以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るヒータ1と、そのヒータ1を利用して作製されたウェハ加熱用ヒータ110、および該ウェハ加熱用ヒータ110を用いたウェハ加熱装置111の一例を示す断面図であり、板状体2の一方の主面をウェハWを載せるウェハ載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、該抵抗発熱体5に電気的に導通できる金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6を具備した後に、抵抗発熱体5に複数の溝mを設けて抵抗値を調整すると、ヒータ1を利用したウェハ加熱用ヒータ110を作製できる。
次に、給電部6を囲む金属ケース19が、ヒータ1と直接接触しないように接続部材17を介して、ヒータ1の他方の主面の周辺部に固定する。
次に、金属ケース19開口部近傍の外周にボルト16を貫通させ、金属ケース19側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、ヒータ1の温度が変動した場合に金属ケース19が変形しても、弾性体18によって上記変形力を吸収し、これにより板状体2の反りを抑制し、ウェハW表面に、板状体2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。
ここで、金属ケース19は底面21と側壁部22を有し、板状体2はその有底の金属ケース19の開口部を覆うように設置してある。また、金属ケース19の底面21には、板状体2を冷却するためのガス噴射口24と、冷却ガスを排出するための孔23が施されており、ヒータ1に給電するための給電部6に導通するための給電端子11、ヒータ1の温度を測定するための測温素子27を設置すると本発明のウェハ加熱装置111を作製できる。
そして、ヒータ1を貫通する貫通孔26を通してリフトピン25を設け、搬送アーム(不図示)にて載置面3の上方まで運ばれたウェハWをリフトピン25にて支持したあと、リフトピン25を降下させてウェハWを載置面3上に載せる。そして、給電部6に給電端子11が接続し外部から電力が供給され、測温素子27で板状体2の温度を測定しながらウェハWを加熱することができる。
尚、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、ウェハWの片当たり等によって生じる温度バラツキを防止するようにしている。また、抵抗発熱体5を複数のゾーンに分割する場合、それぞれのゾーンの温度を独立に測定し各抵抗発熱体5を制御することにより、各給電部6の給電端子11に電力を供給し、各測温素子27の温度が各設定値となるように給電端子11に加える電力を調整し、載置面3に載せたウェハWの表面温度が均一となるようにしている。
そして、ウェハWを加工処理した後、ガイド部材10を介してリフトピン25によりウェハWを持ち上げ、搬送アームで搬出することができる。
また、図2(a)は本発明のヒータ1の一例を示す平面図であり、板状体2の一方の主面にスクリーン印刷法等で形成された帯状の抵抗発熱体5を設けている。
ここで、抵抗発熱体5からなる帯は、ほぼ同一線幅を有する円弧状の帯5i、5j、5k、5m、5n、5o、および5pと、それらを繋ぐ折り返し円弧状の帯5q、5r、5s、5t、5u、および5vとを連続させて略同心円状に構成し、円弧状の帯5i、5jの端部を給電部6としてある。その為、円弧状の帯5iと円弧状の帯5j、円弧状の帯5kと円弧状の帯5m、円弧状の帯5nと円弧状の帯5o、及び円弧状の帯5pがそれぞれ円を構成するように配置され、各円が同心円状に配置されていることから、抵抗発熱体5を発熱させれば、載置面3の温度分布を中心から周縁部に向かって同心円状に分布させることができる。
また、半径方向に隣り合う円弧状の帯5i、5jと円弧状の帯5k、5m、円弧状の帯5k、5mと円弧状の帯5n、5o、円弧状の帯5n、5oと円弧状の帯5pとの距離L4、L5、Lrをそれぞれほぼ等間隔に配置してあることから、各円弧状の帯5i〜5pにおける単位体積当たりの発熱量を等しくすることができるため、載置面3における半径方向の発熱ムラを抑えることができる。
ヒータ1は、抵抗発熱体5の帯の長手方向に略並行で、長さが同等な複数の溝m1、m2・・・からなる群gをなし、前記群gは帯の幅の中央部にあることが好ましい。ここで、群gが抵抗発熱体5の帯の中央部にあるとは、群gの幅方向の中心が前記帯の中央にあることを示すもので、より具体的には群gの幅方向の中心が帯を幅方向に4等分した領域の中央の2つの領域つまり中央部50%より小さい範囲にあることがより好ましい。
このように抵抗発熱体5の少なくともその一部に溝mを形成することにより、抵抗調整部を設け、抵抗発熱体5の発熱量を調整することによりヒータ1の温度を均一にしてウェハWの面内温度差が小さくなるようにすることもできる。
抵抗発熱体5の帯の長手方向に垂直な断面図では群gで分けた抵抗発熱体5の帯の両側の抵抗発熱体5の帯の断面積がほぼ等しくなる。すなわち両側の抵抗発熱体5の帯の抵抗値が略等しくなる。そのため抵抗発熱体5の帯の幅方向で左右略均等の発熱量となり、群gを形成して抵抗発熱体5の部分的な抵抗値のバラツキを調整しても抵抗発熱体5の帯の幅方向の中心線が設計位置から大きく変わることがなく、設計した抵抗発熱体5パターンに溝を形成して抵抗調整することでヒータ1を均一に加熱することができることから例えばウェハ加熱用として用いられるウェハ加熱用ヒータ110としてW面内の温度差を小さくすることができる。
一方、図8や図9のように群gの幅方向の中心が抵抗発熱体5の幅方向の中央からずれた場合、抵抗発熱体5の帯の断面積の大きな面に大きな電流が流れ、その部分が発熱し易くなる。そのため抵抗発熱体5の帯の幅方向で左右の発熱バランスが崩れ幅方向で温度差が生じることから、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞がある。
本発明のヒータ1は、図2(a)に示すように、板状体2の表面に帯状の抵抗発熱体5を備え、該抵抗発熱体5は長手方向に略並行な複数の溝mを有し、該溝mを板状体2の中心側に偏在させたことを特徴とする。または、図2(b)に示すように、上記溝mを板状体2の外周側に偏在させたことを特徴とする。これは、抵抗値を調整するための溝mを抵抗発熱体5の不規則な場所に設けると、ヒータを急速に加熱したり、強制冷却を繰り返すことにより抵抗発熱体5が板状体2から剥離したり、抵抗発熱体5の抵抗値にバラツキが生じ易いからである。特に、抵抗発熱体5の幅方向に発生するクラックが抵抗発熱体5の中央部まで進行、成長して抵抗発熱体が断線しヒータ1の重大な故障の原因となる虞があるからである。さらには、たとえ、抵抗発熱体5を板状体2の表面に対称性良く配設しても、溝mの位置により微妙に抵抗発熱体5の発熱域が変化しやすくなるため、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞がある。
これに対して、抵抗発熱体5に形成する溝mを板状体2の中心側に偏在、もしくは外周側に偏在するように形成すると、上記クラックの進行を防止して抵抗値のバラツキを抑制するとともに、対称性よく溝mを配置することができるため、抵抗発熱体5の加熱域をほぼ均一な温度に維持することが可能であり、ウェハW面内の温度差を0.3℃以内にすることができる。
