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JP2006054221A - 熱伝導シート - Google Patents

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JP2006054221A JP2004232728A JP2004232728A JP2006054221A JP 2006054221 A JP2006054221 A JP 2006054221A JP 2004232728 A JP2004232728 A JP 2004232728A JP 2004232728 A JP2004232728 A JP 2004232728A JP 2006054221 A JP2006054221 A JP 2006054221A
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憲章 原田
Ichiro Suehiro
一郎 末▲ひろ▼
Yuji Hotta
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Abstract

【課題】 高い熱伝導性を有し、しかも、発熱体および放熱部品に対して直接接着でき、その接着界面における熱抵抗も十分に小さい熱伝導シートを提供する。
【解決手段】 樹脂シート1の略全体に熱伝導性フィラー2を分散させてなるシート状基材10中に、複数の熱伝導路3を、その軸線方向が該シート状基材の厚み方向と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路3の軸線方向の端面3a、3bを、シート状基材10の両主面10a、10bから露出させた構成とする。当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱伝導シートに関し、より詳しくは、発熱体の熱を放熱部品へ効率良く伝熱でき、しかも、発熱体および放熱部品への良好な接着性を有する熱伝導シートに関する。
電子機器の小型化、高機能化に伴い、回路基板の配線も高密度化が図られている。このため、ICなどの半導体素子や、素子が複数個実装されたマルチチップモジュール、電源用配線板等の発熱体から発生する熱量は、増加する傾向にある。このような素子やモジュール等の温度上昇は、電気抵抗の上昇などを生じ、電子機器の正常な動作を妨げてしまうことがある。したがって素子やモジュールで発生した熱を、速やかに外部に放出させる放熱技術が必要になってきている。
従来、素子やマルチチップモジュール等の発熱体からの熱を効果的に放出させるために、該発熱体にヒートスプレッダー、ヒートシンク、放熱フィンなどの放熱部品を取り付けることが知られている。放熱部品の取り付けは、通常、ネジ止めや熱硬化性接着剤による接着、半田付けなどで行われる。放熱部品の取り付けをネジ止めで行う場合、素子やマルチチップモジュールに放熱部品を直接取り付けると、発熱部表面や放熱部品表面の凹凸により、発熱部と放熱部品との密着が得られにくい。これを解消すべく発熱体と放熱部品との間に放熱グリスなどを介在させることもあるが、放熱グリスの熱抵抗が大きいため充分な放熱効果は得られていない。また接着剤による接着でも、接着剤の熱抵抗が大きく、充分な放熱効果が得られていない。また、熱伝導性充填剤、熱伝導性線材及びゴムからなる複合シートを発熱体と放熱部品間に介在させることも提案されている(特許文献1)。しかし、該複合シートの場合、充分な放熱効果と発熱体−放熱部品間の安定な接続構造を両立することは困難である。
特開2001−156227号公報
上記事情に鑑み、本発明の目的は、高い熱伝導性を有し、しかも、発熱体および放熱部品に対して直接接着でき、その接着界面における熱抵抗も十分に小さい熱伝導シートを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
(1)樹脂シートの略全体に熱伝導性フィラーを分散させてなるシート状基材中に、複数の熱伝導路を、その軸線方向が該シート状基材の厚み方向と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路の軸線方向の端面を、シート状基材の両主面から露出させた熱伝導シートであって、
