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JP2006046074A - 真空ポンプ - Google Patents

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JP2006046074A JP2004224026A JP2004224026A JP2006046074A JP 2006046074 A JP2006046074 A JP 2006046074A JP 2004224026 A JP2004224026 A JP 2004224026A JP 2004224026 A JP2004224026 A JP 2004224026A JP 2006046074 A JP2006046074 A JP 2006046074A
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Yoshihiro Yamashita
義弘 山下
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Abstract

【課題】 回転翼の軽量化を図るとともに、回転翼における遠心力に対する剛性(強度)を向上させた真空ポンプを提供すること。
【解決手段】 分子ポンプ1におけるロータ翼部7を、内環部材10と、ロータブレード11およびリング部材12から構成する。内環部材10は、円環状の部材であり、FRP(繊維強化プラスチック)材によって形成する。ロータブレード11は、シャフト9の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜し、軸の中心から放射状に伸びたタービンブレードであり、FRP材によって形成する。リング部材12は、ロータブレード11の先端部を内接するようにして配設された円環状部材であり、FRP材によって形成する。なお、ロータブレード11は放射方向に、リング部材12は周方向に強化繊維を配設する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば半導体製造装置や電子顕微鏡装置などに用いられる真空容器の排気処理を行う真空ポンプに関する。
真空ポンプを用いて排気処理を行い、内部が真空に保たれるような真空装置を用いる装置には、半導体製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置、微細加工装置などがある。
また、各種ある真空ポンプのうち、高真空の環境を実現するために多用されるものに、ターボ分子ポンプがある。
ターボ分子ポンプは、吸気口および排気口を有するケーシングの内部でロータが高速回転するように構成されている。ケーシングの内周面には、ステータ翼が多段に配設されており、一方、ロータにはロータ翼が放射状にかつ多段に配設されている。ロータが高速回転すると、ロータ翼とステータ翼との作用により気体が吸気口から吸引され、排気口から排出されるようになっている。
近年、真空ポンプにおける排気量仕様の増大要求に伴って、ロータ翼およびロータの大型化が進んできている。
ロータ翼やロータ等の回転体が大型になると、重量も増大するため、回転体の定常回転時に必要となるトルクも増大してしまう。即ち、モータの慣性モーメント(イナーシャ)値が大きくなるため、必然的に駆動用モータも大型となってしまう。
しかし、一方では、環境問題等を考慮した装置の小型化、省エネルギー化の要求が高まっている。
そこで、従来、これらの要求に対応するための技術が、下記の特許文献をはじめ種々提案されている。
特開2001−221186公報
特許文献1には、軸流真空ポンプ自体を大型化することなく排気性能を向上させる技術が提案されている。
詳しくは、ねじ溝型のターボ分子ポンプにおいて、回転体の外周面に螺旋状のロータ羽根を高比強度材料、例えば、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)、AFRP(アラミド繊維強化樹脂)、セラミック、チタン、チタニウム合金によって形成する技術が開示されている。このように、ロータ羽根を高比強度材料で形成することによって、高速回転時の遠心力に対するロータ羽根の剛性を向上させることができる。
