[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2005516622A - 複合酵素触媒によるメタクリル酸およびアクリル酸の製造方法 - Google Patents

複合酵素触媒によるメタクリル酸およびアクリル酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005516622A
JP2005516622A JP2003566220A JP2003566220A JP2005516622A JP 2005516622 A JP2005516622 A JP 2005516622A JP 2003566220 A JP2003566220 A JP 2003566220A JP 2003566220 A JP2003566220 A JP 2003566220A JP 2005516622 A JP2005516622 A JP 2005516622A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
acid
nitrile hydratase
acrylonitrile
methacrylonitrile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003566220A
Other languages
English (en)
Inventor
デイコジモ,ロバート
フアロン,ロバート・デイ
ガバガン,ジヨン・イー
マンザー,レオ・イー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EIDP Inc
Original Assignee
EI Du Pont de Nemours and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EI Du Pont de Nemours and Co filed Critical EI Du Pont de Nemours and Co
Publication of JP2005516622A publication Critical patent/JP2005516622A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/40Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a carboxyl group including Peroxycarboxylic acids

Landscapes

  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、アクリロニトリルからアクリル酸への加水分解、およびメタクリロニトリルからメタクリル酸への加水分解を、高収率、高濃度で、かつ、高い特異性をもって行う方法を提供する。アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルは、適当な水性反応混合物中で、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を特徴とする触媒により加水分解され、対応する酸を生成する。アクリル酸またはメタクリル酸が、酸または対応する塩として単離される。

