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JP2005344870A - 真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫 Download PDF

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JP2005344870A JP2004166762A JP2004166762A JP2005344870A JP 2005344870 A JP2005344870 A JP 2005344870A JP 2004166762 A JP2004166762 A JP 2004166762A JP 2004166762 A JP2004166762 A JP 2004166762A JP 2005344870 A JP2005344870 A JP 2005344870A
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Tomonao Amayoshi
智尚 天良
Takeshi Katsube
毅 勝部
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】ガラス繊維を芯材とした真空断熱材を適用した真空断熱材において、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫の断熱箱体を破砕粉砕してガラス繊維が飛散した場合にも、人体への影響懸念を完全に払拭することが可能な真空断熱材を提供する。
【解決手段】ボード状芯材2と、芯材2を被覆するガスバリア性の外包材3とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材1であって、ボード状芯材2がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、ウェブ間は交絡により結合され、ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値40以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材、及び真空断熱材を適用した冷蔵庫に関するものである。
近年、地球環境保護の視点から省エネルギーや省資源に対して、多種多様な取り組みがなされている。
まず、省エネルギーの観点では、従来から真空断熱材を断熱箱体の内箱と外箱の間に配設し、硬質ウレタンフォームで一体発泡して高断熱性能の箱体を形成する技術が提案されている。
しかし、近年、省エネルギー化の要請が一層高まるにつれて、断熱箱体においては、真空断熱材の使用面積を大幅に増大して断熱性能を向上させると共に、真空断熱材そのものの断熱性能を向上させることが必要となってきている。
そのため、真空断熱材の芯材には、固体成分の熱抵抗が大きく断熱性能の改善がより効率的なガラス繊維を利用することが多くなっている。例えば、真空断熱材が、断熱箱体の両側面、天面、背面、底面、及びドア面の各面に配設され、その芯材が無機繊維集合体をバインダーで結着した冷蔵庫がある(例えば、特許文献1参照)。
一方、省資源の観点では、冷蔵庫やテレビなどの廃家電製品のリサイクルが極めて重要なテーマとなっており、特に冷蔵庫ではリサイクル率の増大を目的に様々な取り組みがなされている。
これら取り組みの一例としては、真空断熱材を適用した冷蔵庫のリサイクルを効率的に行うことを目的として、内箱、外箱、及び真空断熱体に予め剥離層を付与することにより、前記構造体はポリウレタンフォームと直接接着されず容易に分離可能な冷蔵庫を提供できることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記方法ではリサイクルに関する処理費用が嵩むことから、一般的には、冷蔵庫の再資源化、とりわけ真空断熱材を含む主要構成物である断熱箱体に対しては、断熱箱体を破砕後、磁力選別や風力選別等で分離分別することで、有価物だけを取り出し再利用する場合が殆どとなっている。
一例として、図6に従来の廃家電処理のフローチャートを示す。ストックヤード61の廃棄物は供給装置62によって前処理装置63に供給され、前処理装置63は冷媒回収手段64、大型硝子取り出し手段65、金属塊分別手段66からなり、それぞれの廃棄物に応じた前処理が行われる。
廃棄物は破砕装置67で破砕され、軽量物分別装置68で発泡成形材を分離し、金属分別装置69で鉄系金属、非鉄系金属を分別し、この後、プラスチック分別装置72で塩化ビニール系のプラスチックを分離し、また金属塊は冷凍破砕装置76で破砕される。
一方、軽量物分別装置68で分別された発泡成形材は、発泡剤回収装置79で発泡剤と樹脂に分離され回収される(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
特許第3488229号公報 特許第3204817号公報 特開平5−147040号公報 特開平11−151481号公報
