JP2005230032A - 自律走行ロボットクリーナー - Google Patents
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Abstract
【課題】自律走行ロボットクリーナーにおいて、床面に凸凹があっても誤差の小さい測距ができ、ジグザグに走行したりせず滑らかに走行できるようにする。
【解決手段】自律走行ロボットクリーナーは、加速度センサにより、機器本体の上下方向の加速度が検出された場合(S1でYES)に、障害物検出手段により機器本体の障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、加速度センサからの出力に基づいて測距値を補正するための補正値を求め(S2)、測距値を補正値で補正することにより補正測距値を算出する(S3)。さらに、この補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め(S4)、この平均値に基づいて走行手段を制御する(S5)。
【選択図】図6
【解決手段】自律走行ロボットクリーナーは、加速度センサにより、機器本体の上下方向の加速度が検出された場合(S1でYES)に、障害物検出手段により機器本体の障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、加速度センサからの出力に基づいて測距値を補正するための補正値を求め(S2)、測距値を補正値で補正することにより補正測距値を算出する(S3)。さらに、この補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め(S4)、この平均値に基づいて走行手段を制御する(S5)。
【選択図】図6
Description
本発明は、自律走行しながら部屋の掃除を行う自律走行ロボットクリーナーに関するものである。
従来から、自律走行ロボットクリーナーにおいて、障害物までの距離を計測する距離検出手段と、障害物や床面の形状等に関する情報を取得する手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の自律走行ロボットクリーナーにおいては、凸凹な床面を走行して機器本体が上下動した場合、距離検出手段により計測された距離を補正する手段を何ら備えていないため、床面が凸凹面であった場合に、正確な測距を行うことができなかった。このため、凸凹面が連続する場合、障害物までの測距値がばらついてしまい、この測距値に基づいて走行手段を制御するとジグザグに走行してしまったり、急に方向転換してしまうことがあった。
一方、機器本体の移動方向を検出するための角速度センサを備え、機器本体の方向転換前の停止時に角速度センサのオフセット電圧を修正することにより、移動精度を向上させた自律走行ロボットクリーナーが知られている(例えば、特許文献3参照)。また、不整地移動ロボットの自律走行システムにおいて、傾斜計による傾斜情報、エンコーダ及びモータ負荷計からの信号を補正情報とし、この補正情報に基づいて慣性センサのドリフトにより生じる位置誤差を補正して高精度な三次元的な位置情報を得ることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−256041号公報
特開2003−256043号公報
特許第2658419号公報
特開平7−248820号公報
しかしながら、上記特許文献3及び特許文献4に示された自走式ロボットクリーナー等においては、角速度センサや慣性センサを補正するようにしているものの、障害物や床面までの距離を計測する距離検出手段を補正するための手段を有していないため、床面が凸凹であった場合には、精度の高い測距を行うことができず、この測距値に基づいて走行手段を制御すると、機器本体がジグザグに走行してしまったりする等、凸凹面を滑らかに走行することができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、床面が凸凹であっても誤差の小さい測距ができ、凸凹面であっても滑らかな走行が行える自律走行ロボットクリーナーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、機器本体周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、機器本体を走行、旋回させる走行手段と、機器本体の走行する領域を掃除する掃除手段と、前記障害物検出手段の出力を基に前記走行手段及び前記掃除手段を制御して、機器本体を走行させつつ機器本体の走行する領域を掃除させる掃除動作を実行する制御手段とを備えた自律走行ロボットクリーナーにおいて、機器本体に作