JP2005203411A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザを提供すること。
【解決手段】 本発明では、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第1の窒化物化合物半導体層を成長する工程において、窒化物半導体基板の主面を部分的に前記不純物で高濃度化した後に第1の半導体層を成長する。窒化物半導体基板の主面を酸化することで、不純物で高濃度化された領域14が選択的に酸化されることが好ましい。
【選択図】 図6
【解決手段】 本発明では、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第1の窒化物化合物半導体層を成長する工程において、窒化物半導体基板の主面を部分的に前記不純物で高濃度化した後に第1の半導体層を成長する。窒化物半導体基板の主面を酸化することで、不純物で高濃度化された領域14が選択的に酸化されることが好ましい。
【選択図】 図6
Description
本発明は、窒化物系III-V族化合物半導体で構成される発光素子に関する。
最近、次世代の高密度光ディスクであるBlu-ray Discが発売された。このBlu-ray Discでは光源として青紫色の光を発する半導体レーザが使用されており、半導体材料として窒化ガリウム(GaN)系のIII-V族化合物半導体が使用されている。
今後のBlu-ray Discの展開を考えた場合、レコーダーとして高密度・高速記録が必要であり、高光出力で信頼性の高いGaN系半導体レーザが必要となってくる。
最近、GaN系レーザの長寿命化として、低消費電力化と低転位密度化が重要であることが報告されている。例えば、非特許文献1では、低消費電力化が長寿命化と強い相関があることが示唆されている。
また、非特許文献2および非特許文献3では、転位密度の低減が長寿命化に有効であることが示唆されている。
第2および第3の非特許文献とも基板としてサファイアを使用しており、絶縁膜を介したGaNの横方向(ELO)選択成長技術を用いることで、部分的(ELO領域)にサファイアとの物性情報を中断し、低転位領域を形成している。この場合、低転位領域の転位密度は106cm-2程度である。
一方、ELO領域でない高転位密度領域では約2桁高い108cm-2程度となっている。また、同様な低転位領域形成の方法が特許文献1に開示されており、GaN表面に凹凸を形成し凸部から選択的成長を開始することで、凹部に低転位領域形成を形成できることが示されている。
しかしながら、高温度・高出力での長寿命化を目指した場合、106cm-2程度の転位密度では不十分であり、よりいっそうの低転位化が必要となっている。
また、サファイア基板は絶縁性であるため、半導体レーザの電極を基板側に配置することができない。このため、サファイア基板上にELO技術を使用してGaN系レーザを作製した場合、GaN側にレーザのp電極とn電極の両電極を配置する構成となるため、素子サイズが大きくなり、1枚の基板から作製される素子数が少なくなり、さらに製造工程も複雑化するため製造コストが高くなる課題がある。
上記課題を解決するために、最近、導電型(n型)のGaN基板が作製され始めた。例えば特許文献2および特許文献3によるGaN基板の製造方法では、上記ELO技術を用いて厚膜のGaNを成長し研磨加工することで自立基板として作製する方法が開示されている。前記GaN基板では、ELO技術を用いるため、低転位領域と高転位領域が形成され、低転位領域の転位密度は105cm-2程度にまで低減されている。
さらに、前記GaN基板上にGaN系レーザを成長する試みがなされている。非特許文献4によれば、低転位密度(3×105cm-2程度)のGaN基板上にGaN系レーザを作製することで、推定寿命時間として100000時間程度が予想され、大幅な長寿命化が図れている。
しかしながら、前記GaN基板ではELO技術を用いるため、基板全面が低転位化できているのではなく高転位密度領域(5×106cm-2程度)が周期的に存在する。この高転位領域に成長したGaN系半導体層は、基板からの貫通転位を引継ぐため転位密度が高く、局所的な格子(応力)緩和を招く。
このため、前記高転位領域を起源として、低転位領域側へ転位およびクラックが伝播することになり、GaN系レーザの特性面内均一性および歩留りが低下することになる。この課題に対して、GaN基板表面の高転位領域に絶縁膜からなる結晶成長抑制膜(ELO成長マスク)を堆積させ、結晶欠陥と内部応力を低減させる方法が特許文献3に開示されている。
しかしながら、将来的に基板全面で低転位化されたGaN基板が実現された場合でもGaN系レーザを成長する際に、内部応力およびクラックの課題が発生すると予想される。この理由を以下に示す。GaN系レーザには、光閉込めおよびキャリア閉込めのためにGaNよりもバンドギャップエネルギーが大きなクラッド層が必要であり、クラッド層は一般的にAlyGa1-yN(0<y<1)で構成される。