真空断熱材の芯材に使用されるガラス短繊維は、ソーダ石灰ガラスと呼ばれる非晶質のガラス組成物であり、一般には、これを吸入しても有害な健康被害を引き起こすことはないと考えられる。仮に、ガラス繊維の粉塵を吸入した場合にも、比較的短時間でガラス繊維は排出、或いは熔解されると考えられている。
しかし、欧州における特定の国、特にドイツにおいては、独自に非晶質の従来ガラス組成物からなるガラス繊維の暴露に関してもより厳しい使用規制を提案しているため、これらの提案に適合するガラス繊維組成物を使用することで、余計な摩擦を回避することができる。
一方、真空断熱材においては、芯材にガラス繊維を使用したとしても通常の取り扱いレベルでは、ガラス繊維が露出することはなく、ユーザーがガラスに暴露することはない。また、その真空断熱材を使用した冷蔵庫においては、一般ユーザーがガラス繊維と直接接触する可能性は全くといって皆無である。
ガラス繊維を芯材とした真空断熱材を適用した冷蔵庫において、唯一、ガラス繊維が人と接触すると考えられるのは、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫を破砕粉砕する場合である。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫の断熱箱体を破砕粉砕してガラス繊維が飛散した場合にも、人体への影響懸念を完全に払拭することが可能な真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を提供するものである。
また、ドイツの規制を低コストでクリアすることができる真空断熱材に適したガラス組成物からなるガラス繊維を適用した真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を提供するものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の真空断熱材は、ボード状芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記ボード状芯材がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は交絡により結合され、前記ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値40以上である真空断熱材、及び前記真空断熱材を具備する冷蔵庫である。
よって、ドイツにおいて殆ど発ガン性がないと考えられているKI値40以上のガラス組成物から成るガラス繊維を真空断熱材の芯材に適用しているため、たとえ、ガラス繊維が暴露された場合にも人に対する影響懸念を議論する必要は一切ない。
なお、ドイツにて提案されているKI値と称される数値指標は、次式から計算することができる。
KI=Σ(Na2O、K2O、CaO、MgO、BaO、B23)−2Al23
この時、30未満は発ガン性の可能性があり、30以上40未満は弱い発ガン性があるかもしれない、更に40以上は殆ど発ガン性がないと考えられている。この結果から、ドイツの提案では、アルミナの含有量が厳しく制限されていること、またシリカがこの数値指標の算出に含まれていないことが判る。
本発明の真空断熱材は、ドイツにおいて問題視されているガラス繊維の使用規制に関する提案に対してもクリアすることができ、ドイツにおいても人体への影響懸念を完全に否定することが可能な真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を提供するものである。
よって、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫の断熱箱体を切断、或いは破砕粉砕した場合に、仮にガラス繊維が飛散し作業者が暴露した場合にも、人体への影響懸念に関する議論を実施する必要はない。
また、KI値40以上のガラス組成物は、耐水性、耐候性等の耐久性が大幅に低下する場合が殆どであり、KI値40以上のガラス組成物において前記諸物性を満足させるには大幅なコストUPとなっていた。しかし、前記ガラス組成物を真空断熱材の芯材に適用する場合は、ガラス繊維が減圧雰囲気下で使用されるため前記物性の品質レベルが低い場合にも実質上の問題が生じることはない。よって、低コストでドイツの規制をクリアするガラス組成物が製造できる。
以上の理由から、ドイツにおいて、疑いなく安全と考えられているガラス組成物からなるガラス繊維を適用した真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を低コストで提供することができる。
請求項1に記載の発明は、ボード状芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記ボード状芯材がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は交絡により結合され、前記ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値40以上である真空断熱材である。
よって、ドイツにおいて殆ど発ガン性の疑いがないと考えられているKI値40以上のガラス組成物から成るガラス繊維を真空断熱材の芯材に適用しているため、ドイツにおいてでさえ、たとえ、ガラス繊維が暴露された場合にも人体への影響懸念に関する議論を実施する必要はない。