しかしながら、放射状に配設されたブレードからなるターボ分子ポンプの回転翼を、特許文献1に記載されているようなFRP(繊維強化樹脂)によって形成した場合には、軽量化が容易に図れるものの、ブレードに作用する遠心力の応力集中への剛性を十分に備えることが困難であった。そのため、回転翼の回転速度が制限されてしまい、真空ポンプの排気性能を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は、遠心力に対する剛性を向上させた回転翼を有する真空ポンプを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、回転翼の軽量化を図ることができる真空ポンプを提供することを第2の目的とする。
請求項1記載の発明によれば、吸気口と排気口を有し、気体移送機構を内包するケーシングと、前記気体移送機構を構成する回転体と、前記回転体の回転軸と、前記回転軸を高速回転させるモータと、を具備し、前記回転体は、放射状に複数のロータブレードを有する回転翼と、前記回転翼の外周に前記ロータブレードの先端部を内接して設けられた円環状部材と、を備えることにより前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記ロータブレードおよび前記円環状部材を、繊維強化プラスチックにより形成することにより前記第2の目的を達成する。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記円環状部材は、強化繊維が主に周方向または周方向と一定の小さな角度を持ってボビン巻に配置されている。
なお、周方向と一定の小さな角度は、例えば、プラスマイナス交互につけることが好ましい。
請求項4記載の発明では、請求項2または請求項3記載の発明において、前記ロータブレードは、強化繊維が主に放射方向に配置されている。
請求項1記載の発明によれば、回転翼の外周に円環状部材を配設することにより、ロータブレードに作用する遠心力を円環状部材で受けることができるため、ロータブレードにおける応力の集中を抑制することができ、回転翼の剛性を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、ロータブレードおよび円環状部材を、繊維強化プラスチックにより形成することにより、回転翼の軽量化を図ることができるため、モータの負荷量を低減させることができる。また、破損時のエネルギーを小さくできる。
請求項3記載の発明によれば、円環状部材における強化繊維を周方向に配置することにより、円環状部材における遠心力の作用する方向の剛性を適切に向上させることができる。
請求項4記載の発明によれば、ロータブレードにおける強化繊維を放射方向に配置することにより、ロータブレードにおける遠心力の作用する方向の剛性を適切に向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る分子ポンプの概略構成を示した図である。
本実施の形態では、真空ポンプの一例としてターボ分子ポンプ部とねじ溝式ポンプ部を備えた、いわゆる複合翼タイプの分子ポンプを例に採り説明する。
分子ポンプ1の外装体を形成するケーシング2は、円筒状の形状をしており、ケーシング2の底部に設けられた円盤状のベース3と共に分子ポンプ1の筐体を構成している。
本実施の形態に係る分子ポンプ1では、ケーシング2は、吸気口4側の上部ケーシング2aと排気口5側の下部ケーシング2bから構成されている。そして、上部ケーシング2aおよび下部ケーシング2bは、上部ケーシング2aの排気口5側端部に形成されたフランジ部を介してボルトによって締結されている。
なお、上部ケーシング2aと下部ケーシング2bとの接合面には、気体のリークを防止するためのOリング等のシール部材が配設されている。
そして、ケーシング2の内部には、分子ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物が収納されている。
これら排気機能を発揮する構造物は、大きく分けて回転自在に軸支されたロータ部とケーシング2に対して固定されたステータ部から構成される。
さらに、分子ポンプ1は、吸気口4側がターボ分子ポンプ部Tにより構成され、排気口5側がねじ溝式ポンプ部Sから構成されている。
ロータ部は、シャフト9、シャフト9に直接固定されたロータ本体部6、吸気口4側(ターボ分子ポンプ部T)に設けられたロータ翼部7と、排気口5側(ねじ溝式ポンプ部S)に設けられた円筒部材8などから構成されている。
ロータ本体部6は、その軸中心部分をボルト等の締結部材によってシャフト9に固定されている。
また、ロータ本体部6には、吸気口4方向に延びる中空円柱状のロータ翼固定部6aが形成されている。そして、このロータ翼固定部6aの径方向の外側領域にロータ翼部7が配設されている。
