JP2006008673A - 高純度テレフタル酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度テレフタル酸を製造するにあたり、コンパクトなサイズの装置で洗浄排液を再利用することができる高純度テレフタル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】粗テレフタル酸生成工程(a1)、溶解工程(a2)、還元工程(b)、晶析工程(c)、分離工程(d)、洗浄工程(e)、及び乾燥工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る回収工程(g)、及び上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する再使用工程(h)を有する高純度テレフタル酸の製造方法を用いる。
【選択図】図1
【解決手段】粗テレフタル酸生成工程(a1)、溶解工程(a2)、還元工程(b)、晶析工程(c)、分離工程(d)、洗浄工程(e)、及び乾燥工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る回収工程(g)、及び上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する再使用工程(h)を有する高純度テレフタル酸の製造方法を用いる。
【選択図】図1
Description
この発明は高純度テレフタル酸の製造方法に関する。
高純度テレフタル酸の結晶を得るには、パラキシレンを酸化することにより得られた粗テレフタル酸結晶から、酸化の際に副生成する4−カルボキシベンズアルデヒドを主成分とする中間体(テレフタル酸に変換可能な有効成分ではあるが、製品テレフタル酸に混入すると不純物である。)を出来る限り取り除く必要がある。そこでこの4−カルボキシベンズアルデヒドを、テレフタル酸よりも水溶性の高いパラトルイル酸に還元した上で、テレフタル酸を晶析させて高純度テレフタル酸結晶を得る精製工程を行う。その手順は、例えば図2に示す、以下のような工程からなる。
まず溶解工程として、スラリー化槽1において、粗テレフタル酸aを水bでスラリー化し、この開始スラリーcをポンプ1a及びヒーター1bにより高温高圧として、水に溶解させて、粗テレフタル酸水溶液c’とする。次に還元工程として、この粗テレフタル酸水溶液c’を、水添反応器2に導入し、触媒存在下で水素dと接触させることによって、4−カルボキシベンズアルデヒドをパラトルイル酸に還元する。こうしてパラトルイル酸とテレフタル酸が含有された還元反応液eを、直列に複数配置した晶析槽3に導入して放圧冷却により晶析させる晶析工程を行う。ここで、テレフタル酸はパラトルイル酸より水溶性が低いので、晶析条件を調整することで、テレフタル酸の高純度の結晶を晶析させることができる。その次に分離工程として、こうして析出したテレフタル酸の高純度結晶を含んだスラリーfを、場合によりポンプ3aで圧力を調整して固液分離機4に導入し、還元反応母液gを分離して、高純度テレフタル酸ケーキhを回収する固液分離を行う。この高純度テレフタル酸ケーキhに対して、洗浄工程として洗浄装置5で洗浄液iにより洗浄操作を行い、固液分離機6で固液分離操作を行って、洗浄ケーキkを得る。さらに乾燥工程として、得られた洗浄ケーキkを乾燥装置8で乾燥させて高純度テレフタル酸結晶mを得る。一方、還元反応母液gにはテレフタル酸やパラトルイル酸などの有効成分がなお含まれているため、これら有効成分を出来るだけ多く回収する。また、上記洗浄操作で排出される洗浄排液jは溶解工程で溶媒として再利用する。
上記の晶析工程の最終晶析槽は、パラトルイル酸がテレフタル酸と共晶することを防ぐために、操作温度を120〜180℃で行うことが一般的である。そのため、晶析により得られたスラリーfを従来はソリッドボウル型遠心分離機を用いて、高温高圧の状態で固液分離して還元反応母液gを分離し、得られた高純度テレフタル酸ケーキhを加圧下で懸濁洗浄し、放圧後に常圧下で再度固液分離して、洗浄排液jを排出していた。
また、加圧条件下において、上記固液分離操作とともに上記洗浄操作を行うことが出来る固液分離・洗浄装置7(図中、破線囲み内に相当する。)を用いて固液分離・洗浄工程を一体に行い、上記精製工程を簡略化したテレフタル酸の製造方法が、特許文献1及び2に記載されている。この場合、排出される洗浄排液jは高温高圧状態となる。
しかしながら、洗浄排液jには、洗浄スクリーンから目洩れ等が原因で、高純度テレフタル酸ケーキhとして回収すべき固形分の一部が同伴する。上記の固形分が同伴した洗浄排液jをそのままスラリー化槽1で溶媒として再利用すると、精製工程系内で処理する固形分が増大するものの、系内スラリー濃度を一定に保つ必要があるために、各々の装置を大型化させることになる。さらに、高温高圧下で固液分離と洗浄操作を一体化した装置で行う場合には、洗浄液に溶解するテレフタル酸の量が多くなるので、これによっても系内の固形分が増大し、装置を大型化させる必要が生じてしまう。
そこでこの発明は、高純度テレフタル酸を製造するにあたり、コンパクトなサイズの装置で洗浄排液を再利用することができる高純度テレフタル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、洗浄排液に同伴する固形分を事前に除去することにより上記課題を解決できることを見出し、また、除去した固形分は分離工程より前の工程にリサイクルすることにより製品の品質に影響を与えることなく再利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(10)に存する。
(1)(a1)パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含む粗テレフタル酸を生成する粗テレフタル酸生成工程、
