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JP2005348235A - アレーアンテナ受信装置及び送信装置 - Google Patents

アレーアンテナ受信装置及び送信装置 Download PDF

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JP2005348235A JP2004167321A JP2004167321A JP2005348235A JP 2005348235 A JP2005348235 A JP 2005348235A JP 2004167321 A JP2004167321 A JP 2004167321A JP 2004167321 A JP2004167321 A JP 2004167321A JP 2005348235 A JP2005348235 A JP 2005348235A
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、上りリンクと下りリンクの無線アクセス方式、帯域幅に依存せずに高い精度でRF無線回路のキャリブレーションが可能になるアレーアンテナ受信装置を提供することである。
【解決手段】 上記課題は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナを具備するアレーアンテナ受信装置において、拡散信号又は非拡散信号を用いてキャリブレーション用の参照信号を生成する参照信号生成手段と、前記生成された参照信号を用いて前記複数のアンテナ素子の各々に対応して設けられた受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差を補正するに必要なキャリブレーション値を算出する受信キャリブレーション値算出手段と、前記算出されたキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行う補正手段と、を備えることを特徴とするアレーアンテナ受信装置にて達成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アレーアンテナ受信装置及び送信装置に関する。
第3世代移動通信からの発展としてさらなる高速伝送を想定し、そのサービスを実現するための重要技術にアダプティブアレーアンテナがある。このアダプティブアレーアンテナは、複数のアンテナ素子を用い、受信信号を適切な重みづけの後、合成することによって所望信号の到来方向に主ビームを向け、干渉信号の到来方向に指向性の零点を形成する、指向性の制御が可能となっている。
上記のようなアダプティブアレーアンテナにおいて、希望波/干渉波信号の実際の信号到来方向に対して、高精度のメインビーム/ヌルを向けた送受信ビームを生成するためには、上りリンク/下りリンクにおいてアンテナ数分のRF送信回路/受信回路のブランチ間に発生する位相/振幅偏差を補償するキャリブレーション(校正)を行う必要がある。ここで、RF送信回路におけるキャリブレーションをRF送信回路キャリブレーションと、RF受信回路におけるキャリブレーションをRF受信回路キャリブレーションと呼び、RF送信回路キャリブレーションとRF受信回路キャリブレーションの総称をRF無線回路キャリブレーションと呼ぶ。
図12は、アダプティブアレーアンテナを用いた従来のRF無線送信回路の構成例を示すブロック図であり、図13は、アダプティブアレーアンテナを用いた従来のRF無線受信回路の構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、RF送信回路/受信回路は、アンテナブランチ数(B)分並列に備えられる。アンテナブランチ毎のRF送信回路/受信回路は、同一構成であるので、ここでは、アンテナブランチ#1用のRF送信回路/受信回路を例にとり説明する。
図12に示されるように、RF送信回路#1は、デジタル/アナログ信号変換処理部102と、直交変調部103と、ミキサ(乗算器)104と、高出力増幅器と、から構成される。
デジタル/アナログ信号変換処理部102に入力された入力信号は、デジタル−アナログ変換され、直交変調部103で直交変調される。直交変調部103で直交変調された信号は、ローカル周波数と、非線形回路であるミキサ104によって周波数変換(アップコンバート)され、高出力増幅器105で増幅された後、アンテナを介して送信される。
一方、図13に示されるように、RF受信回路#1は、低雑音増幅器202と、ミキサ(乗算器)203と、帯域制限通過フィルタ204と、自動増幅利得制御部(AGC(Automatic Gain Control)回路)205と、直交検波部206と、受信レベル測定部207と、アナログ/デジタル信号変換処理部208と、から構成される。
アンテナを介して受信されるRF(Radio Frequency)受信信号は、低雑音増幅器202で増幅された後、ローカル周波数と、ミキサ203によって周波数変換(ダウンコンバート)され、帯域制限通過フィルタ204を通ってAGC回路205に入力される。AGC回路205は直交検波後に測定される受信レベルの変動を自動的に制御する。AGC回路205から出力される受信信号は、アナログ/デジタル信号変換処理部でアナログ−デジタル変換され出力信号として後段に出力される。
上記のようなRF送信回路/受信回路に無線周波数(RF)信号が通過した場合、同回路を構成する増幅器やミキサ等の能動素子や部品の個体差による影響がアンテナブランチ間の振幅/位相偏差として現れるようになる。中でも、RF受信回路におけるAGC回路、RF送信回路における高出力増幅器の個体差の影響が顕著となって現れる。これらの影響はアダプティブアレーアンテナ特性の劣化を招き、期待される指向性と異なった指向性が形成されてしまうという問題が生じさせる。そこで、上記影響を防止するために、RF送信回路/受信回路の特性が同一になるようにキャリブレーション(校正)する必要がある。
また、上記アンテナブランチ間の振幅/位相偏差は、経年変化や温度変化により変動する。したがって、実際のシステムでの運用を考慮した場合、常時、アレーアンテナを用いて高精度なビームを生成するためには、実際の上りリンク/下りリンクの受信/送信信号を受信/送信状態で、常時、もしくは定期的にRF無線回路のキャリブレーションを行うことが必須である。
かかる観点から、温度変化等に起因した特性変化に対応した校正操作を適切かつ正確に行うことのできるアレーアンテナ装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、参照信号を用いてRF受信回路のキャリブレーションを行う技術として、下りリンクの実際の送信信号を上りリンクのキャリア周波数に変換したものを参照信号として用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、参照信号を用いて指向性アンテナ装置のキャリブレーションを行う技術として、特許文献2がある。この文献によれば、発生した参照信号と受信信号と比較することで、参照信号と各アンテナ素子にそれぞれ対応した受信系統の受信出力信号の位相振幅誤差を検出し、キャリブレーションのための較正値をベースバンドで加える。これにより、各素子の位相差、振幅差を精度良く補正することができる旨記載されている。