請求項2に記載の発明は、ボード状芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記ボード状芯材がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は交絡により結合され、前記ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値30以上40未満である真空断熱材である。
よって、KI値30以上40未満であることから、ドイツにおいては弱い発ガン性があるかもしれないと考えられるが、ガラス組成物の耐水性、耐候性、及び耐熱性等の諸物性の低下レベルが小さくより高品質なガラス繊維が低コストで提供できるため、真空断熱材の芯材以外への適用についてもより容易となる。
また、前記真空断熱材を適用した冷蔵庫のリサイクル処理時においては、真空断熱材は冷蔵庫の断熱箱体として破砕粉砕されるため、ガラス繊維の微粉砕物は他の素材に絡まりつき希釈され粉塵中のガラス繊維濃度は極めて小さくなる。よって、ガラス繊維のKI値が30以上40未満ではあるが安全性が低下するものではないと推測される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明におけるガラス組成物が、BaO及びB23の含量の合計が10重量%未満である請求項1または2に記載の真空断熱材である。
生物溶解性、または生物分解性に優れたKI値40以上のガラス組成物は、その製品耐久性の向上と繊維化時の生産性を改善するため、BaO或いはB23の含量を大幅に増大する取り組みが一般的である。しかし、真空断熱材の芯材に適用するガラス組成物の場合は、比較的低い耐久性であっても芯材としての実質的な品質には問題がばなく、BaO及びB23の含量の合計が従来同等レベルの10重量%未満でも問題がないことが判った。
よって、請求項1または2に記載の作用に加えて、BaO及びB23の含量の合計が10重量%未満で、より低コストでKI値の大きいガラス短繊維が製造可能となることから、低コストで真空断熱材を製造できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材において、真空断熱材の材料種別を表示または記録したものである。
よって、真空断熱材の材料種別が破砕前に容易に確認できるため、破砕、分別、及び廃棄処理方法について、更にはリサイクル処理の方法について容易に判断できることから、作業性やリサイクル性の高効率化、作業環境の改善を実現することができる。
請求項5に記載の発明は、少なくとも冷蔵機能を有する冷蔵庫の外箱と内箱とで形成される空間に硬質樹脂フォームを充填した断熱箱体または断熱ドア体の少なくともいずれかにおいて、前記内箱と前記外箱との間に請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材を具備する冷蔵庫である。
本発明の真空断熱材は、ドイツにおいて問題視されているガラス繊維の使用規制に関する提案に対してもクリアすることができるガラス組成物を芯材に適用することで、ドイツにおいても人体への影響懸念を完全に否定することが可能な真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を提供することができる。
よって、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫の断熱箱体を切断、或いは破砕粉砕した場合に、仮にガラス繊維が飛散し作業者が暴露した場合にも、人体への影響懸念に関する議論を実施する必要は全くない。
また、KI値40以上のガラス組成物は、耐水性、耐候性等の耐久性が大幅に低下することが殆どであり、KI値40以上のガラス組成物において前記諸物性を満足させるには大幅なコストUPとなっていた。しかし、KI値40以上のガラス組成物を真空断熱材の芯材に適用する場合は、ガラス繊維が減圧雰囲気下で使用されるため前記物性の品質レベルが低い場合にも実質的な問題が生じることはない。よって、低コストでドイツの規制をクリアするガラス組成物が製造できる。
よって、ドイツにおいてより安全と考えられているガラス組成物からなるガラス繊維を適用した真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を低コストで提供することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、真空断熱材の材料種別を表示または記録した冷蔵庫である。
よって、真空断熱材の材料種別が破砕前に容易に確認できるため、破砕、分別、及び廃棄処理方法について、更にはリサイクル処理の方法について容易に判断できることから、作業性やリサイクル性の高効率化、作業環境の改善を実現することができる。
なお、本発明で使用できるガラス短繊維は、特に限定するものではないが、KI値30以上のガラス組成物で、かつ繊維化できるガラス組成物であれば特に問題なく使用できる。
