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JP2005336252A - 難燃性樹脂組成物とそれを用いた成形部品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物とそれを用いた成形部品 Download PDF

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JP2005336252A
JP2005336252A JP2004154653A JP2004154653A JP2005336252A JP 2005336252 A JP2005336252 A JP 2005336252A JP 2004154653 A JP2004154653 A JP 2004154653A JP 2004154653 A JP2004154653 A JP 2004154653A JP 2005336252 A JP2005336252 A JP 2005336252A
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Abstract

【課題】難燃性に優れ、廃棄時に有害性物質を排出しない難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a1)エチレン・α−オレフィン、(a2)エチレン−酢酸ビニル、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体20〜96.5質量%、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0〜36.5質量%、(c)ポリプロピレン樹脂3〜50質量%、(d)不飽和カルボン酸で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0.5〜25質量%、を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(e)有機パーオキサイド0.001〜1質量部、(f)架橋助剤0.03〜2.5質量部、並びに金属水和物(B)50〜300質量部含有し、前記(A)の溶融温度以上で加熱・混練し、部分架橋されてなる難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、加工時において架橋設備を必要とせずに、特に柔軟性や耐候性に優れ、かつ機械特性と耐熱性にも優れるうえ、しかも難燃性に優れた難燃性樹脂組成物と該組成物を被覆材とする配線材、光ファイバコードその他の成形部品に関するものである。
より詳しくは、本発明は、電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどの被覆材として、または電源コード等のモールド材料、チューブ、シートとして好適な難燃性樹脂組成物およびそれを用いた配線材その他の成形部品に関し、加工後に架橋設備等の特殊な設備を必要とせずに耐熱性、柔軟性、耐外傷性、圧接加工性に優れた難燃性樹脂組成物であり、長時間高温下に保持されても揮発物質の発生がなく、特に、適切に処理されない状態での埋立、不適切な条件における燃焼などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害ガスの発生がなく、かつ、使用後のリサイクル処理に適し、環境問題に対応した難燃性樹脂組成物およびそれを用いた配線材その他の成形部品に関するものである。
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線・ケーブル・コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどには、難燃性、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性、耐摩耗性)など種々の特性が要求されている。
このため、これらの配線材に使用される被覆材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されていた。
しかし、これらを適切な処理をせずに廃棄し、埋立た場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤が溶出したり、また不適切な条件において燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から有害ガスが発生したりすることがあり、近年、この問題が議論されている。
このため、環境に影響をおよぼすことが懸念されている有害な可塑剤や重金属の溶出や、排気ガス処理施設のない設備で燃焼した場合ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン難燃材料で被覆した配線材の検討が行われている。
近年、ノンハロゲン材料として、適度な柔軟性を備え、難燃性、耐熱性にバランスの取れたものとして、エチレン系共重合体やスチレン系ブロック共重合体をベースとした熱可塑性エラストマーを使用した絶縁電線が使用されてきた。
これまでこれらの被覆材料の強度や耐外傷性を保持するために、一般的に不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂が使用されてきた。
しかしながら不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂を添加すると柔軟性が乏しくなったり、耐候性が低下したりする問題があった。
特許文献2では、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物が多量に含まれるため、硬く、引張伸びが低い、及び流動性が悪いという欠点があった。
特開2000‐143935号公報 特許第3047911号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、特に柔軟性、耐候性に優れ、また優れた難燃性、加熱変形性、機械的特性を有し、かつ埋立、不適切な条件での燃焼や排気処理設備のない燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物と成形物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定量のエチレン系共重合体、特定量のポリプロピレン樹脂、特定量の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、特定量の有機パーオキサイド、特定量の(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤、特定量の金属水和物及び必要に応じて特定量の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物からなる組成物が、柔軟性に優れ、しかも耐候性に優れ、また機械的強度、難燃性を両立した絶縁樹脂組成物及び成型部品となることを見出した。本発明はこの知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)(a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)から選ばれる少なくとも一つの重合体20〜96.5質量%、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0〜36.5質量%、(c)ポリプロピレン樹脂3〜50質量%、並びに(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0.5〜25質量%(ただし成分(b)+成分(d)が37質量%以下であること)を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(e)有機パーオキサイド0.001〜1質量部、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤0.03〜2.5質量部、並びに金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が25質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも1/4が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練し、有機パーオキサイドの存在下で部分架橋されてなることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(2)前記架橋助剤(f)が、一般式