また、円板状のウェハを加熱する際には、ヒータ1を構成する板状体も円板状に形成し、ウェハを均一に加熱するには、ウェハの中心に対し中心対称に加熱できるように、上記板状体に抵抗発熱体を形成することが好ましい。これは、ウェハの中心に対し中心対称性が崩れるとヒータ1を収納する容器や周辺部材への放熱を調整できないことからウェハ面内の温度差が大きくなる虞があるからである。そこで、ウェハに対し中心対称に形成された帯状の抵抗発熱体に対し、帯に形成された溝がウェハの中心に対し、帯の外側に偏在・形成したり、内側に偏在・形成してウェハを加熱する抵抗発熱体5の発熱量を中心対称とすることでウェハ面内の温度差を小さくすることができる。なお、上記クラックの進行を効果的に抑制するために、溝mを板状体2の中心側と外周側に略均等で上記帯に形成してもよい。
ここで、溝mを板状体2の中心側もしくは外周側に偏在させるとは、抵抗発熱体5の長手方向における中心線より上記中心側に寄せて溝mを設ける、もしくは上記外周側に寄せて溝mを設けることを意味している。また、溝mの幅が抵抗発熱体5の帯の幅(短手方向)の半分以上であると、溝mは上記中心線を跨るが、この場合は、抵抗発熱体5上で溝mの面積を多く占有している方を偏在している方向とする。また、下記で詳細に説明するが、溝mが群Gを構成する場合でも、同様の考え方をすればよい。
また、抵抗発熱体5の帯の幅は0.5〜8mmで作製することがウェハWの面内温度差を小さくする上で好ましい。帯の幅が0.5mm以下では印刷法で形成すると線幅が細か過ぎて滲み等が発生し好ましくない。また、8mmを越えると帯の湾曲部の内外周で発熱量が大きく異なり均一に発熱させることが困難である。より好ましくは1〜4mmである。
また、溝mは図3に示すように、帯の長手方向に略並行に複数備えられ、互いに隣接する複数の溝m1、m2・・・からなる群G1を形成することが好ましい。これは、このような帯に対し溝mの幅は数十μm程度と小さく、その深さも帯の厚みの20〜80%程度と小さいことから、一本の溝で区間の抵抗値を調整できる量は0.025〜1.6%程である。そこで、これらの溝mを上記帯の長手方向に略並行に複数備え、互いに隣接する複数の溝m1、m2・・・からなる群G1を有することで、各区間の抵抗値を精度良く調整できるとともに、例え10%程度の抵抗バラツキが各区間で生じても複数の溝mを多数形成することで抵抗値を所定の値に調整することができる。
また、図3に示すように、群G1〜G3は抵抗発熱体5の帯の長手方向に略並行に沿って複数に分割され、上記群G1と群G2との間隔Ggが上記帯の幅Whより小さいことが好ましい。これは、間隔Ggが帯の幅Whより大きいと、この部分で抵抗が小さくなり発熱量が低下してクールスポットを形成する虞があるからである。尚、間隔Ggを設けないと、1つの群Gの長さが大きくなるため、図9に示すように、微妙な位置ずれが拡大する。そして、始点P1で中心に合わせても終点P2では帯の幅の中心からずれた箇所に群Gが形成される。そのため、群Gの終点P2に隣接する抵抗発熱体5の断面の左右で電流通路となる断面積が大きく異なり、抵抗発熱体5の帯の断面において、帯の左右で発熱量が異なりウェハWの面内温度差が大きくなる虞が生じる。
また、上記群Gの長さは、各群Gが形成されている1つの上記帯の中心線の総長さの30〜97%であることが好ましい。これは、溝mや群Gを帯の長さ方向の投影線の総長さが30%未満では、スクリーン印刷法で作製した帯の厚みバラツキを溝mや群Gで調整することが困難であり、97%を越えると帯の湾曲部に形成する溝の作製が困難であり、実用的でない。好ましくは60〜90%であり、更に好ましくは70〜85%である。
また、上記帯は略同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pと、それらを繋ぐ折り返し円弧状の帯5q〜5vとからなるとともに、少なくとも1箇所で同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状5u〜5vの帯の間の距離Lmが、上記円弧状の帯5n〜5p、5o〜5pの間の距離Lrよりも小さいことが好ましい。
これは、距離Lmが距離Lrよりも大きいと、このような円弧状の帯5n〜5pと折り返し円弧状の帯5u〜5vとの折り返し部周辺の空隙部Qの発熱密度が小さくなるために、ウェハWの面内温度差が大きくなり均熱性が損なわれる虞があるからである。
これに対し、距離Lmが距離Lrよりもそれぞれ小さくすると、空隙部Qの発熱量が相対する折り返し円弧状の帯5u〜5vからの発熱で補われ、空隙部Qでの温度低下を抑えることができるため、載置面3に載せたウェハWの面内温度差を小さくすることができ、均熱性を高めることができる。
更に、上記抵抗発熱体5の同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯5q〜5vの間の距離L1、L2、Lmが全ての箇所で略同心円状に配設した円弧状の帯5i〜5pの間の距離L4、L5、Lrよりも小さいと更に好ましい。
特に、上記同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯5q〜5vの間の距離L1、L2、Lmが、略同心円状に配設した円弧状5i〜5pの帯の間の距離L4、L5、Lrの30〜80%、より好ましくは40〜60%とすれば、載置面3における均熱性をさらに高めることができる。尚、距離L1〜Lmはそれぞれ各抵抗発熱体5間を数箇所で測定し、その平均距離を算出したものである。
また、略同心円状に形成された上記抵抗発熱体5は、同心円状の最外周の抵抗発熱体の帯5pとその内側の帯5o、5nとの間隔Lrが、上記最外周の抵抗発熱体を除く抵抗発熱体の同心円状の帯の間隔L5、L4より小さいことが好ましい。ヒータ1の周辺部はその周辺部への熱の放射や対流により熱が奪われやすく、ヒータ1の周辺部の温度が低下する虞があるが、最外周の抵抗発熱体の帯5pとその内側の帯5o、5nとの間隔Lrを小さくすることで、周辺部の発熱量を大きくする事ができるからである。そして、ヒータ1に被加熱物を載せ加熱すると被加熱物の面内を均一に加熱できるからである。
また、本発明のウェハ加熱用ヒータ111は、板状体2の一方の主面をウェハ載置面3とし、上記板状体2の他方の主面に帯状の抵抗発熱体5を備え、該抵抗発熱体5は略同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pと、それらを繋ぐ折り返し帯5q〜5vとからなるとともに、長手方向に略並行な溝mを有し、同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pに形成された上記溝mを上記板状体2の中心側に偏在させたことを特徴とする。これは、板状体2の中心を中心とする略同心円状に配設する円弧状の帯は板状体2の中心に対して中心対称に発熱させることが重要であり、同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pの溝mが中心側に偏在していることで、ヒータを急速に加熱したり、強制冷却を繰り返すことにより抵抗発熱体5が板状体2から剥離したり、抵抗発熱体5の抵抗値にバラツキを抑制できる。また、ヒータの急速加熱、および強制冷却を繰り返して上記溝の近傍から抵抗発熱体の幅方向に発生するクラックの進行を上記溝で防止できることから重大な故障を回避することができる。更に、対称性よく溝mを配置することができるため、抵抗発熱体5の発熱域をほぼ均一な温度に維持することが可能であり、ウェハW面内の温度差を0.3℃以内に小さくすることができる。尚、略同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pとそれらを繋ぐ折り返し帯5q〜5uは、図2に示すような円弧状であっても不図示の直線状であっても良い。
