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JP2005232097A - ビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機el素子 - Google Patents

ビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機el素子 Download PDF

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JP2005232097A
JP2005232097A JP2004044307A JP2004044307A JP2005232097A JP 2005232097 A JP2005232097 A JP 2005232097A JP 2004044307 A JP2004044307 A JP 2004044307A JP 2004044307 A JP2004044307 A JP 2004044307A JP 2005232097 A JP2005232097 A JP 2005232097A
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JP
Japan
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group
substituent
bis
organic
bifluorenyl
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Pending
Application number
JP2004044307A
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English (en)
Inventor
Junji Kido
淳二 城戸
Kazushi Shimizu
一志 清水
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Chemipro Kasei Kaisha Ltd
Original Assignee
Chemipro Kasei Kaisha Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】 ホール注入材料に適した新規なビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機EL素子の提供。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】
Figure 2005232097

〔式中、Qは、
【化2】
Figure 2005232097

であり、R〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機EL素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機EL素子に関する。
1987年にコダックのタング(Tang)らによって発表された有機ELは、自発光型で視野角依存性のない視認性のよいフラットパネルディスプレイである。
それまではアントラセンなどの単結晶を発光材料に使用した物があったが、このものは高電圧であり輝度もそれほど高くなく、表示材料としてとても使用できるものではなかった。
タングらの有機ELの長所は、電荷の輸送部と発光機能部を分離したことであり、これによりそれまでの有機EL素子に比べて低電圧駆動で高輝度が得られるようになった。この技術のさらなる改良によって、有機EL素子は1998年に初めて車載用のディスプレイとして使用されるようになった。
有機ELがディスプレイとして使用されるには、これに使用される材料がその優劣を決める重要な要素であり、これまで多くの材料が開発され、ディスプレイの構成材料として検証されてきた。
材料に要求される項目としては、効率を高めること、素子の寿命を使用に十分耐えうるだけなものにすることが挙げられる。
これらの問題を解決する一つの方法としては、機能をさらに細分化し複数の機能を材料に持たせないことがある。これによりさらなる低電圧、高輝度の性能を有するディスプレイの開発が可能である。
この目的を達するためにITO基板の上にホールの注入層を、その上にホール輸送層を設け、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極電極の順で積層させていくのが一般的である。
このような素子の長所は、電荷の注入がスムーズに行なわれ発光層で確実に再結合が行なわれることである。
電子注入層に使用される材料としては、リチウム金属を含むものが一般的であり、例えば金属リチウムや8−ヒドロキシキノリンのリチウム錯体などが一般的である。また、1,10−フェナンソリジンにリチウムをドープしたものも使用される。
一方ホール注入材料としては、低分子材料の銅フタロシアニン(CuPc)が有名である。また、高分子材料としてポリアニリン−ポリスチレンスルホン酸(Pani−PSS)やポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)などが用いられる。また特許文献1では、テトラフェニレンジアミン誘導体ルイス酸ドープ錯体(TPDDES−TBPAH)なども使用されている。
しかし、これらの材料では、銅フタロシアニンの場合ではこれが赤色発光を吸収するために赤色の発光材料との組合わせは適当とは言えない。また前述の高分子材料ではこれらを水溶媒からスピンコートするため、完全に水分を除去する必要があり、これを完全に除くには高温で高真空下を必要とし、水分に弱い有機EL素子にとっては必ずしも最良の素子作成には成り得ない。
そこで高性能の有機ELを作成するために、これらの弱点を克服しうる新規なホール注入材料の開発が必要であった。
特開平11−135262号公報
本発明の目的は、ホール注入材料に適した新規なビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機EL素子を提供する点にある。