用する加速度を、機器本体の進行方向に対して、前後方向、左右方向及び上下方向の直交する3軸方向について検出する加速度センサをさらに備え、前記障害物検出手段は、機器本体の前方の障害物を検出する前方センサと、機器本体の左側方の障害物を検出する左側方センサと、機器本体の右側方の障害物を検出する右側方センサとを有し、前記前方センサ、左側方センサ、及び右側方センサは、各々、一列に配列された多数の受光素子からの出力を基に障害物までの距離を測定する光学式ラインセンサであり、前記前方センサは、機器本体の前方を斜め下向きに監視し、該前方センサの障害物検出領域は、鉛直方向に薄く水平方向に広がりを持って機器本体前方の床面に達するように設定されており、前記左側方センサ及び右側方センサは、各々、機器本体の僅かに前方の左側方及び右側方を斜め下向きに監視し、該左側方センサ及び右側方センサの障害物検出領域は、各々、前記前方センサの検出領域よりも低い位置にあり、水平方向に薄く鉛直方向に広がりを持って機器本体左側方及び機器本体右側方の床面に達するように設定されており、前記制御手段は、前記加速度センサにより、機器本体の上下方向の加速度が検出された場合に、前記障害物検出手段により、所定時間毎に障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、前記加速度センサからの出力に基づいて前記測距値を補正するための補正値を求め、前記測距値を前記補正値で補正することにより補正測距値を算出し、さらに、該補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め、この平均値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする。
請求項2の発明は、機器本体周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、機器本体を走行、旋回させる走行手段と、機器本体の走行する領域を掃除する掃除手段と、前記障害物検出手段の出力を基に前記走行手段及び前記掃除手段を制御して、機器本体を走行させつつ機器本体の走行する領域を掃除させる掃除動作を実行する制御手段とを備えた自律走行ロボットクリーナーにおいて、機器本体の上下方向の運動を検出することにより床面の凸凹を検出し、機器本体の上下方向の運動の大きさに応じた信号を出力する凸凹検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記凸凹検出手段により、床面の凸凹が検出された場合に、前記障害物検出手段により、所定時間毎に障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、前記凸凹検出手段からの出力に基づいて前記測距値を補正するための補正値を求め、前記測距値を前記補正値で補正することにより補正測距値を算出し、この補正測距値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の自律走行ロボットクリーナーにおいて、前記制御手段は、前記補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め、この平均値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、制御手段は、加速度センサにより、機器本体の上下方向の加速度が検出された場合に、前方センサ、左側方センサ及び右側方センサにより機器本体の障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、加速度センサからの出力に基づいて測距値を補正するための補正値を求め、測距値を補正値で補正することにより補正測距値を算出し、さらに、この補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求めるようにしたので床面が凸凹であっても、誤差の小さい測距が可能となる。自律走行ロボットクリーナーは、このようにして得られた平均値に基づいて制御手段で走行手段を制御することにより、凸凹面であってもジグザグに走行したりせず、滑らかに走行することができる。
請求項2の発明によれば、制御手段は、凸凹検出手段により、床面の凸凹が検出された場合に、凸凹検出手段からの出力に基づいて障害物検出手段により得られた測距値を補正するための補正値を求め、測距値を補正値で補正した補正測距値に基づいて走行手段を制御するようにしたので、床面が凸凹であっても滑らかに走行することができる。
