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JP2005209399A - 燃料電池システム - Google Patents

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浩之 弓矢
Naohide Izumitani
尚秀 泉谷
Fusanori Igarashi
総紀 五十嵐
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Abstract

【課題】生成水中に含まれるフッ素イオンを確実に低減することのできる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】フッ素系の固体高分子膜を備え、アノードに水素を含むアノードガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含むカソードガスの供給を受けて、発電を行う燃料電池12と、カソードで生成される水分に含まれるフッ素の濃度を検出するフッ素イオン濃度検出器46と、フッ素の濃度が所定のしきい値を超え、燃料電池12による発電が停止状態にある場合は、発電の停止状態を解除して、燃料電池12による発電を行う発電停止解除手段と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関し、特に、フッ素系の固体高分子膜を用いた燃料電池を備えたシステムに適用して好適である。
従来から、フッ素系の固体高分子膜を用いた燃料電池が用いられている。このような燃料電池において、特開2002−313404号公報には、反応により生成された水分に含まれるフッ素イオンを除去するため、イオン交換樹脂を配設し、大気中に排出されるフッ素イオンを低減する技術が開示されている。
特開2002−313404号公報 特開2001−307758号公報
しかしながら、特開2002−313404号公報に開示された方法では、イオン交換樹脂に経時変化が生じた場合、またはイオン交換樹脂に捕獲されたイオン量が増大した場合等には、イオン交換樹脂がその機能を十分に果たさなくなる。この場合、生成水中に含まれるフッ素イオンを低減することは困難である。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、生成水中に含まれるフッ素イオンを確実に低減することのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、フッ素系の電解質膜を備え、アノードに水素を含むアノードガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含むカソードガスの供給を受けて、発電を行う燃料電池と、前記カソードで生成される水分に含まれるフッ素の濃度を検出するフッ素濃度検出手段と、前記フッ素の濃度が所定のしきい値を超え、かつ前記燃料電池による発電が停止状態にある場合は、発電の停止状態を解除して、前記燃料電池による発電を行う発電停止解除手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料電池の電力により駆動されるモーターと、前記燃料電池との併用により前記モーターを駆動する二次電池と、を更に備え、前記発電の停止状態とは、前記燃料電池から前記モーターへの電力供給が停止され、前記二次電池のみで前記モーターが駆動された状態であることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記燃料電池の電力により駆動されるモーターと、前記燃料電池との併用により前記モーターを駆動する二次電池と、を更に備え、前記発電の停止状態とは、前記モーターの回生動作により前記二次電池が充電されている状態であることを特徴とする。
第1の発明によれば、フッ素の濃度が所定のしきい値を超え、かつ燃料電池による発電が停止状態にある場合は、発電の停止状態を解除して燃料電池による発電を行うようにしたため、発電が停止している状態において、電解質膜中のフッ素が溶け出してしまうことを抑止できる。従って、カソードでの生成水中に含まれるフッ素の濃度を低減することが可能となる。
第2の発明によれば、燃料電池と二次電池を併用してモーターを駆動するシステムにおいて、二次電池のみでモーターが駆動されている状態を解除することで、燃料電池による発電を行うことができる。これにより、発電停止状態において電解質膜中のフッ素が溶け出してしまうことを回避できる。
第3の発明によれば、燃料電池と二次電池を併用してモーターを駆動するシステムにおいて、モーターの回生動作により二次電池が充電されている状態を解除することで、燃料電池による発電を行うことができる。これにより、発電停止状態において電解質膜中のフッ素が溶け出してしまうことを回避できる。