(a2)上記粗テレフタル酸生成工程(a1)で得られた粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液とする溶解工程、
(b)上記粗テレフタル酸水溶液中の上記4−カルボキシベンズアルデヒドを、触媒の存在下で水素により還元してパラトルイル酸とした還元反応液を得る還元工程、
(c)上記の還元反応液を冷却して、上記テレフタル酸の結晶を晶析させて、スラリーとする晶析工程、
(d)上記スラリーから、上記テレフタル酸結晶を主成分とするテレフタル酸ケーキと還元反応母液とを固液分離する分離工程、
(e)上記テレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄する洗浄工程、
(f)上記洗浄工程(e)で洗浄したケーキを乾燥させて高純度テレフタル酸の結晶を得る乾燥工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
(g)上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る回収工程、
(h)上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する再使用工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法。
(a2)上記粗テレフタル酸生成工程(a1)で得られた粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液とする溶解工程、
(b)上記粗テレフタル酸水溶液中の上記4−カルボキシベンズアルデヒドを、触媒の存在下で水素により還元してパラトルイル酸とした還元反応液を得る還元工程、
(c)上記の還元反応液を冷却して、上記テレフタル酸の結晶を晶析させて、スラリーとする晶析工程、
(d)上記スラリーから、上記テレフタル酸結晶を主成分とするテレフタル酸ケーキと還元反応母液とを固液分離する分離工程、
(e)上記テレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄する洗浄工程、
(f)上記洗浄工程(e)で洗浄したケーキを乾燥させて高純度テレフタル酸の結晶を得る乾燥工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
(g)上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る回収工程、
(h)上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する再使用工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法。
(2)上記回収工程(g)で回収される固形分は、上記洗浄工程(e)から排出された洗浄排液を冷却することにより得られる固形分である(1)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(3)上記洗浄工程(e)から排出された上記洗浄排液が100℃を超えており、その洗浄排液を0〜100℃に冷却した後、上記固形分を回収する(2)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(3)上記洗浄工程(e)から排出された上記洗浄排液が100℃を超えており、その洗浄排液を0〜100℃に冷却した後、上記固形分を回収する(2)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(4)上記洗浄排液を、放圧蒸発により冷却する(2)又は(3)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(5)上記回収工程(g)における上記固形分の回収を、サイクロン又はシックナーを用いて行う、(1)乃至(4)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(5)上記回収工程(g)における上記固形分の回収を、サイクロン又はシックナーを用いて行う、(1)乃至(4)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(6)分離工程(d)が、晶析工程(c)の最終晶析槽の圧力より高い圧力で行われる(1)乃至(5)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(7)分離工程(d)と洗浄工程(e)とを、一体化した装置を用いて行う(1)乃至(6)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(7)分離工程(d)と洗浄工程(e)とを、一体化した装置を用いて行う(1)乃至(6)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(8)上記分離工程(d)及び上記洗浄工程(e)を行う上記の一体化した装置が、スクリーンボウル型遠心分離機、ロータリープレッシャーフィルター、又は水平ベルトフィルターのいずれかである、(7)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(9)上記洗浄工程(e)から排出される上記洗浄排液に含まれる固形分が、上記分離工程(d)に供給されるスラリー中のテレフタル酸結晶の1〜10重量%である、(1)乃至(8)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(9)上記洗浄工程(e)から排出される上記洗浄排液に含まれる固形分が、上記分離工程(d)に供給されるスラリー中のテレフタル酸結晶の1〜10重量%である、(1)乃至(8)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(10)上記晶析工程(c)が複数段の晶析槽からなるものであり、上記回収工程(g)で回収される上記固形分を、上記複数段の晶析槽のうちの最終晶析槽に送る(1)乃至(9)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
