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JP2005502416A - 外科用縫合器具および使用方法 - Google Patents

外科用縫合器具および使用方法 Download PDF

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JP2005502416A JP2003528202A JP2003528202A JP2005502416A JP 2005502416 A JP2005502416 A JP 2005502416A JP 2003528202 A JP2003528202 A JP 2003528202A JP 2003528202 A JP2003528202 A JP 2003528202A JP 2005502416 A JP2005502416 A JP 2005502416A
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サンコフ,グレゴリー・イー
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オーナックス・メディカル・インコーポレーテッド
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Abstract

細長い可撓性要素を導入して対象物の少なくとも2つの部分に貫通させるデバイスを開示する。一実施形態では、このデバイスには、基端および末端と、細長い可撓性要素を末端に向かって長手方向に進ませて、前記デバイスの末端から対象物の一部分を貫通させるのに十分な力で細長い要素の基端を送り出すことができる送りユニットとが含まれる。またこのデバイスには、対象物の一部分を合わせて留め付けるように、細長い可撓性要素から加わる留付け力を可変調節する留付けユニットも含まれる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療器具および医療処置に関し、より詳細には縫合器具および縫合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2001年12月11日に出願されたGregory E.Sancoff他の係属中の先願米国特許出願第10/014,991号「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT AND METHOD OF USE」(代理人整理番号ONUX−4 CON)の一部継続出願である。
【0003】
また本願は、2001年9月14日に出願されたFrederic P.Field他の係属中の先願米国特許仮出願第60/322,409号「ENDOSCOPIC SUTURING INSTRUMENT」(代理人整理番号ONUX−30 PROV)の利益を主張する。
【0004】
上に特定した2つの文献を参照により本願に援用する。
縫合器具は、通常、対象患者の2箇所以上の部分(例えば、筋肉や皮膚などの組織)を引き寄せるために使用され、あるいは患者に物体を取り付ける(例えば、ヘルニアの修復術中に患者の腹壁に外科用メッシュ片を取り付ける)ために使用される。
【0005】
ある種の縫合器具は、ある長さの縫合材料を導いて対象物に貫通させる針を採用している。
例えば、米国特許第3,470,875号、第4,027,608号、第4,747,358号、第5,308,353号、第5,674,230号、第5,690,653号、第5,759,188号、および第5,766,186号は、一般に、縫合材料が後続する針を対象物に貫通させる縫合器具を開示している。
【0006】
米国特許第4,890,615号、第4,935,027号、第5,417,700号、および第5,728,112号は、一般に、針を対象物に貫通させてから中空針の端部に縫合材料を貫通させる縫合器具を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のすべてのデバイスでは、縫合を展開するのに針を対象物に貫通させなければならない。通常は針が縫合材料だけを貫通させるのに必要なよりも大きな穴を対象物に残すので、このことは一般に望ましくない。この点で、縫合される材料の各部分をできる限り小さく変更することが一般に望ましいことが理解されよう。
【0008】
針を使用せずに、縫合材料自体が対象物に穴を開けることのできる縫合器具が考案されてきた。しかし、このデバイスは、縫合部および組織に加わることのある張力の量に関して十分な可撓性を示すものではない。
【0009】
より具体的には、米国特許第5,499,990号は、0.25mmのステンレス鋼縫合ワイヤを縫合器具の末端に進ませる縫合器具を開示しており、縫合ワイヤの末端をらせん方向に進行させて、対象物の2つの部分を接合させる縫い目をもたらす。らせんが形成された後に、縫合開始部分および終了部分を組織に向かって曲げて、縫合器具を取り除いたときに縫合ワイヤが組織内に引っ込むのを阻止することができる。ステンレス鋼ワイヤは、この係止構造を保持するのに十分な堅さを有する。それに加え、らせんが形成された後で器具の末端の一部分に外側管をかぶせて進ませることによって、展開されたらせん状縫合部の半径を縮小させることができる。やはりステンレス鋼ワイヤは、この縮小構造を保持するのに十分な堅さを有する。
【0010】
しかし残念なことに、ワイヤが比較的堅い(すなわち、その構造を保持する十分な堅さを有する)ので、このようなシステムは、対象物に加わる適度な量の張力に関してすべての状況で十分な可撓性を示すわけではない。また、デバイスが特にらせん状の縫い目だけを提供するように構成されているので、このようなシステムは、適用すべき適切なタイプの縫い目に関して十分な自由度をもたらすものでもない。
【0011】
前述した‘990号特許の縫合器具の限界とは対照的に、縫合器具が、材料の接合されるべき部分を正しい生理学的関係で接近させ、適切な量の力で1つに合わせておくことが望ましい。縫合材料に加わる力(または張力)が大きすぎると、対象部分が壊死し、または縫合部が対象物を切り裂くことがある。縫合材料に加わる張力が小さすぎると、治癒プロセスが弱まることがある。
【0012】
米国特許第4,453,661号は、ステープルを適用する外科用器具を開示している。そのステープルは、ある長さのワイヤの末端から形成される。ワイヤの末端が対象物を貫通した後でダイに接触し、ワイヤが曲げられてステープルを形成する。ワイヤは、ダイによって与えられた構造をとる十分な堅さを有する。次いで、ナイフによってワイヤからステープル部分が切り取られる。やはりこのようなシステムでも、所定の幾何学形状を有する比較的堅いワイヤで形成されたステープルによって取付けが実施されるので、対象物に加わる適度な張力に関してすべての状況で十分な可撓性を示すわけではないという事実が問題になる。加えて、その外科用器具がワイヤステープルの適用だけに限られているので、適用できる締付け具のタイプに関してシステムが限定される。
【0013】
したがって、破壊的な縫合を最小限に抑えることができ、縫合材料の設置、適用、および張力付加時の可撓性をもたらす新規縫合デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、細長い可撓性要素を導入して対象物に貫通させるデバイスを提供する。一実施形態では、このデバイスには、基端および末端と、細長い可撓性要素をデバイスの末端に向かって長手方向に進ませて、デバイスの末端から対象物を貫通させるのに十分な力で細長い可撓性要素の末端を送り出すことができる送りユニットとが含まれる。またこのデバイスには、対象物への所望の留付け(securement)を提供するように、細長い可撓性要素から加わる留付け力を可変調節する留付けユニットも含まれる。
【0015】
他の実施形態では、このデバイスには、デバイス内で細長い可撓性要素をデバイスの末端に向かって案内する案内管と、デバイスの末端を回転させて細長い可撓性要素をねじり合わせることによって、細長い可撓性要素に調節可能に留付け力を加える回転ユニットとが含まれる。
【0016】
本発明の他の態様では、縫合デバイスであって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部であって、その少なくとも一部分が可撓性の軸部と、前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョー(jaw)と、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスが提供される。
【0017】
