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JP2006096720A - アンサ−メタロセン誘導体の製造方法 - Google Patents

アンサ−メタロセン誘導体の製造方法 Download PDF

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JP2006096720A
JP2006096720A JP2004287215A JP2004287215A JP2006096720A JP 2006096720 A JP2006096720 A JP 2006096720A JP 2004287215 A JP2004287215 A JP 2004287215A JP 2004287215 A JP2004287215 A JP 2004287215A JP 2006096720 A JP2006096720 A JP 2006096720A
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JP
Japan
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carbon atoms
hydrocarbon group
zirconium
ansa
titanium
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Application number
JP2004287215A
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English (en)
Inventor
Koichi Mikami
幸一 三上
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Kanto Chemical Co Inc
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Kanto Chemical Co Inc
Tokyo Institute of Technology NUC
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Publication date
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Abstract

【課題】 アンサ−メタロセン誘導体を、高いジアステレオ選択性及び/又は高いエナンチオ選択性で製造することができ、アンサ−メタロセン誘導体を得ることのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の製造方法は、下記一般式(1)で示される、アンサ−メタロセン誘導体の製造方法であって、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体を用いることを特徴とする。
【化1】
Figure 2006096720

【選択図】 なし

Description

本発明は、アンサ−メタロセン誘導体の製造方法に関するものであり、更に詳細には、高いジアステレオ選択性及び/又は高いエナンチオ選択性でアンサ−メタロセン誘導体を製造する方法に関するものである。
アンサ−メタロセン誘導体は、様々な有機反応における触媒として有用であることが知られている。特に、ビス(インデニル)基がエチレン架橋されたC2対称なアンサ−メタロセン誘導体は、例えば、オレフィンの不斉合成、立体選択的な有機合成反応等に用いられる反応剤又は触媒として用いられている。このような研究として、例えば非特許文献1〜非特許文献4に開示されたものが挙げられる。
アンサ−メタロセン誘導体は、通常は化学合成によって得られるが、アンサ−メタロセン誘導体には種々の立体異性体が存在し、化学合成によって種々の立体異性体が得られる。アンサ−メタロセン誘導体は左右対称構造を有するため、理論的にはメソ体とd,l−体(ラセミ体)とが得られ、実際の合成反応においては、選択性はない。
アンサ−メタロセン誘導体は、例えば、オレフィン重合体を得るために用いられるが、オレフィン重合体の立体規則性重合はラセミ体のアンサ−メタロセン誘導体によって実現される。ラセミ体のアンサ−メタロセン誘導体は、メソ体のアンサ−メタロセン誘導体よりもより高い立体規則性を発現し得るため、製造されたアンサ−メタロセン誘導体から、ラセミ体を選択的に単離精製することが要求される。得られたアンサ−メタロセン誘導体からメソ体を単離精製しない場合には、オレフィンの重合工程において触媒性能が低下するという問題がある。
メタロセン化合物の精製方法としては、例えば特許文献1に、アルコール類やアミン類等の極性溶剤を用いてメタロセン混合物を洗浄する方法が開示されている。しかし、該特許文献に開示されている方法を用いても、完全にラセミ体とメソ体とを分離することはできず、更に、ラセミ体を光学活性体に分離することもできず、また、一方で操作が煩雑であるという問題がある。
従って、アンサ−メタロセン誘導体を合成する際に、ラセミ体が主生成物となるような、また光学活性体が主成分となるような方法があれば、煩雑な単離精製を行う必要がなく、このような方法の開発が望まれていた。
特開平9−176178号公報 H. G. Alt; A. Koppl, Chem. Rev. 2000, 100, 1205-1222 R. L. Halterman. Chem. Rev. 1992, 92, 965-994 A. Togni; R. L. Halterman, Eds. Metallocenes, Wiley, New York (1998) Vols. 1 & 2 K. Mikami; Y. Matsumoto; T. Shiono, ibid, pp. 457-680.
