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JP2005229703A - ステータコア用インシュレータ及びステータコアへの巻線方法 - Google Patents

ステータコア用インシュレータ及びステータコアへの巻線方法 Download PDF

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JP2005229703A JP2004035258A JP2004035258A JP2005229703A JP 2005229703 A JP2005229703 A JP 2005229703A JP 2004035258 A JP2004035258 A JP 2004035258A JP 2004035258 A JP2004035258 A JP 2004035258A JP 2005229703 A JP2005229703 A JP 2005229703A
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Abstract

【課題】 上下の層でコイル線がクロスする部分がステータコアのスロットの内側で生じないようにして、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができるようにする。
【解決手段】 ステータコア10のティース12を覆うインシュレータ20であって、ティース両側面及び両端面を囲む部分にコイル線を導入する溝を設けると共に、前記ティースの一方の端面24に当接する部分にのみ、巻線位置を隣接する次の周の溝に移動させる斜めの平行な溝31を設け、他の部分にはティース突出方向に対して直交する平行な溝を設ける。ステータコアのティースに上記インシュレータを装着し、巻線ノズルをティース外周に周回させて巻線を施す際に、次の周の巻線を整列させて行うために巻線ノズルをティースの突出方向に移動させる操作を、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面にコイル線を巻き付けるときに行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ステータコア用インシュレータ及びそれを用いたステータコアへの巻線方法に関する。
ステータコアにコイルを直巻する場合、ステータコアのスロット内周及びティース(ステータコアの歯)外周にインシュレータと呼ばれる絶縁カバーを装着し、この絶縁カバーの外周に巻線を施すようにしている。ステータコアのスロット内にコイルをできるだけ密に配列して巻線数を多くするため、コイル線を整列させて巻く必要がある。このため、インシュレータに1層目のコイル線が嵌合する溝を形成したものが知られている。
例えば下記特許文献1には、四角柱状をなすティースを有するステータコアと、このステータコアに装着され、前記ティースの表面を覆うコイル巻装部を有する樹脂製の絶縁部材と、前記コイル巻装部の隅部を除く部分に形成されたガイド溝と、前記ティースに前記コイル巻装部の上から巻装され、素線が前記ガイド溝内に挿入されたコイルとを備え、前記ガイド溝の底面と前記コイル巻装部の表面との間には段差が形成されている回転電機のステータが開示されている。
また、下記特許文献2には、電機機器の鉄心に装填されたコイル線を最下層から順に重ねて多層に整列巻きする電機機器の巻線ボビンにおいて、前記鉄心が入る貫通孔を囲む筒部と、この筒部の両端に一体形成されたフランジと、前記筒部の外周に形成され前記コイル線の最下層の巻付け位置を規制する位置決め用の係合部とを備え、前記係合部は前記コイル線の巻き始め側のフランジからコイル線の1巻目から2以上の一定数の巻目まで位置決めしないようにした電機機器の巻線ボビンが開示されている。
また、下記特許文献3には、ノズルを半径方向へ正確に進退動作させることにより、巻線すべきステータコアの内歯に、導線を半径方向にできるだけ整列させて巻付けることができるようにした巻線装置が提案されている。
特開平10−225040号公報 特開2002−284446号公報 特開2000−245121号公報
しかしながら、ステータコアのティースに装着される従来のインシュレータは、上記特許文献1、2に開示されたものも含めて、1層目のコイル線が整列して巻き付けられるようにガイドする溝が、ステータコアのティースの突出方向に対して直角にかつ互いに平行に形成されていた。また、コイル線を整列させて巻き付けるために、巻線ノズルは、ステータコアのティース外周に沿って螺旋状を描くように周回させていた。
