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JP2005351718A - 全方位探傷プローブ - Google Patents

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JP2005351718A JP2004171688A JP2004171688A JP2005351718A JP 2005351718 A JP2005351718 A JP 2005351718A JP 2004171688 A JP2004171688 A JP 2004171688A JP 2004171688 A JP2004171688 A JP 2004171688A JP 2005351718 A JP2005351718 A JP 2005351718A
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精一 川浪
Masaaki Kurokawa
政秋 黒川
Masatake Azuma
正剛 東
Koichiro Masumoto
光一郎 増本
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、単一のプローブで、被検体の広い領域における欠陥の探傷検査を短時間で実施することができる探傷プローブを提供することである。
【解決手段】
本発明に係わる全方位探傷プローブは、3次元曲面上に配置されてフェーズドアレイを形成する複数の振動子を備えている。
これにより、本発明に係わる全方位探傷プローブでは、被検体の対向面の法線に対して、法線の周方向に360°、法線とのなす角度にして0°から90°の領域における探傷検査を1回で実施することができる。
【選択図】
図4

Description

本発明は、曲面上に配置されたフェーズドアレイ方式の振動子を用いて被検体の探傷を行う探傷プローブと、それを用いた探傷装置に関する。
金属容器や金属溶接部の欠陥部を探傷する検査として、非破壊検査が広く行われている。非破壊検査は、製品の信頼性および製品運用時の安全性を確保する上で極めて重要なものである。
特に、高温環境下において高圧力が負荷されるガスタービン燃焼器においては、非破壊検査による定期的な安全性の確認が必要不可欠である。
非破壊検査には、超音波探傷センサ(Ultrasonic Testing Sensor:UTセンサ)を用いた超音波探傷装置が使用される。超音波探傷装置は、プローブを有したUTセンサと、UTセンサの動作を制御する制御部、UTセンサにより取得したデータの処理を行う演算部、および演算部により処理された処理結果を表示する表示部を備えている。また、プローブは超音波を送受信する複数の振動子と、複数の振動子が配置されている平面あるいは曲面を有する部材とを備えている。
UTセンサの基本的な動作原理は、UTセンサのプローブに備えられる振動子から被検体に向けて超音波が送信される。そして、被検体中に欠陥部が存在すると、発信された超音波が欠陥部で反射され、反射波がプローブの振動子により受信される。プローブの振動子は超音波の送信機と受信機とを兼ねており、この振動子により反射されてきた超音波が受信されることにより被検体中の欠陥部が識別される。
UTセンサのプローブには、単一の振動子を備えるものと、複数の振動子を備えるものとがある。
単一の振動子を備えるプローブは、その振動子の超音波送信面が被検体に対して任意の角度になるように設置される。つまり、プローブは非検体の予め決められた検査部位に対して超音波が送信されるように設置される。このため、被検体の複数箇所を検査したい場合には、その角度毎にプローブを設置して検査を実施する必要がある。
これに対して、複数の振動子を備えるプローブの代表的なものとして”フェーズドアレイ”と呼ばれる方式があり、複数の振動子が1次元的、あるいは2次元的に配列された構造を有している。この1次元的、あるいは2次元的に配列された複数の振動子のうちの2つ以上の振動子により超音波の送受信が行われる。このフェーズドアレイ方式のプローブでは、超音波の送受信を行っている上記2つ以上の振動子から送信される超音波の位相が制御部により電気的に制御されることにより、超音波のビームの向きを電気的に変化させて、被検体中を走査することができる。これにより、フェーズドアレイ方式のプローブを有したフェーズドアレイUTセンサを使用すれば、被検体への設置角度を変えずとも、電気的に超音波のビームを振ることのできる許容角度の範囲内で、被検体中の欠陥を走査して識別することができる。
図1(1)は、単一の振動子1を有するプローブを備えた通常のUTセンサ2の構成を示している。また、図1(2)は、フェーズドアレイ方式の複数の振動子1a、1b、1c、、を有したプローブを備えたフェーズドアレイUTセンサ3の構成を示している。図1(2)に示されるフェーズドアレイUTセンサ3が備える複数の振動子1a、1b、1c、、は、一次元的な直線上に配列されており、当該センサにおいては、電気的に一次元方向の超音波ビームの走査が行われる。