特開2003 −234610号公報 特開2002 −141730号公報 吹野 幸治,竹内 嘉彦,"DS−CDMAにおけるアレイアンテナ無線部のLMSアルゴリズムを用いた自動校正法",信学技報RCS2000−31,2000年6月
上述したように、下りリンクの実際の送信信号を上りリンクのキャリア周波数に変換したものを参照信号として用いてRF受信回路のキャリブレーションを行う方法では、上りリンクと下りリンクの帯域幅・無線アクセス方式が同じ場合(例えば、第3世代移動通信のW−CDMA等)は有効であるが、例えば、第4世代移動通信で検討されているような上りリンクがMC/DS−CDMA(例)、下りリンクがOFCDM(例)のように無線アクセス方式、帯域幅が異なる場合、両者の違いに起因するフィルタ等の特性の違いにより下り送信信号をキャリブレーション用の参照信号として使用することができない。すなわち、従来法では、上りリンクと下りリンクの無線アクセス方式、帯域幅が異なっている場合の参照信号の生成については、十分な考慮がなされていなかった。
また、システム運用状態では、AGC回路の増幅利得は受信レベル、高出力増幅器の送信出力は送信電力制御等に応じて変動する場合があり、これによってRF無線回路のブランチ間の振幅/位相偏差もこの変動の影響を受けて変動する。
また、RF無線回路のブランチ間の振幅/位相偏差は、前述したとおり温度変化・経年変化によっても変動する。
したがって、実際のシステム運用状態でRF無線回路のキャリブレーションを行う場合、上記したRF無線回路のブランチ間の振幅/位相偏差の変動要因すべてを考慮しなければ精度の高いキャリブレーションを実現することは難しい。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、第1の課題は、上りリンクと下りリンクの無線アクセス方式、帯域幅に依存せずに高い精度でRF無線回路のキャリブレーションが可能になるアレーアンテナ受信装置及び送信装置を提供することを目的とする。
また、第2の課題は、システム運用状態でのRF無線回路のキャリブレーションを高精度に行うことができるアレーアンテナ受信装置及び送信装置を提供することを目的とする。
上記第1の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されるように、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナを具備するアレーアンテナ受信装置において、拡散信号又は非拡散信号を用いてキャリブレーション用の参照信号を生成する参照信号生成手段と、前記生成された参照信号を用いて前記複数のアンテナ素子の各々に対応して設けられた受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差を補正するに必要なキャリブレーション値を算出する受信キャリブレーション値算出手段と、前記算出されたキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行う補正手段と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の請求項2によれば、前記アレーアンテナ受信装置において、前記参照信号生成手段は、拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、通信チャネルに直交する拡散符号を用いて拡散変調した拡散信号、または通信チャネルに直交する拡散後のチップ系列に対して所定の繰返し数分のチップ繰返しを適用したチップパターンを用いて当該参照信号を生成することを特徴としている。
また、本発明の請求項3によれば、前記アレーアンテナ受信装置において、前記参照信号生成手段は、拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、通信チャネルに対して非直交な拡散符号を用い、各サブキャリア毎、あるいは全サブキャリアの帯域幅で当該参照信号を生成することを特徴としている。
また、本発明の請求項4によれば、前記アレーアンテナ受信装置において、前記参照信号生成手段は、非拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、各サブキャリア毎の中心周波数、あるいは全サブキャリア毎の中心周波数に当該参照信号を生成することを特徴としている。
また、上記第2の課題を解決するため、本発明に係るアレーアンテナ受信装置は、請求項5に記載されるように、前記アレーアンテナ受信装置において、受信信号がマルチキャリア信号であって、前記受信キャリブレーション値算出手段は、サブキャリア毎に、前記受信回路に具備される自動増幅利得制御部の増幅利得毎にブランチ間の受信回路のキャリブレーション値を算出し、その結果をテーブルとしてメモリに記憶させるテーブル記憶手段を備え、前記補正手段は、前記テーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴としている。
また、本発明の請求項6によれば、前記アレーアンテナ受信装置において、前記受信キャリブレーション値算出手段は、前記自動増幅利得制御部の増幅利得が変動する度に、変動後の増幅利得値における各ブランチ、各サブキャリア毎のキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第1の受信キャリブレーション値更新手段を備え、前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴としている。
また、本発明の請求項7によれば、前記アレーアンテナ受信装置において、前記受信キャリブレーション値算出手段は、前記自動増幅利得制御部の増幅利得が変動する度に、その都度、各ブランチ、各サブキャリア毎、各増幅利得値におけるキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第2の受信キャリブレーション値更新手段を備え、前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴としている。
また、上記第2の課題を解決するため、本発明に係るアレーアンテナ送信装置は、請求項8に記載されるように、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナを具備するアレーアンテナ送信装置において、送信信号がマルチキャリア信号であって、サブキャリア毎に、前記複数のアンテナ素子の各々に対応して設けられた送信回路に具備される増幅器の送信出力毎に、該送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差を補正するに必要なキャリブレーション値を算出する送信キャリブレーション値算出手段と、前記算出されたキャリブレーション値をテーブルとしてメモリに記憶させるテーブル記憶手段と、前記テーブルに記憶されたキャリブレーション値を用いて、前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行う補正手段と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の請求項9によれば、前記アレーアンテナ送信装置において、前記送信キャリブレーション値算出手段は、前記増幅器の送信出力が変動する度に、変動後の送信出力値における各ブランチ、各サブキャリア毎のキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第1の送信キャリブレーション値更新手段を備え、前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される送信出力毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴としている。
また、本発明の請求項10によれば、前記アレーアンテナ送信装置において、前記送信キャリブレーション値算出手段は、前記増幅器の送信出力が変動する度に、その都度、各ブランチ、各サブキャリア毎、各送信出力値におけるキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第2の送信キャリブレーション値更新手段を備え、前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される送信出力毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴としている。
本願発明によれば、拡散信号又は非拡散信号を用いてキャリブレーション専用の信号をアレーアンテナ受信装置内で生成することにより、無線アクセス方式や帯域幅に違いがあっても精度良くキャリブレーションを行うことができる。
また、自動増幅利得制御部(AGC回路)の増幅利得/増幅部の送信出力が変動する度にRF送信/受信部のキャリブレーションを行い、変動後の増幅利得/送信出力におけるキャリブレーション値を算出し、更新するようにすることで、上り/下りリンクの信号を受信/送信中であっても高精度にRF送信/受信部のキャリブレーションを行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態におけるアレーアンテナ受信装置1の構成例を示すブロック図である。
図1においては、例としてB本(#1〜#B)のアンテナ素子を用いるアレーアンテナ(例:アダプティブアレーアンテナ)受信装置の構成を示す。また、本実施形態におけるアレーアンテナ受信装置1では、上りリンクの信号受信にマルチキャリア伝送方式、例えば、MC/DS−CDMA伝送方式が適用されるものとし、以下、説明を進める。なお、MC/DS−CDMA伝送方式は、DS−CDMA信号を複数のサブキャリアを用いて並列に伝送する方式であり、時間領域で拡散するDS−CDMAと本質的には変わらない。
同図において、このアレーアンテナ受信装置1は、B本のアンテナ素子11−1〜11−Bと、アンテナ素子に対応して設けられたデュープレクサ12−1〜12−Bと、RF受信部13−1〜13−Bと、測定ブランチ切替スイッチA14と、キャリブレーション値乗算部15−1〜15−Bと、測定ブランチ切替スイッチB16と、ゲイン調整部17と、キャリブレーション用RF送信部18と、キャリブレーション値測定部19と、キャリブレーション用参照信号発生器20と、から構成されている。なお、同図には、RF送信部31−1〜31−Bが点線で図示されているが、本実施形態には直接は関係ないのでその説明は省略する。
キャリブレーション用参照信号発生器20で発生させられるキャリブレーション用参照信号(ベースバンド信号)は、キャリブレーション値測定部19と、キャリブレーション用RF送信部18にそれぞれ入力される。キャリブレーション用参照信号の生成方法については後述する。
キャリブレーション用参照信号は、逆高速フーリエ変換(図示省略)により直交したサブキャリアに変換された後、キャリブレーション用RF送信部18に入力され、同部18においてフィルタリング、RF帯への周波数変換等の処理が施されてRF送信信号に変換される。その後、ゲイン調整部17でゲイン調整が施され、各ブランチからの送信出力として、デュープレクサ12−1〜12−Bで分配されてRF受信部13−1〜13−Bへと入力される。その後、逆拡散、高速フーリエ変換(図示省略)されて、サブキャリア毎の受信ベースバンド信号となり、測定ブランチ切替スイッチA14で測定ブランチ毎に出力が切替えられてキャリブレーション値測定部19に入力される。
キャリブレーション値測定部19は、各ブランチのRF受信部通過後の各サブキャリア・各ブランチ・送信出力毎のキャリブレーション値を、キャリブレーション用参照信号発生器20で発生させられた参照信号を用いて測定(算出)し、その結果をキャリブレーション値乗算部15−1〜15−Bに出力する。
キャリブレーション値測定部19から出力されるキャリブレーション値は、キャリブレーション値乗算部15−1〜15−Bにおいて高速フーリエ変換後の各サブキャリアの送信ベースバンド信号と乗算される。これにより、各サブキャリアの受信信号に対する振幅/位相偏差の補正が行われる。
次に、キャリブレーション用参照信号発生器20で発生させられるキャリブレーション用参照信号の生成法について、図2を参照しながら説明する。図2はキャリブレーション用参照信号のスペクトラムを示す図である。本実施形態におけるキャリブレーション用参照信号の生成法は、拡散信号を用いて(広帯域信号)キャリブレーション用の参照信号を生成する場合と、拡散信号を用いない(非拡散信号(狭帯域信号))でキャリブレーション用の参照信号を生成する場合の2つに大別される。例えば、上りリンクの無線アクセス方式にマルチキャリア伝送方式、例えば、MC/DS−CDMA、MC−CDMA等が用いられる場合は、拡散信号を用いてキャリブレーション用の参照信号を生成し、OFDMが用いられる場合は、拡散信号を用いないでキャリブレーション用の参照信号を生成する。以下、具体例について説明する。
1.拡散信号を用いてキャリブレーション用参照信号を生成する場合
(キャリブレーション用参照信号の生成法1)
キャリブレーション用参照信号の生成法1は、上りリンクのサブキャリアの帯域幅と同等(チップレートと同等)の拡散信号(通信チャネルに対して直交又は非直交)で拡散したキャリブレーション用の参照信号をサブキャリア毎に生成する(同図(a)参照)。