また、上記特許文献3には、ノズルを半径方向へ進退動作させながら巻線する装置は開示されているものの、インシュレータの形状や巻線操作の詳細については、特に記載されていない。
ところで、1層目のコイル線を巻線した後、2層目以降のコイル線は、その下層のコイル線の進行方向に対して反対方向に進行しながら整列して巻線される。このため、1周する毎に、下層のコイル線を乗り越えて、下層のコイル線どうしの間隙にできた次の溝に移動する部分が生じる。下層のコイル線を乗り越える部分、すなわちコイル線がクロスする部分は、コイル線どうしの間隙にできた溝に嵌合して巻き付けられた部分よりも外径側に突出することになる。
しかしながら、このクロスする部分がステータコアのティースのスロット内面を走行する部分に形成されると、スロットの内側にクロスした嵩高の部分ができるため、スロット内に配列できるコイル線の巻数が低減されてしまい、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができず、コンパクトで高性能な回転電機を製造するという要望に答えることができなかった。
そして、従来のインシュレータ及び巻線方法では、コイル線のガイド溝がティースの突出方向に対して直角にかつ互いに平行になるように形成されていて、巻線ノズルをティース外周に沿って螺旋状を描くように周回させていたので、上記クロスする部分を制御することができず、スロットの内側でクロスしてしまうことを防止できなかった。
したがって、本発明の目的は、上下の層でコイル線がクロスする部分がステータコアのスロットの内側で生じないようにして、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができるようにしたステータコアのインシュレータ及びステータコアへの巻線方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の1つは、ステータコアのティースを覆うインシュレータであって、ティース両側面及び両端面を囲む部分にコイル線を導入する溝を設けると共に、前記ティースの一方の端面に当接する部分にのみ、巻線位置を隣接する次の周の溝に移動させる斜めの平行な溝を設け、他の部分にはティース突出方向に対して直交する平行な溝を設けたことを特徴とするステータコア用インシュレータを提供するものである。
上記発明によれば、1層目のコイル線を巻線する際に、前記斜めの溝が形成された端面に巻付けるときに巻線ノズルをティース突出方向に移動させて、前記斜めの溝に沿って巻き付けることにより、コイル線が隣接する次の周に移動して巻き付けられるようにすることができる。そして、2層目以降のコイル線は、その下方に巻線されたコイル線どうしの間の溝に巻き付けると共に、上記斜めの溝が形成された端面に巻き付けるときに巻線ノズルをティース突出方向に移動させることにより、コイル線のクロス部分を上記端面に形成させることができる。したがって、コイル線のクロス部分がステータコアのスロット内面で形成されることを防止でき、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができる。
この場合、前記インシュレータの両端面には、前記ステータコアの半径方向の両端に位置するガイド突起が形成され、前記斜めの溝が形成された端面における前記ガイド突起に隣接する部分には、1層目の巻初め及び巻き終わりのコイル線の外側と、2層目の巻き始め及び巻き終わりのコイル線の外側とに沿った形状をなし、前記ステータコアの端面方向から見て三角形状に突出するガイド壁が形成されていることが好ましい。
これによれば、各層の巻き始め及び巻き終わりのコイル線が、上記ガイド壁に当接して外径側又は内径側にずれることが防止されるので、その上層に巻き付けられるコイル線が巻き始め及び巻き終わりのコイル線がずれて生じた隙間に嵌合し、コイル線の整列が乱れてしまうことを防止できる。
また、前記斜めの溝が形成された端面の両角部を除く中央部に、前記ティースの突出方向に伸びる凹部が形成されていることが好ましい。
これによれば、コイル線を巻き付けたときに、コイル線が他方の端面を覆う部分の両角部に効果的に圧接されるため、両角部に設けられた斜めの溝に効果的に嵌合し、コイル線の整列度を高めることができる。