本発明の他の態様では、縫合デバイスであって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部と、前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーであって、(i)前記軸部の前記末端に枢動可能に連結され、(ii)前記軸部の前記末端に対して相対移動可能な内側ヨークに枢動可能に連結されていて、前記内側ヨークが末端方向に移動すると前記対向ジョーが互いに対して相対的に開き、前記内側ヨークが基端方向に移動すると前記対向ジョーが互いに対して相対的に閉じる対向ジョーと、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスが提供される。
【0018】
本発明の他の態様では、縫合デバイスであって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部であって、その少なくとも一部分が可撓性の軸部と、互いに対して相対的に開閉できるような対向関係で前記軸部の末端に枢動可能に連結されている1対の可動ジョーと、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスが提供される。
【0019】
本発明の他の態様では、縫合デバイスであって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部と、前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構と、デバイス内に配置された縫合材料供給源であって、前記縫合材料が、(i)穿通、ねじり、および切断操作に好ましい特性を有する末端部分と、(ii)駆動操作に好ましい特性を有する基端部分とを含んでおり、前記基端部分が前記縫合駆動機構と係合するようにデバイス内に配置されている縫合材料供給源とを含む縫合デバイスが提供される。
【0020】
本発明の他の態様では、穿通、ねじり、および切断操作に好ましい特性を有する末端部分と、駆動操作に好ましい特性を有する基端部分とを含む縫合材料が提供される。
本発明の他の態様では、胃食道逆流疾患(GERD:gastroesophogeal reflux disease)の治療方法であって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部と、前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスを提供するステップと、縫合デバイスの末端を患者の胃の中に進ませて、縫合デバイスの末端を下部食道括約筋(LES:lower esophageal sphincter)の下方の胃壁に隣接させるステップと、LESの下方の胃壁の一部分を1対の対向ジョーによって寄せ集めるステップと、縫合駆動機構を操作して、縫合材料を進ませ、胃壁の寄せ集められた部分に貫通させるステップと、ジョー回転機構を操作して縫合材料を対象物に留め付けることによって、胃壁の寄せ集められた部分を合わせて留め付けるステップとを含む方法が提供される。
【0021】
本発明の他の態様では、止血方法であって、筐体と、前記筐体から末端方向に延びている軸部と、前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスを提供するステップと、縫合デバイスの末端を患者の体内に進ませて、止血が有益な組織に隣接させるステップと、止血が有益な組織の一部分を1対の対向ジョーによって寄せ集めるステップと、縫合駆動機構を操作して、縫合材料を進ませ、組織の寄せ集められた部分に貫通させるステップと、ジョー回転機構を操作して組織を留め付けることによって止血するステップとを含む方法が提供される。
【0022】
本発明の前述および他の目的ならびに特徴は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによって完全に開示され、または自明となる。図面では、類似の番号は、類似の部品を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
初めに図1を見ると、本発明の好ましい実施形態を含む縫合器具10が示されている。縫合器具10には、筐体12と、握り部14と、軸部16と、端部操作部18とが含まれる。また縫合器具10には、ワイヤ送りボタン20と、ジョー閉合作動装置22と、ワイヤ切断作動装置24と、左母指操作型回転ボタン26と、右母指操作型回転ボタン28(図3)とが含まれる。また縫合器具10には、ワイヤ供給カートリッジ30ならびに軸部保持ナット32も含まれる。軸部保持ナット32によって、洗浄のために軸部16をデバイスの他の部分から取り外すことができる。
【0024】
以下でさらに詳述するように、使用時には一般に、縫合ワイヤ(金属製または必要な可撓性および剛性を有する他のいずれか適した材料製のワイヤを含む)を、ワイヤ供給カートリッジ30内の巻線から引き出し、ハウジング12および軸部16内に押し進めて、1対の対向ジョー部分が含まれる端部操作部18に到達させる。ジョー部分が適切な外科処置場所に位置決めされているときにジョー閉合作動装置22を作動させることによって、縫合すべき材料の周りでジョー部分を閉じ合わせることができる。縫合ワイヤは、ワイヤ送りボタン20を作動させることによって駆動され、筐体12および軸部16内を通って端部操作部18に達する。縫合ワイヤは、ジョー部分の間に設置された組織に穿通するのに十分な力で一方のジョー部分から他方のジョー部分へと駆動され、第2ジョー部分を通過する。次いで、縫合ワイヤが対象組織から2つのジョー部分それぞれに延びている状態のまま、ジョー部分を分離させて、組織から離れるように移動させる。次いで、左母指操作型回転ボタン26または右母指操作型回転ボタン28のいずれかを作動させることによって、軸部16および端部操作部18を(ワイヤ供給カートリッジ30と共に)、筐体12および握り部14に対して回転させることができる。これで、組織から延びている縫合ワイヤの一部分がねじり合わされて、組織を貫通して延びる閉じたループが形成される。ワイヤのねじりの程度を増大させることによって、この閉じたループのサイズを調節して縮小できることが理解されよう。次いで、ねじれた縫合ワイヤのループを、端部操作部18のところで、縫合器具内を通って後方に延びている縫合ワイヤの他の部分から切り離すことができる。このような切断は、ワイヤ切断作動装置24を作動させることによって達成することができる。
【0025】
以下でさらに詳述するように、ワイヤ供給カートリッジ30を縫合器具10とは別個に供給することができ、ワイヤ供給カートリッジ30を縫合器具10に装填してから縫合操作が開始される。やはり以下でさらに詳述するように、ワイヤ供給カートリッジ30を使い捨てにすることができ、そのワイヤすべてを使い切った後でカートリッジを廃棄することができる。
【0026】
構成の詳細
図2および図4に示すように、握り部14は、バッテリ34を受けることのできる空洞部を与える。他の実施形態では、送電コードまたは他のいずれか適した動力源を介して、ユニットに遠隔から動力を供給することができる。
【0027】
バッテリ34が接地接続ポスト36(図2)に接地(または負)電位を供給し、次にはそれが回転式接地伝達機38に伝達される。回転式接地伝達機38は、軸部16および端部操作部18を回転させて、組織を貫通して延びている閉じた縫合ワイヤをねじるときのように、接地接続ポスト36に対して回転式接地伝達機38が相対的に回転するときの接地接続ポスト36との電気的接触を維持することができる。
【0028】
バッテリ34がワイヤ送りボタン20および第1接続ポスト40に陽電位を供給し、次にはそれが第1回転式電気伝達機42に伝達される。第1回転式電気伝達機42は、第1接続ポスト40に対して第1回転式電気伝達機42が相対的に回転するときの第1接続ポスト40との電気的接触を維持することができる。またバッテリ34からの陽電位は、(並列に)それぞれの母指作動型回転ボタン26、28(図3)および第2接続ポスト44(図2)にも供給され、次にはそれが第2回転式電気伝達機46に伝達される。やはり第2回転式電気伝達機46は、第2接続ポスト44に対して第2回転式電気伝達機46が相対的に回転するときの第2接続ポスト44との電気的接触を維持することができる。各接続ポスト36、40、および44には、それぞれ回転式伝達機との接触を保つようにバネを用いてバイアスをかけることができる。前述の構成を考慮すると、それぞれの作動ボタン20、26、28を押し下げることによって陽電位のスイッチを入れることができる。また握り部14には、バッテリ34の挿入のために取り外すことができる蓋48が含まれる。
【0029】
第1回転式電気伝達機42は、図2および図4に示されるワイヤ送りモータ50と電気的に通じている。ワイヤ送りモータ50の出力軸は、マイタ駆動歯車52に結合し、次にはそれがマイタ従動歯車54に結合している。マイタ従動歯車54は、縫合ワイヤ58に接触する駆動輪56に結合しており、これについて以下で図5〜図10を参照してさらに詳述する。
【0030】