この発明により、特に、分離工程(d)と洗浄工程(e)とを、一体化した装置を用いることにより、高純度テレフタル酸を製造するにあたり、コンパクトなサイズの装置で洗浄排液を再利用することができる高純度テレフタル酸の製造方法を提供することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、粗テレフタル酸生成工程(a1)、溶解工程(a2)、還元工程(b)、晶析工程(c)、分離工程(d)、洗浄工程(e)、及び乾燥工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、回収工程(g)及び再使用工程(h)を有する高純度テレフタル酸の製造方法である。上記の工程(a1)〜(h)は下記の内容を示す。
この発明は、粗テレフタル酸生成工程(a1)、溶解工程(a2)、還元工程(b)、晶析工程(c)、分離工程(d)、洗浄工程(e)、及び乾燥工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、回収工程(g)及び再使用工程(h)を有する高純度テレフタル酸の製造方法である。上記の工程(a1)〜(h)は下記の内容を示す。
粗テレフタル酸生成工程(a1)…パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含む粗テレフタル酸を生成する工程。
溶解工程(a2)…上記粗テレフタル酸生成工程(a1)で得られた粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液とする工程。
溶解工程(a2)…上記粗テレフタル酸生成工程(a1)で得られた粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液とする工程。
還元工程(b)…上記粗テレフタル酸水溶液中の上記4−カルボキシベンズアルデヒドを、触媒の存在下で水素により還元してパラトルイル酸とした還元反応液を得る工程。
晶析工程(c)…上記の還元反応液を冷却して、上記テレフタル酸の結晶を晶析させて、スラリーとする工程。
晶析工程(c)…上記の還元反応液を冷却して、上記テレフタル酸の結晶を晶析させて、スラリーとする工程。
分離工程(d)…上記スラリーから、上記テレフタル酸結晶を主成分とするテレフタル酸ケーキと還元反応母液とを固液分離する工程。
洗浄工程(e)…上記テレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄する工程。
乾燥工程(f)…上記洗浄工程(e)で洗浄したケーキを乾燥させて高純度テレフタル酸の結晶を得る工程。
洗浄工程(e)…上記テレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄する工程。
乾燥工程(f)…上記洗浄工程(e)で洗浄したケーキを乾燥させて高純度テレフタル酸の結晶を得る工程。
回収工程(g)…上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る工程。
再使用工程(h)…上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する工程。
再使用工程(h)…上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する工程。
以下、本発明の製造方法の詳細について、図1を用いて説明する。なお、以下において、「有効成分」とは、テレフタル酸と、酸化等により上記テレフタル酸にすることができるその他の化合物とをいい、溶解している成分及び析出している成分のどちらも含む。また、「固形分」とは、上記有効成分のうち、析出している成分を示す。
まず粗テレフタル酸生成工程(a1)では、触媒の存在下、酢酸溶媒中で分子状酸素によりパラキシレンを液相酸化することにより粗テレフタル酸を生成させる。この工程は周知であり、触媒としては、従来よりこの反応に用い得ることが知られている触媒が用いられ、具体的には、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、クロム化合物などの重金属化合物及び臭素化合物等が挙げられる。これらは溶解した状態で反応系に存在している。なかでも好ましいのは、コバルト化合物又はマンガン化合物と臭素化合物との組み合わせである。この場合、これらの化合物は、通常、溶媒に対して、コバルト原子が10〜5000ppm、マンガン原子が10〜5000ppm、臭素原子が10〜10000ppmとなるように用いられる。
分子状酸素としては、通常は不活性ガスと酸素との混合ガスが用いられ、例えば、空気や酸素富化空気が用いられる。反応器に供給するパラキシレンに対する分子状酸素のモル比は、通常3〜20モル倍、好ましくは2〜4モル倍である。
上記反応器に供給する酢酸に対するパラキシレンの比率は、通常1〜50重量%である。反応系内の水分濃度は、通常5〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。
