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JP2006095455A - 塗布液の塗布方法及び装置 - Google Patents

塗布液の塗布方法及び装置 Download PDF

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JP2006095455A JP2004286026A JP2004286026A JP2006095455A JP 2006095455 A JP2006095455 A JP 2006095455A JP 2004286026 A JP2004286026 A JP 2004286026A JP 2004286026 A JP2004286026 A JP 2004286026A JP 2006095455 A JP2006095455 A JP 2006095455A
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和彦 能條
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Abstract

【課題】低粘度・超薄膜塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい。
【解決手段】バックアップローラ12に巻きがけ支持されて連続走行するウエブ14表面に、塗布ヘッド18のリップ先端18Aから塗布液を液架橋させてウエブ14との間にビード20を形成し、該ビード20を介してウエブ表面に塗布液を塗布する塗布方法において、バックアップローラ12の回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受28のうちの少なくとも一方を、鉛直方向(X軸方向)及び/又は水平方向(Y軸方向)に移動することにより、リップ先端18Aに対してバックアップローラ12を位置決め微調整する。
【選択図】 図3

Description

本発明は塗布液の塗布方法に係り、特に反射防止、防眩性、視野角拡大の何れかの高機能性薄層フィルムを製造するための低粘度・超薄膜塗布技術に関する。
スロットダイコータやスライドダイコータのような塗布装置は、バックアップローラに巻きがけ支持されて連続走行するウエブ表面に、塗布ヘッドのリップ先端から塗布液を液架橋させてウエブとの間にビードを形成し、該ビードを介してウエブ表面に塗布液を塗布する。かかる塗布装置においては、ウエブ幅方向において均一な膜厚の塗布を行う上で、リップ先端とバックアップローラに巻きがけ支持されるウエブとのクリアランスをウエブ幅方向で均一に設定することが極めて重要である。
クリアランスを均一に調整する方法としては、特許文献1にみられるように、塗布ヘッドの架台の位置を微調整することが提案されている。これにより、塗布ヘッドを洗浄ゾーンから運んできて、新たに設置する際に、塗布ヘッドのリップ先端とバックアップローラとができるだけ平行になるように塗布ヘッドを位置決めするものである。また、特許文献2では、塗布ヘッドや架台は重量物であり、重量物をバックアップローラに対して急速に接近・退避させて、100μm程度の極めて小さなクリアランスに調整することには限界があることから、バックアップローラを塗布ヘッドに対して接近・退避させることが提案されている。
ところで、液晶表示装置等に使用される反射防止、防眩性、視野角拡大等の高機能性薄層フィルムの製造は、これらの機能を有する塗布液をウエブに塗布することにより製造される。そして、近年は、高機能性薄層フィルムに所望の機能を高精度に発現させるために、従来の塗布液に比べて低粘度(例えば10mPa・s以下)で、超薄膜(例えば塗布量10cc/m2 以下)で塗布することが要求されている。かかる、低粘度・超薄膜塗布の場合には、塗布した後の塗布液のレベリング効果が期待できにくいことから、塗布時においてウエブ幅方向において如何に均一な塗布を行えるかが重要になる。一般的に高機能性薄層フィルムの場合、ウエブ幅方向の膜厚分布5%以下が要求される。
特開2003−33710号公報 特開昭63−80872号公報
しかしながら、塗布液が塗布される数千メートルと長いウエブは、必ずしも平坦なものではなく、ウエブ幅方向の左右で厚み分布がある。また、ウエブはロール状に巻かれて保管されていることからウエブ幅方向の左右で伸びに差があることが多く、バックアップローラに支持された状態においてウエブ幅方向のテンションが異なることが多い。更には、塗布液の種類、ロット、塗布速度等によっても塗布状況が微妙に変化することがあり、特許文献1や特許文献2だけでは、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができないと共に、クリアランスの微調整が高精度に行われないとスジ故障が発生することがある。