第2回転式電気伝達機46は、軸回転モータ60(図3および図4)と電気的に通じており、そのモータ60の出力が、内歯車64(図4および図11)に従って回転する小歯車62(図4、図4A、図11)に結合している。図3に示すように、ユーザがそれぞれ左手または右手の母指を使用して軸回転モータ60を作動できるように、左母指操作型回転ボタン26および右母指操作型回転ボタン28が設けられている。この点で、左母指操作型回転ボタン26および右母指操作型回転ボタン28が並列に配線されているので、どちらのボタン(すなわち、ボタン26またはボタン28)が作動されたかに関わらず、軸回転モータ60が同一方向に回転することが理解されよう。
【0031】
ジョー閉合作動装置22(図2および図4)は、ジョー連動部材結合器66に結合しており、次にはそれがジョー連動部材68(図2および図14)に接触している。ジョー閉合作動装置22を握り部14(図2)に引き寄せると、ジョー閉合作動装置22がその枢動ピン67(図4)上で枢動し、ジョー連動部材結合器66をバイアスバネ69の力に逆らって末端方向に駆動して、ジョー連動部材68を縫合器具10の末端に向かって前方に移動させる。この動作が、次には可動ジョー部分98を固定ジョー部分96へと閉じさせることになり(図17A)、これについては以下でさらに詳述する。その後ジョー閉合作動装置22が解除されると、バイアスバネ69(図4)がジョー連動部材結合器66を基端方向に駆動して、ジョー連動部材68を基端方向に移動させる。この動作が、可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に対して相対的に開かせることになり(図14)、これについては以下でさらに詳述する。デバイス末端でのジョー連動部材68の動作について、以下で図13および図14を参照してさらに説明する。
【0032】
ワイヤ切断作動装置24は、ワイヤ切断連動部材結合器70(図2および図4)に結合しており、次にはそれがワイヤ切断連動部材72(図2、図14、および図15)に接触している。ワイヤ切断作動装置24を握り部14(図2)に引き寄せると、ワイヤ切断作動装置24がその枢動ピン73(図4)上で枢動し、ワイヤ切断連動部材結合器70をバイアスバネ69の力に逆らって基端方向に駆動し、ワイヤ切断連動部材72を縫合器具10の末端から離して基端方向に移動させる。この動作が、次には切断バー104(図14)を基端方向に移動させて(図15)ワイヤを切断させることになり、これについては以下でさらに詳述する。その後ワイヤ切断作動装置24が解除されると、バイアスバネ69がワイヤ切断連動部材結合器70を末端方向に駆動して、ワイヤ切断連動部材72を末端方向に移動させる。この動作で切断バー104が末端方向に移動して、図14に示される位置になる。ワイヤ切断連動部材72は、前述したジョー連動部材68に隣接して、かつジョー連動部材68とは独立に運動する。デバイス末端でのワイヤ切断連動部材72の動作について、以下で図14および図15を参照してさらに詳述する。
【0033】
図1に示されるワイヤ供給カートリッジ30には、図5〜図7に示されるようなワイヤ案内部材支持ユニット74が含まれる。縫合ワイヤ58(金属製または必要な可撓性および剛性を有する他のいずれか適した材料製のワイヤを含む)の供給コイルは、カートリッジ30の基部に供給でき、図7に示すように支持ユニット74内に送り込まれる。ワイヤ案内部材76は、支持ユニット74から、端部操作部18に隣接した縫合器具10の末端まで、縫合ワイヤ58を取り囲んでいる(図5〜図7、図14、および図15)。ワイヤ案内部材76は、縫合ワイヤ58が筐体12および軸部16内を押し進められるときに縫合ワイヤ58が確実に屈曲または座屈しないようにする。より具体的には、縫合ワイヤ58が縫合器具10内を進められるときに縫合ワイヤ58が屈曲または座屈することがないように、ワイヤ案内部材76が縫合ワイヤ58と十分に密接した滑り嵌めを形成することが好ましい。また同時に、ワイヤ案内部材76は、縫合ワイヤ58が器具内を進められるときに縫合ワイヤ58に及ぼす摩擦を最小限に抑えるように形成されている。縫合ワイヤ58が極度に細く、可撓性であり、何らかの側部支持体がなければ屈曲または座屈をきわめて起こしやすいので、前述の特徴が重要になる。
【0034】
これだけに限るものではないが、一例として、縫合ワイヤ58がステンレス鋼で形成され、直径約0.013cm(0.005インチ)の場合、ワイヤ案内部材76が、内径約0.020cm(0.008インチ)、外径約0.041cm(0.016インチ)になることがある。加えて、ワイヤ案内部材76が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または他の比較的滑らかな何らかの材料で形成されることが好ましい。あるいは、ワイヤ案内部材76の内側を潤滑剤で塗装して、ワイヤ案内部材の中で密接に支持された縫合ワイヤを低摩擦で容易に通過させることもできる。
【0035】
さらに、これだけに限るものではないが一例として、本発明の好ましい一形態では、縫合ワイヤ58に引張強度約1173MPa(170kpsi)の316LVMステンレス鋼を含めることができる。
【0036】
ワイヤ案内部材76は、支持ユニット74内を延びており(図7)、支持ユニット74の中央部に2つの開口部78(ワイヤ案内部材76の両側に1つずつあり、図5にはその一方だけが示されている)を有する。開口部78が縫合ワイヤ58の一部分を露出させるので、ワイヤ駆動輪56(図8)が縫合ワイヤ58に接触し、縫合ワイヤを縫合器具10の末端に向かって前進させることができ、これについて以下で図8〜図10を参照して詳述する。
【0037】
図2、図3、図4A、および図8に示すように、筐体12は、前述のモータ50および60が収容された、末端方向に延びるバレル軸81(図4Aおよび図8)を与える駆動バレルアセンブリ80を受けており、このバレル軸81の外側に回転式伝達機38、42、および46’が配置されている。バレル軸81の末端には、軸16の基端に配置された結合ピン84(図2および図4)を受ける陥凹部82(図4A)が設けられていて、駆動バレルアセンブリ80が回転すると、結合ピン84が回転し、それによって軸部16が回転する。駆動バレルアセンブリ80は、図2および図3に示すように、軸受86によって筐体12内で回転可能に保持されている。
【0038】
次に図7〜図10を見ると、解除レバー87を駆動バレルアセンブリ80(図8および図9)の中心から離れるように回転させて、駆動バレルアセンブリ80に対して往復台(carriage)88を相対的に移動させることによって、駆動バレルアセンブリ80にワイヤ供給カートリッジ30を取り付けることができる。さらに具体的には、解除レバー87がピン90に軸支されており、解除レバー87が図8に示す位置から図9に示す位置へと回転すると、往復台88ならびにワイヤ従動輪92が駆動バレルアセンブリ80の中心から離れて引き寄せられる。ワイヤ従動輪92をワイヤ駆動輪56から十分に離して駆動バレルアセンブリの中心経路93(図9)を露出させた後、ワイヤ案内部材76(縫合ワイヤ58を覆う)を経路93に挿入することができ(図10)、ワイヤ案内部材支持ユニット74(図6、図7、および図10)を駆動輪56と従動輪92との間に挿入して(図10)、ワイヤ案内部材76の両側に形成された開口部78を通じて駆動輪56および従動輪92を縫合ワイヤ58の両側に接触させることができる。ワイヤ従動輪92を縫合ワイヤ58と密接に接触させるために、往復台88上にはバイアスバネ94(図8〜図10)が設けられている。また他の実施形態では、ワイヤ従動輪92をワイヤ駆動輪56によって間接的に駆動して、縫合ワイヤ58を末端方向に(すなわち、ツールの端部操作部18に向かって前方に)移動させる追加的な力を与えることもできる。
【0039】
小歯車62(図4、図4A、および図11)が、駆動バレルアセンブリ80から末端方向に延びており、図4および図11に示すように筐体の内歯車64と噛み合っている。この構成の結果、軸回転モータ60が作動されると、小歯車62が内歯車64の周りを回転し、それと共に駆動バレルアセンブリ80全体を回転させる。駆動バレルアセンブリ80には軸部16が結合しているので、次にはこれが軸部16を回転させる。より具体的には、駆動バレルアセンブリ80の陥凹部82(図8)内に嵌め込まれる軸部の結合ピン84(図2、図4、および図12)を通じて、駆動バレルアセンブリ80の回転が軸部16に伝達される。
【0040】
端部操作部18(図1および図13〜図16)には、固定ジョー部分96と可動ジョー部分98とが含まれる。可動ジョー部分98は、ジョー連結ピン100を介して前述のジョー連動部材68(図14)に結合しているので、ジョー連動部材68が末端方向に移動すると(すなわち、ジョー閉合作動装置22を握り部14に引き寄せることによって移動させると)、ジョー部分98が枢動ピン102(図13)の周りで回転して、固定ジョー部分96へと閉じる。反対に、ジョー連動部材68が基端方向に移動すると(すなわち、ジョー連動部材結合器66に作用する、したがってジョー連動部材68にも作用するバイアスバネ69の力によって移動させると)、可動ジョー部分98が固定ジョー部分96から離れて開く。バイアスバネ69の力が、普通、ジョー閉合作動装置22が作動されてバネ69のバイアスに打ち勝つまでは、可動ジョー部分98を固定ジョー部分96(図1、図13、および図14)に対して開いた状態に保持することが理解されよう。