Figure 2005336252
(ここで、RはHまたはCHであり、nは1〜9の整数である。)
で表される(メタ)アクリレート系架橋助剤であることを特徴とする(1)項記載の難燃性樹脂組成物、
(3)前記金属水和物(B)が水酸化マグネシウムであることを特徴とする(1)または(2)項記載の難燃性樹脂組成物、
(4)シランカップリング剤が、末端にビニル基、(メタ)アクロイル基、アミノ基、およびエポキシ基からなる群から選ばれた1種を有するシラン化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体、または光ファイバ素線または/および光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品、
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形部品、
(7)(a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(c)ポリプロピレン樹脂、(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(e)有機パーオキサイド、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤、並びに金属水和物(B)を同時に、前記樹脂成分(a)〜(f)の溶融温度以上で加熱・混練し、部分架橋処理することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、および、
(8)第一工程として(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(c)ポリプロピレン樹脂、(a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体、並びに(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(e)有機パーオキサイド、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤、並びに金属水和物(B)を、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練し、部分架橋処理することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
を提供するものである。
本発明の難燃性樹脂組成物およびそれを用いた成形物品は、柔軟性、耐候性に特に優れ、かつ優れた難燃性、機械的特性を有し、かつ埋立、不適切な条件での燃焼や排気処理設備のない燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がない。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物の各成分について説明する。
(A)熱可塑性樹脂成分
熱可塑性樹脂成分(A)とは、(a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(c)ポリプロピレン樹脂、並びに(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物からなる。ただし、上記(b)成分は、必要に応じて、含まないことができる。
(a1)成分 エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明の(a1)成分としては、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いる。エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、好ましくは、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EBR(エチレン・1‐ブテンゴム)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。このなかでも、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)の密度は、925kg/m以下が好ましく、さらに好ましくは915kg/m以下、特に好ましくは905kg/m以下である。この密度が高くなると、金属水和物の高充填が難しくなり、樹脂組成物やそれを被覆した配線材の柔軟性が低下するという問題が生ずるからである。この密度の下限には特に制限はないが、通常850kg/m程度を下限とする。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)としては、メルトフローレート(以下、MFRと記す)(ASTM D−1238)が0.5〜30dg/分のものが好ましい。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒の存在下に合成されるものや通常の直鎖型低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でもメタロセン触媒の存在下に合成されるものが好ましく、その製法としては、特開平6−306121号公報や特表平7−500622号公報などに記載されている公知の方法を用いることができる。
メタロセン触媒は、発明者の名前からカミンスキー触媒、またその重合活性点が単一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれており、高い重合活性を有しているものが商業化されている。シングルサイトのメタロセン触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布と組成分布が狭いという特徴がある。
このようなメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が、高い引張強度、引裂強度、衝撃強度などを有することから、金属水和物を高充填する必要があるノンハロゲン難燃材料(配線材の被覆材料)に使用した場合、高充填された金属水和物による機械特性の低下を小さくすることができるという利点がある。
反面、メタロセン触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、通常のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合と比べて、溶融粘度の上昇や溶融張力の低下がおこり、成形加工性に問題が生ずる。この点については、メタロセン触媒として非対称な触媒を用いて長鎖分岐を導入し(Constrained Geometory CatalysticTechnology)、または合成の際に2つの重合槽を連結することで分子量分布に2つのピークをつくる(Adavnced PerformanceTerpolymer)ことで、その成形加工性を改良したものもある。
