JP2005354431A - 順序論理回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 3ビット6状態の信号を伝送する際に、信号の最小反転間隔を長くする。
【解決手段】 3ビット6状態の信号がNAND回路A67、A68及びA69の第1の入力端に、3ビットの各ビット毎に入力される。回路A67の出力が回路A68の第3の入力端及び回路A69の第2の入力端に入力され、回路A68の出力が回路A67の第3の入力端及び回路A69の第3の入力端に入力され、回路A69の出力が回路A67の第2の入力端及び回路A68の第2の入力端に入力される。3入力のうち2つが"0"で入力に対応する反転信号を出力し、3入力の"0"が2個から1個に変化すると、直前の状態をホールドし、3入力の"0"が1個から2個に変化すると、入力に対応する反転信号を出力する。入力状態の2回の遷移まで、出力状態をホールドでき、(0,1,1)、(1,0,1)および(1,1,0)の、安定的な3状態が得られる。
【選択図】 図2
【解決手段】 3ビット6状態の信号がNAND回路A67、A68及びA69の第1の入力端に、3ビットの各ビット毎に入力される。回路A67の出力が回路A68の第3の入力端及び回路A69の第2の入力端に入力され、回路A68の出力が回路A67の第3の入力端及び回路A69の第3の入力端に入力され、回路A69の出力が回路A67の第2の入力端及び回路A68の第2の入力端に入力される。3入力のうち2つが"0"で入力に対応する反転信号を出力し、3入力の"0"が2個から1個に変化すると、直前の状態をホールドし、3入力の"0"が1個から2個に変化すると、入力に対応する反転信号を出力する。入力状態の2回の遷移まで、出力状態をホールドでき、(0,1,1)、(1,0,1)および(1,1,0)の、安定的な3状態が得られる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、順序論理回路に関し、特に、少なくとも3通りの安定状態を持つ順序論理回路に関する。
一般に、コンピュータ装置と周辺機器との間のデータ伝送やマルチプロセッサ間のデータ伝送、ディジタルビデオ信号の伝送などには、伝送路の数を少なくするために、ディジタルデータをシリアルデータに変換して伝送するシリアル伝送が広く採用されている。このシリアル伝送方式を伝送系に採用する場合、伝送路を介して伝送される、"0"および"1"の情報ビットで表されるディジタルデータを受信側で正しく再生するためには、送信側での情報ビットの送り出しタイミングを示すクロックが必要とされる。
シリアル伝送によってデータおよびクロックを伝送する場合、データとクロックとを別々に伝送する方式と、データとクロックとを時間的に合成して伝送する方式とが考えられる。データとクロックとを別々に伝送する方式では、少なくとも4本の伝送路が必要となる。一方、データとクロックとを合成して伝送する方式では、伝送路は、2乃至3本で済み、データとクロックとを別々に伝送する方式に比べ、有利である。
また、2本の伝送路を用いてデータとクロックとを時間的に合成して伝送する方式(以下、2線式と呼ぶ)としては、マンチェスタ符号化と呼ばれる符号化方式により、クロックをデータと共に符号化して、共通の伝送路を介して伝送する方式が既に実用化されている。この従来の2線式では、クロック再生のためにPLL(Phase Locked Loop)を必要とし、復調手段のハードウェアが複雑になる。また、より高速な通信速度が要求されるような場合、PLLがクロック周波数に追従できずにクロックを再生できなくなるという欠点があった。
3本の伝送路を用いる方式(以下、3線式と呼ぶ)では、データおよびクロックを、1乃至2個の"0"および1乃至2個の"1"からなる3ビットの信号で表現する。3線式では、3本の伝送路に伝送されるこれらの3本の信号の状態遷移によって、データおよびクロックを検出する。復調側では、PLLを用いる必要がないので、上述の2線式と比べ、より高速な通信を行うことが可能である。
一方、3線式では、伝送路の信号がバランスしていないので、信号の変化点でEMI(Electro-Magnetic Interference)などの問題を引き起こす可能性が高い。例えば、3本の伝送路による3ビットの信号が"100"から"011"に変化するときに、EMIなどの問題が発生し易い。これを回避するためには、3本の伝送路に伝送される信号の電圧の合計が、信号が変化する前後で一定値になるように、符号化を行えばよい。これには、信号の状態が"0"および"1"の2状態では対応できないため、3種類の電圧を用意する。以下、このような信号を、3値3差動論理信号と呼ぶ。