酸化反応の温度は、通常160〜260℃、好ましくは170〜210℃、圧力は、反応温度において反応系が液相を保持できる圧力以上であればよく、通常0.5〜5MPa、好ましくは1〜2MPa、滞留時間は通常10〜200分である。
テレフタル酸は溶媒である酢酸に溶け難いため、通常、酸化反応工程で生成したテレフタル酸は結晶として析出し、スラリーを形成する。しかしながら、溶媒の量、反応温度、圧力によっては、テレフタル酸が溶解している場合がある。この場合には、反応液を冷却等する晶析工程を設けてテレフタル酸を析出させ、スラリーを形成させる。このスラリーを固液分離して、粗テレフタル酸結晶を取得する。酸化反応工程で得られたテレフタル酸スラリーは加圧状態にあるが、そのまま固液分離しても、放圧冷却等してから固液分離してもよい。固液分離の方法としては、結晶と母液とが分離できるものであればよく、濾過、遠心分離などが挙げられる。必要に応じて洗浄、乾燥を行い粗テレフタル酸結晶を得る。
なお、本発明における「粗テレフタル酸」は、4−カルボキシベンズアルデヒドを1000〜10000ppm含有するテレフタル酸を意味する。
次に、溶解工程(a2)においては、図1に示すように、粗テレフタル酸A(パラキシレンを酸化して得られる4−カルボキシベンズアルデヒドを含む粗テレフタル酸)をスラリー化槽11に送り、高温高圧環境下で水Bに溶解させる。上記粗テレフタル酸Aは、パラキシレンを、酢酸などの脂肪族カルボン酸溶媒下で酸化させたものであり、副生成物として片方のアルキル基の酸化が完全に進行していない4−カルボキシベンズアルデヒドなどの中間体を含んでいる。上記高純度テレフタル酸を製造するためには、粗テレフタル酸Aからこれらの不純物を出来る限り取り除く必要がある。
上記テレフタル酸は水への溶解度が低いが、スラリー化槽11において水Bでスラリー化し、この開始スラリーCをポンプ11a及びヒーター11bにより上記テレフタル酸が水に溶解することができる高温高圧にする必要がある。この高温高圧条件の温度は、スラリー濃度によるが、200℃以上であって、かつ装置が耐えうる温度以下であることが必要であり、230℃以上、320℃以下が望ましい。また、上記高温高圧条件の圧力は、上記の温度範囲で液相を維持できるだけの圧力である必要があり、2.8MPa以上、11.3MPa以下であることが望ましい。
なお、溶解工程(a2)において得られるスラリーの濃度は、通常20〜40重量%であり、好ましくは25〜35重量%である。スラリー濃度が高すぎると装置内における閉塞を引き起こし、低すぎると母液量が増え、生産量見合いの設備が大型化してしまう。閉塞防止の観点から、スラリー濃度は一定に保持されることが好ましい。
次に、還元工程(b)として、上記溶解工程(a2)により得られた粗テレフタル酸水溶液C’は、水添反応器12へ送り、触媒存在下において、導入した水素Dにより接触還元させて、還元反応液Eを得る。この触媒と水添反応器12内の条件とは、上記4−カルボキシベンズアルデヒドを還元し、上記テレフタル酸は還元しないものである必要がある。粗テレフタル酸水溶液C’に含まれる上記4−カルボキシベンズアルデヒドを、上記テレフタル酸より水溶性の高いパラトルイル酸に還元するためである。この還元は、出来るだけ高い率で行うことが望ましい。
この水素添加も周知であり、水素添加触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、オスミウムなどの8〜10族(IUPAC無機化学命名法改訂版(1998)による)金属触媒が用いられ、通常、活性炭などの担体に担持して固定床として用いる。これらのなかでも活性炭に担持させたパラジウムが好ましい。水素添加の温度は、通常260〜320℃、好ましくは270〜300℃、水素の分圧は通常0.5〜20kg/cm2Gである。
さらに、晶析工程(c)として、上記還元工程(b)で得られた還元反応液Eを晶析槽13に導入し、上記パラトルイル酸を溶解させたままとなる範囲で温度と圧力とを下げ、上記テレフタル酸を晶析させてスラリーFにする。ここで、晶析槽13を直列に複数段、好ましくは3〜6段設けて、段階的に圧力を下げて冷却(放圧蒸発冷却)し、上記テレフタル酸を晶析させるとより望ましい。図1中では2つの晶析槽13を設けているが、3つ以上であってもよい。最後の晶析槽13である最終晶析槽の温度は、パラトルイル酸がテレフタル酸と共晶しない温度条件にコントロールすればよく、具体的には120℃以上、200℃以下が望ましく、130℃以上、180℃以下であるとより望ましい。この際の圧力は0.20MPa以上、1.56MPa以下であると望ましく、0.27MPa以上、1.00MPa以下であるとより望ましい。これらの条件よりもさらに低温低圧になると、上記テレフタル酸だけではなく、パラトルイル酸も共晶してしまい、得られる高純度テレフタル酸結晶の純度を下げてしまう。一方で、これらの条件よりも高温高圧のままであると、得られるテレフタル酸の晶析量が少なくなり、効率が悪くなる。
その次に分離工程(d)として、上記スラリーFを加圧下で固液分離機に導入し、還元反応母液Gを分離して、高純度の上記テレフタル酸の結晶を含んだ高純度テレフタル酸ケーキを得、さらに、加圧のままこの高純度テレフタル酸ケーキを洗浄する洗浄工程(e)を行う。この際に、上記の固液分離機として、分離工程(d)と洗浄工程(e)とを同時に行うことができる固液分離・洗浄装置17を用いることが好ましい。これにより、一連の工程を簡略化することができる。
上記の固液分離・洗浄装置17のみにより、上記分離工程(d)及び上記洗浄工程(e)を行う際の作業は、以下のようになる。固液分離・洗浄装置17にスラリーFと洗浄液Iとを導入する。洗浄液Iとしては、通常、固液分離・洗浄装置17の操作温度と同じか、それよりも高い温度の水を用いる。スラリーFを固液分離した直後、同一装置内で洗浄液Iにより洗浄することで、洗浄を済ませた高純度テレフタル酸ケーキKを分離して取り出し、還元反応母液Gと、主に洗浄液Iの成分からなる洗浄排液Jとを排出する。