Description

本発明は、アクリロニトリルからアクリル酸への加水分解、およびメタクリロニトリルからメタクリル酸への加水分解を、高収率で、高い選択性を保ちつつ高濃度で行うプロセスを提供する。アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルは適当な水性反応混合物中で、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を特徴とする酵素触媒により加水分解され、対応するカルボン酸を生成する。アクリル酸またはメタクリル酸は酸または対応する塩として単離される。
メタクリル酸およびそのエステルは、アクリルのシート、成型品、コーティングおよび耐衝撃性改料剤の製造に、また、洗浄剤用添加剤、レオロジー調節剤、オイル添加剤、無溶剤インキ、塗料、光沢剤およびコーティング剤での使用を含む用途に、広く使用されている。メタクリル酸の製造にはいくつかの方法が存在するが、硫酸メタクリルアミド(アセトンシアノヒドリンから製造される)の加水分解法が現在の全世界の商業生産の大勢を占めている(非特許文献1、非特許文献2)。この方法では、硫酸メタクリルアミドを経てメタクリル酸1kgを製造するのに約1.6kgの硫酸が必要である。したがって、今日のメタクリル酸製造の商業的プロセスにおいて、硫酸のリサイクルと再生(および必要とされる相当量のエネルギー資源)を不要とするような代替プロセスが強く求められている。
メタクリル酸は、また、イソブチレンのアンモ酸化(ammoxidation)によりメタクリロニトリルを得、それを1当量の硫酸で処理してメタクリルアミドに加水分解することにより製造することができる。メタクリルアミドは、アセトンシアノヒドリンをベースとするプロセス(非特許文献2)のそれと類似の条件で、メタクリル酸へと加水分解される。
アクリル酸は、主にアクリル酸エステル製造の中間体として使用されており、アクリル酸エステルはコーティング剤、仕上げ剤、ペイント、接着剤の製造に使用され、スーパー吸着剤や洗浄剤用添加剤の製造にも使用されている。大部分の商業用アクリル酸はプロピレンの酸化により製造している。アクリル酸の代替製造法はアクリロニトリル(プロピレンのアンモ酸化により製造される)の硫酸による加水分解に拠っている。この方法は、硫酸アンモニウム廃棄物が大量に生成し、それに伴うコストのために商業的には実施されていない(非特許文献3、非特許文献4)。
メタクリロニトリルをメタクリル酸へ、または、アクリロニトリルをアクリル酸へ加水分解し得る微生物触媒は、この目的のために硫酸を使用するときに生成する不用な硫酸アンモニウム廃棄物を生成しない。ロドコッカス・ロドクロス(Rhodococcus rhodochrous)J1ニトリラーゼは、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから、それぞれアクリル酸およびメタクリル酸を製造するのに用いられてきた(非特許文献5)。この酵素は、アクリロニトリル濃度が200mMより高くなると、顕著な反応抑制を示すようになり、メタクリロニトリルからメタクリル酸への変換速度はアクリル酸の生成に比べて遅くなった。アクリロニトリルの加水分解では、アクリロニトリルの濃度を常に監視しながら反応を進行させ、濃度を200mMより低く保つために、反応の全過程に亘ってアクリロニトリルを繰り返し供給する必要があった。特許文献1には、アクリロニトリルをアクリル酸に、また、メタクリロニトリルをメタクリル酸に変換するためにロドコッカスからのニトリラーゼ酵素を使用することが記載されている。アール.ロドクロス(R.rhodochrous)J1ニトリラーゼのメタクリロニトリルに対する比活性は、アクリロニトリルに対する比活性の僅かに8%であった。
特許文献2および特許文献3は、アクリロニトリルからアクリル酸、およびメタクリロニトリルからメタクリル酸への加水分解に、500μM以下のKmおよび少なくとも100mMのKiをそれぞれ有するロドコッカスニトリラーゼ酵素を使用することを開示している。特許文献2には、アクリロニトリルを連続的に供給して、反応の全過程に亘ってアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル濃度の上限値を175mMに維持すれば、反応は好適に進むことが開示されている。特許文献3では、反応の全過程中、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを連続供給する場合、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの上限濃度は1または2重量%以下であり、しばしば0.5重量%以下であり、好ましくは0.2重量%以下である。反応器中に存在する(メタ)アクリロニトリルの濃度が非常に低いことから、特にフェッド・バッチ(fed batch)プロセスや連続プロセスでは、反応物の濃度を注意深く制御する必要がある。
最近、2種のロドコッカス単離株(ニトリラーゼ活性のみを有するものと、ニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合活性のみを有するもの)のアンモニウムアクリレート製造用触媒としての比較が行われたが、ニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合活性を有する触媒は、(a)2つの酵素を所要の比率で誘発することが困難であること、(b)2つの酵素(ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ)がアクリロニトリルによって失活しやすいこと、(c)2つの酵素がそれぞれの生成物によって抑制されること、により好ましくないとの結論が得られた(非特許文献6)。
特許文献4は、ノカルディア(Nocardia)、バチルス(Bacillus)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、マイクロコッカス(Micrococcus)、バクテリディウム(Bacteridium)およびコリネバクテリウム(Corynebacterium)を用いた、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから対応する酸への加水分解を開示しているが、そこでは、反応速度を10〜20倍に増大させるために微生物触媒への光照射が必要であった。ロドコッカス種(Rhodococcus sp.)AJ270を用いて200mMメタクリロニトリルを加水分解すると、ほぼ量論量の対応する酸が生成されたが、同条件のアクリロニトリルの加水分解では、アクリル酸生成の収率は僅かに約70%であった(非特許文献7)。
アクリロニトリルからアクリルアミドへの水和反応に使われてきた、ニトリルヒドラターゼのみを含有する微生物触媒もまた、しばしば、高濃度のアクリロニトリルによって失活化しやすい。非特許文献8は、バチルス種(Bacillus sp.)BR449は熱に安定なニトリルヒドラターゼを発現するが、アクリロニトリルのアクリルアミドへの水和反応に使用されると、アクリロニトリル濃度が僅か2重量%であっても酵素の失活が見られ、この触媒を商業的に使用することは適当でないと報告している。非特許文献9は、アクリロニトリルからのアクリルアミドの商業的製造で使われてきた3つの微生物ニトリルヒドラターゼ触媒を比較している。ロドコッカス・ロドクロスJ1のニトリルヒドラターゼ活性に比べて、ブレビバクテリウムR312およびシュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23触媒のニトリルヒドラターゼ活性は10℃を超えると不安定になり、3つの触媒全てのニトリルヒドラターゼ活性は、アクリロニトリル濃度に敏感であって、アクリロニトリルの濃度がより高い反応では、ニトリルヒドラターゼの不活性化が起きた。商業的に、ブレビバクテリウムR312およびピー・クロロラフィス(P.chlororaphis)B23触媒を使用したとき、アクリロニトリルの濃度は1.5〜2重量%に維持したが、アール・ロドクロス(R.rhodochrous)J1では7重量%までの濃度が使用された。
