移動自在に挿入したピストンである。
図2は本発明に係るスロットル装置を示す正面図であり、スロットル装置12を、吸気通路13の入口側から見た図である。
スロットル装置12は、筒状のスロットルボディ31と、このスロットルボディ31の吸気通路13を横切るようにスロットルボディ31に回転自在に取付けたスロットル軸32,33と、これらのスロットル軸32,33の心合わせをする心出しピン34と、スロットル軸32,33にそれぞれ複数のビス36で取付けた第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38と、スロットル軸32,33にそれぞれ連結したドラム41と、これらのドラム41にジョイント42を介して連結したロッド43とからなる。
第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38は、前述のスロットル弁11を構成する部材である。
ロッド43は、図示せぬ二輪車のスロットルグリップ又は四輪車のアクセルペダルに連結した部材であり、上記のスロットルグリップ又はアクセルペダルを操作することにより、ロッド43を移動させ、ボールジョイント42を介してスロットル軸32,33を回転させ、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38の両方を開閉する、又は一方のみを開閉する。第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38の両方を開閉する場合には、それぞれを連動させて開閉する、あるいはそれぞれを独立に開閉する。
図3は本発明に係るスロットル弁を示す斜視図であり、第1スロットル弁37は、心出しピン34(図2参照)を挿入するピン挿入穴37aを開けた円柱状の心材51と、この心材51に取付けたほぼ半円形で板状の弁本体52と、この弁体52の背面(ここでは、第1スロットル弁37を配置した吸気通路13(図2参照)内に空気が流れるときに、弁体52の下流側の面を背面とした。)に取付けたほぼ扇形状の遮断フィン53とからなる。なお、55は第1スロットル弁37をスロットル軸32(図2参照)に取付けるためにビス36(図2参照)を通すビス挿通穴、56は遮断フィン53の外縁部に設けた切欠き部である。第2スロットル弁38は、第1スロットル弁37と基本構造が同一で、同一構成部品からなる。
このように、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38は、正面視で円板をスロットル軸32,33にほぼ直角に二分割することで、それぞれ開閉可能としたものである。
図4(a)〜(c)は本発明に係るスロットル弁を示す説明図である。
(a)は側面図であり、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38(第2スロットル弁38は太線で描いたものである。以下、(b),(c)においても同じ。)の両方を閉じた状態を示す。
(b)は側面図であり、第1スロットル弁37のスロットル開度を角度θth1、第2スロットル弁38のスロットル開度を角度θth2とした状態を示す。なお、スロットル開度は、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38共に、吸気通路13に直交する基準線58に対する開度であり、第1スロットル弁37では、図の時計回りが開方向であり、第2スロットル弁38では、図の反時計回りが開方向である。
このときの図中のハッチングを施した部分は、空気通路であり、第1スロットル弁37の遮断フィン53と、吸気通路13の内面13aとの間に出来る空気通路は、主空気通路(詳細は後述する。)に対して副空気通路63と呼び、第2スロットル弁38の遮断フィン53と、吸気通路13の内面13aとの間に出来る空気通路は、主空気通路に対して副空気通路64と呼ぶ。これらの副空気通路63,64は、吸気通路13に直交する通路である。
(c)は(b)のC矢視図であり、図中のハッチングを施した部分は、主空気通路61,62である。即ち、主空気通路61は、吸気通路13の内面13aと、第1スロット弁37の外周縁37b、第2スロットル弁38の外周縁38bとの間の開口であり、主空気通路62は、吸気通路13の内面13aと、第1スロット弁37の外周縁37c、第2スロットル弁38の外周縁38cとの間の開口である。これらの主空気通路61,62は、吸気通路13に沿う通路である。
図5(a),(b)は本発明に係るスロットル弁の作用を示す第1作用図であり、スロットル弁11を通過する空気の流れの概略を平面図で説明する。
