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JP2006014464A - リニアアクチュエータ - Google Patents

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JP2006014464A JP2004186840A JP2004186840A JP2006014464A JP 2006014464 A JP2006014464 A JP 2006014464A JP 2004186840 A JP2004186840 A JP 2004186840A JP 2004186840 A JP2004186840 A JP 2004186840A JP 2006014464 A JP2006014464 A JP 2006014464A
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Abstract

【課題】 片電源によって駆動でき、リニアアクチュエータの中心においても充分な推力を確保することができるリニアアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 固定子12と、少なくとも一つの鉄部材30を有し前記固定子12に対し往復動可能に設けられた可動子13と、前記鉄部材30に対向しかつ前記往復動の方向に直交して磁極を持たせるとともに前記固定子12に前記往復動の方向に沿って設けられた少なくとも1つの永久磁石14、15、16、17と、前記可動子13を非駆動状態にて前記往復動方向の基準位置に至らせる復帰手段と、前記固定子12に設けられたコイル18とを備えるリニアアクチュエータ11であって、前記永久磁石14、15、16、17は前記鉄部材の往復動方向の起磁力が非対称に構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、構造が簡素で高性能なリニアアクチュエータに関する。
小ストロークを得るためのアクチュエータとして、あらゆる産業界においてソレノイドが幅広く使用されている。しかし、ソレノイドには、a)電流に対しての推力の直線性が良くない。b)通電することで発生する推力が変位に対して急激に低下する。c)推力が片方向のみしか発生できないので原位置に戻す場合にコイルバネなど他の手段が必要である。等の欠点があるため、位置決め動作が必要な用途への適応には適していない。
これに対して、リニアアクチュエータは、上記a)〜c)の欠点を持たず、バネを併用し共振させることによって少ない損失で駆動できることから、コンプレッサモータ等として利用されている。そして、このリニアアクチュエータを用いたコンプレッサは高効率である等優れた性能を発揮できることから、冷蔵庫や、冷凍庫、あるいはエアコンディショナ用としての利用が期待されている(例えば特許文献1参照。)。
特開2003−339147号公報。
しかし、従来形の永久磁石式リニアアクチュエータは、上記a)〜c)の欠点はないが大きなストロークを得たい場合には、両電源(正負の電流を流すことができる電源)を用いるか、リニアアクチュエータのサイズ自体を大きくすることが必要である。
また、磁気中心(推力中心、ストローク中心)がリニアアクチュエータの中心にあり、リニアアクチュエータを最大ストロークで使用するには電流を正負に流すことが必要であった。すなわち、最大ストロークが20mmのリニアアクチュエータでは、正負の電流を流せるドライバを用意し、正負の電流を流すことで±10mmの変位を確保し、その結果として20mmのストロークを得る必要があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来形のリニアアクチュエータに比して構成を複雑にすることなく、片電源によって駆動でき、リニアアクチュエータの中心においても充分な推力を確保することができるリニアアクチュエータを提供するものである。
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、固定子と、少なくとも一つの鉄部材を有し前記固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、前記鉄部材に対向しかつ前記往復動の方向に直交して磁極を持たせるとともに前記固定子に前記往復動の方向に沿って設けられた少なくとも1つの永久磁石と、前記可動子を非駆動状態にて前記往復動方向の基準位置に至らせる復帰手段と、前記固定子に設けられたコイルとを備えるリニアアクチュエータであって、前記永久磁石は前記鉄部材の往復動方向の起磁力が非対称に構成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、固定子に前記往復動の方向に沿って設けられた少なくとも1つの永久磁石の起磁力が、鉄部材の往復動方向にて非対称に構成されているので、可動子に設けられた鉄部材は、コイルに電流を流すことで、まず、永久磁石の起磁力が安定する方向に移動し、電流をさらに大きくすることによって、可動子はさらに進行する。また、コイルに流れる電流を切り非駆動状態とすると、復帰手段により、鉄部材が往復動方向の基準位置に自動的に復帰する。