本発明において用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)としては、メタロセン触媒の存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、中でも前記成形加工性を改良したものが好ましい。このようなものとしては、日本ポリエチレン社から、「カーネル」(商品名)、三井化学「エボリュー」(商品名)が上市されている。
(a2)成分 エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の少なくとも1種
本発明の(a2)成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えばエチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)の少なくとも1種が用いられる。このうちさらに難燃性を向上させるためにはエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用するのが好ましい。
さらに難燃性を向上させるためには、エチレン以外の共重合成分の含有量が23質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは28質量%以上である。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、酢酸ビニル(VA)成分含有量が23質量%以上であるものが好ましい。またMFRは流動性の面から0.3dg/分以上、強度保持の面から30dg/分以下が好ましい。
(a3)成分 エチレン−プロピレン共重合体ゴム
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物中のベース樹脂に使用されるエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)はエチレンとプロピレンのゴム状共重合体である。ここでエチレン・プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含量が通常40〜75質量%程度のものをいう。エチレン、プロピレン以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を重合体にもたせたエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)もあるが本発明においては二重結合をもたないEPMを用いる必要がある。EPDMを用いた場合は、本発明の目的である優れた柔軟性と伸びが損なわれるためである。EPMは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
エチレン−プロピレン共重合体ゴム中のエチレン成分含量は85〜40質量%が適当である。好ましくは80〜45質量%であり、さらに好ましくは75〜50質量%である。エチレン成分含量が少なすぎると、得られる樹脂組成物の柔軟性が不足し、多すぎる場合には機械的強度が低下する。
エチレン−プロピレン共重合体ゴムのムーニー粘度、ML1+4(100℃)は好ましくは10〜120、より好ましくは40〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が劣ることがある。また120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなることがあり、特に成形品の外観が悪化する。
用いられるエチレン−プロピレン共重合体ゴムの重量平均分子量は50,000〜1,000,000が好ましく、さらには70,000〜500,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が50,000未満の場合は、得られる組成物はゴム弾性が劣ることがある。また、重量平均分子量が1,000,000を越えるものを用いると成形加工性が悪くなり特に成形品の外観が悪化することがある。
エチレン−プロピレン共重合体ゴム((a3)成分)の配合量は熱可塑性樹脂成分(A)中、0〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜35質量%である。また上限を超えると力学的強度の低下を招く。
本発明の難燃性樹脂組成物においては(a1)成分〜(a3)成分の少なくとも1種が用いられ、それぞれ単独で使用してもよいし、これらを混合して使用してもよい。
ただし(a1)〜(a3)成分の合計が熱可塑性樹脂成分(A)中、20〜96.5質量%、好ましくは、30〜90質量%、さらに好ましくは40〜85質量%である。
(b)成分 芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物
本発明の成分(b)としては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の水素添加物であって、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
また、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
芳香族ビニル化合物含有量は、(b)成分中60質量%以下が好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。この量が多すぎると柔軟性が著しく低下する。
上記した構造を有する本発明に供する(水添)共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000、特に好ましくは10,000〜400,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。(水添)共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
成分(b)+(d)が熱可塑性樹脂成分(A)中37質量%を超えると得られる組成物は硬くなり、流動性も悪化する。その際、熱可塑性樹脂成分(A)中において成分(b)0〜36.5質量%かつ成分(d)0.5〜25質量%であることが必要である。
本発明中、(b)成分の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)中、0〜36.5質量%、好ましくは0.5〜36質量部、より好ましくは1〜36質量部であり、(b)成分が上限を超えると硬くなったり、流動性の低いものになったりする。
(c)ポリプロピレン樹脂
本発明に用いることのできるポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体が挙げられる。
このうち、ランダム共重合体はプロピレン、エチレンなどのモノマーがランダムに共重合されたものであり、質量%表示で0.5〜10質量%の製品が一般的である。また、ブロック共重合体は結晶性ポリプロピレン成分とポリオレフィン系共重合ゴムとの混和物であり、質量%表示で0.5〜50質量%の製品が一般的である。なかでもゴムが多いものは、リアクターTPOとも呼ばれるものである。
この(c)成分のポリプロピレン樹脂は、本発明において熱可塑性樹脂成分(A)を加熱混練して部分架橋物として製造するに際して、その一部を加熱混練後に配合することもできる。
加熱混練前に(A)に配合したポリプロピレン樹脂は、その後の加熱混練で、(e)成分の存在により熱分解して適度に低分子量化する。
加熱混練前に配合するポリプロピレン樹脂としては、MFR(ASTM‐D‐1238、L条件、230℃)が好ましくは0.1〜10dg/分、より好ましくは0.1〜5dg/分、さらに好ましくは0.1〜3dg/分のものを用いる。
