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JP2006044965A - ゼオライトの製造方法及び該ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤 - Google Patents

ゼオライトの製造方法及び該ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤 Download PDF

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JP2006044965A JP2004225410A JP2004225410A JP2006044965A JP 2006044965 A JP2006044965 A JP 2006044965A JP 2004225410 A JP2004225410 A JP 2004225410A JP 2004225410 A JP2004225410 A JP 2004225410A JP 2006044965 A JP2006044965 A JP 2006044965A
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Abstract

【課題】 炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物を、室温においても低濃度まで効率よく除去し得る硫黄化合物除去用吸着剤に好適に使用できる銀イオン交換ゼオライトの製造方法、並びに前記銀イオン交換ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤、更にその吸着剤を用いて脱硫処理した炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料から、燃料電池に使用可能な水素を効果的に製造する方法及びその水素を用いる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9で銀イオン交換してゼオライトに該銀金属を担持する銀イオン交換ゼオライトの製造方法、並びに前記銀イオン交換ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤、更にその吸着剤を用いて脱硫処理した炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料から、燃料電池に使用可能な水素を製造する方法及びその水素を用いる燃料電池システムである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゼオライト結晶の破壊が少ない銀イオン交換ゼオライトの製造方法、並びに該銀イオン交換ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤、更に、該吸着剤を用いて脱硫処理した炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料から、燃料電池に使用可能な水素を効果的に製造する方法及びその水素を用いる燃料電池システムに関するものである。
近年、環境問題から新エネルギー技術が脚光を浴びており、この新エネルギー技術の一つとして燃料電池が注目されている。
この燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用又は自動車用などとして、実用化研究が積極的になされている。
この燃料電池には、使用する電解質の種類に応じて、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型などのタイプが知られている。
一方、水素源としては、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、更にはLPG、ナフサ、灯油などの石油系炭化水素の使用が研究されている。
これらのガス状又は液状炭化水素を用いて水素を製造する場合、一般に、該炭化水素を、改質触媒の存在下に部分酸化改質、オートサーマル改質又は水蒸気改質などで処理する方法が用いられている。
LPG、都市ガス、灯油などの炭化水素燃料を改質して燃料用水素を製造する場合、改質触媒の被毒を抑制するためには、燃料中の硫黄分を0.1ppm以下に低減させることが要求される。
また、プロピレンやブテンなどは、石油化学製品の原料として使用する場合、やはり触媒の被毒を防ぐためには、硫黄分を0.1ppm以下に低減させることが要求される。