当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
(2)樹脂シートの両主面の表層部に熱伝導性フィラーを分散させてなるシート状基材中に、複数の熱伝導路を、その軸線方向が該シート状基材の厚み方向と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路の軸線方向の端面を、シート状基材の両主面から露出させた熱伝導シートであって、
当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
(3)樹脂シートの熱伝導性フィラーが分散した表層部の厚みが5〜50μmであることを特徴とする上記(2)記載の熱伝導シート。
(4)樹脂シート中に、複数の熱伝導路が、その軸線方向が該樹脂シートの厚み方向と略平行となるように配置され、かつ、各熱伝導路の軸線方向の両端面を、該樹脂シートの両主面から露出させてなるシート体を基材とし、該基材の両主面を、熱伝導性フィラーが分散した樹脂被膜で被覆してなる熱伝導シートであって、
当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
本明細書中の上記および以下の記載において、「シートの主面」および「シート状基材の主面」とは、それぞれ、「シートの厚み方向の端面」、「シート状基材の厚み方向の端面」を意味する。
本発明の熱伝導シートによれば、シートの厚み方向に高い熱伝導性を有し、しかも、シートの主面(厚み方向の端面)が良好な接着性と小さい熱抵抗を有するので、発熱体および放熱部品に対してシートの主面を直接接着して、発熱体と放熱部品間を接続することにより、発熱体から放熱部品への伝熱がスムーズで、しかも、強度的に安定な放熱構造を形成できるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1(a)、(b)は本発明の第1の態様の熱伝導シートの第1例を模式的に示した平面図および断面図である。
当該熱伝導シート100は、樹脂シート1の略全体に対して熱伝導性フィラー2を分散させてなるシート状基材10中に、複数の熱伝導路3を、その軸線方向がシート状基材10の厚み方向(図中矢印x方向)と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路3の軸線方向の端面3a、3bを、シート状基材10の両主面10a、10bから露出させた構成としている。
一方、図2(a)、(b)は本発明の第1の態様の熱伝導シートの第2例を模式的に示した平面図および断面図である。
当該熱伝導シート200は、樹脂シート1の両主面における表層部1A,1Bに熱伝導性フィラーを分散させてなるシート状基材20中に、複数の熱伝導路3を、その軸線方向がシート状基材20の厚み方向(図中矢印x方向)と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路3の軸線方向の端面3a、3bを、シート状基材20の両主面20a、20bから露出させた構成としている。
本発明の熱伝導シートは、シートの一方の主面を発熱体(例えば、半導体素子、マルチチップモジュール、電源用配線板等)に直接接着し、他方の主面を放熱部品(例えば、ヒートスプレッダー、ヒートシンク、放熱フィン等)に直接接着し、発熱体からの熱を放熱部品へ伝熱させるものである。そのために、上記図1及び図2に示されるように、第1の態様の熱伝導シートでは、複数の熱伝導路3が、シートの厚み方向(図1および図2の中の矢印x方向)に貫通した構造を有し、かかる複数の熱伝導路3によって、シートの厚み方向に高度の熱伝導性が得られるようにしている。また、シート状基材10、20(樹脂シート1)の少なくとも表層部(両主面における表層部)に熱伝導性フィラー2を分散させて、シートの主面(表層部)における熱伝導性をさらに向上させて、発熱体および放熱部品に直接接着する際の界面の熱抵抗が十分に小さくなるようにし、また、熱伝導路3以外の部分におけるシートの厚み方向における熱伝導性をもさらに向上させている。