ロータ翼部7は、ボルトなどの締結部材によってロータ本体部6に固定され、円筒部材8は、ロータ本体部6と一体に形成されている。
なお、本実施の形態に係る分子ポンプ1では、ターボ分子ポンプ部Tにおけるロータ部は、ロータ翼部7が3段構成されている。
なお、ロータ翼部7の詳細な説明は後述する。
円筒部材8は、外周面が円筒形状をした部材であり、ねじ溝式ポンプ部のロータ部側を構成している。
シャフト9は、ロータ部の軸を構成する円柱部材である。
また、分子ポンプ1は、ロータ部を回転自在に軸支する軸受部20、21、ロータ部を高速回転させるモータ部22などを備えている。
本実施の形態では、軸受部20、21を動圧ガス軸受としているが、これに限られるものではなく、ロータ部の変位をセンシングして、センシングした変位信号からコイルの発生する磁界を制御することにより、ロータ部を磁気浮上させる磁気軸受、転がり軸受など他の軸受を用いてもよい。
ケーシング2の内周側には、ステータ部が形成されている。このステータ部は、吸気口4側(ターボ分子ポンプ部)に設けられたステータ翼23と、排気口5側(ねじ溝式ポンプ)に設けられたねじ溝スペーサ24などから構成されている。
ステータ翼23は、シャフト9の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してケーシング2の内周面からシャフト9に向かって伸びたブレードから構成されており、ターボ分子ポンプ部では、これらステータ翼23が軸線方向に、ロータ翼部7と互い違いに複数段形成されている。各段のステータ翼23は、円筒形状をしたスペーサ25により互いに隔てられている。
ねじ溝スペーサ24は、内周面にらせん溝が形成された円柱部材である。ねじ溝スペーサ24の内周面は、所定のクリアランス(間隙)を隔てて円筒部材8の外周面に対面するようになっている。ねじ溝スペーサ24内を輸送されるガスは排気口5に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
これらステータ部はステンレスやアルミニウム合金などの金属を用いて構成されている。
ベース3は、円盤形状を有した部材であって、分子ポンプ1の基底部分を構成する。また、ベース3内には、タッチダウン時にシャフト9を回転自在に軸支する軸受部26を備えている。
以上のように構成された分子ポンプ1は、以下のように動作する。
まず、モータ部22が作動し、シャフト9を順方向に回転させる。軸受部20、21がシャフト9を浮上させることにより、ロータ部を非接触で空間中に軸支する。回転速度は例えば毎分3万回転程度である。
シャフト9の回転によってロータ部が回転すると、ロータ翼部7とステータ翼23の作用により、吸気口4からガスが吸引され、下段に行くほど圧縮される。
ターボ分子ポンプ部Tで圧縮されたガスは、さらにねじ溝式ポンプ部Sで圧縮され、排気口5から排出される。
次に、ロータ部を構成するロータ翼部7について説明する。
図2(a)は本実施の形態に係るロータ翼部の構成を示した図であり、(b)はロータ翼部の軸方向の断面を示した図であり、(c)は、内環部材の外側面の様子を示した図である。
図2(a)に示すように、本実施の形態に係る分子ポンプ1におけるロータ翼部7は、内環部材10と、ロータブレード11およびリング部材12から構成されている。
内環部材10は、径方向(放射方向)に厚みを有する円環状の部材であり、FRP(繊維強化プラスチック)材によって形成されている。
また、内環部材10は、軸方向に貫通したボルト取付孔13が複数形成されている。
内環部材10は、図1に示すロータ翼固定部6aと嵌合するように構成されている。
本実施の形態に係る分子ポンプ1では、内環部材10、ロータブレード11およびリング部材12から構成されたロータ翼部7が3段重ね合わせた状態で、内環部材10に設けられたボルト取付孔13にボルトを貫通させて締結することにより、ロータ本体部6に固定されている。
なお、内環部材10は、遠心力の影響が比較的小さいため、十分な比強度を保持する部材であればよく、FRP材に限定されるものではない。例えば、アルミニウムなどの金属によって形成するようにしてもよい。
ロータブレード11は、シャフト9の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜し、軸の中心から放射状に伸びたタービンブレードであり、FRP材によって形成されている。
なお、本実施の形態では、複数のロータブレード11によってターボ分子ポンプ部Tにおけるロータ翼(回転翼)が形成されている。