本生成法によれば、実際の通信信号がRF受信部を通過するときの伝達特性(振幅/位相偏差)が再現されるようにキャリブレーション用参照信号が生成される。そして、キャリブレーション値測定部19が、上記生成されたキャリブレーション用参照信号とRF受信部13−1〜13−B通過後のサブキャリア毎の受信ベースバンド信号を比較することにより、各サブキャリアにおける振幅/位相偏差を高精度に測定することができる。
(キャリブレーション用参照信号の生成法2)
キャリブレーション用参照信号の生成法2は、上りリンクの無線アクセス方式として、第4世代移動通信で検討されている上りリンク可変拡散率・チップ繰り返しファクタ(VSCRF)−CDMA方式が用いられる場合の生成法であって、通信チャネルに対して直交で拡散するとともに、通信チャネルに対して直交したチップ繰り返しパターンを用いてキャリブレーション用参照信号を生成する(同図(b)参照)。
本生成法によれば、各ユーザの通信チャネルと直交したチップ繰り返しパターンを用いるキャリブレーション用参照信号を生成することができる。
(キャリブレーション用参照信号の生成法3)
キャリブレーション用参照信号の生成法3は、全サブキャリアの全帯域幅と同等の拡散符号(通信チャネルに対して非直交)で拡散したキャリブレーション用参照信号を生成する(同図(c)参照)。
本生成法によれば、全周波数帯域で平均化した値をキャリブレーション用参照信号として生成する。また、サブキャリア毎の周波数変動が小さい場合には、本生成法では、サブキャリア毎に信号が生成されないため、キャリブレーション用参照信号20の構成を簡略化できる。
2.拡散信号を用いないでキャリブレーション用参照信号を生成する場合
(キャリブレーション用参照信号の生成法4)
キャリブレーション用参照信号の生成法4は、各サブキャリアの中心周波数毎に非拡散(狭帯域)のキャリブレーション用参照信号を生成する(同図(d)参照)。
本生成法によれば、キャリブレーション用参照信号の拡散を行う必要がないため、キャリブレーション用参照信号生成部20の構成を簡略化することができる。
(キャリブレーション用参照信号の生成法5)
キャリブレーション用参照信号の生成法5は、全サブキャリアの中心周波数に狭帯域のキャリブレーション用信号を生成する(同図(e)参照)。
本生成法によれば、キャリブレーション用信号の拡散を行う必要がなく、さらに、サブキャリア毎にキャリブレーション用参照信号を生成する必要がないため、キャリブレーション用参照信号生成部20の構成を大幅に簡略化することができる。
(キャリブレーション用参照信号の生成法6)
キャリブレーション用参照信号の生成法6は、多数の狭帯域信号を全サブキャリアの帯域幅にわたり一様に生成する(同図(f)参照)。
本生成法によれば、各周波数毎の振幅/位相偏差を求めることができ、高精度にキャリブレーションを実行することが可能である。
このように本実施形態によれば、拡散信号に基づき生成されるキャリブレーション用参照信号と、非拡散信号に基づき生成されるキャリブレーション用参照信号を上りの無線アクセス方式に応じて使い分けることが可能となり、結果、アクセス方式に依存しない柔軟なアレーアンテナ受信装置におけるキャリブレーションを実現することができる。
上記実施形態では、キャリブレーション値測定部19で算出されるキャリブレーション値をキャリブレーション値乗算部15−1〜15−Bに出力する態様を例示したが、以下に示す第2の実施形態では、キャリブレーション値測定部19で算出されるキャリブレーション値がキャリブレーションテーブルとして生成されメモリ(図示省略)に記憶される。以下、具体例について説明する。
(第2の実施形態)
本実施形態に係るアレーアンテナ受信装置2の構成を図3に示す。
本実施形態に係るアレーアンテナ受信装置2は、図3に示すように、図1に示すアレーアンテナ受信装置1と基本的構成を同様とするが、キャリブレーションテーブル更新部40と、自動増幅利得部記憶部41と、を新たに備える点で相違する。したがって、以下では、同一の構成要素についてはその説明は省略し、第1の実施形態との相違点について詳述する。
図3において、本実施形態では、キャリブレーション値測定部19は、サブキャリア毎に、RF受信部13−1〜13−Bに備えられる自動増幅利得制御部(=AGC回路)の増幅利得毎のブランチ間のRF受信部13−1〜13−Bキャリブレーション値を、キャリブレーションテーブル更新部40に出力する。自動増幅利得記憶部41は、キャリブレーション値測定時におけるAGC回路の増幅利得量を記憶する。
キャリブレーションテーブル更新部40は、上記キャリブレーション値測定部19から出力される自動増幅利得毎・サブキャリア毎・ブランチ毎に異なるキャリブレーション値をキャリブレーションテーブルとして生成し、その結果をメモリに記憶する。
図4は、キャリブレーションテーブル更新部40で生成されるキャリブレーションテーブル生成例を示す図である。
同図に示すように、このキャリブレーションテーブルは、3次元配列であり、それぞれの次元が空間のX軸、Y軸、Z軸の座標に対応している。そして各要素は、ブランチのX軸、自動増幅利得記憶部41から出力される自動増幅利得のY軸、サブキャリア(ブロック)のZ軸といったデータ形式で格納されている。ここで、Ci,j,kは、キャリブレーション値(振幅/位相偏差)を示し、iはブランチ、jは自動増幅利得量、kはサブキャリア(ブロック)を示す。例えば、このキャリブレーションテーブルから、空間座標(1,1,1)のキャリブレーション値はC1,1,1であり、ブランチBr#1、自動増幅利得量「1」、サブキャリア「1」ということがわかる。すなわち、このようなキャリブレーションテーブルを用いることにより、増幅利得毎・サブキャリア毎・ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて受信信号の振幅/位相偏差を補正することが可能となる。
上記のようにして生成されるキャリブレーションテーブルは、まず、アレーアンテナ受信装置2の設置時(実際の上りリンクの信号を受信する前(オフライン状態ともいう))に初期テーブルとして生成されメモリに蓄えられる。
ところで、上りリンクにおける受信レベルは、フェ−ジングやシャドウイングの影響を受けて時間的に変動する。AGC回路の自動増幅利得は、こうした受信レベルの変動に応じて変動する。また、温度変化・経年変化により、AGC回路の自動増幅利得値に対するキャリブレーション値が変動する。そこで、本実施形態では、AGC回路の自動増幅利得値が変動する度に、RF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーションを行い、変動後の自動増幅利得値におけるキャリブレーション値を算出し、算出した値を用いてキャリブレーションテーブルを更新する。例えば、図5に示すキャリブレーションテーブル更新法にしたがってキャリブレーションテーブルの更新がなされる。