このように、塗布ヘッドを洗浄ゾーンから運んできて新たに設置する場合における組み立て精度や熱歪みによる再現性の問題、塗布ヘッドや架台は重量物であり極めて小さなクリアランスを形成する作業には高精度な熟練を必要とする問題、更にはウエブ自体の厚み分布等による問題を解決するには、水平方向と鉛直方法の高精度な再現性を備えた位置決め制御を必要とするが、従来技術では達成することができない。
特に、上記した高機能性薄層フィルムのように、塗布ヘッドのリップ先端とバックアップローラに巻きがけ支持されるウエブとのクリアランスを100μm以下に狭くして、低粘度・超薄膜塗布を行うと、ウエブ幅方向の膜厚分布、スジ故障の発生、塗り付け不良が発生しやすく、従来の技術だけでは、これらの欠点を解消することは難しい。例えば、ウエブ幅方向のクリアランス分布が10%あると、ウエブ幅方向の膜厚分布は5%以上になり、高機能性薄層フィルムの要求を満足できない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バックアップローラの水平方向と鉛直方法の高精度な再現性を備えた位置決め制御が可能なので、低粘度・超薄膜塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい塗布液の塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、バックアップローラに巻きがけ支持されて連続走行するウエブ表面に、塗布ヘッドのリップ先端から塗布液を液架橋させて前記ウエブとの間にビードを形成し、該ビードを介して前記ウエブ表面に塗布液を塗布する塗布液の塗布方法において、前記バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受のうちの少なくとも一方を、鉛直方向(X軸方向)及び/又は水平方向(Y軸方向)に移動することにより、前記リップ先端に対して前記バックアップローラを位置決め微調整することを特徴とする。
ウエブ幅方向左右におけるウエブ厚みの分布、ウエブ幅方向左右での伸びの違い、更には塗布液の種類、ロット、塗布速度等の多様な塗布状況に対応してウエブ幅方向の塗布厚みを均一化するには、従来のように塗布ヘッド又はバックアップローラを互いに接近・退避させる、いわゆる水平方向のみの調整では対応することができず、バックアップローラ両端個々において水平・鉛直方向に微妙な微調整が必要である。
本発明の請求項1によれば、バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受のうちの少なくとも一方を、鉛直方向(X軸方向)及び/又は水平方向(Y軸方向)に移動することにより、リップ先端に対してバックアップローラを位置決め微調整するようにしたので、バックアップローラ両端個々において水平・鉛直方向に微妙な微調整が可能となる。これにより、水平方向と鉛直方法の高精度な再現性を備えた位置決め制御が可能なので、ウエブ幅方向左右におけるウエブ厚みの分布、ウエブ幅方向左右での伸びの違い、更には塗布液の種類、ロット、塗布速度等の多様な塗布状況があっても、塗布ヘッドのリップ先端と、バックアップローラに巻き付け支持されたウエブとのウエブ幅方向の平行度を高精度に微調整することができる。従って、ウエブ幅方向の塗布厚みを均一化ができる。
請求項2は請求項1において、前記ウエブに塗布液を塗布しながら前記バックアップローラの位置決め微調整を行うことを特徴とする。
本発明は、バックアップローラの軸受を微量移動させる方法であり、従来のように塗布ヘッド全体やバックアップローラ全体を移動する方法ではないので、ウエブに塗布液を塗布しながらバックアップローラの位置決め微調整が可能になる。これにより、ウエブに塗布された塗布膜面の面質状態をモニタリングしながらバックアップローラの位置決め微調整が可能なので、ウエブ幅方向左右におけるウエブ厚みの分布、ウエブ幅方向左右での伸びの違い、更には塗布液の種類、ロット、塗布速度等の多様な塗布状況に対応し易い。尚、請求項2では、ウエブに塗布液を塗布しながらバックアップローラの位置決め微調整を行うことを特徴としたが、本発明は塗布せずに運転を停止した状態でもバックアップローラの位置決め微調整ができることは当然である。