請求項3の発明によれば、制御手段は、補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求めるようにしたので、さらに、誤差の小さい測距が可能となる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態による自律走行ロボットクリーナーの概略構成を図1(a)(b)及び図2に示す。自律走行ロボットクリーナー1は、部屋の床面を自律走行して床面を掃除する機器であり、機器本体2を走行させる左車輪3、右車輪4、前車輪5と、床面に落ちているゴミを収集するサブブラシ6、メインブラシ7、ローラ8、吸引ノズル9、ダストボックス10、吸引用ファン11とを備えている。また、自律走行ロボットクリーナー1は、機器本体2の周囲の障害物を検出する前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ(左側方センサ)13、右段差センサ(右側方センサ)14、天井センサ15と、センサ用照明ランプ16とを備えている。前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15により、障害物検出手段が構成されている。
左車輪3、及び右車輪4は、各々独立して正転・逆転駆動される駆動輪であり、前車輪5は、従動輪である。自律走行ロボットクリーナー1は、左車輪3と右車輪4が同じ回転速度で正転駆動されることにより正面(前方)方向(図中矢印A方向)に直進走行し、左車輪3と右車輪4の一方を正転駆動し、他方を逆転駆動することにより、その位置で時計回りの方向(図中矢印B方向)又は反時計回りの方向(図中矢印C方向)に旋回するようになっている。また、左車輪3と右車輪4が逆転駆動されることにより後退し、左車輪3と右車輪4が異なる回転速度で駆動されることにより右又は左にカーブして走行するようにもなっている。
サブブラシ6は、床面に落ちているゴミを掻き集めるものであり、機器本体2の前部に2つのものが配置されており、各々、図中矢印D1方向、D2方向に回転駆動されるようになっている。メインブラシ7は、床面に落ちているゴミを掻き上げるものであり、サブブラシ6の後方に配置されており、図中矢印E方向に回転駆動されるようになっている。ローラ8は、メインブラシ7により掻き上げられたゴミを吸引ノズル9の吸引口9a付近に搬送するものであり、メインブラシ7の回転に従動して図中矢印F方向に回転するようになっている。
吸引ノズル9は、メインブラシ7により掻き上げられたゴミ、及びローラ8により搬送されたゴミを吸引口9aから吸引してダストボックス10に排出するものである。吸引ノズル9の吸引口9aは、機器本体2の走行方向(図中矢印A方向)に垂直な方向に長くなっている。ダストボックス10は、吸引ノズル9から排出されるゴミを集めておくものである。
吸引用ファン11は、ダストボックス10内の空気をフィルタを介して機器本体2の外部に排出するものである。ダストボックス内の空気が吸引用ファン11によって排出されることにより、ゴミが空気と共に吸引ノズル9の吸気口9aから吸入されてダストボックス10内に排出されるようになっている。自律走行ロボットクリーナー1は、走行しながらサブブラシ6でゴミを掻き集め、そのゴミを吸引ノズル9で吸引することにより、走行する領域を掃除する。
前方センサ12a,12b,12cは、機器本体2の前方の段差、溝、下りの階段、壁、柱、床に置かれた本、テーブル、椅子、扇風機等の障害物を検出し、その障害物までの距離を測定するものであり、機器本体2の前方を斜め下向き(図中矢印G1,G2,G3の向き)に監視している。
左段差センサ13は、機器本体2の左側方の同様の障害物を検出し、その障害物までの距離を測定するものであり、機器本体2の僅かに前方の左側方を斜め下向き(図中矢印Hの向き)に監視している。右段差センサ14は、機器本体2の右側方の同様の障害物を検出し、その障害物までの距離を測定するものであり、機器本体2の僅かに前方の右側方を斜め下向き(図中矢印Iの向き)に監視している。
天井センサ15は、機器本体2の前上方にある障害物(テーブルやベッドの下を通り抜けできるか否か)を検出し、その障害物の高さと障害物までの距離を測定するものであり、機器本体2の前方を斜め上向き(図中矢印Jの向き)に監視している。センサ用照明ランプ16は、前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15により障害物を確実に検出できるように、機器本体2の周囲を照明するものである。
また、自律走行ロボットクリーナー1は、吸引ノズル9により吸引されるゴミを検出する検出するゴミセンサ17と、床面が絨毯であるか否かを検出する絨毯センサ18と、操作部19と、LCD20と、LED21と、スピーカ22とを備えている。
