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JP2006079880A - 燃料電池システム - Google Patents

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JP2006079880A
JP2006079880A JP2004260714A JP2004260714A JP2006079880A JP 2006079880 A JP2006079880 A JP 2006079880A JP 2004260714 A JP2004260714 A JP 2004260714A JP 2004260714 A JP2004260714 A JP 2004260714A JP 2006079880 A JP2006079880 A JP 2006079880A
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Masato Odajima
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】各燃料電池セルへの冷却媒体の入口周辺及び出口周辺の冷却効率を均一化し、各燃料電池セルの電極面内の温度差を小さくすることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池セル10を狭持して、その両端に配置したエンドプレート13i、13oと、該エンドプレートの狭持方向に、燃料電池セル10を貫通して冷却媒体を流す貫通路103、104と、、該貫通路間を接続する冷却媒体流路105と、エンドプレート13iに設けた該貫通路の供給口18B、18A、及び、エンドプレート13oに設けた該貫通路の排出口19A、19Bと、供給口18A、18B又は排出口19A、19Bにおけるそれぞれの冷却媒体の流通又は遮断を選択する冷媒流通選択手段4A、4B、5A、5Bと、燃料電池セル10の発電負荷に基づいて該冷媒流通選択手段を制御して、冷却媒体流路105の冷却媒体の流通方向を切り替える流通制御手段9と、を備える燃料電池システム。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。特に、固体高分子型燃料電池スタックにおける冷却媒体流路の構造に関する。
従来の固体高分子型燃料電池として、以下のようなものが知られている。
第1マニホールド板、第1面圧発生板、セパレータ本体、第2面圧発生板、第2マニホールド板、第1ガスケット、固体高分子電解質膜、第2ガスケットのそれぞれ上方から別異の経路で燃料ガスと酸化剤ガスとを供給する。一方、前記とは逆に、下方から冷却水を供給する。この冷却水はセパレータ本体内で下方から上方へと上昇し、このような冷却水の流れによって燃料電池セルの温度分布を少なくする(例えば、特許文献1、参照。)。
また、燃料電池の内部に、燃料電池セルの冷却に使用された冷却水を該燃料電池セルの発電機能部の両側に、かつ、その積層方向に沿って巡回させる巡回通路が設けられる。そして、燃料電池の両端には、冷却水の流れ方向を転換させるための第1及び第2エンドプレートが、第1及び第2剛性板を介して配設される。この第1及び第2エンドプレートよって、発電機能部で熱交換が行われて温度が高くなった冷却水が、流れ方向を転換して発電機能部の外方へ流れ、発電機能部の中央部と該発電機能部の外方端部との温度差を小さくする(例えば、特許文献2、参照。)。
国際公開第96/37920号パンフレット 特開平10−64575号公報
しかしながら、上記背景技術では、各単位燃料電池セルの電極面内で一定の方向へ冷却媒体が流れるのみであるため、定常状態では、最も冷却効率のよい冷却媒体の供給口(入口)周辺と、最も冷却効率の悪い冷却媒体の排出口(出口)周辺とで温度差が生じるといった問題があった。
そこで本発明は、各単位燃料電池セルへの冷却媒体の入口周辺及び出口周辺の冷却効率を均一化し、各単位燃料電池セルの電極面内の温度差を小さくすることができる燃料電池システムの提供を目的とする。