図1に示す第1例の熱伝導シート100は、シート状基材10(樹脂シート1)の略全体に熱伝導性フィラー2を分散させたもので、熱伝導路3以外の部分におけるシート厚み方向の熱伝導性が、第2例の熱伝導シート200(図2)のそれよりもより良好となる利点がある。
一方、図2に示す第2例の熱伝導シート200は、シート状基材20(樹脂シート1)の表層部(両主面における表層部1A、1B)のみに熱伝導性フィラー2を分散させているので、シート状基材10(樹脂シート1)の内部まで熱伝導性フィラー2が分散した第1例の熱伝導シート100(図1)に比べて、シートの変形性(柔軟性)の点で良好であり、発熱体および放熱部品への接着時におけるシートの追従性、温度変化による線膨張によって生じる応力の緩和性等が優れるという利点がある。
本発明の熱伝導シートは、発熱体および放熱部に対して、他の部材や接着剤を使用せずに、直接接着し得るように構成したものであり、そのために、当該第1の態様の熱伝導シート(100、200)においては、シート状基材10、20(樹脂シート1)を構成する樹脂材料に、接着性を有する樹脂材料を使用している。ここで、接着性を有する樹脂材料とは、それ自体がそのままで接着性を示すもの、または、そのままでは接着性を示さないが、加熱および/または加圧により接着性を示すものである。例えば、加熱および/または加圧により、融着および/または圧着し得る熱可塑性樹脂や、加熱により熱硬化する熱硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、熱可塑性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上の樹脂を混合して用いてもよい。これらのうちでも、耐熱性、耐候性等の点から、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂が好ましく、特に好ましくはポリカルボジイミド樹脂である。
また、シート状基材10、20(樹脂シート1)中に分散させる熱伝導性フィラー2は、特に制限されないが、一般的には、金属、合金または含金属化合物等が使用される。そのうちでも熱伝導率が50W/mK以上のものが好ましく、具体的には、銀、銅、アルミニウム、アルミナ、はんだ、酸化亜鉛等が挙げられ、中でも、銀、銅が特に好ましい。なお、ここでの熱伝導率とは、定常法によって、それぞれの物質をバルクの状態で測定した熱伝導率である。
フィラーの形状は、特に限定されないが、球状、鱗片状、針状、繊維状等が好ましく、フィラー(粒子)間の接点が多くなり、熱がより伝わりやすくなるという観点から、球状、鱗片状が特に好ましい。また、フィラーの粒径は、平均粒径が5〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜30μm、とりわけ好ましくは10〜20μmである。平均粒径が5μm未満の場合、フィラー(粒子)間の接点数が多くなり過ぎて、接触抵抗が増加し、熱ロスが増加する傾向となり、平均粒径が50μmを超える場合、フィラー(粒子)間の接点数の減少による熱伝導路の減少が生じやすく、また、熱伝導シートのシート厚みを薄くしにくくなるため、好ましくない。なお、ここでの平均粒径とは、フィラー(粉体)を篩い掛けして、全体の50%が通過する篩いの孔径である。
シート状基材10、20(樹脂シート1)の熱伝導性フィラー分散部(すなわち、図1の熱伝導シート100においては樹脂シート1全体、図2の熱伝導シート200においては樹脂シート1における表層部1A、1B)における樹脂とフィラーの配合比は、重量比(樹脂:フィラー)で示すとして30:70〜3:97が好ましく、特に好ましくは10:90〜5:95である。この範囲を外れてフィラーの割合が多くなると、熱伝導シートは十分な強度が得られにくくなったり、発熱体および放熱部品に対して良好な接着性が得られなくなる虞がある。一方、樹脂の割合が多くなると、熱伝導性が低下し、発熱体および放熱部品との接着界面での熱抵抗が高くなり、発熱体と放熱部品間の熱伝達効率が低下する傾向となる。