この場合、AlyGa1-yNのAl組成(y)増加によりGaNとの格子不整合が大きくなり、AlyGa1-yN層には引っ張り応力が内在するようになる。現在のGaN基板では低転位領域と高転位領域が形成されているために、前記AlyGa1-yN層に内在する応力は高転位領域での格子緩和により緩和され、クラック発生が幾分防止されている。一方、基板全面が低転位化されたGaN基板が実現された場合では、AlGaN層に内在する応力を緩和するために、基板全面にクラックが発生する可能がある。また、応力(引っ張り応力)が内在されたレーザでは、レーザ動作中に格子欠陥が成長し劣化が進行しやすいことが知られている。
そこで、我々は、GaN基板の現状課題および将来的課題に対して、成長時に基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、GaN基板上に成長させたGaN系レーザにおいて、内部応力を制御しクラック発生を防止すると共に高信頼性を実現する方法を新たに見出した。
特開2002-9004号公報
特開2003-124572号公報
特開2003-133649号公報
Phys. Stat. Sol.(a) 188(2001)69.
Jpn. J. Appl. Phys. 39(2000)L647.
Phys. Stat. Sol.(a) 194(2002)407.
Extended Abstracts of the 2002 Int. Conf. on Solid State Devices and Materials, pp.832-833
本発明は、内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザを提供することを目的とする。
本発明に係る第1の発明は、上記の目的を達成し、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第1の窒化物化合物半導体層を成長する工程において、前記窒化物半導体基板の主面を部分的に前記不純物で高濃度化した後に前記第1の半導体層を成長することを特徴とする。窒化物半導体基板の主面を部分的にn型ドーパントで高濃度化することにより、基板上に成長する第1の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。
この理由を以下に述べる。窒化物半導体の転位等の欠陥は窒素空孔に起因することが多く、この欠陥は窒素原子がダングリングボンドを有しているために、n型ドーパント(例えばシリコン)と結合しやすい傾向にある。このため、欠陥位置で窒化珪素等が形成されることで、欠陥が不活性化され、また微小な選択成長マスクとなるために、第1の半導体層では転位等の欠陥が減少し、また内部応力も緩和されることになる。
第2の発明は、上記第1の製造方法において、前記窒化物半導体基板の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする。不純物としてシリコンを用いた場合、酸化により酸化珪素が形成される。
この酸化珪素は選択成長マスクとして作用するため、基板上に成長する第1の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。
また、この製造方法では、基板の主面内部に酸化珪素を形成することが可能であり、基板主面の凹凸を低減することができるため、従来の選択成長マスクを基板主面上に堆積させる方法と比較して、凹凸に起因する結晶性劣化も抑制することができる。
本発明に係る第3の発明は、上記第1および第2の発明において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域は選択成長マスクとして作用する。
つまり、高濃度領域を周期的に線状に配置することにより、選択成長マスクを周期性を有した線状に配置することになる。
このため、本発明に係る第5の発明でも後述するが、基板上に成長する第1の半導体層が選択成長マスクで成長を抑制された場合、第1の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第1の半導体層の格子定数が基板の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第1の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第1の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
第4の発明は、上記第1、2および第3の発明において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする。n型不純物がシリコンの場合には、酸化により酸化珪素が形成され選択成長マスクとして作用する。この選択成長マスクの有効性は上述した通りである。