上記の固液分離・洗浄装置17の操作条件は、上記晶析工程(c)の上記最終晶析槽と同等であり、温度は、120℃以上、180℃以下であることが望ましく、130℃以上、170℃以下であるとより望ましく、また圧力については、放圧による温度低下を抑えるために、晶析工程(c)の最終晶析槽の圧力よりも高い圧力であることが必要である。具体的には、晶析工程(c)の最終晶析槽の圧力よりも0〜1MPa高い圧力であることが望ましく、0.2MPa以上、1.0MPa以下であることがより望ましく、0.27MPa以上、0.79MPa以下であるとさらに望ましい。上記最終晶析槽での晶析の後でさらに圧力を下げると、放圧蒸発による冷却が起こり、母液中に溶解している成分の析出が生じて、固液分離・洗浄装置17における分離工程(d)に支障をきたすおそれがある。一方で、必要以上の圧力にすることは、それに耐え得るように機器の増強が必要になってしまう。このように固液分離と洗浄とをまとめて行うことのできる固液分離・洗浄装置17としては、例えばスクリーンボウル型遠心分離機やロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター等が挙げられ、特に好ましくはスクリーンボウル型遠心分離器である。
このようにして得られた高純度テレフタル酸ケーキKを、乾燥工程(f)として乾燥装置18で乾燥させることにより、残留する付着液を除去することで、高純度テレフタル酸結晶Mを得ることができる。乾燥装置18としては、スチームチューブドライヤー、流動相乾燥機等が挙げられる。また、高温高圧である高純度テレフタル酸ケーキKを放圧することによって、このケーキに付着する溶媒成分の少なくとも一部を蒸発させてもよい。上記乾燥装置18としては、回転式乾燥機や流動床式乾燥機等が挙げられ、通気ガスの存在下、水蒸気等の熱源に用いて乾燥出口操作温度が70℃〜180℃で実施される。
一方で、上記の還元反応母液Gにも、上記テレフタル酸や上記パラトルイル酸などの上記有効成分が含まれており、これらを出来るだけ多く回収する必要がある。その方法としては、例えば、単数又は複数の放圧冷却槽に導入して冷却し、還元反応母液Gが含有する上記有効成分を析出させてスラリーとして、これを濾過して二次母液と二次結晶とに分けた上で、二次結晶を、上記ジアルキル芳香族化合物を酸化して上記粗芳香族カルボン酸を生成させる酸化工程に導入し、二次母液を、直接又は間接的にスラリー化槽11で上記水Bの代わりに用いたり、上記の洗浄工程(e)の洗浄液として用いたりするといった方法があげられる。
なお、上記放圧冷却槽とは、導入する液体の圧力よりも低圧にした槽であり、その槽内の圧力における上記液体の主成分の沸点が、導入前の上記液体の温度以下であるようにしたものをいう。この放圧冷却槽に液体を導入すると、液体の一部は蒸発し、液体の残りは変化後の圧力下における沸点まで冷却される。このとき、液体が溶液である場合には、冷却後の溶解度を超えた分の溶質を晶析させる。
さらに洗浄排液J(本発明における「洗浄排液」とは、固液分離して得られたテレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄した後に排出される液を指す)にも、上記有効成分が含まれる。特に、上記の固液分離・洗浄装置17において固液分離と洗浄とをまとめて行うことにより、これを安定的に行うために、洗浄排液Jには溶解していない上記固形分が混入されやすくなる。この固形分の量は、固液分離・洗浄装置17に供給される上記スラリーF中のテレフタル酸結晶の1重量%以上、10重量%以下であることが望ましく、3重量%以上、8重量%以下であるとより望ましい。1重量%未満まで含有量を減らそうとすると、固液分離・洗浄装置17の操作が安定しなくなるおそれがある。一方、10重量%を超えると、所定量の上記高純度テレフタル酸結晶Mを得るための固液分離・洗浄装置17を大型化する必要が生じる。
上記の洗浄排液Jから、回収工程(g)として、上記の有効成分を出来るだけ多く上記固形分として回収する。またこの洗浄排液Jは高温(通常は100℃を超えている)であるため、上記固形分としてだけではなく、溶解している上記有効成分も多い。そこで上記の溶解している有効成分を析出させるために、洗浄排液Jを冷却することが望ましく、100℃以下に冷却するとより望ましい。ただし、洗浄排液Jの凝固点(0℃)以上である必要がある。好ましくは60℃以上、100℃以下である。冷却温度が高すぎると洗浄排液中に溶解しているテレフタル酸を充分回収することができない。また、低すぎると溶解工程(a2)に洗浄排液を再利用する際の予熱にエネルギーを要したり、装置の大型化が必要になったりする。上記の冷却を行う冷却器19は放圧冷却槽を用いて放圧蒸発を行ってもよいし、熱交換により上記冷却を行ってもよい。設備の簡略化の観点から、放圧冷却槽を用いるのが好ましい。100℃未満に冷却するためには、エジェクター等を用いて減圧下に操作すればよい。
上記の冷却により上記有効成分が晶析した回収スラリーNから、上記固形分をサイクロン(遠心沈降器)又はシックナー(沈殿濃縮槽)などの分離器20を用いて回収すると望ましい。これにより回収された回収固形分Oは、上記晶析工程(c)(例えば晶析槽13)若しくは上記分離工程(d)(例えば固液分離・洗浄装置17)、又は上記晶析工程(c)及び分離工程(d)の両方に導入すると望ましい。特に、上記晶析工程(c)の上記晶析槽13が複数の晶析槽からなっている場合、上記最終晶析槽に導入するとより望ましい。
上記の晶析槽13と固液分離・洗浄装置17とは、上記パラトルイル酸が溶解し、上記テレフタル酸が晶析する温度と圧力条件下であるので、得られた上記固形分から上記テレフタル酸を析出させたまま、上記パラトルイル酸を溶解させて還元反応母液Gや洗浄排液Jに同伴させて排出することができる。これにより上記固形分中に含まれる上記テレフタル酸の大部分を高純度テレフタル酸結晶Mとすることができる。