ニトリラーゼまたはニトリルヒドラターゼ/アミダーゼ活性を有する微生物触媒を使用して、アクリル酸またはメタクリル酸を効率的に製造する工業的プロセスを開発することは困難なことが判明した。酵素触媒を使用して、アクリル酸またはメタクリル酸を対応するニトリルから製造する多くの方法が、商業的な要求に十分に合致するような高濃度で生成物を生成せず蓄積もしない。すなわち、反応過程を通じて酵素の失活(全反応過程を通じてニトリル濃度が低いことが要求される)または生成物による抑制を受け易い。
米国特許第5,135,858号明細書 米国特許第5,998,180号明細書 米国特許第6,162,624号明細書 欧州特許出願公開第187680 A2号明細書 ビー・エルバース(B.Elvers)、エス・ホーキンス(S.Hawkins)、ジー・シュルツ(G.Schulz)編、「ウルマンズ・エンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)」、第5版、ダブリュー・バウアー・ジュニア(W.Bauer,Jr.)、「メタクリリックアシッド・アンド・デリバティブズ(Methacrylic Acid and Derivatives)」、ブイ・シー・エイチ(VCH)、ニューヨーク(New York)、1990年、A16巻、p.441−452 ジェイ・アイ・クロシュヴィッツ(J.I.Kroschwitz)、エム・ハウグラント(M.Howe−Grant)編、「カークオスマー・エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)」、第4版、エイ・ダブリュー・グロス(A.W.Gross)、ジェイ・シー・ドブソン(J.C.Dobson)、「メタクリリックアシッド・アンド・デリバティブズ(Methacrylic Acid and Derivatives)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)、1995年、16巻、p.474−506 ダブリュ・ゲルハ−ツ(W.Gerhartz)編、「ウルマンズ・エンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)」、第5版、ティ・オハラ(T.Ohara)ら、「アクリリックアシッド・アンド・デリバティブズ(Acrylic Acid and Derivatives)」、ブイ・シー・エイチ(VCH)、ニューヨーク(New York)、1985年、A1巻、p.161−176 ジェイ・アイ・クロシュヴィッツ(J.I.Kroschwitz)、エム・ハウグラント(M.Howe−Grant)編、「カークオスマー・エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)」、第4版、ダブリュー・バウア(W.Bauer)、「アクリリックアシッド・アンド・デリバティブズ(Acrylic Acid and Derivatives)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)、1991年、1巻、p.287−314 ナガサワ(Nagasawa)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol.、1990年、34巻、p.322−324 ウェブスター(Webster)ら、バイオテクノロジー・レターズ(Biotechnology Letters)、2001年、23巻、p.95−101 メスコーン(Meth−Cohn)ら、J.Chem.Soc.、パーキン・トランス(Perkin Trans.)1、1997年、p.1099−1104 パドマクマー(Padmakumar)、オリール(Oriel)、Appl.Biochem.Biotechnol.、1999年、77−79、p.671−679 ナガサワ(Nagasawa)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol.、1993年、40巻、p.189−195
解決すべき問題は、高収率、高濃度および高選択性を特徴とし、加えて従来から知られるニトリルの化学的加水分解法に比べて、要求される温度およびエネルギーが低く、また、廃棄物量が少ないという利点を有するプロセスで、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを対応する酸に変換する、使用が容易な微生物触媒が依然として見出されていないことである。
本発明は、アクリロニトリルからアクリル酸への加水分解、およびメタクリロニトリルからメタクリル酸への加水分解を、高収率、高濃度で、かつ、高い特異性をもって行う方法を提供する。本発明は、(a)適当な水性反応混合物中で、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルをコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D(ATCC 55744)のニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を有することを特徴とする触媒と接触させて、対応するカルボン酸を製造する工程と、(b)(a)で製造されるアクリル酸またはメタクリル酸を酸または対応する塩として単離する工程とを有する。
本発明の更なる実施態様では、そのままの微生物細胞、浸透化処理した微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つもしくはそれ以上の細胞成分および部分的に精製した酵素、または精製した酵素の形態で、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を有する触媒を使用する。
いかなる形態にあっても、触媒は、可溶性または不溶性の担体の中または表面に固定化することができる。
生物寄託の簡単な説明
出願人は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基いて、以下の生物寄託を行った。
Figure 2005516622
ここで用いられているように、「ATCC」とは、米国、20110−2209バージニア州マナサス、ユニバーシティ通り10801、ATCC(ATTC,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209,USA)を所在地とするアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション・インターナショナル・デポジトリー・オーソリティー(American Type Culture Collection International Depository Authority)を示す。「国際寄託番号」は、ATCCに寄託したカルチャーに対する受付番号である。
リストに挙げた寄託物は、表記の国際寄託機関で少なくとも30年間保管され、それを開示した特許の登録時に公共の使用に供される。寄託物を使用できることがそのまま、政府の措置により付与された特許権の範囲内で、当該発明を実施するための許諾を意味するものではない。
[発明の詳細な記述]
出願人は、ニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合活性を有する触媒を使用して、アクリル酸またはメタクリル酸を対応するニトリルから、高収率および高濃度で、高い特異性を持って製造する方法を提供することによって前記の問題を解決した。この方法は、従来より知られる方法に比べて、要求される温度およびエネルギーが低く、廃棄物の排出量も少ない利点をさらに有する。本発明で製造されるアクリル酸およびメタクリル酸は、多くの工業プロセスおよび工業製品で有用に使用される。