ゴミセンサ17は、透過型の光学式センサであり、光を発する発光部17aと、発光部17aからの光を受光する受光部17bとを有している。発光部17a及び受光部17bは、吸引ノズル9の吸引口9a付近の両側部に配置されており、吸引ノズル9がゴミを吸引すると、ゴミは発光部17aと受光部17bとの間を通過するようになっている。ゴミセンサ17は、発光部17aから発せられて受光部17bにて受光される光が遮ることにより、吸引ノズル9により吸引されるゴミを検出する。
絨毯センサ18は、透過型の光学式センサであり、光を発する発光部18aと、発光部18aからの光を受光する受光部18bとを有している。発光部18a及び受光部18bは、機器本体2の進行方向に垂直な方向に間隔を空けて、床面との間に僅かの隙間を有するように配置されており、機器本体2が絨毯の上を走行すると、絨毯の毛が発光部18aと受光部18bとの間を遮るようになっている。絨毯センサ18は、発光部18aから発せられて受光部18bにて受光される光が遮ることにより、床面が絨毯であることを検出する。
操作部19は、自律走行ロボットクリーナー1による掃除動作を開始・停止させるために操作され、また、その他の各種設定を行うために操作されるものである。LCD20は、文字表示により、自律走行ロボットクリーナー1の動作状況や各種メッセージを報知するものである。LED21は、点灯、点滅、消灯することにより、自律走行ロボットクリーナー1の動作状況を報知するものである。スピーカ22は、音声出力により、自律走行ロボットクリーナー1の動作状況や各種メッセージを報知するものである。これら操作部19、LCD20、LED21、スピーカ22は、機器本体2の上部に配置されている。
さらに、自律走行ロボットクリーナー1は、不法侵入者等の監視を行うセキュリティ機能を有しており、不法侵入者等を検出する人体センサ23と、不法侵入者等を撮影するカメラ24と、カメラ用照明ランプ25と、無線通信モジュール26とを備えている。
人体センサ23は、人体から放射される赤外線を受光することにより機器本体2の周辺の人体の有無を検出するものである。カメラ24は、立っている人の顔を撮影できるように、機器本体2の前方の斜め上方向に向けて配置されている。カメラ用照明ランプ25は、カメラ24による撮影が確実に行えるように、機器本体2の前方の斜め上方向(すなわちカメラ24の撮影方向)を照明するようになっている。無線通信モジュール26は、カメラ24で撮影した画像をアンテナ27を介して監視センタ等へ無線で送信するものである。自律走行ロボットクリーナー1は、掃除動作を行わないときには、これら人体センサ23、カメラ24、カメラ用照明ランプ25、及び無線通信モジュール26を動作させて、不法侵入者等の監視を行うようになっている。
次に、自律走行ロボットクリーナー1の電気的ブロック構成を図3に示す。自律走行ロボットクリーナー1は、上述の前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15、センサ用照明ランプ16、ゴミセンサ17、絨毯センサ18、操作部19、LCD20、LED21、スピーカ22、人体センサ23、カメラ24、カメラ用照明ランプ25、及び無線通信モジュール26を備えている。また、自律走行ロボットクリーナー1は、これらに加え、左車輪モータ31、右車輪モータ32、サブブラシモータ33、メインブラシモータ34、ゴミ吸引用モータ35、加速度センサ36、走行距離算出部37、地磁気センサ38、走行方向判定部39、汚れ度判定部40、地図情報メモリ41、バッテリ42、及び各部を制御する制御部43を備えている。
左車輪モータ31、右車輪モータ32、及び上述の左車輪3、右車輪4により走行手段が構成されており、サブブラシモータ33、メインブラシモータ34、ゴミ吸引用モータ35、及び上述のサブブラシ6、メインブラシ7、ローラ8、吸引ノズル9、ダストボックス10、吸引用ファン11により掃除手段が構成されている。また、地磁気センサ38、及び走行方向判定部39により走行方向検出手段が構成されている。
前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15は、上述のように障害物を検出して障害物までの距離を測定し、それらの測距値が制御部43に入力される。センサ用照明ランプ16は、制御部43による制御のもと、照明用の光を発光する。ゴミセンサ17は、上述のようにゴミを検出し、その検出信号が汚れ度判定部40に入力される。絨毯センサ18は、上述のように床面が絨毯であることを検出し、その検出信号が制御部43に入力される。操作部19は、操作に応じた操作信号を出力し、その操作信号が制御部43に入力される。LCD20、LED21、及びスピーカ22は、制御部43による制御のもと、自律走行ロボットクリーナー1の動作状況や各種メッセージを報知する。
