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JP2006072896A - タイヤモデル作成方法 - Google Patents

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敏彦 岡野
Zenichiro Shinoda
全一郎 信田
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Abstract

【課題】サイドウォール部がタイヤ特性に及ぼす影響を効率的に解析することができるタイヤモデルの作成方法を提供する。
【解決手段】タイヤ特性をシミュレーションにより解析するためのタイヤモデル作成方法であって、コード補強材を含むタイヤボディ部を再現したタイヤボディ部要素モデルを作成するステップと、少なくともサイドウォールを含むゴム部を再現したゴム部要素モデルを作成するステップと、前記タイヤボディ部要素モデルと前記ゴム部要素モデルを結合するステップとを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、有限要素法などのコンピュータシミュレーションによってタイヤ特性を評価する際の解析モデルの作成方法に関する。
有限要素法などのコンピュータシミュレーションを用いて、タイヤ特性を予測し、このタイヤ特性に基づいてタイヤを設計する方法が種々提案されている。有限要素法によるシミュレーションでは、コンピュータを用いてタイヤの有限要素モデルを作成し、作成したタイヤモデルを用いてタイヤの静止状態あるいは転動状態を模擬し、このときタイヤモデルに作用する特定の材料物性値を算出してタイヤ特性を評価している。
このタイヤ特性を用いることで、実際にタイヤを作製することなく、タイヤ特性の優れたタイヤを設計することができ、さらに、タイヤの開発効率の向上を図ることができる。
このようなタイヤのシミュレーションに用いるタイヤモデルの作成方法として、タイヤボディ部の2次元形状を周方向に展開してメッシュ分割しタイヤボディ部要素モデルを設定し、そのタイヤボディ部要素モデルよりも詳細にメッシュ分割したトレッドパターン付のトレッド部要素モデルを設定し、タイヤボディ部要素モデルにトレッド部要素モデルを結合して、タイヤの有限要素モデルを作成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、操縦安定性、乗り心地、摩擦磨耗特性などのタイヤ特性には、トレッド部のみならず、サイドウォール部の剛性の影響も大きく、これらの影響を予めシミュレーション解析して把握することは効率的な設計に必要不可欠である。
特許3314082号公報
しかしながら、上述のように従来、トレッドパターン付タイヤモデルは、タイヤボディ部とトレッド部を別々にモデル化し、それら互いに結合していた。そのため、サイドウォール部の影響を解析する場合には、タイヤボディ部のモデル化をし直さなければならないという問題を抱えていた。
また、サイドウォール部は、接地変形時のひずみが大きいため、本来、要素を詳細に分割しなければならない。しかし、従来のモデル化では、サイド部は、カーカス層やベルト層などの剛性の高いコード補強層に隣接しているため、サイドのみを詳細に要素分割することはできないという問題も併せ持っていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、サイドウォール部がタイヤ特性に及ぼす影響を効率的に解析することができるタイヤモデルの作成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明はタイヤ特性をシミュレーションにより解析するためのタイヤモデル作成方法であって、コード補強材を含むタイヤボディ部を再現したタイヤボディ部要素モデルを作成するタイヤボディ部要素モデル作成ステップと、少なくともサイドウォール部を含むゴム部を再現したゴム部要素モデルを作成するゴム部要素モデル作成ステップと、前記タイヤボディ部要素モデルと前記ゴム部要素モデルを結合するステップとを含むことを特徴とするタイヤモデル作成方法を提供する。
ゴム部要素モデルは、サイドウォール部とトレッドパターン付のトレッド部とを含むゴム部を再現した有限要素モデルであり、前記ゴム部要素モデル作成ステップは、サイドウォール部を再現したサイドウォール部要素モデルとトレッドパターン付きのトレッド部を再現したトレッド部要素モデルとを結合することにより、前記ゴム部要素モデルを作成することが好ましい。