以下、図面に基づいてこの発明の一実施形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の一実施形態にかかる燃料電池システム10の構成を示す模式図である。図1に示すように、燃料電池システム10は、主として燃料電池12、バッテリー14、モーター16、補機18を備えており、燃料電池12とバッテリー14を併用して用いるハイブリッド型燃料電池自動車に用いられる。モーター16は自動車を駆動するために用いられ、また補機18は燃料電池12へガスを供給するためのポンプを含むものである。燃料電池12とバッテリー14の間には、燃料電池12およびバッテリー14による電力供給を制御するためのコンバータ20が接続されている。
本実施形態の燃料電池システム10では、燃料電池12、バッテリー14の一方または双方から電力を供給することでモーター16、補機18を駆動する。また、所定の場合には、燃料電池12またはモーター16で発電した電力をバッテリー14に充電する。具体的には、発進時、加速時など比較的大きなトルクを必要とする場合は、燃料電池12とバッテリー14を適宜併用してモーター16を駆動する。一方、アイドリング運転、低速運転など、要求電力の少ない低負荷運転時は、燃料電池12による発電を停止し、バッテリー14からの電力のみでモーター16を駆動する。このように、運転状態に応じて燃料電池12を間欠運転することで、燃料電池14を運転するためのポンプ等の駆動を最小限に抑えることができ、システム全体の効率を高めることができる。更に、車両の減速時には、燃料電池12による発電を停止し、モーター16の回転による回生動作により発電を行い、得られた電力をバッテリー14に充電する(回生制御)。
図2は、燃料電池12とその周辺の構成を示す模式図である。本実施形態において、燃料電池12はフッ素系の固体高分子分離膜を備えた燃料電池(PEMFC)であり、分離膜(電解質膜)、アノード、カソード、およびセパレータとから構成されるセルを複数積層して構成される。アノード、カソードの間には、水素ガスおよび酸化ガスの流路が形成されている。電解質膜は、フッ素系の固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノードおよびカソードは、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されている。セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。
燃料電池12には、アノードガス流路22及びカソードガス流路24が導入されている。アノードガス流路22は水素タンク26と接続されており、水素タンク26からアノードへ水素リッチなアノードガスが送られる。また、カソードガス流路24にはポンプ28、エアフィルタ30が設けられており、ポンプ28の駆動によりカソードへ酸素を含む酸化ガスとしてのカソードガスが送られる。
燃料電池12のアノードでは、アノードガスが送り込まれると、このアノードガス中の水素から水素イオンを生成し(H→2H+2e)、カソードは、カソードガスが送り込まれると、このカソードガス中の酸素から酸素イオンを生成し、燃料電池12内では電力が発生する。また、これと同時にカソードにおいて、上記の水素イオンと酸素イオンとから水が生成される((1/2)O+2H+2e→HO)。この水のほとんどは、燃料電池12内で発生する熱を吸収して水蒸気となり、カソードオフガス中に含まれて排出される。
アノードから排出されたアノードオフガスは、アノードオフガス流路32を通って再びアノードガス流路22へ戻される。アノードオフガス流路32にはアノードオフガスをアノードガス流路22へ送るためのポンプ34、アノードオフガス中の水分を捕集して排出する気液分離器36、およびアノードオフガスの逆流を抑える逆止弁38が設けられている。アノードオフガスがアノードガス流路22に戻されると、水素タンク26から水素が補充され、アノードガスとして再度アノードへ送られる。
一方、カソードから排出されたカソードオフガスは、カソードオフガス流路40を通り、最終的にはマフラ42から排出される。カソードオフガス流路40には、加湿器42、気液分離器44が設けられている。加湿器42にはカソードガス流路24も導入されている。加湿器42は、カソードオフガス中の水分の一部を吸収し、カソードガスへ供給することでカソードガスを加湿する。
気液分離器44では、カソードオフガス中の水分が捕集される。気液分離器44にはフッ素イオン濃度検出器46が接続されている。フッ素イオン濃度検出器46は気液分離器44で捕集された水分中に含まれるフッ素イオンの濃度を検出する。