本発明は、燃料電池セルを狭持して、その両端に配置したエンドプレートと、前記エンドプレートの狭持方向に、前記燃料電池セルを貫通して冷却媒体を流す複数の貫通路と、前記燃料電池セルに設けられ、前記各貫通路間を接続する冷却媒体流路と、前記エンドプレートの一方に設けた前記貫通路の供給口、及び、前記エンドプレートのもう一方に設けた前記各貫通路の排出口と、前記供給口又は前記排出口におけるそれぞれの冷却媒体の流通又は遮断を選択する冷媒流通選択手段と、前記燃料電池セルの発電負荷に基づいて前記冷媒流通選択手段を制御して、前記冷却媒体流路の冷却媒体の流通方向を切り替える流通制御手段と、を備える。
燃料電池セルの出力の変化量に応じて冷却媒体の流路を切り替える。これにより、各単位燃料電池セルの電極面内における冷却媒体の入口周辺及び出口周辺の冷却効率が均一化し、各単位燃料電池セルの電極面内の温度差を小さくすることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は固体高分子型燃料電池に関するものであり、例えば、燃料電池自動車に搭載する。ただし、自動車以外に用いてもよい。
図1に燃料電池1の概略構成を示す。ここでは、起電力を生じる単位燃料電池としてのセル10を複数積層することにより燃料電池1を構成するが、一つのセル10により燃料電池1を構成してもよい。
燃料電池1を、セル10の積層方向両端に、それぞれ集電板11、絶縁板12及びエンドプレート13i、13oを配置して構成する。積層したセル10、集電板11、絶縁板12及びエンドプレート13i、13oは、燃料電池1の内部四隅に貫通した貫通孔に、図示しないタイロッドを挿通して、タイロッドの端部にナット20を螺合することによって締結する。締結方法は、燃料電池1の内部にタイロッドを貫通する方法に限られず、燃料電池1外部において、エンドプレート13i及び13oの四隅を4本のタイロッドで縦貫してもよい。
集電板11を、ガス不透過な導電性部材、例えば、緻密質カーボンや銅板などにより構成する。集電板11にはそれぞれ、燃料電池1で生じた起電力の取り出し部となる出力端子110を設ける。取り出された出力は、後述する出力センサ8によって検出される。
絶縁板12を、絶縁性部材、例えば、ゴムや樹脂などにより構成する。タイロッドを、剛性を備えた材料、例えば、鋼などの金属材料により構成する。タイロッドの表面は絶縁処理を行っており、セル10同士の電気的短絡を防止する。
エンドプレート13iには、燃料電池1内に燃料ガス(水素ガス又は水素含有ガス)を供給するための燃料ガス入口14、及び、燃料電池1内に冷却媒体を導入するための冷却媒体入口(供給口)18Bを一辺に配列して設ける。対向する一辺には、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口15、及び、燃料電池1内に冷却媒体を導入するための冷却媒体入口18Aを配列して設ける。更に他辺中央部には、燃料電池1内に酸化剤ガス(酸素含有ガス又は空気)を供給するための酸化剤ガス入口16、及び、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口17をそれぞれ設ける。
また、エンドプレート13oには、冷却媒体入口18Aと積層方向に対向する位置に、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口(排出口)19Bを設ける。そして、冷却媒体入口18Bと積層方向に対向する位置に、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口19Aを設ける。冷却媒体入口18A、18B、及び、冷却媒体出口19A、19Bは、燃料電池1内部で、後述するセパレータ102a、102cに設ける冷却媒体流路105a、105cを介してすべて連通している。
図2は、燃料電池1を構成する固体高分子型燃料電池セル10の概略的な構造を示す斜視図である。
セル10は、電解質膜100の両側に、アノード側電極101a及びカソード側電極101cを配置してなる膜−電極接合体を備える。
電解質膜100としては、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂によりなるプロトン伝導性のイオン交換膜を用いる。この電解質膜100は、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。