タイヤボディ部要素モデルは、カーカスとベルトとを含むタイヤボディ部を再現した有限要素モデルであり、タイヤボディ部要素モデル作成ステップは、カーカスを再現したカーカス部要素モデルと、ベルトを再現したベルト部要素モデルとを個別に作成し、結合することにより、前記タイヤボディ部要素モデルを作成することが好ましい。
さらに、ゴム部要素モデルは、前記タイヤボディ部要素モデルよりも、詳細にメッシュ分割されたモデルであることが好ましい。
上述の要素モデルを結合するステップは、結合する要素モデルの境界面において、互いの相対位置が変化しないような方法で結合することが好ましい。
前記タイヤボディ部要素モデル作成ステップにおいて、構成する各要素ごとの時間増分を下記式(1)で算出し、最も時間増分が小さくなる要素を含まない部材の要素、あるいは、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を分割することがよい。さらには、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を分割する際、その要素の寸法は、最も時間増分が小さくなる要素の時間増分に略等しくなるように設定することもできる。このようにすると、本来、もっと細かく要素分割しなければならない部位において、時間増分を必要以上に小さくすることなく、詳細に要素分割することが可能となる。
Δt≦L/√(E/ρ)・・・(1)
(Δt:時間増分、L:代表要素寸法、E:弾性率、ρ:密度)
本発明は、コード補強材を含むタイヤボディ部を再現したタイヤボディ部要素モデルを作成し、サイドウォール部を含むゴム部を再現したゴム部要素モデルを作成する。そして、タイヤボディ部要素モデルと前記ゴム部要素モデルを結合することによりタイヤモデル作成する。
したがって、本発明によれば、サイドウォール部がタイヤ特性に及ぼす影響を効率的に解析することができる。
以下、本発明のタイヤモデル作成方法について、添付の図面に示される好適な実施形態を基に詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤモデル作成方法を実行し、実際のタイヤ特性試験をシミュレーションして、タイヤ特性の解析を実行するシミュレーション装置の概略を示す概略図である。
シミュレーション装置1は、各種演算処理を実行するとともに各部を統括して制御する中央演算処理装置(CPU)2と、このCPU2のワークエリアとして機能したり、CPU2によって実行される処理プログラムや、CPU2によって実行される処理プログラムの処理結果や各種データ等を記憶するメモリ3とを備え、CPU2とメモリ3はバスを介して接続される。
メモリ3としては、コンデンサに電気を蓄えることによって、情報を記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)、コンデンサを使用せず、論理回路でメモリを構成しているSRAM(Static Random Access Memory)や、CPUによる実行プログラムなどを記憶する不揮発性で読み取り専用なROM(Read Only Memory)などの半導体記憶装置がある。
また、シミュレーション装置1は、I/Oインターフェース4を介して、入力装置5、出力装置6および外部記憶装置7に接続され、これらとの間でデータのやり取りを行う。
入力装置5は、モデル作成条件、処理条件、あるいは特性演算条件など各種の条件を入力するものであり、代表的なものとしてキーボードやマウスなどがある。出力装置6は、入力装置5からの入力結果やタイヤ特性の解析結果などを表示するものであり、代表的なものとしてディスプレイやプリンタなどがある。
外部記憶装置7としては、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、CDやDVDといった光学ディスクなどがある。
このようなシミュレーション装置1は、オペレータの入力に従って、有限要素法(Finite Element Method)によるタイヤの解析モデル(以下、タイヤモデルという)を作成し、シミュレーション条件を設定した後に、タイヤ特性試験をシミュレーションすることによってタイヤ特性を解析する。