更に、前記インシュレータの両端面におけるコイル線が巻き付き始める角部は、コイル線が巻き終わる角部に対して、曲率半径が小さくなるように形成されていることが好ましい。
これによれば、コイル線が巻き付き始める角部の曲率半径が小さいので、コイル線が同角部に強く当たってその部分の溝に確実に挿入され、配列方向に線ずれを起こすことが防止される。また、巻き終わる角部の曲率半径は、それよりも大きくされているので、大きなカーブに沿ってコイル線が自然に曲がり、巻線ノズルがステータコアのスロット内に入ってティースの側面に巻線を施す際のコイル線の曲がりを小さくし、スロット内でコイル線が曲がってクロスを生じることを防止できる。
本発明のもう1つは、ステータコアのティースに請求項1〜4のいずれかのインシュレータを装着し、巻線ノズルをティース外周に周回させて巻線を施す際に、次の周の巻線を整列させて行うために巻線ノズルをティースの突出方向に移動させる操作を、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面にコイル線を巻き付けるときに行うことを特徴とするステータコアへの巻線方法を提供するものである。
上記発明によれば、前述したように、インシュレータの斜めの溝が形成された端面に巻き付けるときに巻線ノズルをティース突出方向に移動させることにより、コイル線のクロス部分を上記端面に形成させることができる。したがって、コイル線のクロス部分がステータコアのスロット内面で形成されることを防止でき、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができる。
この場合、前記巻線ノズルを前記ティースの突出方向に移動させる操作を、前記コイル線が、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面における一方の角部に当接してから開始し、他方の角部に当接するまでに終了することが好ましい。
これによれば、コイル線がインシュレータの斜めの溝が形成された端面における一方の角部に当接してから、巻線ノズルをティースの突出方向に移動させるので、コイル線が前記角部の溝に保持され、巻線ノズルがティースの突出方向に沿って移動する際に、コイル線が横方向にずれてしまうことを防止できる。
また、ステータコアのティースに前記凹部が形成されたインシュレータを装着し、少なくとも次の層の巻線を始める前に、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面に巻線されたコイル線を前記インシュレータの凹部に落とし込むように外部から押圧することが好ましい。
これによれば、コイル線を前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面に巻き付ける際に、コイル線がその両角部に効果的に圧接されるため、インシュレータの両角部に設けられた斜めの溝や、2層目以降の巻線においては下層のコイル線どうしの間に形成される溝に効果的に嵌合し、コイル線の整列度を高めることができる。
本発明によれば、ステータコアのティースを覆うインシュレータであって、ティース両側面及び両端面を囲む部分にコイル線を導入する溝を設けると共に、一方の端面に当接する部分にのみ、巻線位置を隣接する次の周の溝に移動させる斜めの平行な溝を設け、他の部分にはティース突出方向に対して直交するほぼ平行な溝を設けたことにより、このインシュレータの溝に嵌合するように1層目のコイル線を巻線し、2層目以上のコイル線は下層のコイル線どうしの間に形成された溝に嵌合するように巻線することによって、コイル線のクロス部分がステータコアのスロット内面で形成されることを防止でき、スロット内におけるコイル線のスペースファクタを高めることができる。
図1に示すように、本発明が適用されるステータコア10は、公知の材質の積層鉄心で構成され、例えば円筒状の周壁11と、その内周から所定間隔で半径方向中心に向かって突設された複数のティース(歯)12と、これらのティース12の間に形成されたスロット13とを有している。ティース12は、周壁11に連設された基部12aと、T字状に広がった先端部12bとを有している。また、ティース12は、ステータコア10の軸方向における両端面12c、12dと、スロット13内に位置する両側面12e、12fとを有している。