電解質膜100は、厚み方向に貫通する孔103b、及び、104bを備える。ここでは、孔103b、及び、104bは、電解質膜100の面上において略対角上に設けられる。セル10の積層時には、孔103b、及び、104bは、後述するセパレータ102a、及び102cに設けた孔103a、103c、及び、104a、104cと組み合わせて、燃料電池1を積層方向に貫通するマニフォールド103、104を形成する。
アノード側電極101a及びカソード側電極101cを、ガス拡散層、及び、電極触媒層とで構成する。ガス拡散層は、十分なガス拡散性及び導電性を有する部材、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス、カーボンペーパ、又は、カーボンフエルト等からなる。電極触媒層は、触媒、例えば、白金又は白金と他の金属からなる合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、前記ガス拡散層の表面に一様に塗布してなる。電極触媒層は、互いに電解質膜100を介装して対向するように、電解質膜100の両面に接合する。アノード側電極101a及びカソード側電極101cは、触媒面へのガス拡散機能と電極としての機能を有する。
アノード側電極101a及びカソード側電極101cの外周には、図示しないガスケット材を配置する。ガスケット材は、ゴム状弾性材料、例えば、シリコーンゴム、EPDM又はフッ素ゴムなどを用いる。このガスケット材は、前記各部品を積層した際に、電解質膜100とセパレータ102a、102cの隙間を保持し、膜−電極接合体とセパレータ102a、102cの間のガスをシールする役割を担う。
アノード側電極101a、カソード側電極101cの外側には、それぞれセパレータ102a、102cを配置する。セパレータ102a、102cを、十分な導電性、強度及び耐食性を有する材料、例えば、カーボン材料をプレスすることにより形成する。セパレータ102a、102cは、十分な耐食性が実現可能であれば、金属などの他の材料を用いてもよい。
セパレータ102aの表面には、アノード側電極101aとの間に燃料ガス(水素含有ガス)を供給するための、図示しない燃料ガス流路を設ける。セパレータ102aのもう一方の表面には、溝状の冷却媒体流路105aを設ける。
また、セパレータ102aは、厚み方向に貫通する孔103a、及び、104aを備える。ここでは、孔103a、及び、104aは、セパレータ102aの面上において略対角上に設けられる。セル10の積層時には、孔103a、及び、104aは、電解質膜100、又は、後述するセパレータ102cに設けた孔103b、103c、及び、104b、104cと組み合わせて、燃料電池1を積層方向に貫通するマニフォールド103、104を形成する。
セパレータ102cの表面には、カソード側電極101cとの間に酸化剤ガス(酸素含有ガス又は空気)を供給するための、図示しない酸化剤ガス流路を設ける。セパレータ102cのもう一方の表面には、溝状の冷却媒体流路105cを設ける。
また、セパレータ102cは、厚み方向に貫通する孔103c、及び、104cを備える。ここでは、孔103c、及び、104cは、セパレータ102cの面上において略対角上に設けられる。セル10の積層時には、孔103c、及び、104cは、電解質膜100、又は、セパレータ102aに設けた孔103a、103b、及び、104a、104bと組み合わせて、燃料電池1を積層方向に貫通するマニフォールド103、104を形成する。
電解質膜100に設けた孔103b、及び、セパレータ102a、102cに設けた孔103a、103cは、それぞれ積層方向に重なる位置に設ける。セル10の積層時には、図4又は図5に示すように、孔103a〜103cによって、燃料電池1を積層方向に貫通するマニフォールド103が形成される。マニフォールド103の一端は、前述したエンドプレート13iに設けた冷却媒体入口18Bに接続され、もう一端は、エンドプレート13oに設けた冷却媒体出口19Aに接続される。