【0041】
ワイヤ切断連動部材72(図2、図3、図14、および図15)は、縫合ワイヤ58を通すことのできる小さな開口部106を含む切断バー104(図14および図15)に結合しており、これについては以下でさらに詳述する。切断バー104が、固定ジョー部分96に形成された経路107(図14、図15、図16、および図17H)内にスライド可能に受けられていることが好ましい。ある位置(図14)では、切断バー104は、切断バーの開口部106が固定ジョー部分96に形成された通路108と位置合わせされるように、固定ジョー部分96内に位置決めされており、縫合ワイヤをワイヤ案内部材76の末端から送り出し、固定ジョー部分96に形成された通路108に通し(ここで約90度方向転換する)、切断バー104の開口部106に通し、固定ジョー部分96に形成された通路拡張部108Aに通して、可動ジョー部分98に到達させることができ、これについては以下でさらに詳述する。ただし、ワイヤ切断作動装置24を握り部14に引き寄せることによってワイヤ切断連動部材72を基端方向に移動させると、切断バー104も基端方向に移動して(図15)、通路108(固定部分96内にある)から開口部106(切断バー104内にある)へと延びている縫合ワイヤを切断する。この点で、ワイヤ切断作動装置24を引くことによって切断バー104を基端方向に移動させたときに縫合ワイヤが2箇所(すなわち、通路108の箇所と、さらに通路拡張部108Aの箇所)で切断されるのを防ぐために、通路108よりも長さの大きい通路拡張部108A(図14および図15参照)を形成することが望ましいことが理解されよう。ただし、それと同時に、縫合ワイヤ58が固定ジョー部分96を通って出ていくときに縫合ワイヤにできる限り多くの支持をもたらすように、固定ジョー部分の通路108および通路拡張部108Aならびに切断バーの開口部106がすべて縫合ワイヤ58に対して相対的にサイズ設定されていることも理解されるはずである。
【0042】
バイアスバネ69の力が、普通、ワイヤ切断作動装置24が作動されてバネ69のバイアスに打ち勝つまでは、切断バー104をその末端位置(すなわち、切断バーの開口部106が固定ジョー部分の通路108と位置合わせされている位置)に保持することが理解されよう。
【0043】
前述の構成を考慮すれば、(1)解除レバー87(図8〜図10)を作動させて、ワイヤ従動輪92をワイヤ駆動輪56に対して近付け/遠ざけるように移動させると、充填済みのワイヤ供給カートリッジ30(図1および図5〜図7)を縫合器具10に装填することができ、(2)ジョー閉合作動装置22を作動させると、可動ジョー部分98が固定ジョー部分96へと閉じ、(3)ワイヤ送りボタン20を作動させると、ワイヤ駆動輪56が縫合ワイヤ58を筐体12および軸部16内に進ませ、(4)回転ボタン26および/または28を作動させると、軸部16が筐体12に対して相対的に回転し、(5)ワイヤ切断作動装置24を作動させると、切断バー104が基端方向に移動して、固定ジョー部分96から延びている縫合ワイヤを切断することがわかる。
【0044】
操作
縫合器具10を使用して、ワイヤ縫合糸58を対象物に適用し、所望の縫合操作を達成することができる。
【0045】
ここで、これだけに限るものではないが、一例として図17A〜図17Jを見ると、縫合器具10を使用して、縫合すべき対象物の2つの部分110および112を縫合することができる。典型的な事例では、対象部分110および112は、再度つなぎ合わせる必要のある切断された2つの組織切片、あるいはつなぎ合わせる必要のある、それまでは離れていた2つの組織片を含むことがある。ただし、対象部分110および112のいずれか一方が、人工のメッシュまたは組織に付着している他の何らかの物体などを含むこともある。加えて、典型的な事例では、対象部分110および112が患者の体内の比較的深部にあって、いわゆる「低侵襲」処置またはいわゆる「非観血的外科」処置中に接近することもあるが、他の状況では、対象部分110および112に従来の処置またはいわゆる「観血的外科」処置中に接近することもある。この後者の状況には、患者の身体の外表面で実施される、すなわち、対象部分110および112が表面の対象物を含む処置が含まれることがある。
【0046】
いずれにせよ、縫合器具10の使用準備は、初めに、バッテリ34がまだ取り付けられていなければバッテリ34を握り部14内に取り付けることによって、ワイヤ供給カートリッジ30がまだ取り付けられていなければワイヤ供給カートリッジ30を縫合器具内に取り付けることによって実施される。前述のように、(1)駆動バレルアセンブリの解除レバー87をその開位置に移動させ(図9)、ワイヤ従動輪92をワイヤ駆動輪56から離れるように移動させることによってバレルアセンブリの中心経路93を露出させ、(2)カートリッジの末端(すなわち、ワイヤ案内部材76の末端)を駆動バレルアセンブリ80および軸部16内に通して、ワイヤ案内部材76の末端を固定ジョー部分96に形成された通路108と連通させ(図14)、この時点でカートリッジのワイヤ案内部材支持ユニット74がワイヤ駆動輪56とワイヤ従動輪92の中間に位置決めされており(図2)、さらに(3)駆動バレルアセンブリの解除レバー87を動かして閉位置に戻し(図8)、ワイヤ駆動輪56およびワイヤ従動輪92をワイヤ案内部材の開口部78内に拡張させて縫合ワイヤ58に係合させることによって、ワイヤ供給カートリッジ30が縫合器具10内に取り付けられる。
【0047】
この時点で、縫合器具10は、その可動ジョー部分98が固定ジョー部分96から離れて開き、その切断バー104が前進位置(図14)にある、使用準備ができた状態になっている。
【0048】
次に、ジョー閉合作動装置22を握り部14に引き寄せることによって、縫合器具10の可動ジョー部分98を動かして固定ジョー部分96に係合させ(すなわち、ジョー96および98をそれらの「閉」位置に置き)、次いで縫合器具10の末端を移動させて対象部分110および112に隣接させる(図17A)。
【0049】
いわゆる非観血的外科処置の場合、このような位置決めは、一般に、カニューレを通じて縫合器具の末端を体内の空洞部に到達させるものであるが、縫合器具の末端を、他の方法で接近可能な身体の空洞部に直接到達させる、例えば、結腸または食道などに直接到達させることも想定される。いわゆる観血的外科処置の場合、このような位置決めが、縫合器具の末端をより容易に接近可能な対象部分110および112に隣接させて位置決めするものになることがある。
【0050】
いずれにせよ、縫合器具10の末端を対象部分110および112に隣接させて設置した後でジョー閉合作動装置22を解除すると、バイアスバネ69(図4)が可動ジョー部分98を固定ジョー部分96から離して開かせる(図17B)。次いで、縫合器具10の末端をジョー96および98が対象部分110および112をまたぐように移動させ、その後ジョー閉合作動装置22を握り部14に引き寄せることによってジョー閉合作動装置22を再び作動させ、可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に向かって閉じさせて、対象部分110および112を捕捉する(図17C)。
【0051】
次に、ワイヤ送りボタン20を作動させて、縫合ワイヤ58を前進させ、ワイヤ案内部材76の末端から出し、固定ジョー部分の通路108に通し、切断バー104の開口部106に通し、固定ジョー部分の通路拡張部108Aに通し、対象部分110および112に通し、最後に、可動ジョー部分98に形成された開口部113(図14、図15、および図17C)に通す。可動ジョー部分98の下端部から外に延びている縫合ワイヤ58の長さ58Aが約1cmになるように、縫合ワイヤ58が進められることが好ましい(図17C)。この点で、縫合ワイヤ58が固定ジョー部分96を離れて対象部分110および112に係合するときに、固定ジョー部分の通路108、切断バーの開口部106、および固定ジョー部分の通路拡張部108Aが細い縫合ワイヤを支持するので、縫合ワイヤを対象部分110および112に穿通させることが可能なことが理解されよう。
【0052】
この後、ジョー閉合作動装置22を解除して、可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に対して相対的にその「開」位置に戻し、次いで、縫合器具10の末端を対象部分110および112から(例えば、約1cm程度)後退させながらワイヤ送りボタン20を使用して追加的な縫合ワイヤ58を繰り出す(図17D)。
【0053】
次いで、ジョー閉合作動装置22を使用して、ジョー部分98を動かし、もう一度固定ジョー部分96に係合した状態に戻す(図17E)。