インシュレータ20は、この実施形態の場合、ステータコア10の両端面からそれぞれ組み付けられる一対の部材21,22で構成されている。それぞれの部材21、22は、スロット13内における周壁11の内面を覆う周壁部23と、ティース12の対応する端面12c、12dを覆う端面24、25と、ティース12の両側面12e、12fを覆う側壁部26,27とを有している。また、各端面24,25の半径方向両端部には、コイル線をガイドする鍔状のガイド突起28,29が形成されている。
一対の部材21,22は、ステータコア10のそれぞれの端面からティース12及びスロット13内壁を覆うように差し込まれ、ステータコア10の軸方向中間部で、上記側壁部26,27が当接してティース12の両端面12c、12d及び両側面12e,12fを囲むと共に、ステータコア10のスロット13内壁を覆うようになっている。
図2,3を併せて参照すると、一方の部材21の端面24には、図示しないコイル線が適合する幅で形成された斜めの溝31が平行に形成されている(図3(a)参照)。この斜めの溝31はコイル線を隣接する次の周の溝に案内するために、ティース12の突出方向に対して斜めに形成されている。また、他方の部材22の端面25には、ティース12の突出方向に対して直角な溝32が平行に形成されている。
更に、一対の部材21、22のそれぞれの両側面26,27には、ティース12の突出方向に対して直角な溝33が平行に形成されている。各溝33の両端(上限端部)は、それぞれの端面24,25に形成された溝31、32と整合しており、連続したコイル線を溝31、32、33に沿って巻き付けることにより、コイル線が整列して巻き付けられるようになっている。そして、コイル線が斜めの溝31に巻き付けられるとき、隣接する次の周の溝に入り、ティース12の突出方向に一列ずつ並んで巻線されるようになっている。
また、一方の部材21の端面24には、その中央部にティース12の突出方向(半径方向)に沿った凹部34が形成されている。そして、この凹部34内においては、前記斜めの溝31が途切れた状態になっている。なお、本発明において、上記各溝31,32,33は、上記のようにそれらの途中で途切れた部分を有していてもよい。
更に、ガイド突起28,29の基部内側には、1層目の巻初めのコイル線1a及び巻き終わりのコイル線1bの外側と、2層目の巻き始めのコイル線1c及び巻き終わりのコイル線1dの外側とに沿った形状をなし、ステータコア10の端面方向から見て三角形状に突出するガイド壁35、36が形成されている。このガイド壁35,36によって、コイル線1がティース12の突出方向にずれることが防止され、その上に巻き付けられるコイル線1の落ち込みがなくなり、多層に巻き付けられるコイル線の配列の崩れを防止することができる。
更に、図4に示すように、インシュレータ20の断面形状において、ティース12の対応する端面12c、12dを覆う端面24、25は、それらの角部のRが左右で異なっている。すなわち、図4中上方の端面24では、左側の角部24aが、右側の角部24bに比べて曲率半径が小さくなるように形成されている。また、下方の端面25では、右側の角部25aが、左側の角部25bに比べて曲率半径が小さくなるように形成されている。そして、この実施形態の場合は、巻線ノズルが図中矢印で示すようにティース12を周回する。すなわち、インシュレータ20の両端面24,25におけるコイル線が巻き付き始める角部24a、25aは、コイル線が巻き終わる角部24b、25bに対して、曲率半径が小さくなるように形成されている。
また、図5に示すように、インシュレータ20のガイド突起28の両側には、切欠き部37が形成されており、コイル線1の巻き始め及び巻き終わりの端部を、上記切欠き部37を通して外径側に曲げることができるようになっている。
次に、このインシュレータ20を用いた、本発明によるステータコアへの巻線方法の一実施形態を説明する。
本発明の巻線方法は、例えば本出願人による前記特許文献3(特開2000−245121号公報)に記載された巻線装置を用い、前記インシュレータ20を装着したステータコア10を用いて実施することができる。上記巻線装置は、ステッピングモータ等の回転制御可能なモータを用いて巻線ノズルを巻線ヘッドから出没動作させるため、巻線操作中における巻線ノズルのティース突出方向における位置を自由に設定することができる。