この場合、可動子が永久磁石の起磁力に関してオフセットしているため、鉄部材の往復動を一方向(片電源)の電流により行うことができ、また、オフセットしていない場合に比較して一方向のストロークを約2倍とすることができる。
また、電流の大きさを調整することによって位置決め動作が可能となる。
また、変位に対して推力をオフセットし、可動子の基準位置における推力をゼロとするとともにリニアアクチュエータの可動子の変位に略比例した推力を得ることができる。
その結果、リニアアクチュエータの中央に可動子がある場合(すなわち、従来のリニアアクチュエータにおける変位ゼロの場合)であっても、推力が得られる。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のリニアアクチュエータであって、前記永久磁石は、その磁極方向の厚みが前記鉄部材の往復動範囲の一端側にて厚い構成とされ、かつ他端側が薄い構成とされることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、永久磁石の磁極方向の厚みが鉄部材の往復動範囲の一端側にて厚く、他端側が薄く構成されているので起磁力が往復動方向にて非対称となり、可動子が永久磁石の起磁力に関してオフセットされる。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のリニアアクチュエータであって、前記永久磁石は、前記鉄部材の往復動範囲の軸方向位置における前記永久磁石の一端側の材質を他端側の材質と異ならせる構成とすることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、永久磁石の材質を、復動範囲の一端側と他端側において異ならせることによって起磁力を異ならせている。その結果、往復動方向にて起磁力が非対称となり、可動子が永久磁石の起磁力に関してオフセットされる。
請求項4に係る発明は、請求項1記載のリニアアクチュエータであって、前記永久磁石は、前記鉄部材の往復動範囲の軸方向位置の一端側に寄せて配置し、他端側には配置しない構成とすることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、永久磁石が鉄部材の往復動範囲の軸方向位置の一端側に寄せて配置され、他端側には配置されない構成とされている。従って、永久磁石がある一端側には起磁力が存在し、他端側には起磁力が存在しないので、往復動方向にて起磁力が非対称となり、可動子が永久磁石の起磁力に関してオフセットされる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のリニアアクチュエータであって、前記一端側の前記永久磁石と前記鉄部材との隙間を、前記他端側の前記永久磁石又は固定子と鉄部材との隙間よりも小さくするギャップを設けていることを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、他端側の前記永久磁石又は固定子と鉄部材との隙間を部分的に広く形成することで、用途に応じて可動子に対する付勢力を弱めるように調節することができる。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のリニアアクチュエータであって、前記鉄部材と対向する面が前記可動子の往復動方向に面一に構成されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、永久磁石又は固定子と、可動子の鉄部材との間の隙間が往復動方向に一定に保たれるので磁束漏洩が抑制され、その結果、可動子に対する付勢力を強めることが可能となる。
この発明に係るリニアアクチュエータによれば、片電源によって可動子を駆動することができ、モータサイズを大きくすることなく、2倍のストロークとすることができる。
また、永久磁石の使用量を従来のリニアアクチュエータに比較して1/2にすることができる。
また、磁石コイルに流れる電流を切り非駆動状態とすることで基準位置に自動的に復帰することができる。
さらに、電流の大きさを調整することによって位置決め動作が可能となり、可動子の基準位置における推力をゼロとするとともにリニアアクチュエータの中央に可動子がある場合(すなわち、従来のリニアアクチュエータにおける変位ゼロの場合)であっても、推力が得られ、可動子の変位に略比例した推力を得ることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1〜図4はこの発明の第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータを示す図である。