同図(a)は、キャリブレーションテーブルの初期値の一例を示している。ここでは、説明を平易にするため、2次元で配列されたキャリブレーションテーブルを用い、X軸をブランチ、Y軸をAGC回路の自動増幅利得値とする。
アレーアンテナ受信装置2において、上りリンクの信号の受信が開始(オンライン状態ともいう)され、キャリブレーション値測定部19においてあるAGC増幅利得値Gへの変動が検出されると、変動後のAGC増幅利得値Gのときの、あるブランチ、あるサブキャリアにおけるキャリブレーション値が算出され、その結果がキャリブレーションテーブル更新部40に出力される。
キャリブレーションテーブル更新部40は、キャリブレーション値測定部19から受けとった上記算出結果に基づきキャリブレーションテーブルを更新する(同図(b)のb1行が更新される)。ここで、更新前のキャリブレーション値をCi,j,k(i:ブランチ、j:自動増幅利得値、k:サブキャリア)、更新後のキャリブレーション値をC´i,j,kとする。なお、本実施形態におけるキャリブレーション値の具体的な更新式(計算式)については後述する。
続いて、キャリブレーション値測定部19は、AGC増幅利得値がG→Gに変動したことを検出すると、変動後のAGC増幅利得値Gにおける各ブランチ(ここでは、各サブキャリアは省略している)毎のキャリブレーション値を算出し、その結果をキャリブレーションテーブル更新部40に出力する。
キャリブレーションテーブル更新部40は、上記算出結果に基づいて、キャリブレーションテーブルの更新を行う(同図(c)のc2行が更新される)。以下、同様にしてAGC増幅利得値が変動G→G→Gとする度にキャリブレーション値測定部19においてキャリブレーション値が算出され、キャリブレーションテーブル更新部40においてキャリブレーションテーブルが逐次更新される。
次に、キャリブレーション値の更新式について説明する。
キャリブレーション値の更新法としては、以下の方法が考えられる。更新前のキャリブレーション値をCi,j,k(i:ブランチ、j:AGC増幅利得値、k:サブキャリア)、更新後のキャリブレーション値をC´i,j,kとし、かつAGC回路の増幅利得変動後(j=Jとする)に測定したキャリブレーション値をDi,J,kとすると、キャリブレーション更新値は下記式(1)〜(3)式のいずれかにしたがって算出される。
(式1)
C´i,J,k=Di,J,k
上記式1は、AGC増幅利得値が変動した後に測定したキャリブレーション値を更新値としてそのまま用いる方法である。
(式2)
C´i,J,k=A×Ci,J,k+(1−A)×Di,J,k
ここで、Aは忘却係数(固定値)を表す。
上記式2は、キャリブレーション更新値を算出するのに忘却係数を用いる方法である。本式における忘却係数は、以下の理由で導入される。
AGC回路の増幅利得値の変動が緩やかであればキャリブレーションの実行時間を長くすることができるため、比較的精度の高いキャリブレーション更新値を得ることが可能であるが、フェージングにより受信レベルが高速に変動し、AGC回路の増幅利得値の変動が激しいような場合、キャリブレーションの実行時間が短くなり、精度よくキャリブレーションを行うことは難しい。本方法2は、このような状況を考慮したもので、AGC回路の増幅利得値変動後に測定したキャリブレーション値を、忘却係数を用いて徐々に忘却させて更新することで、AGC増幅利得値の変動が激しいような場合であっても、十分な精度でキャリブレーションを行うことが可能である。
また、忘却係数の値を、AGC回路の増幅利得値の変動時間に応じて変更することも可能である。
(式3)
i,j,kの測定時間をTとすると、
(a)T≦Tmaxの場合(Tmax:定数)、
C´i,J,k=(1−T/Tmax)A×Ci,J,k+T/Tmax×Di,J,k
(b)T>Tmaxの場合、
C´i,J,k=Di,J,k
上記式(3)は、上記式(1)と式(2)を、AGC回路の増幅利得値の変動後に測定されるキャリブレーションテーブル値Di,J,kに応じて切替える方法である。例えば、キャリブレーション値を測定する最大測定時間をTmaxとして定め、上記Di,J,kの測定時間Tが、Tmax以下であれば上記(b)式を用い、測定時間Tが、Tmax以上であれば上記(a)式を用いる。
以上説明したように、本実施形態によれば、RF受信部13−1〜13−B内のAGC回路の増幅利得が変動する度に、RF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーショを行い、キャリブレーション値測定中のAGC回路の増幅利得における各ブランチ、各サブキャリアでのキャリブレーション測定値を用いてキャリブレーション値を更新するようにしたので、受信レベルの変動、あるいは温度変化・経年変化により、AGC回路の増幅利得値に対するキャリブレーション値が大きく変化するような場合であっても、実際の上りリンクの信号の受信中(オンライン)に高精度でAGC増幅利得毎のRF受信部キャリブレーションを行うことが可能である。
上記した図5に示すキャリブレーションテーブル更新法では、変動後のAGC増幅利得値における各ブランチ、各サブキャリア毎のキャリブレーション値のみ更新する態様を例示したが、本発明におけるキャリブレーションテーブル更新法はこのような方法に限定されない。以下、キャリブレーションテーブル更新法の変形例について、図6を用いて説明する。
図6に示すキャリブレーションテーブル更新法は、AGC増幅利得値が変動する度にRF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーションを行い、その都度、各ブランチ、各サブキャリア毎、各AGC増幅利得値でのキャリブレーション値全てを更新する。
同図(a)は、キャリブレーションテーブルの初期値(オフライン状態)の一例を示しており、実際の上りリンクの信号を受信する前にRF受信部のキャリブレーションを行い、そのキャリブレーションで得られた各ブランチ、各AGC増幅利得値、各サブキャリアのキャリブレーション値Ci,j,kをテーブルに反映したものである。また、図5同様、キャリブレーションテーブルは2次元配列で構成され、X軸をブランチ、Y軸を自動増幅利得値としている。
次に、アレーアンテナ受信装置2において上りリンクの信号が受信され(オンライン状態)、キャリブレーション値測定部19でAGC増幅利得値がGに変動したことが検出されると、キャリブレーション値測定部19は、キャリブレーションを行っている際に、変動後のAGC増幅利得値G1でのキャリブレーション値C´i,G1,kを求め、以下の算出式(4)に従い全てのAGC増幅利得値でのRF受信部13−1〜13−Bにおけるキャリブレーション値C´i,j,kを算出し、結果をキャリブレーションテーブル更新部40に出力して同テーブルを更新させる(同図(b)参照)。
(式4)