特許文献1には、3値3差動倫理信号を用いてデータ伝送を行うデータ伝送方法および伝送装置が記載されている。この特許文献1によれば、3本の伝送路を用い、3ビット6種類の状態遷移を利用してディジタルデータの伝送を行う。図8は、ここで扱われる、2値論理に基づく3ビット6状態遷移を示す。3ビットで表現される状態のうち、3ビットの全てが同値になる場合を除いた6状態が、図8において右回りまたは左回りに状態遷移する。
特許第3360861号
このような、3ビットで表される6状態のうち1ビットのみの変化によって遷移が起こる状態遷移を入力する場合に、入力信号の最小反転間隔を延長することができれば、状態遷移のサンプリングをより容易に行うことが可能となる。
入力信号の最小反転間隔を延長する従来技術としては、例えば、文献(1)「Principles of Asynchronous Circuit Design, A Systems Perspective (KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS)」に記載される、ミラーのCエレメント(The Muller C-element)と呼ばれる論理回路がある。図9は、このミラーのCエレメントの実装例を示す。この例では、Cエレメントが2つのAND回路A13およびA15と、2つのOR回路A14およびA16で構成され、2ビットの入力が入力端N11およびN12からAND回路A13およびOR回路A14の一方および他方の入力端にそれぞれ供給される。AND回路A13の出力がOR回路A16の一方の入力端に供給されると共に、OR回路A14の出力がAND回路A15を介してOR回路A16の他方の入力端に供給される。OR回路A16から出力が取り出され出力端N19に導出されると共に、OR回路A16の出力がAND回路A15の他方の入力端に供給される。このように構成されたCエレメントは、2ビットの入力を持ち、特定の状態においてセットされ、また特定の状態においてリセットされる順序論理回路である。
Cエレメントを用いた場合、2ビット入力の組み合わせで表される4状態のうち、2種類の状態遷移に関してデータをホールドすることができる。図10は、同時に1ビットのみが変化する場合の、Cエレメントの真理値表を示す。Cエレメントは、入力端N11およびN12の値が共に"0"で出力が"0"、入力端N11およびN12の値が共に"1"で出力が"1"とされ、入力端N11およびN12の値が異なるとき、出力が直前の入力に影響される。この図10の真理値表によれば、Cエレメントは、入力端N11およびN12に入力される"1"の個数が偶数の状態から奇数の状態に遷移したときに、出力端N19において直前の状態をホールドする。
より具体的には、入力端N11およびN12の値が共に"0"の状態から、入力端N11またはN12の値の何れかが"0"から"1"に遷移したとき、出力端N19の値が直前の状態"0"をホールドできる。同様に、入力端N11およびN12の値が共に"1"の状態から、入力端N11またはN12の値の何れかが"1"から"0"に遷移したとき、出力端N19の値が直前の状態"1"をホールドできる。
以上のことから、Cエレメントを用いると、2ビット4状態間の状態遷移に関して、信号の最小反転間隔を長くすることが可能である。しかしながら、Cエレメントは、2入力の回路(または素子)であり、3ビット6状態間で、入力側における1の個数の偶数個から奇数個への遷移および奇数個から偶数個への遷移に関して、直前の状態をホールドすることができないという問題点があった。
また、上述の文献(1)において、p.68のFig.5.10やp.69のFig.5.11には、3入力を可能としたCエレメントやその変形の構成が記載されている。ところが、これらは、全て出力を"1"から"0"にリセットできる状態は、3ビットからなる全入力が"0"となる1種類の状態のみであり、3ビット6状態の状態遷移のうち3種類の状態を相互に行き来することができないという問題点があった。
