JP2005209395A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極群の内部にPTC素子を実質的に取り付け、過充電または短絡等の異常電流に伴う温度上昇に対し、速やかに電流を遮断することが可能な非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】外装缶内に正極、負極およびセパレータで構成された電極群が非水電解液とともに収納された非水電解液二次電池において、電極接続タブ9は前記正極および負極の集電体6にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはリボン状PTC素子10を介して前記集電体に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】外装缶内に正極、負極およびセパレータで構成された電極群が非水電解液とともに収納された非水電解液二次電池において、電極接続タブ9は前記正極および負極の集電体6にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはリボン状PTC素子10を介して前記集電体に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、非水電解液二次電池に関し、特に安全機構を構成するPTC素子を備えた非水電解液二次電池に係わる。
近年、携帯電話やVTRなどの電子機器の小型化と需要の増大に伴い、これら電子機器の電源である二次電池に対する高容量化が要求されている。また、自動車からの排ガスによる大気汚染が社会問題となっており、電気自動車用電源として軽量で高性能な二次電池を用いることが期待されている。
特に、リチウムイオン二次電池は電池電圧が高く、高いエネルギー密度が得られ、電池の小型、軽量化が可能であるため、ポータブル機器用の電源として実用化され、さらにより高エネルギー密度を実現するための研究、開発が進められている。
前記リチウムイオン二次電池において、過充電や短絡状態などの異常時に電池内部に過電流が流れて非水電解液が分解され、この電解液の分解反応による発熱により電池温度が上昇すると、非水電解液の漏洩が生じたり、場合によっては破裂したりする問題がある。このため、特許文献1および特許文献2には電池構成部材の一つとして過充電、短絡等で電池温度が上昇した時に抵抗が上昇して電流の流れを制限するPTC素子が組み込まれたリチウムイオン二次電池が開示されている。このPTC素子は、一対の金属薄板間に過電流等に起因する温度上昇に伴って急激な抵抗増大を示す素子本体を介在させた構造を有する。
また、電池内部の温度上昇によりセパレータの空孔を閉塞して所定温度でシャットダウンすることが可能なセパレータを有するリチウムイオン二次電池が知られている。
しかしながら、セパレータのシャットダウン機構に関しては材料が限定され、シャットダウン温度の制御が困難になる問題があった。その上、温度上昇によりセパレータが収縮してその空孔が閉じてイオンの移動を低下させることが可能であるものの、セパレータの収縮に伴って正極、負極間の短絡が発生する問題がある。
また、前記PTC素子は特許文献1および特許文献2に記載のように外装缶に取り付けられる蓋体に組み込まれている、つまり電極群から隔てられた箇所に位置して組み込まれている。その結果、PTC素子は電極群の過大電流等に起因する温度上昇を速やかに感知せずに、タイムラグがあるため、電池の温度上昇に対して必ずしも迅速に対応できない問題があった。
特開平6−187957号公報
特開平9−147821号公報
本発明は、電極群の内部にPTC素子を実質的に取り付け、過充電または短絡等の異常電流に伴う温度上昇に対し、速やかに電流を遮断することが可能な非水電解液二次電池を提供しようとするものである。
本発明によると、外装缶内に正極、負極およびセパレータで構成された電極群が非水電解液とともに収納された非水電解液二次電池において、
電極接続タブは、前記正極および負極の集電体にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはPTC素子を介して前記集電体に接続されていることを特徴とする非水電解液二次電池が提供される。
電極接続タブは、前記正極および負極の集電体にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはPTC素子を介して前記集電体に接続されていることを特徴とする非水電解液二次電池が提供される。
本発明に係る非水電解液二次電池(円筒形非水電解液二次電池)において、一端が開口された一極性端子を兼ねる外装缶と、
前記外装缶に収納され、負極、セパレータおよび正極から構成される電極群と、
前記外装缶に収容された非水電解液と、
前記外装缶の開口部に絶縁物を介して密閉封口された封口蓋群と
を具備し、
前記封口蓋群は、前記電極群と対向して配置され、電極群の正負極のうちの一方と電極接続タブを通して電気的に接続され、電流の伝達および遮断をなすと共にガス発生に伴う内圧上昇時に破断される開放弁を有する電流遮断機構と、外部側に配置された他極性端子となる端子部材と備え、かつ
電極接続タブは、前記正極および負極の集電体にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはリボン状PTC素子を介して前記集電体に接続されている構造を有することが好ましい。
前記外装缶に収納され、負極、セパレータおよび正極から構成される電極群と、
前記外装缶に収容された非水電解液と、
前記外装缶の開口部に絶縁物を介して密閉封口された封口蓋群と
を具備し、
前記封口蓋群は、前記電極群と対向して配置され、電極群の正負極のうちの一方と電極接続タブを通して電気的に接続され、電流の伝達および遮断をなすと共にガス発生に伴う内圧上昇時に破断される開放弁を有する電流遮断機構と、外部側に配置された他極性端子となる端子部材と備え、かつ