請求項3は請求項1又は2において、前記リップ先端と前記バックアップローラとのクリアランスが100μm以下であると共に、粘度が10mPa・s以下の塗布液を10cc/m2 以下の塗布量で塗布することを特徴とする。
このように、100μm以下のクリアランス、10mPa・s以下の塗布液粘度、10cc/m2 以下の塗布量で低粘度・超薄膜塗布する場合に本発明はより有効だからである。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記塗布ヘッドのリップ先端とバックアップローラに巻きがけ支持されるウエブとのウエブ幅方向におけるクリアランス分布が10%以下になるようにして微調整することを特徴とする。
これは、ウエブ幅方向におけるクリアランス分布が10%あるとウエブ幅方向の膜厚分布は5%以上になり、高機能性薄層フィルムの要求を満足できないからである。
請求項5は前記目的を達成するために、バックアップローラに巻きがけ支持されて連続走行するウエブ表面に、塗布ヘッドのリップ先端から塗布液を液架橋させて前記ウエブとの間にビードを形成し、該ビードを介して前記ウエブ表面に塗布液を塗布する塗布液の塗布装置において、前記バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受は、前記バックアップローラの軸芯に対して直交する鉛直面上における鉛直方向(X軸方向)及び水平方向(Y軸方向)に移動可能なX−Yテーブルを介して支柱にそれぞれ支持されていることを特徴とする。
請求項5によれば、バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受は、バックアップローラの軸芯に対して直交する鉛直面上における鉛直方向(X軸方向)及び水平方向(Y軸方向)に移動可能なX−Yテーブルを介して支柱にそれぞれ支持されている。これにより、バックアップローラを塗布ヘッドのリップ先端に対して鉛直方向(X軸方向)・水平方向(Y軸方向)させることができ、リップ先端と、バックアップローラに巻き付け支持されたウエブとのウエブ幅方向の平行度を高精度に微調整することができる。従って、リップ先端と、バックアップローラに巻き付け支持されたウエブとの間に形成されるウエブ幅方向のクリアランス分布を極めて小さくすることができるので、低粘度(例えば10mPa・s以下)・超薄膜(例えばウエット膜厚で10μm以下)塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい。
請求項6は請求項5において、前記塗布ヘッドは、スロットダイ又はスライドダイであることを特徴とする。請求項6は、本発明を適用する代表的な塗布装置を挙げたものである。
請求項7は請求項5又は6において、前記支柱が前記塗布ヘッドのリップ先端に接近・退避可能な移動台の上に支持されていることを特徴とする。
これは、塗布ヘッドに対してバックアップローラを目標の位置にラフに位置決めしておいてから、X−Yテーブルで微調整する方が効率的だからである。
請求項8は前記目的を達成するために、請求項1〜4の何れか1の塗布液の塗布方法を使用して、反射防止、防眩性、視野角拡大の何れかの高機能性薄層フィルムを製造することを特徴とする。
本発明の塗布装置を使用した塗布方法は、反射防止、防眩性、視野角拡大の何れかの高機能性薄層フィルムを製造する際の塗布方法として、特に有効だからである。
本発明の塗布液の塗布方法及び装置によれば、バックアップローラの水平方向と鉛直方法の高精度な再現性を備えた位置決め制御が可能なので、低粘度・超薄膜塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい。従って、液晶表示装置等に使用される反射防止、防眩性、視野角拡大等の高機能性薄層フィルムを製造する際の塗布方法として好適である。
以下添付図面に従って本発明に係る塗布液の塗布方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の塗布液の塗布装置でスロットダイ方式の塗布ヘッドの場合の構成図であり、図2はX−Yテーブルを備えたバックアップローラ装置を示すものである。尚、本実施の形態では、スロットダイ方式の塗布ヘッドの例で説明するが、これに限定されるものではなく、塗布ヘッドとバックアップローラとの間に形成した塗布液のビードを介して塗布する塗布装置であれば適用できる。