次に、左母指操作型回転ボタン26または右母指操作型回転ボタン28を使用して軸16を回転させ、それによって端部操作部18を回転させる。これで、縫合ワイヤ58がねじれて、初めに対象部分110および112から縫合器具10に向かって延びる縫合ワイヤ58の比較的大きなループ116(図17F)を形成する。ただし、回転ボタン26および/または回転ボタン28を使用して軸部16を(したがって端部操作部18を)さらに回転させるにつれ、縫合材料のループ116が次第に閉鎖して(図17G)、対象部分110および112にきつい結合部を形成することになる。この点で、端部操作部18の回転時間が長いほど、縫合ワイヤ58のねじれの量が大きくなり、対象部分110および112を保持する力が大きくなることが理解されよう。またこの点で、縫合ワイヤ58を対象部分110および112の強度に対する可撓性に関して慎重に選択することが好ましいことも理解されよう。具体的には、縫合ワイヤ58は、対象部分110および112を大きく変形させず、かつ/または断裂させずに、縫合ワイヤがねじれてループ116を閉鎖させるような可撓性をもつように選択される。実際には、これだけに限るものではないが一例として、直径約0.013cm(0.005インチ)のステンレス鋼ワイヤが、ほとんどのタイプの哺乳類細胞と併せて使用したときに、組織の大きな変形および/または断裂を引き起こさずにねじって閉鎖できることがわかった。
【0054】
縫合ワイヤ58を所望の程度まで締め付けた後で、軸部16および端部操作部18の回転を停止させる。すなわち、ボタン26または28を解除する。次いで、ワイヤ切断作動装置24を押し下げて(例えば、握り部14に向かって引き戻して)、切断バー104を基端方向に引くことによって、縫合ワイヤ58が固定ジョー部分の通路108から現れて切断バーの開口部106に入るところで縫合ワイヤ58が切断される(図17Hおよび図16)。この動作で、対象部分110および112を貫通して延びる展開された縫合ワイヤが、ワイヤ供給カートリッジ30、ワイヤ案内部材76、および固定ジョー部分の通路108内に残っている縫合ワイヤから分離される。
【0055】
次いで、ワイヤ切断作動装置24を解除して、バイアスバネ69によって切断バー104をその末端位置に戻してから、ジョー閉合作動装置22を解除し、可動ジョー部分98を動かして固定ジョー部分96から離れさせる。その後、縫合器具10を対象部分110および112から取り除くことができ、この動作で、ワイヤの長さ58Aが可動ジョー部分98から引き抜かれる(図17I)。
【0056】
次いで、展開された縫合ワイヤ58を対象部分110および112に当てて均一に押圧し、または丸めて球状にすることができ、あるいは別法として、展開された縫合ワイヤを縮小させ、または縫合ワイヤに引っ掛かる傾向を低減するように、縫合ワイヤを処置することができる(図17J)。
【0057】
縫合器具10に、幅広い様々な縫合操作用途があることが理解されよう。より具体的には、縫合器具10には、「観血的」および「非観血的」外科処置の両方の用途があり、前者には、これだけに限るものではないが、大きな侵入部が形成される処置、比較的浅部での処置、および表面の処置が含まれ、後者には、これだけに限るものではないが、カニューレの使用を通じて内部構造に接近する外科処置、ならびにカニューレを使用せずに体内の空洞部に直接接近する外科処置、例えば直腸や食道内で実施される処置などが含まれる。
【0058】
また、縫合器具10には、組織の2つの部分をつなぎ合わせなければならない場合(例えば、切断された2つの組織片を再度つなぎ合わせなければならない場合、別個の2つの組織片をつなぎ合わせなければならない場合、または単一組織片の2つの部位を互いに接近させなければならない場合)の用途、ならびに患者に物体を付着させなければならない場合(例えば、ヘルニアの修復術中に患者の腹壁に外科用メッシュを付着させなければならない場合など)の用途があることも理解されよう。
【0059】
とりわけ縫合器具10には、一般腹腔鏡外科、一般胸部外科、心臓外科、一般腸外科、血管外科、皮膚外科、および形成外科の分野に特別な用途があると考えられている。
次に図18および図19を見ると、固定ジョー部分の通路108が切断バー104の中心にほぼ位置合わせして配置されている場合(図18)、縫合ワイヤ58が比較的平らな前縁部58Bに切断される(図19)ことがわかる。しかし、時には比較的尖った前縁点を備える縫合ワイヤ58を提供することが有益であることがわかっている。このような前縁点は、縫合ワイヤの後続部分のために対象部の進入口を開くのに役立たせることができる。加えて、このような前縁点は、縫合ワイヤをほぼ直線的な経路で対象物に穿通させるのに役立たせることができるので、縫合ワイヤが確実に可動ジョー部分の開口部113に進入することになる。この目的で、固定ジョー部分の通路108を切断バー104に対して中心がずれるように移動させると(図20)、縫合ワイヤ58の前縁部58Bが比較的鋭い頂点58Cに形成される(図21)ことがわかった。
【0060】
また、縫合器具10を使用して、縫合糸を対象物に貫通させるのでなく、対象物を結紮することも可能である。例えば、縫合器具10を使用して、縫合ワイヤ58で血管を結紮することができる。この場合、縫合器具10は、前述したタイプの縫合操作の場合のように縫合ワイヤ58を対象物に貫通させるのでなく、縫合ワイヤ58が対象物の向こう側に回るように展開される。
【0061】
これだけに限るものではないが、一例として、典型的な結紮操作では、初めに可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に対して相対的に開かせる。次いで、可動ジョー部分98を後で固定ジョー部分96に向かって閉じたときに固定ジョー部分の通路108および可動ジョー部分の開口部113が対象物の向こう側に位置するように、縫合器具10を対象物の周りに位置決めする。次いで、可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に向かって閉じ、縫合ワイヤ58を固定ジョー96から可動ジョー部分98へと送り渡し、すなわち縫合ワイヤ58を対象物の向こう側に回す。次いで、可動ジョー部分98を開き、器具を対象物から後退させながら縫合ワイヤ58を繰り出す。次いで、再び可動ジョー部分98を固定ジョー部分96に向かって閉じる。次に器具の軸部を回転させて、結紮ループを形成してから、そのループを閉鎖させる。次いで、切断バー104を作動させて、まだツール内に残っている縫合ワイヤの他の部分から結紮ループを切り離し、可動ジョー部材98を開いて、器具を外科処置部位から引き下げる。次いで、展開された縫合ワイヤ58を対象物に当てて均一に押圧し、または丸めて球状にすることができ、あるいは別法として、展開された縫合ワイヤを縮小させ、または縫合ワイヤに引っ掛かる傾向を低減するように、縫合ワイヤを処置することができる。当業者には理解されるように、器具10を結紮目的で使用する場合、縫合ワイヤを容易に対象物の向こう側に回せるように、固定ジョー部分96および可動ジョー部分98の長手方向の長さを大きく形成することができる。さらに、可動ジョー部材98のジョー連結ピン100(図15)と開口部113との中間に対象物が収容される陥凹部を設けて、可動ジョー部材98を動かして固定ジョー部材96に係合させるときに対象物が圧迫されるのを防ぐこともできる。
【0062】
縫合ワイヤ58には、金属製または必要な可撓性および剛性を有する他のいずれか適した材料製のワイヤを含めることができる。これだけに限るものではないが一例として、縫合ワイヤ58には、ステンレス鋼、チタン、タンタルなどを含めることができる。
【0063】
また望むなら、縫合ワイヤ58を様々な活性剤で塗装することもできる。例えば、縫合ワイヤ58に抗炎症剤、抗凝固剤、抗生物質、または放射性薬剤などを塗装することができる。
【0064】
次に図22を見ると、組織穿通を容易にするために、ワイヤに超音波エネルギーを与えることも可能である。より具体的には、ワイヤの断面積が小さく、軸方向に負荷がかかったときにワイヤが座屈する傾向にあるので、ワイヤを最小限の負荷で組織内に進ませることができれば有益である。これは、ワイヤに超音波エネルギーを適切に適用することによって達成することができる。
【0065】
ワイヤが組織に進入する直前の場所である、固定ジョー部分96の直角に曲がったワイヤ案内経路108の外側半径のところに、圧電素子200が設置される。圧電素子200は、この曲がった部分に沿った位置で振動してワイヤの方向転換を支援し、さらに組織方向の変位成分も与える。既に存在するワイヤ駆動手段に加え、この種の超音波周波数での変位があると、ワイヤの頂点がより小さな力で組織に穿通される。また、ワイヤの完全座屈の傾向を低減させることに加え、ワイヤの負荷が軽減されると、ワイヤをより直線的な経路で穿通させることができる。
【0066】