電極接続タブは、前記正極および負極の集電体にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはリボン状PTC素子を介して前記集電体に接続されている構造を有することが好ましい。
本発明は、過充電または短絡等の異常電流に伴う温度上昇に対し、速やかによる電流遮断動作を図ることが可能な信頼性、安全性の高い非水電解液二次電池を提供できる。
以下、本発明に係る非水電解液二次電池を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この実施形態に係る非水電解液二次電池の一例である円筒形非水電解液二次電池を示す部分断面図、図2は図1の円筒形非水電解液二次電池に組み込まれる電極群の正極の展開図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は図1の円筒形非水電解液二次電池に組み込まれる電極群の負極の展開図、図5は図4のV−V線に沿う断面図、図6は図1の円筒形非水電解液二次電池に組み込まれるストリッパーを示す斜視図、図7は図1の円筒形非水電解液二次電池に組み込まれる開放弁を有する金属製のダイアフラムを示す斜視図である。
図1に示すように有底円筒状の外装缶1は、例えばステンレス鋼、鉄もしくはアルミニウムから作られると共に、一極性端子(例えば負極端子)を兼ね、底部に図示しない絶縁体が配置されている。電極群2は、前記外装缶1内に収納されている。この電極群2は、正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させて渦巻き状に捲回することにより作製されている。
前記正極3は、図2および図3に示すように集電体であるアルミニウム(Al)箔6と、このAl箔6の両面に両端部付近に活物質層未形成部7a、7bを残して形成された活物質層8とから構成されている。捲き始め端部側の活物質層未形成部7aのAl箔6には、アルミニウム(Al)製の正極用電極接続タブ9が例えばリボン状をなすPTC素子10を介して接続されている。この正極用電極接続タブ9は、図1に示すように折込まれて後述する絶縁抑え板に配置されている。前記リボン状PTC素子10は、過電流が流れて温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止する機能を有している。前記リボン状PTC素子10は、図3に示すように一対のニッケル(Ni)薄板12a/アルミニウム(Al)薄板11aのクラッド型薄板13a,ニッケル(Ni)薄板12b/アルミニウム(Al)薄板11bのクラッド型薄板13bの間に導電材を含有したポリエチレン、ポリプロピレンのような樹脂シート14を介在した構造を有する。前記Al箔6は、前記リボン状PTC素子10のクラッド型薄板13aのAl薄板11aに例えば抵抗溶接により接続されている。電極接続タブ9は、前記リボン状PTC素子10のクラッド型薄板13bのAl薄板11bに例えば抵抗溶接により接続されている。このPTC素子は、前記電極群2を作製する際の捲回性を考慮して厚さが20〜100μmであることが好ましい。帯状絶縁フィルム15は、前記Al箔6と前記電極接続タブ9の接続部を含む前記Al箔6に被覆されている。この帯状絶縁フィルム15は、例えば塩化ビニル樹脂のような合成樹脂のフィルムの片面に接着剤層を被覆した構造を有する。
前記負極4は、図4および図5に示すように集電体である銅(Cu)箔17と、このCu箔17の両面に両端部付近に活物質層未形成部18a、18bを残して形成された活物質層19とから構成されている。捲き終り端部側の活物質層未形成部18bのCu箔17には、ニッケル(Ni)製の負極用電極接続タブ20が例えば抵抗溶接等により接続されている。この負極用電極接続タブ20は、前記負極端子を兼ねる外装缶1に接続されている。
2つの半円形の穴21および中心付近に小穴22が開口された絶縁押さえ板23は、前記外装缶1内の電極群2上に配置されている。
封口蓋群24は、前記外装缶1の上端開口部に例えば絶縁ガスケット25を介して絶縁的に密閉されている。この封口蓋群24は、前記正極用電極接続タブ9が接続され、電流の伝達および遮断をなすと共にガス発生に伴う内圧上昇時に破断される開放弁を有する電流遮断機構26と、ガス抜き穴27が開口された他極性端子(例えば正極端子)となる帽子の形状をなす端子板28とを前記電極群2側からこの順序でそれら周縁部を前記絶縁ガスケット25でかしめ固定して配置した構造を有する。前記ガス抜き穴27が開口された他極性端子(例えば正極端子)となる端子板28は、例えばステンレス鋼、鉄もしくはアルミニウムから作られ、0.2〜1.0mmの厚さを有する。
前記電流遮断機構26は、その構造ないし構成が特に限定されない。具体的には、前記電流遮断機構26は図1、図6、図7に示すように金属製のストリッパー29と、このストリッパー29上に絶縁リング30を介して重ねられ金属製のダイアフラム31とを備えている。前記ストリッパー29、絶縁リング30およびダイアフラム31は、いずれも皿状をなし、周縁部が前記絶縁ガスケット25でかしめ固定されている。ただし、絶縁リング30は立上り部付近から中心側が開口され、ガス流路を形成している。
前記ストリッパー29は、図6に示すように前記絶縁リング30の開口部に対応する箇所にガス流路となる例えば3つの扇状穴32が開口され、かつ中心付近に小穴33が開口されている。導電性薄膜34は、前記電極群2と対向する前記ストリッパー29の面に前記小穴33を封止するよう接合されている。この導電性薄膜34の前記電極群2と対向する面には、前記正極用電極接続タブ9が接続されている。前記ストリッパー29は、例えばステンレス鋼もしくはアルミニウムから作られ、0.1〜1.0mmの厚さを有する。前記導電性薄膜34は、例えばアルミニウムから作られ、0.05〜0.2mmの厚さを有する。なお、前記ストリッパーにおいて前記小穴に相当する部分の厚さを薄く加工することにより、前記接続板を省略することができる。