より望ましくは、ガラス短繊維のガラス組成物は熱伝導率と歪点とが低いもの、かつガラス短繊維の集合体がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は集合体の一体性が保持できる必要最低限の交絡により結合され、厚み方向に均質に積層配列されたものが好適である。具体的には、汎用的な工業製品としてはグラスウールが安価、かつ取り扱い性の観点からより望ましい。
また、前記ガラス集合体をボード化するためにバインダーを利用しても良いが、断熱性能を改善するにはバインダーの使用を避け、ガラス組成物の歪点から歪点より80℃低い温度範囲のいずれかの温度で加熱圧縮成形するのが望ましい。
また、繊維径は、特に指定するものではないが、繊維径が微細なものがより優れた断熱性能が得られることは既に公知であるが、経済性の観点からは平均繊維径が3〜5μmのものを使用するのが望ましい。
一方、本発明の外包材は、プラスチックラミネートフィルムが使用できるが、より高いガスバリア性を付与するには金属箔や蒸着層が適用できる。なお、金属箔、及び蒸着層は公知のもが利用でき、特に指定するものではない。
また、本発明の真空断熱材には、各種ガス吸着剤が適用できる。一例としては、合成ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタルサイトなどの物理吸着剤、アルカリ金属やアルカリ土類金属単体やその酸化物及び水酸化物などの化学吸着剤、あるいは空気成分が吸着できる金属化合物等がある。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面模式図を示すものである。また、図2は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の芯材の顕微鏡写真を示す。
図1において、真空断熱材1は、芯材2と吸着剤4とを外包材3に挿入し、内部を減圧して構成している。真空断熱材1の作製は、芯材2を140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、ラミネートフィルムの三方を熱溶着によりシールして袋状に成形した外包材3に挿入し、減圧チャンバー内で外包材内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止している。
この時、外包材3は、最外層にポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にアルミ箔(6μm)、熱溶着層に直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)を適用したプラスチックラミネートフィルムから構成している。また、吸着剤は、水分吸着剤として酸化カルシウムを適用している。
一方、芯材2は、ガラス短繊維からなるウェブ間が物理的交絡により結合されたガラス繊維の積層体であり、平均繊維径3.5μmのグラスウールを所定密度になるまで積層したものを使用し、ガラス繊維の品温が歪点よりも低い450℃で5分間加熱プレスすることで成形している。
なお、ガラス短繊維は、KI値が40.2であるガラス組成物を利用し公知の方法で繊維化している。
よって、ドイツにおいても、発ガン性がないと考えられるKI値40以上のガラス組成物から成るガラス繊維を真空断熱材の芯材に適用しているため、たとえ、冷蔵庫リサイクル時に冷蔵庫の断熱箱体を切断、或いは破砕粉砕した場合に、ガラス繊維が飛散し作業者が暴露した場合にも、人体への影響懸念に関する議論を実施する必要は全くない。
一方、真空断熱材1の熱伝導率は英弘精機製のオートラムダにて測定した。結果、熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0013W/mKと優れた断熱性能を有しており、従来、ガラス組成物として一般的なKI値30以下のガラス短繊維からなる芯材を適用した真空断熱材と比較して、0.0007W/mK低減することが判った。この断熱性能は、汎用ウレタンフォームと比較して約20倍の断熱性能である。
これはアルカリ含有率が高いことからガラス組成物自身の熱伝導率が低下したこと、更には、ボード化時にバインダーを使用せず歪点より低い温度で熱成形しているためガラス繊維相互間で繊維の溶着部、及びネック等が成形されず、繊維本来の接触熱抵抗が十分生かされているためと考える。図2に芯材のガラス繊維の拡大図を示すが、繊維にはバインダー、溶着部、ネック等は確認されない。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における冷凍冷蔵庫の断面図であり、少なくとも冷蔵機能を有する冷蔵庫の一例として示すものである。
図3は冷蔵庫31であり、冷蔵庫の筐体を形成する断熱箱体32と冷凍サイクルとからなる。断熱箱体32は、鉄板をプレス成形した外箱33と、ABS樹脂等を成形した内箱34とが、フランジ(図示せず)を介して構成している。前記断熱箱体32の内部には、予め真空断熱材1を配設し、真空断熱材1以外の空間部を、硬質ウレタンフォーム35にて発泡充填したものである。硬質ウレタンフォーム35は、発泡剤としてシクロペンタンを使用している。
断熱箱体32は仕切り板36にて区切られており、上部が冷蔵室37、下部が冷凍室38となっている。仕切り板36には電動ダンパー39が、冷凍室38の内箱34には冷却用のファンモーター40とデフヒーター41が取付けられている。