次に図23Aを見ると、状況によっては、縫合ワイヤ58が固定ジョー部分96の曲線状の通路108に従った結果、縫合ワイヤ58が湾曲して固定ジョー部分96から出てくることがあることがわかる。場合によっては、この縫合ワイヤ58の湾曲が微々たるもので、事実上無視できることもある。しかし状況によっては、この湾曲が大きすぎて、固定ジョー部分96から出て前進する縫合ワイヤが可動ジョー部分98の目標開口部113から外れることがある。この場合、縫合ワイヤ58の湾曲が重大な問題になる可能性がある。しかし、ここで図23Bを見ると、縫合ワイヤの望ましくない湾曲を緩和し、縫合ワイヤが固定ジョー部分96から出ていくときに縫合ワイヤを直線的な経路に戻す偏向ダイを提供するように、切断バーの開口部106の側面形状を変更できることがわかった。あるいは、縫合ワイヤの望ましくない湾曲を緩和し、縫合ワイヤが固定ジョー部分96から出ていくときに縫合ワイヤを直線的な経路に戻す同様の偏向ダイを提供するように、切断バー104に隣接した固定ジョー部分の通路108の側面形状を変更することもできる。さらに、ここで図23Cを見ると、直線経路から外れた縫合ワイヤの捕捉に役立つように、可動ジョー部分の開口部113の口部を広げることができる。
【0067】
次に図24を見ると、縫合器具10に1つまたは複数の脚部300を設けることができることがわかり、脚部300は、縫合時に組織を安定させるのに役立つ。
次に図25を見ると、縫合時に組織を安定させるのに役立つジョー405および410を含む把持具400を、縫合器具10に追加できることがわかる。
【0068】
望むなら、縫合器具10の端部操作部18を、前述した1つの固定ジョーと1つの可動ジョーとでなく、対向する2つの可動ジョーを備えるように構築することができる。
また望むなら、軸回転モータ60と母指ボタン26および28とを、一方のボタン(例えば、ボタン26)を押し下げると端部操作部18が一方向(例えば、時計回り)に回転し、他方のボタン(例えば、ボタン28)を押し下げると端部操作部18が反対方向(例えば、反時計回り)に回転するように構成することもできる。
【0069】
注目すべきことには、本発明に、とりわけ胃食道逆流疾患(GERD)に対処する新規処置に特別な用途があることがわかった。
より具体的には、この新規処置では、縫合器具10を使用して胃の下部食道括約筋(LES)の下方の組織を寄せ集め、その機能を改善し、それによってGERDの症状を軽減させることができる。ここで図26〜図29を見ると、本発明の好ましい一形態では、縫合器具10を患者の胃の内部に挿入してその端部操作部18をLESの壁面に隣接して配置し(図26)、ジョー部分96および98を使用してLESの壁面の離隔した2つの部位110および112を寄せ集め(図27)、次いで縫合ワイヤ58を使用して、LESの下方の胃壁の寄せ集められた部分を前述の方式で合わせて留め付ける(図28および図29)。前述のステップは、患者のLESの下方で胃壁を十分に寄せ集めてその機能を改善し、GERDの症状を軽減するのに必要なだけ繰り返すことができる。
【0070】
またこの点で、とりわけ前述のGERD処置での使用を容易にするように、特定の方法で縫合器具10を構築し、または特定の方法で縫合器具10に変更を加えることが有用な場合があることもわかった。
【0071】
したがって、例えば、好ましくは内視鏡の作業管腔を通じ、食道を通ってLESに接近することによって、前述のGERD処置が有利に実施できることがわかった。この目的で、縫合器具10をその長さに沿って可撓性になるように形成することが好ましい。これは、軸部16(図1および図14)を可撓性材料で形成し、その内部コンポーネント(例えば、ジョー連動部材68、ワイヤ切断連動部材72、およびワイヤ案内部材76)を可撓性要素で形成することによって達成することができる。これだけに限るものではないが、一例として、軸部16を、可撓性の内視鏡を形成するのに使用される種類の構造など、塑性体の金属補強構造で形成することができ、ジョー連動部材68およびワイヤ切断連動部材72を可撓性の金属ロッドで形成することができ、ワイヤ案内部材76をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成することができる。あるいは、次に図30Aを見ると、軸部16の一部分を例えばAのところで除去して、末端部Cと基端部Dとを連結する小さな可撓性の背骨Bを残すこともできる。望むなら、背骨Bを末端部Cおよび基端部Dと一体に、かつ同一の材料で形成することができ、あるいは背骨部Bを他の材料、例えばニチノールで形成することもできる。さらに望むなら、連結部Bを、例えば末端部Cおよび基端部Dの両方に連結された別個の材料片で作製することによって、軸部16の中心軸に沿って配置することができる。この後者の構成は、トルク伝達に関するねじれの点では比較的堅いものであるが、その長さ方向に沿った曲げには可撓性を示すので、特に有利な可能性がある。
【0072】
さらに、前述のGERD処置で縫合器具10を使用する際、(i)組織に対する迎え角、(ii)組織が滑りやすい性質であること、および(iii)組織の調子が変化することが原因で、LESを把持して引き寄せるのが困難なことが多いことがわかった。その結果、組織を把持する2つの可動ジョー部分を提供することが有益な可能性があることもわかった。
【0073】
ここで、より具体的に図30〜図39を見ると、軸部16の末端に2つの可動ジョー部分96Aおよび98Aを設けることができる。ジョー部分96Aおよび98Aは、それぞれ枢動ピン100Aおよび100Bを介して、軸部16の末端に留め付けられた外側ヨーク16Aに枢支されている(図31)。また同時に、ジョー部分96Aおよび98Aは、溝穴100Dに受けられた枢動ピン100Cを介して、内側ヨーク16Bに枢支されている(図33)。内側ヨーク16Bは、外側ヨーク16A内に可動式に配置され、ジョー連動部材68Aの端部に留め付けられている。この構成の結果、ジョー連動部材68Aによって内側ヨーク16Bが末端方向に移動すると、ジョー部分96Aおよび98Aが互いに対して相対的に開き(図31)、ジョー連動部材68Aによって内側ヨーク16Bが基端方向に移動すると、ジョー部分96Aおよび98Aが近付いて閉じる(図37)。前述の構成は、いくつかの理由できわめて有利であるが、とりわけ、(i)2つの可動ジョー部分を提供することによって縫合器具の口部を広げ、例えば前述のGERD処置などにおいて組織を把持して引き寄せるのを容易にすることができ、(ii)単一の可動内側ヨーク16Bを使用して、固定された外側ヨーク16Aにピンで留められたジョー部分96Aおよび98Aを開閉させることによって、確実に2つのジョー部分を一致した対称的な程度で開閉させることになり、それによって常に一様な口部の操作が保証されるという点で有利である。
【0074】
前述したことに加え、ジョー部分96Aおよび98Aには、それぞれオフセット末端歯(または牙)96Bおよび98Bを設けることが好ましい(図30)。これらの歯(または牙)96Bおよび98Bは、組織、特に前述のGERD処置時のLESなど、把持困難な組織を把持するジョー部分の能力を向上させる。
【0075】
ジョー部分96Aと98Aの両方が動くので、縫合器具の特定の態様を、前述で開示した構成から変更することが有利な可能性がある。より具体的には、前述で開示した縫合器具では、縫合ワイヤ58を組織に送達するジョー部分96が軸部16に対して固定されており、ワイヤ案内部材76が直線的に延びてジョー部分96に達し、好ましくは止め肩部に当たっている(図14)。しかし、図30〜図39に開示した実施形態では、ジョー部分96Aと98Aの両方が軸部16に対して相対的に移動する。結果として、図30〜図39の構成では、縫合ワイヤ58をジョー部分96Aのワイヤ案内経路へと確実に案内できるように、ワイヤ案内部材76A(図39)の末端がジョー部分96Aでわずかに異なる形で終端することが好ましい。同時に、縫合ワイヤ58に作用する湾曲の半径を増大させることが望ましいので、ワイヤ案内部材76Aを枢動ピン100Aの外側寄りにして、ジョー部分96Aが開位置にあるときにワイヤ案内部材76Aが「近道」できることが好ましい(図33)。この目的で、ジョー部分96Aの枢支位置に応じてワイヤ案内部材76Aの末端がジョー部分96Aに対してわずかに動くことがあるので、ワイヤ案内部材76Aの末端に、ジョー部分96Aに形成された溝穴96Cで受けられるフランジ76B(図33)を設けて、ワイヤ案内部材76Aを浮動型係合によってジョー部分96Aに取り付けることができることが好ましい。
【0076】
切断バー104および/またはワイヤ切断連動部材72がジョー部分96Aの開閉を妨げないようにするために、切断バー104およびワイヤ切断連動部材72を、切断バー104が引き下げられた(すなわち、基端方向の)位置にあるときにそれらをジョー部分96Aから完全に引き下げることができるようなサイズにすることが好ましい。本発明の好ましい一形態では、切断バー104およびそれに付随したワイヤ切断連動部材72が、筐体12から軸部16の端部まで延びる単一の切断ロッド104A(図37および図38)に置き換えられる。切断ロッド104Aの末端を使用して、ジョー部分96Aに形成されたワイヤ案内経路を横切って選択的に侵入させ、縫合器具から展開された縫合ワイヤを切断する。切断ロッド104Aが可撓性材料で形成されることが好ましく、これでジョー部分96Aおよび98Aがその間にある組織に阻まれて完全に閉じないときでも、切断ロッド104Aをジョー部分96Aまで延ばすことができる。