前記ダイアフラム31は、図7に示すように中心部に前記ストリッパー29に向けて突出した突起部35を有し、その突起部35の先端は前記絶縁リング30の開口および前記ストリッパー29の小穴33を通して前記接続板34に接続されている。また、前記ダイアフラム31は開放弁を兼ね、前記端子板28側の面に前記突起部35を囲むように切込部、例えば円形切込部36、およびこの円形切込部36から周縁に放射状に延出される例えば8本の線状切込部37が形成されている。前記ダイアフラム31は、例えばステンレス鋼もしくはアルミニウムから作られ、0.1〜0.3mmの厚さを有する。
なお、前述した電流遮断機構は電池内での圧力増大に伴って、所要の電流遮断が行えるならば、前述した構成に限定されず、いずれの手段・構成でも構わない。例えば、電流の伝達および遮断をなす部材を電池内圧力の増大による圧縮で変形して接・離される折込み型のリード線とし、内圧上昇時に破断される部材を弁膜とした構造にしてもよい。
次に、前記正極3、前記負極4および非水電解液を具体的に説明する。
a)正極3
この正極3は、前述した図2および図3に示すように集電体であるAl箔6と、このAl箔6の両面に正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる正極材ペーストを両端部付近に活物質層未形成部7a、7bを残して塗布、乾燥することにより形成された活物質層8とから構成されている。なお、活物質層は前記集電体の片面のみに形成してもよい。
この正極3は、前述した図2および図3に示すように集電体であるAl箔6と、このAl箔6の両面に正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる正極材ペーストを両端部付近に活物質層未形成部7a、7bを残して塗布、乾燥することにより形成された活物質層8とから構成されている。なお、活物質層は前記集電体の片面のみに形成してもよい。
前記正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物を使用することができる。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などが用いられる.前記結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンの共重合体、あるいは他のフッ素系のモノマーとフッ化ビニリデンを共重合体させたものを挙げることができる。前記他のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン(FEP)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの3元共重合体、フッ化ビニル−フッ化ビニリデンの共重合体を挙げることができる。前記結着剤は、これらを単独で使用してもよい。
前記結着剤を分散させるための有機溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル等が使用される。
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等を挙げることができる。
前記結着剤の配合量は、前記活物質と前記結着剤を合わせて100重量部(前記導電剤を含む場合には導電剤も合わせて100重量部)に対して2重量%〜8重量%の範囲にすることが好ましい。
前記導電剤の配合量は、前記活物質100重量部に対して1重量%〜15重量%の範囲にすることが好ましい。
前記有機溶媒の配合量は、前記活物質と前記結着剤を合わせて100重量部(前記導電剤を含む場合には導電剤も合わせて100重量部)に対して65重量%〜150重量%の範囲にすることが好ましい。
前記正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させる手段としては、ボールミル、ビーズミル、ディゾルバー、サンドグラインダー、ロールミル等の分散装置が用いられる。
前記集電体としては、Al箔の代わりにステンレス箔、チタン箔等を用いることを許容する。
b)負極4
この負極4は、前述した図4および図5に示すように集電体であるCu箔17と、このく箔17の両面に両端部付近に活物質層未形成部18a、18bを残して形成されたリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物またはカルコゲン化合物を含む活物質層19とから構成されている。なお、活物質層は前記集電体の片面のみに形成してもよい。
この負極4は、前述した図4および図5に示すように集電体であるCu箔17と、このく箔17の両面に両端部付近に活物質層未形成部18a、18bを残して形成されたリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物またはカルコゲン化合物を含む活物質層19とから構成されている。なお、活物質層は前記集電体の片面のみに形成してもよい。
前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物としては、例えばコークス、炭素繊維、熱分解気相炭素物、黒鉛、樹脂焼成体、メソフェーズピッチ系炭素繊維またはメソフェーズ球状カーボンの焼成体などを挙げることができる。中でも、2500℃以上で黒鉛化したメソフェーズピッチ系炭素繊維を用いると電極容量が高くなるため好ましい。
前記リチウムイオンを吸蔵・放出するカルコゲン化合物としては、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)、セレン化ニオブ(NbSe2)などを挙げることができる。このようなカルコゲン化合物を負極に用いると、前記二次電池の電圧は降下するものの前記負極の容量が増加するため、前記二次電池の容量が向上される。更に、前記負極はリチウムイオンの拡散速度が大きいため、前記二次電池の急速充放電性能が向上される。