図2Aに、通常のUTセンサ2における超音波の送信および受信の模式図が示されている。通常のUTセンサ2は、探傷器9とマルチプローブ11とを備えている。マルチプローブ11は、複数のそれぞれ独立した振動子12を有している。そして、1回の動作で対応した1つの振動子が超音波を送受信する。例えば、図2Aにおける最左部の振動子が動作するときには、探傷器9に備えられている最左部のパルサ/レシーバ10が最初にパルサに設定され、ここから超音波の出力指示信号が上記振動子に送信されて、最左部の振動子から超音波13が被検体に向けて送信される。次に、パルサ/レシーバ10がレシーバに切り替えられて、このレシーバから超音波を送信したのと同じ振動子に向かって受信指示信号が送信される。そして、被検体中の欠陥により上記超音波が反射されると、超音波を送信したのと同じ振動子により、この反射されて戻ってきた超音波が受信されて被検体中に欠陥が存在するのが認識される。この一連の動作が終了すると、隣接している振動子において順次同一動作が実行されていく。
図2Bに、フェーズドアレイUTセンサ3における超音波の送信および受信の模式図が示されている。フェーズドアレイUTセンサ3は、探傷器4とマルチプローブ6とを備えている。マルチプローブ6は、フェーズドアレイを形成する複数の振動子7を有している。
そして1回の動作で、複数の振動子7のうち2個以上の振動子によって超音波の合成波8が送信され、また受信される。例えば、図2Bにおける最左部の3つの振動子が動作するときには、探傷器4に備えられている最左部の3つのパルサ/レシーバ5が最初にパルサに設定され、ここから超音波の出力指示信号が上記3つの振動子にそれぞれ送信されて、最左部の3つの振動子により送信された超音波の合成波8が被検体に向けて送信される。このとき、図示せぬ制御部により、上記3つの振動子から出力される超音波の位相が電気的に制御されており、この制御により、最左部の3つの振動子により送信された超音波の合成波8の向きは特定の範囲内において電気的に走査される。これにより、フェーズドアレイUTセンサ3においては、通常のUTセンサ2に比べて1回の動作でより広範囲な被検体部位を探傷することができる。次に、最左部の3つのパルサ/レシーバ5がレシーバに切り替えられて、この最左部の3つのパルサ/レシーバ5から超音波を送信したのと同じ3つの振動子に向かって受信指示信号が送信される。そして、被検体中の欠陥により上記合成波8が反射されると、超音波を送信したのと同じ振動子により、この反射されて戻ってきた合成波8が受信されて被検体中に欠陥が存在するのが認識される。この一連の動作が終了すると、別の組み合わせの複数の振動子において順次同一動作が実行されていく。
図3Aは、フェーズドアレイUTセンサ3を用いて試験片14に設けられた欠陥15を探傷する試験構成を示している。試験片14上面にフェーズドアレイUTセンサ3が設置され、フェーズドアレイUTセンサ3のプローブ6に備えられた振動子から試験片14に向けて超音波の合成波が送信される。このとき、フェーズドアレイUTセンサ3のプローブ6に備えられた振動子から送信される超音波の合成波が走査できる領域は、図3A中の試験片14中に扇形の破線で示されている。
図3Bは、図3Aの試験構成を用いて取得された探傷試験結果を示している。図3Bでは、試験片14中に欠陥15が存在するのが識別されている。しかしながら、仮にこの欠陥15がフェーズドアレイUTセンサ3の走査領域外に存在していたときには、欠陥15の存在は現状の試験構成では識別できず、フェーズドアレイUTセンサ3と試験片14との相対的な位置をズラして、再度探傷する必要がある。
上記技術に関連したいくつかの提案がされてきている。
例えば、特開平11−160294に開示されている「超音波探触子及びこれを用いた超音波斜角探傷法」では、平面形状が扇形に形成された板状シューと、当該シューの円弧面に一次元的に配列された振動子群とからなる超音波探触子において、シューのビーム出口面を、シューの扇形面に対して傾斜させた超音波探触子が提案されている。
また、特開平2001−343370に開示されている「超音波探傷方法」では、実際の探傷対象材と同じ材質の試験片に対し、探触子から発信する超音波の入射角を変えて探傷することにより、欠陥信号とノイズ信号の入射依存性データを求め、この入射依存性データからデータ重み付け関数を求めること、および実際の探傷対象材に対して探触子から発信する超音波の入射角を変えて探傷し、この実際の探傷データに対してデータ重み付け関数により重み付けをすることにより、探傷データのSN比を向上させて欠陥を検出する超音波探傷方法が提案されている。
特開平11−160294号 特開2001−343370号