この実施形態のリニアアクチュエータ11は、ヨーク(固定子)12と、このヨーク12の内側に往復動可能に設けられた可動子13と、ヨーク12に固定された第1の一対の永久磁石(永久磁石)14,15と、ヨーク12に固定された第2の一対の永久磁石(永久磁石)16,17と、ヨーク12に固定された二つのコイル18、19とを備えており、図3に示すように自らが弾性変形することにより可動子13をヨーク12に対して往復動可能に支持するとともに可動子を非駆動状態にて往復動方向の基準位置に至らせるための2枚の板バネ(復帰手段)3を備えている。
上記ヨーク12は、図1に示すように、その中心位置に貫通穴21が形成されることにより全体として角筒形状をなしている。貫通穴21は、円筒の内周面を所定の間隔をあけて二カ所その軸線に平行に切断した形状をなし互いに離間状態で対向する二カ所の円筒面部22を有している。二カ所の円筒面部22は、同径同長同幅をなしており同軸に配置されている。
上記ヨーク12は、その中心位置に貫通穴21が形成されることにより全体として角筒形状をなしている。貫通穴21は、円筒の内周面を所定の間隔をあけて二カ所その軸線に平行に切断した形状をなし互いに離間状態で対向する二カ所の円筒面部22と、各円筒面部22のそれぞれの両端縁部から円筒面部22同士を結ぶ方向に沿って外側に延出する平面部23と、各平面部23のそれぞれの円筒面部22に対し反対側の端縁部から平面部23と直交して外側に延出する平面部24と、円筒面部22同士を結ぶ方向に延在して各平面部24の対応するもの同士をそれぞれ連結させる平面状の内面部25とを有している。ここで、二カ所の円筒面部22は、同径同長同幅をなしており同軸に配置されている。
なお、このヨーク12は、薄板状の鋼板をプレスで打ち抜いて基部材を形成し、この基部材を貫通穴21の貫通方向に複数、位置を合わせながら積層しつつ接合させた積層鋼板からなっている。
可動子13は、図3に示すように、先端に雄ネジ部13aが形成された円柱状をなし、軸方向に往復移動するシャフト13bと、シャフト13bを内側に挿嵌されてシャフト13bの軸方向の途中位置に固定された可動磁極としての鉄部材30とを備えている。
永久磁石14,15は、図2に示すように、円筒を所定の間隔をあけて二カ所その軸線に平行に切断した形状をなす同長同幅の同じ材料の、例えばフェライト磁石からなるもので、永久磁石14は、永久磁石15に比較して、内径側の円弧の半径が小さく、すなわち厚みが厚く形成されている。永久磁石14,15は、互いに同軸をなし円周方向の位置を合わせ軸線方向に隣り合った状態で並べられて一方の円筒面部22に接合固定されており、永久磁石14と鉄部材30とが形成するギャップ(隙間)は、永久磁石15と鉄部材30とが形成するギャップよりも小さく形成されている。ここで、これら永久磁石14,15は、軸線方向に直交する方向に磁極を持たせたラジアル異方性のもので、互いの磁極の並びを逆にしている。また、貫通穴21の貫通方向における一方の永久磁石14は、N極が外径側にS極が内径側に配置されており、他側の永久磁石15は、N極が内径側にS極が外径側に配置されている。
永久磁石16,17は、図2に示すように、円筒を所定の間隔をあけて二カ所その軸線に平行に切断した形状をなす同長同幅の同じ材料の、例えばフェライト磁石からなるもので、永久磁石16は、永久磁石17に比較して、内径側の円弧の半径が小さく、すなわち厚みが厚く形成されている。永久磁石16,17は、互いに同軸をなし円周方向の位置を合わせ軸線方向に隣り合った状態で並べられて一方の円筒面部22に接合固定されており、永久磁石16と鉄部材30とが形成するギャップ(隙間)は、永久磁石17と鉄部材30とが形成するギャップよりも小さく形成されている。ここで、これら永久磁石16,17は、軸線方向に直交する方向に磁極を持たせたラジアル異方性のもので、互いの磁極の並びを逆にしている。また、貫通穴21の貫通方向における一方の永久磁石16は、S極が外径側にN極が内径側に配置されており、他側の永久磁石17は、S極が内径側にN極が外径側に配置されている。
以上により、第1の一対の永久磁石14,15および第2の一対の永久磁石16,17は、貫通穴21の貫通方向に位置が合う永久磁石同士で内径側すなわち可動子13側の磁極を逆にしている。すなわち、貫通穴21の貫通方向に位置が合う永久磁石14および永久磁石16は互いに内径側の磁極を逆にしており、貫通穴21の貫通方向に位置が合う永久磁石15および永久磁石17も互いに内径側の磁極を逆にしている。
コイル18は、図3に示すように、ヨーク12に内側に突き出すように形成された円筒面部22を取り囲むように巻き胴32が取り付けられ、この巻き胴32に導線が多重に巻き付けられて構成されている。コイル19は、ヨーク12を挟んで円筒面部22と相対する位置に形成された上記円筒面部22と対応する円筒面部22に同じく巻き胴32が取り付けられ、この巻き胴32に導線が多重に巻き付けられて構成されている。