一方、文献(2)「田中宏昌、3状態フリップフロップ回路の試作、トランジスタ技術、CQ出版社、2003年6月、p.246−p.248」には、3状態を出力する順序論理回路の例が記載されている。図11は、この文献に記載される、3状態フリップフロップ回路の一例の構成を示す。この3状態フリップフロップ回路は、ダイオードD1およびD2、D3およびD4、D5およびD6、ならびに、ダイオードD7、D8およびD9によるOR回路およびAND回路、トランジスタTr1、Tr2およびTr3それぞれによるインバータからなる。図12は、図11の構成による真理値表を示す。
この図11に示される構成は、3通りの状態をホールドして出力することができる。しかしながら、複数個の"0"が入力された場合に、出力が不定となる。3ビットで6状態を入力するデータホールド回路でこのような組み合わせを使用しないことは不可能である。したがって、この図11に示される構成は、3ビットで表される6状態を入力する目的で使用することができないという問題点があった。
また、この3状態フリップフロップを用いた3状態ラッチとそれを2組、組み合わせた3進カウンタが上述の文献(2)に記載されている。図13は、この文献(2)に記載されている3進カウンタの構成を示す。図中、3FF(タイプP)は、図11で示した3状態フリップフロップであって、SET入力を"L"にすると対応する出力が"H"になる負理論入力、正理論出力型である。これに対し、3FF(タイプQ)は、タイプPに対応する、正理論入力、負理論出力型の構成である。この図13で示されるP型3状態ラッチは、図12の真理値表と同様に、イネーブル時に3ビットで表される6状態のうち3状態を入力すると、結果が不定となる。このため、この図13に示す構成も、グリッチなどにより、複数の"0"が一瞬でも同時的に入力されるような場合には、適さないという問題点があった。
したがって、この発明の目的は、3組の2値論理回路を用いて6種類の状態を伝送する際に、入力信号のサンプリングに先立って信号の最小反転間隔を長くすることができる順序論理回路を提供することにある。
この発明は、上述した課題を解決するために、第1、第2および第3の入力端をそれぞれ備える第1、第2および第3のゲート回路を有し、第1のゲート回路の出力が第2のゲート回路の第2の入力と第3のゲート回路の第3の入力とに接続され、第2のゲート回路の出力が第3のゲート回路の第2の入力と第1のゲート回路の第3の入力とに接続され、第3のゲート回路の出力が第1のゲート回路の第2の入力と第2のゲート回路の第3の入力とに接続され、第1、第2および第3のゲート回路それぞれの第1の入力端に3ビットで表される入力の各ビットがそれぞれ入力され、第1、第2および第3のゲート回路の出力から、3ビットで表される出力を取り出すようにしたことを特徴とする順序論理回路である。
また、この発明は、それぞれ2値論理の値であって、3ビットで表される6通りの状態の3ビットの各ビットがそれぞれ入力される第1、第2および第3の入力端と、それぞれ2値論理の値が出力される第1、第2および第3の出力端と、第1、第2および第3の入力端に入力される6通りの状態のうち3通りは、現在の入力状態により第1、第2および第3の出力端の現在の出力状態が決定され、6通りの入力状態のうち3通り以外の入力状態は、現在の入力状態と直前の入力状態により現在の出力状態が決定されるようにした出力状態決定手段とを有し、3ビットで表される6通りの状態の入力に対して、3ビットで表される3通りの状態を出力するようにしたことを特徴とする順序論理回路である。
上述したように、請求項1に記載の発明は、第1、第2および第3の入力端をそれぞれ備える第1、第2および第3のゲート回路を有し、第1のゲート回路の出力が第2のゲート回路の第2の入力と第3のゲート回路の第3の入力とに接続され、第2のゲート回路の出力が第3のゲート回路の第2の入力と第1のゲート回路の第3の入力とに接続され、第3のゲート回路の出力が第1のゲート回路の第2の入力と第2のゲート回路の第3の入力とに接続され、第1、第2および第3のゲート回路それぞれの第1の入力端に3ビットで表される入力の各ビットがそれぞれ入力され、第1、第2および第3のゲート回路の出力から、3ビットで表される出力を取り出すようにしているため、6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移する信号の、3ビットのそれぞれを3個のゲート回路にそれぞれ入力した場合に、状態遷移が2回発生するまで出力信号を保持することができ、信号の最小反転間隔を長くすることができる。