微生物触媒は、ニトリラーゼ(EC3.5.5.7)を使用すれば、対応するアミド中間生成体を経由することなく(式1)、ニトリルを直接対応するカルボン酸に加水分解することができ、あるいは、ニトリルヒドラターゼ(EC4.2.1.84)およびアミダーゼ(EC3.5.1.4)の複合酵素を使用すれば、ニトリルヒドラターゼ(NHase)がまずニトリルをアミドに変換し、その後、アミダーゼがアミドを対応するカルボン酸に変換する(式2)。
Figure 2005516622
従来技術によれば、単一のニトリラーゼ酵素を有する微生物触媒が、反応に有効であり、好ましいとされている(ウェブスター(Webster)ら、バイオテクノロジー・レターズ(Biotechnology Letters)、2001年、23巻、p.95−101)。また、既知のプロセスでは、ニトリルを低濃度に維持するために一貫して反応を監視しなければならない。
本発明では、アクリル酸およびメタクリル酸を対応するニトリルから、高濃度で、高特異的に製造可能であり、ニトリルを完全に変換できる、ニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合活性を有する微生物触媒が同定された。本発明の触媒によれば、ニトリルを低濃度に維持するために全反応過程に亘ってニトリル濃度を監視する必要がなく、また、ニトリルヒドラターゼ活性の安定性を維持するために低温(5〜10℃)で反応を行わせる必要もない。その代わりに、本プロセスでは熱に安定なニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合酵素を、所望の変換のための触媒として使用する。
従来技術は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが、微生物触媒のニトリラーゼおよびニトリルヒドラターゼ活性を失活化させることを教示している。加水分解または水和反応は、酵素の不活性化を避けるため、通常、低基質濃度で行われている。本発明では、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを対応する酸に変換するために、シー・テストステロニ(C.testosteroni)5−MGAM−4D触媒の二つの酵素触媒を使用する。ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ酵素が、アクリル酸またはメタクリル酸を高濃度で製造するために繰り返し使用される場合、単一または一連の反応の全過程に亘って存在する高濃度のニトリル、アミドおよびカルボン酸に対して安定であることは、知られておらず、また、予測もできなかった。
定義
本開示では多くの用語と略語が使用されている。他に特に説明がなければ以下の定義を適用するものとする。
用語「触媒」、「酵素触媒」または「微生物細胞触媒」は、ニトリラーゼ活性またはニトリルヒドラターゼとアミダーゼの複合活性を特徴とする触媒を意味する。触媒の形態は、そのままの微生物細胞、浸透化処理した微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つもしくはそれ以上の細胞成分、部分的に精製した酵素、または精製した酵素であってよい。
用語「コマモナス・テストステロニ」と「シー・テストステロニ(C.testosteroni)」とは交換可能である。
用語「アクリロニトリル」は、シアノエテン、シアノエチレン、2−プロペンニトリル、プロペンニトリル、シアン化ビニルおよびCAS登録番号107−13−1の全ての他の同義語と同義である。
用語「アクリル酸」は、アクロレイン酸(acroleic acid)、エチレンカルボン酸、2−プロペン酸、プロペン酸、ビニル蟻酸およびCAS登録番号79−10−7の全ての他の同義語と同義である。
用語「メタクリロニトリル」は、2−メチル−2−プロペンニトリル、α−メタクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリル、1−メチルエテニルシアニド、2−シアノ−1−プロペン、2−シアノプロペン、2−メチル−2−プロペンニトリル、2−メチルアクリロニトリル、2−メチルプロペンニトリル、イソブテンニトリル、イソプロペンシアニド、イソプロペニルニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリロニトリルおよびCAS登録番号126−98−7の全ての他の同意語と同意である。
用語「メタクリル酸」は、2−メチル−2−プロペン酸、α−メタクリル酸、α−メチルアクリル酸、2−メチル−2−プロペン酸、2−メチルアクリル酸、メチルアクリル酸およびCAS登録番号79−41−4の全ての他の同義語と同義である。
用語「適当な水性反応混合物」は、ニトリル基質と酵素触媒が接触できるようになった物質と水を意味する。適当な水性反応混合物の成分がここで言及されており、当業者であれば本プロセスに適した成分の配合範囲を正しく認識できるであろう。
明細書中の略語は、次のような測定単位、技術、物性または化合物に対応している。「sec」は秒、「min」は分、「h」は時間、「d」は日、「mL」はミリリットル、「L」はリットル、「mM」はミリモル(millimolar)、「M」はモル、「mmol」はミリモル(millimole)、そして「wt」は重量である。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィ、「ca」は約、「O.D.」は指定した波長での光密度、「IU」は国際単位である。
方法と材料:
微生物酵素触媒の成長:
コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D(ATCC 55744)は、米国、テキサス州オレンジ(Orange,TX,U.S.A.)で収集した土壌から、E2基本培地(表1)(pH7.2)を用いて標準増菌法により増殖させた。
Figure 2005516622
表2に前記増殖のためにE2基本培地に加えた変更を示す。凍結15%グリセロールストックは−65℃〜−70℃に維持した。
Figure 2005516622
コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dは、ニトリル変換活性を試験するために、次の条件(表3)で好気的に増殖させた。
Figure 2005516622
集めた細胞はニトリル変換に使用するまで、−65℃〜−70℃に冷凍した。
アクリル酸およびメタクリル酸製造のためのコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dの使用
コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D微生物細胞は、熱に安定なニトリルヒドラターゼとアミダーゼに加えて、熱に不安定なニトリルヒドラターゼを含有している(米国特許第5,922,589号)。適当な緩衝液中のコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dの懸濁物を35〜70℃で10〜120分間加熱すると、熱に安定なニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を大きく損なうことなく、微生物細胞触媒の熱に不安定なニトリルヒドラターゼ活性を失活させることができる(米国特許第5,814,508号)。この熱処理法は、本発明において、熱に不安定なニトリルヒドラターゼを含まない酵素触媒を調製するために使用することができるが、本発明の適用には必ずしも必要ではない。非処理の、または熱処理された微生物触媒の酵素活性は、長期間、安定な状態に維持される。
ニトリルヒドラターゼおよびアミラーゼ活性を有する、そのままの微生物細胞は、浸透化処理などのいかなる前処理をも施さずに、触媒として使用することができる。あるいは、細胞内外への物質の拡散速度を増大させるために、当業者によく知られた方法(例えば、トルエン、界面活性剤または凍結融解による処理など)で、微生物細胞に浸透化処理を施してもよい。さらに、触媒は、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼとアミダーゼ活性を発現するように形質転換された微生物細胞の形態にあってもよい。