(a)は第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38を開けたときの主空気通路61(図4(c)も参照)及び副空気通路64における空気の流れを示す。即ち、第1スロットル弁37の外周縁37bと内面13a(図4(c)も参照)との間では、矢印Aで示すように、空気は吸気通路13に沿ってほぼ直線的に移動し、第2スロットル弁38の外周縁38bと内面13aとの間でも、矢印Bで示すように、空気は吸気通路13に沿ってほぼ直線的に移動する。また、上流側から流れてきた空気は、矢印Cで示すように、副空気通路64に吸気通路13にほぼ直交するように曲がって進入し、副空気通路64を通過した後は、矢印Bの向きの流れの影響を受けて下流側へ方向を変え、更に、吸気通路13の内面13aに沿う周方向の流れも加わる。
(b)は主空気通路62(この図では、主空気通路62は、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38の下方に位置する。図4(c)も参照。)及び副空気通路63における空気の流れを示す。即ち、第1スロットル弁37の外周縁37cと内面13aとの間では、矢印Dで示すように、空気は吸気通路13に沿ってほぼ直線的に移動し、第2スロットル弁38の外周縁38cと吸気通路13との間でも、矢印Eで示すように、空気は吸気通路13に沿ってほぼ直線的に移動する。また、上流側から流れてきた空気は、矢印Fで示すように、副空気通路63に吸気通路13にほぼ直交するように曲がって進入し、副空気通路63を通過した後は、矢印Eの向きの流れの影響を受けて下流側へ方向を変え、更に、吸気通路13の内面13aに沿う周方向の流れも加わり、矢印Fの流れと(a)で説明した矢印Cの流れとが協働して、吸気通路13及び吸気ポート16(図1参照)内に内面13aに沿う渦流を発生させる。
図6(a),(b)は本発明に係るスロットル弁の作用を示す第2作用図であり、スロットル弁11(図1参照)を備える吸気通路に一つの吸気ポート16を接続したときのスロットル弁11によるスワール生成確認のテスト結果を示す。(a)は実施例であり、このときの第1スロットル弁37(図4(b)参照)及び第2スロットル弁38(図4(b)参照)のスロットル開度θth1,θth2はそれぞれθth1=15 °、θth2=15 °である。
スロットル弁11を通過して吸気ポート16から燃焼室14内に流入した空気は、各矢印で示すように、反時計回りのスワールを生成する(例えば、大きな矢印H,Jは小さな各矢印の向きを概略的に示す。)。なお、各矢印の長さは速度の大きさを表す(以下、図6(b)、図7(b)、図8(b)について同じ。)。スワールは、シリンダ24の壁面24a近傍で速度が小さく、壁面24aから離れるにつれて速度が大きくなる。
(b)は比較例として従来のスロットル弁としてのバタフライバルブのテスト結果を示す。このときのスロットル開度は30 °である。
スロットル弁を通過して吸気ポート16から燃焼室14内に流入した空気は、大きな矢印L,Hで示すように、シリンダ24の壁面24aにほぼ沿って流れ、更に、大きな矢印P,Qで示すように、それぞれぶつかり合って燃焼室14の中心側へ向きを変えて流れるため、スワールは発生しない。
図7(a),(b)は本発明に係るスロットル弁の作用を示す第3作用図であり、吸気ポート16を2つの吸気ポート16A,16Bで構成した場合のスロットル弁によるスワール生成確認のテスト結果を示す。このときの第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38のスロットル開度θth1,θth2はそれぞれθth1=θth2=15°である。
(a)では空気の流れを複数の流線で表した(以下の図8(a)においても同じ。)。 空気は、吸気通路13におけるスロットルバルブ11の奥側から手前側へ流れ、吸気ポート16A,16Bを通って燃焼室14に至る。
空気は、副空気通路63,64(副空気通路63は不図示。)を通過した後は、吸気通路13内を渦状になって大きな速度で流れる。また、主空気通路61,62(図4(c)参照)を通過した空気も、副空気通路63,64を通過した空気と共に渦状となって大きな速度で流れる。そして、空気は、2つの吸気ポート16A,16Bにほぼ均等に流入してそれぞれの吸気ポート16A,16B内で渦状に流れ、燃焼室14内に流れ込む。
(b)は(a)の空気の流れをシリンダ24(図1参照)の軸線に沿って見た図(図8(b)においても同じ。)であり、吸気バルブ17,17を開いているときに、吸気ポート16A,16Bの出口を出た空気は、吸気バルブ17,17の傘部の半径方向外側に広がり、特に、2つの吸気バルブ17,17の間から遠ざかるような大きな流れ(例えば、図中の矢印H,Jで示す流れ)が発生するが、スワールは発生しない。