本発明の第1は、 一般式(1)
Figure 2005232097
〔式中、Qは、
Figure 2005232097
であり、R〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンに関する。
本発明の第2は、一般式(2)
Figure 2005232097
(式中、Xはハロゲン、R〜R17は、水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示されるハロゲン化ビフルオレンと、一般式(2′)
Figure 2005232097
(式中、Xはハロゲン、R18〜R34は、水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示されるハロゲン化ビフルオレンに、
一般式(3)
Figure 2005232097
〔式中、Qは、
Figure 2005232097
ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるアミンを反応させることを特徴とする一般式(1)
Figure 2005232097
〔式中、Qは、
Figure 2005232097
であり、R〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンの製造方法に関する。
本発明の第3は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンよりなるホール注入材料に関する。
本発明の第4は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンを含有する有機EL素子に関する。
本発明の第5は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンとルイス酸とを含有する有機EL素子に関する。
前記R〜R34およびAr、Arにおけるアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどが挙げられる。これらについては直鎖でも枝分かれでも構わない。
前記R〜R34およびAr、Arにおけるアリール基としては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クオーターフェニル、クインクィフェニル、セスキフェニル、セプチフェニル、オクチフェニル、ノビフェニル、デシフェニル、ナフチル、アズレニル、アントラニル、フェナンソレニル、ナフタセニル、クリセニル、ペンタレニル、インデニル、アズレニル、ヘプタデニル、ビフェニレル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フルオラセニル、アセフェナンソラレニル、アセアンソリレニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、プレイアデニル、ピセニル、ぺリレニル、ペンタフェニル、ペンタセニル、テトラフェニレニル、ヘキサフェニル、ヘキサアセニル、ルビセニル、コロネリル、トリナフチレニル、ヘプタフェニル、ヘプタセニル、ピランセニル、オバレニルなどを挙げることができる。なお、これらの化合物はいずれも置換基を有していても良い。
前記R〜R34およびAr、Arにおけるヘテロアリール基としては、フラニル、ピロロニル、3−ピロロリニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾ〔b〕チオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アクリジニル、1,10−フェナントレニルなどが挙げることができる。なお、これらの化合物はいずれも置換基を有していても良い。
前記Arにおけるアリーレン基としては、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、クオーターフェニレン、クインクィフェニレン、セスキフェニレン、セプチフェニレン、オクチフェニレン、ノビフェニレン、デシフェニレン、ナフチレン、アズレニレン、アントラニレン、フェナンソレニレン、ナフタセニレン、クリセニレン、ペンタレニレン、インデニレン、アズレニレン、ヘプタデニレン、ビフェニレニレン、as−インダセニレン、s−インダセニレン、アセナフチレニレン、フルオレニレン、フェナレニレン、フルオラセニレン、アセフェナンソラレニレン、アセアンソリレニレン、トリフェニレニレン、ピレニレン、クリセニレン、プレイアデニレン、ピセニレン、ぺリレニレン、ペンタフェニレン、ペンタセニレン、テトラフェニレニレン、ヘキサフェニレン、ヘキサアセニレン、ルビセニレン、コロネニレン、トリナフチレニレン、ヘプタフェニレン、ヘプタセニレン、ピランセニレン、オバレニレンなどが挙げることができる。また、アリーレン基としては、複素環がアリール基とアリール基の間にはいった形のヘテロアリーレン基が使用可能であり、その例としては、2,6−ピリジレン、2,2′−ビピリジレン、2,5−チオフェニレン、2,2′−ビチオフェニレンなどを挙げることができる。なお、これらの化合物はいずれも置換基を有していても良い。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基における置換基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、ノナキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ、テトラデコキシ、ペンタデコキシ、ヘキサデコキシ、ヘプタデコキシ、オクタデコキシ、ノナデコキシ、エイコサオキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、n−プロピルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、iso−プロピルアミノ、ジ−iso−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ジ−tert−ブチルアミノなどのアルキルアミノ基、ジフェニルアミンなどのアリールアミノ基そしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン等が挙げられる。