第5の発明は、上記第1、2、3および第4の発明において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第1の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする。基板上に成長する第1の半導体層がn型ドーパントで高濃度化された領域で成長を抑制された場合、第1の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第1の半導体層の格子定数が基板の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第1の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第1の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
本発明に係る第6の発明は、上記第1、2、3、4および第5の発明において、前記第1の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域で自己分離した第1の半導体層上に、活性層およびp型ドーパントを添加した半導体層を成長し発光素子を形成することで、活性層にかかる内部応力(格子歪)も緩和され、発光素子の高出力化および長寿命化に大きく寄与することになる。さらに、発光素子構造が自己分離しているために、チップ状に切出す際のクラックおよびチッピングの発生を防止することができ、歩留り改善にも寄与する。
本発明に係る第1の発明は、上記の目的を達成し、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第1の窒化物化合物半導体層を成長する工程において、前記窒化物半導体基板の主面を部分的に前記不純物で高濃度化した後に前記第1の半導体層を成長することを特徴とする。窒化物半導体基板の主面を部分的にn型ドーパントで高濃度化することにより、基板上に成長する第1の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。
この理由を以下に述べる。窒化物半導体の転位等の欠陥は窒素空孔に起因することが多く、この欠陥は窒素原子がダングリングボンドを有しているために、n型ドーパント(例えばシリコン)と結合しやすい傾向にある。このため、欠陥位置で窒化珪素等が形成されることで、欠陥が不活性化され、また微小な選択成長マスクとなるために、第1の半導体層では転位等の欠陥が減少し、また内部応力も緩和されることになる。
第2の発明は、上記第1の製造方法において、前記窒化物半導体基板の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする。不純物としてシリコンを用いた場合、酸化により酸化珪素が形成される。
この酸化珪素は選択成長マスクとして作用するため、基板上に成長する第1の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。また、この製造方法では、基板の主面内部に酸化珪素を形成することが可能であり、基板主面の凹凸を低減することができるため、従来の選択成長マスクを基板主面上に堆積させる方法と比較して、凹凸に起因する結晶性劣化も抑制することができる。
本発明に係る第3の発明は、上記第1および第2の発明において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域は選択成長マスクとして作用する。
つまり、高濃度領域を周期的に線状に配置することにより、選択成長マスクを周期性を有した線状に配置することになる。このため、本発明に係る第5の発明でも後述するが、基板上に成長する第1の半導体層が選択成長マスクで成長を抑制された場合、第1の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第1の半導体層の格子定数が基板の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第1の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第1の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
第4の発明は、上記第1、2および第3の発明において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする。n型不純物がシリコンの場合には、酸化により酸化珪素が形成され選択成長マスクとして作用する。この選択成長マスクの有効性は上述した通りである。
第5の発明は、上記第1、2、3および第4の発明において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第1の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする。