図5は、ティース12に被せられたインシュレータ20の周りに、一層目のコイルを巻線した状態を示している。コイル線1の始端部Waは、インシュレータ20の切欠き部37を通して外径方向に折り曲げられ、巻線操作に支障がない位置に配置されている。巻線は、図4の矢印に示すように、巻線ノズルをティース12に被せられたインシュレータ20の周りに周回させて行われる。このとき、巻線ノズルを所定のタイミングでティース12の突出方向に移動させ、コイル線1が整列して巻線されるようにする。
本発明では、上記巻線ノズルのティース12の突出方向への移動を、コイル線1を斜めの溝31が形成された端面24に巻き付ける際に行う。図6は、コイル線1を上記端面24にコイル線1を巻き付ける際の巻線ノズル40の軌跡を示している。この実施形態の場合、巻線ノズル40は、その端面方向から見たとき、ティース12の厚さ方向(ステータコアの積層方向)に長い長円形状をなしており、その中央部に吐出口41が形成されている。コイル線1は、吐出口41から繰り出されてティース12に巻付けられる。
このとき、端面24の左側の角部24a(巻き付き始める方の角部)が、右側の角部24b(巻き終わる方の角部)に比べて曲率半径が小さくなるように形成されているので、左側の角部24aの溝31に挿入されたときの圧接力が強くなり、溝31から外れることを防止できる。また、右側の角部24bに巻き付けられたコイル線1は緩やかに曲げられるので、その後にスロット13に挿入されて側面26を通るときのコイル線1の曲がりを小さくすることができる。なお、上記角部24bの曲率半径が小さいと、コイル線1が曲がりきれず、スロット13内の側面26で湾曲して、整列が乱れやすくなる。
また、他方の端面25の右側の角部25a(巻き付き始める方の角部)が、左側の角部25b(巻き終わる方の角部)に比べて曲率半径が小さくなるように形成されていることにより、他方の端面25にコイル線1を巻き付ける際にも、上記と同様な作用、効果がもたらされる。
また、上記端面24の中央部には、凹部34が形成されているので、コイル線1が両角部24a、24bの溝31に効果的に当るため、溝31から外れにくくなっている。
図7、8は、コイル線1を上記端面24に巻き付ける際に、巻線ノズル40をティース12の突出方向に移動させるタイミングを示している。図7,8中のA〜Eは、図6のA〜Eに対応している。
図7の例では、一周目の溝31aから二周目の溝31bへの移動を、ノズル位置A(巻線ノズル40がスロットから出る位置)から始めて、ノズル位置E(巻線ノズル40がスロットに入り、コイル線1が右側の角部24bに当接する位置)で終了させるようにしている。しかし、この場合には、コイル線1が端面24の左側の角部24aの溝31aに挿入される前に巻線ノズル40の移動が始まるので、端面24の左側の角部24aにおいて、コイル線1が一周目の溝31aと二周目の溝31bとの境界部に乗り上げてしまい、上記角部24aで二周目の溝31bに入ってしまうことがある。その場合には、左側の側壁27を通る際に溝を渡ってしまうので、前記クロス部分がスロット内に形成されてしまう。
図8の例では、一周目の溝31aから二周目の溝31bへの移動を、ノズル位置D(コイル線1が端面24の左側の角部24aに当接する位置)から始めて、ノズル位置E(巻線ノズル40がスロットに入り、コイル線1が右側の角部24bに当接する位置)で終了させるようにしている。この場合には、コイル線1が端面24の角部24aの溝31aに挿入されてから、巻線ノズル40がティース12の突出方向に移動するので、角部24aで隣接する溝24bに入ってしまうことを防止でき、端面24でコイル線1が1周目の溝24aから2周目の溝24bに確実に渡るようにすることができる。したがって、図8に示すようなタイミングで、巻線ノズル40をティース12の突出方向に移動させることにより、2層目以降の巻線で生じるクロス部分を端面24の部分に形成させることができる。
ところで、インシュレータ20の一方の端面24には、前述した凹部34が形成されている。この実施形態においては、コイル線1を1周巻き付ける毎に、図示しない押圧具によって、上記凹部34上に巻き付けられたコイル線1を凹部34内に押し込むようにしている。その結果、図5に示すように、端面24に巻き付けられた1層目のコイル線1A上に凹部34に対応する凹部34aが形成され、2層目のコイル線1Bも1周巻き付ける毎に押圧具によって押し込みながら巻き付けることにより、図9に示すように、端面24に巻き付けられたコイル線1B上に凹部34bが形成される。このように、端面24に巻き付けられるコイル線1に凹部を形成させることができる。
