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JP2005344787A - 車両の発進摩擦要素制御装置 - Google Patents

車両の発進摩擦要素制御装置 Download PDF

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JP2005344787A JP2004163573A JP2004163573A JP2005344787A JP 2005344787 A JP2005344787 A JP 2005344787A JP 2004163573 A JP2004163573 A JP 2004163573A JP 2004163573 A JP2004163573 A JP 2004163573A JP 2005344787 A JP2005344787 A JP 2005344787A
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Abstract

【課題】変速機内の油の温度が低くその粘度が大きいときには、自動クラッチを完全締結する場合より早く油温を上昇でき、その際発生するギヤ騒音をより低く抑えることができる、車両の発進摩擦要素制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジン1とベルト式無段変速機19との間に前進クラッチ21を配置したトランスミッションコントローラ41において、変速機内の油粘度を推定する油粘度推定手段と、油粘度推定手段により、車両用変速機内の油粘度が設定値より大きいと推定されたときに、前進クラッチ21をスリップ状態にするようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に搭載され、エンジンと変速機との間に配置されてこれら間の動力の切断、接続を行う発進摩擦要素を制御する発進摩擦要素制御装置の技術分野に関する。
この種の技術としては、寒冷環境にあって変速機内の潤滑油の粘度が高いときにはシフトレバーが非走行位置に操作されている場合であっても、発進摩擦要素としての自動クラッチを係合側に制御することにより、エンジンの回転が変速機の入力軸に伝達され、変速機内の潤滑油が撹拌して、潤滑油温度を上昇させ、潤滑油の粘度が高い期間を短くするようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−39230号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、自動クラッチを完全締結するだけの構成であり変速機内のギヤ対による撹拌のみで潤滑油の粘度を低下させるようになっているので、ギヤ対の騒音が大きく、また潤滑油粘度の低下に時間がかかり、このように潤滑油粘度が大きい状態が長く続くと、潤滑油のフリクションによる燃費の悪化や油圧回路の応答性の悪化といったという欠点があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、変速機内の油の温度が低くその粘度が大きいときには、自動クラッチを完全締結する場合より早く油温を上昇でき、その際発生するギヤ騒音をより低く抑えることができる、車両の発進摩擦要素制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明では、エンジンと変速機との間に発進摩擦要素を配置した車両の発進摩擦要素制御装置において、変速機内の油粘度を推定する油粘度推定手段と、油粘度推定手段により、車両用変速機内の油粘度が設定値より大きいと推定されたときに、発進摩擦要素をスリップ状態にするようにした。
本発明では、車両の発進摩擦要素制御措置にあっては、車両変速機内の油粘度が高いときに、ギヤ騒音を抑えながら油の粘度を速やかに低下させ、油の粘性によるフリクションを低減して、燃費や変速機の油圧回路の応答性を向上させることができる。
以下、本発明の車両の発進クラッチ制御装置を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。なお、以下の各実施例にあっては、実質的に同じ構成部分については、同じ符号を付し、それらの説明を省略する。
まず、本実施例1の発進摩擦要素制御装置の構成を説明する。
図1は、本実施例1の発進摩擦要素制御装置を備えたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系との構成を示す全体システム図である。
ベルト式無段変速機搭載車は、エンジン1と、エンジン1の振動を低減するトーショナルダンパ3と、発進クラッチを有する前後進切換機構6と、入出力間で無段変速するベルト式無段変速機構19と、この出力を減速する出力ギヤ12およびドライブギヤ13と、ディファレンシャルギヤ14および左右のドライブシャフト15、16を介して駆動される左右の駆動輪17、18と、を備えている。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等からなり、このエンジン出力軸2がトーショナルダンパ3の入力部に連結されている。
トーショナルダンパ3は、エンジン出力軸2に連結された入力部とクラッチ入力軸5に連結された出力部とが、トーショナルスプリングを介して相対回転可能に連結されるように構成されている。なお、その出力部には、これと一体回転するフライホイール4が固定されている。