人体センサ23は、上述のように人体の有無を検出し、その検出信号が制御部43に入力される。カメラ24は、制御部43による制御のもと、撮影動作を行い、カメラ用照明ランプ25は、制御部43による制御のもと、照明用の光を発光する。無線通信モジュール26は、制御部43による制御のもと、カメラ24で撮影した画像を無線で送信する。
左車輪モータ31は、上述の左車輪3を正転・逆転させるものであり、右車輪モータ32は、上述の右車輪4を正転・逆転させるものである。サブブラシモータ33は、上述のサブブラシ6を回転させるものであり、メインブラシモータ34は、上述のメインブラシ7を回転させるものである。ゴミ吸引用モータ35は、上述の吸引用ファン11を回転させるものである。これら左車輪モータ31、右車輪モータ32、サブブラシモータ33、メインブラシモータ34、及びゴミ吸引用モータ35は、各々、制御部43による制御のもと駆動される。
加速度センサ36は、機器本体2に作用する加速度を検出して、加速度に応じた出力値を出力するものである。この加速度センサ36は、機器本体2に作用する加速度を、機器本体2の進行方向に対して、前後方向、左右方向及び上下方向の直交する3軸方向について各々独立して検出し、前後方向、左右方向、上下方向の各々の方向について、加速度に応じた出力値を出力する。走行距離算出部37は、加速度センサ36からの前後方向の加速度についての出力値を基に機器本体2の走行速度を算出し、さらに、その走行速度を基に走行距離を算出して、その値を出力する。
地磁気センサ38は、地磁気を検出して、地磁気の方向に応じた出力値を出力するものである。走行方向判定部38は、地磁気センサ38からの出力値を基に、機器本体2の正面方向が地磁気の方向を基準としてどの方向を向いているか(すなわち地磁気の方向に対する機器本体2の走行方向)を判定し、その値を出力する。
汚れ度判定部40は、ゴミセンサ17からの出力を基に所定時間あたりのゴミの集塵量を検出することにより機器本体2が走行する領域の汚れ度を判定し、汚れ度が基準値を超えている場合にその旨を示す信号を出力する。地図情報メモリ41は、機器本体2の現在位置、障害物の存在する位置、掃除済みの領域、床面の汚れ度が基準値を超えている領域等の機器本体2の走行を制御するのに必要な地図情報を記憶するものである。バッテリ42は、各部に給電するものである。
制御部43は、左車輪モータ31及び右車輪モータ32を駆動制御することにより、左車輪3及び右車輪を回転させて機器本体2の走行を制御し、また、サブブラシモータ33、及びメインブラシモータ34、及びゴミ吸引用モータ35を駆動することにより、サブブラシ6、メインブラシ7、及び吸引用ファン11を作動させてゴミの集塵動作を制御する。そして、制御部43は、前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15からの出力、及び地図情報メモリ41に記憶されている地図情報を基に機器本体2の走行及びゴミの集塵動作を制御して、機器本体2を走行させつつ機器本体2の走行する領域を掃除する掃除動作を実行する。
制御部43は、掃除動作において(1)障害物に到達すると機器本体2の大きさだけ横に移動した後に障害物と反対方向に走行する動作を繰り返す走行、(2)障害物の周囲に沿っての走行、(3)多くのゴミが密集して落ちている領域での螺旋状の走行、等の走行様式による掃除動作を実行する。また、制御部43は、絨毯センサ18及び汚れ度判定部40からの出力を基に、機器本体2の走行速度を調整し、ゴミの集塵力を調節する。
また、制御部43は、掃除動作中に、走行距離算出部37及び走行方向判定部39からの出力を基に機器本体2の位置及び走行方向を算出し、この算出した位置及び走行方向と前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、及び天井センサ15からの出力を基に、機器本体2の現在位置、障害物の存在する位置、掃除済みの領域等を示す地図情報を作成する。制御部43にて作成された地図情報は、地図情報メモリ41に記憶される。すなわち、制御部43は、掃除動作中に地図情報を作成してゆき、その作成してゆく地図情報を基に、さらに掃除動作を進めてゆく。
次に、上記構成の自律走行ロボットクリーナー1による障害物の検出について、図4を参照して説明する。自律走行ロボットクリーナー1は、上述のように前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、天井センサ15を備えている。これらのセンサ12a,12b,12c、13、14、15は、各々、CMOSセンサと呼ばれるパッシブ方式の光学測距センサであり、多数の受光素子が一列にライン状に配列された2つのPSDを有しており、これら2つのPSD上にレンズを介して結像される像(受光強度)の位相差を比較することにより、被検出対象までの距離を三角測距の原理により測定するものである。