熱伝導路3の材料は、熱伝導性材料であれば、特に制限なく使用できるが、熱伝導率が100W/mK以上の材料が好ましく、具体的には、銅、金、銀、アルミニウム、真鍮、ニッケルなどが挙げられる。これらは、いずれか1種または2種以上を組み合わせて使用できる。なお、ここでの熱伝導率とは前記と同様に定常法で測定される熱伝導率である。熱伝導路3の径は、その使用材料や、樹脂シート1に使用する材料の種類によっても異なるが、一般に30〜300μm、好ましくは30〜100μm、特に好ましくは50〜100μmである。ここでの径とは、熱伝導路3の断面が円形の場合はその円形の断面の直径を意味し、熱伝導路3の断面が円形以外の形状の場合はその円形以外の断面の面積と等しい面積の円を想定したときの当該円の直径を意味する。また、シート状基材10、20中における隣接する2本の熱伝導路3間の軸心間隔(ピッチ)は50〜300μm、好ましくは60〜200μm、より好ましくは80〜100μmである。当該軸心間隔(ピッチ)が50μm未満であると、熱伝導シートの柔軟性が低下し、また、300μmを超えると、シートの単位面積当りの熱伝導路3の本数が少なくなりすぎで、熱伝導シートの熱伝導性が低下し、好ましくない。また、シート内の異なる領域で熱伝導路3の構成材料を変えても良い。
当該第1の態様による熱伝導シート100、200の厚みは、一般に50〜1000μm、好ましくは100〜600μm、特に好ましくは200〜500μmである。該厚みが、50μm未満の場合、発熱体および放熱部品の表面(凹凸)への追従性が低下するため、好ましくなく、また、1000μmを超える場合、発熱体と放熱部品間の距離が大きくなるので、熱抵抗を十分に小さくできず、好ましくない。
また、図2に示す第2の例の熱伝導シート200における、シート状基材20(樹脂シート1)中の熱伝導性フィラー2を分散させた表層部1A、1Bの厚み(図2(b)中のD1)は一般に5〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。当該厚みD1が50μmより大きいと、シート全体の厚さが増加し、熱伝導距離を長くしてしまうため、熱伝導効率が低下する傾向を示し、また、5μmより小さい場合は、熱伝導路以外の部位からの熱を十分に伝達しきれなくなる傾向を示す。
また、当該第1の態様による熱伝導シート100、200の弾性率は100MPa〜2GPaであるのが好ましく、500MPa〜1.8GPaが特に好ましい。当該シートの弾性率は用いる熱伝導性材料、樹脂材料によって決定される。また、特に熱硬化性樹脂を採用する場合には、その硬化条件を選択することによっても調整可能である。ここでの、シートの弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMS210、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定される。測定条件は、当該熱伝導シートのシートの面が拡張する方向のうちの一方向に対し、引っ張りモードで、一定の周波数(10Hz)で、温度35℃での測定とする。測定時に入力する試料の厚みは、0.5mmとする。
本発明の熱伝導性シートは以下の態様とすることもできる。
図3(a)、(b)は本発明の第2の態様の熱伝導シートの一例の平面図および断面図である。
該熱伝導シート300は、樹脂シート11中に、複数の熱伝導路3が、その軸線方向が樹脂シート11の厚み方向(図中矢印x方向)と略平行となるように配置され、かつ、各熱伝導路3の軸線方向の端面3a、3bを、樹脂シート11の両主面11a、11bから露出させたシート体40を用い、該シート体40の両主面40a、40bを、熱伝導性フィラー2が分散した樹脂被膜4で被覆して構成している。
前記したように、本発明の熱伝導シートは、シートの一方の主面を発熱体に接着させ、他方の主面を放熱部品に接着させるように構成されたものであり、当該第2の態様の熱伝導シート(熱伝導シート300)では、熱伝導性フィラー2が分散した樹脂被膜4が少なくとも前述の接着性を有する樹脂材料で構成されている。なお、当該第2の態様の熱伝導シート(熱伝導シート300)においては、シートの両主面が、熱伝導性フィラー2が分散した樹脂被膜4による面であるので、前記第1の態様の熱伝導シートに比べて発熱体および放熱部品に対してより良好な接着性が得られるという利点がある。
