JP2005226879A - ベーキング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋回軸15まわりに複数の棚部16が設けられた旋回棚3と、この旋回棚3の旋回駆動手段2と、旋回棚3を取り囲む炉本体4と、この炉本体4内を加熱する加熱手段5と、炉本体4に対して被処理物品Wを出し入れする物品受け渡し装置10とを有している。
【選択図】図1
Description
このうち、連続式のベーキング装置としてメッキ工程を終えてバレルからバスケットへと移し換えられた被処理物品(ボルトなどの物品)を、このバスケットごとコンベヤで炉本体の内部へ搬入し、所定の処理時間(200℃以上で4〜5時間程度)を経た後に炉本体から搬出するというものが知られている(例えば、特許文献1や2等参照)。この種の連続式ベーキング装置では、炉本体に対してバスケットを搬入したり搬出したりするための開口部に機械的に開閉するシャッターが設けられており、炉本体内の熱が外部へ逃げるのを防止している。機械的に開閉するシャッターの他、エアーカーテンを用いるものもあった。
一方、複数のバスケットを直積みするもの(特許文献2)では、バスケットがパンチングメタルによって製作された(外面に通気孔が多数設けられている)構造であるとしても、最も熱気の出入り口として活用できる筈のバスケットの上部開口(被処理物品の出し入れ口)が段積みされるバスケットによって塞がれてしまうため、この上部開口を介しての熱気の流入が阻まれ、結果として被処理物品によっては加熱不足が起こって、やはり温度ムラの原因となるということがあった。
これに対し、シャッターをエアカーテン方式に置換した場合には、言うまでもなく、エアーカーテン自体でバスケットを搬入・搬出する開口部を閉鎖させなければならないため、エアー噴出圧を相当に高圧とせざるを得ず、このため噴出エアーによって炉内温度を低下させてしまうといった問題を招来することもあった。
また本発明は、炉本体に対する被処理物品(バスケットに入った状態を含む)の搬入及び搬出に関して、時間的ロス及び熱エネルギーの漏洩ロスを防止できるようにしたベーキング装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係るベーキング装置は、旋回軸を中心にそのまわりに複数の棚部が設けられている旋回棚と、この旋回棚を旋回自在に保持させた状態で旋回用の動力を伝える旋回駆動手段と、旋回棚が旋回可能なスペースを確保しつつこの旋回棚まわりを取り囲むと共に周方向の少なくとも一箇所に旋回棚に対する物品出し入れ用の開口部が設けられた炉本体と、この炉本体内を加熱する加熱手段と、上記炉本体の開口部に正対して停止される旋回棚の各棚部に対して個々に被処理物品を出し入れする物品受け渡し装置とを有している。
そのため、旋回棚に対してそのまわりを取り囲むかたちで炉本体を形成させることで、この炉本体の大型化を抑制する構成としても、旋回棚の各棚部上に載せられた被処理物品について炉本体内での滞留時間を十分に確保することができる。すなわち、わざわざターンテーブルを2基設定したり、これらの間にローラコンベアを架設したりするといったことをしなくてもよい。
またこの場合、炉本体の開口部は旋回棚において隣接する一組の仕切り壁相互間に対応する開口幅で形成しておけばよい。そしてこの開口部の幅方向両側に対し、炉本体内で当該開口部に正対して停止される旋回棚の各仕切り壁の壁端との間で熱気の流通を防止させるようにする遮熱手段を設けておく。
このような仕切り壁を設けることで、旋回棚においてその周方向で隣接する棚部上の被処理物品に対し、熱気の横流動を抑えて変動しにくくでき、温度分布を均一化させることに有益となる。また棚部の一つを炉本体の開口部に正対して停止させた場合(物品受け渡し装置による被処理物品の出し入れを行わせている場合)、この開口部から炉本体内の熱気を逃げ難くできる。
なお、この遮熱手段は耐熱性及び可撓性を有するブレードによって形成することも可能となり、装置コストとして究極のコストダウンが図れる。
旋回棚の各棚部は、被処理物品の支承状態にあるときも、この被処理物品の外面に沿って上下方向の通気を可能とさせる通気性構造としておくのが好適である。
このような加熱手段であれば構造的な簡潔化が図れ、炉本体の大型化を抑制するうえでも好適なものと言える。また熱気の供給方法としても、炉本体内での温度分布を均一にさせるうえで有益なものと言うことができる。
そのため、被処理物品の外形がバスケットによって形成されているものとすると、このバスケット相互を直接段積みしたときと異なって、各バスケットの上部開口を解放させる状態に保つことができる。すなわち、バスケット内に対して効率的に熱気の出入りをさせることができるので、バスケット内に入れられた物品(ボルトやナット等)が加熱不足を原因として品質低下を起こすこともなくなる。
図1乃至図7は、本発明に係るベーキング装置1の第1実施形態を示している。この第1実施形態のベーキング装置1は、旋回駆動手段2によって旋回可能とされた旋回棚3を有している。この旋回棚3のまわりは、周方向及び上下方向の全域にわたり炉本体4によって囲まれている。またこの炉本体4には、その内部を加熱するための加熱手段5が設けられている。