前記LPG中には、硫黄化合物として、一般にメタンチオールや硫化カルボニル(COS)などに加えて、着臭剤として添加されたジメチルスルフィド(DMS)、2−メチル−2−プロパンチオール(MPT)、メチルエチルスルフィドなどが含まれている。
また、最近ジメチルエーテルを燃料として利用する計画が進められている。
このジメチルエーテル自体は、硫黄化合物を含有していないが、漏洩対策から意図的に上記着臭剤の添加が検討されている。
LPGや都市ガスなどの炭化水素燃料中の硫黄化合物を吸着除去する各種吸着剤が知られているが、従来の吸着剤は吸着容量が十分ではなく、長期間使用するには、しばしば取り替える必要がある。
例えば、硫黄化合物除去用吸着剤として、アルカリ土類金属以外の多価金属イオン(Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sn及びZn)を交換したゼオライト系脱硫剤(例えば、特許文献1参照)、疎水性ゼオライトにAg、Cu、Zn、Fe、Co、Niなどをイオン交換により担持させた脱硫剤(例えば、特許文献2参照)や、Y型ゼオライト、βゼオライト又はX型ゼオライトにAg又はCuを担持した脱硫剤(例えば、特許文献3参照)などが開示されている。
これらの脱硫剤は、いずれも硝酸塩、酢酸塩、塩化物を用いてイオン交換を行うことが記載されている。
しかしながら、このような方法でイオン交換を行った場合、実際には1回のイオン交換では、担持量を十分に多くすることが困難である。
従って、担持量を増大させるには、繰り返しイオン交換を行う必要があり、又、このようにして担持量が多い金属交換ゼオライトを調製しても、硫黄化合物の吸着性能は十分ではない。
また、金属アンミン錯イオンを含有する溶液を用いて製造した金属イオン交換ゼオライトを含む脱硫剤(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
しかし、この方法では、脱硫剤の性能を向上するためAgの担持量を5質量%以上に増加しようとするとゼオライトの結晶破壊が生じる場合があり、性能が十分でないことがある。
特開平6−306377号公報 特開2001−286753号公報 特開2001−305123号公報 特開2004−168648号公報
本発明は、このような状況下でなされたもので、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物を、室温においても低濃度まで効率よく除去し得る硫黄化合物除去用吸着剤に好適に使用できる銀イオン交換ゼオライトの製造方法、並びに前記銀イオン交換ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤、更にその吸着剤を用いて脱硫処理した炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料から、燃料電池に使用可能な水素を効果的に製造する方法及びその水素を用いる燃料電池システムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9で銀イオン交換したゼオライトは、1回の操作で銀金属担持量を高くすることができ、かつゼオライトの結晶破壊が少なく、9を超えるpHで得られた銀イオン担持ゼオライト系脱硫剤に比べて、硫黄化合物に対する吸着性能に優れていること、そしてこの吸着剤を用いて脱硫処理した炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料を改質処理することにより、燃料電池用として使用可能な水素が効果的に得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明は、
1.銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9でイオン交換法により銀を担持することを特徴とする銀イオン交換ゼオライトの製造方法、
2.銀アンミン錯イオンをアンモニア及び/又は硝酸アンモニウムを用いて調製する上記1に記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法、
3.ゼオライトが、HY型及びUSY型ゼオライト並びにβゼオライトの中から選ばれる少なくとも一種である上記1又は2に記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法、
4.銀担持量が、銀金属として5〜30質量%である上記1〜3のいずれかに記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法、
5.ゼオライトが、成型体ゼオライトである上記1〜4のいずれかに記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法、