マフラ42と平行して排気水素希釈器48が設けられている。排気水素希釈器48は、流路50によってアノードオフガス流路32と接続されている。流路50にはバルブ52が設けられており、アノードオフガス流路32→アノードガス流路22→燃料電池12を循環するガス中に窒素(N)、水(HO)等の成分が多く含まれる場合は、バルブ52を開くことでこれらの成分を排出する。排気水素希釈器48にはマフラ42の手前で分岐したカソードオフガスが流れており、窒素等とともに流路50から排出されたアノードオフガス中の水素は、排気水素希釈器48で希釈されて排出される。
フッ素系の固体高分子分離膜を備えた燃料電池では、カソードで生成された水分中に分離膜中のフッ素が溶け出す場合がある。本実施形態のシステムでは、カソードで生成された水分中のフッ素イオン濃度は、フッ素イオン濃度検出器34によって検出されている。そして、検出されたフッ素イオン濃度が所定のしきい値よりも高い場合は、フッ素イオン濃度を低減するため、燃料電池12の運転停止状態を解除する制御、すなわち燃料電池12の運転を継続する制御を実施する。
すなわち、アイドリング運転、低速運転などの低負荷運転時にフッ素イオン濃度が所定のしきい値よりも高いことが検出された場合は、低負荷運転時に燃料電池12の運転を停止する本来の制御を行わずに、低負荷運転時であっても燃料電池12を運転するようにシステムを制御する。
また、モーター16の回転によりバッテリー14を充電する回生制御時にフッ素イオン濃度が所定のしきい値よりも高いことが検出された場合は、回生制御を停止し、燃料電池12を運転するようにシステムを制御する。
また、燃料電池12による発電が行われている間にフッ素濃度が所定のしきい値を超えた場合は、燃料電池12による発電が停止状態とされることが禁止されるようにシステムが制御される。
これらの制御によって生成水中に含まれるフッ素イオン濃度を低減できる理由を以下に説明する。カソードオフガス中の生成水にフッ素が含まれる現象は、燃料電池12のアノード、カソードにそれぞれガスが供給され、かつ燃料電池12による発電を停止させている状態に起因して発生している。すなわち、フッ素は、この状態が維持されている間に固体高分子分離膜から溶け出し、次に燃料電池12を運転した際に生成水とともに排出される。換言すれば、アノード、カソードにガスが供給されて燃料電池12が発電を行っている状態では、フッ素の溶け出す量は極めて微量である。
従って、燃料電池12の発電を停止させている状態を回避することで、フッ素系固体高分子膜中のフッ素が溶け出すことを抑止でき、生成水中にフッ素が含まれることを抑えることができる。本実施形態のようなハイブリッド型燃料電池自動車に用いられる燃料電池システム10において、燃料電池12の発電を停止させている状態は、上述した低負荷運転時、または回生制御時である。従って、これらの状態において燃料電池12の運転を行うことで、フッ素の溶け出しを抑止できる。また、燃料電池12による発電が行われている間にフッ素濃度が所定のしきい値を超えた場合は、燃料電池12による発電が停止状態とされることを禁止することで、フッ素の溶け出しを抑止できる。
上述した低負荷運転時には、通常、ポンプロスを抑えるためアノードおよびカソードへのガス供給を停止し、コンバータ20の電位を燃料電池12の電位よりも高くすることで燃料電池12からの発電を停止させている。この場合、アノード、カソードには供給されたガスが残留しているため、発電を停止するとフッ素が溶け出す場合があるが、燃料電池12の運転を継続して発電を行うことで、フッ素の溶け出しを抑止することができる。なお、低負荷運転時に燃料電池12の運転を継続するためには、アノード、カソードにそれぞれガスを供給し、コンバータ20の電位を燃料電池12の電位よりも低くすることで実施する。
また、回生制御の場合は、通常、アノードおよびカソードへのガス供給は継続されているが、発電時のモーター16の電位が燃料電池12の電位より高くなるため、燃料電池12の発電が停止される。この場合も、アノード、カソードにはガスが供給されているため、燃料電池12の発電停止によりフッ素が溶け出す場合があるが、回生制御を停止し、燃料電池12を運転して発電を行うことで、フッ素の溶け出しを抑止することができる。回生制御が行われている場合に燃料電池12を運転するためには、先ず、モーター16による発電を停止して回生制御を停止する。そして、アノード、カソードには既にガスが供給されているため、コンバータ20の電位を燃料電池12の電位よりも低くして燃料電池12を運転する。
次に、図3のフローチャートに基づいて、本実施形態の燃料電池システム10における処理の手順を説明する。先ず、ステップS1では、燃料電池システム10が始動しているか否か、すなわち、ST=ONであるか否かを判定する。ST=ONの場合は、燃料電池システム10が始動しているため、ステップS2へ進む。一方、燃料電池システム10が始動していない場合は終了する(END)。