基材であるシート体40を構成する樹脂シート11に用いる樹脂としては、必ずしも接着性を有していなくてもよく、公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱硬化性樹脂としては、たとえばフェノール系、ビフェニル系などのエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカルボジイミド樹脂などが例示される。また熱可塑性樹脂としては、たとえばフェノキシ樹脂、フッ素樹脂、ナイロン6やナイロン6,6などのポリアミド樹脂、PET系やPBT系などの飽和ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などのポリイミド樹脂などが例示される。これらの樹脂はいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
熱伝導性フィラー2が分散した樹脂被膜4の厚み(図3(b)中のD2)は、一般に5〜30μm、好ましくは5〜20μm、より好ましくは10〜20μmである。厚みが30μmより大きい場合、発熱体および放熱部品との接着面と熱伝導路3との間の距離が長くなることから、十分なシート厚み方向の熱伝導性が得られなくなる虞があり、また、厚みが5μm未満である場合には、発熱体および放熱部品に対して十分に高い接着性が得られなくなる虞がある。
また、熱伝導性フィラー2が分散した樹脂被膜4における樹脂とフィラーの割合は、重量比(樹脂:フィラー)が30:70〜3:97が好ましく、特に好ましくは10:90〜5:95である。この範囲を外れてフィラーの割合が多くなると、シート強度が得られにくくなり、また、発熱体および放熱部品に対して良好な接着性が得られなくなる虞がある。一方、樹脂の割合が多くなると、十分に高い熱伝導性が得られなくなる虞がある。
シート体40(基材)における熱伝導路3の構成材料、隣接する2本の熱伝導路3間の軸心間隔(ピッチ)等は、前記第1の態様による熱伝導シートのシート状基材におけるそれと同様である。また、シート体40(基材)の厚みは、一般に、50〜800μm、好ましくは100〜500μmである。該厚みが800μmを超えて大きくなると、熱伝導路の距離が長くなるため、熱伝導効率が低下する傾向となり、また、該厚みが50μmをより小さい場合は、シートの柔軟性が低下するため、放熱部品への追従性が低下する傾向となり、好ましくない。
当該第2の態様の熱伝導シートの弾性率は100MPa〜2GPaであるのが好ましく、500MPa〜1.8GPaが特に好ましい。当該シートの弾性率は用いる熱伝導性材料、樹脂材料によって決定される。また、特に熱硬化性樹脂を採用する場合には、その硬化条件を選択することによっても調整可能である。ここでの弾性率は、前記と同様に、動的粘弾性測定装置(DMS210、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定される。測定条件は、当該熱伝導シートのシートの面が拡張する方向のうちの一方向に対し、引っ張りモードで、一定の周波数(10Hz)で、温度35℃での測定とする。測定時に入力する試料の厚みは、0.5mmとする。
本発明の熱伝導シート(第1の態様および第2の態様)においては、シートの機械的特性等の調整のために、基材(シート体)中に可塑剤やゴム材料を添加してもよい。可塑剤としては、たとえばTCP(リン酸トリクレシル)、DOP(フタル酸ジオクチル)などが挙げられる。また、ゴム材料としては、たとえばNBS(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンゴム)などが挙げられる。
本発明の熱伝導シート(第1の態様および第2の態様)においては、5W/mK以上の熱伝導率、好ましくは10W/mK以上の熱伝導率を達成できる。また、0.2cmK/W以下の熱抵抗率、好ましくは0.1cmK/W以下の熱抵抗率を達成できる。なお、ここでの熱伝導率、熱抵抗率は以下の方法で測定される値である。
[熱抵抗率、熱伝導率]