本発明の目的は、アンサ−メタロセン誘導体を、高いジアステレオ選択性及び/又は高いエナンチオ選択性で製造することができ、アンサ−メタロセン誘導体を得ることのできる製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体とを用いることにより、上記目的を達成し得るという知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(1)で示される、アンサ−メタロセン誘導体の製造方法であって、
Figure 2006096720
(式中、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい)
下記一般式(2)で示される化合物と、
チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体
とを反応させる工程を含むことを特徴とする、製造方法。
Figure 2006096720
(式中、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。Aは、アルカリ金属である。)
また、本発明は、下記一般式(1)で示される、光学活性アンサ−メタロセン誘導体を提供する。
Figure 2006096720
(式中、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。)
本発明によれば、ラセミ体又は光学活性体アンサ−メタロセン誘導体を主成分とする製造方法が提供される。すなわち、アンサ−メタロセン誘導体を、高いジアステレオ選択性及び/又は高いエナンチオ選択性で製造する方法が提供される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のアンサ−メタロセン誘導体の製造方法は、下記一般式(1)で示される、アンサ−メタロセン誘導体の製造方法であって、
Figure 2006096720
(式中、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい)
下記一般式(2)で示される化合物と、
チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体
とを反応させる工程を含むことを特徴とする。
Figure 2006096720
(式中、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。Aは、アルカリ金属である。)
本発明において得られる、アンサ−メタロセン誘導体は下記一般式(1)で示される。
Figure 2006096720
一般式(1)においては、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。
、R、R及びRの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル機、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられる。また、R、R、R及びRとしては、互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。
上記一般式(1)で示されるアンサ−メタロセン誘導体を製造するにあたり、
下記一般式(2)で示される化合物と、
チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物の複合体(以下、単に「複合体」ともいう)とを反応させる。
Figure 2006096720
一般式(2)においては、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。Aは、アルカリ金属である。
、R、R及びRの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル機、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられる。また、R、R、R及びRとしては、互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。Aの具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。上記の中でも、リチウムが好ましい。
本発明において用いられる、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類は、下記一般式(9)で示され、例えば、ヒドロベンゾインジメチルエーテル等のヒドロベンゾイン誘導体;ビフェノールジメチルエーテル等のビフェノール誘導体;ビナフトールジメチルエーテル等の光学活性ビナフトール誘導体等が挙げられる。
また、本発明において用いられる、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るアミン類としては、第一級、第二級又は第三級アミンが挙げられ、例えば、第一級アミンとしてジアミノビナフチル(DABN)、ジフェニルエチレンジアミン(DPEN )、シクロヘキサン−1,2−ジアミン等が挙げられ、第三級アミンとして、第一級アミンのN,N’−テトラメチル化物等が挙げられる。
Figure 2006096720
上記一般式(9)において、R17、R18、R19、R20、R21、R22及びR23は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のハロゲン含有炭化水素基であり、更に、R17及びR22は、水酸基、又は炭素数1〜11のアルコキシ基であってもよい。更に、R20とR21とは互いに連結して環を形成してもいてもよい、炭素数4〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のスルホキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基であってもよい。sは0〜5である。
上記ビフェノール誘導体としては、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006096720
一般式(3)においては、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基である。また、R及びR10は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、m及びnは1〜4である。
本発明においては、上記一般式(3)において、R及びRがメチル基であり、R及びR10が水素であり、m及びnが4であるビフェノール誘導体が好ましく用いられる。
上記ビナフトール誘導体としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006096720
一般式(4)においては、R11及びR12は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基である。また、R13、R14、R15及びR16は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、o及びrは1又は2であり、p及びqは1〜4である。
本発明においては、上記一般式(4)において、R11及びR12がメチル基であり、R13、R14、R15及びR16が水素であり、o及びrが1であり、p及びqが4であるビフェノール誘導体が好ましく用いられる。