リング部材12は、ロータブレード11の先端部を内接するようにして配設された円環状部材である。リング部材12は、ロータブレード11と同様のFRP材によって形成されている。
ここで、ロータブレード11およびリング部材12を形成するFRP材について説明する。
ロータブレード11およびリング部材12を形成するFRP材とは、繊維強化プラスチック材の総称であり、その種類としては、AFRP(アラミド繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)等がある。この中でも、比強度の高いCFRP材を用いることが望ましい。
FRP材は、例えば、予め織ってある強化繊維(例えば、綾織りされた強化繊維)をマトリックス樹脂にプレス加工で重ね合わせて形成する補強繊維クロス方式や、連続した強化繊維束を一方向に引き揃えて加工するロービング方式によって形成されている。
本実施の形態に係るロータブレード11は、補強繊維クロス方式によって形成されたFRP材をブレードの形状に一枚ずつカットして形成されている。
また、リング部材12を形成するFRP材は、軸方向と直角方向にプラスマイナスの小さな角度を付けて繊維をボビンに巻き付けて、又はロービング方式で作られた主に一方方向に繊維が入ったプリプレグを円周方向に巻き重ねて形成されている。
なお、FRP材は、十分な比強度を得られる場合においては、繊維を樹脂に混入しインジェクション方式を用いて形成するようにしてもよい。
FRP材で用いられるマトリックス樹脂としては、ポリイミド、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等がある。
しかし、分子ポンプ1の内部は、高温になるため、熱変形を防止するために熱硬化性の樹脂を用いることが好ましい。また、部材の腐食を防止するために、ロータブレード11およびリング部材12の表面に、耐腐食加工を施すことが好ましい。
また、強化繊維としては、前述したアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維の他に、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリエステル繊維、炭化珪素繊維、ホウ素繊維、パルプ等の天然繊維、ステンレススチール繊維などを用いるようにしてもよい。また、ウィスカを用いてもよい。
一般に、FRP材は、金属部材と比較して比重が小さく、強化繊維方向の比強度が高く、線膨張係数が小さい等の特徴がある。
例えば、CFRP製のロータブレード11の重量をアルミニウム製と比較すると、3〜4割減とすることができる。
また、CFRP製のロータブレード11の弾性率をアルミニウム製と比較すると、CFRP製:350GPa(ギガパスカル)に対してアルミニウム製:70GPaとなり、即ち、CFRP製の強度はアルミニウム製の5倍以上となる。
さらに、CFRP製のロータブレード11の線膨張係数をアルミニウム製と比較すると、CFRP製:−1.1×10〜4×10/℃に対して、アルミニウム製:23×10/℃となる。なお、CFRP製の線膨張係数のマイナスは、縮み方向を示す。
本実施の形態によれば、このようなFRP材を用いることによって、ロータ翼部7の軽量化を図ることができるだけでなく、比強度の向上を容易に実現することができる。
ロータ翼部7の軽量化が図られると、モータの負荷を低減することができるため、その結果として省エネルギー化が実現できる。
さらに、モータの負荷が低減することにより、モータの出力容量を低減することが可能となる。これにより、小型のモータを使用することができるため、分子ポンプ1の小型化を図ることができる。
分子ポンプ1は、小型化されることにより、使用部材の小型化が図れるため製造コストの低減ができる。さらに、省エネルギー化が図れることにより運転コストの削減ができる。
また、FRP材は線膨張係数が小さいため、即ち、温度変化に対する変形量が小さいため、高温となる分子ポンプ1の内部に配設した場合にも、その温度変化対する変形量を十分に許容することができる。
本実施の形態に係るロータ翼部7は、これらの内環部材10、ロータブレード11およびリング部材12のそれぞれの部材間を溶接または接着剤によって接合することにより一体固定されている。
なお、部材間の接着に用いられる薬剤は、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。この場合のエポキシ樹脂としては、接着過程において部材間に応力がかかってしまうことを避けるため、高温硬化タイプでなく常温硬化タイプのものを用いる方が好ましい。作業性を考慮するとUV(紫外線)硬化タイプがより望ましい。