ポリプロピレン樹脂のMFRが0.1dg/分未満では、熱処理後でもポリプロピレン樹脂の分子量が充分に低下せず、得られる樹脂組成物の成形性が悪くなることがあり、一方、MFRが10dg/分を越えると、低分子量となりすぎて、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化することがある。
加熱混練後に配合する場合のポリプロピレン樹脂としては、被覆層を形成する押出し時の条件に合致するものであればよく、MFRが好ましくは5〜200dg/分、より好ましくは8〜150dg/分、更に好ましくは10〜100dg/分のものを用いる。
加熱混練後に配合する場合、ポリプロピレン樹脂のMFRが5dg/分未満では、得られる樹脂組成物の成形性が悪くなることがあり、MFRが200dg/分を越えると、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化することがある。
(c)成分の配合量は(A)中、3〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜45質量%である。この(c)成分の配合量が多すぎると、電線が著しく硬くなって二次加工が困難となり、また伸びが著しく低下し、少なすぎるとストレスクラック性が低下したり、耐熱性が低下したりする。
(d)成分 不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物としては、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物及びランダム共重合体の水素添加物の不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、これらを併せて不飽和カルボン酸等という)による変性物が挙げられる。また、ここで、上記共重合体中、芳香族ビニル化合物成分と共役ジエン化合物成分は全体の60質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などを挙げることができる。これらの変性は、例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物と不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。マレイン酸による変性量は通常0.1〜15質量%程度である。
本発明の難燃性樹脂組成物において、この不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物には、得られる樹脂組成物の伸びを大きくすると共に強度を保持する効果があり、さらに体積固有抵抗を高く保つことが可能となる。さらに不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物を使用することにより、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂の場合と異なり柔軟性を保持しつつ、強度を向上することが出来る。加えて不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂を使用すると耐候性は低下してしまうが、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物を使用すれば、耐候性を維持しつつ強度、伸びを向上することが可能となる。
また不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物は、金属水和物による機械特性の低下を緩和する効果や電線の白化を防ぐ効果もある。
成分(b)+(d)が熱可塑性樹脂成分(A)中37質量%を超えると得られる組成物の流動性が悪化し、硬くなる。その際、熱可塑性樹脂成分(A)中において成分(b)0〜36.5質量%かつ成分(d)0.5〜25質量%であることが必要である。
(d)成分の配合量は(A)中、0.5〜25質量%、好ましくは1質量%以上かつ15質量%未満、より好ましくは1質量%以上かつ12質量%以下である。この(d)成分の配合量が上限を超えると引張伸びや柔軟性の低下、更には電線の押し出し特性が大幅に低下することがある。
(e)成分 有機パーオキサイド
本発明で用いられる有機パーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
有機パーオキサイド(e)の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、0.001〜1.0質量部の範囲であり、好ましくは0.01〜0.5質量部である。有機パーオキサイドをこの範囲内に選定することにより、架橋が進みすぎることがないので、ブツも発生することなく押し出し性に優れた部分架橋組成物が得られる。
(f)成分 (メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤
本発明の難燃性樹脂組成物またはそれに用いる熱可塑性樹脂成分(A)の製造においては、有機パーオキサイドの存在下で架橋助剤を介して成分(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b)、(d)との間で部分架橋構造を形成する。その際使用される架橋助剤としては、一般式
Figure 2005336252
(ここで、RはHまたはCHであり、nは1〜9の整数である。)
で表される(メタ)アクリレート系架橋助剤が挙げられる。ここで(メタ)アクリレート系架橋助剤とはアクリレート系およびメタアクリレート系架橋助剤をさす。具体的には、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートが挙げられる。
その他にもジアリルフマレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレートのような末端にアリル基を有するものを使用することができる。
以上の中でも特にnが1〜6の(メタ)アクリレート系架橋助剤が好ましく、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレートを挙げることができる。
特に、本発明においては、トリエチレングリコールジメタクリレートが、取扱いやすく、他の成分との相溶性が良好であり、かつパーオキサイド可溶化作用を有し、パーオキサイドの分散助剤として働くため、加熱混練時の架橋効果が均一かつ効果的で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた部分架橋熱可塑性樹脂が得られるため、最も好ましい。このような化合物を使用することにより、架橋不足にも架橋過度にもならず、加熱混練時に均一かつ効率的な部分架橋反応が期待できる。
本発明で用いられる架橋助剤の添加量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、0.03〜2.5質量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.6質量部である。架橋助剤をこの範囲内に選定することにより、架橋が進みすぎることなく架橋密度の低い部分架橋構造となり、ブツも発生することなく押し出し性に優れた組成物が得られる。架橋助剤の配合量は、質量比で有機パーオキサイドの添加量の約1.5〜4.0倍とすることが好ましい。