酵素触媒は、その回収と再利用を容易にするために、ポリマーマトリックス(例えば、アルギン酸塩、カラゲナン、ポリビニルアルコール、またはポリアクリルアミドゲル(PAG)など)中に、あるいは、可溶性もしくは不溶性担体(例えばセライトなど)上に固定化することができる。ポリマーマトリックス中に、または、可溶性もしくは不溶性担体上に細胞を固定化する方法は、これまでに広く報告されており、当業者には良く知られている。また、一つまたは複数種の酵素活性は微生物細胞から単離することができ、触媒として直接使用することができるし、あるいは、一つまたは複数種の酵素活性をポリマーマトリックス中または可溶性もしくは不溶性の担体上に固定化することができる。これらの方法も、これまでに広く報告されており、当業者には良く知られている(メソッズ イン バイオテクノロジー(Methods in Biotechnology)、第1巻、イモービライゼーション・オブ・エンザイムズ・アンド・セルズ(Immobilization of Enzymes and Cells)、ゴードン・エフ・ビッカースタッフ(Gordon F.Bickerstaff)編、ヒューマナ・プレス(Humana Press)、トトワ(Totowa)、ニュージャージー州(NJ)、米国、1997年)。
反応混合物中の酵素触媒の濃度は、酵素触媒の比触媒活性に依存し、所望の反応速度が得られるように選ばれる。加水分解反応における微生物細胞触媒の湿細胞重量は、全反応物容量1mLあたり、通常、0.001g〜0.100gの範囲であり、好ましくは、1mLあたり0.002g〜0.050gの範囲である。微生物細胞触媒の比活性(IU/g湿細胞重量)は、既知量の微生物細胞触媒を用い、0.30Mの適当な基質溶液のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの水和速度(ニトリルヒドラターゼ活性)またはアクリルアミドまたはメタクリルアミドの加水分解速度(アミダーゼ活性)を25℃で測定して決定される。酵素活性のIUは、1分間で1マイクロモルの基質を生成物に変換するのに必要な酵素活性量と定義されている。
加水分解反応の温度は、反応速度と酵素触媒活性の安定性の両者を最適化するように選ばれる。反応温度は懸濁液の凝固点(約0℃)の僅かに上から70℃の範囲とすることができる。好ましい反応温度の範囲は5℃〜35℃である。酵素触媒を用いる反応は、緩衝液を用いず水中で実施することも、あるいは、緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム)を含む水性反応混合物中で実施することもでき、反応の初期pHは5.0〜10.0、好ましくは6.0〜8.0である。反応の進行とともに、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルのニトリル基の加水分解によりそれぞれアクリル酸またはメタクリル酸のアンモニウム塩が生成されるため、反応混合物のpHは変化し得る。反応は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが完全に変換されるまで、pHを調整せずに進めることができるし、あるいは、pH調整用に添加された緩衝液の存在下に進めることもできる。また、所望のpHを維持するために反応の全過程に亘って適当な酸または塩基を添加することもできる。
反応混合物中のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの濃度は、1mM〜7.5Mの範囲とすることができ、好ましくは100mM〜4Mの範囲であり、より好ましくは1M〜3Mの範囲である。アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルは、適当な反応混合物の一部として加えてもよいし、または、反応の全過程に亘ってニトリルを低濃度に維持するために、ニトリルの加水分解に応じて連続的に加えてもよく、この場合、出発物質または生成物によるニトリルヒドラターゼ活性抑制作用を制限することができる。
こうして得られたアクリル酸またはメタクリル酸は、当業者によく知られた方法で反応混合物(既にこの混合物からは、細胞を含む不溶性物質は除去されている)を処理することによって単離することができる。そのような方法としては、濃縮、イオン交換、蒸留、電気透析、抽出および晶析が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。生成物はアンモニウム塩として、あるいは(酸に変換後)対応するカルボン酸として単離することができる。
次に示す実施例により本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、説明のためにのみ示されるものであることを理解すべきである。前記の議論とこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明を様々な利用形態と条件に適用できるよう変更や修正を加えることができる。
下記に示す実施例では、メタクリロニトリルまたはアクリロニトリルの回収率や、対応するアミドやカルボン酸生成物の収率は、反応混合物中に存在するメタクリロニトリルまたはアクリロニトリルの初期濃度を基準としており、これらを屈折率検出器を用いたHPLCにより測定した。メタクリル酸、メタクリルアミドおよびメタクリロニトリルの分析は、プレカラム付きスペルコ(Supelco)LC−18−DBカラム(15cm×4.6mm直径)を用い、25℃で、10mM酢酸、10mM酢酸ナトリウムを含有する7.5%メタノール水溶液を溶出剤とし、流量1.5mL/分で行った。アクリル酸、アクリルニトリルおよびアクリルアミドの分析は、プレカラム付きバイオラッド(Bio−Rad)HPX−87H有機酸分析カラム(30cm×7.8mm直径)を用いたHPLCにより、50℃で、0.010NのHSOを溶出剤とし、流量1mL/分で行った。
実施例1
コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞によるメタクリロニトリルのメタクリル酸への加水分解
5.16mLの蒸留脱イオン水に0.76g(湿細胞ペースト)のコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞(ATCC 55744)を懸濁させた液(緩衝液不使用)を15mLのポリプロピレン遠心分離管に入れ、その後、40.2mgのメタクリロニトリル(懸濁液中のメタクリロニトリルの最終濃度0.10M)を加え、その懸濁液を25℃で回転台上で混合した。分析用サンプル(0.180mL)に0.2Mの酪酸を0.020mL(HPLCの外部標準)加え、遠心分離し、上澄み液のメタクリロニトリル、メタクリルアミドおよびメタクリル酸をHPLCで分析した。2時間後、メタクリル酸の収率は100%に達し、メタクリルアミドまたはメタクリロニトリルの残留はなかった。
2時間の反応で0.10Mのメタクリロニトリルを完全に変換した後、121mgのメタクリロニトリルを反応混合物に追加し(全メタクリロニトリル0.40M)、その2時間後、メタクリル酸の収率は100%(メタクリル酸の最終濃度0.40M)に達し、メタクリルアミドまたはメタクリロニトリルの残留はなかった。
4時間の全反応時間で0.40Mのメタクリロニトリルを完全に変換した後、241mgのメタクリロニトリルを追加し(反応混合物に加えられた全メタクリロニトリル1.0M)、その15時間後、メタクリル酸の収率は100%(メタクリル酸の最終濃度1.0M)であり、メタクリルアミドまたはメタクリロニトリルの残留はなかった。
実施例2
アルギン酸カルシウム中へのコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞の固定
実施例2はGA/PEI−架橋アルギン酸カルシウム中への典型的な固定化を示す。