図8(a),(b)は本発明に係るスロットル弁の作用を示す第4作用図であり、吸気ポート16を2つの吸気ポート16A,16Bで構成した場合のスロットル弁によるスワール生成確認のテスト結果を示す。このときの第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38のスロットル開度θth1,θth2はそれぞれθth1=30°、θth2=0°である。
(a)において、空気は、副空気通路63,64(副空気通路63は不図示。)を通過した後は、渦状になって吸気ポート16A,16Bへ流れる。詳しくは、開いた第1スロットル弁37から遠い側の吸気ポート16Bへ吸気ポート16Aよりも多く且つ大きな速度で空気が流れる。また、主空気通路61,62(図4(c)参照)を通過した空気も、副空気通路63,64を通過した空気の流れの影響を受けてそのほとんどが吸気ポート16Bに流入し、わずかに吸気ポート16Aへも流入する。即ち、吸気ポート16B内を流れる空気の量が吸気ポート16Aを流れる空気の量よりも大きく、且つ吸気ポート16B内に発生した渦流のために、燃焼室14内ではスワールが発生する。
(b)は(a)の空気の流れをシリンダ24(図1参照)の軸線に沿って見た図であり、吸気ポート16A,16Bの出口を出た空気は、吸気バルブ17,17の傘部の半径方向外側に広がって、特に、吸気ポート16Bの吸気バルブ17側から壁面24aに沿って吸気ポート16Aの吸気バルブ17側への大きな流れ(例えば、図中の大きな矢印Tで示す流れ)が発生し、燃焼室14内に反時計回りのスワールが発生する。
このように、本発明のスロットル弁11により、吸気ポート16A,16B内に渦流を発生させることができ、更に、この渦流によって燃焼室14にスワールを生成し易くすることができる。本発明は、例えば、ヘリカルポートと同様な効果を簡単な構成で得ることができ、しかも、ヘリカルポートに比べて吸気ポートを短くすることができる。
図9(a),(b)はスロットル弁の性能を比較する第1グラフである。
(a)は実線で示す実施例1(第1実施形態であり、図3に示したスロットル弁11から遮断フィン53,53を除いたものである。)と、破線で示す比較例1(通常のバタフライバルブである。)とにおける、スロットル弁のスロットル開度に対するスロットル弁の上流側と下流側との差圧を示す。
グラフの縦軸は差圧dP(単位はPaである。)、横軸はスロットル開度θth(第1スロットル弁のスロットル開度θth1及び第2スロットル弁のスロットル開度θth2である。θth=θth1=θth2である。単位は°である。)を表す。
スロットル開度θthが小さいときには、比較例1よりも実施例1の方が差圧dPは小さく、スロットル開度θthが約40°以降は、比較例1及び比較例2の差圧dPは次第に一致するとともに一定になる。
(b)は比較例1及び実施例1における、スロットル弁のスロットル開度に対する空気の流速((a)で説明した差圧の計測時の流速である。)を示す。グラフの縦軸は流速V(単位はm/s)、横軸はスロットル開度θth(単位は°)を表す。
スロットル開度θthが小さいときには、比較例1よりも実施例1の方が流速Vは大きく、スロットル開度θthが大きくなるにつれて、その差は小さくなり、スロットル開度θthが約40°以降は、比較例1及び実施例1の流速Vは次第にほぼ同じ値になるとともに一定になる。
以上のことから実施例1では、スロットル開度θthが小さくても、吸入空気の通路面積を大きくすることができ、吸入空気量を多くできて、スワールを生成しながらスロットルレスポンスを向上させることが可能になる。
一方で、(a),(b)で示すように、比較例1と実施例1との差圧dP及び流速Vが大きく異なるのは、実施例1において、スロットル弁の主空気通路に加えて副空気通路が開いて通路面積がスロットル開度が小さいうちに大きくなるためである。このように、比較例1と実施例1とで差圧dP、流速Vが大きく異なると、吸入空気量に大きな差が出るため、スロットル操作時のエンジン回転のレスポンスが異なる。いわゆる、スロットル操作フィーリングが異なる。
図10(a),(b)はスロットル弁の性能を比較する第2グラフである。
(a)は一点鎖線で示す実施例2(第2実施形態であり、図3に示したスロットル弁11である。)及び破線で示す比較例1(図9(a),(b)で説明した通常のバタフライバルブである。)において、スロットル弁のスロットル開度に対する、スロットル弁の上流側と下流側との差圧を示す。