(e)成分のパーオキサイドと(f)成分の架橋助剤を加えることにより、混練り時に部分的な架橋が生じ,PVC並みの耐熱性を保持できることが可能となる。さらに(a)成分と(b)成分の直接的な結合や(B)成分の架橋性のシランカップリング剤を介しての結合を生じることにより、高い強度、耐外傷性を得るとともに、PVC並みの端末加工性を維持することができる。特にこの架橋成分中に(b)成分が加わることにより、PVCと同様な外観を得つつ、たとえばコードや機器用電線の場合においては優れた端末加工性を得ることが出来る。(b)成分の配合により、PVC電線と同様の滑り性を有することができ、自動加工機においてもPVCと同等の加工処方によって加工が可能となる。
(B)金属水和物
本発明において用いられる金属水和物としては、特に限定はしないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する化合物を単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。金属水和物は少なくとも一部がシランカップリング剤で処理されていることが必要であるが、表面処理されていない無処理の金属水和物や脂肪酸等他の表面処理剤で処理した金属水和物を適宜併用することができる。
また上記金属水和物の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を末端に有するシランカップリング剤、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤などの架橋性のシランカップリング剤が好ましい。またこれらのシランカップリング剤は2種以上併用してもよい。
このようなシランカップリング剤の中でも、末端にエポキシ基および/またはビニル基、(メタ)アクロイル基、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく、さらに末端にエポキシ基および/またはビニル基、(メタ)アクロイル基を有するものが好ましい。これらは1種単独でも、2種以上併用して使用してもよい。
本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとしては、表面無処理のもの(市販品としては、キスマ5(商品名、協和化学社製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(キスマ5A(商品名、協和化学社製)など)、リン酸エステル処理されたものなどを上記シランカップリング剤により表面処理したもの、またはシランカップリング剤によりすでに表面処理された水酸化マグネシウムの市販品(キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学社製)など)、ファインマグMO−E(商品名、TMG製)がある。
また、上記以外にも、予め脂肪酸やリン酸エステルなどで表面の一部が前処理された水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムに、さらにビニル基やエポキシ基等の官能基を末端に有するシランカップリング剤を用い表面処理を行った金属水和物なども用いることができる。
金属水和物をシランカップリング剤で処理する場合には、予めシランカップリング剤を金属水和物に対してブレンドして行うことが必要である。このときシランカップリング剤は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には金属水和物に対し0.2〜2質量%が好ましい。シランカップリング剤は原液でもよいし、溶剤で希釈されたものを使用してもよい。
金属水和物の配合量は、本発明の樹脂組成物中、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、50〜300質量部である。本発明において(i)金属水和物が50質量部以上100質量部未満の場合は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してその25質量部以上を、また(ii)金属水和物が100質量部以上の場合はその少なくとも1/4をシランカップリング剤で前処理した金属水和物とすることにより、高い強度を保持しつつ、柔軟性に優れた材料を得ることが可能になる。
さらに熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、50〜300質量部であるが、より好ましくは(i)金属水和物が50質量部以上100質量部未満の場合は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してその25質量部以上を、また(ii)金属水和物が100質量部以上300質量部以下の場合はその少なくともその1/2量をシランカップリング剤で前処理した金属水和物とすることにより、加えて耐外傷性に優れ、高強度で端末加工性に優れた材料、電線を得ることができる。
通常のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂をベース樹脂として使用し、必要とされる難燃性を満足するために金属水和物を多量に加えてゆくと、機械強度の低下が非常に大きい。それに対して、本発明における熱可塑性樹脂成分(A)は、架橋密度が低く樹脂成分同士が(f)成分を介した部分架橋状態になっているのでフィラー受容性に優れ、このような熱可塑性樹脂成分(A)をベース樹脂として使用した場合は金属水和物を多量に配合することが可能になる。その中でもシランカップリング剤で処理された金属水和物を特定量配合した場合に限り、シランカップリング剤を介して成分(A)のベース樹脂と成分(B)の金属水和物が相互作用を有するため機械的強度の低下は最小限に抑制され、屈曲させた際に白化を生じにくく、配線材の被覆材料や成形部品等として満足する特性が得られる。
本発明の樹脂組成物の加熱・混練時の反応機構の詳細についてはまだ明確ではないが、以下のように考えられる。すなわち本発明における熱可塑性樹脂成分(A)は、加熱・混練されると(e)成分の存在下、(f)成分を介して(a1)〜(a3)成分、(b)成分、(d)成分が架橋される。一方、(c)成分が(e)成分の作用で、適度に低分子量化することにより樹脂組成物の溶融粘度を適度に調整することができる。この結果、組成物全体としては押出性に優れた架橋物となる。本発明の組成物の架橋は、少量の(e)成分の存在下で行わせることもあり、通常の架橋と比較して架橋点が少ないことから、部分架橋と称することができる。
この難燃性樹脂組成物の架橋度は、目安として、熱可塑性樹脂成分(A)のゲル分率によって表すことができる。ゲル分率は、試料1gを100メッシュ金網に包み、ソックスレー抽出機を用い、沸騰キシレン中で10時間抽出した後、試料1gに対する残留固形分の質量の割合で表すことができる。
本発明において架橋度は、ゲル分率で好ましくは30〜45質量%、更に好ましくは40〜45質量%、である。
熱可塑性樹脂成分(A)に金属水和物を充填する場合には、(e)成分および(f)成分と同時に、シランカップリング剤で処理された金属水和物を特定量配合した場合に限り、成形時の押し出し加工性を損なうことなく金属水和物を多量に配合することが可能になり、高度の難燃性および柔軟性を有しながらも耐熱性、および機械特性を併せ持つとともに、使用後の再押し出しができリサイクル可能な難燃性樹脂組成物を得ることができる。
シランカップリング剤で処理された金属水和物が作用する機構についても詳細はまだ明確ではないが、以下のように考えられる。すなわちシランカップリング剤で処理することにより金属水和物表面に結合したシランカップリング剤は、一方のアルコキシ基が金属水和物と結合し、もう一方の末端に存在するビニル基やエポキシ基をはじめとする各種の反応性部位は(a1)〜(a3)成分、(b)成分、(d)成分の未架橋部分と結合する。これにより、押し出し成形性を損なうことなく金属水和物を大量に配合することが可能になるとともに、樹脂と金属水和物の密着性が強固になり、機械強度および耐摩耗性が良好で、傷つきにくい難燃性樹脂組成物が得られる。