【0077】
前述のGERD処置では、食道を通ってLESに接近する場合、ワイヤをかなり長い距離、例えば、内視鏡の基端よりも基端側の領域(通常、患者の口からかなり離れた場所にある)から、内視鏡の末端よりも末端側の領域(通常、LESのところにある)まで駆動しなければならない。実際にはこれは、胃カメラでは通常約92cm(約3フィート)の距離(結腸の処置のときには結腸内視鏡で長さ約153cm(5フィート)まで(以下参照))である。しかし、縫合ワイヤをこのような長い距離で駆動するのが困難な場合があることがわかっている。これは、縫合ワイヤが、通常その穿通、ねじり、および切断特性について選択され、通常これが比較的柔らかいワイヤ、例えば引張強度約1104MPa(160kpsi)の316Lステンレス鋼ワイヤの使用を意味するからである。したがって本発明の一形態では、異なる2つの特徴、すなわち(i)組織穿通、ねじり、および切断に最適化されたより柔らかい末端ワイヤ部分58Bと、(ii)駆動に最適化されたより硬い基端ワイヤ部分58Cとを備える縫合ワイヤ58A(図40)を供給することが有益であることがわかった。一例として、末端ワイヤ部分58Bが引張強度約1104MPa(160kpsi)の316Lステンレス鋼を含み、基端ワイヤ部分58Cが引張強度約2967MPa(430kpsi)の304ステンレス鋼を含む。末端ワイヤ部分58Bは、製造時にワイヤ供給カートリッジ30と組み合わせることができ、あるいは基端ワイヤ部分58Cをワイヤ供給カートリッジ30内に取り付けた後で、末端ワイヤ部分58Bをワイヤ供給カートリッジ30および/または縫合器具10に追加することもできる。末端ワイヤ部分58Bは、基端ワイヤ部分58Cに留め付けることができ、または留め付けなくてもよい。
【0078】
また、縫合器具10は、前述の駆動バレルアセンブリ80(図8)を使用して縫合ワイヤ58(または縫合ワイヤ59A)を駆動するが、縫合ワイヤの駆動に他の装置を使用することもでき、例えば、2002年1月18日に出願されたFrederic P.Field他の係属中の米国特許出願第10/051,322号「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT AND METHOD OF USE」(代理人整理番号ONUX−13)に開示されているようなワイヤ駆動機構、または2001年10月19日に出願されたFrederic P.Field他の係属中の米国特許出願第10/039,601号「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT AND METHOD OF USE」(代理人整理番号ONUX−17)に開示されているようなワイヤ駆動機構、または2001年10月19日に出願されたFrederic P.Field他の係属中の米国特許出願第10/082,510号「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT AND METHOD OF USE」(代理人整理番号ONUX−22)に開示されているようなワイヤ駆動機構、または本発明と整合性のある他のいずれかのワイヤ駆動機構を使用できることも理解されるはずである。これら3つの特許出願を参照により本願に援用する。
【0079】
前述の構成および/または変更は、特に食道を通じてLESに接近するときに、前述のGERD処置を達成するのに特に有利であることがわかった。ただし、これらの構成および/または変更のうち1つまたは複数を、これだけに限るものではないが、胃バイパス処置、消化器潰瘍性疾患のための止血、胃腸管内の穿孔の閉鎖、胃腸管内または体内の他の場所でのステントの固定、胃腸管内のGERD監視装置の適所固定、胃および/または結腸内の内視鏡的粘膜切除術(EMR)部位の閉鎖、ならびに本開示を考慮すれば当業者には自明の他の外科処置を含め、他の外科処置にも適用可能であることも理解されるはずである。
【0080】
変更形態
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ここに開示した実施形態に多数の修正および変更を実施できることが、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に従って形成された縫合器具の側面図である。
【図2】図1に示される縫合器具の断面を部分的に示す部分側面図である。
【図3】図1に示される縫合器具の断面を部分的に示す部分上面図である。
【図4】図1に示される縫合器具の内部コンポーネントの一部を示す概略部分側面図である。
【図4−A】図1に示される縫合器具に組み込まれた駆動バレルアセンブリの斜視図である。
【図5】図1に示される縫合器具内に組み込まれたワイヤ案内部材支持ユニットの斜視図である。
【図6】図5に示されるワイヤ案内部材支持ユニットを含む、縫合器具のワイヤ供給カートリッジの斜視図である。
【図7】図6に示されるワイヤ供給カートリッジの断面を部分的に示す斜視図である。
【図8】駆動バレルアセンブリの解除レバーがその閉位置で示されている、図1に示される縫合器具に組み込まれた駆動バレルアセンブリの後面斜視図である。
【図9】解除レバーがその開位置で示されている、図8に示される駆動バレルアセンブリの基端(すなわち後端)の斜視図である。
【図10】解除レバーがその閉位置で示されており、ワイヤ案内部材およびワイヤ案内部材支持ユニットが駆動バレルアセンブリに対して前進している(ただし、ワイヤ供給カートリッジの他の部分は、図では除かれている)、同一の駆動バレルアセンブリの基端(すなわち後端)の斜視図である。
【図11】図4の線11−11に沿った略図である。
【図12】図1に示される縫合器具の軸部および端部操作部分の側面図である。
【図13】図1に示される縫合器具の端部操作部分の側面図である。
【図14】端部操作部分が、その切断バーが前進した(すなわち、非切断)位置にある状態で示されている、図13に示される端部操作部分の断面を部分的に示す側面図である。
【図15】端部操作部分が、その切断バーが後退した(すなわち、切断)位置にある状態で示されている、図14に示される端部操作部分の断面を部分的に示す側面図である。
【図16】図1に示される縫合器具の端部操作部分の斜視図である。
【図17−A】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−B】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−C】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−D】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−E】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−F】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−G】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−H】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−I】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図17−J】図1に示される縫合器具によって実施される縫合操作の様々なステップを示す図である。
【図18】縫合器具の固定ジョー部分およびそれに付随した切断バーについて考えられる一構成を示す断面図である。
【図19】図18に示される装置によって切断されたワイヤ片を示す側面図である。
【図20】縫合器具の固定ジョー部分およびそれに付随した切断バーについて考えられる他の固定構成を示す断面図である。
【図21】図20に示される装置によって切断されたワイヤ片を示す側面図である。
【図22】デバイスの端部操作部分の断面を部分的に示す側面図であり、端部操作部分にワイヤ穿通を支援する圧電素子が含まれている図である。
【図23−A】縫合ワイヤが固定ジョー部分から出てくるときにどのように曲がることがあるかを示す、デバイスの固定ジョー部分の略図である。
【図23−B】前述したワイヤの湾曲を緩和するためにデバイスの側面形状をどのように変更できるかを示す、デバイスの固定ジョー部分の変更形態の略図である。
【図23−C】縫合時の捕捉を容易にするために可動ジョー部分の開口部の口部をどのように広げることができるかを示す、デバイスの可動ジョー部分の変更形態の略図である。
【図24】縫合時に組織を安定させるのに役立つ1つまたは複数の脚部が設けられている、デバイスの変更形態の略図である。
【図25】縫合時に組織を安定させるのに役立つ第2組のジョーがデバイスに追加されている、デバイスの他の変更形態の略図である。
【図26】胃食道逆流疾患(GERD)に対処する新規処置を示す、本発明の好ましい実施形態の略図である。