2枚の板バネ3は、可動子13の軸方向に離間し、ヨーク12を間に挟んで配置されている。2枚の板バネ3は同じ形状をなし、均一な厚さの金属板を打ち抜き加工され、可動子13の軸方向から見ると「8」の字形に形成されている。「8」の中央の線が交差する部分に相当する箇所には、可動子13先端または後端を支持する貫通孔3a(図3に図示)がそれぞれ形成されている。また、「8」のマルの内側に相当する箇所には、上述のコイル18または19を内側に通すことが十分に可能な大きさの貫通孔3b,3cがそれぞれ形成されている。
さらに、「8」の最上部および最下部に相当する箇所には、板バネ3をヨーク12に固定するための小孔3d,3eがそれぞれ形成されている。
各板バネ3は、ともにコイル18の軸方向の途中位置にて可動子13を支持している。より詳細に説明すると、図3に示すように、可動子13の先端を支持する一方の板バネ3は、貫通孔3aに可動子13の先端側を通して固定されるとともに、小孔3dに通される図示しないネジ、および小孔3eに通される図示しないネジによって可動子13の中心からコイル18または19よりも遠い位置にてヨーク12に固定されている。また、可動子13の後端を支持する他方の板バネ3は、貫通孔3aに可動子13の後端側を通して固定されるとともに、小孔3d,3eに通された上記ネジによって可動子の中心からコイル18または19よりも遠い位置にてヨーク12に固定されている。
一方の板バネ3は、貫通孔3bから可動子13の先端側にコイル18を突き出させるとともに、貫通孔3cから可動子13の先端側にコイル19を突き出させ、他方の板バネ3は、貫通孔3bから可動子13の後端側にコイル18を突き出させるとともに、貫通孔3cから同じく可動子13の後端側にコイル19を突き出させている。可動子13の軸方向に沿う2枚の板バネ3の間隔は、同方向に沿うコイル18または19の寸法よりも狭くなっており、貫通孔3b,3cは、コイル19との干渉を避けるための「逃げ」としての役割を果たしている。
各板バネ3は、従来のように可動子を滑らせて往復動可能に支持するのではなく、可動子1を可動子13の先端側および後端側の2箇所で保持し、自らが弾性変形することによって可動子1を可動子13の軸方向に往復動可能に支持している。なお、各板バネ3は、可動子1が往復動する際の変形量が、繰り返し弾性変形を強いられることによって疲労し、ついには破壊に至ってしまう可能性のある変形量よりも小さくなるように、可動子13を支持する貫通孔3aから小孔3dまたは3eまでの距離(直線距離ではなく、板バネ自体の長さ)を可能な限り長くしたり、板厚を薄くしたりといった事前の調整がなされている。ただし、その外形は可動子13の軸方向からリニアアクチュエータ全体を見た場合にヨーク12の外形からはみ出さない程度の大きさとなっている。
上記構造のリニアアクチュエータ11は、双方のコイル18、19に電流を流していない状態では、図4に曲線aに示すように、ヨーク12、永久磁石16、鉄部材30を経てヨーク12をこの順に結ぶループで磁束が形成されると共に、曲線bに示すように、ヨーク12、鉄部材30、永久磁石14を経て結ぶループで磁束が形成される。
上記各曲線a、bからなるループによって、ヨーク12、永久磁石16、鉄部材30、可動子13、鉄部材30、永久磁石14およびヨーク12を経る磁束φ1と、永久磁石15、鉄部材30、可動子13、鉄部材30、永久磁石17を経てヨーク12をこの順に結ぶ大ループの磁束φが形成される。
かかる大ループの磁束φは、リニアアクチュエータ11の往復動方向に関して非対称であり、可動子13には基準位置にて図4の矢印方向に推力Pが発生するが、復帰手段である2枚の板バネ3に基準位置にて矢印の逆方向の推力Pが作用するような変形を予め与えて、可動子13がリニアアクチュエータ11の中央からオフセットさせた状態で基準位置にて停止させられている。
次にこの実施の形態のリニアアクチュエータ11の作用について説明する。
可動子13は非駆動状態にて、永久磁石16から永久磁石14に永久磁石の起磁力が発生し基準位置にて図4の矢印方向に推力Pが発生している。この推力Pは、復帰手段である2枚の板バネ3に基準位置にて矢印の逆方向に推力Pと等しい抗力が予め与えられることによって、可動子13がリニアアクチュエータ11の中央からオフセットした状態で基準位置に停止させられている。
まず、双方のコイル18、19に直流電流を流すことにより、磁束がS極からN極に導かれることにより、ヨーク12の外周部、円筒面部22、永久磁石16、鉄部材30、可動子13、鉄部材30、永久磁石14、ヨーク12の外周部の順に循環する二つの対称なループがそれぞれ形成される。
また、同時に第1の永久磁石15と第2の永久磁石17間においても、磁束が、ヨーク12の外周部、円筒面部22、永久磁石17、鉄部材30、可動子13、鉄部材30、永久磁石15、ヨーク12の外周部の順に循環する二つの対称なループがそれぞれ形成される。