本発明の目的は、単一のプローブにより、被検体の3次元的な広い範囲において欠陥の探傷をすることができる探傷プローブを提供することである。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用する括弧付き符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の超音波探傷プローブは、フェーズドアレイを形成する複数の超音波振動子(100A、100B、400A、400B)と、複数の超音波振動子(100A、100B、400A、400B)が配置される曲面(200,900,1000)を有した部材とを備える。
また、本発明の超音波探傷プローブは、超音波振動子(100A、100B)は振動面を有し、複数の超音波振動子(100A、100B)のうち、任意の3つの超音波振動子の振動面の法線が同一平面上にない。
また、本発明の超音波探傷プローブが備える曲面(900)は凹型曲面である。
また、本発明の超音波探傷プローブが備える曲面(200)は凸型曲面である。
また、本発明の超音波探傷プローブの複数の超音波振動子(100A、100B)のうち、超音波を送信する振動子と超音波を送信する振動子とが異なる。
また、本発明の超音波探傷プローブが備える曲面(1000)はかまぼこ型曲面であり、且つ、複数の超音波振動子(400A)はリニアアレイ方式である。
また、本発明の超音波探傷プローブが備えるリニアアレイ方式の超音波振動子(400B)はマトリックス状に配列される。
また、本発明の超音波探傷プローブは、複数の超音波振動子(100C)と、複数の超音波振動子(100C)が配置される曲面(900)を有した部材とを備える。
また、本発明の超音波探傷装置は、超音波探傷プローブ(300A、300B、500、600、1100)と、超音波探傷プローブを制御してデータを取得する制御部(111)と、制御部(111)で取得されたデータを処理する演算部(112)と、演算部(112)により処理された処理結果を表示する表示部(110)とを備える。
また、本発明の超音波探傷方法は、曲面(200,900,1000)に配置されてフェーズドアレイを形成する複数の超音波振動子(100A、100B、400A、400B)のうち、任意の組み合わせの超音波振動子から超音波ビームを送信するステップと、送信された超音波ビームが被検体中の欠陥により反射されて戻ってくる反射波を、複数の超音波振動子または任意の組み合わせの超音波振動子により受信するステップとを備える。
また、本発明の超音波探傷方法は、曲面(900)に配置された超音波振動子(100C)から超音波ビームを送信するステップと、送信された超音波ビームが被検体中の欠陥により反射されて戻ってくる反射波を、超音波振動子(100C)により受信するステップとを備える。
本発明により、単一のプローブにより被検体の3次元的な全方位およびフォーカス位置に関して欠陥の探傷をすることができる探傷プローブを提供することができる。
また、本発明により極めて短時間で探傷検査を実行することができる。
添付図面を参照して、本発明による全方位探傷プローブを実施するための最良の形態を以下に説明する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の実施の形態1に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の全方位探傷プローブは、半球状の凹型曲面900を有する部材と、フェーズドアレイを形成する複数の振動子100Aとを備えている。そして、それぞれの振動子は振動面を備えている。複数の振動子100Aが半球状の凹型曲面900上に3次元的に配置されてプローブ300Aが形成されている。半球状の凹型曲面900の中心に対する法線と、半球状の凹型曲面900上の任意部位の法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定されている。これにより、半球状の凹型曲面900の中心に対する法線と、半球状の凹型曲面900上に配置された任意の振動子の振動面に対する法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定される。
プローブ300Aは、複数の振動子100Aの配置されている凹型曲面900の中心に対する法線と被検体140の対向面の法線とが平行になるように、くさび材800を介して被検体140に接合される。これにより、プローブ300Aの振動子から送信される超音波ビーム17のビームスキャン方向18は、被検体140に対して、半球状の凹型曲面900の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度にして0°から90°の領域をカバーし、この領域における探傷検査が1回で行われる。この探傷検査は、フェーズドアレイを形成している複数の振動子100Aが半球状の凹型曲面900上に配置されることにより実現される。