磁気攪拌子と50℃の蒸留脱イオン水68.7gを入れた250mLの培養ビンに、3.30gのエフ・エム・シー・バイオポリマー・プロタナル(FMC BioPolymer Protanal)(登録商標)LF10/60アルギン酸塩を、高速で攪拌しながら、ゆっくりと加えた。混合物を、高速で攪拌しながら75〜80℃に加熱して、アルギン酸塩を完全に溶解させ、その溶解液を水浴中で25℃まで冷却した。アルギン酸塩懸濁液に、47.62gのコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D湿細胞ペースト(乾燥細胞重量で19%)および0.38mLの蒸留水を、攪拌しながら加えた。細胞/アルギン酸塩混合物を、640mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0)に25℃で攪拌しながらシリンジにより滴下した。2時間の攪拌後、緩衝液をデカントしてビーズ状の生成物を得、これを217mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0)中に25℃で再び懸濁させた。攪拌しながら、25重量%のグルタルアルデヒド(GA)水溶液4.45gを加え、ビーズを25℃で1.0時間混合した。その後、12.5重量%のポリエチレンイミン(PEI)(バスフ・ルパソル(BASF Lupasol)(登録商標)PR971L、平均分子量約750,000)水溶液17.8gを懸濁液に加え、25℃で更に1時間ビーズを混合した。その後、25℃の0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0)270mLで、架橋したビーズを、2回洗浄し、5℃の同緩衝液中に保存した。
実施例3
固定化したコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞によるメタクリロニトリル(1.0M)の加水分解(緩衝液不使用)
オーバヘッド攪拌器を備えた50mLのジャケット付き反応器(循環温度浴で25℃に温度制御されている)に、実施例2で記載したようにして製造したGA/PEI架橋コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞/アルギン酸塩ビーズ4.0gを入れた。蒸留脱イオン水14.1mL、0.20Mの酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)0.2mLおよびメタクリロニトリル1.68mL(1.34g、1.0M)を反応器に加え、混合物を25℃で攪拌した。反応混合物のサンプル(0.100mL)に0.400mLの水を混合し、その後、希釈されたサンプル0.200mLに、0.200Mの酪酸ナトリウム(HPLC外部標準)水溶液0.200mLと6.0Nの塩酸0.020mLを加えた。得られたサンプルを遠心分離し、上澄み液をHPLCで分析した。105分後、メタクリロニトリルの変換率は100%に達し、メタクリル酸およびメタクリルアミドの収率はそれぞれ99.8%および0%であった。反応完結時、最終の生成混合物中のメタクリル酸の最終濃度は1.0M(8.6重量%)であった。
反応終了時に、生成混合物をデカントして触媒ビーズから分離し、14.1mLの蒸留脱イオン水、0.2mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)および1.68mL(1.34g、1.0M)のメタクリロニトリルを固定化細胞触媒と25℃で混合した。150分後、メタクリロニトリルの変換率は100%に達し、メタクリル酸およびメタクリルアミドの収率はそれぞれ100%および0%であった。触媒をリサイクルした2回目の反応の完結時、最終の生成混合物中のメタクリル酸の最終濃度は1.25M(10.8重量%)であった。
2回目の反応終了時に、生成混合物をデカントして触媒ビーズから分離し、14.1mLの蒸留脱イオン水、0.2mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)および1.68mL(1.34g、1.0M)のメタクリロニトリルを固定化細胞触媒と25℃で混合した。240分後、メタクリロニトリルの変換率は100%に達し、メタクリル酸およびメタクリルアミドの収率はそれぞれ100%および0%であった。触媒をリサイクルした3回目の反応の完結時、最終の生成混合物中のメタクリル酸の最終濃度は1.35M(11.6重量%)であった。
実施例4
固定化したコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞によるアクリロニトリル(1.0M〜3.0M)の加水分解(緩衝液不使用)
オーバヘッド攪拌器を備えた50mLのジャケット付き反応器(循環温度浴で25℃に温度制御されている)に、実施例2で記載したようにして調製したGA/PEI架橋コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D細胞/アルギン酸塩ビーズ4.0gを入れた。蒸留脱イオン水14.5mL、0.20Mの酢酸カルシウム緩衝液0.2mL(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)およびアクリロニトリル1.32mL(1.06g、1.0M)を反応器に加え、混合物を25℃で攪拌した。反応混合物のサンプル(0.100mL)に0.400mLの水を混合し、その後、希釈されたサンプル0.200mLに、0.200Mの酪酸ナトリウム(HPLC外部標準)水溶液0.200mLと6.0Nの塩酸0.020mLを加えた。得られたサンプルを遠心分離し、上澄み液をHPLCで分析した。120分後、アリロニトリルの変換率は100%に達し、アクリル酸およびアクリルアミドの収率はそれぞれ99.7%および0%であった。反応完結時、最終の生成混合物中のアクリル酸の最終濃度は0.997M(7.2重量%)であった。
最初の反応終了時に、生成混合物をデカントして触媒ビーズから分離し、14.1mLの蒸留脱イオン水、0.2mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)および1.32mL(1.06g、1.0M)のアクリロニトリルを、4.3gの容器内残液(最初の反応からの固定化細胞触媒と残留生成混合物)に25℃で加えた。120分後、アクリロニトリルの変換率は100%に達し、アクリル酸およびアクリルアミドの収率はそれぞれ99.2%および0%であった。触媒をリサイクルした2回目の反応の完結時、最終の生成混合物中のアクリル酸の最終濃度は1.20M(8.6重量%)であった。
2回目の反応終了時、生成混合物をデカントして触媒ビーズから分離し、12.8mLの蒸留脱イオン水、0.2mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)および2.64mL(2.12g、2.0M)のアクリロニトリルを4.4gの容器内残液(2回目の反応からの固定化細胞触媒と残留生成混合物)に25℃で加えた。210分後、アクリロニトリルの変換率は100%に達し、アクリル酸およびメタクリルアミドの収率はそれぞれ99.2%および0.8%であった。触媒をリサイクルした3回目の反応の完結時、最終の生成混合物中のアクリル酸の最終濃度は2.24M(16.1重量%)であった。
3回目の反応終了時、生成混合物をデカントして触媒ビーズから分離し、11.4mLの蒸留脱イオン水、0.2mLの0.20M酢酸カルシウム緩衝液(pH7.0、反応混合物の最終カルシウムイオン濃度2.0mM)および3.96mL(3.18g、3.0M)のアクリロニトリルを4.4gの容器内残液(3回目の反応からの固定化細胞触媒と残留生成混合物)に25℃で加えた。18時間後(終夜)、アクリロニトリルの変換率は100%に達し、アクリル酸およびメタクリルアミドの収率はそれぞれ99.0%および1.0%であった。触媒をリサイクルした4回目の反応の完結時、最終の生成混合物中のアクリル酸の最終濃度は3.58M(25.8重量%)であった。