また、同様に板状体2の一方の主面をウェハ載置面3とし、上記板状体2の他方の主面に帯状の抵抗発熱体5を備え、該抵抗発熱体5は略同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pと、それらを繋ぐ折り返し帯5q〜5vとからなるとともに、長手方向に略並行な溝mを有し、同心円状に配設する円弧状の帯5i〜5pに形成された上記溝mを上記板状体2の外周側に偏在させたことを特徴とする。このように外周側に偏在させることで、上述した溝mを板状体の中心側に偏在させたものと同様に、クラックの進行を防止するとともに、ウェハW面内の温度差を小さくすることができる。なお、略同心円状に配置された1つの抵抗発熱体5の帯において、抵抗発熱体5を板状体2へ投影した投影面で板状体2と発熱抵抗体5の境界線では、熱膨張により抵抗発熱体5の帯の外側の境界線から該帯の内部を通過して板状体の中心側に伸びるクラックが抵抗発熱体5に発生し易いが、上記溝が外周側に偏在しているとこの溝でクラックの伸展が抑えることができることから、抵抗発熱体の抵抗変化を小さく抑えることができきるとともに抵抗発熱体の断線を防止する効果が大きい。従って、上記溝は外周側に偏在させるほうがより好ましい。
また、上記溝mは上記抵抗発熱体5の抵抗値を調整可能な溝mであることが好ましい。
ここで溝mは、貴金属からなる導電性物質とガラス質の結合剤とで形成される抵抗発熱体5をレーザ光線により溶融除去することで形成できる。また、レーザ光線であれば、細い溝mを精度よく形成することが容易であり好ましい。レーザ光の大きさは5〜100μmが好ましくより好ましくは30〜80μm、更に好ましくは50〜70μmである。レーザビーム等で溝mを形成するが、溝mの大きさはレーザビームの出力と照射時間で決まり、通常溝mを加工中は出力や照射時間は変更されないことから、溝mの深さは略同等となる。そこで、周辺部の厚みの小さな領域を除く抵抗発熱体5の帯の幅の90%以内の箇所に溝mを形成した場合、溝mが抵抗発熱体5を貫通する虞がなく、溝mの底部にクラックを発生する虞が小さく好ましい。しかしながら抵抗発熱体5の帯の幅の90%を越えて溝mを形成した場合、抵抗発熱体5の両端の膜厚が薄い箇所に溝mが形成されることから、溝mが抵抗発熱体5を貫通したりレーザビームが板状体2に照射されて、微小クラックが生じる虞がある。
また、図5に示すように上記抵抗発熱体5の同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の間の距離Lm、Lm2が少なくとも1箇所で略同心円状に配設した円弧状の帯の間の距離Lr、Lr2よりも小さいことが好ましい。距離Lm、Lm2が距離Lr、Lr2より小さいとLm付近の例えばQの位置での温度低下を防止することができることからウェハ面内の温度差を小さくすることができる。
また、上記抵抗発熱体の同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の間の距離Lm、Lm2が全ての箇所で略同心円状に配設した円弧状の帯の間の距離Lr、Lr2よりも小さいことが好ましい。このようにそれぞれの距離Lm、Lm2がそれぞれに対応して
距離Lr、Lr2よりも小さいとウェハの全ての表面域で温度差のバラツキが小さくなり好ましい。
そして、上記同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の間の距離Lm、Lm2が、略同心円状に配設した円弧状の帯の間の距離Lr、Lr2の30〜80%、より好ましくは40〜60%とすれば、載置面3における均熱性をさらに高めることができる。尚、距離L1〜Lmはそれぞれ各抵抗発熱体5間を数箇所で測定し、その平均距離を算出したものである。
また、略同心円状に形成された上記抵抗発熱体5は、同心円状の最外周の抵抗発熱体の帯とその内側の帯との間隔Lrが、上記最外周の抵抗発熱体を除く抵抗発熱体の同心円状の帯の間隔L4、Lr5、Lr2より小さいことが好ましい。ウェハ加熱用ヒータ110の周辺部はその周辺部への熱の放射や対流により熱が奪われやすく、ウェハ加熱用ヒータ110の周辺部の温度が低下する虞があるが、最外周の抵抗発熱体の帯5pとその内側の帯5o、5nとの間隔Lrを小さくすることで、周辺部の発熱量を大きくする事ができるからである。そして、載置面3にウェハを載せ加熱するとウェハの面内を均一に加熱できるからである。
以上本発明の特徴に付いて説明したが、関連するその他の構成を説明する。
群Gの幅Wgは抵抗発熱体5の帯の幅Whの90%以内にあることが好ましい。これは、通常微細で複雑な抵抗発熱体5はスクリーン印刷法で形成されることから、スクリーン印刷法で形成された抵抗発熱体5の断面積は図7のように抵抗発熱体5の帯の幅の左右5%の領域の厚みが小さくなっているからである。また、レーザビーム等で溝mを形成するが、溝mの大きさはレーザビームの出力と照射時間で決まり、通常溝mを加工中は出力や照射時間は変更されないことから、溝mの深さは略同等となる。そこで、周辺部の厚みの小さな領域を除く抵抗発熱体5の帯の幅の90%以内の箇所に溝mを形成した場合、溝mが抵抗発熱体5を貫通する虞がなく、溝mの底部にクラックを発生する虞が小さく好ましい。しかしながら抵抗発熱体5の帯の幅の90%を越えて溝mを形成した場合、抵抗発熱体5の両端の膜厚が薄い箇所に溝mが形成されることから、溝mが抵抗発熱体5を貫通したりレーザビームが板状体2に照射されて、微小クラックが生じる虞があるからである。
また、上記溝mの群Gをなす各溝m1、m2・・の深さは、その溝mの幅Wmの20〜75%の範囲であることが好ましい(溝深さ/溝幅=20〜75%)。なぜなら20%未満であると、一本の溝mの形成による抵抗値の変化が小さく抵抗値の調整範囲も小さくなることからウェハWの面内温度差を充分に小さくすることが困難になるからである。
また、溝mの深さが幅Wmの75%を超えると、レーザのファーストパルスのエネルギーが大きく抵抗発熱体5の底部にマイクロクラックが発生し、加熱・冷却を繰り返すとマイクロクラックが成長し、抵抗発熱体5の抵抗値の変化が生じ、抵抗値が変化するとウェハWの面内温度差が大きくなり均熱性を保てなくなる虞があるからである。
また、レーザトリミングは通常大気中で実施するので、抵抗発熱体5中に含まれる導通成分として、耐熱性および耐酸化性に良好な貴金属であるPtやAuもしくはこれらの合金を主成分とするものを使用することが好ましい。抵抗発熱体5としては絶縁層との密着性および抵抗発熱体自体の焼結性を向上させるために、30〜70重量%のガラス成分を混合することが好ましい。
抵抗発熱体5のパターン形状の一例としては、図4(a)に示すように、板状体2の外周部に位置する同心円状で環状の複数の抵抗発熱体5からなるゾーン(以下、抵抗発熱体ゾーン)と、中心部の同心円状の抵抗発熱体5からなる抵抗発熱体ゾーンとからなっている。また、図4(b)には、板状体2の外周辺部に4個と中心部に4個のゾーンからなる合計8個の抵抗発熱体ゾーンになるように抵抗発熱体5を分割している。尚、各抵抗発熱体ゾーンはそれぞれ給電部6を有しているため、各抵抗発熱体ゾーンを独立して加熱することができる。また、図5は4個の抵抗発熱体ゾーンからなるウェハ加熱用ヒータの一例を示す。