また、請求項9に記載の発明は、それぞれ2値論理の値であって、3ビットで表される6通りの状態の3ビットの各ビットがそれぞれ入力される第1、第2および第3の入力端と、それぞれ2値論理の値が出力される第1、第2および第3の出力端と、第1、第2および第3の入力端に入力される6通りの状態のうち3通りは、現在の入力状態により第1、第2および第3の出力端の現在の出力状態が決定され、6通りの入力状態のうち3通り以外の入力状態は、現在の入力状態と直前の入力状態により現在の出力状態が決定されるようにした出力状態決定手段とを有し、3ビットで表される6通りの状態の入力に対して、3ビットで表される3通りの状態を出力するようにしているため、6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移する信号の、3ビットのそれぞれを第1、第2および第3の入力端にそれぞれ入力した場合に、状態遷移が2回発生するまで第1、第2および第3の出力端の信号を保持することができ、信号の最小反転間隔を長くすることができる。
この発明は、3個の3入力NAND回路それぞれの出力を、自分自身以外の3入力NAND回路の第2および/または第3の入力端に接続して構成しているので、6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移する信号の、3ビットのそれぞれを3個の3入力NAND回路にそれぞれ入力した場合に、状態遷移が2回発生するまで信号を保持することができ、信号の最小反転間隔を長くすることができる効果がある。
また、この発明の実施の一形態の変形例では、上述の構成に加え、安定状態で出力値をホールドする回路を有しているため、イネーブル時には6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移が生じた際に、不定値が現れないようにすることができる効果がある。
以下、この発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明を適用可能な一例のシステム構成を示す。送信装置1に対して、例えばデータ幅が1ビットのシリアルディジタル信号3が入力される。このシリアルディジタル信号3は、送信装置1内のエンコーダ10で、3組の2値論理信号に変換される。このとき、エンコーダ10は、3組の2値論理信号からなる3ビットの信号が1乃至2個の"0"および1乃至2個の"1"からなるようにし、3ビットが同時に同値にならないように変換を行う。
エンコーダ10の出力は、ドライバ11に供給される。ドライバ11は、供給された3組の2値論理信号を、3値3差動論理信号に変換する。この3値3差動論理信号は、背景技術で既に説明したような、低レベル、中位レベルおよび高レベルの3種類の電圧を、3本の伝送路において必ず一つずつ用い、入力信号の状態の遷移の度に3個のうち2個を入れ替えるようにされた信号である。
ドライバ11から出力された3値3差動論理信号は、3本の伝送路からなる伝送路4を介して受信装置2に対して伝送される。受信装置2は、伝送された信号を受信し、レシーバ20に供給する。レシーバ20は、受信された信号から伝送路4に対して変動的に付加されるコモンモード電圧を除去する。そして、ドライバ11と逆の動作を行い、受信された3値3差動論理信号からクロックを抽出すると共に、この3値3差動論理信号を3組の2値論理信号に変換して出力する。レシーバ20の出力は、デコーダ21に供給される。デコーダ21では、供給された3組の2値論理信号を元の例えばデータ幅が1ビットのシリアルディジタル信号5に復号して、出力する。
上述のエンコーダ10およびデコーダ21において、この発明による3安定順序論理回路が用いられている。
図2は、この発明の実施の一形態による3安定順序論理回路50の一例の構成を示す。この3安定順序論理回路50は、3入力6状態に基づきデータをホールドする。3安定順序論理回路50は、3個の3入力NAND回路A67、A68およびA69からなり、入力端N61、N62およびN63に入力された3ビットの値が3入力NAND回路A67、A68およびA69の第1の入力端にそれぞれ供給される。また、3入力NAND回路A67の出力が3入力NAND回路A68の第3の入力端および3入力NAND回路A69の第2の入力端に入力される。3入力NAND回路A68の出力が3入力NAND回路A67の第3の入力端および3入力NAND回路A69の第3の入力端に入力される。同様に、3入力NAND回路A69の出力が3入力NAND回路A67の第2の入力端および3入力NAND回路A68の第2の入力端に入力される。