6.上記1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする吸着剤、
7.上記1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする触媒、
8.上記1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物除去用吸着剤、
9.炭化水素燃料が、LPG、都市ガス、天然ガス、ナフサ、灯油、軽油あるいはエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びブテンの中から選ばれる少なくとも一種の炭化水素化合物である上記8記載の硫黄化合物除去用吸着剤、
10.上記8又は9に記載の硫黄化合物除去用吸着剤を用いて、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物を脱硫処理した後、この脱硫処理燃料を部分酸化改質触媒、オートサーマル改質触媒又は水蒸気改質触媒と接触させることを特徴とする水素の製造方法、
11.部分酸化改質触媒、オートサーマル改質触媒又は水蒸気改質触媒が、ルテニウム系又はニッケル系触媒である上記10に記載の水素の製造方法、
12.上記10又は11に記載の方法で製造された水素を用いることを特徴とする燃料電池システム
を提供するものである。
本発明によれば、銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH5〜9で銀イオン交換した銀イオン交換ゼオライトは、銀担持量を5質量%以上としてもゼオライト結晶の破壊が少なく、該銀イオン交換ゼオライトを含む吸着剤は、硫黄化合物を室温においても極めて効率よく除去することができる。
本発明の銀イオン交換ゼオライトの製造方法は、銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9で銀イオン交換してゼオライトに該銀金属を担持する方法である。
本発明においては、前記ゼオライトとして、FAU、BEA、MOR、MTW、GME、OFF、MFI、MEL、FER、TON、及びLTA構造を有するものの中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
これらの中で、FAU、BEA構造を有するゼオライトが好ましく、特に吸着性能の点から、FAU構造としてHY型及びUSY型ゼオライト、BEA構造としてβゼオライトが好適である。
以下、銀イオン交換ゼオライトの製造方法について説明する。
銀アンミン錯イオンを含む溶液としては、水溶性の銀アンミン錯イオンを水に溶解させた溶液、又は硝酸銀、炭酸銀、酢酸銀、硫酸銀及び塩化銀などの銀化合物を水に溶解させ、これに過剰のアンモニア水を加えるか、又はアンモニア水に溶解させて、銀アンミン錯イオンを形成させた溶液などを用いることができる。
また、銀アンミン錯イオンの形成において、硝酸アンモニウム、尿素及びアミン類などを加えることができる。
特に、アンモニア及び/又は硝酸アンモニウムが好適に用いられる。
本発明における銀イオン交換ゼオライトを調製するには、先ず銀アンミン錯イオンを含む溶液に、ゼオライトを加えて、攪拌し、必要に応じ、アンモニア又はアミン等、場合により硝酸を加えてpHを4〜9の範囲とし、通常0〜90℃、好ましくは20〜70℃の範囲の温度において、1〜数時間程度、好ましくは攪拌しながらイオン交換処理を行なう。
銀アンミン錯イオンを含む溶液のpHが4以上であると、銀の担持量を高くすることができ、pHが9以下であると、ゼオライト結晶の破壊が少い。
次いで、固形物をろ過などの手段で分離し、水などで洗浄した後、500℃以下(好ましくは50〜200℃程度)の温度で乾燥処理する。
このイオン交換処理は繰り返し行うことができる。
次に、500℃以下(好ましくは200〜500℃程度)の温度で数時間程度焼成処理することにより、目的の銀イオン交換ゼオライトが得られる。
このようにして得られた銀イオン交換ゼオライト中の銀の担持量は、銀として5〜30質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好適である。
また、このように銀イオン交換したゼオライトは、適当なバインダーを用いて押出成型、打錠成型、転動造粒、スプレードライなどの通常の方法で成型して使用できる。
また、予め成型したゼオライトを本方法の銀イオン交換を行い、使用することもできる。
ゼオライトとしては、粉末よりも成型したゼオライトが好ましく、その粒径は小さいほど好ましい。
上記の方法で製造された銀イオン交換ゼオライトの結晶化度は、X線回折によって測定することができ、例えば、銀イオン交換ゼオライトと未処理のゼオライトのX線回折ピーク(XRD)の相対強度で示すことができる。