グラフの縦軸は差圧dP(単位はPaである。)、横軸はスロットル開度θth(第1スロットル弁のスロットル開度θth1及び第2スロットル弁のスロットル開度θth2については、θth=θth1=θth2である。単位は°である。)を表す。
スロットル開度θthが次第に大きくなると、実施例2と比較例1とはほぼ同じ曲線を描いて差圧が徐々に低下し、スロットル開度θthが約40°以降は差圧dPはほぼ一定となる。
(b)は実施例2及び比較例1における、スロットル弁のスロットル開度に対する空気の流速((a)で説明した差圧の計測時の流速である。)を示す。グラフの縦軸は流速V(単位はm/s)、横軸はスロットル開度θth(単位は°)を表す。
スロットル開度θthが次第に大きくなると、実施例2と比較例1はほぼ同じ曲線を描いて流速が徐々に増加し、スロットル開度θthが約40°以降は流速はほぼ一定となる。
以上の図10(a),(b)で示すように、実施例2では、前述の実施例1のスロットルバルブに遮断フィンを追加したことで、これまでのバタフライバルブ(比較例1)と同等の差圧dP、流速Vを得ることができ、従来のスロットル弁(比較例1)と同様なスロットル操作フィーリングでありながら、実施例1と同様に、スワールを発生させることができる。
以上の図2及び図4(a)〜(c)で説明したように、本発明は第1に、内燃機関の吸入空気量を調整するために吸気通路13と直交するスロットル軸32,33に取付けたスロットル弁11であって、このスロットル弁11は、それぞれ別々に開閉可能な複数のスロットル弁要素としての第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38で構成され、これらのスロットル弁要素37,38により、吸気通路13に沿うように空気を流す主吸気口としての主空気通路61,62と、吸気通路13にほぼ直交するように空気を流す副吸気口としての副空気通路63,64とを形成することを特徴とする。
主吸気口61,62で吸入空気量の調整を行うとともに、副吸気口63,64で吸入空気量の調整に加えて、空気を吸気通路13とほぼ直交する方向へ流すことで吸気通路13内に渦流を発生させることができ、燃焼室14(図1参照)内で混合気のスワールを発生させることができる。従って、燃料と空気との混合を促進させることができ、燃焼が促進されて、出力向上、燃料消費率の低減、排気浄化等が可能になる。
本発明は第2に、スロットル弁要素37,38が、それぞれスロットル軸32,33に対して垂直に二分割されるほぼ半円形の半円部としての弁本体52を備えるとともにスロットル軸32,33を中心としてそれぞれ逆方向に回動可能な第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38であり、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38の一方を正回転させ、他方を正回転、又は逆回転、若しくは停止させて吸入空気量を調整しつつスワールを生成することを特徴とする。
二つのスロットル弁要素37,38のみで、吸入空気量調整及びスワール生成を兼用するから、従来のようなスワール生成装置を省くことができ、吸気系10(図1参照)を簡素な構造にすることができる。従って、吸気系10の小型・軽量化、部品数削減によるコスト低減を図ることができ、更に、吸気通路13を短縮して吸気抵抗を低減することができる。
本発明は第3に、第1スロットル弁37及び第2スロットル弁38をそれぞれ開いたときに、第1スロットル弁37と第2スロットル弁38との境界部の下流側に出来る扇形状の副吸気口63,64の一部を遮断する遮断フィン53を半円部52に一体的に設けたことを特徴とする。
遮断フィン53を設けたので、副吸気口63,64を通過する空気量を調整することができ、従来のスロットル弁と同等の空気流量特性とすることができて、スワールを生成しつつ従来と同様なスロットル操作フィーリングを得ることができる。
図11(a),(b)は本発明に係るスロットル弁の別実施形態を示す説明図である。
(a)はスロットル弁70の断面図であり、スロットル弁70は、スロットルボディ71にそれぞれベアリング72を介して回転自在に支持した第1スロットル軸73、第2スロットル軸74及び第3スロットル軸75と、これらの第1スロットル軸73、第2スロットル軸74及び第3スロットル軸75にそれぞれビス77で取付けた扇形状の第1スロットル弁81、第2スロットル弁82及び第3スロットル弁83とからなる。
上記の第1スロットル弁81、第2スロットル弁82及び第3スロットル弁83は、スロットル弁85を構成し、円板を3分割(ここでは、扇の角度を120°として3等分した。)した部品である。