図3は、この3安定順序論理回路50の真理値表を示す。入力端N61、N62およびN63の、現在の入力(t)および直前の入力(t−1)による入力状態と、出力端N67、N68およびN69の出力状態との関係を示す。3安定順序論理回路50は、3ビットのうち"1"が1個または2個であるような6通りの状態を入力することが可能であり、そのうち1ビットの変化によってデータをホールドするデータホールド回路を構成する。なお、3ビット6状態の状態遷移は、背景技術で図8を用いて既に説明した状態遷移と共通する。また、以下では、入力端N61、N62およびN63に入力される入力値による入力状態、ならびに、出力端N67、N68およびN69から出力される出力値による出力状態を、(1,0,0)のように記述する。
3安定順序論理回路50は、入力端N61、N62およびN63の入力のうち何れか2つに値"0"が入力された場合には、出力端N67、N68およびN69に対して、対応する入力の反転信号を出力する。すなわち、図3の真理値表でも分かるように、(0,0,1)、(0,1,0)および(1,0,0)の3通りの入力状態では、現在の入力(t)の状態により現在の出力状態が決定される。
次に、入力端N61、N62およびN63の入力のうち何れか2つに入力された値"0"の何方かが値"0"から値"1"に変化し、入力端N61、N62およびN63に入力される値"0"が2個から1個になったときは、直前の状態をホールドする。一方、入力端N61、N62およびN63に入力される値"0"の個数が1個から2個に変化したときは、出力端N67、N68およびN69に対して、対応する入力の反転信号を出力する。すなわち、上述の3通り以外の、(0,1,1)、(1,0,1)および(1,1,0)の3通りの入力状態では、現在の入力(t)の入力状態と、直前の入力(t−1)の入力状態とによって、現在の出力状態が決定される。
このような3安定順序論理回路50は、真理値表に示されるように、出力状態として(0,1,1)、(1,0,1)および(1,1,0)の、安定的な3状態を得ることができる。
より具体的に説明する。例えば、図3の真理値表の第12段目の現在の入力(t)のように、入力端N61に値"1"が入力され、入力端N62およびN63にそれぞれ値"0"が入力された場合を考える。入力端N62およびN63に入力された値"0"が3入力NAND回路A68およびA69に供給され、3入力NAND回路A68およびA69の出力値がそれぞれ"1"に確定される。3入力NAND回路A68およびA69の出力は、3入力NAND回路A67にそれぞれ入力され、入力端N61から供給される値"1"と合わせて、3入力NAND回路67Aの出力値が"0"とされる。入力状態(1,0,0)に対して出力状態(0,1,1)が得られ、出力端N67、N68およびN69に対して、入力端N61、N62およびN63の入力が反転された信号が出力される。
現在の入力(t)は、次に入力状態の遷移が発生したときは、直前の入力(t−1)となる。例えば、図3中、第12段目の入力(t)が第1段目における直前の入力(t−1)とされ、この入力(t−1)が第1段目の現在の入力(t)である(1,1,0)の入力状態に遷移することを考える。この場合、入力端N62の入力値が"0"から"1"に変化しても、対応する3入力NAND回路A68の他の入力端には、3入力NAND回路A67の出力値"0"が供給されており、3入力NAND回路A68の出力値は、"1"のままである。したがって、入力状態(1,1,0)に対して出力状態(0,1,1)が得られ、直前の入力(t−1)に対応する出力状態がホールドされている。
ここで、最初の状態、すなわち、第12段目の現在の入力(t)の状態が、第12段目の直前の入力(t−1)から遷移したものである場合、入力状態は、(1,1,0)、(1,0,0)、(1,1,0)と2回遷移することになる。一方、出力状態は、この2回の遷移の間、(0,1,1)のまま変化していない。このように、この発明による3安定順序論理回路50によれば、入力状態の2回の状態遷移まで、出力状態をホールドすることができる。