C´i,j,k=Ci,j,k×(C´i,G1,k/Ci,G1,k
なお、Ci,J,kは、キャリブレーション前のAGC増幅利得G1でのキャリブレーション値を表す。
以下、同様にしてAGC回路の増幅利得値が変動する度に、変動後のAGC増幅利得値でのキャリブレーション値C´i,j,kが求められ、上記式(4)にしたがって全てのAGC増幅利得値でのRF受信部13−1〜13−Bにおけるキャリブレーション値C´i,j,kが算出され、キャリブレーションテーブルが更新される(同図(c)、(d)参照)。
上述したように本実施形態によれば、キャリブレーションテーブル全体を、更新前のキャリブレーション値と更新後のキャリブレーション値との比に基づいて、一様に更新することにより、AGC回路の増幅利得値が受信レベル、あるいは温度変化・経年変化によって相対的に変動するような場合であっても、高精度にAGC回路の増幅利得毎にRF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーション値を得ることが可能である。
ところで、RF受信部13−1〜13−B内のAGC回路は、上述の如く、受信レベルに応じて増幅利得値を変化させるが、その変化させる幅は一般にステップサイズと呼ばれている。このステップサイズは、AGC回路に後段するA/D変換部(図示省略)での量子化誤差による特性劣化を極力低減するという観点から、図7(a)に示すように、1dB程度に設定される場合が多い。
また、キャリブレーションテーブルはAGC増幅利得毎、すなわちY軸をステップサイズとするため、ステップサイズを1dBのように小さく設定すると、A/D変換部における入力ダイナミックレンジに比例するAGC増幅利得の数(テーブル上のY軸の数)が必要となり、テーブルを記憶するメモリ容量の大型化招き装置実装上の点で望ましくない。そこで、本実施形態では、AGC回路のステップサイズを従来と比して数dB〜10dB程度に大きく設定する。これにより、同図(b)に示されるように、受信レベルの変動によるAGC増幅利得の変動を減少させることができ、各AGC増幅利得値でのキャリブレーション値の測定時間を長くすることができる効果を奏す。その結果、RF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーションを精度良く行うことができる。
また、キャリブレーションテーブル上のAGC増幅利得の縦軸のレンジを縮小することができ、キャリブレーションテーブルを記憶するメモリ容量の増大を防ぐことができる。
上述した本発明におけるアレーアンテナ受信装置におけるキャリブレーション値更新法の原理は、送信側のアレーアンテナ送信装置においても適用することができる。
図8は、本発明の実施の形態におけるアレーアンテナの送信装置3の構成例を示すブロック図である。
本実施形態におけるアレーアンテナの送信装置3は、図8に示されるように、B本のアンテナ素子11−1〜11−Bと、アンテナ素子11−1〜11−Bに対応して設けられたデュープレクサ12−1〜12−Bと、RF送信部(送信回路)31−1〜31−Bと、逆高速フーリエ変換部(IFFT(Inverse Fast Fourier Transform))51−1〜51−Bと、測定ブランチ切替スイッチA52と、キャリブレーション値乗算部53−1〜53−Bと、測定ブランチ切替スイッチB54と、キャリブレーション用RF受信部55と、高速フーリエ変換部(FFT(Fast Fourier Transform))56と、キャリブレーション値測定部57と、キャリブレーションテーブル更新部58と、高出力増幅器出力レベル記憶部59と、から構成されている。また、本実施形態におけるアレーアンテナ送信装置3では、下りリンクの信号送信にマルチキャリア伝送方式、例えば、MC−CDMA伝送方式やCDMAの拡散率を可変にしたVSF−OFCDM(Variable Spreading Factor Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)伝送方式が適用されるものとし、以下、説明を進める。
本実施形態におけるアレーアンテナ送信装置3では、同一シンボルがサブキャリア分だけコピーされ、それぞれに拡散符号が乗算された後、逆高速フーリエ変換部51−1〜51−Bにおいて逆フーリエ変換されて直交マルチキャリア信号(送信信号)に変換される。
RF送信部31−1〜31−Bに入力された送信信号は、フィルタリング、RF帯への周波数変換等の処理が施されてデュープレクサ12−1〜12−Bを介して各アンテナ(#1〜#B)11−1〜11−Bに供給される。
デュープレクサ12−1〜12−Bで分岐されるRF帯の送信信号(以下、RF送信信号という)は、測定ブランチ切替スイッチB54で測定ブランチ毎にスイッチが切替えられ、ブランチ毎のRF送信信号がキャリブレーション用RF受信部55に入力される。
キャリブレーション用RF受信部55は、受信したRF送信信号に対し、フィルタリング、ベースバンド帯への周波数変換等の処理を施し、高速フーリエ変換部56に出力する。そして、高速フーリエ変換部56で、入力信号に対する高速フーリエ変換処理が施されることにより、サブキャリア毎の受信信号が得られる。このようにして得られたサブキャリア毎の受信信号はキャリブレーション値測定部57に入力される。
キャリブレーション値測定部57は、サブキャリア毎のキャリブレーション値を算出する機能を備える。本実施形態におけるアレーアンテナ送信装置3においては、下りリンクの実際の送信信号を参照信号として用いる。具体的には、キャリブレーション値測定部57は、測定ブランチ切替スイッチA52で切替えられて出力される逆フーリエ変換前の各サブキャリア・各ブランチの送信ベースバンド信号に対する、フーリエ変換後の各サブキャリア・各ブランチ・RF送信部31−1〜31−B内の高出力増幅器(図示省略)の出力レベル(送信出力レベル)毎のキャリブレーション値を算出し、その結果をキャリブレーションテーブル更新部58に出力する。高出力増幅器出力レベル記憶部59は、キャリブレーション値測定時におけるキャリブレーション値を記憶する。
キャリブレーションテーブル更新部58は、上記キャリブレーション値測定部57から出力される送信出力毎・サブキャリア毎・ブランチ毎に異なるキャリブレーション値をキャリブレーションテーブルとして生成し、その結果をメモリに記憶する。
図9は、キャリブレーションテーブル更新部58で生成されるキャリブレーションテーブルの生成例を示す図である。本キャリブレーションテーブルは、前述した図4に示すアレーアンテナ受信装置におけるキャリブレーションテーブルと基本的に同様であり、Y軸が高出力増幅器での増幅後の出力レベルを表すという点のみ異なる。すなわち、サブキャリア毎に、高出力増幅後(もしくは増幅前)の送信出力レベル毎のブランチ間のRF送信部31−1〜31−Bにおけるキャリブレーション値が同テーブルに反映される。換言すれば、このようなキャリブレーションテーブルを参照することにより、高出力増幅後の出力レベル毎・サブキャリア毎・ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて送信信号の振幅/位相偏差を補正することが可能となる。