基板上に成長する第1の半導体層がn型ドーパントで高濃度化された領域で成長を抑制された場合、第1の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第1の半導体層の格子定数が基板の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第1の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第1の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
本発明に係る第6の発明は、上記第1、2、3、4および第5の発明において、前記第1の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする。
上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域で自己分離した第1の半導体層上に、活性層およびp型ドーパントを添加した半導体層を成長し発光素子を形成することで、活性層にかかる内部応力(格子歪)も緩和され、発光素子の高出力化および長寿命化に大きく寄与することになる。さらに、発光素子構造が自己分離しているために、チップ状に切出す際のクラックおよびチッピングの発生を防止することができ、歩留り改善にも寄与する。
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態は、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、成長時に基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の実施形態は、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、成長時に基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の第1の実施形態によるGaN系レーザ構造の結晶成長方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るGaN基板の断面図を示している。まず、(0001)面を主面とするGaN基板11を酸溶液を用いて洗浄を行なう。その後、スパッタ装置(図示せず)を用いてシリコン(Si)からなる拡散マスク12を基板11の主面上に5nm程度堆積させる(図1)。次に、拡散マスク12上にレジスト膜13を塗布する(図2)。続いて、フォトリソグラフィー法によりレジスト膜13をストライプ状(20mm幅、間隔360mm)に加工する(図3)。次に、フッ酸エッチングにより拡散マスク12を前記ストライプ状に加工し、レジスト膜13をアセトンなどの有機溶液で除去する(図4)。この段階で、GaN基板11の主面上には、20mm幅のSiからなる拡散マスク12が360mmの開口幅でストライプ状に形成されていることになる。
続いて、基板11を電気炉(図示せず)のサセプタに保持して真空排気する。次に、電気炉内の圧力が大気圧になるように窒素と酸素の混合ガスを流入し、約700℃で30分間の熱処理を施す。この熱処理により拡散マスク12がGaN基板11の表面に拡散し、拡散領域では酸化により酸化珪素(SiOx)層14が形成される(図5)。
次に、前記GaN基板11上にGaN系レーザを結晶成長工程に移行する。図6は本実施形態に係るGaN基板上のレーザ構成断面図を示している。基板11を酸洗浄した後、有機金属気相成長(MOVPE)装置(図示せず)の反応炉内のサセプタに保持し、反応炉を真空排気する。続いて、反応炉内を圧力が300Torrの窒素雰囲気とし、温度を約800℃にまで昇温して基板11を加熱し表面のサーマルクリーニングを約10分間行なう。
次に、反応炉を約1000℃にまで昇温した後、基板11の主面上に、供給量7sccmのトリメチルガリウム(TMG)と、供給量が7.5slmのアンモニア(NH3)ガスと、n型ドーパントとしてシラン(SiH4)ガスと、キャリアガスとして水素とを同時に供給することにより、厚さが約1mm でSi不純物濃度が約5×1017cm-3のn型GaN層15を成長する。
次に、トリメチルアルミニウム(TMA)も供給しながら、厚さが約1.2mmでSi不純物濃度が約5×1017cm-3のn型Al0.07Ga0.93Nよりなるn型クラッド層16を成長する。
続いて、厚さが約120nmでSi不純物濃度が約5×1017cm-3のn型GaNよりなる第1の光ガイド層17を成長した後、温度を約800℃にまで降温し、キャリアガスを水素から窒素に変更して、トリメチルインジウム(TMI)とTMGを供給して厚さが約3nmのIn0.10Ga0.90Nよりなる量子井戸(3層)と、厚さが約7nmのIn0.02Ga0.98Nよりなるバリア層(2層)からなる多重量子井戸活性層18を成長する。