前記結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンの共重合体、あるいは他のフッ素系のモノマーとフッ化ビニリデンを共重合体させたものを挙げることができる。かかる他のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン(FEP)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの3元共重合体、フッ化ビニル−フッ化ビニリデンの共重合体、スチレンブタジエン共重合体、ニトリルブタジエン共重合体、アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロースを挙げることができる。
前記結着剤を分散させるための有機溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、水等が使用される。
前記負極材料、結着剤の配合割合は、負極材料80〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。特に、前記炭素材は負極6を作製した状態で、片面当たりの塗布量として50〜200g/m2の範囲にすることが好ましい。
前記集電体としては、銅箔の代わりにニッケル箔等を用いることができるが、電気化学的な安定性および捲回時の柔軟性等を考慮すると、銅箔がもっとも好ましい。
c)非水電解液
この非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解した組成を有する。
この非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解した組成を有する。
前記非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、例えばジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)や2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)などの環状エーテルやクラウンエーテル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)などの脂肪酸エステル、アセトニトリル(AN)などの窒素化合物、スルホラン(SL)やジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄化合物などから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
中でも、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種からなるものや、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種とDMC、MEC、DEC、DME、DEE、THF、2−MeTHF、ANから選ばれる少なくとも1種とからなる混合溶媒を用いることが好ましい。また、負極に前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いる場合に、前記負極を備えた二次電池のサイクル寿命を向上させる観点から、ECとPCとγ−BL、ECとPCとMEC、ECとPCとDEC、ECとPCとDEE、ECとAN、ECとMEC、PCとDMC、PCとDEC、またはECとDECからなる混合溶媒を用いることが好ましい。
前記電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl4)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩を挙げることができる。中でもLiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2を用いると、導電性や安全性が向上されるために好ましい。
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2.0モル/Lの範囲にすることが好ましい。
以上のような図1〜図4に示す構成の非水電解液二次電池において、短絡または過充電が生じた時の動作を説明する。
二次電池の誤使用等による短絡または過充電が生じて大きな電流が流れ、かつ外装缶1内の電極群2が発熱すると、リボン状PTC素子10は図2および図3に示すように正極3の活物質層未形成部7aに位置する集電体であるAl箔6とAl製の正極用電極接続タブ9の接続部に介在されている、つまり前記電極群2内に組み込まれているため、前記電極群2の発熱を速やかに検知し、その熱を拾って温度上昇し、かつ大電流が流れることに伴って自身が温度上昇することによって電流を制限する。したがって、リボン状PTC素子10を正極3の活物質層未形成部7aに位置するAl箔6と正極用電極接続タブ9の接続部に介在させることによって、電極群2の発熱を従来のようにPTC素子を外装缶の封口蓋群に組み込んだ場合に比べてより短時間感知して速やかに電流を制限する作用が働くため、大電流による異常な発熱を迅速に防止することが可能になる。
一方、前記リボン状PTC素子10の電流制限後にも微小電流が流れ続け、電極群2等がより高い温度に発熱し、外装缶1内の温度が上昇すると、電極群2と非水系電解液の反応、および非水系電解液の分解に起因するガスを発生し、内圧が上昇する。この時、そのガスは絶縁押さえ板23の穴21、22、電流遮断機構24のストリッパー29に開口された3つの扇状穴32および絶縁シート30の開口部を通してダイアフラム31に達し、そのダイアフラム31を端子板28側に押上げる。ダイアフラム31が押上げられる時には、前記ストリッパー29および接続板34が変形しないため、ダイアフラム31の突起部35が接続板34から離れ、正極の伝達路が電気的に遮断される。その結果、電流が流れつづけることに伴うより一層の発熱、内圧の上昇を回避することができる。