一方、冷凍サイクルは、蒸発器42、圧縮機43、凝縮器44、キャピラリチューブ45を順次環状に接続しこれを形成している。なお、蒸発器42は冷蔵室37と冷凍室38の2カ所に設け、それらを直列に、また並列に繋ぎ冷凍サイクルを形成してもよい。
また、冷蔵庫31にはドア体46が取付けられており、ドア体46の内部には真空断熱材1が配設され、真空断熱材1以外の空間部は硬質ウレタンフォーム35にて発泡充填されている。
なお、真空断熱材1は実施の形態1に示したものと同様の構成のものを用いている。
よって、ドイツにおいて問題視されているガラス繊維の使用規制に関する提案に対してもクリアすることができ、ドイツにおいても人体への影響懸念を完全に否定することが可能な真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を提供することができる。
そのため、冷蔵庫リサイクル時に冷蔵庫の断熱箱体を切断、或いは破砕粉砕した場合に、仮にガラス繊維が飛散し作業者が暴露した場合にも、人体への影響懸念に関する議論を実施する必要は全くない。
更に、冷蔵庫31は、従来の硬質ウレタンフォームの約20倍という優れた断熱性能を有する真空断熱材を適用しているため高断熱化が達成され、より一層の消費電力量の低減に貢献できるものである。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における真空断熱材の外観斜視図であり、実施の形態1で示した真空断熱材1に、真空断熱材の材料構成を記載した表示管理板51を貼付したものである。
一方、図5は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の外観斜視図であり、実施の形態2で示した冷蔵庫31に、真空断熱材の適用部位と真空断熱材の材料構成を記載した表示管理板51を貼付したものである。
通常、冷蔵庫に真空断熱材を適用する場合は、冷蔵庫の鋼鈑製の外箱とABS製の内箱との間に真空断熱材を配置してその空間を発泡ウレタンフォームで充填して複層構造体として適用する。そのため、真空断熱材の有無、配置場所、及びその材料構成等は外部からは全く判断がつかない。そのため、粉体材料を芯材に用いた場合は、外被材を除去する前に粉塵の発生などの対応に特別な機器や留意が必要であり、材料の表示があればあらかじめ適切な処置を施すことが可能となる。
しかしながら、本表示により、少なくとも冷蔵庫に適用している真空断熱材の有無、真空断熱材の材料構成が外部より判別可能となるため、特別な留意なしに真空断熱材の再生処理作業を行うことが可能である。
また、ガラス繊維のKI値が40以上であれば、工場作業者の粉塵飛散対策についても何等問題なく、ドイツにおけるリサイクルの場合にも余計な摩擦を生じること無くリサイクル作業が実施できる。また、ガラス繊維のKI値が30以上40未満の場合にも、真空断熱材は冷蔵庫の断熱箱体として破砕粉砕されるため、ガラス繊維の粉砕物は他の素材に希釈されることから、粉塵濃度は極めて小さく安全に作業ができるものと推測される。
更に、本表示が真空断熱材の芯材に、廃ガラス製品を再生処理してなる再生材料を含む原料を用いて製造されたガラス繊維を使用していることを表示すれば、ガラス繊維の再生回数や、再資源化への貢献を図る冷蔵庫としての明示が可能である。
なお、本実施の形態では、表示管理板に真空断熱材の有無、配置位置、及び材料構成を明記する例を示したが、これらの表示は、制御基盤内のメモリーや、ICタグ等に電気的に記憶するなどしてもよい。また、バーコードやQRコードの表示を付けることで、メーカーデータと照合して判定するようなシステムとすることもできる。
以下、実施例、及び比較例を用いて、本発明の真空断熱材を具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。以下、実施例1〜6、及び比較例A〜Dの結果について(表1)にまとめた。
Figure 2005344870
(表1)において、ガラス組成物の組成はその重量%により示している。また、その他と示しているものはガラス組成物成形時の原料に不純物として混入しているのものである。
前記ガラス組成において成形されるガラス組成物の物性、及び前記ガラス組成物からなるガラス短繊維にて成形される芯材から成る真空断熱材の物性について同時に示している。
なお、KI値と称される数値指標は、ドイツにて提案されている次式を元に算出した。
KI=Σ(Na2O、K2O、CaO、MgO、BaO、B23)−2Al23
耐久性は、所定量のガラス繊維を蒸留水に浸し、96℃にて24時間放置した後のガラス組成物の重量変化率を元に判定を行った。
一方、真空断熱材は、実施の形態1と同様の方法で作製した。またこの時、真空断熱材の熱伝導率は、熱流速センサーを用いて平均温度24℃にて測定した。また芯材品質を判定するため、経時的な芯材の厚み変化率を算出し評価を行った。