上記一般式(4)で示されるビナフトール誘導体としては、(R)−ビナフトール誘導体と(S)−ビナフトール誘導体とがあり、(R)−ビナフトール誘導体を用いた場合は、生成物として一般式(1)で示される(R,R)体のアンサ−メタロセン誘導体が得られ、(S)−ビナフトール誘導体を用いた場合は、生成物として一般式(1)で示される(S,S)体のアンサ−メタロセン誘導体が得られる。
チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物の複合体は、上記エーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物とを適当な溶媒中で混合することにより得られる。用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゾトリクロリド等が挙げられる。上記複合体を形成させるために用いられる、エーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物の使用割合は特に限定されないが、好ましくは、エーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物を当量用いる。
なお、本発明においては、上記一般式(2)で示される化合物と上記複合体とを反応させるが、上記一般式(2)で示される化合物を適当な溶媒に溶解し、その溶媒中に上記複合体を添加することによって反応を行うことができる。また、上記一般式(2)で示される化合物を溶解した溶媒中に、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物とを添加し、該溶媒中で複合体を形成させてもよい。
上記一般式(2)で示される化合物を溶解し、上記と反応させる溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゾトリクロリド等が挙げられる。
反応の際の、上記一般式(2)で示される化合物の溶媒中の濃度は0.1〜1M程度が好ましい。また、上記複合体の使用量は、上記一般式(2)で示される化合物に対し、0.1〜1倍量程度であることが好ましい。なお、上記複合体は、エーテル類又はアミン類とチタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物とを添加する場合、それぞれが、上記量になるように添加すればよい。
本発明においては、上記一般式(2)で示される化合物の溶液に、上記複合体を滴下して反応を行なうことができる。反応時の温度は−20〜25℃程度が好ましく、−20〜0℃程度が更に好ましい。また、反応は撹拌しながら行ってもよく、この場合の撹拌速度は60rpm〜1000rpm程度が好ましい。
得られた反応生成物(一般式(1)で示されるアンサ−メタロセン誘導体)は、ろ過、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の精製方法により精製することができる。
本発明のアンサ−メタロセン誘導体の製造方法において得られる化合物の具体例としては、例えば、下記式(5)で示される化合物(エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド)が挙げられるが、その他、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロライド、エチレン−ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド等が挙げられる。
Figure 2006096720
また、上記式(5)で示される化合物を還元して得られた下記式(6)で示される化合物も本発明によって得られる、アンサ−メタロセン誘導体に含まれる。
Figure 2006096720
上記式(5)で示されるアンサ−メタロセン誘導体は、下記式(7)で示される化合物(1,2−ビス(3−インデニル)エタン)を、n−ブチルリチウム等で処理して上記一般式(2)で示される化合物を得た後、チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体とを反応させることによって得られる。
Figure 2006096720
上記複合体としては、例えば、下記式(8)で示されるものが挙げられる。
Figure 2006096720
上記式(8)で示される化合物は、以下のように、ビナフトール誘導体を四塩化ジルコニウムと処理することによって得ることができる。
Figure 2006096720
本発明におけるアンサ−メタロセン誘導体は、上記式(7)で示される化合物(1,2−ビス(3−インデニル)エタン)を、n−ブチルリチウム等のアニオン化剤等で処理して上記一般式(2)で示される化合物を得た後、上記式(8)で示される複合体と反応させることによって得ることができる。このようにして得られたアンサ−メタロセン誘導体は、メソ体のものを含んでおらず、全てがラセミ体又は光学活性体のものとなる。
本発明のアンサ−メタロセン誘導体は、上記一般式(1)で示される化合物であり、本発明のアンサ−メタロセン誘導体は、上述した、本発明のアンサ−メタロセン誘導体の製造方法によって得ることができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
実施例1
エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロライドの製造
アルゴン雰囲気下で、20mlのシュレンクフラスコ中に10mlの乾燥テトラヒドロフラン(THF)を加え、THFに1,2−ビス(3−インデニル)エタン(208mg、0.8ミリモル)を溶解した。フラスコ中の溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.4M、ヘキサン中、1.15ml、1.6ミリモル)を加えた。混合物を徐々に室温まで加温し、一晩撹拌した。
次いで、カニューレを用いて、アルゴン雰囲気下で、TiCl(205mg)及びヒドロベンゾインジメチルエーテル(218mg、0.1ミリモル)を滴下し、−78℃に2時間静置し、黄色の溶液を得た。得られた黄色の溶液を室温まで加温し、更に24時間撹拌した。得られた黄色の溶液をアルゴン雰囲気下でろ過し、減圧下に濃縮し、黄色の固体を得た。得られた固体をヘキサン(100ml)で洗浄した。濃縮した後、黒っぽい黄色の固体が得られた。30mlの乾燥CHCl中で得られた固体及びPtO (20mg、0.088ミリモル)を、撹拌反応器中で8時間かけて水素化した。得られた黄色の懸濁液をCH2Cl2(50ml)で希釈し、セライトでろ過し、減圧下濃縮し、黄色の粉末の生成物(エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、式(5)で示される化合物)を得た(収率:10%)。
得られた化合物の構造決定はH−NMR、CD−HPLCで行った。得られた化合物の性状は以下の通りである。
1HNMR( 300MHz, benzene): 6.32(d, J= 3Hz, 2H), 5.23 (d, J=3Hz, 2H), 3.14-3.07 (m, 4H), 2.41(t, J=6.3Hz, 2H), 2,39-2.29 (m, 2H), 2.14-2.06 (m, 4H), 1.92-1.81(m, 4H), 1.32-1.27(m, 4H).