上記のようにして生成されるキャリブレーションテーブルは、まず、アレーアンテナ送信装置3の設置時(実際の下りリンクの信号を送信する前(オフライン状態))に初期テーブルとして生成されメモリに蓄えられる。
ところで、下りリンクにおける送信出力レベルは、送信電力制御が行われることにより、時間的に変動する。また、温度変化・経年変化により、高出力増幅器の送信出力レベルに対するキャリブレーション値が変動する。そこで、本実施形態では、高出力増幅器の送信出力レベルが変動する度に、RF送信部31−1〜31−Bのキャリブレーションを行い、変動後の送信出力レベルにおけるキャリブレーション値を算出し、算出した値を用いてキャリブレーションテーブルを更新する。例えば、図10に示すキャリブレーションテーブル更新法にしたがってキャリブレーションテーブルの更新がなされる。本実施形態におけるキャリブレーションテーブル更新法の基本的な原理は、前述した図5に示すRF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーションテーブル更新法と同様である。図5に示すRF受信部13−1〜13−Bのキャリブレーションテーブル更新法が変動後の増幅利得値におけるキャリブレーション値を算出するのに対し、RF送信部31−1〜31−Bのキャリブレーションテーブル更新法は、送信出力レベルが変動する度にRF送信部31−1〜31−Bのキャリブレーションを行い、変動後の送信出力に対する各ブランチ・各サブキャリア毎のキャリブレーション値を更新する。
すなわち、本実施形態によれば、RF送信部31−1〜31−B内の高出力増幅器の送信出力レベルが変動する度に、RF送信部31−1〜31−Bのキャリブレーショを行い、キャリブレーション値測定中の高出力増幅器の送信出力レベルにおける各ブランチ、各サブキャリアでのキャリブレーション測定値を用いてキャリブレーション値を更新するようにしたので、送信出力レベルの変動、あるいは温度変化・経年変化により、高出力増幅器の送信出力レベルに対するキャリブレーション値が大きく変化するような場合であっても、実際の下りリンクの信号の送信中(オンライン)に高精度で送信出力レベル毎のRF送信部キャリブレーションを行うことが可能である。なお、キャリブレーション更新式は上記式(1)〜(3)式のいずれかを用いればよい。
図11は、上記したキャリブレーションテーブル更新法の変形例であり、基本的な原理は、前述した図6に示すRF受信部のキャリブレーションテーブル更新法と同様である。本方法の場合、送信出力レベルが変動する度にRF送信部31−1〜31−Bのキャリブレーションが行われ、その都度、各ブランチ・各サブキャリア毎、各送信出力レベルでのキャリブレーション値を全て更新する。すなわち、本実施形態によれば、キャリブレーションテーブル全体を、更新前のキャリブレーション値と更新後のキャリブレーション値との比に基づいて、一様に更新することにより、キャリブレーションテーブル上の送信出力レベルが送信電力制御あるいは温度変化・経年変化によって相対的に変動するような場合であっても、高精度に送信出力レベル毎のRF送信部のキャリブレーション値を求めることが可能である。
また、上記実施形態において、アレーアンテナ受信装置におけるキャリブレーション用参照信号発生器20の機能が参照信号生成手段に、キャリブレーション値測定部19の機能が受信キャリブレーション値算出手段に、キャリブレーション値乗算部15−1〜15−Bの機能が補正手段に対応する。また、キャリブレーションテーブル更新部40の機能がテーブル記憶手段に対応し、キャリブレーション値測定部19とキャリブレーションテーブル更新部40の連携機能が第1の受信キャリブレーション値更新手段、第2の受信キャリブレーション値更新手段に対応する。
また、アレーアンテナ送信装置のキャリブレーション値測定部57の機能が受信キャリブレーション値算出手段に、キャリブレーション値乗算部53−1〜53−Bの機能が補正手段に対応し、キャリブレーションテーブル更新部58の機能がテーブル記憶手段に対応し、キャリブレーション値測定部57とキャリブレーションテーブル更新部58の連携機能が第1の送信キャリブレーション値更新手段、第2の送信キャリブレーション値更新手段に対応する。
本発明の実施形態におけるアレーアンテナ受信装置1の構成例を示すブロック図である。 キャリブレーション用参照信号の生成法を説明するための図である。 本発明の実施形態におけるアレーアンテナ受信装置2の構成例を示すブロック図である。 アレーアンテナ受信装置2におけるキャリブレーションテーブルの生成例を示す図である。 アレーアンテナ受信装置2におけるキャリブレーションテーブルの更新法(その1)を説明するための図である。 アレーアンテナ受信装置2におけるキャリブレーションテーブルの更新法(その2)を説明するための図である。 AGCステップサイズと制御周期を説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるアレーアンテナの送信装置3の構成例を示すブロック図である。 アレーアンテナ送信装置3におけるキャリブレーションテーブルの生成例を示す図である。 アレーアンテナ送信装置3におけるキャリブレーションテーブルの更新法(その1)を説明するための図である。 アレーアンテナ送信装置3におけるキャリブレーションテーブルの更新法(その2)を説明するための図である。 アダプティブアレーアンテナを用いた従来のRF無線送信回路の構成例を示すブロック図である。 アダプティブアレーアンテナを用いた従来のRF無線受信回路の構成例を示すブロック図である。
符号の説明
1、2 アレーアンテナ受信装置
3 アレーアンテナ送信装置
11−1〜11−B、101−1〜101−B アンテナ素子
12−1〜12−B デュープレクサ
13−1〜13−B RF受信部
14、52 測定ブランチ切替スイッチA
15−1〜15−B、53−1〜53−B キャリブレーション値乗算部
16、54 測定ブランチ切替スイッチB
17 ゲイン調整部
18 キャリブレーション用RF送信部
19、57 キャリブレーション値測定部
20 キャリブレーション用参照信号発生器
31−1〜31−B RF送信部
40、58 キャリブレーションテーブル更新部
41 自動増幅利得記憶部
51 逆高速フーリエ変換部(IFFT)
55 キャリブレーション用RF受信部
56 高速フーリエ変換部(FFT)
59 高出力増幅器出力レベル記憶部
102 デジタル/アナログ信号変換処理部
103 直交変調部
104、203 ミキサ(乗算器)
105 高出力増幅器
202 低雑音増幅器
204 帯域制限通過フィルタ
205 自動増幅利得制御部(AGC回路)