また、エポキシ樹脂の代わりに常温硬化タイプのポリイミド樹脂を用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図2(c)に示すように、内環部材10の外側面にロータブレード11の中心軸方向の端部を嵌合させることにより、ロータブレード11の位置決めをするブレード溝14が設けられている。
ブレード溝14は、軸方向に対してロータブレード11の有する翼角度分傾斜した方向に延び、ロータブレード11の厚みとほぼ同一の幅を有するスリット(溝)である。
ロータブレード11をこのブレード溝14に嵌め込むことにより、容易にロータブレード11の位置決めをすることができる。そして、ロータブレード11をブレード溝14に嵌め込んだ状態、即ち、内環部材10に仮固定した状態で接着処理を施す。
このように、ブレード溝14を内環部材10に設けることにより、ロータ翼部7の組立時における作業を容易にすること、即ち、組み立て作業効率を向上させることができる。
次に、ロータブレード11およびリング部材12における強化繊維の配置方向について説明する。
図3は、ロータ翼部7を構成するロータブレード11およびリング部材12の強化繊維の配置方向を示した図である。
図3に示すように、本実施の形態に係るロータ翼部7においては、ロータブレード11は放射方向に、また、リング部材12は周方向に強化繊維が配設されるように形成されている。このように、強化繊維を配設することによって、ロータブレード11は放射方向に、また、リング部材12は径方向(周方向)対する剛性が高くなる。
ここで、ロータブレード11およびリング部材12において、このような方向に強化繊維を設ける理由について説明する。
分子ポンプ1におけるロータ翼部7などの回転体は、排気処理の動作時に高速で回転するため、その回転運動によって大きな遠心力を受ける。
遠心力(F)は、F=mrω (m:質量、r:半径、ω:角速度)で示される通り、中心から離れるほど大きくなるため、ロータブレード11においては、その外周端部において最も大きな遠心力がはたらく。
ところが、本実施の形態に係る分子ポンプ1では、ロータブレード11の先端部を内接するようにして、外周にリング部材12が配設されている。
そのため、ロータブレード11の受ける遠心力がリング部材12に分散されるようになっている。即ち、ロータブレード11の受ける遠心力の大部分をリング部材12が受けるようになっている。
このように、本実施の形態では、リング部材12がロータブレード11にはたらく遠心力を受けるように構成されているため、ロータブレード11の内径側における遠心力の応力を回避することができる。そのため、ロータブレード11に大きな比強度を要求する必要がなくなる。
従って、本実施の形態のロータブレード11は、撓みを抑制するための放射方向の比強度が十分であれば、ロータブレード11の薄型化を図ることが容易にできる。そのため、ロータブレード11は、図3に示すように、放射方向に強化繊維が配置されるように形成されていることが望ましい。
一方、リング部材12は、ロータブレード11から径方向に作用する遠心力と自重分の遠心力を受けるため、その周方向の強度(剛性)が要求される。そのため、リング部材12は、図3に示すように、周方向に強化繊維が配置されるように形成されていることが望ましい。
リング部材12を備えていない、従来のアルミニウム等の金属部材の一体形成によってロータ翼を形成している分子ポンプにおいては、ブレードに作用する遠心力を全てブレード自身で受けなければならない。そのため、従来の分子ポンプでは、ブレードに作用する応力を十分に受けるだけの強度を確保するために、ブレードの根本(付け根)部分、即ち、ブレード部とロータ本体部の境界領域の強度が高まるように形成されていた。
例えば、ロータ翼の内周側(中心軸方向)の厚みを外周側(外側)の厚みより厚く形成したり、ブレード部とロータ本体部の境界領域に大きなRをもたせたりして、応力集中を抑制していた。
このように、従来の分子ポンプでは、ロータ翼の強度を確保するために、気体移送領域、詳しくは、気体の流路を形成する隣接するブレード間の開口流路面積が狭められてしまっていた。
一方、前述したように、本実施の形態のロータブレード11は、ロータブレード11の薄型化を容易に図ることができる。即ち、ロータブレード11の厚みを従来よりも薄くすることができる。