(実施例1)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が30.2wt%と多い。よって、ガラス組成物のKI値が40.2と40を上回ることに貢献しているが、前記ガラス組成物の耐久性は極めて悪いものであった。しかし、真空断熱材用の芯材としては、経時的な厚み変化もなく何等問題なく使用できることが判った。
また、この時、真空断熱材の熱伝導率は、英弘精機製のオートラムダにて平均温度24℃にて0.0013W/mKであり、従来品と比べると0.0007W/mK低減しており、アルカリ増大の効果によるものと考えられる。
(実施例2)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が24wt%である。この時、ガラス組成物のKI値は40.2と40を上回っている。
この時、前記ガラス組成物の耐久性は、若干品質レベルの低いものであったが、真空断熱材用の芯材としては、経時的な厚み変化もなく何等問題なく使用できることが判った。
また、この時、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0014W/mKであり、従来品と比べると0.0006W/mK低減している。これは、アルカリ増大の効果に加えて、分子量の大きいBaOが4.2wt%含まれていることによる効果と推測される。
(実施例3)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が22.9wt%であるが、B23が9.0wt%と多く、結果的には、ガラス組成物のKI値は40.1と40を上回っている。
この時、前記ガラス組成物の耐久性は良好であり、真空断熱材用芯材以外にも何等問題なく使用できることが判った。これは、B23の含量が多いことと、CaOに変えてMgOを増量したことによる効果と考える。
また、この時、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0016W/mKであり、従来品と比べると0.0004W/mK低減している。これは、アルカリ増大の効果によるものと推測される。
(実施例4)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が23wt%と比較的多いが、ガラス組成物のKI値は36と40を下回っている。
しかしながら、前記ガラス組成物の耐久性は良好であり、真空断熱材用芯材以外にも何等問題なく使用できることが判った。これは、CaOに変えてMgOを増量したことによるものと考える。
また、この時、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0016W/mKであり、従来品と比べると0.0004W/mK低減している。これは、アルカリ増大の効果によるものと推測される。
(実施例5)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が23wt%と比較的多いが、ガラス組成物のKI値は36.1と40を下回っている。
しかしながら、この時、前記ガラス組成物の耐久性は、若干品質レベルの低いものであったが、真空断熱材用の芯材としては、経時的な厚み変化もなく何等問題なく使用できることが判った。
更に、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0016W/mKであり、従来品と比べると0.0004W/mK低減している。これは、アルカリ増大の効果によるものと推測される。
(実施例6)
本発明の真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が20.2wt%と比較的多いが、ガラス組成物のKI値は30.5と40を下回っている。
しかしながら、前記ガラス組成物の耐久性は良好であり、真空断熱材用芯材以外にも何等問題なく使用できることが判った。これは、Al23を増量したことによる効果が大きいと考える。
更に、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0018W/mKであり、従来品と比べると0.0002W/mK低減している。これは、アルカリ増大の効果によるものと推測される。
(比較例A)
本比較例における真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計が17.7wt%と20%を下回っている。この時、ガラス組成物のKI値は29.2と30をも下回っている。
更に、前記ガラス組成物の耐久性は良好であるが、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0020W/mKである。
(比較例B)
本比較例における真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計は14.2wt%と少なく、20%を大きく下回っている。この時、ガラス組成物のKI値は25.4と30をも下回っている。
更に、前記ガラス組成物の耐久性は良好であるが、真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0022W/mKと、従来品と比較しても、熱伝導率が0.0002W/mK増大する結果となっている。
(比較例C)