20μmφのCuブロックで作られたヒートブロックを高温側100℃、低温側10℃に設定し、その間に試料を挟み込み、熱の移動を熱電対で10mm間隔で測定する。熱移動が定常状態になった時の温度差(サンプルを挟んだ位置)と熱量[W]から熱抵抗[K/W]を測定する。そして、この値を単位面積当たりに換算して熱抵抗率[cmK/W]を算出する。
また、熱伝導率[W/mK]は上記のようにして測定した熱抵抗率[cmK/W]と試料の厚さから計算する。すなわち、熱伝導率=試料の厚さ/熱抵抗率、により計算する。
本発明の熱伝導シートの製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
[図1の例の熱伝導シート]
図1の例の熱伝導シートを作製する場合、先ず、熱伝導性フィラーを所定量分散させた樹脂フィルム(シート)を作成する。これは、例えば、ワニスタイプの樹脂に対して、その固形分量に対する比率で粉末又はスラリーの状態のフィラーを加え、攪拌分散させる。このようにして得たワニスをキャスティング、スピンコーティング等の方法によりフィルム化する。次に、円筒治具(芯材)にこの熱伝導性フィラー分散樹脂フィルム(シート)を捲き付ける作業と、金属材料等の熱伝導性材料からなる線材をコイル状に捲き付ける作業とを繰り返し行い、樹脂フィルム(シート)と巻線コイルとが交互に重なったロール状物を作製する。
なお、線材の巻線は、リレー、トランスなどの電磁コイルを製造するための公知技術、たとえば、芯材を回転させるスピンドル方式や、線材を周回させるフライヤー方式などを応用してもよい。また、巻線は、1本の線材を芯材に巻き付ける一般的な方法や、複数本の線材を芯材に巻き取る方法などが挙げられる。また、巻線は、荒い送りピッチと高速回転による乱巻きや、送りピッチを線材の外径程度として比較的低速回転で密着巻きし、下層の線材に対して俵積みのように細密に線材を積み重ねていく最密巻きが挙げられる。これらの巻線の態様は、線径、コスト、用途などに応じて適宜選択できる。
次に、上記ロール状物に対して、加熱および/または加圧を施し、巻線コイルを挟む隣接する熱伝導性フィラー分散樹脂フィルム(シート)同士を融着および/または圧着して、巻線コイルを多層に含むブロックを形成する。
上記加熱および/または加圧は、巻線の際にある程度のテンションを作用させているので、加熱だけを施す加工や、加熱と加圧を同時に施す加工が好ましい。加熱の温度は、熱伝導性フィラー分散樹脂フィルム(シート)の樹脂材料に応じて適宜選択されるが、通常、材料の軟化点〜250℃程度である。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合には、硬化温度よりも低い温度で加熱するのがよい。また、加圧する場合の圧力は、好ましくは1〜20kgf/cm2、より好ましくは1〜10kgf/cm2程度である。
次に、上記ブロックを薄くフィルム(シート)状にスライスする。このとき、芯材を抜いてスライスするか、芯材ごとスライスした後に芯材部分を分離する等、目的物の態様に応じて自由に選択できる。このときのスライスは、巻きつけられた線材と直角に交差する平面を断面とし、目的のフィルム厚みとなるように切断する。
上記ブロックの切断は、公知の切断装置、切断工具にて行うことができる。また、1つのブロックから1枚の熱伝導シートを得るだけなら、両サイドからの切削・研磨であってもよい。熱伝導シートの各面の仕上げは、必要に応じて行う。
なお、異なる熱伝導性材料からなる熱伝導路が混在する熱伝導性シートを得る場合には、一層の巻線コイルを形成する途中で線材を異なる材料からなる線材に変更する、および/または、異なる巻線コイル間で線材の種類を変更すればよい。
また、上記の方法は効率、精度の点で好ましい方法であるが、例えば、以下の方法でも目的の熱伝導性シートを作製できる。
先ず、金属材料等の熱伝導性材料からなる線材の表面に、熱伝導性フィラーと樹脂材料の組成物からなる被覆層を形成する。そして、かかる被覆層付き線材を円筒治具(芯材)に多層に巻線してロール状物とし、これを加熱および/または加圧して、巻き付けられた被覆層付き線材の被覆層どうしを融着および/または圧着させて一体化しコイルブロックを形成する。次に、このようにして得られたコイルブロックを、線材と角度をなして交差する平面を断面として所定のフィルム厚さに切断する。