前後進切換機構6は、回転方向やギヤ比が切り換え可能な単純遊星歯車22と、前進時に締結する前進クラッチ20と、後退時に締結する後退ブレーキ21と、を備えている。なお、発進クラッチは前進クラッチ20と後退ブレーキ21の総称で本発明の発進摩擦要素を構成し、前進クラッチ20は本発明の前進用摩擦要素を、後退ブレーキ21は本発明の後退用摩擦要素を構成する。
単純遊星歯車22は、クラッチ出力軸7と同心上で回転するサンギヤ22sと、このサンギヤ22sの外周でこれと噛み合う複数のピニオン22pと、ピニオン22pに噛み合うリングギヤ22rと、ピニオンを回転自在に支持するキャリア22cと、を備えている。サンギヤ22sは前進クラッチ20のドリブン側部分およびクラッチ出力軸7に、またキャリア22cは後退ブレーキ21の被固定側部分に、またリングギヤ22rは前進クラッチ20のドライブ側部分にそれぞれ連結されている。
前進クラッチ20は、クラッチ入力軸5に連結されたドライブ側部分とクラッチ出力軸7に連結されたドリブン側部分との間に複数のプレートが介在されて、図示しないピストンにクラッチ油圧を作用させることによりプレートを押圧して入出力間で動力伝達可能となる締結状態と、ピストンに作用するクラッチ油圧を排出することにより出力側部分に動力を伝達不能となる解放状態と、に切り換え可能に構成される。
後退ブレーキ21は、変速機ケース23の内側固定部分とキャリア22cに連結された被固定側部分との間に複数のプレートが介在され、図示しないピストンにブレーキ油圧を作用させることによりプレートを押圧して被固定側部分に一体のキャリア22cを回転不能に固定する締結状態と、ピストンに作用するブレーキ油圧を排出することにより被固定側部分およびキャリア22cを回転可能にする解放状態と、に切り換え可能に構成される。
ベルト式無段変速機構19は、この入出力軸間の変速比を無段で変更するものであり、クラッチ出力軸7に連結されたプライマリプーリ8と、セカンダリプーリ軸11に連結されたセカンダリプーリ10と、プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10間に掛け渡されたCVTベルト9と、を備えている。プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10は、それぞれ固定シーブ8a、10aやこの固定シーブ8a、10aに対し接近、離反する可動シーブ8b、10b等を有する。また、プライマリプーリ8の可動シーブ8bの背面にはプライマリプーリ油室33が設けられ、このプライマリプーリ油室33へ供給する油圧を油圧コントロールユニット32にて制御することにより、可動シーブ8bを固定シーブ8aに対して接近、離反させるように相対移動させることで変速する構成としてある。なお、オイルタンク30が設けられ、このオイルタンク30から油をオイルポンプ31が吸引して得た圧油が油圧コントロールユニット32へ供給されるようにしてある。
次に、本実施例1のベルト式無段変速機搭載車の制御系につき、図1に基づき説明する。
この制御系は、エンジン1を制御するエンジンコントローラ40と、前後進切換機構6やベルト式無段変速機構19の油圧コントロールユニット32を制御するトランスミッションコントローラ41と、これらのコントローラに接続されたセンサ類と、を備えている。
エンジンコントローラ40には、図示しないアクセルペダルの踏み込む度合いを検出するアクセル開度センサと、エンジン1のエンジン出力軸2の回転数を検出するエンジン回転数センサとが接続されており、これらから入力されるアクセル開度情報およびエンジン回転数情報を利用してエンジン1を制御するとともに、これらの情報をトランスミッションコントローラ41に対して出力するようにしてある。
一方、トランスミッションコントローラ41には、シフトレバーの位置を検出するシフトレバーセンサ42と、前後切換機構6内に取り付けられ、変速機内の潤滑油温度を計測する油温センサ43と、ブレーキペダル踏力又はブレーキ液圧を検出するブレーキ踏力センサ44と、車速を検出する車速センサ45と、が接続されており、これらからシフトレバー位置情報、油温情報、ブレーキ踏力情報、および車速情報が入力される。
また、トランスミッションコントローラ41には、前進クラッチ20への供給油圧を制御する前進クラッチソレノイド47と、後退ブレーキ21への供給油圧を制御する後退ブレーキソレノイド48とが接続されている。トランスミッションコントローラ41は、上記各センサ類からの情報に基づき、前進クラッチ20、後退ブレーキ21をそれぞれ完全締結状態、スリップ状態、解放状態に切り換えるように前進クラッチソレノイド47および後退ブレーキソレノイド48を制御するようにしてある。なお、トランスミッションコントローラ41は、さらに油圧コントロールユニット32内に設けた図示しないソレノイドバルブにてプライマリプーリ油室33への供給油圧を制御するようにしてある。
ベルト式無段変速機構19のセカンダリプーリ10側のセカンダリプーリ軸11の端部には出力ギヤ12が固定され、この出力ギヤ12より大径のドライブギヤ13に噛み合わされる。
ドライブギヤ13には、ディファレンシャルギヤ14の2個のピニオンが固定され、これらのピニオンに左右からそれぞれサイドギヤが噛み合わされる。各サイドギヤには、ドライブシャフト15、16が連結されて左右の駆動輪17、18を駆動するように構成してある。
次に、作用を説明する。
車両の変速機内の潤滑油粘度が小さいときの作用を下記に説明する。
[車両停止時]