引き続いて、厚さが約50nmのIn0.02Ga0.98N よりなる中間層19を成長する。尚、この中間層19は、不純物を添加しないアンドープ層とする。その後、再び反応炉内の温度を約1000℃にまで昇温しキャリアガスを窒素から水素に戻して、p型ドーパントであるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)ガスとTMGガスを供給した後、TMAガスも供給して厚さが約20nmでMg不純物濃度が約1×1019cm-3のp型 Al0.18Ga0.82N よりなるキャップ層20を成長する。
ここで、Cp2Mgガスはキャップ層20を成長する前に供給されている。p型AlGaN層は、キャップ層20のようにAl組成が増加する程、高抵抗化することが知られている。
さらに、MOVPE装置の反応管が石英で構成されている場合、反応管に供給したMgが石英と反応することで、所望のMg濃度を含んだ半導体が得られないことがある(メモリー効果)。
このため、本実施形態のように、Cp2Mgガスをキャップ層20の成長前に供給しておくことで、上記メモリー効果によるMgドーピング遅れを緩和して、キャップ層20の高抵抗化を抑制できる。さらに、キャップ層20の成長時に供給するCp2Mgガスを、成長前に供給するCp2Mgガスよりも多くすることで、上記メモリー効果をさらに緩和することができる。
また、前記キャップ層20は、引き続くp型クラッド層の成長中に活性層18からInが蒸発することを防止する役割と、電流注入時にn型層から活性層へ注入された電子がp型層へオーバーフローすることを防止する役割を担っている。
尚、本実施形態では、前記キャップ層20の膜厚を約20nmとしたが、約10nm程度までは電子オーバーフロー防止効果が顕著であった。また、本実施形態では、前記キャップ層20のAl組成を18%としたが、10%程度までは電子オーバーフロー防止効果が顕著であった。
また、In0.02Ga0.98N で構成される中間層19は、活性層18中にp型ドーパントであるMgが拡散等で混入することを防止する役割と、レーザ動作時にMgによる光吸収損失を低減する役割を担っている。
次に、厚さが約120nmでMg不純物濃度が約1×1019cm-3のp型 GaNよりなる第2の光ガイド層21を成長する。続いて、厚さが約0.5mmでMg不純物濃度が約1×1019cm-3のp型Al0.07Ga0.93Nよりなるp型クラッド層22を成長する。
最後に、厚さが約50nmでMg不純物濃度が約1×1019cm-3のp型GaNよりなるp型コンタクト層23を成長する。
ここで、p型コンタクト層23の約10nm程度の最表面のMg濃度をさらに増加する(例えば約1×1020cm-3)ことで、p電極とのコンタクト抵抗を低減することができ、レーザ素子の動作電圧の低減、すなわち長寿命化に寄与することになる。
成長終了後、結晶成長表面を光学顕微鏡で観察すると、連続した平面的な表面ではなく、凹部が周期的にストライプ状に形成されている様子が確認できた。また、基板表面全面においてクラックが確認されなかった。
この断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すると、図6のように、SiOx層14上でGaN系レーザ構造が結晶成長されていないことが確認された。これは、SiOx層14が選択成長マスクの働きをしたために、SiOx層14上での成長が阻害されたためと推測される。
ただし、SiOx層14の両端領域では、SiOx層上にn型GaN層15が迫出して成長するELO成長が確認された。
尚、SiOx層14上で多少のGaN多結晶(ポリ)が形成されても同様の効果は得られる。
ここで、図6を参照しながら、本発明による選択成長の特徴について述べる。従来報告例にあるELO成長は、基板表面に絶縁膜を堆積させたものである(図7)。この場合は、段差のついた界面からELO成長が開始するため、ELO成長膜にボイド(空孔)や結晶歪が生じるために、ELO成長膜の表面には界面近傍で凹凸が生じ、欠陥が発生する等の結晶性が悪化する傾向にあった。
しかしながら、本発明によるELO成長では、基板内に酸化領域を有するために、ELO成長開始界面は非常に平坦である。このため、ELO成長界面において結晶性が悪化することがない。
さらに、レーザ構造がGaN基板全面ではなくストライプ状に自己形成されていることで、ストライプに垂直方向の応力が緩和される。つまり、レーザ構造に内在されている格子不整合による内部応力が緩和され、クラック発生が防止されると推測される。
次に、電極形成等のプロセス終了後のレーザ構成断面図を示した図8を参照しながら、レーザ加工プロセスについて説明する。
成長終了後、まずp型半導体層の活性化加熱処理を行う。加熱処理は窒素雰囲気中で750℃、10分程度である。その後、基板11の表面に二酸化珪素(SiO2)よりなる絶縁膜を堆積させる。