本実施形態では、本発明のタイヤモデル作成方法を用いて、トレッドパターンの付いたタイヤを再現した有限要素モデル(以下、パターン付タイヤモデルという)を作成する。図2はトレッドパターン付タイヤモデルの一例を示す斜視図である。
トレッドパターン付タイヤモデル10は、実際のタイヤをモデル化したものであり、タイヤモデルを用いたタイヤ特性の解析に利用することができる。このトレッドパターン付タイヤモデル10は、カーカスやベルトなどコード補強材を含むタイヤボディ部を再現したタイヤボディ部モデル14と、サイドウォール部を含む厚肉ゴム部を再現した厚肉ゴム部モデル12とを結合することにより作成され、厚肉ゴム部モデル12はタイヤボディ部モデル14より詳細にメッシュ分割される。
サイドウォール部は、トレッド部とビードとの間のタイヤの横腹に相当する部材であり、接地時にたわみつつタイヤの荷重を受け止める。そのため、タイヤの接地状態において、大きくひずむ部材の一つがサイドウォール部である。このサイドウォール部は、柔軟で耐候性や耐老化性に優れたゴムにより形成される。
したがって、接地変形時のひずみによる影響を無視することができない解析、例えば、操縦安定性、乗り心地、摩擦磨耗特性などのタイヤ特性を解析するには、接地変形時のひずみが大きいサイドウォール部を詳細にメッシュ分割したタイヤモデルを用いることで解析結果がより現実の値に近づく。
また、このタイヤモデルを用いて、タイヤの接地変形を伴うシミュレーションにおいて解析することができるタイヤ特性としては、車両のコーナリングをシミュレーションするときのコーナリング特性(横バネ特性)、タイヤに荷重を加えてタイヤのたわみ具合(荷重負荷時の変形)をシミュレーションするときの縦バネ特性、接地形状や接地圧、タイヤの転動状態において路面から伝わる振動をいかに吸収するかをシミュレーションするときの振動振動乗り心地特性(エンベロープ特性)、制動状態や加速状態をシミュレーションしたときの接地面内のすべり特性(摩擦力、スリップ率など)、タイヤをインフレートしたときのカーカスにかかる応力特性、ハイドロプレーニングをシミュレーションしたときのウェットグリップ性能、スノータイヤの雪上性能などがある。
図2に示すパターン付タイヤモデルは、厚肉ゴム部モデル12とタイヤボディ部モデル14とを、後述する結合方法で結合することにより作成される。
図3は厚肉ゴム部モデルの一例を示す斜視図であり、図4はタイヤボディ部モデルの一例を示す斜視図である。
厚肉ゴム部モデル12は、トレッド部とサイドウォール部を含む厚肉ゴムを再現したモデルであり、トレッド部モデルと、サイドウォール部モデルとを一体として作成される。
上述のように、サイドウォール部は、接地変形時に大きくひずむ部材であるため、詳細にメッシュ分割することで解析精度を向上することができる。
また、トレッド部に刻まれるタイヤのトレッドパターンは、タイヤの基本的な性能である駆動、制動、旋回性能や、乗り心地、騒音、転がり抵抗や磨耗など様々なタイヤの特性に関係するため、トレッド部モデルもサイドウォール部モデルと同様に詳細にメッシュ分割することが好ましい。本実施形態では、トレッド部モデルはサイドウォール部モデルとともに作成され、詳細にメッシュ分割される。
このような厚肉ゴム部モデル12の作成方法について特に限定はない。
タイヤボディ部モデル14のメッシュサイズは、解析における演算処理にかかる時間とタイヤ特性の解析精度に及ぼす影響を考慮すると、厚肉ゴム部のように細かくする必要はない。
したがって、タイヤボディ部モデル14は、簡易に作成することができればよいため、2次元の断面形状を作成し、その断面をタイヤの中心軸を、回転の中心として、周方向に展開することにより作成することが好ましい。
しかし、タイヤボディ部モデル14の作成方法は、これに限定されず他の方法により作成してもよい。
図5は本実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。厚肉ゴム部モデル12とタイヤボディ部モデル14とを結合する方法には、節点共有型と節点非共有型とがある。
節点共有型の結合方法は、厚肉ゴム部モデル12とタイヤボディ部モデル14の境界面において、互いの節点位置が同一になるように要素を分割し、同一となる節点を一体化する方法である。
一方、節点非共有型の結合方法は、一方を結合面とし、他方を被結合面として定め、この結合面に位置する要素の節点が、結合される面である被結合面に位置する要素の節点に対して、相対的に変化しないような拘束条件を付与する方法である。