エンジン1が停止しているときは、オイルポンプ31が駆動されず油圧を発生しないため、前進クラッチ20、後退ブレーキ21ともに解放状態にあり、かつベルト式無段変速機構19も動力を伝達不能な状態となっている。
エンジン1が稼動しているときは、オイルポンプ31が駆動されて圧油を油圧コントロールユニット32へ供給している。このとき、エンジンコントローラ40は、アクセル開度センサから入力されたアクセル開度情報、エンジン回転数センサから入力されたエンジン回転数情報等に基づきエンジン1を制御している。
また、油圧コントロールユニット32は、シフトレバーセンサ42、油温センサ43、エンジンコントローラ40、ブレーキ踏力センサ44からそれぞれ読み込んだシフトレバー位置情報、油温情報、アクセル開度情報、ブレーキ踏力情報に基づき以下のように前進クラッチ20および後退ブレーキ21へ圧油の供給を制御する。
すなわち、油温が所定温度未満で油の粘度が高いと判断された場合は、シフトレバーがP(パーク)位置にある時、又はシフトレバーがD(ドライブ)位置やR(リバース)位置といった走行位置にあってアクセル開度が設定値より大きい時、又はシフトレバーが走行位置にあってアクセル開度が設定値以下でかつブレーキペダルが踏み込まれている時は、前進クラッチ20および後退ブレーキ21へ完全締結時より低い圧油を供給してこれらをスリップさせ、これらを摩擦発熱させて油温を上昇させる。これらの時は、パーキングブレーキ又はサービスブレーキの作用により、車両は停止状態に保たれる。ただし、油温が所定温度未満であっても、シフトレバーが走行位置であり、アクセル開度が設定値以下で、かつブレーキペダルが踏み込まれていない時は、前進クラッチ20および後退ブレーキ21への圧油の供給は行わない。
一方、油温が所定温度以上である場合、前進クラッチ20および後退ブレーキ21へ圧油を供給せず、これらを解放状態にし続ける。したがって、クラッチ入力軸5の駆動力はクラッチ出力軸7には伝わらず、ベルト式無段変速機構19が回転されることはない。この結果、駆動輪17、18には、駆動力が作用しない。
なお、エンジン1の稼動中は、この動力がトーショナルダンパ3によりその振動を減衰されてクラッチ入力軸5に伝えられる。
[車両発進時]
エンジン1が稼動状態にあって、シフトレバーが非走行位置からD位置などの前進走行位置に移動させられたときは、トランスミッションコントローラ41が、油圧コントロールユニット32内の図示しないバルブを切り換えて前進クラッチ20へ圧油を供給し始めるように制御する。このとき、前進クラッチ20へ供給される油圧の大きさは、当初、後述するように所定時間経過するまでは完全締結圧より低い油圧とされ、前進クラッチ20をスリップ状態とする。これにより、前進クラッチ20が高圧で急激に締結されることにより生じる締結ショックを回避しながら、エンジンから出力された動力の一部を熱に変え、残りの動力をクラッチ出力軸7に出力する。
この状態にあっては、前進クラッチ20がスリップしているので、前後進切換機構6のサンギヤ22sおよび前進クラッチ20のドリブン側部分に直接連結されたクラッチ出力軸7は、前後進切換機構6のリングギヤ22rよりそのスリップ分だけ遅く回転されるとともに伝達動力も小さくなっている。
このようにしてクラッチ出力軸7へ伝えられた動力は、さらにベルト式無段変速機構19へ伝達され、ここで減速されてセカンダリプーリ軸11へ出力され、次いで出力ギヤ12、ドライブギヤ13、ディファレンシャルギヤ14、ドライブシャフト15、16の順にこれらを介して駆動輪17、18へ伝わる。この結果、車両は発進し、前進していく。なお、この前進走行位置では、後退ブレーキ21へは圧油が供給されず、後退ブレーキ21は解放状態となっている。
上記スリップ制御を開始してから第1の所定時間が経過した後、トランスミッションコントローラ41は、図示しないクラッチ入力軸回転センサから得たクラッチ入力軸回転情報と同じく図示しないクラッチ出力軸回転センサから得たクラッチ出力軸回転情報とに基づき前進クラッチ20の入出力回転数差を計算し、この入出力回転数差に応じて前進クラッチ20に供給される油圧を徐々に立ち上げ、最終的にスリップしない大きさ、すなわちエンジントルク以上のクラッチ締結トルクとなる完全締結状態に制御する。
一方、シフトレバーが非走行位置からR位置へ移動されたときは、トランスミッションコントローラ41が、油圧コントロールユニット32内のバルブを切り換えて後退ブレーキ21へ完全締結に必要な油圧より低くした圧油を第2の所定時間が経過するまで供給する。この結果、後退ブレーキ21は、スリップしてエンジン1から出力された動力の一部を熱に変えながら残りの動力をクラッチ出力軸7に伝達する。
すなわち、この状態では、キャリア22cがブレーキがかかった状態で回転するので、エンジン1からクラッチ入力軸5およびこれと一体のリングギヤ22rに伝えられた動力は、その一部がキャリア22cを介して後退ブレーキ21をスリップ状態にするとともに、その残りの動力がリングギヤ22rからピニオン22pを介してサンギヤ22sに伝わるが、このサンギヤ22sの回転方向は、クラッチ入力軸5の回転方向と逆向きとなる。サンギヤ22sに伝えられた動力は、クラッチ出力軸7、ベルト式無段変速機構19等を介して駆動輪17、18に伝達される。なお、この後退位置では、前進クラッチ20には油圧が供給されず、前進クラッチ20は解放状態となっている。
この後退時にあっても、後退ブレーキ21へ供給される油圧は、前進発進時と同様に、スリップ制御を開始してから第2の所定時間が経過した後に徐々に立ち上げられ、最終的に完全締結される。
[発進後の車両走行時]