そして、2層目以降のコイル線1は、下層のコイル線1どうしの間隙に形成される凹部をガイド溝として巻き付けられるので、上記凹部によって角部における各ガイド溝への圧接力が高められ、所定のガイド溝から外れることを防止できる。
なお、上記押圧具による押込操作は、上記のようにコイル線1を1周巻き付ける毎に行わせることもできるが、例えば1層目のコイル線1Aを巻き終わった後に、1層目のコイル線1A全体を押圧して凹部34に押し込むようにしてもよい。
また、図3(a)に示すように、本発明では、インシュレータ20の端面24の半径方向両端部に、前記ガイド壁35、36が形成されている。このため、例えば1層目の巻き始めのコイル線1aが一周目の溝31aから二周目の溝31bに移動する際にガイド壁35に沿ってスムーズに二周目の溝31bに移動することができる。また、1層目の巻き終わりのコイル線1bもガイド壁36に沿ってスムーズに最終周の溝31cに挿入される。次いで、2層目の巻き始めのコイル線1cも、ガイド壁36に沿ってスムーズに1層目のコイル線1上に形成された溝に導入することができる。更に、2層目の巻き終わりのコイル線1dもガイド壁35に沿ってスムーズに、1層目のコイル線1上に形成された最終周の溝に導入することができる。したがって、ガイド壁35,36によって、コイル線1のインシュレータ20の半径方向両端部における配列の乱れを防止できる。
図10には、本発明の巻線方法におけるもう1つの工夫が示されている。すなわち、同図(b)に示すように、巻線ノズル40から繰り出されたコイル線1が両端面24、35に巻き付けられるときには、コイル線1は巻線ノズル40の長径方向から繰り出されるので、長径方向の緩やかなカーブに沿って曲がりながら繰り出される。しかし、巻線ノズル40がスロット内を通って両側壁26,27に巻き付けられるときには、コイル線1は巻線ノズル40の短径方向から繰り出されるので、同図(a)に示すように、吐出口41から一旦直線的に吐出した後に曲げられて巻き付けられる。この突出部分1Rによって巻線位置のずれが生じることがある。このため、本発明の好ましい態様においては、巻線ノズル40がスロット内を通って両側壁26,27に巻き付けられるときには、同図(a)の想像線で示すように、巻線ノズル40を若干後退させるようにする。その結果、コイル線1の巻付け位置をより正確に制御して、巻線位置のずれを防止することができる。
図11には、本発明の巻線方法によって巻線されるコイル線1の巻線順序の好ましい一例が示されている。図11に示されるコイル断面内に記載された数字は、その位置での巻数を表している。すなわち、巻数0〜7.5が1層目、巻数8.0〜14.5が2層目、巻数15.0〜20.5が3層目のコイルを形成している。この例の場合は、全スロット13に同時に巻線ノズル40を挿入し、全ティース12に同時に巻線を施すことにより、3層目のコイルは巻線ノズル40を後退させながら、巻線ノズル40が通る幅内にも巻線を施している。その結果、スロット13内におけるスペースファクタを最大限に高めることができる。また、本発明の巻線方法によれば、前述したように、下層からその上の層へ移動する際にできるクロス部分が端面24にのみできて、スロット13内にはできないので、スロット13内における巻線の乱れが生じることがなく、上記のように整列させてスペースファクタを最大限に高める巻線が可能となる。
図12は、こうして巻線されたステータコア10の一例が示されている。同図(a)は一方の端面24から見た平面図、(b)は断面図、(c)は他方の端面25から見た底面図である。
本発明において、ステータコア10のスロット数は、特に限定されないが、例えばこの実施形態では、18スロットのステータコア10に巻線が施されている。このステータコア10に装着されたインシュレータ20の一方の端面24には、同図(a)に示すように、巻線がティース12の突出方向に対して斜めにかつ互いに平行に施されており、スロット13内及び他方の端面25には、同図(b)、(c)に示すように、巻線がティース12の突出方向に対して直角にかつ互いに平行に施されている。
本発明は、例えば、自動車の電動パワーステアリング用のモータや、電気自動車の駆動モータなどに好適なステータコア用インシュレータ及びそれを用いたステータコアへの巻線方法として利用できる。