また、自律走行ロボットクリーナー1は、機器本体2の中心(左車輪3と右車輪4との中点)位置Oを自分のいる位置とし、機器本体2の正面が向いている方向をY軸方向(図1に示す矢印A方向に該当)、機器本体2の正面方向を向いて右方向をX軸方向、上方向をZ軸方向として認識している。Y軸方向が背景座標に対してどの方向に向いているかは、走行方向判定部39から得られる出力を基に、地磁気の方向を基準として認識される。
前方センサ12a,12b,12cは、受光素子がライン状に配列されていることに対応して、障害物検出領域(受光領域)R1,R2,R3が鉛直方向(Z軸方向)に薄く水平方向に広がりを持っている。そして、前方センサ12a,12b,12cの検出領域R1,R2,R3は、機器本体2の前方の障害物を検出できるように、機器本体2の前方の床面60に達するように設定されている。前方センサ12a,12b,12cは、検出領域R1,R2,R3内に障害物が存在しないときには、検出領域R1,R2,R3と床面60との交差部分S1,S2,S3までの距離を測定している。
左段差センサ13及び右段差センサ14は、受光素子がライン状に配列されていることに対応して、障害物検出領域(受光領域)R4及びR5が水平方向に薄く鉛直方向(Z軸方向)に広がりを持っている。そして、左段差センサ13及び右段差センサ14の検出領域R4及びR5は、機器本体2の左側方又は右側方の直近に本51等の背の低い障害物が存在してもその障害物を検出できるように、機器本体2の左側方及び右側方の直近の床面60に達するように設定されている。左段差センサ13は、検出領域R4内に障害物が存在しないときには、検出領域R4と床面60との交差部分S4までの距離を測定し、右段差センサ14は、検出領域R5内に障害物が存在しないときには、検出領域R5と床面60との交差部分S5までの距離を測定している。
また、左段差センサ13及び右段差センサ14は、前方センサ12a,12b,12cよりも低い位置に取付けられている。なお、天井センサ15の障害物検出領域(図示省略)は、鉛直方向(Z軸方向)に薄く、水平方向に広がりを持っている。
このような構成により、自律走行ロボットクリーナー1は、前進(Y軸方向への走行)中に壁50や本51等の障害物に接近してゆくと、それらの障害物を前方センサ12a,12b,12cの検出領域R1,R2,R3内に捉えて検出し、それら障害物までのY軸方向の距離を算出する。また、走行中に機器本体2の左側方又は右側方の直近に壁50や本51等の障害物が存在すれば、それらの障害物を左段差センサ13の検出領域R4内又は右段差センサ14の検出領域R5内に捉えて検出し、それら障害物までのX軸方向の距離を算出する。また、床面60に溝や下りの階段等の障害物があっても、同様に、それら溝や階段等の障害物を検出して、それら溝や段差までの距離を算出する。なお、天井センサ15は、障害物までのZ軸方向の距離(高さ)を算出する。
自律走行ロボットクリーナー1は、これら前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13、右段差センサ14、及び天井センサ15により得られる障害物までの距離情報を基に、また、上述の走行距離算出部37及び走行方向判定部39から得られる出力を基に、障害物を回避して走行しながら、又は、障害物の周囲に沿って走行しながら床面60を掃除する。
自律走行ロボットクリーナー1は、障害物の回避に際しては、前方センサ12a,12b,12cからの出力を基に、機器本体2の前方(Y軸方向)の壁50や本51、下りの階段等の障害物に所定距離(例えば5cm)内に接近したことを検出すると、右方向(X軸方向)又は左方向(−X軸方向)に90°旋回して障害物を回避する。また、障害物の周囲に沿っての走行に際しては、左段差センサ13又は右段差センサ14からの出力を基に、機器本体2の右方向(X軸方向)又は左方向(−X軸方向)の壁50や本51、下りの階段等の障害物までの距離を一定(例えば3cm)に保ちながら走行する。