最後に、再使用工程(h)では回収工程(g)で固形分を回収除去した洗浄排液を、溶解工程(a2)のスラリー化槽11に水Bの一部として供給する。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。
(実施例)
[工程(a1)]
パラキシレン、触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガンの酢酸溶液および臭化水素)を含む酢酸溶液、後段の固液分離工程からリサイクルされる分離母液及び、空気を撹拌槽に連続的に供給し、操作温度190℃、操作圧力1.23MPa(絶対圧)で、滞留時間1時間になるように液面を調整しながら酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が2.5vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して酸化反応器に還流し、その一部は反応抜き出しスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるように抜き出した。酸化反応器から抜き出されるスラリーのスラリー濃度は35重量%、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が300/300/1000重量ppmであった。
(実施例)
[工程(a1)]
パラキシレン、触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガンの酢酸溶液および臭化水素)を含む酢酸溶液、後段の固液分離工程からリサイクルされる分離母液及び、空気を撹拌槽に連続的に供給し、操作温度190℃、操作圧力1.23MPa(絶対圧)で、滞留時間1時間になるように液面を調整しながら酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が2.5vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して酸化反応器に還流し、その一部は反応抜き出しスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるように抜き出した。酸化反応器から抜き出されるスラリーのスラリー濃度は35重量%、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が300/300/1000重量ppmであった。
酸化反応器から抜き出されたスラリーは、空気と共に撹拌槽に連続的に供給し、操作温度181℃、操作圧力1.15MPa(絶対圧)で、滞留時間15分になるように液面調整しながら低温追酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が6vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して低温追酸化反応器に還流した。
低温追酸化反応器から抜き出されたスラリーは、90℃まで晶析した後に、この晶析で得られたスラリーをロータリーバキュームフィルターに供給して固液分離と洗浄を行った。ここで操作圧力は大気圧であった。分離された粗テレフタル酸ケーキはスチームロータリードライヤーで乾燥させて粗テレフタル酸結晶を得た。
[工程(a2)〜工程(b)]
得られた粗テレフタル酸を、図1に示す高純度テレフタル酸の製造工程に供与した。まず、溶解工程(a2)のスラリー化槽11において、溶媒として水Bを使用して、粗テレフタル酸を30重量%含む、開始スラリーCを得た。これを上記図1に示す工程において、ポンプ11aとヒーター11bにより290℃、8.54MPaの高温高圧である粗テレフタル酸水溶液C’として還元工程(b)の水添反応器12に送った。水添反応器12では、上記粗テレフタル酸水溶液C’を290℃、8.54MPaにおいて、パラジウム触媒存在下で、水素Dを用いて還元処理を行った。
得られた粗テレフタル酸を、図1に示す高純度テレフタル酸の製造工程に供与した。まず、溶解工程(a2)のスラリー化槽11において、溶媒として水Bを使用して、粗テレフタル酸を30重量%含む、開始スラリーCを得た。これを上記図1に示す工程において、ポンプ11aとヒーター11bにより290℃、8.54MPaの高温高圧である粗テレフタル酸水溶液C’として還元工程(b)の水添反応器12に送った。水添反応器12では、上記粗テレフタル酸水溶液C’を290℃、8.54MPaにおいて、パラジウム触媒存在下で、水素Dを用いて還元処理を行った。
[工程(c)〜工程(f)]
これに続く晶析工程(c)では、5つの晶析槽を直列に接続した晶析槽13を用いて、段階的に放圧蒸発させて、最終的に圧力0.63MPaとし、温度を161℃まで冷却して、テレフタル酸を晶析させた。晶析により得られたスラリーFは、固液分離・洗浄装置17としてスクリーンボウル型遠心分離機を用いて、まず分離工程(d)としてテレフタル酸ケーキと還元反応母液Gとに固液分離し、次いで、洗浄工程(e)として分離された上記テレフタル酸ケーキを洗浄液Iとして水を用いて洗浄処理を行い、高純度テレフタル酸ケーキKを回収した。この固液分離・洗浄装置17の操作条件は、圧力が0.73MPa、温度が161℃であり、洗浄液Iである水の供給温度は161℃であった。また、洗浄液の量は固液分離された上記テレフタル酸ケーキ1重量部に対して、0.8重量部を使用した。
得られた高純度テレフタル酸ケーキKは、常圧まで圧力を下げた後、140℃で乾燥した。