Claims (10)

  1. (a)適当な水性反応混合物中で、メタクリロニトリルを、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)5−MGAM−4D(ATCC 55744)のニトリルヒドラターゼ活性およびアミダーゼ活性を特徴とする触媒と接触させ、そして
    (b)(a)で製造されるメタクリル酸を塩または酸の形で単離する
    ことを含んでなるメタクリロニトリルからメタクリル酸を製造する方法。
  2. 触媒が全微生物細胞、浸透化処理した微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つもしくはそれ以上の細胞成分、部分的に精製した酵素、または精製した酵素の形態にある請求項1に記載の方法。
  3. 触媒がコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を発現するように形質転換された微生物細胞の形態にある請求項2に記載の方法。
  4. 工程(a)の前に、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D(ATCC 55744)触媒を、約35℃〜70℃の温度に10〜120分間加熱し、それによって熱に不安定なニトリルヒドラターゼ活性を不活性化し、熱に安定なニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を保持することをさらに含んでなる請求項2に記載の方法。
  5. 触媒が可溶性または不溶性の担体中または担体上に固定化されている請求項2に記載の方法。
  6. (a)適当な水性反応物質混合液中で、アクリロニトリルを、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D(ATCC 55744)のニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を特徴とする触媒と接触させ、そして
    (b)(a)で製造されるアクリル酸を塩または酸の形で単離する
    ことを含んでなるアクリロニトリルからアクリル酸を製造する方法。
  7. 触媒が全微生物細胞、浸透化処理した微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つもしくはそれ以上の細胞成分、部分的に精製した酵素、または精製した酵素の形態にある請求項6に記載の方法。
  8. 触媒がコマモナス・テストステロニ5−MGAM−4Dのニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を発現するように形質転換された微生物細胞の形態にある請求項7に記載の方法。
  9. 工程(a)の前に、コマモナス・テストステロニ5−MGAM−4D(ATCC 55744)触媒を、約35℃〜70℃の温度に10〜120分間加熱し、それによって熱に不安定なニトリルヒドラターゼ活性を不活性化し、熱に安定なニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ活性を保持することをさらに含んでなる請求項7に記載の方法。
  10. 酵素触媒が可溶性または不溶性の担体中または担体上に固定化されている請求項7に記載の方法。
JP2003566220A 2002-02-05 2003-02-04 複合酵素触媒によるメタクリル酸およびアクリル酸の製造方法 Pending JP2005516622A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/067,652 US6670158B2 (en) 2002-02-05 2002-02-05 Method for producing methacrylic acid acrylic acid with a combination of enzyme catalysts
PCT/US2003/003433 WO2003066872A1 (en) 2002-02-05 2003-02-04 Method for producing methacrylic acid and acrylic acid with a combination of enzyme catalysts