206 直交検波部
207 受信レベル測定部
208 アナログ/デジタル信号変換処理部

Claims (10)

  1. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナを具備するアレーアンテナ受信装置において、
    拡散信号又は非拡散信号を用いてキャリブレーション用の参照信号を生成する参照信号生成手段と、
    前記生成された参照信号を用いて前記複数のアンテナ素子の各々に対応して設けられた受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差を補正するに必要なキャリブレーション値を算出する受信キャリブレーション値算出手段と、
    前記算出されたキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行う補正手段と、
    を備えることを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  2. 請求項1に記載のアレーアンテナ受信装置において、
    前記参照信号生成手段は、拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、通信チャネルに直交する拡散符号を用いて拡散変調した拡散信号、または通信チャネルに直交する拡散後のチップ系列に対して所定の繰返し数分のチップ繰返しを適用したチップパターンを用いて当該参照信号を生成することを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  3. 請求項1に記載のアレーアンテナ受信装置において、
    前記参照信号生成手段は、拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、通信チャネルに対して非直交な拡散符号を用い、各サブキャリア毎、あるいは全サブキャリアの帯域幅で当該参照信号を生成することを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  4. 請求項1に記載のアレーアンテナ受信装置において、
    前記参照信号生成手段は、非拡散信号を用いて参照信号を生成する場合、各サブキャリア毎の中心周波数、あるいは全サブキャリア毎の中心周波数に当該参照信号を生成することを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載のアレーアンテナ受信装置において、
    受信信号がマルチキャリア信号であって、
    前記受信キャリブレーション値算出手段は、サブキャリア毎に、前記受信回路に具備される自動増幅利得制御部の増幅利得毎にブランチ間の受信回路のキャリブレーション値を算出し、その結果をテーブルとしてメモリに記憶させるテーブル記憶手段を備え、
    前記補正手段は、前記テーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  6. 請求項5に記載のアレーアンテナ受信装置において、
    前記受信キャリブレーション値算出手段は、前記自動増幅利得制御部の増幅利得が変動する度に、変動後の増幅利得値における各ブランチ、各サブキャリア毎のキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第1の受信キャリブレーション値更新手段を備え、
    前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  7. 請求項5に記載のアレーアンテナ受信装置において、
    前記受信キャリブレーション値算出手段は、前記自動増幅利得制御部の増幅利得が変動する度に、その都度、各ブランチ、各サブキャリア毎、各増幅利得値におけるキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第2の受信キャリブレーション値更新手段を備え、
    前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される増幅利得毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記受信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴とするアレーアンテナ受信装置。
  8. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナを具備するアレーアンテナ送信装置において、
    送信信号がマルチキャリア信号であって、
    サブキャリア毎に、前記複数のアンテナ素子の各々に対応して設けられた送信回路に具備される増幅器の送信出力毎に、該送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差を補正するに必要なキャリブレーション値を算出する送信キャリブレーション値算出手段と、
    前記算出されたキャリブレーション値をテーブルとしてメモリに記憶させるテーブル記憶手段と、
    前記テーブルに記憶されたキャリブレーション値を用いて、前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行う補正手段と、
    を備えることを特徴とするアレーアンテナ送信装置。
  9. 請求項8に記載のアレーアンテナ送信装置において、
    前記送信キャリブレーション値算出手段は、前記増幅器の送信出力が変動する度に、変動後の送信出力値における各ブランチ、各サブキャリア毎のキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第1の送信キャリブレーション値更新手段を備え、
    前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される送信出力毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴とするアレーアンテナ送信装置。
  10. 請求項8に記載のアレーアンテナ送信装置において、
    前記送信キャリブレーション値算出手段は、前記増幅器の送信出力が変動する度に、その都度、各ブランチ、各サブキャリア毎、各送信出力値におけるキャリブレーション値を算出し、その算出結果を基に前記テーブルの内容を更新させる第2の送信キャリブレーション値更新手段を備え、
    前記補正手段は、前記更新されたテーブルに記憶される送信出力毎、サブキャリア毎、ブランチ毎に異なるキャリブレーション値を用いて前記送信回路のブランチ間に発生する振幅偏差と位相偏差の補正を行うことを特徴とするアレーアンテナ送信装置。
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