図4(a)は、板状体2の一方の主面に複数の抵抗発熱体ゾーン4を備え、中心部に円形の抵抗発熱体ゾーン4aと、その外側の同心円の3つの円環内に抵抗発熱体ゾーン4b、4c、および4dを備えている。これは、抵抗発熱体5を4個の抵抗発熱体ゾーンに対応して分割することにより、ウェハWの均熱性を改善するためである。
また、板状体2の中心部に位置する抵抗発熱体ゾーン4aの外径D1は最外周部にある抵抗発熱体ゾーン4dの外径Dの20〜40%、抵抗発熱体ゾーン4aの外側にある抵抗発熱体ゾーン4bの外径D2は外径Dの40〜55%で、さらに、抵抗発熱体ゾーン4bの外側にある抵抗発熱体ゾーン4cの外径D3は外径Dの55〜85%とすることによりウェハWの面内温度差を小さくすることができて好ましい。
更に好ましくは、外径D1は最外周部にある抵抗発熱体ゾーン4dの外径Dの23〜33%、抵抗発熱体ゾーン4aの外側にある抵抗発熱体ゾーン4bの外径D2は外径Dの45〜55%で、さらに、抵抗発熱体ゾーン4bの外側にある抵抗発熱体ゾーン4cの外径D3は外径Dの63〜83%とすることによりウェハWの面内温度差を更に小さくすることができて好ましい。
尚、最外周部の抵抗発熱体ゾーン4dの外径Dとは、板状体2の他方の主面に平行な投影面でみて、抵抗発熱体ゾーン4dを構成する抵抗発熱体を囲む外接円の直径である。尚、外接円は給電部6に接続する抵抗発熱体5の突出部を除き同心円状の円弧に沿って求めることができる。
ここで、外径D1がDの20%未満では中心部の抵抗発熱体ゾーン4aの外径が小さ過ぎることから抵抗発熱体ゾーン4aの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4aの中心部の温度が上がらず中心部の温度が低下する虞がある。また、外径D1が40%を越えると中心部の抵抗発熱体ゾーン4aの外径が大き過ぎることから、中心部の温度を上げた際に抵抗発熱体ゾーン4aの周辺部の温度も上がり、抵抗発熱体ゾーン4aの周辺部の温度が高くなり過ぎる虞があるからである。尚、好ましくは、外径D1はDの20〜35%であり、更に好ましくは、外径D1はDの23〜33%とすることでウェハWの面内温度差を更に小さくすることができる。
また、外径D2が外径Dの40%未満では、ヒータ1の周辺部が冷却されやすいことから、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4cの発熱量を増大した際に、ウェハWの中心に近い抵抗発熱体ゾーン4cの内側の温度が高くなり、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞がある。また、外径D2が外径Dの55%を越えると、ウェハW周辺の温度の低下を防ぐために抵抗発熱体ゾーン4cの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4cdの温度は上がるが、ウェハW周辺の温度の低下の影響が抵抗発熱体ゾーン4bに達し、抵抗発熱体ゾーン4bの外側の温度が低くなる虞がある。好ましくは、外径D2が外径Dの41〜55%であり、更に好ましくは45〜55%とするとウェハWの面内温度差は更に小さくできた。
また、外径D3が外径Dの55%未満では、ヒータ1の周辺部が冷却され易いことから、ウェハW周辺温度の低下を防ぐために抵抗発熱体ゾーン4dの発熱量を増大した際に、ウェハWの中心に近い抵抗発熱体ゾーン4dの内側の温度が高くなり、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞があった。また、外径D3が外径Dの85%を越えると、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4dの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4ehの温度は上がるが、ウェハW周辺の温度の低下の影響が抵抗発熱体ゾーン4cに達し、抵抗発熱体ゾーン4cの外側の温度が低くなる虞があった。好ましくは、外径D3が外径Dの60〜85%であり、更に好ましくは63〜83%とするとウェハWの面内温度差は更に小さくできた。
さらに、図4(b)は、3つの円環状の抵抗発熱体ゾーン4b、4c、4dのうち、最も内側の抵抗発熱体ゾーン4bは、円環からなる抵抗発熱体ゾーン4bであり、その外側の抵抗発熱体ゾーン4cは、円環を円周方向に2等分した2個の扇状の抵抗発熱体ゾーン4c1、4c2であり、その外側の抵抗発熱体ゾーン4dは、円環を円周方向に4等分した4個の扇状の抵抗発熱体ゾーン4d1、4d2、4d3、4d4からなっていることがウェハWの表面温度を均一にする上で好ましい。
尚、円環状の抵抗発熱体ゾーン4c、4dはそれぞれ放射方向に2分割、4分割したが、これに限るものではない。
図4(b)によると、抵抗発熱体ゾーン4c、4dをそれぞれ分割する境界線は直線であるが、必ずしも直線である必要はなく、波線であっても良く、抵抗発熱体ゾーン4c、4dが同心円の発熱体ゾーンの中心に対して中心対称であることが好ましい。
上記の各抵抗発熱体5を印刷法等で作製し、抵抗発熱体5の帯は1〜5mmの幅で、厚みが5〜50μmで形成することが好ましい。一度に印刷する印刷面が大きくなると印刷面の左右や前後でスキージとスクリーンとの間の圧力の違いから印刷厚みが一定とならない虞が生じる。特に、抵抗発熱体5の大きさが大きくなると、抵抗発熱体5の左右前後の厚みが異なり設計した発熱量がバラつく虞があった。発熱量がバラつくとウェハWの面内温度差が大きくなり好ましくない。この抵抗発熱体の厚みのバラツキから生じる温度バラツキを防ぐには、一つの抵抗発熱体からなる外径の大きな個々の抵抗発熱体5を分割することにより、低減することができる。
また、図5に示すように、独立して加熱できる複数の帯状の抵抗発熱体5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hのうち、少なくとも1つは、同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の間の距離が、上記抵抗発熱体5の帯の間の距離よりも小さいことが好ましい。これにより、空隙部Q周辺における温度低下を抑制することができるため、ウェハW面内の温度差を小さくすることができる。
また、上記複数の抵抗発熱体5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hの全てにおいて、同一円周上に位置する円弧状の帯と、それらを繋ぐ折り返し円弧状の帯とからなるとともに、同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の間の距離が、上記円弧状の帯の間の距離よりも小さいことがウェハW面内の温度差を小さくする上でより好ましい。
また、抵抗発熱体5は、同心円状に独立して加熱できる複数の発熱体からなり、同心円状の最外周の抵抗発熱体の帯とその内側の帯との間隔が、上記最外周の独立した抵抗発熱体を除く抵抗発熱体の同心円状の帯の間隔より小さいことが好ましい。このような構成とすることで、板状体2の周辺部の発熱量を増大させることができることから周辺部の熱引けによるウェハW周辺部の温度低下を防止することができて好ましい。