この炉本体4には周壁の少なくとも一箇所に被処理物品Wを出し入れするための開口部7が設けられており、例えば開口部7の外側正面位置には被処理物品W用の中継台8が設けられ、被処理物品Wは、メッキ処理などの上流側工程から搬入用コンベヤ9Aによってこの中継台8まで搬入されたり、またこの中継台8から搬出用コンベア9Bによってクロム処理などの下流工程へ向け搬出されたりする。
なお「被処理物品W」とは、本来、ボルトやナットなどの高炭素鋼により製作され、メッキ処理された後の物品(製品にされる物品)のことであるが、以下の説明ではこの物品だけでなく、ベーキング処理のためにこの物品を収納したバスケットをも含んだ全体を指すものとする。
一つ一つの棚部16は、平面的に見て被処理物品Wを完全収容できる大きさで設けられている。また、各棚部16が上下方向で設けられる間隔は、それぞれの棚部16に被処理物品Wの高さ寸法より高背な物品支承スペースを介したものとなっている。すなわち、棚部16上に被処理物品Wを支承させたときこの被処理物品Wの上部とそのすぐ上位となる棚部16との上下間には多少のゆとり(空間)ができる。そのため各棚部16に支承された被処理物品Wの外形がバスケットとされているとき、このバスケットの上部開口は熱気の出入り可能な解放状態を保つものとなる。
このため本実施形態の棚部16は、上下方向の空気の流れに対して、いわゆるスカスカの状態にあり、棚部16に支承される被処理物品Wは、その外面の全周が上下方向の空気の流れに晒されることになる。また被処理物品Wの底面も、下から上へ流れる空気の流れに晒されることになる。
この旋回棚3には更に、周方向で隣接する棚部16の相互間に対し、それらを仕切る仕切り壁17が設けられている。この仕切り壁17は、上下方向に設けられた棚部16に対応して一連に繋がって設けられている。換言すれば、上下一列の棚部16に対しその両脇を挟むように仕切り壁17が設けられていることになる。そのため、相互隣接する棚部16の相互間での熱気の横流通は阻止されながら、上下方向に設けられた棚部16の相互間では熱気の通りが良好になる。
この炉本体4の内部には、旋回棚3の旋回軸15が通る高さ位置に中床20が設けられている。この中底20には、旋回軸15の通る部分を逃げるようにして軸通口21が設けられている。図7に示すように、この軸通口21は炉本体4に設けられた開口部7へ向けて開放し相互連通するようになった切欠として形成されている。すなわち、中底20は平面コ字状に形成されている。
なお、この中底20の上面では、旋回棚3の下面に設けられたキャスター27を受けて転動させ、これによって旋回棚3の旋回を安定化させると共に、個々の棚部16の水平移動状況下での高さの一定化(高精度化)を図るようになっている。
そしてこの開口部7の幅方向両側には、その上下方向全部にわたり、遮熱手段30が設けられている。この遮熱手段30は、旋回棚3に設けられた仕切り壁17の壁端との間で熱気を遮断するものである。本実施形態の遮熱手段30は、開口部7の開口縁部から旋回棚3へ向けてブレード状突起31を突出させ、仕切り壁17の壁端とのギャップを微小にさせただけのものとした。
旋回駆動手段2は、旋回棚3を旋回自在に保持する旋回基部36と、旋回棚3に旋回用動力を伝える駆動部37とを有している。少なくとも旋回基部36は上記したように炉本体4の機械室26内に設けられている。駆動部37はギヤードモータ、電磁ブレーキ付きモータ等であり、間欠回動性(小角度回転と停止とを繰り返し行う動作性)と停止精度に優れたものを採用するのが好適である。これら旋回基部36と駆動部37とは、エンドレスチェーンなどの伝動手段38で連動可能となっている。
従って、加熱源40で発生される熱気は、炉本体4内をその下方から上方へと縦に送られ、途中、旋回棚3の下位側の棚部16から上位側の棚部16へと通過し、各棚部16に支承された被処理物品Wへ吹き付けられることになる。
中底20は軸通口21内で開口部7へ連通する機械室26を形成させているため、当然に、この機械室26に対応する部分では熱風噴出部24は設けられておらず、また熱気誘導室25も及んでいないことになる。従って、旋回棚3が停止しているとき、開口部7に正対している棚部16(即ち、炉本体4に対して出し入れしようとする被処理物品Wを支承した棚部16)に対して対応する熱風噴出部24は無く、熱気が供給されないことになる。その他の熱風噴出部24は、停止した旋回棚3における周方向の各棚部16(勿論、開口部7に正対している棚部16を除く)に対応した位置付けになっている。
本実施形態では、一つの被処理物Wを出し入れするという動作を上下方向の棚部16に対して繰り返すタイプとした。そのため、一つの被処理物品Wを取り上げたり降ろしたりできるハンドリング部45と、このハンドリング部45を旋回棚3の高さ分に相当させて上下動させる昇降機構部46と、ハンドリング部45を炉本体4の内外で伸縮させるスライド機構部47とを有したものとした。上記したように炉本体4では、開口部7に連通するかたちで中底20の軸通口21を切欠状にしてあり(図7参照)、また旋回棚3では棚部16がその外方側を開放させた平面コ字状に形成してある(図5参照)ので、ハンドリング部45では、被処理物品Wをその底面中央の下から掬い上げる構造としてある。