上述のように、前進走行位置で発進した後、第1の所定時間が経過すると、トランスミッションコントローラ41が油圧コントロールユニット32のバルブを制御して前進クラッチ20への供給油圧をクラッチ入出力回転数差に応じて高めていき、最終的に前進クラッチ20でのクラッチ締結トルクがエンジントルク以上となるように前進クラッチ20をスリップなしの完全締結状態にする。
この状態では、前後進切換機構6のサンギヤ22sがリングギヤ22rと同じ回転数となるので、キャリア22cを含めこれらが一体となって回転する。したがって、クラッチ出力軸7は、クラッチ入力軸5と同一方向かつ同一回転数で回転することとなり、エンジン1の動力は、そのままベルト式無段変速機構19に入力される。
ベルト式無段変速機構19は、トランスミッションコントローラ41によりその変速比が制御される。すなわち、トランスミッションコントローラ41にて車速センサ45から得た車速情報、エンジンコントローラ40から得たアクセル開度情報やエンジン回転数情報等に基づいて目標変速比が決定され、この目標変速比となるようにプライマリ油室33へ供給する油圧が調整されて、プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10の可動シーブ8b、10bが変位させられる。この変速比に応じて得られたベルト式無段変速機構19の出力は、出力ギヤ12、ドライブギヤ13、ディファレンシャルギヤ14、およびドライブシャフト15、16を介して左右の駆動輪17、18に伝わり、駆動輪17、18を駆動して車両を前進走行させる。
一方、後退走行時にも、後退ブレーキ21をスリップさせながら後方へ発進し第2の所定時間が経過したら、トランスミッションコントローラ41が油圧コントロールユニット32のバルブを制御して後退ブレーキ21への供給油圧をクラッチ入出力回転数差に応じて高めていき、最終的に後退ブレーキ21でのブレーキトルクがエンジントルク以上となるように後退ブレーキ21をスリップなしの完全締結状態にする。
この完全締結状態では、エンジン1からほぼそのまま入力されてきた動力は、クラッチ入力軸5に接続された前後進切換機構6のリングギヤ22rに伝達されるが、回転不能に固定されたキャリア22c上でピニオン22pを自転させ、これに噛み合うサンギヤ22sを増速逆転させる。この逆転された出力は、ベルト式無段変速機構19に入力され、回転方向が異なるが上記前進走行時の場合と同様に、駆動輪17、18に伝達される。
図2は実施例1のトランスミッションコントローラ41にて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS101では、車両用変速機内の油の粘度を油温センサ43から読み込んだ油温を基に推定しており、油温が所定温度Tsより低いか否かを判断し、YESの場合はステップS102へ移行し、NOの場合は本処理の始めに戻る。この所定温度Tsは油の粘性によるフリクション増大や、燃費の悪化、油圧回路の応答性の低下、変速フィーリングの悪化をおこす恐れがある油の粘度状態を判定するために設けられた温度で、予め実験等で求められた温度である。なお、このステップS101は、本発明の油粘度推定手段を構成する。
ステップS102では、ドライバの停止意思の有無を確認するためシフトレンジがP位置となっているか否かを判断し、YESの場合はステップS106へ移行し、NOの場合はS103へ移行する。
ステップS103では、シフトレバーがD位置、又はR位置となっているか否かを判断し、YESの場合はステップS104へ移行し、NOの場合は本処理の始めに戻る。
ステップS104では、アクセル開度が設定値Cより大きいかどうかを判断し、YESの場合ステップS107に移行し、NOの場合はステップS105へ移行する。なお、アクセル開度とは、アクセルペダルの踏み込み量に対応する値である。
ステップS105では、ブレーキペダルが踏まれているか否かを判断し、YESの場合はステップS108へ移行し、NOの場合は処理の始めに戻る。
ステップS106、ステップS107、ステップS108では、それぞれフラグPfwdにdrug1、drug2、drug3を入力する。
ステップS109では、ステップS106、ステップS107、ステップS108で入力されたフラグPfwdの状態を見て、次のような3通りの制御を行う。すなわち、
(イ)フラグPfwdにdrug1又はdrug2又はdrug3が入力されているときは、車両用変速機内の油温が低いほど、発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御する。
(ロ)フラグPfwdにdrug2が入力されているときは、アクセル開度が大きいほど、発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御する。
(ハ)フラグPfwdにdrug3が入力されているときは、ブレーキ圧が大きいほど発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御する。
ステップS110では、ステップS109で決定された制御内容により、前進クラッチソレノイド47、又は後退ブレーキソレノイド48を操作して、発進クラッチへ調整した圧油を供給する。
次に、本実施例1の発進摩擦要素制御装置の効果を説明する。