続いて、この絶縁膜上にレジスト膜を堆積させ、フォトリソグラフィー法によりp型コンタクト層23のリッジ形成位置(リッジ幅は約2mm)のみにレジスト膜が残るようにする。
この後、レジスト膜をエッチングマスクとして、レジスト除去部のSiO2膜をフッ酸溶液で除去しp型コンタクト層23を露出させる。
続いて、リッジ形成位置以外をドライエッチング装置(図示せず)でエッチングし、活性層18上の残し膜厚を0.15mm程度にする。尚、このドライエッチングで使用するガスは塩素(Cl2)とした。
その後、アセトンなどの有機溶液によりリッジ上のレジスト膜を除去し、フッ酸溶液でリッジ上のSiO2膜を除去する。次に、リッジ上のp電極形成位置以外をSiO2膜24で堆積した後、p電極25としてパラジウム(Pd)と白金(Pt)と金(Au)を蒸着形成する。
続いて、基板11の裏面を研磨し総膜厚を100mm程度に薄膜化する。従来は、100mm程度に基板を薄膜化する工程において、レーザ構造の内部応力の緩和によってクラック及び欠陥等が発生することがあった。
しかしながら、本発明では、成長終了後に既に内部応力が緩和されているために、基板薄膜化工程で新たに欠陥等は発生しない。その後、基板11の裏面(研磨面)に対して、n電極26としてチタン(Ti)と白金(Pt)と金(Au)を蒸着形成する。
この際、電極を基板全面に蒸着せずに、レーザ素子ごとに分離しておく。この電極分離により、へき開によるレーザ素子の分離が容易になる。
続いて、レーザ共振器端面のへき開工程に移る。共振器端面がGaN基板の(1-100)面となるように、基板11をへき開装置(図示せず)でへき開する。尚、レーザ共振器長は600mmとした。
続いて、レーザ共振器の後端面にスパッタ装置(図示せず)を用いて、SiO2と二酸化チタン(TiO2)の3対で構成される誘電体多層膜を堆積させ、高反射膜コートとした。
尚、本実施形態では、図6に示すように、レーザ構造部分がストライプ形状に自己分離されているために、端面コート材料が分離側壁にも堆積されるために、端面コートの密着性が大幅に向上し、歩留り向上に寄与する。
さらに、レーザ動作時にレーザ側壁から漏れ出る光(迷光)が抑制されるために、光ディスク駆動の誤動作防止に寄与する。
最後に、バー状態のレーザ素子の2次へき開をレーザ分離溝に沿うようにn電極側からおこなってレーザチップに分離して(図9)、レーザキャンにpサイドダウンで実装する。
尚、本実施形態では、図6に示すように、レーザ構造部分がストライプ形状に自己分離され、レーザ内部応力が緩和されているために、2次へき開での応力緩和によるクラック及びチッピングが防止できる。
第1の実施形態は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。
本実施形態により作製したレーザ素子1は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々35mA、1.4W/Aであった(図10)。
次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度であり、1000時間以上の安定動作を確認した。
このレーザ素子1の長寿命化は、GaN基板内部にSiOx膜14を形成した結果、結晶性に優れたレーザ構造がストライプ形状に選択成長し自己分離することで、内部応力が大幅に緩和されたことに起因している。
尚、本実施形態では、n型クラッド層16及びp型クラッド層22の各Al組成を7%としたが、各Al組成を3〜5%に低減してもよい。クラッド層のAl組成を低減することで、GaN及びInGaNとの格子不整合度を緩和することができ、活性層18に印加される歪を緩和でき、レーザ素子の信頼性をさらに改善することができる。
(第1の実施形態の比較例1)
上記第1の実施形態の比較例として、酸化によるSiOx層14を形成しないGaN基板上へレーザ構造を結晶成長し、そのレーザ特性について比較検討した。
上記第1の実施形態の比較例として、酸化によるSiOx層14を形成しないGaN基板上へレーザ構造を結晶成長し、そのレーザ特性について比較検討した。
本比較例1に係るレーザの製造方法の詳細は、拡散マスク12を用いる拡散工程を含まない以外、上記第1の実施形態と同様である。
本比較例1の結晶成長が終了したレーザウエハーの表面を光学顕微鏡で観察すると、基板全面が平坦になっており、上記第1の実施形態で観察された凹凸は見受けられない。また、基板全面にわたってクラックが多数観察された。これは、本比較例1ではGaN基板表面にSiOx層を形成していないために選択成長が起こらず、レーザ構造がストライプ状に成長せず全面に成長することで、内部応力が蓄積されクラックが発生することに起因すると推測される。