前記正極の電流伝達路の遮断後にも発熱を伴って内圧上昇が生じると、前記電流遮断機構24のダイアフラム31に前記ガス経路を通してさらに高いガス圧力が加わる。この時、ダイアフラム31には図7に示すように切込部36、37が形成されているため、ガスの加圧力によりそのダイアフラム31が切込部36、37を起点にして破断される。その結果、外装缶1内で発生したガスは前記端子板28のガス抜き穴27を通して外部に放出されるため、過度な内圧上昇による電池の破裂を未然に防止することができる。
したがって、本発明の第1実施形態によれば外部短絡、過充電のような異常時において発熱(温度上昇)、内圧上昇を防ぎ、さらに温度上昇によるガス発生、内圧上昇が起こってもガスを速やかに逃散させて破裂等を未然に防止できるため、電池特性と安全性の優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
また、Al箔6と前記電極接続タブ9の接続部を含む前記Al箔6に帯状絶縁フィルム15を被覆することによって、その接続部でセパレータ5の突き抜けが万が一生じても、前記絶縁フィルム15により正負極3,4間の短絡を防止できる。しかも、帯状絶縁フィルム15の被覆により前記接続部における各部材間の接続強度を向上させることが可能になる。
なお、前述した実施形態ではリボン状PTC素子を正極側に設けたが、負極側に設けてもよい。このような形態の正極および負極を図8〜図11を参照して説明する。なお、図8〜図11において前述した図2〜図5と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
正極3は、図8および図9に示すように捲き始め端部側の活物質層未形成部7aに位置するAl箔6にAl製の正極用電極接続タブ9が接続されている。正極用電極接続タブ9は、電流遮断機構の接続板に接続されている。
負極4は、図10および図11に示すように捲き終り端部側の活物質層未形成部18bに位置するCu箔17にニッケル(Ni)製の負極用電極接続タブ20がリボン状PTC素子38を介して接続されている。この負極用電極接続タブ20は、負極端子を兼ねる外装缶に接続されている。前記リボン状PTC素子38は、図11に示すように一対のニッケル薄板39a,39bの間に導電材を含有したポリエチレン、ポリプロピレンのような樹脂シート40を介在した構造を有する。前記Cu箔17および負極用電極接続タブ20は、前記リボン状PTC素子38のニッケル薄板39a,39bにそれぞれ抵抗溶接等により接続されている。帯状絶縁フィルム41は、前記Cu箔17と前記負極用電極接続タブ20の接続部を含む前記Cu箔17に被覆されている。
このような構成によれば、リボン状PTC素子38を負極4の活物質層未形成部18bに位置する集電体であるCu箔17と負極用電極接続タブ20の接続部に介在させる、つまり前記電極群内に組み込むことによって、短絡または過充電が生じた際、前述した実施形態と同様に電極群の発熱を従来のようにPTC素子を外装缶の封口蓋群に組み込んだ場合に比べてより短時間感知して速やかに電流を制限する作用が働くため、大電流による異常な発熱を迅速に防止することが可能になる。
また、前述した実施形態では捲き始め端部側の活物質層未形成部7aのAl箔6にAl製の正極用電極接続タブ9をリボン状PTC素子10を介して接続したが、これに限定されない。例えば、図12に示すように捲き始め端部側の活物質層未形成部7aのAl箔6に前述した図3と同様な構造のリボン状PTC素子10を一端が封口蓋群側に延出するように接続し、その延出したPTC素子10にAl製の正極用電極接続タブ9を接続し、さらに帯状絶縁フィルム15を前記Al箔6とPTC素子10の接続部およびPTC素子10と電極接続タブ9の接続部を含む前記Al箔6に被覆してもよい。
このような図12に示す構成によれば、正極3の活物質層未形成部7aに位置するAl箔6と正極用電極接続タブ9とをリボン状PTC素子10により接続する、つまり電極群内にリボン状PTC素子10を組み込むことによって、短絡または過充電が生じた際、前述した実施形態と同様に電極群の発熱を従来のようにPTC素子を外装缶の封口蓋群に組み込んだ場合に比べてより短時間感知して速やかに電流を制限する作用が働くため、大電流による異常な発熱を迅速に防止することが可能になる。
さらに、前述した実施形態では円筒形非水電解液二次電池を例にして説明したが、図13に示す有底矩形筒状の容器内に正極、負極、セパレータ及び非水電解液が収納された構造の角形非水電解液二次電池にも同様に適用することができ、信頼性、安全性の高い二次電池を提供することができる。
すなわち、図13に示す角形非水電解液二次電池において、角型の外装部材41は例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる有底矩形筒状をなす外装缶42と、この外装缶42の開口部に例えばレーザ溶接により気密に接合された例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる蓋体43とから構成されている。前記外装缶42は、例えば正極端子を兼ね、底面に下部側絶縁紙44が配置されている。電極群である電極体45は、前記外装部材41の外装缶42内に収納されている。この電極体45は、例えば負極46とセパレータ47と正極48とを前記正極48がセパレータ47を介して最外周に位置するように渦巻状に捲回した後、扁平状にプレス成形することにより作製される。この負極46は、正極として説明した図8および図9と同様な構造、つまり捲き始め端部側の活物質層未形成部に位置するCu箔にニッケル製の負極用電極接続タブが接続され、後述する負極端子に接続されている。前記正極48は、正極として説明した図8および図9と同様な構造、つまり捲き終り端部側の活物質層未形成部に位置するAl箔にAl製の正極用電極接続タブがリボン状PTC素子(いずれも図示せず)を介して接続されている。この正極用電極接続タブは、正極端子を兼ねる外装缶42に接続されている。