節点非共有型の結合方法は、タイヤボディ部モデル14の領域にゴム部モデル12を配置し、前記ゴム部モデル12がタイヤボディ部モデル14の要素の境界を交差する交点がある場合、この交点を求め、この交点をゴム部モデル12における節点として追加して要素を再構成する。
次に、ゴム部モデル12の各節点の挙動を、各節点を内包するタイヤボディ部モデル14の要素の節点の挙動によって規制する拘束条件を求め、この拘束条件によりゴム部モデル12の挙動を拘束する。
この拘束条件は、ゴム部モデル12の各節点を内包するタイヤボディ部モデル14の要素の形状を、パラメトリック空間上の所定の基準形状から形状関数を用いて形状変換したものとして定めることにより、ゴム部モデル12の各節点の基準形状内における対応点の位置情報を求め、この位置情報および形状関数を用いて定める(詳しくは、特願2004−29195号明細書参照)。
詳細に要素分割した厚肉ゴム部モデル12と粗く要素分割したタイヤボディ部モデル14との境界面における節点が同一になるように、互いのモデルを要素分割することは、困難な場合が多く、処理が複雑になり、タイヤモデルの作成に多くの時間を費やすおそれがある。
したがって、本発明では、節点非共有型の結合方法により、厚肉ゴム部モデル12とタイヤボディ部モデル14を結合する。そうすることにより、各モデルを要素分割する際に境界面において互いの節点を同一位置に合わせることなく、それぞれのモデルを比較的容易に要素分割することができる。
なお、厚肉ゴム部モデル12とタイヤボディ部モデル14を結合する場合に限らず、有限要素モデルを結合する場合にも、節点非共有型の結合方法により行う。
タイヤボディ部モデル14を作成する際に、構成する各要素ごとの時間増分を下記式(1)で算出し、最も時間増分が小さくなる要素を含まない部材の要素、あるいは、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を分割する。
Δt≦L/√(E/ρ)・・・(1)
ここで、Δtは時間増分であり、Lは要素の代表長さであり、Eは要素の剛性であり、ρは材料密度である。
あるいは、タイヤボディ部モデルを作成する際に、構成する各要素ごとの時間増分を前記式(1)で算出し、最も時間増分が小さくなる要素を含まない部材の要素、あるいは、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を、時間増分が実質的に等しくなる代表要素寸法で分割してもよい。ここで、時間増分が実質的に等しくなるとは、上記式(1)で算出された値に対して時間増分が±10%以内の範囲であることをいう。
陽解法によるシミュレーション解析では、例えば、タイヤの場合、ベルトやビードコアは、ゴム材料で構成される他の部材に比べて剛性が高いため、タイヤモデルをシミュレーションする場合の多くは、ベルトエッジやビードコアを再現したモデルを形成する要素に基づいて時間増分が決定される。
したがって、ゴム部モデル12を詳細に要素分割する際の詳細さの程度(代表要素寸法など)は、剛性が高い部材を再現したモデルを形成する要素に基づいて決定される時間増分Δtより小さな値とならない範囲である。
そうすることにより、解析にかかる時間を増大させることなく、解析精度を向上させることができる。
上述の実施形態では、サイドウォール部とトレッド部を一体として再現し、同程度の詳細さで要素分割し、厚肉ゴム部モデルを作成したが、本発明はこれに限定されない。その他の実施形態では、トレッド部モデルとサイドウォール部モデルを個別に作成し、それらを結合することにより、厚肉ゴム部モデルを作成する。
図6はトレッド部モデルの一例を示す斜視図であり、図7はサイドウォール部モデルの一例を示す斜視図である。図8はその他の実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。
上述のように、サイドウォール部は、接地変形時に大きくひずみ部材であるため、詳細にメッシュ分割することで解析精度を向上することができ、また、タイヤのトレッドパターンは様々なタイヤの特性に関係するため、トレッド部も詳細にメッシュ分割する。
異なるメッシュサイズで要素分割した有限要素モデルの境界面における節点が同一になるように、互いのモデルを要素分割することは、困難な場合が多く、処理が複雑になり、有限要素モデルの作成に多くの時間を費やすおそれがある。
したがって、本実施形態では、節点非共有型の結合方法により、トレッド部モデル16とサイドウォール部モデル18を結合する。