請求項1に示すビス(ビフルオレニル)−アリールアミンとしては、前記R〜R34、Ar〜Arの具体例をそれぞれ組み合せた化合物を挙げることができるが、R、R、R10、R11、R18、R19、R26、R27としては、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましく、R〜R、R12〜R17、R20〜R25、R28〜R34は、水素または低級アルキル基が好ましい。
本発明の代表的な化合物としては、下記式
Figure 2005232097
で示されるビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン〔Bis(9,9,9′,9′−tetra−n−ethyl−2,2′−difluorenyl−7−yl)−phenylamine(DFPA2)〕や、下記式
Figure 2005232097
で示される4,4′−ジフェニル−4,4′−ビス(9,9,9′,9′−テトラ−エチル−2,2−テトラ−エチル−2,2−ジフルオレニル−7−イル)−ジアミノビフェニル〔4,4′−Diphenyl−4,4′−bis(9,9,9′,9′−tetra−ethyl−2,2−tetra−ethyl−2,2−difluorenyl−7−yl)diaminobiphenyl〕を挙げることができる。
本発明の化合物は、120℃以上のガラス転移温度を有することから、熱安定性がよく、発光時に発生する熱による再結晶が起きにくく、蒸着時に形成される薄膜は平滑でかつアモルファス性に優れている。
また、この化合物のもつエネルギーレベルは、ITOのもつイオン化ホテンシャルとも近似していることから、ITOからのホールの注入をスムースに進行させる。
したがって、本発明の化合物は有機EL素子のITO基板上に積層され、とくにホール注入層として使用されるため、ホールの注入されにくさが改善され、素子上でのホールと電子のエネルギーの注入バランスを整えることができる。このため本発明化合物を使用した有機EL素子、高寿命で素子耐久性にも優れ、かつEL素子としての特性にも優れている。
以下に合成例、実施例、比較例を挙げて本発明を説明する。
合成例1
(1)2−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン〔2−bromo−9,9−diethylfluorene(BDEF)〕の合成
Figure 2005232097
2−ブロモフルオレン(2BF)に、ブロモエタン(BrEt)、テトラブチルアンモニウムクロライド(Tetrabutylammonium Chloride)(TBACl)、トルエン、50wt%NaOH水溶液を加え、窒素雰囲気下(50℃)で4時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを反応溶液に注ぎ、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させてから溶媒等を除去した。精製にはカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン)を用い、粘性をある淡黄色の液体を得た。同定はH−NMRスペクトル、IRスペクトルにより行なった。
(2)2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジエチルフルオレン〔2−(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−9,9−diethylfluorene(DOBDEF)〕の合成
Figure 2005232097
BDEFを精製したテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却しn−BuLi(2.6M)を加え2時間反応させた。その後2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(DOB)を加え、さらに2時間反応させた後、室温に戻し30分反応させた。反応終了後反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した後、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後溶媒を除去した。精製にはカラムクロマトグラフィー法(n−ヘキサン:トルエン=3:1)、再結晶(メタノール)を用い、白色の固体(粗目状)を得た。同定はH−NMRスペクトル、IRスペクトルにより行なった。
(3)2,7−ジブロモ−9,9−ジエチルフルオレン〔2,7−dibromo−9,9−diethylfluorene(DBDEF)〕の合成
Figure 2005232097
2,7−ジブロモフルオレン(DBF)にブロモエタン、TBACl、トルエン50wt%NaOH水溶液を加え、窒素雰囲気下(50℃)で8時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを反応溶液に注ぎ、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させてから溶媒等を除去し、黄色の固体を得た。精製にはカラムクロマトグラフィー法(n−ヘキサン:ジクロロメタン=3:1)、再結晶(エタノール)を用い、白色の結晶を得た。同定はH−NMRスペクトル、IRスペクトルにより行なった。
(4)2′−ブロモ−ジ(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)〔2′−bromo−di(9,9−diethylfluorene−2−yl)(BDE)〕の合成
Figure 2005232097