第1の実施形態の比較例1は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。本比較例により作製したレーザ素子2は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々50mA、0.8W/Aであった。上記のレーザ素子1と比較すると、閾値電流およびスロープ効率ともに悪化していることがわかる。これは、レーザ素子2ではクラックが含まれることに起因しているものと思われる。
一方、本比較例により作製しクラックが含まれていないレーザ素子3を選別すると、閾値電流およびスロープ効率は各々40mA、1.0W/Aであった。すなわち、クラックの有無に関わらず、上記のレーザ素子1と比較すると、閾値電流およびスロープ効率ともに悪化していることがわかる。
次に、光出力が50mWにおける消費電力が、上記第1の実施形態と同程度(0.4W)のレーザ素子を選別して、50mWのAPC寿命試験を実施した。同程度の消費電力でレーザ素子を選別した理由は、GaN系レーザの寿命時間は消費電力に大きく依存するために、同程度の消費電力でレーザ素子を比較しないと、内部応力と寿命時間との相関関係が明確にならないためである。結果として、レーザ素子2の劣化率はレーザ素子1の20倍程度であり、急速に劣化が進行することがわかった。
一方、レーザ素子3の劣化率はレーザ素子1の10倍程度であり、劣化進行が早いことがわかった。すなわち、レーザ素子1と比較して、レーザ素子2ではクラックによる劣化加速が考えれるが、レーザ素子2では、レーザ素子1と同程度の転位密度(約5×105cm-2)であるが、レーザ構造部分がストライプ形状に分離せず、内部応力が蓄積されているために、寿命時間に差異が生じていることが明確になった。従来は、GaN系発光素子の長寿命化対策として、低転位化と低消費電力化が唯一の手段と認知されていたが、発光素子の内部応力も重要な要素であることを今回初めて見出した意義は非常に大きい。
(第2の実施形態)
本発明に係る第2の実施形態は、上記第1の実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第2の実施形態は、上記第1の実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の第2の実施形態によるGaN系レーザ構造の結晶成長方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図7は本実施形態に係るGaN基板の断面図を示している。まず、(0001)面を主面とするGaN基板71を酸溶液を用いて洗浄を行なう。
その後、スパッタ装置を用いてSiからなる拡散マスク72を基板71の主面上に5nm程度堆積させる。次に、拡散マスク72上にレジスト膜を塗布する。
続いて、フォトリソグラフィー法によりレジスト膜をストライプ状(20mm幅、間隔360mm)に加工する。
次に、フッ酸エッチングにより拡散マスク72を前記ストライプ状に加工し、レジスト膜をアセトンなどの有機溶液で除去する。この段階で、GaN基板71の主面上には、20mm幅のSiからなる拡散マスク72が360mmの開口幅でストライプ状に形成されていることになる(図11)。
続いて、基板71を電気炉のサセプタに保持して真空排気する。
次に、電気炉内の圧力が大気圧になるように水蒸気ガスを流入し、約800℃で60分間の熱処理を施す。尚、水蒸気ガスは、蒸留水を加熱して水蒸気を発生させ、この水蒸気を窒素ガスにより電気炉内に流入させている。この熱処理により拡散マスク72がGaN基板71の表面に拡散し、拡散領域では酸化によりSiOx層73が形成される(図12)。
結晶成長終了後、成長表面を光学顕微鏡で観察すると、連続した平面的な表面ではなく、凹部が周期的にストライプ状に形成されている様子が確認できた。また、基板表面全面においてクラックが確認されなかった。この様子は上記実施形態1と同様である。なお、この後、実施例1と同様にレーザ素子4を作成する
この実施の形態2においても、SiOx層73が選択成長マスクの働きをしたために、SiOx層73上での成長が阻害されたためと推測される。したがって、本発明による選択成長では、基板内部に酸化領域を有するために、ELO成長開始界面は非常に平坦である。このため、ELO成長界面において結晶性が悪化することがない。
さらに、レーザ構造がGaN基板全面ではなくストライプ状に自己形成されていることで、ストライプに垂直方向の応力が緩和される。つまり、レーザ構造に内在されている格子不整合による内部応力が緩和され、クラック発生が防止されると推測される。
第2の実施形態は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。
本実施形態により作製したレーザ素子4は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々35mA、1.4W/Aであった。次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。