非水電解液は、前記蓋体43の注液孔(図示せず)を通して前記外装缶42内に注液されている。注液後は、例えばアルミニウム製またはアルミニウム合金製の円板からなる封止蓋が超音波溶接等により接合され、前記外装部材41を密封している。この封止蓋は、矩形板であってもよい。中心付近にリード取出穴を有する例えば合成樹脂からなるスペーサ49は、前記外装缶42内の前記電極体45上に配置されている。前記蓋体43の中心付近には、負極端子の取出し穴50が開口されている。負極端子51は、前記蓋体43の穴50および前記スペーサ49の穴を貫通し、前記蓋体43の穴50の箇所でガラス製または樹脂製の絶縁材52を介してハーメティクシールされている。前記負極端子51の下端面には、前記電極体45の負極46の電極接続タブ53が接続されている。上部側絶縁紙54は、前記蓋体43の外表面全体に被覆されている。外装チューブ55は、前記外装缶2の側面から下面および上面の絶縁紙44、54の周辺まで延出するように配置され、前記下部側絶縁紙44を前記外装缶42の底面に、前記上部側絶縁紙54を前記蓋体43の外表面にそれぞれ固定している。
さらに、本発明において外装部材としてラミネートフィルムを使用する非水電解液二次電池、ゲル状非水電解質を用いる二次電池にも同様に十分適用することができ、信頼性、安全性の高い二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して説明する。
(実施例1)
LiCoO2粉末100重量部、平均粒径50nmのアセチレンブラック2量部および平均粒径1μmの燐片状黒鉛(人造黒鉛)3重量部とをミキサで混合し、得られた混合物に結着剤であるポリフッ化ビニリデン5重量部を加えた後、N−メチルピロリドンに分散させて正極ペーストを調製した。つづいて、このペーストを集電体としてのアルミニウム箔の両面に両端部付近にペースト未塗布部を残して塗布し、乾燥した後、圧延して幅53mmの正極を作製した。ひきつづき、前述した図2および図3に示すようにこの正極3の捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)7aに位置するAl箔6にリボン状PTC素子(幅4mm、長さ40mm、厚さ50μm)10のクラッド薄板13aのAl薄板11a側部をスポット的に抵抗溶接し、このリボン状PTC素子10(クラッド薄板13bのAl薄板11b側部)にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)9を抵抗溶接して接続した。その後、前記Al箔6と前記電極接続タブ9の接続部を含む前記Al箔6に絶縁フィルム15を被覆した。
LiCoO2粉末100重量部、平均粒径50nmのアセチレンブラック2量部および平均粒径1μmの燐片状黒鉛(人造黒鉛)3重量部とをミキサで混合し、得られた混合物に結着剤であるポリフッ化ビニリデン5重量部を加えた後、N−メチルピロリドンに分散させて正極ペーストを調製した。つづいて、このペーストを集電体としてのアルミニウム箔の両面に両端部付近にペースト未塗布部を残して塗布し、乾燥した後、圧延して幅53mmの正極を作製した。ひきつづき、前述した図2および図3に示すようにこの正極3の捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)7aに位置するAl箔6にリボン状PTC素子(幅4mm、長さ40mm、厚さ50μm)10のクラッド薄板13aのAl薄板11a側部をスポット的に抵抗溶接し、このリボン状PTC素子10(クラッド薄板13bのAl薄板11b側部)にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)9を抵抗溶接して接続した。その後、前記Al箔6と前記電極接続タブ9の接続部を含む前記Al箔6に絶縁フィルム15を被覆した。
また、メソフェーズピッチを原料としたメソフェーズピッチ炭素繊維を黒鉛化することによりメソフェーズピッチ系炭素繊維を製造した。つづいて、このメソフェーズピッチ系炭素繊維90重量部、天然黒鉛10重量部およびポリフッ化ビニリデン7重量部からなる混合物をN−メチルピロリドンに分散させて負極ペーストを調製した。このペーストを集電体であるCu箔の両面に両端部付近にペースト未塗布部を残して塗布し、乾燥した後、ロールプレスを行い充填密度1.4g/cm3で幅55mmの負極を作製した。ひきつづき、図4および図5に示すように捲き終り端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)18bが位置するCu箔にNi製の負極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)20を抵抗溶接により接続した。
さらに、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比1:2)に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1M/L溶解することにより非水電解液を調製した。
次いで、前記正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ(シャットダウン温度135℃)および前記負極をそれぞれこの順序で積層した後、前記負極が外側に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。この電極群の負極用電極接続タブを負極端子を兼ねるステンレス製の有底円筒状外装缶の底部に接続した後、この外装缶内に収納した。さらに、前記非水電解液を前記外装缶内に注入し、前記電極群の正極用電極接続タブを封口蓋群の電流遮断機構に接続した後、その封口蓋群を外装缶の上端開口部に絶縁ガスケットを介して絶縁的に密閉することにより図1に示す構造を有し、設計定格容量1600mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