したがって、永久磁石16と永久磁石14の間においては永久磁石16から永久磁石14に向かう方向に、永久磁石17と永久磁石15の間においては永久磁石15から永久磁石17に向かう方向に磁束が発生し、永久磁石16と永久磁石14の間において鉄部材30内の磁束が密になり、逆に永久磁石17と永久磁石15の間においては永久磁石15、17による起磁力が打ち消され、起磁力が小さくなる。
その結果、可動子13には正方向(図7の左側)に向かう推力Fが作用し、可動子13はその力に押されて同方向に移動する。
可動子13の鉄部材30を往復動方向にオフセットさせた本発明に係るリニアアクチュエータ11と従来の可動子13をオフセットさせていないリニアアクチュエータの可動子の位置と推力の大きさFとの関係は、図5に示すような関係となる。
つまり、可動子13をオフセットさせていない従来のリニアクチュエータ11は、可動子13がヨーク12内で軸方向の中間位置Qに位置し、そこから駆動され往復動すると、破線Xにて示すループを描く。これに対し、可動子13をオフセットさせた本発明に係るリニアアクチュエータ11は、可動子13がヨーク12において軸方向の中間位置からずれ、基準位置Rから駆動されて往復動すると、図5の実線Yに示すループを描くこととなる。
上記第1の実施の形態のリニアアクチュエータによれば、可動子の往復動全範囲荷を片電源にて駆動させることができる。その結果、一方向の電流で駆動できるストロークを約2倍にすることができる。
電流の大きさを調整することによって位置決め動作が可能となり、また、電流を切ることによって、可動子が基準位置に自動復帰する。
また、変位に対して推力をオフセットし、可動子の基準位置における推力をゼロとするとともにリニアアクチュエータの可動子の変位に略比例した推力を得ることができる。
その結果、リニアアクチュエータの中央に可動子がある場合(すなわち、従来のリニアアクチュエータにおける変位ゼロの場合)であっても、推力が得られる。
この実施形態において、永久磁石15及び永久磁石17と鉄部材30とで形成されるギャップよりも永久磁石14及び永久磁石16で形成されるギャップが広く形成されているので、可動子13に対する付勢力を必要に応じて弱めるように調節することができる。
また、永久磁石15及び永久磁石17は、永久磁石14及び永久磁石16に比較して厚さが薄く形成されているので、永久磁石の薄型化により製造コストを削減することができる。また、推力等に関しては、欠落させていないものと同等の性能を確保することができる。
また、永久磁石15、17を薄く形成することによって、永久磁石の使用量を減らし、製造コストを削減することができる。
図6は、この発明の第2の実施の形態に係るアクチュエータを示している。
この実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、ヨーク12の円筒面部22の永久磁石14、16が配置される領域を、永久磁石14、16の厚みに応じて円筒面部22の径を大きく形成し、第1の一対の永久磁石14、15と第2の一対の永久磁石16、17の鉄部材30と対向する面を可動子30の往復動方向に面一に構成した点である。
第2の実施の形態のアクチュエータ11によれば、コイル18に電流を流すことによって、アクチュエータ11の一端側に位置する永久磁石16から永久磁石14への磁束が密になり、その結果として一端側方向への推力Fが発生する。また、第1の実施形態の効果に加え、ヨーク12に配置された第1の一対の永久磁石14、15と第2の一対の永久磁石16、17の鉄部材30とで形成されるギャップが往復動方向に一定に保たれて磁束漏洩が抑制されるので、可動子13に対する付勢力を強めることが可能となる。
図7は、この発明の第3の実施の形態に係るアクチュエータを示している。
この実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、永久磁石14、15、16、17は同径同長同幅に形成されるとともに、永久磁石14、16と永久磁石15、17の材料を異ならせて、永久磁石14、16を永久磁石15、17に比較して強磁性体で形成した点である。
具体的には、永久磁石14、16の材料をサマリウムコバルトとし、永久磁石15、17の材料をフェライト磁石とするような構成が挙げられる。
第3の実施の形態のアクチュエータ11によれば、コイル18に電流を流すことによって、アクチュエータ11の一端側に位置する永久磁石16から永久磁石14への磁束が密になり、その結果として一端側方向への推力Fが発生する。また、コイル18に電流を流すことによって、アクチュエータ11の一端側に位置する永久磁石16から永久磁石14への磁束が密になり、その結果として一端側方向への推力Fが発生する。また、第1の実施形態の効果に加え、ヨーク12に配置された第1の一対の永久磁石14、15と第2の一対の永久磁石16、17の鉄部材30とで形成されるギャップが往復動方向に一定に保たれて磁束漏洩が抑制されるので、可動子13に対する付勢力を強めることが可能となる。