この架橋をする際、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された樹脂を配合することにより強度を増幅することが可能となるが、耐候性を低下させたり、柔軟性を著しく低下させたりする問題がある。本発明の特定量の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物をベース材料に配合することにより、伸びを保持しつつ強度を増幅し、耐候性、柔軟性を保持することが可能となる。またこの特定量の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物を配合することにより、電線の端末カッティング性を大幅に向上させる働きがある。耐候性の改良効果は特にポリプロピレンがベース材料として多い場合に顕著であり、高い耐候性を維持することが出来る。
本発明においてメラミンシアヌレートを加えることにより難燃性を向上させることができる。
本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物は、粒径が細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えばMCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学社製)や、Chemie Linz Gmbhより上市されているものがある。また脂肪酸で表面処理されたメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC610、MC640(いずれも商品名、日産化学社製)などが挙げられる。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば以下のような構造のメラミンシアヌレートが挙げられる。
Figure 2005336252
本発明においてメラミンシアヌレート化合物の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して3〜70質量部、好ましくは5〜40質量部である。メラミンシアヌレート化合物が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、電線としたときの外観が悪くなる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛およびヒドロキシスズ酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合することができ、さらに難燃性を向上させることができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を飛躍的に向上させることができ、高度の難燃性を付与することができるようになる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
本発明においてホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛またはヒドロキシスズ酸亜鉛の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部である。その量が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、電線としたときの外観が悪くなる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、電線、ケーブル、コード、チューブ、電線部品、シート等において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
さらに難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
特に、シリコーンゴム、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物は、難燃性を付与、向上させるだけでなく、電線・コードにおいては、絶縁体(前記難燃性樹脂組成物を含んでなる被覆層)と導体の密着力の制御をおこなったり、ケーブルにおいては、滑性を付与することで、外傷を低減させる効果がある。このような本発明で用いられるシリコーン化合物の具体例としては、「SFR−100」(商品名、GE社製)、「CF−9150」(商品名、東レ・ダウシリコーン社製)などの市販品が挙げられる。
添加する場合、シリコーン化合物は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部配合される。0.5質量部より少ないと難燃性や滑性に対して実質的に効果がなく、5質量部を越えると電線・コード・ケーブルの外観が低下したり、押出成形速度が低下し量産性が悪くなる場合がある。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で前記添加物や他の樹脂を配合することができるが、少なくとも前記熱可塑性樹脂成分(A)を主樹脂成分とする。ここで、主樹脂成分とするとは、本発明の難燃性樹脂組成物の樹脂成分中、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは樹脂成分の全量を前記熱可塑性樹脂成分(A)が占めることを意味する。ここで、熱可塑性樹脂成分(A)中、成分(a1)〜(a3)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ前記規定範囲内の使用量を有し、熱可塑性樹脂成分(A)は成分(a)〜(d)の合計量で100質量%となる。
以下、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法を説明する。
成分(a)〜(d)、金属水和物(B)、並びに成分(e)及び成分(f)を加え、加熱混練する。混練温度は、好ましくは160〜240℃であり、混練温度や混練時間等の混練条件は、樹脂成分(a)〜(d)が溶融し、有機パーオキサイドが作用して必要な部分架橋が実現できるに十分な程度に、適宜設定できる。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、装置としては例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された難燃性樹脂組成物を得ることができる。
配合される金属水和物のうちシランカップリング剤で処理した金属水和物は予めシランカップリング剤で処理しておくことが重要である。予め表面処理を行った金属水和物を使用することにより、難燃性を確保するだけの十分な量の金属水和物を配合することが可能となり、特に機械強度および耐摩耗性が良好で、傷つきにくい難燃性樹脂組成物が得られる。
その他の方法として、まず第1工程で成分(a)〜(d)を加熱混練し、熱可塑性樹脂成分(A)を得る。第2工程で、第1工程で得られた熱可塑性樹脂成分(A)に、成分(e)、(f)、および金属水和物(B)を加えて加熱混練する。このときの温度は、好ましくは160〜240℃であり、この場合も混練温度や混練時間等の混練条件は、熱可塑性樹脂成分(A)が溶融し、含有させた有機パーオキサイドが部分架橋に十分に使用されるように、適宜設定することができる。
このように成分(a)〜成分(d)を予め加熱混練してミクロな分散をさせてから、成分(e)および(f)を加えて加熱混練してもよい。この場合も表面処理した金属水和物を使用する場合には、配合する前に予め表面処理を終えておく必要がある。
本発明の難燃性樹脂組成物は電気・電子機器の内部および外部配線に使用される配線材や光ファイバ心線、光ファイバコードなどの成形部品被覆、製造に適する。