(b)は第1スロットル軸73((a)参照)、第2スロットル軸74((a)参照)及び第3スロットル軸75((a)参照)をそれぞれ同一方向に且つ同一角度だけ回転させて、第1スロットル弁81、第2スロットル弁82及び第3スロットル弁83をそれぞれ開けた状態を示す。
図中の87はスロットルボディ71の内面71aと、第1スロットル弁81の外周縁81aとの間に出来る第1主空気通路、88は内面71aと、第2スロットル弁82の外周縁82aとの間に出来る第2主空気通路、89は内面71aと、第3スロットル弁83の外周縁83aとの間に出来る第3主空気通路、92は第1スロットル弁81の半径方向に延びる側縁81cと第2スロットル弁82の半径方向に延びる側縁82bとの間に出来る第1副空気通路、93は第2スロットル弁82の半径方向に延びる側縁82cと第3スロットル弁83の半径方向に延びる側縁83bとの間に出来る第2副空気通路、94は第3スロットル弁83の半径方向に延びる側縁83cと第1スロットル弁81の半径方向に延びる側縁81bとの間に出来る第3副空気通路、96は内面71aと第1副空気通路92との間に出来る空気通路、97は内面71aと第2副空気通路93との間に出来る空気通路、98は内面71aと第3副空気通路94との間に出来る空気通路である。
尚、本発明では、スロットル弁要素は、スロットル軸に対して垂直に二等分した部材としたが、これに限らず、スロットル軸に対して所定角度で二分割した部材としてもよし、また、スロットル軸に対して垂直であって二等分でなく二分割してもよい。
更に、第1スロットル弁と第2スロットル弁とを逆方向に回動可能としたが、これに限らず、同方向に回動可能としてもよい。
また、本実施形態では、スロットル弁を3等分したものを示したが、これに限らず、等分でなくともよく、例えば、扇の角度を180°,90°,90°に分割してもよい。また、3つのスロットル弁の開度は同一でなくてもよく、更に、各スロットル弁を開けるときにスロットル軸の回転方向は同一でなくてもよい。
本発明のスロットル弁は、二輪車、四輪車等の吸気系に好適である。
本発明に係るスロットル弁を示す吸気系の説明図である。 本発明に係るスロットル装置を示す正面図である。 本発明に係るスロットル弁を示す斜視図である。 本発明に係るスロットル弁を示す説明図である。 本発明に係るスロットル弁の作用を示す第1作用図である。 本発明に係るスロットル弁の作用を示す第2作用図である。 本発明に係るスロットル弁の作用を示す第3作用図である。 本発明に係るスロットル弁の作用を示す第4作用図である。 スロットル弁の性能を比較する第1グラフである。 スロットル弁の性能を比較する第2グラフである。 本発明に係るスロットル弁の別実施形態を示す説明図である。 従来のスロットル弁を示す作用図である。 従来のスワール生成技術を示す吸気渦流発生装置の構成図(従来例1)である。 従来のスワール生成技術を示す吸気渦流発生装置の断面図(従来例2)である。 従来のスワール生成技術を示す吸気装置の説明図(従来例3)である。 従来のスワール生成技術を示す吸気装置の説明図(従来例4)である。
符号の説明
11…スロットル弁、13…吸気通路、32,33…スロットル軸、37,38…スロットル弁要素(第1スロットル弁、第2スロットル弁)、52…半円部(弁本体)、53…遮断フィン、61,62…主吸気口(主空気通路)、63,64…副吸気口(副空気通路)。

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸入空気量を調整するために吸気通路と直交するスロットル軸に取付けたスロットル弁であって、
    このスロットル弁は、それぞれ別々に開閉可能な複数のスロットル弁要素で構成され、
    これらのスロットル弁要素により、前記吸気通路に沿うように空気を流す主吸気口と、吸気通路にほぼ直交するように空気を流す副吸気口とを形成することを特徴とするスロットル弁。
  2. 前記スロットル弁要素は、それぞれ前記スロットル軸に対して垂直に二分割されるほぼ半円形の半円部からなるとともにスロットル軸を中心としてそれぞれ逆方向に回動可能な第1スロットル弁及び第2スロットル弁であり、第1スロットル弁及び第2スロットル弁の一方を正回転させ、他方を正回転、又は逆回転、若しくは停止させて吸入空気量を調整しつつスワールを生成することを特徴とする請求項1記載のスロットル弁。
  3. 前記第1スロットル弁及び前記第2スロットル弁をそれぞれ開いたときに、第1スロットル弁と第2スロットル弁との境界部の下流側に出来る扇形状の前記副吸気口の一部を遮断する遮断フィンを前記半円部に一体的に設けたことを特徴とする請求項2記載のスロットル弁。
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