本実施の形態における動作原理は、背景技術におけるフェーズドアレイUTセンサ3の超音波の送信および受信方式と同様である。つまり、本実施の形態においては、1回の動作で複数の振動子100Aのうち2個以上の振動子によって超音波が合成されて超音波ビーム17が送信され、また受信される。例えば、任意の3つの振動子が動作するときには、任意の3つの振動子に対応し、本実施の形態のプローブに備えられている図示せぬパルサ/レシーバがそれぞれ最初にパルサに設定され、ここから超音波の出力指示信号が上記3つの振動子にそれぞれ送信されて、任意の3つの振動子により合成された超音波ビーム17が被検体140に向けて送信される。このとき、図示せぬ制御部により、上記3つの振動子から出力される超音波の位相が電気的に制御されており、この制御により、任意の3つの振動子により合成された超音波ビーム17のビームスキャン方向18は特定の範囲内において電気的に走査される。これにより、本実施の形態においては1回の動作でより広範囲な被検体部位を探傷することができる。次に、任意の3つの振動子に対応したパルサ/レシーバがレシーバに切り替えられて、上記パルサ/レシーバのそれぞれから超音波を送信したのと同じ3つの振動子に向かって受信指示信号が送信される。そして、被検体中の欠陥により上記超音波ビーム17が反射されると、超音波を送信したのと同じ振動子により、この反射されて戻ってきた超音波ビーム17が受信されて被検体140中に欠陥が存在するのが認識される。この一連の動作が終了すると、別の組み合わせの複数の振動子において順次同一動作が実行されていく。
但し、本実施の形態においては、超音波を送受信する2つ以上の振動子の組み合わせは3次元的に自由に選択される。
本実施の形態により、被検体140に対して、プローブ300Aの半球状凹型曲面900の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度で0°から90°の領域の探傷検査を1回で行なうことができる。また、3次元配列のフェーズドアレイ方式のプローブ300Aを用いることにより、短時間で検査を実施することができる。さらに、複数の振動子100Aの配置されている3次元曲面が半球状の凹型であるため、少ない振動子数で被検体140に対する超音波の合成波のフォーカシングを行うことができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の実施の形態2に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の基本的な構成および動作原理は実施の形態1に係わる全方位探傷プローブと同様である。但し、実施の形態1において超音波の合成波を出力する振動子群と被検体140にある欠陥15により反射されてくる超音波を受信する振動子群とは、背景技術におけるフェーズドアレイUTセンサ3の超音波の送信および受信の説明にあるように同一群であったものが、本実施の形態においては同じである必要はない。つまり、反射されてきた超音波を、発信したのとは異なる振動子群で受信することができる。さらには、半球状の凹型曲面900上に配置されている全ての振動子で反射されてきた超音波を受信してもよい。これにより、被検体140にどのような傾きで欠陥15が生じていても検出できる確率が向上する。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の実施の形態3に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の全方位探傷プローブは、半球状の凸型曲面200を有する部材と、フェーズドアレイを形成する複数の振動子100Bとを備えている。そして、それぞれの振動子は振動面を備えている。複数の振動子100Bが半球状の凸型曲面200上に3次元的に配置されてプローブ300Bが形成されている。半球状の凸型曲面200の中心に対する法線と、半球状の凸型曲面200上の任意部位の法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定されている。これにより、半球状の凸型曲面200の中心に対する法線と、半球状の凸型曲面200上に配置された任意の振動子の振動面に対する法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定される。
プローブ300Bは、複数の振動子100Bの配置されている凸型曲面200の中心に対する法線と被検体140の対向面の法線とが平行になるように、くさび材800を介して被検体140に接合される。これにより、プローブ300Bの振動子から送信される超音波ビーム17のビームスキャン方向18は、被検体140に対して、半球状の凸型曲面200の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度にして0°から90°の領域をカバーし、この領域における探傷検査が1回で行われる。この探傷検査は、フェーズドアレイを形成している複数の振動子100Bが半球状の凸型曲面200上に配置されることにより実現される。
本実施の形態における動作原理は、背景技術におけるフェーズドアレイUTセンサ3の超音波の送信および受信方式および実施の形態1および2と同様なので省略する。但し、本実施の形態においては、超音波を送受信する2つ以上の振動子の組み合わせは3次元的に自由に選択できる。