また、電解質膜100に設けた孔104b、及び、セパレータ102a、102cに設けた孔104a、104cは、それぞれ積層方向に重なる位置に設ける。セル10の積層時には、図4又は図5に示すように、孔104a〜104cによって、燃料電池1を積層方向に貫通するマニフォールド104が形成される。マニフォールド104の一端は、前述したエンドプレート13iに設けた冷却媒体入口18Aに接続され、もう一端は、エンドプレート13oに設けた冷却媒体出口19Bに接続される。
なお、図2では、冷却媒体流路105a、及び、105cを簡略的なサーペンタイン形状で図示するが、冷却媒体流路105a、及び、105cをセパレータ102a、及び、102c全面に対して均等に細かく構成することが好ましい。また、冷却媒体流路105a、及び、105cの形状は、サーペンタイン形状に限られない。
次に、単位セル10内における発電反応について説明する。
燃料ガスを、燃料ガス入口14から燃料電池1内に導入すると、導入した燃料ガスは、各セル10のセパレータ102aから燃料ガス流路を介してアノード側電極101aに供給される。そして、アノード側電極101aにおける発電反応により、プロトン及び電子を生成する。プロトンは電解質膜100を透過してカソード側へ移動し、電子は外部回路へ流れる。反応に利用されなかった余剰の燃料ガスは、エンドプレート13iの燃料ガス出口15から排出される。
一方、酸化剤ガスを、酸化剤ガス入口16から燃料電池1内に導入すると、導入した酸化剤ガスは、各セル10のセパレータ102cから酸化剤ガス流路を介してカソード側電極101cに供給される。そして、アノード側の発電反応により生じたプロトン及び外部回路からの電子と、酸化剤ガスに含まれる酸素とが反応して水が生成される。反応に利用されなかった余剰の酸化剤ガスは、反応により生じた生成水とともに、エンドプレート13iの酸化剤ガス出口17から排出される。
このようなセル10内における発電は発熱反応であるため、反応が開始すると燃料電池1の温度は上昇する。そこで、燃料電池1を好適な温度に維持するため、燃料電池1内に冷却媒体を循環させて発熱を除去する。冷却媒体としては、LLC(Long Life Coolant)、例えば、エチレングリコール(HOCH2CH2OH)と水の混合液を用いる。
そこで、図3を参照して、上記燃料電池1にLLCを循環するシステムの構成を説明する。
本システムの循環系の燃料電池1の上流には、燃料電池1にLLCを導入するための貯留タンク2、及び、ポンプ3を設ける。
燃料電池1には、燃料電池1の出力を検出する出力センサ8を設ける。出力センサ8は、電流センサ81、及び、電圧センサ82を備え、燃料電池1に要求される発電負荷に対する電圧を、電圧センサ82によって検出する。
燃料電池1の下流には、燃料電池1から排出されたLLCの温度を放熱するための熱交換器7を設ける。
タンク2に貯留したLLCは、ポンプ3によって昇圧され、燃料電池1に導入される。そして、燃料電池1内の反応熱を吸熱して燃料電池1から排出され、熱交換器7で所定の温度まで放熱してからタンク2に戻る。
燃料電池1の冷却媒体入口18A、18B近傍の上流側には、燃料電池1に導入するLLCの流通方向を制御する入口バルブ4A、4Bを設ける。燃料電池1の冷却媒体出口19A、19B近傍の下流側には、燃料電池1から排出されるLLCの流通方向を制御する出口バルブ5A、5Bを設ける。燃料電池1に導入し、又は、排出されるLLCの流通方向は、入口バルブ4A、4B、出口バルブ5A、5Bを開き(開状態)、又は、閉じる(閉状態)ことによって制御する。
また、入口バルブ4A、及び、4B近傍の上流側には、燃料電池1へ導入するLLCの温度を検出する入口温度センサ6iを設ける。一方、出口バルブ5A、及び、5B近傍の下流側には、燃料電池1から排出されるLLCの温度を検出する出口温度センサ6oを設ける。
制御ユニット9は、これらの装置が検出した結果に基づいて、各装置に対して信号を出力し、システム全体を制御する。
出力センサ8からは燃料電池1の出力Pを取り出して、当該出力Pに基づいて、LLCの流通方向を切り替えるように各バルブを制御する。
また、入口温度センサ6iからは燃料電池1に導入されるLLCの温度を取り出して、当該温度が適切か否かを判断して、熱交換器7におけるLLCの放熱を調整する。