図1及び図2に示すように、塗布装置10は、バックアップローラ12に支持されて連続走行するウエブ14表面に、リップランド16を近接配置させた塗布ヘッド18のリップ先端18Aから塗布液を吐出してウエブ14との間に液架橋してビード20を形成する。そして、このビード20を介して塗布液を連続走行するウエブ14に塗布する。この場合、ビード20のウエブ上流側を減圧する減圧チャンバ(図示せず)を設けることが好ましい。これにより、ビードを安定させることができる。
塗布ヘッド18は架台19に搭載されると共に、塗布ヘッド18の内部には、マニホールド22とスロット24とが形成される。マニホールド22は、塗布ヘッド18に供給された塗布液をウエブ幅方向(塗布幅方向)に拡流する液溜め部であり、その断面が略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。マニホールド22への塗布液の供給は、マニホールド22の一端側から供給しても、マニホールド22の中央部から供給してもよく、マニホールド22の両端部には塗布液が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット24は、マニホールド22からスロット先端の開口24Aに至る狭隘な塗布液の流路であり、スロット24の両端部には、塗布幅を規制する塗布幅規制板が挿入されることが一般的である。スロット24の開口24Aが位置する塗布ヘッド18のリップ先端18Aは先細り状に形成されており、その先端はリップランド16と呼ばれる平坦部が形成される。
一方、バックアップローラ装置11は、主として、バックアップローラ12の回転軸26両端を回転自在に支持する一対の軸受28と、一対の軸受28、28をバックアップローラ12の軸芯30に対して直交する鉛直面上における鉛直方向(X軸方向)及び水平方向(Y軸方向)に移動可能な一対のX−Yテーブル32、32と、一対のX−Yテーブル32、32を支持する一対の支柱34、34と、該支柱34、34を搭載して、塗布ヘッド18に対して進退移動する移動機構36とで構成される。
移動機構36は、基台38の上に一対の軌道レール40、40が平行に配設され、この軌道レール40の上にリニアベアリング42を介して移動台44がスライド自在に支持され、この移動台44の上に支柱34が立設される。また、移動台44の中央下面側には、ナット部材46が固定されると共に、このナット部材46にボールネジ48が螺合される。そして、ボールネジ48の一端が正逆回転可能なモータ50の回転軸に連結される。これにより、モータ50を正駆動するとバックアップローラ12が塗布ヘッド18側に接近移動し、モータ50を逆駆動するとバックアップローラ12が塗布ヘッド18から離れる方向に退避移動する。この移動機構36では、塗布ヘッド18のリップ先端18Aとバックアップローラ12に巻きがけ支持されたウエブ14とのクリアランスL(図3参照)をラフに調整する役目を行う。
X−Yテーブル32は、図3に示すように、支柱34には、鉛直方向(X軸方向)に平行な一対のX軸軌道レール52、52が設けられ、このX軸軌道レール52にリニアベアリング(図示せず)を介してX軸スライダ54がスライド自在に支持される。このX軸スライダ54の下側には、支柱34に支持されると共にX軸スライダ54をスライドさせるX軸アクチュエータ56が設けられる。更に、X軸スライダ54には、水平方向(Y軸方向)に平行な一対のY軸軌道レール58、58が設けられ、このY軸軌道レール58にリニアベアリング(図示せず)を介して軸受28が支持される。この軸受28の塗布ヘッド反対側には、X軸スライダ54に支持されると共に軸受28をスライドさせるY軸アクチュエータ60が設けられる。これにより、X軸アクチュエータ56を駆動すると、軸受28は鉛直方向に微調整され、Y軸アクチュエータ60を駆動すると、軸受28が水平方向に微調整される。
従って、一対のX−Yテーブル32のX軸アクチュエータ56及びY軸アクチュエータ60のスライド量を色々変えることにより、塗布ヘッド18のリップ先端18Aと、バックアップローラ12に巻きがけ支持されたウエブ14とのウエブ幅方向の平行度を高精度に微調整することができる。更には、リップ先端18Aのバックアップローラ12に対する位置である塗布点の微調整も高精度に行うことができる。これにより、リップ先端18Aと、バックアップローラ12に巻きがけ支持されたウエブ14との間に形成されるウエブ幅方向のクリアランスLの分布を極めて小さくすることができるので、低粘度(例えば10mPa・s以下)・超薄膜(例えば塗布量10cc/m2 以下)塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい。