本発明の難燃性樹脂組成物を配線材の被覆材として使用する場合には、好ましくは押出被覆により、導体の外周に形成した少なくとも1層の前記本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有すること以外、特に制限はない。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線などの公知の任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。
本発明の成形物品が電線などの配線材である場合は、本発明の難燃性樹脂組成物を、汎用の押出被覆装置を用いて、導体周囲や絶縁電線周囲に押出被覆することにより製造することができる。このときの押出被覆装置の温度は、シリンダー部で約180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
本発明の配線材においては、導体の周りに形成される絶縁層(本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.15mm〜5mm程度である。
また、本発明の配線材においては、部分架橋物である本発明の難燃性樹脂組成物を押出被覆してそのまま被覆層を形成することが好ましいが、さらに耐熱性を向上させることを目的として、押出後の被覆層を架橋させることも可能である。但し、この架橋処理を施すと、被覆層の押出材料としての再利用は困難になる。
架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、本発明の難燃性樹脂組成物を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する難燃性樹脂組成物に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は、難燃性樹脂組成物に有機パーオキサイドを架橋剤として配合し、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
本発明の成形部品としては、その形状は制限されるものではなく、例えば、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート等を挙げることができる。本発明の成形部品は、通常の射出成形等の成形方法により本発明の難燃性樹脂組成物から成形される。
またシートやチューブ等についても電線被覆と同様な方法で押し出し可能である。また電線と同様、化学架橋法や電子線架橋法により架橋を行ってもよい。
また、本発明の成形部品として、例えば電線部品等の射出成形品を得る場合は、シリンダー温度220℃程度、ヘッド温度230℃程度で射出成形可能である。射出成形装置としては通常のPVC樹脂等の成形に用いられている射出成形機を用いることにより、成形可能である。
本発明の成形物品が、光ファイバ心線または光コードである場合は、汎用の押出被覆装置を使用して、本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として、光ファイバ素線の周囲に、または抗張力繊維を縦添えもしくは撚り合わせた光ファイバ心線の周囲に押出被覆することにより、製造することができる。このときの押出被覆装置の温度は、シリンダー部で180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
本発明の光ファイバ心線は、用途によってはさらに周囲に被覆層を設けないでそのまま使用される。
なお、本発明の光ファイバ心線またはコードは本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として、光ファイバ素線または心線の外周に被覆されたものすべてを包含し、特にその構造を制限するものではない。被覆層の厚さ、光ファイバ心線に縦添えまたは撚り合わせる抗張力繊維の種類、量などは、光ファイバコードの種類、用途などによって異なり、適宜に設定することができる。
図1〜3に、本発明の光ファイバ心線およびコードの構造例を示す。
図1は、光ファイバ素線1の外周に直接、難燃性樹脂組成物からなる被覆層2を設けた本発明の光ファイバ心線の一例の断面図である。
図2は、複数の抗張力繊維4を縦添えした1本の光ファイバ心線3の外周に被覆層5を形成した本発明の光ファイバコードの一例の断面図である。
図3は、2本の光ファイバ心線3および3の外周にそれぞれ複数の抗張力繊維4を縦添えし、さらにその外周に被覆層6を形成した本発明の光ファイバコード(光ファイバ2心コード)の一例の断面図である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、数字は特に記載がない場合、質量部を示す。
表1〜3に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて220℃にて溶融混練して、樹脂組成物を用意した。
また実施例2については有機パーオキサイド以外をドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて170℃で溶融混練りした後に、ペレット化を行った後に、有機パーオキサイドと共に2軸押し出し機により220℃にて混練りをして樹脂組成物を準備した。
得られた樹脂組成物を用い、1mm、3mm厚のシートを作成し、JIS K 6723に基づき、伸び(EL)、抗張力(T.S.)、硬度、比重を測定した。
次に、表1においては電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:0.95mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:30本/0. 18mmφ)上に、あらかじめ溶融した絶縁被覆用の樹脂組成物を押出被覆して、各実施例、比較例に対応する外径2.74mmの絶縁電線を製造した。
また表2および3においては電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:0.95mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0. 16mmφ)上に、あらかじめ溶融した絶縁被覆用の樹脂組成物を押出被覆して、各実施例、比較例に対応する外径0.98mmの絶縁電線を製造した。
得られた各絶縁電線について、引張特性、耐候性、難燃性(水平燃焼試験)、柔軟性、外観の結果を表1〜3に併せて示した。
引張特性は、各絶縁電線の絶縁体(被覆層)の強度(抗張力)(MPa)と破断伸び(%)を、標線間隔25mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。伸び(EL)は100%以上、強度(T.S.)は10MPa以上必要である。
難燃性は、各絶縁電線について、JIS C 3005に規定される水平燃焼試験をおこない、30秒以内で自消したものを合格とし、30秒以内に自消しなかったものを不合格とした。
耐候性はサンシャインウエザーメータにおいて2000時間暴露した後の伸び残率(EL残率)と引張強さ残率(T.S.残率)を示した。ブラックパネル温度63℃、降雨なしで評価した。
柔軟性試験は導体を抜いた後に電線を120mmに切断し、先端に20gのおもりをつけ電線部分100mmたわみ量を測定した。
表中に示す各化合物としては下記のものを使用した。
(EVA(VA=33))
製造会社:三井デュポンポリケミカル
商品名:EV−170
種類:エチレン・酢酸ビニル共重合体;(a−2)成分
VA成分含有量:33質量%
MFR:1dg/分
(ME−PE(0.880))
製造会社:日本ポリエチレン
商品名:カーネルKF360
種類:メタロセンポリエチレン
MFR:3.5dg/分、密度:898kg/m、コモノマー:ヘキセン−1
(B−PP)
製造会社:出光石油化学
商品名:150GK
種類:ブロックポリプロピレン
