JP2006069807A - 無機質板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セメント系無機材料と、ケイ酸質含有材料と、木質補強材とを主体とする原料混合物に更に無機質板の寸法安定性改良のためにマイカを添加し、また板の強度向上と耐凍結融解性向上のために水溶性樹脂を添加し、該原料混合物を水に分散せしめて原料スラリーを抄造して抄造マットをフォーミングし、該抄造マットをプレスして150℃以上の温度でオートクレーブ養生することによって無機質板を製造する場合、セメント系無機材料とケイ酸質含有材料との質量比率を35:65〜45:55の範囲に設定することによって、無機質板の硬化反応を促進して未反応物量を少なくし、もって寸法安定性を一層改良し、更に板の強度と耐凍結融解性を一層向上せしめる。
Description
このような欠点を改良するために、木質補強材とセメントの混合物にマイカとポリビニルアルコールとを添加することが提案されている。マイカは高弾性率を有し、マイカを添加することによって無機質板の寸法安定性、切断性、釘打ち性等が改良され、更にポリビニルアルコールを添加することによって製品の強度が向上し、あわせて耐凍結融解性も改良される(例えば特許文献1、2参照)。
該原料混合物において使用される水溶性樹脂は鹸化度98モル%以上の粉末状ポリビニルアルコールであり、該原料混合物中に0.25〜1.25質量%の範囲で添加されていることが好ましく、また該原料混合物において使用されるマイカの平均粒径は200〜700μm、アスペクト比は60〜100であり、該マイカの含有量は2〜7質量%の範囲に設定されていることが好ましく、また木質補強材のCSFは500ml以下であり、該木質補強材の含有量は5〜10質量%に設定されていることが好ましい。
〔木質補強材〕
本発明に用いられる木質補強材としては、木粉、木毛、木片、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、ストランド、針葉樹、広葉樹、故紙等を原料としたパルプ等があり、該木質補強材は二種以上混合されてもよく、更に該木質補強材には竹繊維、麻繊維、バカス、モミガラ、稲わら等のリグノセルロースを主成分とする材料を混合してもよい。好ましい木質補強材としては、C.S.F(カナディアン・スタンダード・フリーネス)500ml以下の針葉樹未晒しパルプ(NUKP)、あるいは針葉樹晒しパルプ(NBKP)がある。
本発明に用いられるセメント系無機材料としては、例えばポルトランドセメント、高炉スラグセメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等のセメント類がある。
本発明では上記セメント系無機材料にケイ酸質含有材料を併用して、該セメント系無機材料の硬化反応を促進する。上記ケイ酸質含有材料としては、例えばシリカ粉、ケイ砂、ケイ石粉、水ガラス、シリカヒューム、シラスバルーン、パーライト、ケイ藻土、ドロマイト等が例示される。
本発明において用いられるマイカとしては、平均粒径200〜700μm、アスペクト比が60〜100のフレーク状のものが望ましい。マイカは、通常層状構造を有し、吸湿性がなく、剛性を有する高弾性体であり、木質セメント板の寸法安定性を大幅に向上させることができる。
本願発明においては使用される水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルエーテル(PVE)、デンプン、デンプン誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、大豆タンパク、アラビアゴム、トラガントゴム等が例示される。
更に該ポリビニルアルコールは抄造シート内で大部分バルーン状態で残存するので、セメント粒子を保護コロイドとして被覆しにくゝなり、その結果セメントの硬化に対する影響が少なくなる。
本発明の無機質板の原料としては、上記以外の成分として、セピオライト、ワラストナイト、ガラス繊維、ウイスカ等の無機繊維、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、アクリル酸カルシウム、水ガラス等のセメント硬化促進剤、バーミキュライト、ベントナイト等の鉱物粉末、ロウ、ワックス、パラフィン、シリコン、界面活性剤等の防水剤や撥水剤、発泡性熱可塑性プラスチックビーズ、プラスチック発泡体等が添加されてもよい。なお、これらの例示は本発明を限定するものではない。