DOBDEF、DBDEFとPd(PPH)をトルエンに溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液(2M)を注ぎ、窒素気流下90℃で40時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒等を除去し白色の固体を得た。精製はカラムクロマトグラフィー法(n−ヘキサン:ジクロロメタン=5:1)、再結晶(n−ヘキサン)を用い、白色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトル、IRスペクトルにより行なった。
(5)ビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン〔Bis(9,9,9′,9′−tetra−n−ethyl−2,2′−difluorenyl−7−yl)−phenylamine(DFPA2)〕の合成
Figure 2005232097
2′−ブロモ−ジ(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)(BDE)、ナトリウム第三級ブチラート、酢酸パラジウム、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)(鉄触媒)を、精製したトルエンに溶解させた後、精製したアニリンを加え反応させた。各成分のモル数は下記表のとおりである。反応終了後酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシュウムで乾燥させた。その後、溶媒等を除去し黒色の固体を得た。精製はカラムクロマトグラフィー法(n−ヘキサン:ジクロロメタン=5:1)、再結晶(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で行い、黄色がかった粉末状の固体を得た。同定はH−NMRスペクトル〔(270MHz,CDCl,TMS):(ppm)=7.8〜7.0(31H,Ar),2.2〜1.8(16H,CH),0.5〜0.3(24H,CH)〕により行なった。このH−NMRスペクトルは図1に示す。再結晶中は粒状の固体であったが、真空乾燥を行うと粉末状へと変化した。H−NMRスペクトルにより解析したが、分解などが起った形跡はなかった。
Figure 2005232097
DFPA2のクロロホルム溶液、フィルムの蛍光スペクトル及びUV吸収スペクトルによる電気化学的特性の測定を行った。測定には石英セル、石英基板をそれぞれ用いた。溶媒は、蛍光分析用にクロロホルムを用いた。
DFPA2の光学的エネルギーギャップ(Eg)は吸収スペクトルの吸収端より2.8eVと見積もった。また、大気中の光電子分光装置(AC−1)の測定により、HOMO(IP)の値は5.5eVであり、Egとの差よりLUMOの値は2.7eVと見積もった。図2にUV吸収スペクトルを示す。ルイス酸としてのトリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)をドープしたDFPA2の電気化学特性は図3に示す。光学的エネルギーギャップは図3のUV吸収端より2.2eVと見積もった。
また大気中光電子分光装置(AC−1)の測定により、HOMOの値は5.4eVであり、Egとの差よりLUMOの値は3.2eVと見積もった。
またDFPA2の分解温度は424.0℃であり、ガラス転移温度は129.7℃であった。
図4は、本発明のビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)の溶液と薄膜における励起スペクトルとフォトルミネッセンスを示すものであり、図4のPL solutionは溶液状でのフォトルミネッセンス、PL filmは薄膜状でのフォトルミネッンスを表しており、ex filmは薄膜状での励起スペクトル、ex solutionは溶液にした時の励起スペクトルを表している。
また、表2は、DFPA2の蛍光スペクトルを示しており、表2中のfilmは材料を蒸着した薄膜状で測定したものであり、クロロホルムは材料をクロロホルムに溶かした溶液で測定したものである。欄外のsolutionについてはクロロホルムに溶かした時の濃度、filmについては薄膜の厚みを表している。λexは吸収光を、λemは蛍光のそれぞれのもっとも強いところを数値化したものである。
Figure 2005232097
フィルムと溶液のPLスペクトルはフルオレン由来の青色発光を示し、フィルム中でのエキシマー形成によるレッドシフトは確認されなかった。
合成例2
4,4′−ジフェニル−4,4′−ビス(9,9,9′,9′−テトラ−エチル−2,2−テトラ−エチル−2,2−ジフルオレニル−7−イル)−ジアミノビフェニル〔4,4′−Diphenyl−4,4′−bis(9,9,9′,9′−tetra−ethyl−2,2−tetra−ethyl−2,2−difluorenyl−7−yl)diaminobiphenyl〕の合成
Figure 2005232097
Figure 2005232097
2′−ブロモ−ジ(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)(BDE)、ナトリウム第三級ブチラート、酢酸パラジウム、DPPFを、精製したトルエンに溶解させた後、精製したN,N′−ジフェニルアミノビフェニル(DPABP)を加え反応させた。各成分のモル数は下記表のとおりである。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒等を除去し黒色の固体を得た。精製はカラムクロマトグラフィー法(n−ヘキサン:ジクロロメタン=5:1)、再結晶(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で行い、黄色がかった粉末状の固体を得た。
Figure 2005232097
実施例1〜4、比較例1