(1)油の粘度が低くく、かつドライバの停止意思が検出されているときには、発進クラッチを完全締結させるのではなく、発進クラッチをスリップさせてエンジンからの動力の一部を熱に変え、残りの動力をクラッチ出力軸へ伝えるようにしたので、油をギヤで撹拌するだけでなく、発進クラッチの発熱によっても油温を上昇させて油の粘度の減少を促進でき、この結果、油の粘度の減少が発進クラッチを完全締結する場合に比べてより速やかに行われる。したがって、油粘度の速やかな減少による燃費の向上、油圧回路の応答安定性の確保、変速フィーリングの速やかな向上に加え、クラッチ出力軸ギヤ回転数の低減によるギヤ騒音の低減を達成することができる。
(2)油温が所定温度より低く、かつシフトレバーがP位置となっているときには、油温が低いほど発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御するので、油温が低い状態であっても、速やかに油温を上昇させることができる。したがって、油の粘度を速やかに低減させることができ、燃費の向上、油圧回路の応答安定性の確保を達成できる。
(3)油温が所定温度より低く、かつシフトレバーがD位置又はR位置といった走行位置にあり、アクセル開度が設定値Cより大きくなっているときには、油温が低いほど発進クラッチのスリップ量を大きくするように、またアクセルの開度が大きいほど発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御するので、油温が低いときの走行においても、駆動力を確保しながらも、発進クラッチのスリップ分、より早く油温を上昇させて油の粘度を減少させることができる。したがって、油温が低いときの走行における、燃費の向上、騒音の低減、油圧回路の応答安定性の確保、を達成できる。
(4)シフトレバーが、D位置、R位置といった走行位置となっているときに、油温が低いほど発進クラッチのスリップ量を大きくするように制御し、かつブレーキ圧が大きいほど発進クラッチのスリップ量を大きく制御するので、ドライバの車両停止意思を損なわずに、より早く油の粘度低減を行うことができる。
(5)発進クラッチとしての前進クラッチ20と後退ブレーキ21との両方をスリップさせることが可能であり、両方の発進クラッチで発熱させることにより、それらの合計発熱量を大きくして油の温度上昇、またこれに伴う油の粘度低下をより促進することが可能となる。
なお、図2に示すフローチャートでは、N位置での処理が省略されているが、油温が所定温度より低く、かつシフトレバーがN位置であり、ブレーキペダルが踏まれているときには、フラグPfwdをdrug3として、上記ステップS109、ステップS110での制御を行うようにすれば、上記(1)、(2)、(4)と同様の効果を得ることができる。また、実施例1では、前進クラッチ20と後退ブレーキ21との両方の発進クラッチをスリップ制御するようにしたが、どちらか一方のみスリップさせるようにしてもよく、この場合も、完全締結する場合よりギヤ騒音を低減しながら早く油温を上昇できる。
構成を説明する。
図3は、実施例2の発進クラッチが適用されたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系との構成を示す全体システム図である。
同図に示すように、ベルト式無段変速機搭載車は、エンジン1とトーショナルダンパ3との間に、副変換機50を有する。その他の構成は実施例1と同様である。
副変速機50は、複数のギヤ比間で切り換え可能な単純遊星歯車53と、エンジン1からの動力を、前後進切換機構6へトーショナルダンパ3を介してほぼそのままの回転数で伝える高速段を選択するための高速段選択クラッチ54と、エンジン1からの動力を減速した回転数で伝える低速段を選択するためのワンウェイクラッチ55と、を備えている。
単純遊星歯車53は、サンギヤ53sと、このサンギヤ53sの外周でこれと噛み合う複数のピニオン53pと、ピニオン53pに噛み合うリングギヤ53rと、ピニオン53pを回転自在に支持するキャリア53cと、を備えている。サンギヤ53sは、エンジン出力軸2と一体回転するハウジング51に低速段ダンパ58を介して連結され、リングギヤ53rは、ワンウェイクラッチ55を介して中空固定軸56にそれぞれ連結されている。また、キャリア53cは、高速段ダンパ57及び高速段選択クラッチ54を介してハウジング51に連結されるとともに、副変速機出力軸59にも連結されている。なお、ハウジング51は、エンジン出力軸2に、これと一体のドライブプレート52を介して接続される。
高速段選択クラッチ54は、ハウジング51に設けられたドライブ側部分と、高速段用ダンパ57及びキャリア53cを介して副変速機出力軸59に連結されたドリブン側部分と、の間に複数のプレートが介在されて構成される。この高速段選択クラッチ54は、トランスミッションコントローラ41に接続され制御される高速段選択クラッチソレノイド49により、図示しないピストンにクラッチ油圧を作用させてプレートを押圧し副変速機出力軸59をエンジン1からの動力によりエンジン出力軸2及びハウジング51と一体となって回転させる締結状態(高速段選択状態)と、ピストンに作用するクラッチ油圧を排出することによりワンウェイクラッチ55を作用させてエンジン1からの動力を、減速して副変速機出力軸59に伝達する解放状態(低速段選択状態)と、に切り換え可能とされている。
なお高速段用ダンパ57は、このダンパ特性を上記の高速段選択状態で要求される特性に設定し、低速段用ダンパ58は、上記の低速段選択状態で要求される特性に設定しておく。
次に作用を説明する。
[高速段選択時]