なお、入力値の"0"の個数が1個から2個に変化したときには、出力端N67、N68およびN69に対して、入力端N61、N62およびN63の入力が反転された信号が出力される。例えば入力状態が(1,1,0)から(0,1,0)へ遷移した場合について考える。入力端N61の入力値が"1"から"0"に変化すると、3入力NAND回路A67の出力値が"1"に変化し、この出力値"1"が3入力NAND回路A68およびA69にそれぞれ入力される。一方、入力端N62およびN63の入力値は変化しないので、入力端N63から値"0"が供給される3入力NAND回路A69の出力値は"1"のままである。3入力NAND回路A68は、入力端N62から入力値"1"が供給されると共に、3入力NAND回路A67およびA69の出力値"1"がそれぞれ供給され、値"1"が出力される。入力状態(0,1,0)に対して出力状態(1,0,1)が得られ、出力端N67、N68およびN69に対して、入力端N61、N62およびN63の入力が反転された信号が出力される。
3安定順序論理回路50における上述の動作は、図3の真理値表の他の状態についても同様に考えることができる。
このように、この発明の実施の一形態によれば、3個の3入力NAND回路それぞれの出力を、互いの第2および第3の入力端に接続して構成しているので、6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移する信号の、3ビットのそれぞれを3個の3入力NAND回路にそれぞれ入力した場合に、状態遷移が2回発生するまで信号を保持することができ、信号の最小反転間隔を長くすることができる。
次に、この発明の実施の一形態の変形例について、図面を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の一形態の変形例による、3入力6状態に基づきデータをラッチする順序論理回路の一例の構成を示す。また、図5は、図4の順序論理回路の真理値表を示す。
この順序論理回路は、3個の3入力NAND回路A77、A78およびA79からなる、上述した図2と同様の構成からなる3安定順序論理回路50と、3個のOR回路A74、A75およびA76とからなる。入力端N71、N72およびN73から入力された3ビット6状態の入力信号が、OR回路A74、A75およびA76それぞれの一方の入力端に供給される。ホールド端子N70に入力された値が、OR回路A74、A75およびA76それぞれの他方の入力端に供給される。OR回路A74、A75およびA76それぞれの出力は、3安定順序論理回路50の3つの入力にそれぞれ供給される。
イネーブル時は、ホールド端子N70の値が"0"とされ、入力端N71、N72およびN73に入力された値が、OR回路A74、A75およびA76をそれぞれ介して、3安定順序論理回路50の3つの入力にそれぞれ供給される。
ホールド時は、3安定順序論理回路50の出力値が安定的な上述の3状態のうち1つの状態で、ホールド端子N70の値を"0"から"1"に変化させる。これにより、3安定順序論理回路50の安定状態がホールドされる。すなわち、(1,1,0)、(1,0,1)および(0,1,1)の何れかの出力状態においてホールド端子N70の値が"1"にされると、入力端N71、N72およびN73の入力状態がどのように遷移しても、3つの3入力NAND回路A77、A78およびA79に対する入力状態が(1,1,1)となる。出力値が"0"である3入力NAND回路においては、3入力の全ての値が直前の状態から"1"であるため出力値が変化せず、この3入力NAND回路の出力値が他の2つの3入力NAND回路に入力されるため、これら他の2つの3入力NAND回路の出力値も"1"のままである。
この発明の実施の一形態の変形例では、このように、3安定順序論理回路50に対して安定状態で出力値をホールドする回路を付加しているため、イネーブル時には6状態を3ビットで表し、3ビットのうち1ビットの変化によって状態遷移が生じた際に、不定値が現れないようにすることができる。
なお、上述では、3安定順序論理回路50を3個の3入力NAND回路を用いて構成しているが、これはこの例に限られない。例えば、3個の3入力NOR回路を用いて、上述した3安定順序論理回路50と同等の効果を得る回路を構成することができる。図6は、3個の3入力NOR回路A87、A88およびA89を用いて構成した3安定順序論理回路50’の例である。また、図7は、この3安定順序論理回路50’の真理値表を示す。入力端N81、N82およびN83の、現在の入力(t)および直前の入力(t−1)による入力状態と、出力端N87、N88およびN89の現在の出力状態との関係を示す。
また、上述の発明の実施の一形態の変形例では、3安定順序論理回路50の安定状態をホールドするための回路を3個のOR回路を用いて構成したが、3個の3入力NOR回路を用いた3安定順序論理回路50’の安定状態をホールドする回路は、図6におけるOR回路の代わりにAND回路を用いて構成される。
