JP2005335109A - 耐熱透明バリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチック材料からなる基材の少なくとも一方の面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した前処理を施し、さらに厚さ5〜100nmのAlxOy(1.5<(y/x)<=3.0)からなる高酸化アルミニウム化合物蒸着層を設けることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また安全面、利便性などを考慮すると、透明な耐熱水バリア包装材料が強く要望されている。
密着性の劣化は、基材最表面に偏在する表面弱結合層(Weak Boundary Layer (WBL))やPETであれば加水分解層などの上に、酸化アルミニウム蒸着がなされているため、この界面にて耐水性十分な化学的結合が得られていないことが考えられる。
ガスバリア性の劣化は、酸化アルミニウム蒸着膜の酸化度が十分で無いことに由来するものと考えられる。一般に酸化アルミニウム蒸着膜中には、酸化度の不十分な酸化アルミニウム(アルミリッチ層)が偏在すると考えられている。このアルミリッチ層が熱水処理時に後酸化され、体積膨張を起こし、蒸着膜にクラックを生じさせることが、バリア劣化の一因となると考えられている。
いバイアスの電圧を得ようとすると、プラズマのモードがグローからアークへと変化するため、大面積に均一な処理を行うことは出来ない。
び/またはその加水分解物および/またはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項記載の耐熱透明バリアフィルムとしたものである。
上記発明に依れば、プラスチック基材と蒸着膜の密着を強化し、また蒸着膜の膜質自体を最適にコントロールすることで、レトルト処理などの殺菌処理時によっても性能が劣化しない耐熱透明バリアフィルムを提供することが出来る。
ィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類が挙げられる。以上の材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つ材料も挙げられる。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこの基材の蒸着層が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
<比較例1>
基材へのRIEによる前処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。
<比較例2>
酸化アルミニウムの組成がAlxOy(y/x=1.2)の組成以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。
(1)液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液
(2)液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
この溶液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.4μmの複合被膜層を形成した。
<評価1>
レトルト処理後の酸素透過率…
上記積層サンプルを用いて4方パウチを作製し、内容物として水道水を充填したサンプルを、121℃30分のレトルト処理に掛けた。
この処理後、サンプルから水を抜き取り、積層サンプルのレトルト処理後の酸素透過度を、モダンコントロール社製(MOCON OXTRAN 10/50A)を用いて、30℃−70%RH雰囲気下で蒸着工程後のフィルムを測定した。
この測定は、レトルト処理後、24時間以内に行った。
結果を表1に示す。
<評価2>
レトルト処理後のラミネート強度…
上記レトルト処理後の積層サンプルの蒸着フィルム/延伸ナイロン間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS Z1707準拠)。但し、測定の際に測定部位を水で湿潤させながら行った。結果を表1に示す。
[表1]
酸素透過度 ラミネート強度
(cc/m2.Day.atm) (N/15mm)
実施例1 1.2 2.5
実施例2 1.4 2.8
比較例1 2.9 0.1
比較例2 4.5 2.2
この評価の結果、本願発明の耐熱透明バリアフィルムは、酸素透過度が従来のものに比べ減少せず、ラミネート強度も劣化せず、ラミネート処理によるガスバリア性や密着性の劣化が改善された耐熱性バリアフィルムである。
2…無機酸化物蒸着層
3…複合被膜層
4…RIEによる前処理面
Claims (10)
- プラスチック材料からなる基材の少なくとも一方の面に、厚さ5〜100nmのAlxOy(1.5<(y/x)<=3.0)からなる高酸化アルミニウム化合物蒸着層を設けることを特徴とする耐熱透明バリアフィルム。
- プラスチック材料からなる基材の少なくとも一方の面に、厚さ5〜100nmのAlxOy(y/x=1.9〜2.4)からなる高酸化アルミニウム化合物蒸着層を設けることを特徴とする耐熱透明バリアフィルム。
- 蒸着層を設ける前に、プラスチック基材面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した前処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱透明バリアフィルム。
- RIEによる前処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いて行う、もしくは引き続きこれらのガスまたは混合ガスを連続して用いて行う処理であることを特徴とする、請求項3記載の耐熱透明バリアフィルム。
- RIEによる前処理が、その自己バイアス値を200V以上2000V以下とし、またEd=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s/m2以上10000V・s/m2以下である低温プラズマによる処理であることを特徴とする、請求項3〜4いずれか1項記載の耐熱透明バリアフィルム。
- 前記RIEによる前処理と蒸着が、同一製膜機にて行われることを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の耐熱透明バリアフィルム。
- プラスチック材料がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項記載の耐熱透明バリアフィルム。
- 前記蒸着層の上に水溶性高分子化合物、金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物および/またはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項記載の耐熱透明バリアフィルム。
- 前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする、請求項8記載の耐熱透明バリアフィルム。
- 前記金属アルコキシドが、シランアルコキシドであることを特徴とする、請求項8または9記載の耐熱透明バリアフィルム。
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