本発明によるステータコア用インシュレータの一実施形態を示す斜視図である。 同インシュレータの一方の端面を示し、(a)は内径側から見た斜視図、(b)は外径側から見た斜視図である。 同インシュレータの端面を示し、(a)は一方の端面、(b)は他方の端面を示す説明図である。 同インシュレータのティース突出方向に対して垂直な断面図である。 同インシュレータに1層目のコイル線を巻きつけた状態を示す斜視図である。 同インシュレータの端面にコイル線を巻き付ける際の巻線ノズルの軌跡を示す説明図である。 同インシュレータの一方の端面でコイル線を次の周の溝に移動させるための巻線ノズル移動タイミングの一例を示す説明図である。 同インシュレータの一方の端面でコイル線を次の周の溝に移動させるための巻線ノズル移動タイミングのより好ましい例を示す説明図である。 同インシュレータに1層目及び2層目の巻線を施した状態におけるティース突出方向に対して垂直な断面図である。 同インシュレータの両側面に巻線を施す際の巻線ノズルから吐出するコイル線の屈曲状態を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。 本発明の巻線方法によって巻線されるコイル線の巻線順序の好ましい一例を示す説明図である。 本発明の巻線方法によって巻線されたステータコアの一例を示し、(a)は一方の端面から見た平面図、(b)は断面図、(c)は他方の端面から見た底面図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d コイル線
10 ステータコア
11 周壁
12 ティース
13 スロット
20 インシュレータ
21,22 部材
23 周壁部
24 一方の端面
24a、24b角部
25 他方の端面
25a、25b角部
26,27 両側面
28,29 ガイド突起
31,32,33 溝
34 凹部
35,36 ガイド壁
37 切欠き部
40 巻線ノズル
41 吐出口

Claims (7)

  1. ステータコアのティースを覆うインシュレータであって、ティース両側面及び両端面を囲む部分にコイル線を導入する溝を設けると共に、前記ティースの一方の端面に当接する部分にのみ、巻線位置を隣接する次の周の溝に移動させる斜めの平行な溝を設け、他の部分にはティース突出方向に対して直交する平行な溝を設けたことを特徴とするステータコア用インシュレータ。
  2. 前記インシュレータの両端面には、前記ステータコアの半径方向の両端に位置するガイド突起が形成され、前記斜めの溝が形成された端面における前記ガイド突起に隣接する部分には、1層目の巻初め及び巻き終わりのコイル線の外側と、2層目の巻き始め及び巻き終わりのコイル線の外側とに沿った形状をなし、前記ステータコアの端面方向から見て三角形状に突出するガイド壁が形成されている請求項1記載のステータコア用インシュレータ。
  3. 前記斜めの溝が形成された端面の両角部を除く中央部に、前記ティースの突出方向に伸びる凹部が形成されている請求項1又は2記載のステータコア用インシュレータ。
  4. 前記インシュレータの両端面におけるコイル線が巻き付き始める角部は、コイル線が巻き終わる角部に対して、曲率半径が小さくなるように形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のステータコア用インシュレータ。
  5. ステータコアのティースに請求項1〜4のいずれかのインシュレータを装着し、巻線ノズルをティース外周に周回させて巻線を施す際に、次の周の巻線を整列させて行うために巻線ノズルをティースの突出方向に移動させる操作を、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面にコイル線を巻き付けるときに行うことを特徴とするステータコアへの巻線方法。
  6. 前記巻線ノズルを前記ティースの突出方向に移動させる操作を、前記コイル線が、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面における一方の角部に当接してから開始し、他方の角部に当接するまでに終了する請求項5記載のステータコアへの巻線方法。
  7. ステータコアのティースに前記請求項3のインシュレータを装着し、少なくとも次の層の巻線を始める前に、前記インシュレータの斜めの溝が形成された端面に巻線されたコイル線を前記インシュレータの凹部に落とし込むように外部から押圧する請求項5又は6記載のステータコアへの巻線方法。
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