また、出口温度センサ6oからは、燃料電池1から排出されるLLCの温度tを取り出して、LLCの流通方向を切り替える時間間隔を短くするように各バルブを制御する。
次に、各バルブによるLLCの流通方向の切り替え方法について説明する。
入口バルブ4Aが開状態で、入口バルブ4Bが閉状態のときは、LLCは、入口バルブ4Bにおいて燃料電池1への導入を遮断されるため、入口バルブ4Aを介して冷却媒体入口18Aから燃料電池1へ導入される。そして、燃料電池1内を流通して、冷却媒体出口19Aへと達し、開状態の出口バルブ5Aから排出される。
このように、LLCが、冷却媒体入口18Aから導入され冷却媒体出口19Aから排出される経路によって燃料電池1内を流通する状態を、「通常状態」とする。
「通常状態」のLLCの流動経路について、図4を用いて説明する。
エンドプレート13iに設ける冷却媒体入口18Aから導入されたLLCは、マニフォールド104を流通して、各セル10の冷却媒体流路105に分配される。そして、LLCは、冷却媒体流路105内を孔104から孔103に向かって流れ、電極の反応面を冷却する。そして、冷却媒体流路105からマニフォールド103へ回収され、冷却媒体出口19Aから排出される。
「通常状態」では、LLCの温度が低い状態でマニフォールド104から導入されるため、セパレータ102に接する電極面においても、図2に示す孔104a、104cの近傍領域107の冷却効率が最もよい。一方、セル10内の反応熱を吸熱しながら冷却媒体流路105を流れるLLCは、導入時と比較して温度が上昇した状態でマニフォールド103から排出される。そのため、セパレータ102に接する電極面においても、図2に示す孔103a、103cの近傍領域106の冷却効率が最も悪くなる。
一方、入口バルブ4Aが閉状態で、入口バルブ4Bが開状態のときは、LLCは、入口バルブ4Aにおいて燃料電池1への導入を遮断されるため、入口バルブ4Bを介して冷却媒体入口18Bから燃料電池1へ導入される。そして、燃料電池1内を流通して、冷却媒体出口19Bへと達し、開状態の出口バルブ5Bから排出される。
このように、LLCが、冷却媒体入口18Bから導入され冷却媒体出口19Bから排出される経路によって燃料電池1内を流通する状態を、「反転状態」とする。
「反転状態」のLLCの流動経路について、図5を用いて説明する。
エンドプレート13iに設ける冷却媒体入口18Bから導入されたLLCは、マニフォールド103を流通して、各セル10の冷却媒体流路105に分配される。そして、LLCは、冷却媒体流路105内を孔103から孔104に向かって流れ、電極の反応面を冷却する。そして、冷却媒体流路105からマニフォールド103へ回収され、冷却媒体出口19Aから排出される。
「反転状態」では、LLCの温度が低い状態でマニフォールド103から導入されるため、セパレータ102に接する電極面においても、図2に示す孔103a、103cの近傍領域106の冷却効率が最もよい。一方、セル10内の反応熱を吸熱しながら冷却媒体流路105を流れるLLCは、導入時と比較して温度が上昇した状態でマニフォールド104から排出される。そのため、セパレータ102に接する電極面においても、図2に示す孔104a、104cの近傍領域107の冷却効率が最も悪くなる。
次に、LLCの流通方向の制御方法を、図6に示したフローチャートを用いて説明する。
燃料電池1の起動時には、燃料電池1内の温度(例えば、各単位セル10の電極101a、101cに接しているセパレータ102a、102cの表面温度)が、所定の温度に達するまで、燃料電池1を暖機する。このとき、入口バルブ4A、4B、及び、出口バルブ5A、5Bは、いずれも閉状態である。この状態を「初期状態」とする。
燃料電池1内が所定の温度に達すると、要求負荷に応じた電流の取り出しを開始する。このとき、入口バルブ4A、及び、出口バルブ5Aを開状態とする。なお、入口バルブ4B、及び、出口バルブ5Bは閉状態のままである。各バルブをこのような状態とすることによって、LLCは「通常状態」で燃料電池1内を流通する。