加熱手段5は常に炉本体4内を加熱状態にしているが、開口部7の幅方向両側に設けられた遮熱手段30(ブレード状突起31)が旋回棚3において上下一列の棚部16の両脇を挟むように設けられた仕切り壁17の壁端との間で熱気を逃げ難くしているため、炉内温度がいたずらに低下することはない。また熱エネルギー的に甚だしい損失が発生することもない。
中継台8上へ取り出された被処理物品Wが搬出用コンベア9Bへと移載され、代わりにこの中継台8上へ搬入用コンベヤ9Aによって新たな(ベーキング処理が未処理の)被処理物品Wが搬入されると、物品受け渡し装置10はこの中継台8上の被処理物品Wを掬い上げてこれを空状態になった元の棚部16へ運び入れる。
なお、炉本体4内において、旋回棚3の各棚部16に支承された被処理物品Wは、その上部(バスケットとしての上部開口)が上位の被処理物品Wに邪魔されることなく解放されている。そのため、被処理物品W全体(バスケット内に入れられている製品とされるべき物品)に対して効率的に熱気が供給され、加熱不足を原因とした品質低下を起こすことはない。
例えば、炉本体4の開口部7においてその幅方向両側に設ける遮熱手段30は、炉壁構造自体に設けるブレード状突起31に代え、図8に示すように、耐熱性及び可撓性を有するブレード50を取り付けることによって形成することも可能である。このようにすることで、装置コストとして究極のコストダウンが図れる。
更に遮熱手段30は、図9に示すように、旋回棚3の仕切り壁17へ向けてノズル端が向くように配管されたエア配管51を介して、開口部7の幅方向両側と旋回棚3の仕切り壁17との間にエアーカーテンを発生させるようにしたものでもよい。このようにエアーカーテンを採用するとしても、旋回棚3における仕切り壁17の壁端が間近になっているので、小型で低圧のものでよいため、結果として構造の簡潔化が図れると共に炉内温度の低下を防止できる。
2 旋回駆動手段
3 旋回棚
7 開口部
4 炉本体
5 加熱手段
10 物品受け渡し装置
15 旋回軸
16 棚部
17 仕切り壁
24 熱風噴出部
30 遮熱手段
50 ブレード
W 被処理物品
Claims (7)
- 旋回軸(15)を中心にそのまわりに複数の棚部(16)が設けられている旋回棚(3)と、この旋回棚(3)を旋回自在に保持させた状態で旋回用の動力を伝える旋回駆動手段(2)と、旋回棚(3)が旋回可能なスペースを確保しつつこの旋回棚(3)まわりを取り囲むと共に周方向の少なくとも一箇所に旋回棚(3)に対する物品出し入れ用の開口部(7)が設けられた炉本体(4)と、この炉本体(4)内を加熱する加熱手段(5)と、上記炉本体(4)内でその開口部(7)に正対して停止される旋回棚(3)の各棚部(16)に対して炉外側から個々に被処理物品(W)を出し入れする物品受け渡し装置(10)とを有していることを特徴とするベーキング装置。
- 前記旋回棚(3)には周方向で隣接する棚部(16)相互間を仕切る仕切り壁(17)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のベーキング装置。
- 前記炉本体(4)の開口部(7)は旋回棚(3)において周方向で隣接する一組の仕切り壁(17)相互間に対応する開口幅で形成されており、この開口部(7)の幅方向両側には炉本体(4)内で当該開口部(7)に正対して停止される旋回棚(3)の各仕切り壁(17)の壁端との間で熱気の流通を防止する遮熱手段(30)が設けられていることを特徴とする請求項2記載のベーキング装置。
- 前記遮熱手段(30)は耐熱性及び可撓性を有するブレード(50)によって形成されていることを特徴とする請求項3記載のベーキング装置。
- 前記旋回棚(3)の各棚部(16)は、被処理物品(W)の支承状態にあるときも当該被処理物品(W)の外面に沿って上下方向の通気を可能とさせる通気性構造とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のベーキング装置。
- 前記加熱手段(5)には、少なくとも炉本体(4)の開口部(7)正対位置で停止した棚部(16)を除いて他の棚部(16)の停止位置下方から上方へ向けて熱風を噴出する熱風噴出部(24)が設けられていることを特徴とする請求項5記載のベーキング装置。
- 前記旋回棚(3)は、各棚部(16)が被処理物品(W)の高さ寸法より高背な物品支承スペースを介して上下に複数段設けられており、周方向で隣接する棚部(16)相互間を仕切る仕切り壁(17)が上下方向の各棚部(16)に対応して一連に繋がったものとされていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のベーキング装置。
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