図8は、この発明の第4の実施の形態に係るアクチュエータを示している。
この実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、永久磁石14A、16Aを、鉄部材30の往復動範囲の軸方向位置の一端側に寄せ、円筒面部22内面に鉄部材30方向に突出して配置し、他端側には配置しない構成とすることで起磁力が非対称に形成されている点である。
第4の実施の形態のアクチュエータ11によれば、コイル18に電流を流すことによって、アクチュエータ11の一端側に位置する永久磁石16Aから永久磁石14Aへの磁束が密になり、その結果として一端側方向への推力Fが発生する。また、第1の実施形態の効果に加え、永久磁石14A、16Aをヨーク12に対し一端側に寄せることで、可動子の軸方向変位ゼロの場合でも可動子に推力を発生させることができる。
また、永久磁石14A、16Aが配置されないヨーク12と鉄部材30とで形成される領域のギャップが、永久磁石14A及び永久磁石16Aで形成されるギャップよりも広く形成されているので、可動子13に対する付勢力を必要に応じて弱めるように調節することができる。
また、永久磁石の数や大きさを削減し、ヨーク12の円筒面2を面一のまま使用するのでヨーク12に永久磁石14A、16Aを埋設するための加工が必要ないので、リニアアクチュエータの製造コストを削減することができる。
また、永久磁石の使用量を1/2に減らすことにより、製造コストを削減することができる。
図9は、この発明の第5の実施の形態に係るアクチュエータを示している。
この実施形態において、第4の実施形態と異なるのは、ヨーク12の円筒面部22の永久磁石14A、16Aが配置される領域を、永久磁石14A、16Aの厚み分だけ径を大きく形成し、永久磁石14A、16Aをヨーク12内に埋設配置し、鉄部材30と対向する円筒面22を永久磁石14A、16Aがある領域とない領域ともに可動子30の往復動方向に面一に構成した点である。
第5の実施の形態のアクチュエータ11によれば、ヨーク12に配置された永久磁石14A、16Aの存在する領域と存在しない領域共に、鉄部材30とで形成されるギャップが往復動方向に一定に保たれて磁束漏洩が抑制されるので、可動子13に対する付勢力を強めることが可能となる。
図10は、この発明の第6の実施の形態に係るアクチュエータを示している。
この実施形態において、第4の実施形態と異なるのは、可動子13の鉄部材30が可動子13の往復動方向に2個配置され、それぞれの鉄部材30に対応した第1の1対の永久磁石14、15と、第2の1対の永久磁石16、17がヨーク12の往復動方向の一端側に寄せられ、円筒面部22に鉄部材30方向に突出配置されている。
第6の実施の形態のアクチュエータ11によれば、コイル18に電流を流すことによって、アクチュエータ11の一端側に寄せて配置された永久磁石16から永久磁石14への磁束と、永久磁石17から永久磁石15への磁束とが密になり、その結果として一端側方向への推力が発生する。この場合、可動子13に2個の鉄部材30が設けられているので、ストロークは1/2になるが、2倍の推力2Fを得ることが可能となる。
このリニアアクチュエータ11は、可動子13を正方向に移動させるようにコイルに電流を流すと、それによって発生した起磁力により磁束が生じるので、この可動子を確実に移動させることができる。
加えて、第1の一対の永久磁石14、15、及び第2の一対の永久磁石16、17をヨークの鉄心における軸方向の他端に寄せると、コイルに電流が流れていないときは、図11に示す左方向にずれるオフセット状態の位置となる。
上記のリニアアクチュエータ11においては、板バネ3が、従来のように可動子を滑らせて往復動可能に支持するのではなく、可動子1を可動子13の先端側および後端側の2箇所で保持し、自らが弾性変形することによって可動子1を可動子13の軸方向に往復動可能に支持する。これにより、可動子1には摩耗も摺動抵抗も生じない。したがって、長期にわたる使用を経た後でも軸支持の精度が低下することがなく高い信頼性が得られる。さらに、摺動抵抗に起因する消費電力の損失がなく性能の向上が図れる。
また、上記のリニアアクチュエータにおいては、各板バネ3を、コイル18,19との干渉を回避しつつ可動子を基点としてコイル18,19よりも遠い位置にて固定子2に支持させている。これにより、嵩の張るコイル18,19と2枚の板バネ3とをより近接して配置することが可能になる。したがって、リニアアクチュエータの小型化が図れる。
なお、上記実施の形態においては、ヨーク12に内側に突き出すように形成された円筒面部22と、該円筒面部22に対応する円筒面部22の突出形状部を、それぞれ巻き胴32が取り囲み、これら巻き胴32に導線が多重に巻き付けられた構成について説明したが、ヨーク12において磁気回路を構成する鉄部材の円筒面部22と対応する円筒面部22を接続する中間部分の両側位置において導線を巻き付けても磁気を発生させてもよい。