また、得られた化合物について、ビフェノキシド又はビナフトキシド等へ誘導化し、CD−HPLC分析を行った。分析の結果、ラセミ体/メソ体の比率は、ラセミ体が全体の95%以上であった。CD−HPLC分析の条件は以下の通りである。
使用機器:JASCO(株)製
使用カラム:キラルセルOD−H(25×0.46(id)cm(ダイセル化学工業(株)製)
溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(85/15(v/v))
流速:1.0ml/分
温度:25℃
検出:UV 254nm、CD250nm
実施例2
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、ビフェノールジメチルエーテル(193mg、0.9ミリモル)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は10%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、ラセミ体/メソ体の比率は、ラセミ体が全体の95%以上であった。
実施例3
TiClに代え、TiCl(136mg)を用いた以外は、実施例2と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は46%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、得られた化合物は全てラセミ体であった。
比較例1
ヒドロベンゾインジメチルエーテルを用いなかった以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は22%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、ラセミ体/メソ体の比率は、1/2〜10(モル比)であった。
比較例2
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、テトラヒドロフラン(10ml)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は42%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、ラセミ体メソ体の比率は、80/20(モル比)であった。
比較例3
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン(10ml)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は31%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、ラセミ体/メソ体の比率は、77/23(モル比)であった。
上述の結果より、実施例1〜3においては、生成物のほとんどがラセミ体として得られることがわかった。
実施例4
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、(S)−ビナフトールジメチルエーテル)(283mg、0.9ミリモル)を用い、TiClに代え、TiCl(136mg)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は52%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、43%e.e.で(S,S)体が得られた。
実施例5
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、(R)−ビナフトールジメチルエーテル(283mg、0.9ミリモル)を用い、TiClに代え、ZrCr(205mg)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は38%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、エナンチオ過剰率が95%であった。また、得られた化合物は、(R,R)−エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドであった。
実施例6
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、(S)−ビナフトールジメチルエーテル(283mg、0.9ミリモル)を用い、TiClに代え、ZrCr(205mg)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は39%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、エナンチオ過剰率が96%であった。また、得られた化合物は、(S,S)−エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドであった。
実施例7
ヒドロベンゾインジメチルエーテルに代え、(S)−ビナフトールジベンジルエーテル(428mg、0.9ミリモル)を用い、TiClに代え、ZrCr(205 mg)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを得た。収率は27%であり、得られた化合物について、実施例1と同様にCD−HPLC分析を行った結果、エナンチオ過剰率が78%であった。また、得られた化合物は、(S,S)−エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドであった。
実施例5〜7の結果より明らかなように、本発明の製造方法により、アンサ−メタロセン誘導体をエナンチオ選択的に合成することが可能であることがわかった。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される、アンサ−メタロセン誘導体の製造方法であって、
    Figure 2006096720
    (式中、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい)
    下記一般式(2)で示される化合物と、
    チタン、ジルコニウム又はハフニウム原子と複合体を形成し得るエーテル類又はアミン類と、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのハロゲン化物との複合体
    とを反応させる工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
    Figure 2006096720
    (式中、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。Aは、アルカリ金属である。)
  2. 上記エーテル類が、ビフェノール誘導体、又はビナフトール誘導体である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記ビフェノール誘導体が、下記一般式(3)で示される、請求項2に記載の製造方法。
    Figure 2006096720
    (式中、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、R及びR10は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、m及びnは1〜4である。)
  4. 上記ビナフトール誘導体が、下記一般式(4)で示される、請求項2に記載の製造方法。
    Figure 2006096720
    (式中、R11及びR12は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、R13、R14、R15及びR16は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基であり、o及びrは1又は2であり、p及びqが1〜4である。)
  5. 下記一般式(1)で示される、光学活性アンサ−メタロセン誘導体。
    Figure 2006096720
    (式中、R及びRはハロゲン原子であり、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子であり、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12の含酸素有機基であり、又はR、R、R及びRは互いに結合しあって脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。)
  6. Mがチタン又はジルコニウムであり、R及びRが塩素原子であり、R及びRが互いに結合してベンゼン環を形成している、請求項5に記載の光学活性アンサ−メタロセン誘導体。
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