ステップS2では、フッ素イオン濃度検出器46によって検出したフッ素イオン濃度が所定のしきい値を超えているか否かを判定する。すなわち、ここでは、(フッ素イオン濃度)>(所定のしきい値)であるか否かを判定する。(フッ素イオン濃度)>(所定のしきい値)の場合は、フッ素イオン濃度を低減させる必要があるため、ステップS3以降の処理を行う。一方、(フッ素イオン濃度)≦(所定のしきい値)の場合は終了する(END)。
ステップS3以降では、燃料電池12の運転が停止している場合は、運転を行い、生成中のフッ素イオン濃度を低減させる制御を行う。具体的には、ステップS3でアイドリング運転などの低負荷運転時であるか否かを判定する。低負荷運転時の場合は燃料電池12の運転が停止されているため、ステップS4へ進み、燃料電池12を運転して発電を行う。
ステップS3で低負荷運転時でない場合はステップS5へ進み、回生制御が行われているか否かを判定する。回生制御が行われている場合は、燃料電池12の運転が停止されているため、ステップS6へ進み、回生制御を停止し、燃料電池12を運転して発電を行う。ステップS5で回生制御が行われていない場合は、低負荷運転も行われていないため(ステップS3)、燃料電池12は運転されている状態にある。従って、この場合は処理を終了する(END)。
図3の処理によれば、フッ素イオン濃度が所定のしきい値より高く、かつ燃料電池12の運転が停止している場合は、燃料電池12を運転させて発電を行うようにシステムが制御されるため、以後の生成水中のフッ素イオン濃度を低減することができる。
なお、通常、回生制御は車両の減速時に行われ、減速により車両が低速になった場合、または車両が停止した場合に低負荷運転が行われる。図3の処理によれば、ステップS3とステップS5において、低負荷運転、回生制御のいずれの状態にあるかを判定するため、低負荷運転と回生制御の間で制御が切り換わる場合においても、確実に燃料電池12の運転停止状態を解除することができる。
以上説明したように本実施形態によれば、固体高分子分離膜に含まれるフッ素が燃料電池12の運転停止時に溶け出すことに着目し、生成水中のフッ素イオン濃度が基準値を超えている場合は、燃料電池12の運転停止状態を解除し、運転を継続するようにしたため、生成水中のフッ素イオン濃度を低減することが可能となる。
なお、本発明は、燃料電池の内部に冷却水流路を備え、冷却水により内部加湿を行う内部加湿型の燃料電池に適用しても良い。これにより、冷却水にフッ素が含まれてしまうことを抑えることができる。
本発明の一実施形態にかかる燃料電池システムの構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料電池とその周辺の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料電池システムの処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 燃料電池システム
12 燃料電池
14 バッテリー
16 モーター
46 フッ素イオン濃度検出器

Claims (3)

  1. フッ素系の電解質膜を備え、アノードに水素を含むアノードガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含むカソードガスの供給を受けて、発電を行う燃料電池と、
    前記カソードで生成される水分に含まれるフッ素の濃度を検出するフッ素濃度検出手段と、
    前記フッ素の濃度が所定のしきい値を超え、かつ前記燃料電池による発電が停止状態にある場合は、発電の停止状態を解除して、前記燃料電池による発電を行う発電停止解除手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の電力により駆動されるモーターと、
    前記燃料電池との併用により前記モーターを駆動する二次電池と、を更に備え、
    前記発電の停止状態とは、前記燃料電池から前記モーターへの電力供給が停止され、前記二次電池のみで前記モーターが駆動された状態であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池の電力により駆動されるモーターと、
    前記燃料電池との併用により前記モーターを駆動する二次電池と、を更に備え、
    前記発電の停止状態とは、前記モーターの回生動作により前記二次電池が充電されている状態であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
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