本実施の形態により、被検体140に対して、プローブ300Bの半球状凸型曲面200の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度で0°から90°の領域の探傷検査を1回で行なうことができる。また、3次元配列のフェーズドアレイ方式のプローブ300Bを用いることにより、短時間で検査を実施することができる。
(第4の実施形態)
図7は、本発明の実施の形態4に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の基本的な構成および動作原理は実施の形態3に係わる全方位探傷プローブと同様である。但し、実施の形態3において超音波の合成波を出力する振動子群と被検体140にある欠陥15により反射されてくる超音波を受信する振動子群とは、背景技術におけるフェーズドアレイUTセンサ3の超音波の送信および受信の説明にあるように同一群であったものが、本実施の形態においては実施の形態2と同様に、同じである必要はない。つまり、反射されてきた超音波を発信したのとは異なる振動子群で受信することができる。さらには、半球状の凸型曲面200上に配置されている全ての振動子で反射されてきた超音波を受信してもよい。これにより、被検体140にどのような傾きで欠陥15が生じていても検出できる確率が向上する。
(第5の実施形態)
図8は、本発明の実施の形態5に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の全方位探傷プローブ500は、かまぼこ型曲面1000と、複数のリニアアレイ(振動子)400Aとを備えている。ここで、かまぼこ型曲面とは、平面を一方向に対して曲率を持たせた3次元曲面である。そして、それぞれのリニアアレイ400Aは、振動面を備えている。複数のリニアアレイ(振動子)400Aが、かまぼこ型曲面1000の凹部上に3次元的に配置されてプローブ500が形成されている。かまぼこ型曲面1000の中心に対する法線と、かまぼこ型曲面1000上の任意部位の法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定されている。これにより、かまぼこ型曲面1000の中心に対する法線と、かまぼこ型曲面1000の凹部上に配置された任意のリニアアレイ400Aの振動面の法線とのなす角θは、0°≦θ≦90°に設定される。
プローブ500は、複数のリニアアレイ(振動子)400Aの配置されているかまぼこ型曲面1000の中心に対する法線と被検体140の対向面の法線とが平行になるように、くさび材800を介して被検体140に接合される。これにより、被検体140に対して、かまぼこ型曲面1000の長手方向の幅の範囲内において、かまぼこ型曲面1000の中心に対する法線とのなす角度にして0°から90°の領域における探傷検査が1回で行われる。この探傷検査は、リニアアレイ400Aが、かまぼこ型曲面1000の凹部上に3次元的に配置されることにより実現される。
本実施の形態における動作原理は、背景技術におけるフェーズドアレイUTセンサ3の超音波の送信および受信方式および実施の形態1から4までと同様なので省略する。
本実施の形態により、被検体140に対して、プローブ500のかまぼこ型曲面1000の長手方向の幅の範囲内において、かまぼこ型曲面1000の中心に対する法線とのなす角度にして0°から90°の領域における探傷検査を1回の走査で行うことができる。また、3次元配列のフェーズドアレイ方式のプローブ500を用いることにより、短時間で検査を実施することができる。さらに、複数のリニアアレイ(振動子)400Aの配置されている3次元曲面が、かまぼこ型曲面1000の凹部上であるため、少ないリニアアレイ(振動子)数で被検体140に対する超音波の合成波のフォーカシングを行うことができる。
(第6の実施形態)
図9は、本発明の実施の形態6に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の基本的な構成および動作原理は実施の形態5に係わる全方位探傷プローブと同様である。但し、実施の形態5に備えられていたリニアアレイ(振動子)400Aに換わって、マトリックス状に配置されたリニアアレイ(振動子)400Bを備えている。マトリックス状に配置されたリニアアレイ(振動子)400Bを備えていることにより、かまぼこ型曲面1000の長手方向に対しても各々の振動子群による合成波のビームを走査させることができるようになる。これにより、プローブ600のかまぼこ型曲面1000の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度で0°から90°の領域の探傷検査を1度に行なうことができる。従って本実施の形態においては、実施の形態5と比較して1回の検査において走査する探傷領域が広くなり、且つ、より広範囲からの反射波を検出できる。この結果、非検体140に対する欠陥15の検出効率が向上する。