そのため、本実施の形態によれば、気体流路の開口度をより大きくすることができることにより、コンダクタンス特性を向上させることができるため、分子ポンプ1の気体の排気性能を向上させることができる。
ロータブレード11およびリング部材12は、遠心力だけでなく分子ポンプ1内の差圧より曲げ応力が作用し、その弾性率(E)に基づいて変形する場合がある。しかし、本実施の形態によれば、ブレードの剛性を径方向に大きくすることにより、その変位量(変形量)を低減することができる。
また、リング部材12を周方向に強化繊維が配置されるように形成することにより、周方向の引っ張り応力に対する強度を向上させることができる。
本実施の形態によれば、リング部材12およびロータブレード11を線膨張係数の小さいFRP材で形成することにより、温度変化による変形量を考慮したロータ翼部7とステータ翼23(ステータ部)との間のクリアランス(隙間)を小さく設定することができる。このように、ロータ翼部7とステータ部との隙間(ギャップ)を小さくすることにより、この隙間を通過する気体が減少するため、即ち、翼部分を通過する気体が増加するため、分子ポンプ1の気体の排気性能を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、高速回転するロータ翼部7をFRP材で形成することにより、分子ポンプ1の異常時(破壊モード)において、その破壊衝撃が金属部材(例えば、アルミニウム)で形成した場合程に急激に発生することがないため、破壊時の衝撃トルク(最大トルク)を低減させることができる。
図4は、図2のA部に示す、ロータブレード11およびリング部材12との接合部の拡大図を示した図である。
前述した通り、本実施の形態に係るロータ翼部7は、これらの内環部材10、ロータブレード11およびリング部材12のそれぞれの部材間を接着剤によって接合することにより一体固定されている。
ロータブレード11は、リング部材12との接合部(接着部)である先端部をリング部材12の曲率に対応した曲線に沿ってカットするように形成することが望ましい。
しかし、ロータ翼部7の組立を容易にするために、ロータブレード11におけるリング部材12との接合部(接着部)を、図4に示すように、山形(三角)状に形成し、この三角の頂点(点a、点b、点c)の三点を接触させた状態で接着するようにしてもよい。
このように、三点接触によってロータブレード11とリング部材12とを接着することにより、ロータブレード11の加工を容易にすることができる。
本実施の形態に係る分子ポンプの概略構成を示した図である。 (a)は本実施の形態に係るロータ翼部の構成を示した図であり、(b)はロータ翼部の軸方向の断面を示した図であり、(c)は、内環部材の外側面の様子を示した図である。 ロータ翼部を構成するロータブレードおよびリング部材の強化繊維の配置方向を示した図である。 図2のA部に示す、ロータブレードおよびリング部材との接合部の拡大図を示した図である。
符号の説明
1 分子ポンプ
2 ケーシング
3 ベース
4 吸気口
5 排気口
6 ロータ本体部
7 ロータ翼部
8 円筒部材
9 シャフト
10 内環部材
11 ロータブレード
12 リング部材
13 ボルト取付孔
14 ブレード溝
20 軸受部
21 軸受部
22 モータ部
23 ステータ翼
24 ねじ溝スペーサ
25 スペーサ
26 軸受部

Claims (4)

  1. 吸気口と排気口を有し、気体移送機構を内包するケーシングと、
    前記気体移送機構を構成する回転体と、
    前記回転体の回転軸と、
    前記回転軸を高速回転させるモータと、
    を具備し、
    前記回転体は、放射状に複数のロータブレードを有する回転翼と、前記回転翼の外周に前記ロータブレードの先端部を内接して設けられた円環状部材と、を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記ロータブレードおよび前記円環状部材は、繊維強化プラスチックにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  3. 前記円環状部材は、強化繊維が主に周方向または周方向と一定の小さな角度を持ってボビン巻に配置されていることを特徴とする請求項2記載の真空ポンプ。
  4. 前記ロータブレードは、強化繊維が主に放射方向に配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の真空ポンプ。
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