これに続く晶析工程(c)では、5つの晶析槽を直列に接続した晶析槽13を用いて、段階的に放圧蒸発させて、最終的に圧力0.63MPaとし、温度を161℃まで冷却して、テレフタル酸を晶析させた。晶析により得られたスラリーFは、固液分離・洗浄装置17としてスクリーンボウル型遠心分離機を用いて、まず分離工程(d)としてテレフタル酸ケーキと還元反応母液Gとに固液分離し、次いで、洗浄工程(e)として分離された上記テレフタル酸ケーキを洗浄液Iとして水を用いて洗浄処理を行い、高純度テレフタル酸ケーキKを回収した。この固液分離・洗浄装置17の操作条件は、圧力が0.73MPa、温度が161℃であり、洗浄液Iである水の供給温度は161℃であった。また、洗浄液の量は固液分離された上記テレフタル酸ケーキ1重量部に対して、0.8重量部を使用した。
得られた高純度テレフタル酸ケーキKは、常圧まで圧力を下げた後、140℃で乾燥した。
[工程(g)]
ここで、洗浄部から排出される洗浄排液Jには、固液分離・洗浄装置17に供給されるスラリーF中の固形分量の5重量%相当量が目洩れとして含有されており、また、洗浄排液Jには、0.3重量%相当のテレフタル酸が溶解していた。そこで回収工程(g)として上記洗浄排液Jを冷却器19で大気圧に放圧して100℃まで冷却することにより溶解しているテレフタル酸を析出させた後に分離器20を用いて上記洗浄排液Jが含有するテレフタル酸結晶を回収固形分Oとして回収した。
ここで、洗浄部から排出される洗浄排液Jには、固液分離・洗浄装置17に供給されるスラリーF中の固形分量の5重量%相当量が目洩れとして含有されており、また、洗浄排液Jには、0.3重量%相当のテレフタル酸が溶解していた。そこで回収工程(g)として上記洗浄排液Jを冷却器19で大気圧に放圧して100℃まで冷却することにより溶解しているテレフタル酸を析出させた後に分離器20を用いて上記洗浄排液Jが含有するテレフタル酸結晶を回収固形分Oとして回収した。
[工程(h)]
高純度テレフタル酸結晶からなる回収固形分Oは、晶析工程(c)の最終晶析槽に戻し、固形分を回収した後の回収排液Pは、溶解工程(a2)の溶媒として、スラリー化槽11に送った。このように送られた回収固形分Oの量は、スラリー化槽11に供給される粗テレフタル酸量に対して5重量%相当であった。
高純度テレフタル酸結晶からなる回収固形分Oは、晶析工程(c)の最終晶析槽に戻し、固形分を回収した後の回収排液Pは、溶解工程(a2)の溶媒として、スラリー化槽11に送った。このように送られた回収固形分Oの量は、スラリー化槽11に供給される粗テレフタル酸量に対して5重量%相当であった。
(比較例)
洗浄排液Jを回収工程(g)に送らずに、溶解工程(a2)のスラリー化槽11に直接送った以外は実施例と同様に行った。
洗浄排液Jを回収工程(g)に送らずに、溶解工程(a2)のスラリー化槽11に直接送った以外は実施例と同様に行った。
(結果)
実施例の結果、洗浄排液Jが含有する固形分をあらかじめ回収してからスラリー化槽11に戻すことにより、スラリー化槽11に供給されるテレフタル酸の量を5重量%相当削減することができることが明らかとなった。これにより、製造工程内において所定のスラリー濃度を維持する上で、プラント装置の大型化を抑制することができ、コンパクトなサイズの装置を用いることができることが明らかとなった。
実施例の結果、洗浄排液Jが含有する固形分をあらかじめ回収してからスラリー化槽11に戻すことにより、スラリー化槽11に供給されるテレフタル酸の量を5重量%相当削減することができることが明らかとなった。これにより、製造工程内において所定のスラリー濃度を維持する上で、プラント装置の大型化を抑制することができ、コンパクトなサイズの装置を用いることができることが明らかとなった。
一方、比較例の結果、スラリー化槽11の固形分が増大してしまい、各工程で使用するエネルギーが増大した。さらに、固形分が増大したので、各工程を安定的に稼働させるため、増大する固形分にあわせて、使用する装置を大きくする必要があった。
1,11 スラリー化槽
1a,11a ポンプ
1b,11b ヒーター
2,12 水添反応器
3,13 晶析槽
3a,13a ポンプ
4,6 固液分離機
5 洗浄装置
7,17 固液分離・洗浄装置
8,18 乾燥装置
19 冷却器
20 分離器
a,A 粗テレフタル酸
b,B 水
c,C 開始スラリー
c’,C’ 粗テレフタル酸水溶液
d,D 水素
e,E 還元反応液
f,F スラリー
g,G 還元反応母液
h 高純度テレフタル酸ケーキ
i,I 洗浄液
j,J 洗浄排液
k 洗浄ケーキ
K 高純度テレフタル酸ケーキ
m,M 高純度テレフタル酸結晶
N 回収スラリー
O 回収固形分
P 回収排液
1a,11a ポンプ
1b,11b ヒーター
2,12 水添反応器
3,13 晶析槽
3a,13a ポンプ
4,6 固液分離機
5 洗浄装置
7,17 固液分離・洗浄装置
8,18 乾燥装置
19 冷却器
20 分離器
a,A 粗テレフタル酸
b,B 水
c,C 開始スラリー
c’,C’ 粗テレフタル酸水溶液
d,D 水素
e,E 還元反応液
f,F スラリー
g,G 還元反応母液
h 高純度テレフタル酸ケーキ
i,I 洗浄液
j,J 洗浄排液
k 洗浄ケーキ
K 高純度テレフタル酸ケーキ
m,M 高純度テレフタル酸結晶
N 回収スラリー
O 回収固形分
P 回収排液
Claims (10)
- (a1)パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含む粗テレフタル酸を生成する粗テレフタル酸生成工程、
(a2)上記粗テレフタル酸生成工程(a1)で得られた粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液とする溶解工程、