(第7の実施形態)
図10は、本発明の実施の形態7に係わる全方位探傷プローブの構成を示している。本実施の形態の全方位探傷プローブ1100は、半球状の凹型曲面900を備えた部材と、フェーズドアレイを形成しない複数の振動子100Cとを備えている。複数の振動子100Cは半球状の3次元凹型曲面900上に離散的に配置されてプローブ1100が形成されている。また、半球状の凹型曲面900の中心に対する法線と、半球状の凹型曲面900上に離散的に配置された任意の振動子の面に対する法線とのなす角θは、0°、45°、60°というように、0°≦θ≦90°の範囲内で予め決められた角度方向に限定して設定されている。
プローブ1100は、複数の振動子100Cの配置されている凹型曲面900の中心に対する法線と被検体140の対向面の法線とが平行になるように、くさび材800を介して被検体140に接合される。これにより、被検体140に対して、半球状の凹型曲面900の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角θにして0°、45°、60°というように、0°≦θ≦90°の範囲内で予め決められた角度方向の領域における探傷検査が、複数の振動子100Cのそれぞれの振動子毎に行われる。この探傷検査は、通常のUTセンサ2が、3次元の凹型曲面900上に配置されることにより実現される。
本実施の形態における動作原理は、背景技術における通常のUTセンサ2の超音波の送信および受信と同様なので省略する。
本実施の形態により、被検体140に対して、プローブ1100の半球状凹型曲面900の中心に対する法線の周方向に360°、法線とのなす角度で0°から90°の間の任意の角度における探傷を行なうことができる。また、本実施の形態においては、超音波を送受信する振動子100が決められた方向に向けてのみ3次元的に配置されることにより、少ない振動子数で被検体140の探傷したい領域に限っての探傷を実施するのに非常に効率的である。また、少ない振動子数、あるいはフェーズドアレイ方式で必要であった電気的な位相の制御を必要とせず検査が実施できるため、試験コストを削減することができる。
(第8の実施形態)
図11は、本発明の実施の形態8に係わる超音波探傷装置の構成を示している。本実施の形態の超音波探傷装置115は、実施の形態1から7までに記載の全方位探傷プローブ(300A、300B、500、600、1100)のうちいずれか1つと(このプローブが、背景技術におけるセンサに対応する)、全方位探傷プローブを制御してデータを取得する制御部(111)と、制御部(111)で取得されたデータを処理する演算部(112)と、演算部(112)により処理された処理結果を表示する表示部(110)とを備えている。全方位探傷プローブ(300A、300B、500、600、1100)は実施の形態1から7までに記載されているのと同様に、くさび材800を介して被検体140に設置されている。
本実施の形態の超音波探傷装置115で被検体140の探傷が開始されると、制御部111から全方位探傷プローブ(300A、300B、500、600、1100)に対して超音波の送信指示が出される。制御部111からの超音波送信指示により、全方位探傷プローブの振動子から被検体140に対して超音波が送信される。そして、被検体140中に欠陥が存在すると、その欠陥により全方位探傷プローブから送信された超音波が反射され、この反射されて戻ってきた超音波は全方位探傷プローブの振動子により受信される。制御部111は、全方位探傷プローブに対して超音波の発信および受信の指示のほかに、全方位探傷プローブがフェーズドアレイ方式の場合には、複数の振動子の組み合わせを順次指定して、それらの振動子群の位相を電気的に制御することにより、超音波の合成波のビームの向きをスキャンして被検体140中の欠陥を広範囲に渡って走査する。また、全方位探傷プローブが通常のマルチプローブにより形成されている場合には、複数の振動子から1つの振動子を指定して動作させ、指定された振動子による探傷が終了すると次の振動子の動作指示を行うことにより、振動子全体の動作が制御される。これにより、マルチプローブによる被検体140の探傷が実施される。
全方位探傷プローブによる動作原理については、すでに実施の形態1から7までに説明されているのでここでは省略する。また、本実施の形態の超音波探傷装置の効果については、そのときに備えられる実施の形態1から7までの全方位探傷プローブにおいて述べられているものと同等である。
本実施の形態の超音波探傷装置を用いることにより、単一のプローブで、被検体140の広い範囲に渡る欠陥の探傷を短時間で実施することができる。