また、板状体2の外周の最も近傍にある抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが上記板状体2の直径DPの90〜97%であることが好ましい。これは、抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの90%より小さいと、ウェハWを急速に昇温したり急速に降温させる時間が大きくなりウェハWの温度応答特性が劣る。また、ウェハWの周辺部の温度を下げないようウェハWの表面温度を均一に加熱するには、直径DはウェハWの直径の1.02倍程度が好ましいことから、ウェハWの大きさに対して板状体2の直径DPが大きくなり、均一に加熱できるウェハWの大きさが板状体2の直径DPに比較して小さくなり、ウェハWを加熱する投入電力に対しウェハWを加熱する加熱効率が悪くなる。更に、板状体2が大きくなることからウェハ製造装置の設置面積が大きくなり、最小の設置面積で最大の生産を行う必要がある半導体製造装置の設置面積に対する稼働率を低下させ好ましくない。
一方で、抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの97%より大きいと接触部材17と抵抗発熱体5の外周との間隔が小さく抵抗発熱体5の外周部から熱が接触部材17に不均一に流れ、特に、外周部の外接円Cに接する円弧状抵抗発熱体ゾーン51が存在しない部分からも熱が流れ、外周部の円弧状抵抗発熱体ゾーン51が板状体2の中心部へ曲がっていることから抵抗発熱体5を囲む外接円Cに沿って円弧状抵抗発熱体ゾーン51が欠落する空隙部Qの温度が低下しウェハWの面内温度差を大きくする虞がある。より好ましくは、抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの92〜95%である。
また、板状体2の外周の最も近傍に位置する抵抗発熱体5e、5f、5gおよび5hの有する折り返し円弧状の帯間の距離Lmは、板状体2の直径DPと外接円Cの直径Dとの差(以下、LLと略する)より小さいことが好ましい。距離L10がLLより大きいと空隙部Qの熱が板状体2の周辺部へ流れ空隙部Qの温度が下がる虞がある。しかし、距離L10がLLより小さいと空隙部Qの温度が下がり難く板状体2の載置面3に載せたウェハWの周辺部の一部の温度が低下せずウェハW面内の温度差が小さくなり好ましい。
また、板厚が1〜7mmの板状体2の一方の主面側を、ウェハを載せる載置面3とするとともに、上記板状体2の下面に抵抗発熱体5を備えたヒータ1において、上記抵抗発熱体5の厚みが5〜50μmであるとともに、上記板状体2の主面に平行な投影面で見て、上記抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、上記外接円Cに占める抵抗発熱体5の面積の比率が5〜30%であることが好ましい。これは、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を5%未満とすると、一対の折り返し円弧状抵抗発熱体5の帯の間の距離Lm、L1、・・・が大きくなり過ぎることから、空隙部Qに対応した載置面3の表面温度が他の部分と比較して小さくなり、載置面3の温度を均一にすることが困難になる。
また、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率が30%を超えると、板状体2と抵抗発熱体5との間の熱膨張差を2.0×10−6/℃以下に近似させたとしても、両者の間に作用する熱応力が大きすぎることから、板状体2は変形し難いが、板厚が1〜7mmと薄いことから抵抗発熱体5を発熱させると、載置面3側が凹となるように板状体2に反りが発生する虞がある。その結果、ウェハWの中心部の温度が周縁よりも小さくなり、温度バラツキが大きくなる虞がある。
なお、好ましくは、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を7〜20%、さらには8〜15%とすることが好ましい。
より具体的には、距離L1は0.5mm以上で、上記板状体2の板厚の3倍以下であることが好ましい。距離L1が0.5mm以下では抵抗発熱体5を印刷し形成する際に抵抗発熱体5の対抗領域でひげ状の突起が発生しその部分が短絡する虞がある。また、距離L1が板状体2の厚みの3倍を越えると、距離L1に対応するウェハWの表面にクールスポットが発生しウェハWの面内温度差を大きくする虞があるからである。
さらに、このような効果を効率良く発現させるには、抵抗発熱体5の膜厚を5〜50μmとすることが好ましい。これは、抵抗発熱体5の膜厚が5μmを下回ると、抵抗発熱体5をスクリーン印刷法で膜厚を均一に印刷することが困難となるからであり、また、抵抗発熱体5の厚みが50μmを越えると、外接円Cに対し、抵抗発熱体5の占める面積の比率を30%以下としても抵抗発熱体5の厚みが大きく、抵抗発熱体5の剛性が大きくなり、板状セラミック体5の温度変化により抵抗発熱体5の伸び縮みによる影響で板状体2が変形する虞がある。好ましくは抵抗発熱体5の厚みを10〜30μmとするのがよい。
以下、本発明のヒータ、ウェハ加熱用ヒータおよびウェハ加熱装置に用いる部材について説明する。
板状体2の材質としては、100〜200℃におけるヤング率が200〜450MPa程度を有するアルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムおよび炭化珪素を用いることができ、この中でも特に窒化アルミニウムは50W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有するとともに、フッ素系や塩素系等の腐食性ガスに対する耐食性や耐プラズマ性にも優れることから、好適である。
また、板状体2は、上記のセラミックス材料に代えて金属板を使用することもできる。金属板の材質としてはタングステン、モリブデンや、Fe−Ni−Co合金やSUS等が使用できる。しかし、ヤング率が小さな金属材料では板状体2に補強部材を備えたり、板状体2をセラミックス製板状体2より厚くすることが好ましい。
一方で、ヒータ1をレジスト膜形成用として使用する場合は、板状体2の主成分を炭化珪素にすると、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、ウェハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。この際、焼結助剤に水と反応してアンモニアやアミンを形成する可能性のある窒化物を含まないようにすることが必要である。
なお、板状体2を炭化珪素質焼結体形成する場合は、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もしくはアルミナ(Al2O3)イットリア(Y2O3)のような金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工したのち、1900〜2100℃で焼成することにより得られる。炭化珪素はα型を主体とするものあるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