即ち、この相対強度は、ゼオライト結晶の大きさや交換された金属種により異なるので結晶化度を直接示すものではないが、同一の金属を交換したものについては比較することができる。
具体的には、X線回折ピークのうち、主要なピーク(2θ=10〜40°)の範囲で、強度が高く、分離のよいものを3〜10本を選び、各ピークの相対強度の平均値で示す。
〔X線回折測定の条件〕
Cu−Kα線:波長λ=1.5406Å、出力:40kV、40mA
光学系:反射法;2θ・θ連続スキャン、DS、SSスリット:1°
RSスリット:0.3mm、ステップ間隔:0.02°、スキャン速度:1°/分
また、上記の方法で製造された銀イオン交換ゼオライトは、硫黄化合物除去用吸着剤だけでなく、エチレンの酸化によるエチレンオキサイドの製造、メタノールの脱水素によるホルムアルデヒドの製造、排ガスからの窒素酸化物の除去等の触媒、各種炭化水素の吸着、自動車排ガス中の炭化水素の吸着、硫黄化合物の吸着、空気中の窒素の選択的吸着等の吸着剤に好適に使用される。
前記のようにして得られた銀イオン交換ゼオライトを含む硫黄化合物除去用吸着剤は、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料に適用される。
ここで、炭化水素燃料としては、例えばLPG、都市ガス、天然ガス、ナフサ、灯油、軽油あるいはエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びブテンの中から選ばれる少なくとも一種の炭化水素化合物などを挙げることができる。
本発明の吸着剤が適用される炭化水素ガス中の硫黄化合物の濃度としては、0.001〜10,000容量ppmが好ましく、特に0.1〜100容量ppmが好ましい。
また、脱硫条件としては、通常、温度は−50〜150℃の範囲で選ばれ、GHSVは100〜1,000,000h-1の範囲で選ばれる。
脱硫温度が150℃を超えると硫黄化合物の吸着が起こり難くなる。
好ましい温度は−50〜120℃、より好ましくは−20〜100℃の範囲である。
また、好ましいGHSVは100〜100,000h-1、より好ましくは100〜50,000h-1の範囲である。
また、液体燃料を使用する場合には、硫黄化合物の濃度は、0.001〜10,000質量ppmが好ましく、特に0.1〜100質量ppmが好ましい。
脱硫条件としては、通常、温度は−50〜150℃の範囲で選ばれ、WHSVは0.1〜1,000h-1の範囲で選ばれる。
本発明の銀イオン交換ゼオライトは、銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9でゼオライトを銀イオン交換することにより製造でき、一回のイオン交換処理による銀金属の担持量が多く、ゼオライトの結晶破壊も少ない。
また、本発明の銀イオン交換ゼオライトを含む吸着剤は、9を超えるpHで銀イオン交換した銀イオン交換ゼオライトを含む吸着剤よりも、脱硫性能に優れている。
次に、本発明の燃料電池に使用可能な水素の製造方法においては、前述の本発明の吸着剤を用いて、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物を脱硫処理した後、この脱硫処理燃料を改質することにより、水素を製造する。
この際、改質方法として、部分酸化改質、オートサーマル改質、水蒸気改質などの方法を用いることができる。
この改質方法においては、脱硫処理炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物の濃度は、各改質触媒の寿命の点から、0.1容量ppm以下が好ましく、特に0.005容量ppm以下が好ましい。
前記部分酸化改質は、炭化水素の部分酸化反応により、水素を製造する方法であって、部分酸化改質触媒の存在下、通常、反応圧力常圧〜5MPa、反応温度400〜1,100℃、GHSV1,000〜100,000h-1、酸素(O2)/炭素比0.2〜0.8の条件で改質反応が行われる。
また、オートサーマル改質は、部分酸化改質と水蒸気改質とを組み合わせた方法であって、オートサーマル改質触媒の存在下、通常、反応圧力常圧〜5MPa、反応温度400〜1,100℃、酸素(O2)/炭素比0.1〜1、スチーム/炭素比0.1〜10、GHSV1,000〜100,000h-1の条件で改質反応が行われる。
更に、水蒸気改質は、炭化水素に水蒸気を接触させて、水素を製造する方法であって、水蒸気改質触媒の存在下、通常、反応圧力常圧〜3MPa、反応温度200〜900℃、スチーム/炭素比1.5〜10、GHSV1,000〜100,000h-1の条件で改質反応が行われる。
本発明においては、前記の部分酸化改質触媒、オートサーマル改質触媒、水蒸気改質触媒としては、従来公知の各触媒の中から適宜選択して用いることができるが、特にルテニウム系及びニッケル系触媒が好適である。