高速段選択時には、トランスミッションコントローラ41が、油圧コントロールユニット32内の図示しないバルブを切り換えて、高速段選択クラッチ54へ圧油を供給し始めるように制御し、高速段選択クラッチ54が締結される。このとき高速段用ダンパ57からの回転が低速段用ダンパ58を経由することなくキャリア53cを経て副変速機出力軸59にそのまま伝達される。
[低速段選択時]
低速段選択時には、トランスミッションコントローラ41が、油圧コントロールユニット32内の図示しないバルブを切り換えて、高速段選択クラッチ54の油圧を排出するように制御するので、高速段選択クラッチ54は解放される。高速段選択クラッチ54が解放されているときは、エンジン出力軸2の回転が低速段用ダンパ58を経由して単純遊星歯車53のサンギヤ53sに達する。ここでサンギヤ53sは、高速段選択クラッチ54が解放されているため、またワンウェイクラッチ55がリングギヤ53rのエンジン1と逆方向の回転を阻止しているため、キャリア53cを減速下に同方向へ回転駆動する結果、エンジン1からの動力は減速されて副変速機出力軸59に伝達される。
[高速段/低速段 発進クラッチ制御処理]
図4は本実施例2のトランスミッションコントローラ41にて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートで、ステップS201乃至ステップS209は、図2のステップS101乃至ステップS109とそれぞれ同様の処理を行うので、ここではそれらの説明を省略する。
ステップS210では、フラグPfwdにdrug2が入力されているか否か、つまり車両用変速機内の油温が所定温度Tsより低くく、かつシフトレバーが走行位置にあり、かつアクセル開度が設定値Cより大きい状態にあるか否かを判断し、YESの場合ステップS211、NOの場合はステップS212へそれぞれ移行する。
ステップS211では、高速段選択クラッチソレノイド49を高速段側に操作して、高速段選択クラッチ54を締結するのに対し、ステップS212では、同じく高速段クラッチソレノイド49を低速段側に操作して、高速段選択クラッチを解放する。
ステップS213では、ステップS209で決定された制御により、前進クラッチソレノイド47、又は後退ブレーキソレノイド48を操作する。
次に、効果を説明する。
実施例1の効果に加え、
(5)シフトレバーがP位置にあるときに、前後進切換機構6へは高速段での回転入力となるので、単位時間当たりのクラッチのスリップ量が大きく、油の粘度低下が速やかに行われ、また駆動輪側へ伝達するトルクも小さくなって車両停止に好都合となる。したがって、燃費の向上、油圧回路の応答安定性の確保、変速フィーリングの速やかな向上、また駆動力伝達部材の耐力の向上を達成することができる。
(6)シフトレバーが、D位置、R位置といった走行位置にあり、かつアクセルペダルが設定値より大きく踏まれているときに、前後進切換機構6へは低速段での回転入力となるので、トルクがエンジン1からの出力トルクより増大される。したがって、発進クラッチをスリップさせて油温を上昇させながら、駆動輪側への駆動トルクも確保して、車両を走行させることができる。
(7)シフトレバーが、D位置、R位置といった走行位置にあり、かつブレーキペダルが踏まれているときに、前後進切換機構6へは高速段での回転入力となるので、発進クラッチの摩擦発熱を促進しながら、トルクが弱められ車両停止に好都合となる。したがって、ドライバの車両停止意思を損なわずに、油の粘度低減を行うことができ、また駆動輪側への伝達トルクも小さくできる。
実施例3は、実施例1又は実施例2のシステムに加え、前・後輪の横滑りを感知すると、各車輪のブレーキ力やエンジン出力を制御し車両の安定性を向上させるビークルダイナミックスコントロールシステム(以下、VDCシステムと表記する)を備えた構成とされている。なお、VDCは、Vehicle Dynamics Controlの略称である。VDCシステムは、本発明における走行安定化装置にあたる。
以下に、構成を説明する。
図5は、走行安定化装置を備えた車両の油圧制御回路と電気制御回路と、の構成を示す全体システム図である。実施例3では図示していないが、発進クラッチや変速機等に図1の実施例1、又は図3の実施例2と同様の発進クラッチやベルト式無段変速機等を用いる。
走行安定化装置は、VDCシステムのほかに、駆動輪がホイールスピンを起こしそうになると、アクセル開度、エンジン供給燃料を制御し、駆動トルクを減少させ、加速性の向上、車両の安定性を図る、トラクションコントロールシステム(以下、TCSと表記する)、電子制御で制動力をコントロールして4輪ロックを防止し、急制動時の安定性を向上させるアンチロックブレーキシステム(以下、ABSと表記する)を有する。なお、TCSはTraction Control System、ABSはAnti-lock Brake Systemの略称である。
走行安定化装置は、VDC/TCS/ABSコントロールユニット61と、VDC/TCS/ABSコントロールユニット61からのアクチュエータ駆動信号を受けて、各車輪のブレーキ液圧調整を行うVDC/TCS/ABSアクチュエータ62と、VDC/TCS/ABSコントロールユニット61に接続されたセンサ類63〜69と、を備えている。
VDC/TCS/ABSコントロールユニット61は、エンジンコントローラ40と、トランスミッションコントローラ41と、ステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ63と、ヨーレートと横Gとを検出するヨーレート/横Gセンサ64と、ブレーキ操作量を検出する圧力センサ65と、各車輪の回転数を検出する車輪回転センサ66、67、68、69とが接続されており、これらから入力される情報を利用して、VDC/TCS/ABSアクチュエータ62や、エンジンコントローラ40や、トランスミッションコントローラ41等に対して制御信号を出力するようにしてある。また、走行状態や電気系統の異常を、ABS警告灯71と、VDC OFF表示灯72と、SLIP表示灯73を点灯させて、ドライバに知らせるようにしてある。