本比較例における真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計は18.4wt%と少なく20%を下回っている。しかし、BaOが17.8wt%と極端に多いことから、ガラス組成物のKI値は40.1と40を上回る結果となっている。
更に、前記ガラス組成物の耐久性は良好であり、真空断熱材の熱伝導率も平均温度24℃にて0.0014W/mKと、従来品と比較しても、熱伝導率が0.0006W/mKも低減する。しかしながら、ガラス組成物の耐久性の劣化抑制を目的にBaO含量の増大により、KI値を増大しているためにコスト的には割高な材料となっている。
(比較例D)
本比較例における真空断熱材の芯材に適用するガラス短繊維を構成するガラス組成物は、アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oの含量の合計は15.3wt%と少なく20%を下回っている。しかし、B23が11.5wt%と極端に多いことから、ガラス組成物のKI値は40.2と40を上回る結果となっている。
一方、前記ガラス組成物の耐久性は良好であるが、真空断熱材の熱伝導率は平均温度24℃にて0.0020W/mKと、従来品と同等レベルとなっている。これは、ガラス組成物の耐久性の劣化抑制を目的に、その影響度の小さいB23含量の増大により、KI値を増大しているためにコスト的には割高な材料となっている。
以上のように、本発明にかかる真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫は、ドイツにおいても、より一層安全と考えられているガラス組成物からなるガラス繊維を適用した真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫であり、冷蔵庫リサイクル処理時に冷蔵庫の断熱箱体を切断、或いは破砕粉砕した場合に、仮にガラス繊維が飛散し作業者が暴露した場合にも、人体への影響懸念に関する議論を実施する必要はない。
また、真空断熱材の芯材への適用においては、ガラス繊維が減圧雰囲気下で使用されるため低耐久性のガラス組成物であっても実質上の問題が生じることはなく、ドイツにおいて、疑いなく安全と考えられているガラス組成物からなるガラス繊維を適用した真空断熱材、及び真空断熱材を具備する冷蔵庫を低コストで提供することができる。
その結果、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、及び保温保冷庫等をはじめとして、住宅、自動車等保温保冷を必要とする全ての機器や設備等に適用することが可能であり、大幅な省エネルギー化に貢献できる。
更には、熱や冷熱から保護すべき物象などのあらゆる断熱、遮熱用途や、熱害対策用途等にも適用できる。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面模式図 本発明の実施の形態1における真空断熱材の芯材の顕微鏡写真 本発明の実施の形態2における冷凍冷蔵庫の断面図 本発明の実施の形態3における真空断熱材の斜視図 本発明の実施の形態3における冷蔵庫の斜視図 従来の廃家電処理の手順を示すのフローチャート
符号の説明
1 真空断熱材
2 芯材
3 外包材
31 冷蔵庫
32 断熱箱体
33 外箱
34 内箱
46 ドア体

Claims (6)

  1. ボード状芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記ボード状芯材がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は交絡により結合され、前記ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値40以上である真空断熱材。
  2. ボード状芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とからなり、内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記ボード状芯材がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は交絡により結合され、前記ガラス短繊維を構成するガラス組成物がKI値30以上40未満である真空断熱材。
  3. 前記ガラス組成物が、BaO及びB23の含量の合計が10重量%未満である請求項1または2に記載の真空断熱材。
  4. 真空断熱材の材料種別を表示または記録した請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 少なくとも冷蔵機能を有する冷蔵庫であって、冷蔵庫の外箱と内箱とで形成される空間に硬質樹脂フォームを充填した断熱箱体または断熱ドア体の少なくともいずれかにおいて、前記内箱と前記外箱との間に請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材を具備する冷蔵庫。
  6. 真空断熱材の材料種別を表示または記録した請求項5に記載の冷蔵庫。
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