また、これらの触媒の担体としては、酸化マンガン、酸化セリウム及びジルコニアの中から選ばれる少なくとも一種を含む担体を好ましく挙げることができる。
該担体は、これらの金属酸化物のみからなる担体であってもよく、アルミナなどの他の耐火性多孔質無機酸化物に、上記金属酸化物を含有させてなる担体であってもよい。
本発明はまた、前記製造方法で得られた水素を用いる燃料電池システムを提供する。
以下に本発明の燃料電池システムについて添付図1に従い説明する。
図1は本発明の燃料電池システムの一例を示す概略フロー図である。
図1によれば、燃料タンク21内の燃料は、燃料ポンプ22を経て脱硫器23に流入する。
脱硫器内には本発明の吸着剤を充填することができる。
脱硫器23で脱硫された燃料は水タンクから水ポンプ24を経た水と混合した後、気化器1に導入されて気化され、次いで空気ブロアー35から送り出された空気と混合され改質器31に送り込まれる。
改質器31の内部には前述の改質触媒が充填されており、改質器31に送り込まれた燃料混合物(水蒸気、酸素及び炭化水素燃料若しくは酸素含有炭化水素燃料を含む混合気体)から、前述した改質反応のいずれかによって水素又は合成ガスが製造される。
このようにして製造された水素又は合成ガスはCO変成器32、CO選択酸化器33を通じてそのCO濃度が燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで低減される。
これらの反応器に用いる触媒の例としては、CO変成器32では、鉄―クロム系触媒、銅―亜鉛系触媒又は貴金属系触媒が、CO選択酸化炉33では、ルテニウム系触媒、白金系触媒又はそれらの混合物等を挙げることができる。
燃料電池34は負極34Aと正極34Bとの間に高分子電解質34Cを備えた固体高分子型燃料電池である。
負極側には上記の方法で得られた水素リッチガスが、正極側には空気ブロワー35から送られる空気が、それぞれ必要に応じて適当な加湿処理を行った後(加湿装置は図示せず)導入される。
このとき負極側では、水素ガスがプロトンとなり電子を放出する反応が進行し、正極側では酸素ガスが電子とプロトンを得て水となる反応が進行し、両極34A、34B間に直流電流が発生する。
負極には、白金黒、活性炭担持のPt触媒又はPt−Ru合金触媒などが、正極には白金黒、活性炭担持のPt触媒などが用いられる。
負極34A側に改質器31のバーナ31Aを接続して余った水素を燃料とすることができる。
また、正極34B側に接続された気水分離器36において、正極34B側に供給された空気中の酸素と水素との結合により生じた水と排気ガスとを分離し、水は水蒸気の生成に利用することができる。
尚、燃料電池34では、発電に伴って熱が発生するため、排熱回収装置37を付設してこの熱を回収して有効利用することができる。
排熱回収装置37は、反応時に生じた熱を奪う熱交換機37Aと、この熱交換器37Aで奪った熱を水と熱交換するための熱交換器37Bと、冷却器37Cと、これら熱交換器37A、37B及び冷却器37Cへ冷媒を循環させるポンプ37Dとを備え、熱交換器37Bにおいて得られた温水は、他の設備などで有効利用することができる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
市販のHY型ゼオライト成型体(東ソー製、HSZ−320HOD1A)を砕いて0.5〜1mmの粒径とした。
硝酸銀394gを水2.5Lに溶解し、これに硝酸アンモニウム276g及び30質量%のアンモニア水220gを加え、銀アンミン錯イオン溶液を得た。
この銀アンミン錯イオン溶液に、上記ゼオライト1kgを投入した。
この液を攪拌し、6時間銀イオン交換処理を行った。
このときの溶液のpHは6.8であった。
その後、固形物をろ取し、水洗した後、120℃で乾燥し、更に400℃で3時間焼成処理することにより、銀イオン交換Y型ゼオライトを得た。
銀の含有量は11.2質量%であった。
X線回折測定を行い、ミラー指数(5、3、3)、(6、4、2)、(5、5、5)の3本のピークについて、未処理のHY型ゼオライトのX線回折強度(XRD)と平均値を比較したところ、このものの強度比は65%であった。
この結果を表1に示す。
実施例2
市販のβゼオライト成型体(東ソー製HSZ−930HODA)を砕いて0.5〜1mmの粒径としたものを使用したこと以外は、実施例1と同様に銀イオン交換処理を行ない、銀イオン交換βゼオライトを得た。
銀イオン交換処理のpHは6.0であり、銀の含有量は11.5質量%であった。
X線回折測定を行い、ミラー指数(3、0、2)、(3、0、6)、(2、1、4)の3本のピークについて、未処理のβゼオライトのX線回折強度と平均値を比較したところ、このものの強度比は61%であった。