[図2の例の熱伝導シート]
図2の例の熱伝導シートの製造する場合、先ず、円筒治具(芯材)に、樹脂フィルム(シート)を捲き付ける作業と、金属材料等の熱伝導性材料からなる線材をコイル状に捲き付ける作業とを繰り返し行い、樹脂フィルム(シート)と巻線コイルとが交互に重なったロール状物を作製する。次に、前記の図1の例の熱伝導シートを作成する場合と同様に、ロール状物に対して、加熱および/または加圧を施し、巻線コイルを挟む隣接する樹脂フィルム(シート)同士を融着および/または圧着して、巻線コイルを多層に含むブロックを形成した後、該ブロックを、線材と角度をなして交差する平面を断面として所定のフィルム厚さに切断する。
次に、上記作製した線材含有樹脂フィルム(シート)の、線材の端面が露出するフィルム(シート)の両主面(厚み方向の両端面)に対し、有機溶剤によるウエットエッチング、プラズマエッチング、アルゴンイオンレーザー、KrFエキシマレーザーなどによるドライエッチング等を施して、当該フィルムの両主面の樹脂部分を選択的にエッチングして、線材(熱伝導路)の端部を所定高さ突出させる。なお、ウエットエッチングを行う場合の有機溶剤には、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンなどが使用される。
次に、適当な溶媒に樹脂材料を溶解(分散)し、さらに熱伝導性フィラーを分散して得られた塗工液を、上記線材含有樹脂フィルム(シート)のエッチング除去された線材(熱伝導路)間の凹部に、該塗工液を塗工、乾燥して、熱伝導性フィラー分散樹脂層を形成する。
なお、上記のエッチング加工される前の線材含有樹脂フィルム(シート)の作製は、円筒治具(芯材)に樹脂材料で被覆した線材(金属材料等の熱伝導性材料からなる線材)を多層に巻線したロール状物を作成し、該ロール状物に加熱および/または加圧を施してブロックとし、該ブロックをフィルム(シート)状にスライスすることによっても作製できる。
[図3の例の熱伝導シート]
図3の例の熱伝導シートを作製する場合、上記図2の例の熱伝導シートと同様に、まず、金属材料等の熱伝導性材料からなる線材を含む線材含有樹脂フィルム(シート)を、上記と同様の方法で作成した後、当該線材含有樹脂フィルム(シート)の両主面(厚み方向の両端面)に、適当な溶媒に樹脂材料を溶解(分散)し、かつ、熱伝導性フィラーを分散させた塗工液を塗工、乾燥して、熱伝導性フィラーが分散した樹脂被膜を形成する。
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に記載の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱伝導性フィラーとして鱗片状銀粉(福田金属箔粉工業製 AgC−GS)を用い、ポリカルボジイミド樹脂との重量比(フィラー:ポリカルボジイミド樹脂)が95:5となるように、これらをトルエン(溶媒)に配合して塗工液(ワニス)を調製し、該塗工液(ワニス)を実験塗工機を使用して塗工し、乾燥することで、厚み約80μmの熱伝導性フィラー分散シートを形成した。そして、円筒治具(芯材)にこのシートを捲きつけ、さらにその上に線径60μmの銅線(古河電工社製)をピッチ100μmで捲きつける作業を繰り返して行った後、かかる多層構造物に180℃、10kgf/cmで加熱・加圧を行って、ブロックを作製した。次に、ブッロクを線材と直角に交差する平面を断面として切断し、厚み0.24mmの熱伝導シートと、厚み0.4mmの熱伝導シートを作製した。なお、これらのシートにおける熱伝導路ピッチは0.1mm、シートの弾性率は1.8GPaであった。
(実施例2)
円筒治具にポリウレタンシート(100μm厚)を捲きつけ、さらにその上に線径60μmの銅線(古河電工社製)をピッチ100μmで捲き付ける作業を繰り返し行った後、かかる多層構造物に180℃、5kgf/cmで加熱・加圧を行ってブロックを作製した。次に、このブロックを線材と直角に交差する平面を切断面として切断し、厚み0.4mmのシートを作製した。さらにそのシートの表面にプラズマエッチングを行い、樹脂部のみを選択的に削りとることで、銅線の端部を20μm突出させた。そして、その凹部に対して実施例1で調製したワニスと同様のワニスを埋め込み、乾燥させることで、熱伝導シートを作製した。なお、これらのシートにおける熱伝導路ピッチは0.1mm、シートの弾性率は1.1GPaであった。