10 エンコーダ
21 デコーダ
50 3安定順序論理回路
A67,A68,A69,A77,A78,A79 3入力NAND回路
A74,A75,A76 OR回路
21 デコーダ
50 3安定順序論理回路
A67,A68,A69,A77,A78,A79 3入力NAND回路
A74,A75,A76 OR回路
Claims (10)
- 第1、第2および第3の入力端をそれぞれ備える第1、第2および第3のゲート回路を有し、
上記第1のゲート回路の出力が上記第2のゲート回路の第2の入力と上記第3のゲート回路の第3の入力とに接続され、
上記第2のゲート回路の出力が上記第3のゲート回路の第2の入力と上記第1のゲート回路の第3の入力とに接続され、
上記第3のゲート回路の出力が上記第1のゲート回路の第2の入力と上記第2のゲート回路の第3の入力とに接続され、
上記第1、第2および第3のゲート回路それぞれの上記第1の入力端に3ビットで表される入力の各ビットがそれぞれ入力され、
上記第1、第2および第3のゲート回路の上記出力から、3ビットで表される出力を取り出すようにしたことを特徴とする順序論理回路。 - 請求項1に記載の順序論理回路において、
上記3ビットで表される入力は、該3ビットの各ビットが同時に同値にならない6通りの状態を有することを特徴とする順序論理回路。 - 請求項1に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3のゲート回路は、NANDゲート回路であることを特徴とする順序論理回路。 - 請求項1に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3のゲート回路は、NORゲート回路であることを特徴とする順序論理回路。 - 請求項1に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3の入力端に対する入力値の変化によって上記第1、第2および第3のゲート回路の出力値が変化しないように該出力値をホールドするか否かを設定するホールド信号を入力する第4の入力端をさらに有することを特徴とする順序論理回路。 - 請求項5に記載の順序論理回路において、
第1および第2の入力端をそれぞれ備える第4、第5および第6のゲート回路をさらに有し、
上記第4、第5および第6のゲート回路それぞれの上記第1の入力端に3ビットで表される入力の各ビットがそれぞれ入力され、
上記ホールド信号が上記第4、第5および第6のゲート端子それぞれの上記第2の入力端に共通に入力され、
上記第4、第5および第6のゲート回路の出力が上記第1、第2および第3のゲート回路の上記第1の入力端にそれぞれ入力されるようにしたことを特徴とする順序論理回路。 - 請求項6に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3のゲート回路はNANDゲート回路であって、上記第4、第5および第6のゲート回路はORゲート回路であることを特徴とする順序論理回路。 - 請求項6に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3のゲート回路はNORゲート回路であって、上記第4、第5および第6のゲート回路はANDゲート回路であることを特徴とする順序論理回路。 - それぞれ2値論理の値であって、3ビットで表される6通りの状態の該3ビットの各ビットがそれぞれ入力される第1、第2および第3の入力端と、
それぞれ2値論理の値が出力される第1、第2および第3の出力端と、
上記第1、第2および第3の入力端に入力される上記6通りの状態のうち3通りは、現在の入力状態により上記第1、第2および第3の出力端の現在の出力状態が決定され、上記6通りの入力状態のうち上記3通り以外の入力状態は、現在の入力状態と直前の入力状態により現在の出力状態が決定されるようにした出力状態決定手段と
を有し、
上記3ビットで表される6通りの状態の入力に対して、3ビットで表される3通りの状態を出力するようにしたことを特徴とする順序論理回路。 - 請求項9に記載の順序論理回路において、
上記第1、第2および第3の入力端に対する入力値の変化によって上記第1、第2および第3の出力端の出力値が変化しないように該出力値をホールドするか否かを設定するホールド信号を入力する第4の入力端をさらに有することを特徴とする順序論理回路。
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