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005516622A true JP2005516622A (ja) 2005-06-09

Family

ID=27658889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003566220A Pending JP2005516622A (ja) 2002-02-05 2003-02-04 複合酵素触媒によるメタクリル酸およびアクリル酸の製造方法

Country Status (10)

Country Link
US (1) US6670158B2 (ja)
EP (1) EP1472360A4 (ja)
JP (1) JP2005516622A (ja)
KR (1) KR20040086309A (ja)
CN (1) CN1628175A (ja)
AU (1) AU2003208996A1 (ja)
CA (1) CA2475358A1 (ja)
IL (1) IL162784A0 (ja)
NZ (1) NZ534182A (ja)
WO (1) WO2003066872A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014038216A1 (ja) * 2012-09-10 2014-03-13 三菱レイヨン株式会社 メタクリル酸及び/又はそのエステルの製造方法
US10851392B2 (en) 2012-09-10 2020-12-01 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing methacrylic acid ester

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040225116A1 (en) * 2003-05-08 2004-11-11 Payne Mark S. Nucleic acid fragments encoding nitrile hydratase and amidase enzymes from comamonas testosteroni 5-MGAM-4D and recombinant organisms expressing those enzymes useful for the production of amides and acids
GB0327901D0 (en) * 2003-12-02 2004-01-07 Ciba Spec Chem Water Treat Ltd Process for producing polymers
WO2006049618A1 (en) * 2004-11-01 2006-05-11 E. I. Du Pont De Nemours And Company Nitrile hydratase and amidase from comamonas testoteroni 5-mgam-4d
CN101081810B (zh) * 2006-05-30 2012-05-30 上海市农药研究所 生物催化生产的丙烯酸的提纯方法
AR116741A1 (es) 2018-10-18 2021-06-09 Basf Se Proceso para producir (met-) acrilato de amonio
AU2019360338A1 (en) 2018-10-18 2021-05-20 Basf Se Method for the production of acrylic acid or salts thereof
US20230143751A1 (en) 2020-02-24 2023-05-11 Shanghai Zheye Biotechnology Co. Ltd. Aromatic Compound And Use Thereof In Preparing Antineoplastic Drugs
WO2021204850A1 (en) 2020-04-09 2021-10-14 Basf Se Biocatalytic synthesis of monomer mixtures for polyacrylamide manufacturing
EP4194452A4 (en) 2020-08-02 2024-08-21 Shanghai Zheye Biotechnology Co Ltd AROMATIC COMPOUND AND ITS USE IN ANTITUMOUS MEDICINES

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61162191A (ja) 1985-01-11 1986-07-22 Nitto Chem Ind Co Ltd 微生物による有機酸類の製造法
JP3009421B2 (ja) 1990-02-28 2000-02-14 秀明 山田 有機酸の生物学的製造法
FR2694571B1 (fr) * 1992-08-10 1994-11-04 Rhone Poulenc Chimie Polypeptides possédant une activité nitrilase, séquence d'ADN codant pour lesdits polypeptides, cassettes d'expression et micro-organismes hôtes permettant leur obtention.
GB9525372D0 (en) 1995-12-12 1996-02-14 Allied Colloids Ltd Enzymes, their preparation and their use in the production of ammonium acrylate
CA2239005C (en) 1995-12-12 2005-11-08 Allied Colloids Limited Production of ammonium acrylate

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014038216A1 (ja) * 2012-09-10 2014-03-13 三菱レイヨン株式会社 メタクリル酸及び/又はそのエステルの製造方法
AU2013314153B2 (en) * 2012-09-10 2016-05-12 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing methacrylic acid and/or ester thereof
US10294500B2 (en) 2012-09-10 2019-05-21 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing methacrylic acid and/or ester thereof
US10851392B2 (en) 2012-09-10 2020-12-01 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing methacrylic acid ester

Also Published As

Publication number Publication date
EP1472360A1 (en) 2004-11-03
IL162784A0 (en) 2005-11-20
AU2003208996A1 (en) 2003-09-02
EP1472360A4 (en) 2006-05-24
NZ534182A (en) 2006-05-26
CA2475358A1 (en) 2003-08-14
KR20040086309A (ko) 2004-10-08
US6670158B2 (en) 2003-12-30
WO2003066872A1 (en) 2003-08-14
US20030148480A1 (en) 2003-08-07
CN1628175A (zh) 2005-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4235450B2 (ja) ニトリラーゼを用いて対応するアルファーヒドロキシニトリルからアルファーヒドロキシ酸、グリコール酸、2−ヒドロキシイソ酪酸の製造法
JP4708677B2 (ja) 微生物触媒を用いたアミド化合物の製造方法
JP2005516622A (ja) 複合酵素触媒によるメタクリル酸およびアクリル酸の製造方法
US6551804B2 (en) Process for preparing 4-cyanopentanoic acid
JPH0448435B2 (ja)
JP2005516612A (ja) アセトンシアノヒドリンから2−ヒドロキシイソ酪酸およびメタクリル酸を製造する方法
JP3409353B2 (ja) アミド化合物の製造方法および使用される微生物
EP0204555B1 (en) Method of producing an amide utilizing a microorganism
WO2007026860A1 (ja) 光学活性α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法
CN100345974C (zh) S-(+)-2,2-二甲基环丙甲酰胺的微生物制备方法
JP2696424B2 (ja) R(‐)―マンデル酸の製造法
US5597716A (en) Process for producing D-lactic acid and L-lactamide
JP2005176639A (ja) ニコチン酸類の製造方法
JP4884863B2 (ja) ニトリラーゼおよびニトリラーゼを用いるカルボン酸の製造方法
JP2007236396A (ja) 微生物触媒を用いたアミド化合物の製造方法
JP3659123B2 (ja) 4−ハロゲノ−3−アルカノイルオキシブチロニトリルの光学分割方法
JP2007295933A (ja) 微生物触媒を用いたアミド化合物の製造方法
JPH06237776A (ja) α−ヒドロキシイソ酪酸の製造方法
JPS58209987A (ja) 微生物による芳香族カルボン酸アミドの製造法
JP2001314197A (ja) 光学活性なヒドロキシアルキル−α−アミノカルボン酸の製造方法