(実施例3)
実施例2で作製した厚み0.4mmのシートに対して実施例1と同様にして作製した厚さ20μmの熱伝導性フィラー分散シートを両面に貼り合わせることで、熱伝導シートを作製した。
(比較例1)
熱伝導性フィラー分散シート(熱伝導性フィラー分散ポリカルボジイミド樹脂シート)の代わりに、ウレタン樹脂シートを使用した以外は、実施例1の方法に準拠して熱伝導路間ピッチ100μm、シート厚み0.48mmの熱伝導性シートを作製した。該シートの弾性率は1GPaであった。
(比較例2)
シリコーンゴムに熱伝導性フィラーである酸化亜鉛を分散させた市販の熱伝導性シート(日東シンコー社製、HT−050、厚み0.5mm)。該シートの弾性率は5MPaであった。
下記の表1は上記実施例1〜3、比較例1、2の熱伝導シートの熱抵抗率、熱伝導率である。
Figure 2006054221
表1から、実施例1〜3の熱伝導シート(本発明の熱伝導シート)は従来の熱伝導シートに比べて熱抵抗率を極めて小さく、それによって極めて高い熱伝導率が得られることが分かる。
実際に上記実施例1〜3で作製した熱伝導シートと比較例1、2の熱伝導シートをそれぞれ発熱体であるシリコンウエハ上に重ね、その上に放熱部品である銅板(0.5mm圧厚)を積んで、温度200℃、圧力0.5MPaで加熱・加圧を施し、放熱構造を形成した。そして、熱抵抗測定装置にそれらのサンプルを挟み込み、全体の熱抵抗を測定した。その結果、本発明の熱伝導シート(実施例1〜3の熱伝導シート)によれば、発熱体と放熱部品に対して熱伝導シートが低接触抵抗で安定に接合し、発熱体から放熱部品へ効率良く熱を移動させることが可能であり、比較例1、2の熱伝導シートに比べて優れた熱伝導性と接着性を達成することが分かった。
図(a)および図(b)は本発明の第1の態様による熱伝導シートの第1の例を模式的に示した平面図および断面図である。 図(a)および図(b)は本発明の第1の態様による熱伝導シートの第2の例を模式的に示した平面図および断面図である。 図(a)および図(b)は本発明の第2の態様による熱伝導シートの一例を模式的に示した平面図および断面図である。
符号の説明
100 熱伝導シート
1 樹脂シート
2 熱伝導性フィラー
3 熱伝導路
10 シート状基材
10a、10b シート状樹脂基材の主面
3a、3b 熱伝導路の端面

Claims (4)

  1. 樹脂シートの略全体に熱伝導性フィラーを分散させてなるシート状基材中に、複数の熱伝導路を、その軸線方向が該シート状基材の厚み方向と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路の軸線方向の端面を、シート状基材の両主面から露出させた熱伝導シートであって、
    当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
  2. 樹脂シートの両主面の表層部に熱伝導性フィラーを分散させてなるシート状基材中に、複数の熱伝導路を、その軸線方向が該シート状基材の厚み方向と略平行となるように配置し、かつ、各熱伝導路の軸線方向の端面を、シート状基材の両主面から露出させた熱伝導シートであって、
    当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
  3. 樹脂シートの熱伝導性フィラーが分散した表層部の厚みが5〜50μmであることを特徴とする請求項2記載の熱伝導シート。
  4. 樹脂シート中に、複数の熱伝導路が、その軸線方向が該樹脂シートの厚み方向と略平行となるように配置され、かつ、各熱伝導路の軸線方向の両端面を、該樹脂シートの両主面から露出させてなるシート体を基材とし、該基材の両主面を、熱伝導性フィラーが分散した樹脂被膜で被覆した熱伝導シートであって、
    当該シートの一方の主面を発熱体に直接接着し、他方の主面を放熱部品に直接接着することを特徴とする、熱伝導シート。
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