【図27】胃食道逆流疾患(GERD)に対処する新規処置を示す、本発明の好ましい実施形態の略図である。
【図28】胃食道逆流疾患(GERD)に対処する新規処置を示す、本発明の好ましい実施形態の略図である。
【図29】胃食道逆流疾患(GERD)に対処する新規処置を示す、本発明の好ましい実施形態の略図である。
【図30】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図31】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図32】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図33】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図34】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図35】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図36】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図37】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図38】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図39】組織を把持する2つの可動ジョー部分を備えた縫合器具の変更形態の略図である。
【図40】組織穿通、ねじり、および切断に最適化されたより柔らかい末端ワイヤ部分と、駆動に最適化されたより硬い基端ワイヤ部分とを有する、供給縫合ワイヤの略図である。

Claims (27)

  1. 縫合デバイスであって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部であって、その少なくとも一部分が可撓性の軸部と、
    前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含むデバイス。
  2. 前記軸部が可撓性材料で形成される、請求項1に記載の縫合デバイス。
  3. 前記軸部が塑性材料で形成される、請求項1に記載の縫合デバイス。
  4. 前記塑性材料が金属材料で補強されている、請求項3に記載の縫合デバイス。
  5. 前記軸部の一部分を除去することによって前記軸部がさらに可撓性になる、請求項1に記載の縫合デバイス。
  6. 前記軸部が、末端部と、基端部と、前記末端部を前記基端部に連結する可撓性の背骨部とを含む、請求項1に記載の縫合デバイス。
  7. 前記背骨部が前記軸部の周辺部に配置されている、請求項7に記載の縫合デバイス。
  8. 前記背骨部が前記軸部の中心軸に沿って配置されている、請求項7に記載の縫合デバイス。
  9. 縫合デバイスであって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部と、
    前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーであって、(i)前記軸部の前記末端に枢動可能に連結され、(ii)前記軸部の前記末端に対して相対移動可能な内側ヨークに枢動可能に連結されていて、前記内側ヨークが末端方向に移動すると前記対向ジョーが互いに対して相対的に開き、前記内側ヨークが基端方向に移動すると前記対向ジョーが互いに対して相対的に閉じる対向ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含むデバイス。
  10. 縫合デバイスであって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部であって、その少なくとも一部分が可撓性の軸部と、
    互いに対して相対的に開閉できるような対向関係で、前記軸部の末端に枢動可能に連結されている1対の可動ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含むデバイス。
  11. 前記一方のジョーの中を延びている縫合材料に係合して切断する、前記一方のジョーの中を通る選択的な運動に適合された切断機構をさらに含む、請求項11に記載の縫合デバイス。
  12. 前記切断機構が、縫合材料の切断に関わっていないときには前記一方のジョーから引き下げられている、請求項11に記載の縫合デバイス。
  13. 前記切断機構が可撓性材料で形成された切断ロッドを含む、請求項11に記載の縫合デバイス。
  14. 前記一方のジョーが、枢動ピンによって前記軸部の前記末端に枢動可能に連結されており、前記デバイスが、前記縫合駆動機構と前記一方のジョーとの間で縫合ワイヤを支持するワイヤ案内部材をさらに含んでおり、さらに前記ワイヤ案内部材が前記枢動ピンの外側寄りに位置決めされている、請求項11に記載の縫合デバイス。
  15. 前記ワイヤ案内部材の末端が浮動型設置によって前記一方のジョーに取り付けられている、請求項15に記載の縫合機構。
  16. 縫合デバイスであって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部と、
    前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構と、
    前記デバイス内に配置された縫合材料供給源であって、前記縫合材料が、(i)穿通、ねじり、および切断操作に好ましい特性を有する末端部分と、(ii)駆動操作に好ましい特性を有する基端部分とを含んでおり、前記基端部分が前記縫合駆動機構と係合するように前記デバイス内に配置されている縫合材料供給源とを含むデバイス。
  17. 前記縫合材料の前記末端部分が、引張強度約1380MPa(200kpsi)未満の金属を含む、請求項17に記載の縫合デバイス。
  18. 前記縫合材料の前記基端部分が、引張強度約1380MPa(200kpsi)以上の金属を含む、請求項17に記載の縫合デバイス。
  19. 前記縫合材料の前記末端部分が、引張強度約1104MPa(160kpsi)の316Lステンレス鋼を含む、請求項17に記載の縫合デバイス。
  20. 前記縫合材料の前記基端部分が、引張強度約2967MPa(430kpsi)の304ステンレス鋼を含む、請求項17に記載の縫合デバイス。
  21. 縫合材料であって、
    穿通、ねじり、および切断操作に好ましい特性を有する末端部分と、
    駆動操作に好ましい特性を有する基端部分とを含む材料。
  22. 胃食道逆流疾患(GERD)の治療方法であって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部と、
    前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスを提供するステップと、
    前記縫合デバイスの末端を患者の胃の中に進ませて、前記縫合デバイスの末端を下部食道括約筋(LES)の下方の胃壁に隣接させるステップと、
    LESの下方の胃壁の一部分を前記1対の対向ジョーによって寄せ集めるステップと、
    前記縫合駆動機構を操作して、縫合材料を進ませ、胃壁の寄せ集められた部分に貫通させるステップと、
    前記ジョー回転機構を操作して縫合材料を対象物に留め付けることによって、胃壁の寄せ集められた部分を合わせて留め付けるステップとを含む方法。
  23. 前記縫合デバイスが食道を通じて患者の胃へと進められる、請求項20に記載の方法。
  24. 前記縫合デバイスが内視鏡を通じて患者の胃へと進められる、請求項20に記載の方法。
  25. 止血方法であって、
    筐体と、
    前記筐体から末端方向に延びている軸部と、
    前記軸部の末端に配置された1対の対向ジョーと、
    前記筐体内に配置された、縫合材料を前記軸部内に進ませ、前記ジョーの一方に通し、縫合すべき対象物に通して、他方のジョーに到達させるように適合された縫合駆動機構と、
    前記筐体内に配置された、前記ジョーを回転させて縫合材料を対象物に留め付けるように適合されたジョー回転機構とを含む縫合デバイスを提供するステップと、
    前記縫合デバイスの末端を患者の体内に進ませて、止血が有益な組織に隣接させるステップと、
    止血が有益な組織の一部分を前記1対の対向ジョーによって寄せ集めるステップと、
    前記縫合駆動機構を操作して、縫合材料を進ませ、組織の寄せ集められた部分に貫通させるステップと、
    前記ジョー回転機構を操作して組織を留め付けることによって止血するステップとを含む方法。
  26. 前記縫合デバイスが食道を通じて患者の胃へと進められる、請求項26に記載の方法。
  27. 前記縫合デバイスが内視鏡を通じて患者の胃へと進められる、請求項26に記載の方法。
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