エンジンコントローラ40は、VDC/TCS/ABSコントロールユニット61からの情報を受けて、電子制御スロットル70やエンジン1の制御を行う。
VDC/TCS/ABSコントロールユニット61は、VDC/TCS/ABSアクチュエータ62を介して4輪それぞれのブレーキ圧を制御する。
次に、作用を説明する。
[VDCシステム]
VDC/TCS/ABSコントロールユニット61は、操舵角センサ63からのステアリング操舵角量と、圧力センサ65からのブレーキ操作量とに基づいて目標横滑り量を演算し、ヨーレート/横Gセンサ64からのヨーレート及び横Gと車輪回転センサ66、67、68、69からの各車輪の回転数とに基づいて実横滑り量を演算して、この実横滑り量と目標横滑り量とを比較する。そして、目標横滑り量と実横滑り量との差に応じた駆動信号をVDC/TCS/ABSアクチュエータ62に出力し、各車輪のブレーキの制動力の調整を行うと共にエンジンコントローラ40に制御信号を出力し、エンジン出力を制御する。
また、VDCシステム作動時にはSLIP表示灯73の点滅によってドライバにシステムの作動を知らせる。
[TCS]
VDC/TCS/ABSコントロールユニット61は、各車輪の車輪回転センサにより、各車輪のホイールスピン状態を検出する。ドライバがアクセルペダルを踏み込みホイールスピン量が大きくなると、VDC/TCS/ABSアクチュエータ62に駆動信号を出力し、ブレーキの制動力の調整を行ってホイールスピンを抑えると共にエンジンコントローラ40に制御信号を出力し、エンジン出力を下げるように制御する。
また、TCS作動時にはSLIP表示灯73の点滅によってドライバにシステムの作動を知らせ、TCSの異常、又はドライバの任意でTCSをキャンセルした場合にTCS表示灯を点灯させる。
[ABS]
各車輪回転センサ66、67、68、69からの情報から各車輪速度、擬似車速を演算し、ブレーキ作動時の車輪スリップ状態を常時監視し、車輪がスリップを始めるとブレーキ液圧の保持信号を、スリップが大きくなると減圧信号を、スリップが小さくなると増圧信号をアクチュエータに送り、車輪のスリップ率を適正な状態に保持する。
[走行安定化装置を用いた油粘度低減処理]
図6は、トランスミッションコントローラ41と、図5のVDC/TCS/ABSコントロールユニット61と、で実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートで、ステップS301乃至ステップS309は、図2のステップS101乃至ステップS109とそれぞれ同様の処理を行うので、それらの説明を省略する。
ステップS310では、フラグPfwgにdrug3が入力されているか否か、つまり車両用変速機内の油温が所定温度Tsより低くく、かつ、シフトレバーがD位置又はR位置といった走行位置にあり、ブレーキが踏まれている状態になっているか否かを判断し、YESの場合はステップS311へ、NOの場合はステップS312へ移行する。
ステップS311では、VDCシステムによりブレーキを作動し、ステップS312では、ステップS309で決定された制御により、前進クラッチソレノイド47、又は後退ブレーキソレノイド48を操作する。
次に、効果を説明する。
本実施例3では、上記実施例1や実施例2の効果に加え、
(8)油温が所定温度Tsより低く、かつシフトレバーがD位置、又はR位置にあり、ブレーキが踏まれているときには、VDCシステムによりブレーキを作動させるとともに、発進クラッチをスリップさせるので、ドライバの車両停止意思を損なわずに、油の温度上昇を行ってその粘度低減を行うことができる。
以上、本発明の車両の発進クラッチ制御装置を実施例1乃至実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加は許容される。
実施例1乃至実施例3では、発進クラッチ制御装置をベルト式無段変速機搭載車の前進クラッチと後退ブレーキの締結制御に適用する例を示したが、有段自動変速機搭載車やトロイダル式無段変速機搭載車や自動MT搭載車やハイブリッド車や電気自動車等、要するに発進時に締結し駆動源からの入力トルクを伝達する発進摩擦要素を有する様々な車両に適用することができる。
実施例1の発進クラッチ制御装置が適用されたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 実施例1のトランスミッションコントローラにて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の発進クラッチ制御装置が適用されたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 実施例2のトランスミッションコントローラにて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のVDCシステムを備えた、車両安定制御システムの油圧制御回路と電気制御回路を示す全体システム図である。 実施例3のトランスミッションコントローラにて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 エンジン出力軸