また、上記実施形態において、永久磁石としては、上記したフェライト磁石以外にも、ネオジウム、サマリウムコバルト等の希土類系を用いることが可能である。
また、上記実施の形態においては、第1の一対の永久磁石14、15と第2の一対の永久磁石16、17と、コイル18,19で構成された2極のリニアアクチュエータの場合について説明について説明したが、3以上の極数を設けてもよい。
その他、軸受は板バネ以外に、すべり軸受やボールブッシュなどの転がり軸受を用いてもよい。
また、磁石の大きさ、厚さ、材料及び配置等の構成要素については、上記実施の形態に拘われることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で選択することができる。
この発明の第1の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す正面図である。 図1の右側面から見た縦断面図である。 リニアアクチュエータを示す一部破断の斜視図である。 コイルに電流が流れていないときの磁束の状態を示す説明図である。 この発明に係るオフセットしたリニアアクチュエータとオフセットしていない従来のリニアアクチュエータにおける可動子の変位と推力の大きさとの関係を示す図である。 この発明の第2の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。 この発明の第3の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。 この発明の第4の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。 この発明の第5の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。 この発明の第6の実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。
符号の説明
3 板バネ(復帰手段)
11 リニアアクチュエータ
12 ヨーク(固定子)
13 可動子
14、15 第1の永久磁石(永久磁石)
16、17 第2の永久磁石(永久磁石)
18、19 コイル
30 鉄片(鉄部材)

Claims (6)

  1. 固定子と、
    少なくとも一つの鉄部材を有し前記固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、
    前記鉄部材に対向しかつ前記往復動の方向に直交して磁極を持たせるとともに前記固定子に前記往復動の方向に沿って設けられた少なくとも1つの永久磁石と、
    前記可動子を非駆動状態にて前記往復動方向の基準位置に至らせる復帰手段と、前記固定子に設けられたコイルとを備えるリニアアクチュエータであって、
    前記永久磁石は前記鉄部材の往復動方向の起磁力が非対称に構成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. 請求項1記載のリニアアクチュエータであって、
    前記永久磁石は、その磁極方向の厚みが前記鉄部材の往復動範囲の一端側にて厚い構成とされ、かつ他端側が薄い構成とされることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  3. 請求項1記載のリニアアクチュエータであって、
    前記永久磁石は、前記鉄部材の往復動範囲の軸方向位置における前記永久磁石の一端側の材質を他端側の材質と異ならせる構成とすることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  4. 請求項1記載のリニアアクチュエータであって、
    前記永久磁石は、前記鉄部材の往復動範囲の軸方向位置の一端側に寄せて配置し、他端側には配置しない構成とすることによって起磁力が非対称に形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のリニアアクチュエータであって、
    前記一端側の前記永久磁石と前記鉄部材との隙間を、前記他端側の前記永久磁石又は固定子と鉄部材との隙間よりも小さくするギャップを設けていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のリニアアクチュエータであって、
    前記鉄部材と対向する面が前記可動子の往復動方向に面一に構成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。

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