本発明の無機質板の原料混合物において、上記セメント系無機材料の硬化反応を促進するためのセメント系無機材料(C)とケイ酸質含有材料(S)との質量比率(C:S)は35:65〜45:55の範囲である。そして上記原料混合物において木質補強材は5〜10重量%、セメント系無機材料(C)は25〜45質量%、ケイ酸質含有材料(S)は45〜65質量%、マイカは2〜7重量%、水溶性樹脂は0.25〜1.25質量%(各々固形分)含まれるのが好ましい。マイカの含有量が2質量%未満では、得られる無機質板の寸法安定性を十分に向上させることができず、マイカの含有量が7質量%を超えると、原料の均一混合がしにくゝなり、品質の安定した無機質板を得ることが困難になると共にコストアップにもなる。更に水溶性樹脂の含有量が0.25質量%未満では水溶性樹脂による板の補強効果が充分発揮されず、また1.25質量%を越えるとC/Sを35/65〜45/55の範囲に設定してもなお板の物性の改善が進まない。
本発明の無機質板は、抄造法によって製造される。
抄造法においては、上記セメント系無機材料(C)、ケイ酸質含有材料(S)、木質補強材、マイカ、水溶性樹脂等を含む原料混合物を水に分散させて混練することによって調製した原料スラリーをフローオン式、長網式、ハチェック式等の公知の方法によって抄造マットを製造した後、望ましくは20MPa以上の圧力でプレスし、望ましくは150℃以上の温度、0.4MPa以上の圧力下でオートクレーブ養生を行う。
この場合、上記スラリーの固形分濃度は通常5〜15重量%とされ、また抄造マットは通常抄造によってフォーミングされた抄造シートをメイキングロールに巻き取り6層〜10層に積層することにより製造する。
この範囲において無機質板の硬化反応が順調に進み、未反応C成分や未反応S成分の量も激減し、カードハウス状トバモライト結晶が多量に生成し、その結果マイカの寸法安定性改良効果が大巾に向上し、かつ板の耐凍結融解性も改良される。その結果、本発明の無機質板は大きな機械的強度と大巾に改良された寸法安定性そして耐凍結融解性を獲得する。C/S<35/65の場合には未反応S成分が多くなってトバモライト結晶生成量が少なくなり、耐凍結融解性が充分でなくなり、またC/S>45/55の場合にはケイ酸カルシウム反応による硬化物ではないセメント水和物が多くなり、その結果板が脆くなって耐クラック性が低下する。
無機質板の原料として、表1に示す組成の原料混合物を用意した。
上記各試験の結果を表2に示す。
Claims (8)
- セメント系無機材料と、ケイ酸質含有材料と、木質補強材と、マイカと、水溶性樹脂とを含む原料混合物の硬化物からなり、該セメント系無機材料と該ケイ酸質含有材料との質量比率は35:65〜45:55の範囲に設定されていることを特徴とする無機質板。
- 該原料混合物において使用される水溶性樹脂は鹸化度98モル%以上の粉末状ポリビニルアルコールであり、該原料混合物中に0.25〜1.25質量%の範囲で添加されている請求項1に記載の無機質板。
- 該原料混合物において使用されるマイカの平均粒径は200〜700μm、アスペクト比は60〜100であり、該マイカの含有量は2〜7質量%の範囲に設定されている請求項1または請求項2に記載の無機質板。
- 該原料混合物において使用される木質補強材のCSFは500ml以下であり、該木質補強材の含有量は5〜10質量%である請求項1〜3に記載の無機質板。
- セメント系無機材料と、ケイ酸質含有材料と、木質補強材と、マイカと、水溶性樹脂とを含む原料混合物を水に分散せしめて原料スラリーを調製し、該原料スラリーを抄造して抄造マットをフォーミングし、該抄造マットをプレスして150℃以上の温度でオートクレーブ養生する無機質板の製造方法であって、セメント系無機材料とケイ酸質含有材料との質量比率は35:65〜45:55の範囲に設定することを特徴とする無機質板の製造方法。
- 該原料混合物において、水溶性樹脂は鹸化度98モル%以上の粉末状ポリビニルアルコールであり、該原料混合物中に0.25〜1.25質量%の範囲で添加されている請求項5に記載の無機質板の製造方法。
- 該原料混合物において、マイカの平均粒径は200〜700μm、アスペクト比は60〜100であり、該マイカの含有量は2〜7質量%の範囲に設定されている請求項5または請求項6に記載の無機質板の製造方法。
- 該原料混合物において、木質補強材のCSFは500ml以下であり、該木質補強材の含有量は5〜10質量%に設定されている請求項5〜7に記載の無機質板の製造方法。
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