(実施例2)
正極として前述した図8および図9に示す構造のものを用い、負極として図10および図11に示すものを用いた以外、実施例1と同様な設計定格容量1600mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
正極として前述した図8および図9に示す構造のものを用い、負極として図10および図11に示すものを用いた以外、実施例1と同様な設計定格容量1600mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
すなわち、正極は幅が53mmで、前述した図8および図9に示すように捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)7aに位置するAl箔6にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)9を抵抗溶接により接続した構造を有する。
負極は、幅55mmで、図10および図11に示すように捲き終り端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)18bに位置するCu箔17にリボン状PTC素子(幅4mm、長さ40mm、厚さ50μm)38のニッケル薄板39aを抵抗溶接により接続し、さらにこのリボン状PTC素子38のニッケル薄板39bにニッケル製の負極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)20を抵抗溶接により接続した後、前記銅箔17と前記電極接続タブ20の接続部を含む前記Cu箔17に絶縁フィルム41を被覆した構造を有する。
(比較例1)
封口蓋群の金属製のダイアフラムとガス抜き穴が開口された正極端子となる端子板との間にドーナツ状PTC素子を介在させ、捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置する集電体であるAl箔にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)を抵抗溶接により接続した構造の幅53mmの正極、捲き終り端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置する集電体であるCu箔にNi製の負極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)を抵抗溶接により接続した構造の負極を用いた以外、実施例1と同様な設計定格容量1600mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
封口蓋群の金属製のダイアフラムとガス抜き穴が開口された正極端子となる端子板との間にドーナツ状PTC素子を介在させ、捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置する集電体であるAl箔にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)を抵抗溶接により接続した構造の幅53mmの正極、捲き終り端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置する集電体であるCu箔にNi製の負極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)を抵抗溶接により接続した構造の負極を用いた以外、実施例1と同様な設計定格容量1600mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
得られた実施例1,2および比較例1の二次電池に対して過充電試験を行った。充電は、20℃において充電電流1600mA(1C)、4.2Vの定電圧で保持し、計3時間行った。放電は、1600mAの定電流で行い、放電終止電圧は3.0Vとした。つづいて、同様な1C充電を行った。その後、20℃において、4800mA(3C)、15V過充電試験を行って電池の破裂、発火、漏液に至らない確率を調べた。試験個数は、各10個とした。その結果を下記表1に示す。
前記表1から明らかなように実施例1〜2のリチウム二次電池は、電池の破裂、発火、漏液が生じず、優れた過充電安全性を有することがわかる。
これに対し、比較例1のリチウム二次電池は実施例1〜2に比べて、電池の破裂、発火に至らない確率が低く、安全性の点で問題があった。
(実施例3)
実施例1と同様な方法により幅35mmの正極を作製し、この正極の捲き終わり端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置するAl箔にリボン状PTC素子(幅4mm、長さ40mm、厚さ50μm)のクラッド薄板のAl薄板側部をスポット的に抵抗溶接し、このリボン状PTC素子(クラッド薄板のAl薄板側部)にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)9を抵抗溶接して接続した。その後、前記Al箔と前記電極接続タブの接続部を含む前記Al箔に絶縁フィルムを被覆した。
実施例1と同様な方法により幅35mmの正極を作製し、この正極の捲き終わり端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)に位置するAl箔にリボン状PTC素子(幅4mm、長さ40mm、厚さ50μm)のクラッド薄板のAl薄板側部をスポット的に抵抗溶接し、このリボン状PTC素子(クラッド薄板のAl薄板側部)にAl製の正極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)9を抵抗溶接して接続した。その後、前記Al箔と前記電極接続タブの接続部を含む前記Al箔に絶縁フィルムを被覆した。