下記の層構成の有機EL素子を作った。ただし、実施例においては合成例1の(5)で示すビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)よりなるオリゴマーをバッファー層(ITOの上に設けられている層を俗にバッファー層と呼び、本発明においては、この層がDFPA2を含有することによりホール注入層として機能している)に用いた有機EL素子を作った。この有機EL素子の構造は図11に示す。
比較例1〔ITO/α−NPD(40nm)/Alq(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例1〔ITO/DFPA2(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例2〔ITO/DFPA2:TBPAH(5wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例3〔ITO/DFPA2:TBPAH(10wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例4〔ITO/DFPA2:TBPAH(15wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例EL素子の製法
DFPA2のジクロロエタン溶液(濃度 5g/l)にルイス酸としてSbCl を含んだトリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)塩(0〜15wt%)をドーピングしたものをホール注入層としてスピンコート法によりITO基板上に200Å厚で成膜した。その上にホール輸送材料としてのα−NPD200Å、電子輸送性発光層としてのAlq600Å、陰極材料としてのLiF/Al(5Å/1000Å)を、それぞれ真空蒸着法により成膜した。
オリゴマー溶液にドーパントであるトリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)を分散させると、溶液色が変色しオリゴマーやドーパントのどちらでもない茶色への変色を観察した。これはオリゴマーとドーパントの間で電荷移動(CT)錯体が形成されたと考えられる。つまりドーパントのTBPAHのアクセプター性SbCl がオリゴマーのドナー性窒素との間で電荷移動相互作用を起こし、電荷移動により吸収が長波長にシフトしたと考えられる。このCT錯体形成の様子は石英基板上に成膜した膜のUV−vis吸収スペクトルで500nm付近に新たなピークが表われたことから確認できた。
なお、α−NPD、Alq、TBPAHの構造式は下記に示すとおりである。
Figure 2005232097
比較例EL素子の製法
洗浄したITO基板上にホール輸送層としてα−NPD400Å、電子輸送性発光層としてAlq600Å、陰極電極としてLiF/Al(5Å/1000Å)をそれぞれ真空蒸着法により成膜した。
比較例1、実施例1〜4の輝度−電圧、電流密度−電圧、輝度−電流密度、視感効率−電圧、電流効率−電圧特性を図5〜9に示す。ELスペクトルは図10に示す。
図中、黒ひし形印は比較例1の素子のデータである。黒逆三角印は実施例1の素子のデータである。三角印は実施例2の素子のデータである。黒四角印は実施例3の素子のデータである。黒丸印は実施例4の素子のデータである。図5は、各素子における輝度−電圧特性を示すグラフである。発光開始電圧は、それぞれとも2.5V付近からであるが、比較例に用いられているα−NPDをホール輸送剤に用いている素子(比較例1)に比べ、ホール注入層としてDFPA2を一層挿入した素子(実施例1〜4)は輝度においてそれを上回る結果が得られている。さらにDFPA2にバッファー剤であるTBPAHを加えた素子(実施例2〜4)はさらによい結果が表われている。
図6は、電流密度−電圧特性を表すグラフである。これについては、低電圧側で一部リーク電流の発生も見られるが、相対的に高電圧側では素子に入る電流の量はDFPA2にTBPAHを加えたもの(実施例2〜4)の方がTBPAHを加えないもの(実施例1)より特性的に優れている。
図7は、輝度−電流密度特性を表すグラフである。α−NPDを用いた素子(比較例1)は10−1mA/cmで発光を開始するが、DFPA2やこれにルイス酸のTBPAHを加えた素子(実施例1〜4)は10−3mA/cm付近から発光を開始する。またそれぞれの素子が右上がりの直線になっていることからホールと電子のキャリアバランスがとれていることを示している。ルイス酸のTBPAHを15wt%加えた素子(実施例4)については、ホールの注入効果が大きすぎるのか低電流密度においてバランスをうしなっているが、10mA/cmを過ぎたところからはバランスが取れ他の素子同様正の相関関係が得られている。
図8は、電流効率−電圧特性を表すグラフである。多少のばらつきは見られるもののα−NPDだけの素子(比較例1)に比べて10wt%のTBPAHを加えたDFPA2の素子(実施例3)がより低電圧側で駆動を開始している。15wt%のTBPAHを加えた素子(実施例4)については図7に見られたことと同様な影響が表われたためか高電圧シフトしてしまっている。しかし5V付近からはきちんとした相関関係が得られている。
図9は、視感効率−電圧特性を表すグラフである、ここでも10wt%のTBPAHを加えたDFPAの素子(実施例3)が、α−NPDだけの素子(比較例1)に比べてより低電圧側で駆動を開始している。
なお、図10のELスペクトルよりほぼAlq由来の発光であることが判った。これよりα−NPD層では発光していないことが解った。また可視領域での吸収の影響が少ないと考えられる。
以上のことからホール輸送層にα−NPD、電子輸送兼発光層にAlqを用いた2層型の素子に比べて、ホール注入層にDFPA2あるいはDFPA2にルイス酸(TBPAH)を加えた3層型の素子の方が効率がよいことが分かる。それぞれの結果を考察してもっとも最適化された素子構造は、DFPA2に10wt%のTBPAHを加えたもの(実施例3)であり、ついで5wt%のTBPAHを加えたもの(実施例2)、15wt%添加したもの(実施例4)、DFPA2だけのもの(実施例1)、そして2層型の素子(比較例1)という順になる。