このとき、板状体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmを越えると、板状体2を形成する炭化珪素質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層4の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200〜350μmの範囲とすることが良い。
さらに、板状体2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.1〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
また、板状体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてY2O3やYb2O3等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。板状体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成することもある。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
板状体2の厚みは、2〜5mmが好ましい。板状体2の厚みが2mmより薄いと、板状体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱による加熱時、ガス噴射口24からの冷却エアーを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状体2にクラックが発生する虞があるからである。また、板状体2の厚みが5mmを越えると、板状体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度が安定するまでの時間が長くなる虞がある。
上記絶縁層を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、耐熱温度が200℃以上でかつ0〜200℃の温度域における熱膨張係数が板状体2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5〜+5×10−7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が上記範囲を外れたガラスを用いると、板状体2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付け後の冷却時においてクラックや剥離等の欠陥が生じ易いからである。
なお、ガラスからなる絶縁層を板状体2上に被着する手段としては、上記ガラスペーストを板状体2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペーストを600℃以上の温度で焼き付けすれば良い。また、絶縁層としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体からなる板状体2を850〜1300℃程度の温度に加熱し、絶縁層を被着する表面を酸化処理しておくことで、ガラスからなる絶縁層との密着性を高めることができる。
本発明の抵抗発熱体5の抵抗発熱体ゾーン形状としては、図4に示すような複数のブロックに分割され、個々のブロックが円弧状の抵抗発熱体ゾーンと直線状の抵抗発熱体ゾーンとからなる渦巻き状やジグザクな折り返し形状をしたもので、本願発明のヒータ1はウェハWを均一に加熱することが重要であることから、これらの抵抗発熱体ゾーン形状は帯状の抵抗発熱体5の各部の密度が均一なことが好ましい。
また、抵抗発熱体5を複数のブロックに分割する場合、それぞれのブロックの温度を独立に制御することにより、載置面3上のウェハWを均一に加熱することが好ましい。
抵抗発熱体5は、導電性の金属粒子にガラスフリットや金属酸化物を含む電極ペーストを印刷法で板状体2に印刷、焼き付けしたもので、金属粒子としては、比較的電気抵抗が小さいAu、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いることが好ましく、またガラスフリットとしては、B、Si、Znを含む酸化物からなり、板状体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましく、さらに金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
また、上記ガラスフリットとして、B、Si、Znを含む酸化物からなり、抵抗発熱体5を構成する金属粒子の熱膨張係数が板状体2の熱膨張係数より大きいことから、抵抗発熱体5の熱膨張係数を板状体2の熱膨張係数に近づけるには、板状体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましいからである。
また、上記金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いるのは、抵抗発熱体5の中の金属粒子と密着性が優れ、しかも熱膨張係数が板状体2の熱膨張係数と近く、板状体2との密着性も優れるからである。
ただし、抵抗発熱体5に対し、金属酸化物の含有量が80%を超えると、板状体2との密着力は増すものの、抵抗発熱体5の抵抗値が大きくなり好ましくない。その為、金属酸化物の含有量は60%以下とすることが良い。
そして、導電性の金属粒子とガラスフリットや金属酸化物からなる抵抗発熱体5は、板状体2との熱膨張差が3.0×10−6/℃以下であるものを用いることが好ましい。
即ち、抵抗発熱体5と板状体2との熱膨張差を0.1×10−6/℃とすることは製造上難しく、逆に抵抗発熱体5と板状体2との熱膨張差が3.0×10−6/℃を超えると、抵抗発熱体5を発熱させた時、板状体2との間に作用する熱応力によって、載置面3側が凹状に反る恐れがあるからである。
リング状の接触部材17の断面は多角形や円形のいずれでも良いが、板状体2と接触部材17が平面で接触する場合において、板状体2と接触部材17の接する接触部の幅は0.1〜13mmであれば、板状体2の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れ量を小さくすることができる。そして、ウェハWの面内の温度差が小さくウェハWを均一に加熱することができる。更に好ましくは0.1〜8mmである。接触部材17の接触部の幅が0.1mm以下では、板状体2と接触固定した際に接触部が変形し、接触部材が破損する虞がある。また、接触部材17の接触部の幅が13mmを越える場合には、板状体2の熱が接触部材に流れ、板状体2の周辺部の温度が低下しウェハWを均一に加熱することが難しくなる。好ましくは接触部材17と板状体2の接触部の幅は0.1〜8mmであり、更に好ましくは0.1〜2mmである。
また、接触部材17の熱伝導率は板状体2の熱伝導率より小さいことが好ましい。接触部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率より小さければ板状体2に載せたウェハW面内の温度分布を均一に加熱することができると共に、板状体2の温度を上げたり下げたりする際に、接触部材17との熱の伝達量が小さく有底の金属ケース19との熱的干渉が少なく、迅速に温度を変更することが容易となる。