また、塗布前に、リップ先端18Aと、バックアップローラ12に巻きがけ支持されたウエブ14とのウエブ幅方向の平行度を高精度に微調整することができるだけでなく、塗布運転中に、ウエブ14に塗布される塗布膜の膜面状態を見ながら一対のX−Yテーブル32で微調整することも可能である。
この場合、鉛直方向(X軸方向)・水平方向(Y軸方向)には、それぞれ1μmの精度で100μmのストローク幅、好ましくは200μmのストローク幅で移動可能なことが好ましい。従って、X軸アクチュエータ56及びY軸アクチュエータ60としては、圧電素子、電歪素子のような微動アクチュエータを、複数多段に設けたものを使用することが好ましい。
次に、上記の如く構成された塗布装置10を用いた本発明の塗布方法の一例について説明する。
例えば、塗布ヘッド18のリップ先端18Aとバックアップローラ12に巻きがけ支持されるウエブ14とのクリアランスLを例えば100μmで塗布する場合、先ず移動機構36により、クリアランスLが100μm程度になるようにバックアップローラ12を移動させる。
次に、X−Yテーブル32のX軸アクチュエータ及び/又はY軸アクチュエータを駆動して、バックアップローラ12を回転自在に支持する少なくとも一方の軸受32を鉛直方向(X軸方向)及び/又は水平方向(Y軸方向)に移動して微調整し、ウエブ幅方向のクリアランスLが100μmで均等になるようにする。クリアランスLが100μmで均等になっているか否かは、例えばレーザー測定計、あるいは楔状のテーパゲージを使用して確認することができる。
X−Yテーブル32による微調整が終了したら塗布運転を開始する。そして、塗布運転継続中に塗布膜面の面質をモニタリングし、面質が悪化するような場合には、塗布運転を継続したまま、X−Yテーブル32を微調整し、面質を回復させる。
従来のように架台19を含む塗布ヘッド18全体やバックアップローラ12全体のように重量物を塗布運転中に移動させて微調整をしようとすると移動による慣性力が大きいためにバックアップローラと塗布ヘッドとが衝突して破損する危険がある。しかし、本発明の場合には、X−Yテーブル32でバックアップローラ12の軸受28を移動させて微調整するので、慣性力でバックアップローラ12と塗布ヘッド18とが衝突して破損する危険もなく、塗布運転中であっても高精度な微調整が可能である。
これにより、低粘度(例えば10mPa・s以下)・超薄膜(例えば塗布量10cc/m2 以下)塗布の場合であっても、ウエブ幅方向に均一塗布を行うことができると共に、スジ故障等も発生しにくい。更には、ウエブ幅方向左右におけるウエブ厚みの分布、ウエブ幅方向左右での伸びの違い、更には塗布液の種類、ロット、塗布速度等の多様な塗布状況があっても、塗布ヘッドのリップ先端と、バックアップローラに巻き付け支持されたウエブとのウエブ幅方向の平行度を高精度に微調整することができる。従って、液晶表示装置等に使用される反射防止、防眩性、視野角拡大等の高機能性薄層フィルムを製造する際の塗布方法として好適である。
尚、本発明の実施では、スロットダイ方式の塗布ヘッド18の例で説明したが、スライドダイ方式の塗布ヘッドでもよい。スライドダイ方式の塗布ヘッドとは、塗布ヘッドのスロットからスライド面に吐出した塗布液をスライド面を流下させ、バックアップローラに巻きがけ支持されているウエブにスライド面先端から塗布する方式である。
以下、本発明の実施例を説明するが、これに限定されるものではない。
試験は、塗布ヘッド18のリップ先端18Aに対してバックアップローラ12に巻きがけ支持されたウエブ14のウエブ幅方向の平行度をX−Yテーブルで微調整することにより、ウエブ幅方向の塗布量分布がどのように改善されるかを調べた。比較例としては、X−Yテーブルで微調整しないで塗布する場合である。
[実施例1]
実施例1における塗布液の組成及び塗布条件は表1の通りである。
Figure 2006095455
(試験結果)
X−Yテーブル32を微調整しない比較例1では、ウエブ幅方向の一端側と他端側との塗布量差が10%あった。実施例1では比較例1での運転を一旦停止した後、一対のX−Yテーブル32のうちの一方のX−Yテーブル32のY軸アクチュエータ60を駆動して軸受28を水平方向に20μm微調整してバックアップローラ12の水平位置を位置決めし直した後に塗布を再開した。その結果、ウエブ幅方向の一端側と他端側との塗布量差が3%まで良化した。
[実施例2]
実施例2における塗布液の組成及び塗布条件は表2の通りである。
Figure 2006095455
(試験結果)