実施例1と同様な方法により幅37mmの負極を作製し、この負極の捲き始め端部側のペースト未塗布部(活物質層未形成部)が位置するCu箔にNi製の負極用電極接続タブ(幅4mm、長さ70mm、厚さ50μm)20を抵抗溶接により接続した。
前記正極および前記負極をその間にポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形し、さらに油圧式プレスで加熱圧縮し、成形して偏平状電極体(電極群)を作製した。
次いで、前記電極体の下部から延出される正極用電極接続タブをアルミニウム製の有底矩形筒状外装缶の底部に接続した後、この外装缶内に収納した。収納された電極体の上部から延出される負極用電極接続タブを正極用電極接続タブを注液孔を有するアルミニウム製の蓋体に接続した後、この蓋体を前記外装缶の上端開口部にレーザシーム溶接して前記電極体を外装部材内に密封した。つづいて、非水電解液を前記蓋体の注液孔を通して前記外装部材内に注液した。この非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカーボネート(MEC)/六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )=34.9/53.1/12(重量比)の混合液にビニレンカーボネート(VC)を0.5重量%加えた組成を有する。前記注液孔を含む蓋体にアルミニウム円板からなる封止蓋を溶接により接合して前記外装部材を密封した。この後、外装部材の上下に絶縁紙を配置し、この外装部材の大部分を外装チューブで覆うことにより、前述した図13に示す構造を有し、容量が650mAhの角形非水電解液二次電池を製造した。
(比較例2)
電極体の正極にPTC素子を介さずにAl製の電極接続タブを直接接続し、このタブを外装缶内の底部に接続し、かつ図14に示すようにスリット56を有する下部側絶縁紙44を外装缶42の底面に配置し、二つ折りされたPTC素子57を一方の面が前記外装缶42の底面と前記下部側絶縁紙44の間に介装し、かつ他方の面を前記スリット56を通して前記下部側絶縁紙44外側に延出させた以外、実施例3と同様な方法により容量が650mAhの角形非水電解液二次電池を製造した。なお、図14において前述した図13と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
電極体の正極にPTC素子を介さずにAl製の電極接続タブを直接接続し、このタブを外装缶内の底部に接続し、かつ図14に示すようにスリット56を有する下部側絶縁紙44を外装缶42の底面に配置し、二つ折りされたPTC素子57を一方の面が前記外装缶42の底面と前記下部側絶縁紙44の間に介装し、かつ他方の面を前記スリット56を通して前記下部側絶縁紙44外側に延出させた以外、実施例3と同様な方法により容量が650mAhの角形非水電解液二次電池を製造した。なお、図14において前述した図13と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
得られた実施例3および比較例2の角形の二次電池に対して過充電試験を行った。充電は、20℃において充電電流650mA、4.2Vの定電圧で保持し、計3時間行った。放電は、650mAの定電流で行い、放電終止電圧は3Vとした。つづいて、同様な1C充電を行った。その後、20℃において、650mA、10V過充電試験を行って電池の破裂、発火、漏液に至らない確率を調べた。試験個数は、各10個とした。その結果を下記表2に示す。
前記表2から明らかなように実施例3の角形リチウム二次電池は、電池の破裂、発火、漏液が生じず、優れた過充電安全性を有することがわかる。
これに対し、比較例2の角形リチウム二次電池は実施例3に比べて、電池の破裂、発火に至らない確率が低く、安全性の点で問題があった。
以上詳述したように本発明によれば、過充電または短絡等の異常が発生した場合、温度が上昇した速い段階で電極群の通電を遮断することができ、信頼性、安全性の高い非水電解液二次電池を提供することができる。
1、42…外装缶、2、45…電極群、3、48…正極、4、46…負極、5、47…セパレータ、6…Al箔、9…正極用電極接続タブ、10,38…リボン状PTC素子、13a,13b…クラッド型薄板、14、40…樹脂シート、15,41…絶縁フィルム、17…Cu箔、20…負極用電極接続タブ、24…封口蓋群、25…絶縁ガスケット、26…電流遮断機構、28…端子板、29…ストリッパー、31…ダイアフラム、39a,39b…ニッケル薄板、41…外装部材、43…蓋体、51…負極端子。
Claims (3)
- 外装缶内に正極、負極およびセパレータで構成された電極群が非水電解液とともに収納された非水電解液二次電池において、
電極接続タブは、前記正極および負極の集電体にそれぞれ接続されていると共に、いずれか一方の電極接続タブはPTC素子を介して前記集電体に接続されていることを特徴とする非水電解液二次電池。 - 前記PTC素子は、前記電極接続タブと前記正極および負極のいずれか一方の集電体との接続部に介在されていることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
- 前記集電体、PTC素子および電極接続タブの接続部を含む集電体は、さらに絶縁フィルムにより被覆されていることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解液二次電池。
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