接触部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率の10%より小さいヒータ1では、板状体2の熱が有底の金属ケース19に流れ難く、板状体2から有底の金属ケース19に熱が、雰囲気ガス(ここでは空気)による伝熱や輻射伝熱により流れる熱が多くなり逆に効果が小さい。
接触部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率より大きい場合には、板状体2の周辺部の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れ、有底の金属ケース19を加熱すると共に、板状体2の周辺部の温度が低下しウェハW面内の温度差が大きくなり好ましくない。また、有底の金属ケース19が加熱されることからガス噴射口24からエアを噴射し板状体2を冷却しようとしても有底の金属ケース19の温度が高いことから冷却する時間が大きくなったり、一定温度に加熱する際に一定温度になるまでの時間が大きくなる虞があった。
一方、上記接触部材17を構成する材料としては、小さな接触部を保持するために、接触部材のヤング率は1GPa以上が好ましく、更に好ましくは10GPa以上である。このようなヤング率とすることで、接触部の幅が0.1〜8mmと小さく、板状体2を有底の金属ケース19に接触部材17を介してボルト16で固定しても、接触部材17が変形することが無く、板状体2が位置ズレしたり平行度が変化したりすることなく、精度良く保持することができる。
尚、特許文献2に記載のような、フッ素系樹脂やガラス繊維を添加した樹脂からなる接触部材では得られない精度を達成することができる。
上記接触部材17の材質としては鉄とカーボンからなる炭素鋼やニッケル、マンガン、クロムを加えた特殊鋼等の金属はヤング率が大きく好ましい。また、熱伝導率の小さな材料としては、ステンレス鋼やFe―Ni−Co系合金の所謂コバールが好ましく、板状体2の熱伝導率より小さくなるように接触部材17の材料を選択することが好ましい。
更に、接触部材17と板状体2との接触部を小さく、且つ接触部が小さくても接触部が欠損しパーティクルを発生する虞が小さく安定な接触部を保持できるために、板状体2に垂直な面で切断した接触部材17の断面は多角形より円形が好ましく、断面の直径1mm以下の円形のワイヤを接触部材17として使用すると板状体2と有底の金属ケース19の位置が変化することなくウェハWの表面温度を均一にしかも迅速に昇降温することが可能である。
なお、有底の金属ケース19の深さは10〜50mmで、底面21は、板状体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜30mmである。これは、板状体2と有底の金属ケース19相互の輻射熱により載置面3の均熱化が容易となると同時に、外部との断熱効果があるので、載置面3の温度が一定で均一な温度となるまでの時間が短くなるためである。
更に、抵抗発熱体5への給電方法については、有底の金属ケース19に設置した給電端子11を板状体2の表面に形成した給電部6にバネ(不図示)で押圧することにより接続を確保し給電する。これは、2〜5mmの厚みの板状体2に金属からなる端子部を埋設して形成すると、該端子部の熱容量により均熱性が悪くなるからである。そのため、本発明のように、給電端子11をバネで押圧して電気的接続を確保することにより、板状体2とその有底の金属ケース19の間の温度差による熱応力を緩和し、高い信頼性で電気的導通を維持できる。さらに、接点が点接触となるのを防止するため、弾性のある導体を中間層として挿入しても構わない。この中間層は単に箔状のシートを挿入するだけでも効果がある。そして、給電端子11の給電部6側の径は、1.5〜5mmとすることが好ましい。
また、板状体2の温度は、板状体2にその先端が埋め込まれた熱電対27により測定する。熱電対27としては、その応答性と保持の作業性の観点から、外径0.8mm以下のシース型の熱電対27を使用することが好ましい。この熱電対27の先端部は、板状体2に孔が形成され、この中に設置された固定部材により孔の内壁面に押圧固定することが測温の信頼性を向上させるために好ましい。同様に素線の熱電対やPt等の測温抵抗体を埋設して測温を行うことも可能である。
なお、板状体2の一方の主面には、図1に示すように、複数の支持ピン8を設け、板状体2の一方の主面より一定の距離をおいてウェハWを保持するようにしても構わない。
また、図1では板状体2の他方の主面3に抵抗発熱体5のみを備えたヒータ1について示したが、本発明は、主面3と抵抗発熱体5との間に静電吸着用やプラズマ発生用としての電極を埋設したものであっても良いことは言うまでもない。
本発明のウェハ加熱用ヒータ110およびそれを用いたウェハ加熱装置111を以下のように作製した。
(実施例1)熱伝導率が80W/(m・K)の炭化珪素質焼結体に研削加工を施し、板厚4mm、外径230mmの円板状をした板状体を複数制作し、各板状体の一方の主面に絶縁層を被着するため、ガラス粉末に対してバインダーとしてのエチルセルロースと有機溶剤としてのテルピネオールを混練して作製したガラスペーストをスクリーン印刷法にて敷設し、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させた後、550℃で30分間脱脂処理を施し、さらに700〜900℃の温度で焼付けを行うことにより、ガラスからなる厚み200μmの絶縁層を形成した。次いで絶縁層上に抵抗発熱体を被着させるため、導電材として20重量%のAu粉末と10重量%のPt粉末と70重量%のガラスを所定量の抵抗発熱体ゾーン形状に印刷した後、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに450℃で30分間脱脂処理を施した後、500〜700℃の温度で焼付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体を形成した。抵抗発熱体は、円弧状の帯と、それらを繋ぐ折り返し円弧からなり、板状体の中心部と外周部を周方向に4分割した8つの抵抗発熱体ゾーン構成とした。
そして、こうして作製した抵抗発熱体の各抵抗発熱体ゾーンをそれぞれ50箇所前後に分割し、各箇所で設計した抵抗値と実測抵抗値との差をなくすために、レーザビームを照射して複数の溝からなる群を形成して抵抗調整した。尚、上述した抵抗値の調整は、各抵抗発熱体ゾーンの抵抗値を測定し最大の抵抗値を基準に設計値より小さいものについて行った。
ここで、複数の溝mからなる群Gの形成位置としては、抵抗発熱体の長手方向中心線より板状体2の中心側(試料No.1)と、抵抗発熱体5の長手方向中心線より板状体2の外周側(試料No.2)に設けたウェハ加熱用ヒータをそれぞれ作製した。
また、比較例として、複数の溝からなる群の形成位置を抵抗発熱体上で、上記中心側と上記外周側、もしくは抵抗発熱体の中央部などランダムに設けたヒータ(試料No.3)を作製した。
上記溝の形成方法としては日本電気製のYAGレーザを使用した。レーザビームは、波長が1.06μm、パルス周波数1KHz、レーザ出力0.4W、加工速度5mm/secとして照射した。
尚、上記条件で作製された溝の幅は約50〜60μmで深さは約20〜25μmであった。そして、各群に形成された溝と溝との間隔であるピッチは約65μmで最大の溝の数は13個であった。