本実施形態では、トレッド部モデルとサイドウォール部モデルを個別に作成し、それらを結合することにより、厚肉ゴム部モデルを作成する。そのため、実際のタイヤ製造に使用される複数の金型の形状をモデル化した複数のサイドウォール部モデルを予め作成しておき、サイドウォール部モデルのみを取り替えて、サイドウォール部モデルの異なるタイヤモデルを作成することができるので、タイヤモデルの作成時間を短縮することができる。
また、節点非共有型の結合方法により、各モデルを要素分割する際に境界面において互いの節点を同一位置に合わせることなく、トレッド部モデル16とサイドウォール部モデル18を比較的容易に要素分割することができる。
トレッド部モデル16とサイドウォール部モデル18を要素分割する場合におけるメッシュサイズ(代表要素寸法など)は、剛性が高い部材を再現したモデルを形成する要素に基づいて、上記式(1)により決定される時間増分Δtより小さな値とならない範囲である。
その他の実施形態に従えば、接地変形時にひずみが大きくなるサイドウォール部モデル18をトレッド部モデル16と別に作成するため、サイドウォール部モデル18のメッシュサイズをより詳細にすることができ、曲げ変形時などにより応力勾配が大きくなる部位を有限要素法により解析するときの精度を向上させることができる。
上述のその他の実施形態では、トレッド部モデルとサイドウォール部を個別に作成し、それらを結合することにより、厚肉ゴム部モデルを作成したが、本発明はこれに限定されない。図9に示すように、トレッド部モデルとサイドウォール部のみならず、フィラー部モデルもまた個別に作成し、それらを結合することにより、厚肉部モデルを作成することもできる。さらに、図10に示すように、ベルト部モデルおよびカーカス部モデルを個別に作成し、それらを結合することにより、タイヤボディ部モデルを作成してもよい。
図9は、ゴム部モデルを剛性や強度の違いに応じて個別に作成し、それらを結合する例を示す。図9ではフィラー部モデル20を、トレッド部モデルやサイドウォール部モデルと同様に、個別に作成する。
ビード周りの剛性は車のハンドリングに大きな影響を与え、そのビード周りの剛性を向上させるために、ビードフィラーは硬質のゴムで形成されている。
そこで、硬質のゴムで形成されるビードフィラーをフィラー部モデル20としてモデル化し、トレッド部モデル16やサイドウォール部モデル18と結合することにより、ゴム部モデルを作成することで、より忠実にゴム部を再現することができる。
図10は、タイヤボディ部を剛性や強度の違いに応じて個別に作成し、それらを結合する例を示す。図10では、ベルト部、カーカス部およびビード部を再現した有限要素モデルを個別に作成する。
ベルト部は、トレッド部とカーカス部の間に設けられるスチール製の部材である。ベルト部は、トレッド部の剛性を更に向上させることにより、高速走行時の安定性などを向上させる。
なお、図10ではベルト部は1枚でモデル化しているが、タイヤの種類によってはベルトが2枚あるものや,3枚あるものもある。
カーカス部は、タイヤの骨格であり、荷重や衝撃、充てん空気圧に耐えてタイヤ構造を保持する部材である。カーカス部は、ビードワイヤを包むように巻き上げられ、その巻上げの長さに応じて剛性が変化する。
ビード部は、ホイールを適度に締め付け、タイヤがずれてしまったりしないようにする部材である。ビード部の強度が不足すると、車の荷重によりタイヤの形状が変化しタイヤが外れたり、あるいは、ホイールだけが空回りしたりする。
また、ビード部はタイヤの真円性に大きく関係し、スチール製のワイヤで構成されている。
このように、ベルト部、カーカス部およびビード部は、タイヤの剛性に影響を与える部材である。そこで、タイヤボディ部において、ベルト部、カーカス部およびビード部を個別にモデル化し、ベルト部モデル22、カーカス部モデル24およびビード部モデル26を結合することにより、タイヤボディ部モデルを作成することで、より忠実にタイヤボディ部を再現することができる。
以上のように本発明に従えば、サイドウォール部がタイヤ特性に及ぼす影響を効率的に解析することができるタイヤモデルを短期間で作成することができる。そのため、そのタイヤモデルのシミュレーションを繰り返し行うことができ、このようなシミュレーションを通じてタイヤ開発をより迅速に行うことができる。
以上、本発明に係るタイヤモデル作成方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