次に、凸凹面を有する床面60を走行する場合における自律走行ロボットクリーナー1の制御処理について、図5及び図6を参照して説明する。まず、図5を参照して、床面60に凸凹面が存在する場合における前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13及び右段差センサ14による測距値がばらつく原因について説明する。なお、図5(b)においては、機器本体2の左車輪3及び右車輪4が凹部61に落ちた状態を実線で、機器本体2の左車輪3及び右車輪4が凹部61の上面61aにある状態を点線で示している。例えば、自律走行ロボットクリーナー1が右段差センサ14の測距値に基づいて、壁50までの距離を一定に保ちながら走行していたとする。機器本体2の左車輪3及び右車輪4が凹部61に落ちた場合、機器本体2が−Z軸方向に沈み込むため、床面60に対する左段差センサ13及び右段差センサ14のZ軸方向の距離が近くなる。このため、右段差センサ14の検出領域R4は、右段差センサ14から近い距離で床面60と交差することとなり、機器本体2のZ軸方向の運動に合わせて右段差センサ14による測距値はばらつくこととなる。また、左段差センサ13及び右段差センサ14の測距値は、検出領域R4,R5が凹部61の上面61aで交差するか又は凹部61の上面61a以外の部分(例えば、底面61b等)で交差するかによってもばらついてしまう。従って、右段差センサ14の測距値を補正せずに機器本体2の走行を制御すると、例えば、機器本体2の左車輪3及び右車輪4が凹部61に落ちて、右段差センサ14の測距値が小さくなった場合、自律走行ロボットクリーナー1は、機器本体2が壁50に近づき過ぎたと判断して、C方向にカーブするように制御してしまう。このため、自律走行ロボットクリーナー1は、凸凹面が連続すると、測距値のばらつきに合わせてC方向、或はB方向の旋回を繰り返し、結果的にジグザグに走行することとなる。また、前方センサ12a,12b,12cについても同様に、凸凹面が連続した場合に、床面60に対する前方センサ12a,12b,12cのZ軸方向の距離が変動することにより、或は、検出領域R1,R2,R3が凹部61の上面61aで交差するか又は凹部61の上面61a以外の部分で交差するかにより測距値がばらついてしまうこととなる。そこで、本実施形態における自律走行ロボットクリーナー1は、凸凹面の走行時に、前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13及び右段差センサ14の測距値を補正して走行手段を制御する。
制御部43は、加速度センサ36により、機器本体2のZ軸方向の加速度が検出されたか否かにより、床面60が凸凹面であるかどうか判断する(S1)。そして、凸凹面が検出された場合(S1でYES)、所定時間(例えば、1/N秒)毎に、前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13及び右段差センサ14により障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、加速度センサ36からの出力に基づいて測距値を補正するための補正値を求める(S3)。ここで、補正値は、例えば、図5(b)に示されるように、機器本体2のZ軸方向の変動量hに合わせて決定される。そして、前方センサ12a,12b,12c、左段差センサ13及び右段差センサ14の測距値を補正値により補正することにより、床面60から各センサ12a,12b,12c,13,14までの高さを一定とした場合における床面60や壁50等の障害物までの距離を補正測距値として求める。そして、さらに、この補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め(S4)、この平均値に基づいて、走行手段を制御する(S5)。
上述のように本実施形態の自律走行ロボットクリーナー1によれば、加速度センサ36により、機器本体2のZ軸方向の加速度が検出された場合に、各センサ12a,12b,12c,13,14で得た測距値を、加速度センサ36の出力に基づいて得た補正値で補正することにより補正測距値を算出し、さらに、この補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求めるようにしたので床面60が凸凹であっても、誤差の小さい測距が可能となる。そして、このようにして得られた平均値に基づいて走行手段を制御することにより、自律走行ロボットクリーナー1は、凸凹面であってもジグザグに走行したりせず、滑らかに走行することができる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、床面60の凸凹を検出するための手段としては加速度センサ36に限られず、例えば、風速センサなどで機器本体2のZ軸方向の運動を検出することにより床面60の凸凹を検出するようにしてもよい。
1 自律走行ロボットクリーナー
2 機器本体
3 左車輪(走行手段)
4 右車輪(走行手段)
6 サブブラシ(掃除手段)
7 メインブラシ(掃除手段)
8 ローラ(掃除手段)
9 吸引ノズル(掃除手段)
10 ダストボックス(掃除手段)
11 吸引用ファン(掃除手段)