(b)上記粗テレフタル酸水溶液中の上記4−カルボキシベンズアルデヒドを、触媒の存在下で水素により還元してパラトルイル酸とした還元反応液を得る還元工程、
(c)上記の還元反応液を冷却して、上記テレフタル酸の結晶を晶析させて、スラリーとする晶析工程、
(d)上記スラリーから、上記テレフタル酸結晶を主成分とするテレフタル酸ケーキと還元反応母液とを固液分離する分離工程、
(e)上記テレフタル酸ケーキを洗浄液で洗浄する洗浄工程、
(f)上記洗浄工程(e)で洗浄したケーキを乾燥させて高純度テレフタル酸の結晶を得る乾燥工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
(g)上記洗浄工程(e)で洗浄した後の洗浄排液に含まれる固形分を回収して、得られる固形分を上記晶析工程(c)及び/又は上記分離工程(d)に送る回収工程、
(h)上記回収工程(g)で固形分を回収した洗浄排液を、上記溶解工程(a2)の溶媒として使用する再使用工程、
を有する高純度テレフタル酸の製造方法。 - 上記回収工程(g)で回収される固形分は、上記洗浄工程(e)から排出された洗浄排液を冷却することにより得られる固形分である請求項1に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記洗浄工程(e)から排出された上記洗浄排液が100℃を超えており、その洗浄排液を0〜100℃に冷却した後、上記固形分を回収する請求項2に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記洗浄排液を、放圧蒸発により冷却する請求項2又は3に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記回収工程(g)における上記固形分の回収を、サイクロン又はシックナーを用いて行う、請求項1乃至4のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 分離工程(d)が、晶析工程(c)の最終晶析槽の圧力より高い圧力で行われる請求項1乃至5のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 分離工程(d)と洗浄工程(e)とを、一体化した装置を用いて行う請求項1乃至6のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記分離工程(d)及び上記洗浄工程(e)を行う上記の一体化した装置が、スクリーンボウル型遠心分離機、ロータリープレッシャーフィルター、又は水平ベルトフィルターのいずれかである、請求項7に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記洗浄工程(e)から排出される上記洗浄排液に含まれる固形分が、上記分離工程(d)に供給されるスラリー中のテレフタル酸結晶の1〜10重量%である、請求項1乃至8のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記晶析工程(c)が複数段の晶析槽からなるものであり、上記回収工程(g)で回収される上記固形分を、上記複数段の晶析槽のうちの最終晶析槽に送る請求項1乃至9のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005152735A JP2006008673A (ja) | 2004-05-28 | 2005-05-25 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004159897 | 2004-05-28 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006008673A true JP2006008673A (ja) | 2006-01-12 |
Family
ID=35776301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005152735A Pending JP2006008673A (ja) | 2004-05-28 | 2005-05-25 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006008673A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102875366A (zh) * | 2012-10-08 | 2013-01-16 | 李文郁 | 一种加抑制剂高温还原提纯粗对苯二甲酸的方法 |
JP2020182950A (ja) * | 2013-12-31 | 2020-11-12 | ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド | 非乾燥ロータリープレッシャーフィルターを用いる固液分離 |
-
2005
- 2005-05-25 JP JP2005152735A patent/JP2006008673A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102875366A (zh) * | 2012-10-08 | 2013-01-16 | 李文郁 | 一种加抑制剂高温还原提纯粗对苯二甲酸的方法 |
JP2020182950A (ja) * | 2013-12-31 | 2020-11-12 | ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド | 非乾燥ロータリープレッシャーフィルターを用いる固液分離 |
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