X−Yテーブルを微調整しない比較例2では、ウエブ幅方向の一端側が液切れを起こして塗り付け不良が生じた。実施例2では比較例2の運転を継続しながら、一対のX−Yテーブル32のうちの一方のX−Yテーブル32のY軸アクチュエータ60を駆動して軸受28を水平方向に20μm微調整し、更にX軸アクチュエータ56を駆動して軸受28を鉛直方向に35μm微調整したところで液切れが停止し、その後安定塗布することができた。このように、本発明は、塗布装置を運転しながらでも塗布ヘッドのリップ先端に対するバックアップローラの位置決め微調整を行うことができる。従って、塗布膜面の面質状態をモニタリングしながらX−Yテーブルを駆動することで、最適な面質状態にすることができる。
[実施例3]
実施例3における塗布液の組成及び塗布条件は表3の通りである。
Figure 2006095455
(試験結果)
X−Yテーブル32を微調整しない比較例3では、ウエブ14への塗布液の塗り付けが不安定で、ウエブ幅方向の全幅に渡ってビード20が切れてしまうことが度々生じた。実施例3では比較例3の運転を継続しながら、両方のX−Yテーブル32のX軸アクチュエータ56を駆動して、両方の軸受28を同じ85μmだけ鉛直方向下方にスライドさせたところ、良好な塗り付けを開始し、その後安定塗布することができた。
尚、本実施例2及び3では、塗布運転中にバックアップローラの微調整を行う例で示したが、塗布せずに運転を停止した状態でもバックアップローラの位置決め微調整ができることは当然である。
本発明の塗布液の塗布装置であって、塗布ヘッドとしてスロットダイ方式を使用した場合の全体構成図 バックアップローラ装置を説明する説明図 X−Yテーブルを説明する説明図
符号の説明
10…塗布装置、11…バックアップローラ装置、12…バックアップローラ、14…ウエブ、16…リップランド、18…スロットダイ方式の塗布ヘッド、20…ビード、22…マニホールド、24…スロット、26…回転軸、28…軸受、30…バックアップローラの軸芯、32…X−Yテーブル、34…支柱、36…移動機構、38…基台、40…軌道レール、42…リニアベリング、44…移動台、46…ナット部材、48…ボールネジ、50…モータ、52…X軸軌道レール、54…X軸スライダ、56…X軸アクチュエータ、58…Y軸軌道レール、60…Y軸アクチュエータ

Claims (8)

  1. バックアップローラに巻きがけ支持されて連続走行するウエブ表面に、塗布ヘッドのリップ先端から塗布液を液架橋させて前記ウエブとの間にビードを形成し、該ビードを介して前記ウエブ表面に塗布液を塗布する塗布液の塗布方法において、
    前記バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受のうちの少なくとも一方を、鉛直方向(X軸方向)及び/又は水平方向(Y軸方向)に移動することにより、前記リップ先端に対して前記バックアップローラを位置決め微調整することを特徴とする塗布液の塗布方法。
  2. 前記ウエブに塗布液を塗布しながら前記バックアップローラの位置決め微調整を行うことを特徴とする請求項1の塗布液の塗布方法。
  3. 前記リップ先端と前記バックアップローラとのクリアランスが100μm以下であると共に、粘度が10mPa・s以下の塗布液を10cc/m2 以下の塗布量で塗布することを特徴とする請求項1又は2の塗布液の塗布方法。
  4. 前記塗布ヘッドのリップ先端とバックアップローラに巻きがけ支持されるウエブとのウエブ幅方向におけるクリアランス分布が10%以下になるようにして微調整することを特徴とする請求項1〜3の何れか1の塗布液の塗布方法。
  5. バックアップローラに巻きがけ支持されて連続走行するウエブ表面に、塗布ヘッドのリップ先端から塗布液を液架橋させて前記ウエブとの間にビードを形成し、該ビードを介して前記ウエブ表面に塗布液を塗布する塗布液の塗布装置において、
    前記バックアップローラの回転軸両端を回転自在に支持する一対の軸受は、前記バックアップローラの軸芯に対して直交する鉛直面上における鉛直方向(X軸方向)及び水平方向(Y軸方向)に移動可能なX−Yテーブルを介して支柱にそれぞれ支持されていることを特徴とする塗布液の塗布装置。
  6. 前記塗布ヘッドは、スロットダイ又はスライドダイであることを特徴とする請求項5の塗布液の塗布装置。
  7. 前記支柱が前記塗布ヘッドのリップ先端に接近・退避可能な移動台の上に支持されていることを特徴とする請求項5又は6の塗布液の塗布装置。
  8. 請求項1〜4の何れか1の塗布液の塗布方法を使用して、反射防止、防眩性、視野角拡大の何れかの高機能性薄層フィルムを製造することを特徴とする高機能性薄層フィルムの製造方法。
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