LLCが「通常状態」で燃料電池1内を流動し始めると、電流センサ81、及び、電圧センサ82(図3参照)によって求められる出力に基づいて、一定時間T0[sec](例えば、60[sec])内の燃料電池1の平均出力Pを算出する。そして、当該平均出力Pと所定の値P0[kw](例えば、燃料電池1の定格出力の80%程度)とを比較して、平均出力PがP0に達していないときは、「通常状態」を維持しながら燃料電池1の運転を継続する。
一方、燃料電池1の負荷電流が多くなり、燃料電池1の一定時間T0[sec]の平均出力Pが所定の値P0[kw]以上になると、図6に示す制御処理を実行する。
まず、出口バルブ5A近傍の下流側に設ける出口温度センサ6oによって、燃料電池1から排出されるLLCの温度を検出する。そして、当該検出した温度tと所定の温度t0[℃](例えば、80℃〜120℃)を比較して(S1)、検出温度tがt0に達していないときは、ステップS3に移行して処理を継続する。
一方、検出した温度tが所定の温度t0[℃]以上になると、「通常状態」と「反転状態」とを切り替える後述する時間間隔T[sec]を短く設定する(S2)。短縮後の時間T[sec]としては、T/2(10[sec])と設定してもよく、また、温度tに反比例する値、例えば、5/(t−t0)と設定してもよい。
ステップS3においては、開状態であった入口バルブ18A、及び、出口バルブ19Aを閉じる。このとき、燃料電池1は一時的に初期状態となり、排出されていないLLCが燃料電池1内に残るが、LLCの温度は燃料電池1の温度よりも低いため、LLCによって燃料電池1の温度が上昇することはない。
そして、ステップS4において、閉状態であった入口バルブ18B、及び、出口バルブ19Bを開く。これによって、LLCは「反転状態」(図5参照)で燃料電池1内を流通する。
その後、「反転状態」を維持しつつ、入口バルブ18B、及び、出口バルブ19Bを開いたステップS4の時点からの経過時間T1[sec]に、所定時間TA[sec]を加算する(S5)。そして、ステップS6においてT1[sec]と所定時間T[sec](例えば、20[sec])とを比較して、T1[sec]がT[sec]に達するまで、ステップS5に戻ってT1[sec]へのTA[sec]の加算処理を継続する。
そして、T1[sec]がT[sec]に達すると、入口バルブ4B、及び、出口バルブ5Bを閉じる(S7)。なお、入口バルブ4A、及び、出口バルブ5Aは閉状態のままであるため、燃料電池1は一時的に初期状態となる。
そして、ステップS8において、閉状態であった入口バルブ18A、及び、出口バルブ19Aを開く。これによって、LLCは「通常状態」(図4参照)で燃料電池1内を流通する。
その後、「通常状態」を維持しつつ、入口バルブ18A、及び、出口バルブ19Aを開いたステップS8の時点からの経過時間T2[sec]に所定時間TB[sec]を加算する(S9)。そして、ステップS10においてT2[sec]と所定時間T[sec]とを比較して、T2[sec]がT[sec]に達するまで、ステップS9に戻ってT2[sec]へのTB[sec]の加算処理を継続する。
そして、T2[sec]がT[sec]に達すると、一定時間T0[sec]内の燃料電池1の平均出力Pを算出する。そして、当該平均出力Pと所定の値P0[kw]とを比較して、平均出力PがP0以上のときは、「通常状態」を維持しつつ、ステップS1に戻り、燃料電池1の制御処理を継続する。
一方、平均出力Pが所定の値P0[kw]よりも小さい値になると、燃料電池1の制御処理を終了する。
このように、燃料電池1の一定時間の平均出力Pに応じて、LLCの流動経路を切り替えることによって、定格出力時における各セル10内の電極101a及び101c面の温度差を小さくすることができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
燃料電池セル10を狭持して、その両端に配置したエンドプレート13i、13oと、エンドプレート13i、13oの狭持方向に、燃料電池セル10を貫通して冷却媒体を流す貫通路103、104と、燃料電池セル10に設けられ、各貫通路間103、104を接続する冷却媒体流路105と、エンドプレート13iに設けた103、104貫通路の供給口18B、18A、及び、エンドプレート13oに設けた各貫通路103、104の排出口19A、19Bと、供給口18A、18B又は排出口19A、19Bにおけるそれぞれの冷却媒体の流通又は遮断を選択する冷媒流通選択手段4A、4B、5A、5Bと、燃料電池セル10の発電負荷に基づいて冷媒流通選択手段4A、4B、5A、5Bを制御して、冷却媒体流路105の冷却媒体の流通方向を切り替える流通制御手段9と、を備える。