この結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、硝酸アンモニウムを加えずに、30質量%のアンモニア水440gを加えたこと以外は、実施例1と同様に銀イオン交換処理を行ない、銀イオン交換Y型ゼオライトを得た。
銀イオン交換処理のpHは9.6であり、銀の含有量は12.7質量%であった。
X線回折測定を行い、ミラー指数(5、3、3)、(6、4、2)、(5、5、5)の3本のピークについて、未処理のHY型ゼオライトのX線回折強度と平均値を比較したところ、このものの強度比は29%であった。
この結果を表1に示す。
試験例1
実施例1及び2並びに比較例1の銀イオン交換ゼオライトを0.5〜1mmに成型し、吸着剤1cm3を内径9mmの脱硫管に充填した。
常圧で吸着剤温度を20℃とし、ジメチルスルフィド(DMS)及び2−メチル−2−プロパンチオール(MPT)を各20容量ppm(合計40容量ppm)含むプロパンガスを、常圧、GHSV(ガス時空間速度)20,000h-1の条件で流通させた。
脱硫管出口ガスの各硫黄化合物濃度をSCD(Sulfur Chemiluminescence Detector)ガスクロマトグラフィーにより、1時間毎に測定した。
表1に、各硫黄化合物濃度が0.1容量ppmを超える時間を示した。
Figure 2006044965
実施例1及び2と比較例1とを比べて分かるように、9を超えるpHで銀イオン交換したゼオライトに対して、本発明のpH4〜9で銀イオン交換したゼオライトは、ゼオライトの結晶破壊が少ない。
また、ほぼ同一の銀の担持量では、本発明の銀イオン交換ゼオライトの方が、脱硫性能が優れている。
本発明の燃料電池システムの一例を示す概略フロー図である。
符号の説明
1: 気化器
2: 燃料電池システム
20: 水素製造システム
21: 燃料タンク
23: 脱硫器
31: 改質器
31A:ボイラー
32: CO変成器
33: CO選択酸化器
34: 燃料電池
34A:負極
34B:正極
34C:高分子電解質
36: 気水分離器
37: 排熱回収装置
37A:熱交換機
37B:熱交換器
37C:冷却器

Claims (12)

  1. 銀アンミン錯イオンを含む溶液を用い、pH4〜9でイオン交換法により銀を担持することを特徴とする銀イオン交換ゼオライトの製造方法。
  2. 銀アンミン錯イオンをアンモニア及び/又は硝酸アンモニウムを用いて調製する請求項1に記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法。
  3. ゼオライトが、HY型及びUSY型ゼオライト並びにβゼオライトの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法。
  4. 銀担持量が、銀金属として5〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法。
  5. ゼオライトが、成型体ゼオライトである請求項1〜4のいずれかに記載の銀イオン交換ゼオライトの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする吸着剤。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする触媒。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られた銀イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物除去用吸着剤。
  9. 炭化水素燃料が、LPG、都市ガス、天然ガス、ナフサ、灯油、軽油あるいはエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びブテンの中から選ばれる少なくとも一種の炭化水素化合物である請求項8記載の硫黄化合物除去用吸着剤。
  10. 請求項8又は9に記載の硫黄化合物除去用吸着剤を用いて、炭化水素燃料又はジメチルエーテル燃料中の硫黄化合物を脱硫処理した後、この脱硫処理燃料を部分酸化改質触媒、オートサーマル改質触媒又は水蒸気改質触媒と接触させることを特徴とする水素の製造方法。
  11. 部分酸化改質触媒、オートサーマル改質触媒又は水蒸気改質触媒が、ルテニウム系又はニッケル系触媒である請求項10に記載の水素の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法で製造された水素を用いることを特徴とする燃料電池システム。

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