本発明を実現するためのシミュレーション装置の概略を示す概略図である。 パターン付タイヤモデルの一例を示す斜視図である。 厚肉ゴム部モデルの一例を示す斜視図である。 タイヤボディ部モデルの一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。 トレッド部モデルの一例を示す斜視図である。 サイドウォール部モデルの一例を示す斜視図である。 その他の実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。 その他の実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。 その他の実施形態におけるタイヤモデルを説明するための断面図である。
符号の説明
1 シミュレーション装置
2 中央演算処理部
3 メモリ
4 I/Oインターフェース
5 入力装置
6 出力装置
7 外部記憶装置
10 トレッドパターン付タイヤモデル
12 厚肉ゴム部モデル
14 タイヤボディ部モデル
16 トレッド部モデル
18 サイドウォール部モデル
20 フィラー部モデル
22 ベルト部モデル
24 カーカス部モデル
26 ビード部モデル

Claims (7)

  1. タイヤ特性をシミュレーションにより解析するためのタイヤモデル作成方法であって、
    コード補強材を含むタイヤボディ部を再現したタイヤボディ部要素モデルを作成するタイヤボディ部要素モデル作成ステップと、
    少なくともサイドウォール部を含むゴム部を再現したゴム部要素モデルを作成するゴム部要素モデル作成ステップと、
    前記タイヤボディ部要素モデルと前記ゴム部要素モデルを結合するステップとを含むことを特徴とするタイヤモデル作成方法。
  2. 前記ゴム部要素モデルは、サイドウォール部とトレッドパターン付のトレッドとを含むゴム部を再現した有限要素モデルであり、
    前記ゴム部要素モデル作成ステップは、サイドウォール部を再現したサイドウォール部要素モデルとトレッドパターン付きのトレッドを再現したトレッド部要素モデルとを結合することにより、前記ゴム部要素モデルを作成する請求項1に記載のタイヤモデル作成方法。
  3. 前記タイヤボディ部要素モデルは、カーカスとベルトとを含むタイヤボディ部を再現した有限要素モデルであり、
    タイヤボディ部要素モデル作成ステップは、カーカスを再現したカーカス部要素モデルと、ベルトを再現したベルト部要素モデルとを個別に作成し、結合することにより、前記タイヤボディ部要素モデルを作成する請求項1または2に記載のタイヤモデル作成方法。
  4. 前記ゴム部要素モデルは、前記タイヤボディ部要素モデルよりも、詳細にメッシュ分割されたモデルである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法。
  5. 前記要素モデルを結合するステップは、結合する要素モデルの境界面において、互いの相対位置が変化しないような方法で結合する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載する方法により作成されたタイヤモデルについて、前記タイヤボディ部要素モデル作成ステップにおいて、構成する各要素ごとの時間増分を下記式(1)で算出し、最も時間増分が小さくなる要素を含まない部材の要素、あるいは、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を分割するステップを含むタイヤモデル作成方法。
    Δt≦L/√(E/ρ)・・・(1)
    (Δt:時間増分、L:代表要素寸法、E:弾性率、ρ:密度)
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載する方法により作成されたタイヤモデルについて、前記タイヤボディ部要素モデル作成ステップにおいて、構成する各要素ごとの時間増分を下記式(1)で算出し、最も時間増分が小さくなる要素を含まない部材の要素、あるいは、最も時間増分が小さくなる要素以外の要素を、時間増分が実質的に等しくなる代表要素寸法で分割するステップを含むタイヤモデル作成方法。
    Δt≦L/√(E/ρ)・・・(1)
    (Δt:時間増分、L:代表要素寸法、E:弾性率、ρ:密度)
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