これにより、各単位セル10の電極101a及び101c面内における冷却媒体の入口周辺106(又は107)の温度が上昇し、出口周辺107(又は106)の温度が抑制されるため、当該入口周辺及び出口周辺の冷却効率が均一化し、各単位セル10の電極101a及び101c面内の温度差を小さくすることができる。
また、燃料電池1から排出される冷却媒体の温度tを検出することによって、燃料電池1内の温度を的確に把握することができる。
また、燃料電池1から排出される冷却媒体の温度tを検出することによって、燃料電池1内の発熱状態を的確に把握することができる。
また、温度tに応じて、「通常状態」と「反転状態」とを切り替える周期を短縮することによって、より効果的に冷却効率を均一化して、電極101a及び101c面内の温度差を小さくすることができる。
なお、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
本発明は、燃料電池スタックに適用することができる。特に、各単位燃料電池セルの電極面内の温度差を小さくする必要がある固体高分子型燃料電池スタックに適用することができる。
燃料電池スタック示す斜視図である。 単位燃料電池セルの構造を示す斜視図である。 燃料電池システムを示す構成図である。 通常状態における冷却媒体の流通方向を示す斜視図である。 反転状態における冷却媒体の流通方向を示す斜視図である。 燃料電池スタックの冷却媒体の制御方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池スタック
4A、B 入口バルブ
5A、B 出口バルブ
6i、6o 温度センサ
8 出力センサ
7 熱交換器
10 単位燃料電池セル
110 出力端子
13i、c エンドプレート
18A、B 冷却媒体入口
19A、B 冷却媒体出口
101a、c 電極
102a、c セパレータ
103a〜c、104a〜c マニフォールド
105a、c 冷却媒体流路

Claims (4)

  1. 燃料電池セルを狭持して、その両端に配置したエンドプレートと、
    前記エンドプレートの狭持方向に、前記燃料電池セルを貫通して冷却媒体を流す複数の貫通路と、
    前記燃料電池セルに設けられ、前記各貫通路間を接続する冷却媒体流路と、
    前記エンドプレートの一方に設けた前記貫通路の供給口、及び、前記エンドプレートのもう一方に設けた前記各貫通路の排出口と、
    前記供給口又は前記排出口におけるそれぞれの冷却媒体の流通又は遮断を選択する冷媒流通選択手段と、
    前記燃料電池セルの発電負荷に基づいて前記冷媒流通選択手段を制御して、前記冷却媒体流路の冷却媒体の流通方向を切り替える流通制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記流通制御手段は、前記一方の貫通路の供給口から流入した冷却媒体を前記他方の貫通路の排出口から排出させ、また、前記他方の貫通路の供給口から流入した冷却媒体を前記一方の貫通路の排出口から排出させるように、前記冷媒流通選択手段を交互に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記流通制御手段は、前記発電負荷が所定値を超えることによって前記冷媒流通選択手段による切り換えを行うことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記排出口の近傍に前記冷却媒体の温度を検出する手段を備え、
    前記流通制御手段は、前記検出した冷却媒体の温度に基づいて前記冷媒流通選択手段による切り換え周期を補正することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
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