融点:160℃
MFR:0.6dg/分
(MAH−SEBS)
製造会社:クレイトンポリマージャパン社製
商品名:1901FX
種類:マレイン酸変性スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体
マレイン酸変性量:1.7質量%
スチレン含有量:28質量%
MFR 22dg/分(200℃/5kg)
(MAH−PE)
製造会社:三井化学
商品名:XE070
種類:マレイン酸変性ポリエチレン
融点:87℃、MFR:1.0dg/分、密度:910kg/m
(SEPS)
製造会社:クラレ
商品名:SEPS4077
種類:SEEPS
スチレン含有量:30質量%
数平均分子量:260,000
重量平均分子量:320,000
(OIL)
製造会社:出光興産
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90
種類:パラフィンオイル
重量平均分子量: 540
芳香族成分の含有量: 0.1%以下
動的粘度(37.8℃):95cSt
流動点:−15℃
引火点(COC):270℃
(PE−WAX)
製造会社:堺化学株式会社
商品名:LBT−77
種類:ポリエチレン系ワックス
(B)成分
(キスマ5P)
製造会社:協和化学
商品名:キマス5P
種類:シランカップリング剤によりすでに表面処理された水酸化マグネシウム;
(T−111)
製造会社:チバスペシャルティケミカルズ
商品名:チヌビン111
種類:ヒンダードアミン光安定化剤
(P−25B)
製造会社:日本油脂
商品名:パーヘキサ25B
種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン; (e)成分
(NKエステル3G)
製造会社:新中村化学
商品名:NKエステル3G
種類:トリエチレングリコールジメタクリレート;(f)成分
(EP07P)
製造会社:JSR
商品名:EP07P
種類:エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPM)
エチレン成分含有量:73質量%
ムーニー粘度、ML1+4(100℃):70
(EL−45LX)
製造会社:三井デュポンポリケミカル
商品名:EV45LX
種類:エチレン酢酸ビニル共重合体(VA含有量45%)
MFR:2.5dg/分
Figure 2005336252
Figure 2005336252
Figure 2005336252
表1〜3から解るように、比較例1、2、4および5の電線は耐候性EL残率および柔軟性が劣るものとなった。また、比較例3では硬く、ELが劣るものとなった。また、比較例6および7の電線では、強度が必要な値を満たすことができなかった。これに対し、実施例の電線はいずれも、引張特性、耐候性、難燃性、柔軟性の全てに優れている事がわかる。
本発明の光ファイバ心線の一例の断面図である。 本発明の光ファイバコードの一例の断面図である。 本発明の光ファイバコード(光ファイバ2心コード)の一例の断面図である。
符号の説明
1 光ファイバ素線
2 被覆層
3 光ファイバ心線
4 抗張力繊維
5 被覆層
6 被覆層

Claims (8)

  1. (a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体20〜96.5質量%、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0〜36.5質量%、(c)ポリプロピレン樹脂3〜50質量%、並びに(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物0.5〜25質量%、(ただし成分(b)+成分(d)が37質量%以下であること)を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(e)有機パーオキサイド0.001〜1質量部、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤0.03〜2.5質量部、並びに金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、前記金属水和物(B)は、
    (i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が25質量部以上;
    (ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも1/4が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練し、有機パーオキサイドの存在下で部分架橋されてなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記架橋助剤(f)が、一般式
    Figure 2005336252
    (ここで、RはHまたはCHであり、nは1〜9の整数である。)
    で表される(メタ)アクリレート系架橋助剤であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記金属水和物(B)が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. シランカップリング剤が、末端にビニル基、(メタ)アクロイル基、アミノ基、およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1種を有するシラン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体、または光ファイバ素線または/および光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形部品。
  7. (a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体、(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(c)ポリプロピレン樹脂、(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(e)有機パーオキサイド、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤、並びに金属水和物(B)を同時に、前記樹脂成分(a)〜(f)の溶融温度以上で加熱・混練し、部分架橋処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  8. 第一工程として(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、(c)ポリプロピレン樹脂、(a1)エチレン・α−オレフィン共重合体、(a2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a3)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体、並びに(d)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(e)有機パーオキサイド、(f)(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤、並びに金属水和物(B)を、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練し、部分架橋処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
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