実施例1〜4の有機EL素子および比較例1の有機EL素子のEL特性を下記表4に示す。
Figure 2005232097
表4および図5〜10に示すデータからバッファー層を使用しない素子(比較例1)に比べ、使用した素子(実施例1〜4)は低電圧(2.5V)での発光を観測することができた。これは有機層と陽陰電極の界面でホール注入障壁が緩和されホールが入り易くなったと考えられる。
表4より、バッファー層を使用した素子(実施例1〜4)、とくにルイス酸をドープした素子(実施例2〜4)は使用しない素子(比較例1)に比べ、いずれも低電圧(8.5V以下)での最高輝度を記録している。とくに10wt%ルイス酸をドープしたもの(実施例3)は最大視感効率4.4lm/W、最大外部量子効率2.09p/e%と良い特性を得ることができた。これはホール注入層のオリゴマーをドーパントTBPAHでドープすることによってTBPAHのルイス酸であるSbCl がオリゴマー上の窒素の非共有電子対から一個の電子を引き抜きラジカルカチオンが形成され、陽極界面においてキャリア密度が増加したため、陽極からホール注入性が向上したと考えられる。結論的には、ルイス酸をDFPA2にドープし、ホール注入層として挿入することにより、有機EL素子の陽極/有機層界面でのホール注入性が向上し素子の輝度、電流密度、視感効率が向上することができた。
本発明のビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)のH−NMRスペクトルを示す。 本発明のビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)の溶液(ジクロロエタン 1×10−5モル/リットル)とフィルムのUV吸収スペクトルを示す。 本発明のビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)の溶液にTBPAH10wt%をドーピングしたフィルムのUV吸収スペクトルを示す。 本発明のビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)の溶液と薄膜における励起スペクトルとフォトルミネッセンスを示す。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子における輝度−電圧特性を示すグラフである。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子における電流密度−電圧特性を示すグラフである。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子における輝度−電流密度特性を示すグラフである。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子における電流効率−電圧特性を示すグラフである。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子における視感効率−電圧特性を示すグラフである。 比較例1の素子、実施例1〜4の素子におけるELスペクトルを示すグラフである。 実施例1〜4の有機EL素子の構造を示す断面図である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 2005232097
    〔式中、Qは、
    Figure 2005232097
    であり、R〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
    ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
    で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミン。
  2. 一般式(2)
    Figure 2005232097
    (式中、Xはハロゲン、R〜R17は、水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
    で示されるハロゲン化ビフルオレンと、一般式(2′)
    Figure 2005232097
    (式中、Xはハロゲン、R18〜R34は、水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
    で示されるハロゲン化ビフルオレンに、
    一般式(3)
    Figure 2005232097
    〔式中、Qは、
    Figure 2005232097
    ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
    で示されるアミンを反応させることを特徴とする一般式(1)
    Figure 2005232097
    〔式中、Qは、
    Figure 2005232097
    であり、R〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
    ArおよびArは、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Arは置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
    で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンの製造方法。
  3. 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンよりなるホール注入材料。
  4. 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンを含有する有機EL素子。
  5. 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンとルイス酸とを含有する有機EL素子。
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