(a)従来のUTセンサの構成を示す図である。 (b)従来のフェーズドアレイUTセンサの構成を示す図である。 従来のUTセンサにおける超音波の送信および受信の模式図である。 従来のフェーズドアレイUTセンサにおける超音波の送信および受信の模式図である。 従来のフェーズドアレイUTセンサを用いた試験コンフィギュレーションを示す図である。 従来のフェーズドアレイUTセンサを用いた試験により取得された探傷映像を示す図である。 実施の形態1に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態2に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態3に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態4に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態5に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態6に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態7に係わる全方位探傷プローブの構成を示す図である。 実施の形態8に係わる超音波探傷装置の構成を示す図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、7、12、700…振動子
2…通常のUTセンサ
3…フェーズドアレイUTセンサ
4、9…探傷器
5、10…パルサ/レシーバ
8…超音波合成波
11…マルチプローブ
13…1プローブの超音波
14…試験片
15…欠陥
16…探傷映像
17…超音波ビーム
18…ビームスキャン方向
19…超音波ビーム反射波
100A,100B,100C…振動子
110…表示部
111…制御部
112…演算部
115…超音波探傷装置
140…被検体
200…凸型曲面
400…リニアアレイ(振動子)
6、300A、300B、500、600、1100…プローブ
800…くさび材
900…凹型曲面
1000…かまぼこ型曲面

Claims (12)

  1. フェーズドアレイを形成する複数の超音波振動子と、
    前記複数の超音波振動子が配置される曲面を有した部材と
    を具備する超音波探傷プローブ。
  2. 請求項1に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記超音波振動子は振動面を有し、
    前記複数の超音波振動子のうち、任意の3つの超音波振動子の前記振動面の法線が同一平面上にない超音波探傷プローブ。
  3. 請求項1または2に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記曲面は凹型曲面である超音波探傷プローブ。
  4. 請求項1または2に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記曲面は凸型曲面である超音波探傷プローブ。
  5. 請求項3または4に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記複数の超音波振動子のうち、超音波を送信する振動子と超音波を受信する振動子とが異なる超音波探傷プローブ。
  6. 請求項1に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記曲面はかまぼこ型曲面であり、前記複数の超音波振動子はリニアアレイ方式である超音波探傷プローブ。
  7. 請求項6に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記複数の超音波振動子はマトリックス状に配列される超音波探傷プローブ。
  8. 複数の超音波振動子と、
    前記複数の超音波振動子が配置される曲面を有した部材と
    を具備する超音波探傷プローブ。
  9. 請求項8に記載の超音波探傷プローブにおいて、
    前記曲面は凹型曲面である超音波探傷プローブ。
  10. 請求項1から8までに記載のいずれか一項の超音波探傷プローブと、
    前記超音波探傷プローブを制御してデータを取得する制御部と、
    前記制御部で取得されたデータを処理する演算部と、
    前記演算部により処理された処理結果を表示する表示部と
    を具備する超音波探傷装置。
  11. 曲面に配置されてフェーズドアレイを形成する複数の超音波振動子のうち、任意の組み合わせの超音波振動子から超音波ビームを送信するステップと、
    前記送信された超音波ビームが被検体中の欠陥により反射されて戻ってくる反射波を、前記複数の超音波振動子または前記任意の組み合わせの超音波振動子により受信するステップと
    を具備する超音波探傷方法。
  12. 曲面に配置された超音波振動子から超音波ビームを送信するステップと、
    前記送信された超音波ビームが被検体中の欠陥により反射されて戻ってくる反射波を、前記超音波振動子により受信するステップと
    を具備する超音波探傷方法。
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