そして、上記で作製されたウェハ加熱用ヒータ110を金属ケースに取り付け、測温素子や給電端子等を取り付けてウェハ加熱装置111を作製した。
作製したウェハ加熱装置の評価は、測温抵抗体が29箇所に埋設された直径300mmの測温用ウェハを用いて行った。夫々のウェハ加熱装置に電源を取り付け25℃から200℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を200℃に設定してからウェハWを取り除き、室温の測温ウェハWを載置面に載せ、ウェハWの平均温度が200℃±0.5℃の範囲で一定となるまでの時間を応答時間として測定した。また、30℃から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、30分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から200℃に設定し10分後のウェハ温度の最大値と最小値の差をウェハW面内の温度差として測定した。結果は表1に示すとおりである。
表1に示すように、比較例である試料No.3のウェハ加熱用ヒータは、溝mからなる群Gが抵抗発熱体上にランダムに設けたため、上記の温度サイクルによって発生したクラックが成長し、抵抗発熱体5の抵抗値に若干のバラツキが生じるとともに、溝mの板状体2に対する対称性が悪くなったため、各抵抗発熱体の発熱域で温度差が生じ、ウェハ面内の温度差が0.38℃と大きくなり均熱性が悪くなった。
これに対して、本発明の実施例である試料No.1、2のウェハ加熱用ヒータは、抵抗発熱体5上の溝mを板状体の中心に対し一方の方向に偏在させて設けたため、上記クラックの成長を防止して抵抗値変化を抑制するとともに、溝mの板状体2に対する対称性がよく、各抵抗発熱体5の発熱域における温度差を低減することができたので、ウェハ面内の温度差を小さくすることができた。
(実施例2)上述した実施例1と同様の方法で、抵抗発熱体5の帯を1.5mm幅で形成し、レーザにより複数の溝mからなる群Gを板状体2の中心側に偏在させた抵抗発熱体5を形成した。
そして、複数の群G同士の間隔と抵抗発熱体5の幅との関連について検証した。
尚、上記した群G同士の間隔とは、各抵抗発熱体ゾーンの中で最も小さい群と群との間隔で示すことができる。
そして、実施例1と同様の方法でウェハW面内の温度差を測定した。結果は表2に示すとおりである。
表2に示すように、群Gの間隔が抵抗発熱体5からなる帯の幅より大きい試料No.24では、該間隔における温度を他の部分と同一にすることが困難になり、ウェハ面内の温度差が0.26℃とやや大きかった。
これに対して、試料No.21〜24は、群Gの間隔が抵抗発熱体5からなる帯の幅より小さかったため、ウェハ面内の温度差をさらに低減することができた。
(実施例3)まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で1.0質量%の酸化イットリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニウムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニウムのグリーンシートを複数枚製作した。
そして、得られた窒化アルミニウムのグリーンシートを複数枚積層熱圧着にて積層体を形成した。
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い各種の熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体を製作した。
そして、上記窒化アルミニウム焼結体に研削加工を施し、板厚3mm、直径330mmの円盤状をした板状セラミックス体を複数枚製作し、更に中心から60mmの同心円上に均等に3箇所貫通孔を形成した。貫通口径は、4mmとした。
次いで板状体2の表面に抵抗発熱体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPd粉末と、上記同様の組成からなるバインダーを添加したガラスペーストを混練して作製した導電体ペーストをスクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体5を形成した。
尚、抵抗発熱体5は図5に示すように、略同心円状に円弧状の帯からなる抵抗発熱体5と、それらを繋ぐ折り返し円弧状の帯からなるパターン形状に印刷するとともに、抵抗値を調整するための溝mを板状体2の中心側に偏在させて設けた。
また、上述した抵抗発熱体5を分割する抵抗発熱体ゾーンの配置は、図4に示すように、板状体2の中心部に板状体2の直径Dの25%の円形の1つに抵抗発熱体ゾーン4aを形成し、その外側に円環の抵抗発熱体ゾーン4bを形成し、その外側に外径がDの45%の円環を2つの抵抗発熱体ゾーン41c、42cに分割し、さらに、外径がDの70%の円環を4つの抵抗発熱体ゾーン41d、42d、43d、44dに分割した計8個の抵抗発熱体ゾーン構成とし、外径Dを310mmとして試料を作製した。
しかる後、抵抗発熱体5に給電部6をロウ付けし固着させることにより、ウェハ加熱用ヒータ110を製作した。尚、本実施例では中心部の抵抗発熱体ゾーンとその外側の円環状の抵抗発熱体ゾーンを並列接続し同時に加熱制御を行った。
そして、同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯の距離Lmと、該折り返し円弧状の帯と繋がる2つの円弧状の帯の間の距離Lrについて、Lm/Lr×100%としてその比率を変えたヒータ1を作製した。
その後、金属ケース19の開口部にウェハ加熱用ヒータ110を設置し、その外周部にボルトを貫通させ、ヒータ1と金属ケース19が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、ナット20を螺着することにより固定してウェハ加熱装置111とした。
また、金属ケース19の底面21の厚みは2.0mmのアルミニウムと側壁部を構成する厚み1.0mmのアルミニウムからなり、底面21に、ガス噴射口24、熱電対27、給電端子11を所定の位置に取り付けた。また、底面21からヒータ1までの距離は20mmとした。
尚、接触部材17の断面はL字形状で、環状とした。L字形状の段部上面とヒータ1の下面と円環状に接触し、ヒータ1との接触面の幅は3mmとした。また、接触部材の材質は耐熱性樹脂を用いた。
上述で作製したウェハ加熱装置に、Lm/Lrの比率を変化させたウェハ加熱用ヒータ1を備えたものを試料No.31〜39とした。
そして、実施例1と同様の方法でウェハW面内の温度差を測定した。結果は表3に示すとおりである。
表3に示すように、試料No.37はLm/Lrの比率が120%と大きかったため、同一円周上に位置する一対の折り返し円弧状の帯間の周辺における空隙部Qが広がり、抵抗発熱体5を具備していない空隙部Qの温度が下がってしまい、ウェハW面内の温度差を効率よく低減できなかった。
これに対して、試料No.31〜38はLm/Lrの比率が100%より小さくウェハの温度差は0.22℃以下と小さく好ましいことが分った。
また、試料No.32〜36はLm/Lrの比率が30〜80%であっため、ウェハ面内の均熱性に優れていたため、ウェハW面内の温度差を小さくでき、また、Lm/Lrの比率が40〜60%である試料No.33〜35では、さらに上記温度差を小さくすることができた。