3 トーショナルダンパ
4 フライホイール
5 クラッチ入力軸
6 前後進切換機構
7 クラッチ出力軸
8 プライマリプーリ
9 CVTベルト
10 セカンダリプーリ
11 セカンダリプーリ軸
12 出力ギヤ
13 ドライブギヤ
14 ディファレンシャルギヤ
15,16 ドライブシャフト
17,18 駆動輪
19 ベルト式無段変速機
20 前進クラッチ
21 後退ブレーキ
22 単純遊星歯車
23 変速機ケース
30 オイルタンク
31 オイルポンプ
32 油圧コントロールユニット
33 プライマリプーリ油室
40 エンジンコントローラ
41 トランスミッションコントローラ
42 シフトレバーセンサ
43 油温センサ
44 ブレーキ踏力センサ
45 車速センサ
47 前進クラッチソレノイド
48 後退ブレーキソレノイド
49 高速段選択クラッチソレノイド
50 上流副変速機
51 ハウジング
52 ドライブプレート
53 単純遊星歯車
54 高速段選択クラッチ
55 ワンウェイクラッチ
56 中空固定軸
57 高速段用ダンパ
58 低速段用ダンパ
59 副変速機出力軸
61 VDC/TCS/ABSコントロールユニット
62 VDC/TCS/ABSアクチュエータ
63 舵角センサ
64 ヨーレート/横Gセンサ
65 圧力センサ
66、67、68、69 車輪回転センサ
70 電子制御スロットル
71 ABS警告灯
72 VDC OFF表示灯
73 SLIP表示灯
81 右前輪
82 左前輪
83 右後輪
84 左後輪
85 マスターシリンダ

Claims (12)

  1. エンジンと変速機との間に発進摩擦要素を配置した車両の発進摩擦要素制御装置において、
    変速機内の油粘度を推定する油粘度推定手段と、
    前記油粘度推定手段により、前記車両用変速機内の油粘度が設定値より大きいと推定されたときに、
    前記発進摩擦要素をスリップ状態にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    シフトレバーがパーク位置にあるときに、前記発進摩擦要素をスリップ状態にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    シフトレバーが走行位置あり、かつアクセルが設定値より大きく踏まれているときに、前記発進摩擦要素をスリップ状態にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    ブレーキペダルが踏まれているときに、前記発進摩擦要素をスリップさせることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  5. 請求項2に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記発進摩擦要素の上流側に配置された副変速装置を高速段側にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  6. 請求項3に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記発進摩擦要素の上流側に配置された副変速装置を低速段側にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  7. 請求項6に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    ブレーキペダルが踏まれているときには、前記副変速装置を高速段側にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  8. 請求項4又は請求項7のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    ブレーキペダルが踏み込まれたときには、車両の走行の安定化を図る車両走行安定化装置により、車輪のブレーキを作動させることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    車両の変速機内の油粘度が高いほど、前記発進摩擦要素のスリップ量を大きくすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  10. 請求項3、請求項4、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    車両のアクセルペダルが踏み込まれるほど、前記発進摩擦要素のスリップ量を大きくすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  11. 請求項4、請求項7、請求項8のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記発進摩擦要素はブレーキペダルが強く踏み込まれるほど、スリップ量を大きくすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記発進摩擦要素は前進用摩擦要素と後退用摩擦要素とからなり、前記油粘度が設定値より大きいときには、前記前進用摩擦要素と前記後退用摩擦要素とを共にスリップ状態にすることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
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