12a,12b,12c 前方センサ(障害物検出手段)
13 左段差センサ(障害物検出手段)
14 右段差センサ(障害物検出手段)
31 左車輪モータ(走行手段)
32 右車輪モータ(走行手段)
36 加速度センサ
43 制御部(制御手段)
2 機器本体
3 左車輪(走行手段)
4 右車輪(走行手段)
6 サブブラシ(掃除手段)
7 メインブラシ(掃除手段)
8 ローラ(掃除手段)
9 吸引ノズル(掃除手段)
10 ダストボックス(掃除手段)
11 吸引用ファン(掃除手段)
12a,12b,12c 前方センサ(障害物検出手段)
13 左段差センサ(障害物検出手段)
14 右段差センサ(障害物検出手段)
31 左車輪モータ(走行手段)
32 右車輪モータ(走行手段)
36 加速度センサ
43 制御部(制御手段)
Claims (3)
- 機器本体周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、機器本体を走行、旋回させる走行手段と、機器本体の走行する領域を掃除する掃除手段と、前記障害物検出手段の出力を基に前記走行手段及び前記掃除手段を制御して、機器本体を走行させつつ機器本体の走行する領域を掃除させる掃除動作を実行する制御手段とを備えた自律走行ロボットクリーナーにおいて、
機器本体に作用する加速度を、機器本体の進行方向に対して、前後方向、左右方向及び上下方向の直交する3軸方向について検出する加速度センサをさらに備え、
前記障害物検出手段は、機器本体の前方の障害物を検出する前方センサと、機器本体の左側方の障害物を検出する左側方センサと、機器本体の右側方の障害物を検出する右側方センサとを有し、前記前方センサ、左側方センサ、及び右側方センサは、各々、一列に配列された多数の受光素子からの出力を基に障害物までの距離を測定する光学式ラインセンサであり、
前記前方センサは、機器本体の前方を斜め下向きに監視し、該前方センサの障害物検出領域は、鉛直方向に薄く水平方向に広がりを持って機器本体前方の床面に達するように設定されており、
前記左側方センサ及び右側方センサは、各々、機器本体の僅かに前方の左側方及び右側方を斜め下向きに監視し、該左側方センサ及び右側方センサの障害物検出領域は、各々、前記前方センサの検出領域よりも低い位置にあり、水平方向に薄く鉛直方向に広がりを持って機器本体左側方及び機器本体右側方の床面に達するように設定されており、
前記制御手段は、前記加速度センサにより、機器本体の上下方向の加速度が検出された場合に、前記障害物検出手段により、所定時間毎に障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、前記加速度センサからの出力に基づいて前記測距値を補正するための補正値を求め、前記測距値を前記補正値で補正することにより補正測距値を算出し、さらに、該補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め、この平均値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする自律走行ロボットクリーナー。 - 機器本体周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、機器本体を走行、旋回させる走行手段と、機器本体の走行する領域を掃除する掃除手段と、前記障害物検出手段の出力を基に前記走行手段及び前記掃除手段を制御して、機器本体を走行させつつ機器本体の走行する領域を掃除させる掃除動作を実行する制御手段とを備えた自律走行ロボットクリーナーにおいて、
機器本体の上下方向の運動を検出することにより床面の凸凹を検出し、機器本体の上下方向の運動の大きさに応じた信号を出力する凸凹検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記凸凹検出手段により、床面の凸凹が検出された場合に、前記障害物検出手段により、所定時間毎に障害物までの距離を測定して測距値を得ると共に、前記凸凹検出手段からの出力に基づいて前記測距値を補正するための補正値を求め、前記測距値を前記補正値で補正することにより補正測距値を算出し、この補正測距値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする自律走行ロボットクリーナー。 - 前記制御手段は、前記補正測距値を所定測距回数毎に平均化して平均値を求め、この平均値に基づいて前記走行手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の自律走行ロボットクリーナー。
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