その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度であり、1000時間以上の安定動作を確認した。このレーザ素子4の長寿命化は、GaN基板内部にSiOx膜73を形成した結果、結晶性に優れたレーザ構造がストライプ形状に選択成長し自己分離することで、内部応力が大幅に緩和されたことに起因している。
(第3の実施形態)
本発明に係る第3の実施形態は、上記実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第3の実施形態は、上記実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の第3の実施形態によるGaN系レーザ構造の結晶成長方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図8は本実施形態に係るGaN基板の断面図を示している。まず、(0001)面を主面とするGaN基板81を酸溶液を用いて洗浄を行なう。
その後、スパッタ装置を用いてSiO2からなる絶縁膜82を基板81の主面上に20nm程度堆積させる。次に、絶縁膜82上にレジスト膜を塗布する。
続いて、フォトリソグラフィー法によりレジスト膜をストライプ状(360mm幅、間隔20mm)に加工する。
次に、フッ酸エッチングにより絶縁膜82を前記ストライプ状に加工し、レジスト膜をアセトンなどの有機溶液で除去する。この段階で、GaN基板81の主面上には、360mm幅のSiO2からなる絶縁膜82が20mmの開口幅でストライプ状に形成されていることになる(図13)。
続いて、イオン注入装置(図示せず)を用いて、基板81の主面にSiをイオン注入する。基板81の主面上にはSiO2からなる絶縁膜82が堆積されており、イオン注入時にはこの絶縁膜82がマスクとなり、絶縁膜82の開口部分(20mm幅)のみに選択的にSiが基板81に注入されることになる。
尚、基板表面からの注入深さは、イオン注入時のイオン加速電圧および注入時間により制御することができる。本実施形態では、基板表面からの注入深さを約50nmとした。次に、フッ酸エッチングにより基板表面上に堆積した絶縁膜82を除去する(図14)。
続いて、基板81を電気炉(図示せず)のサセプタに保持して真空排気する。
次に、電気炉内の圧力が大気圧になるように窒素と酸素の混合ガスを流入し、約700℃で30分間の熱処理を施す。この熱処理によりイオン注入されたSiが酸化され、SiOx層83が形成される(図15)。
次に、前記GaN基板上にGaN系レーザを結晶成長工程およびレーザ加工プロセスに移行するが、以降の工程は上記実施形態1と同様である。
結晶成長終了後、成長表面を光学顕微鏡で観察すると、連続した平面的な表面ではなく、凹部が周期的にストライプ状に形成されている様子が確認できた。また、基板表面全面においてクラックが確認されなかった。この様子は上記実施形態1と同様である。
つまり、SiOx層83が選択成長マスクの働きをしたために、SiOx層83上での成長が阻害されたためと推測される。したがって、本発明による選択成長では、基板内に酸化領域を有するために、ELO成長開始界面は非常に平坦である。このため、ELO成長界面において結晶性が悪化することがない。
さらに、レーザ構造がGaN基板全面ではなくストライプ状に自己形成されていることで、ストライプに垂直方向の応力が緩和される。つまり、レーザ構造に内在されている格子不整合による内部応力が緩和され、クラック発生が防止されると推測される。
第3の実施形態は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。
本実施形態により作製したレーザ素子5は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々35mA、1.4W/Aであった。次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。
その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度であり、1000時間以上の安定動作を確認した。このレーザ素子4の長寿命化は、GaN基板内部にSiOx膜73を形成した結果、結晶性に優れたレーザ構造がストライプ形状に選択成長し自己分離することで、内部応力が大幅に緩和されたことに起因している。
(第4の実施形態)
本発明に係る第4の実施形態は、上記実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクを必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第4の実施形態は、上記実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクを必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の第4の実施形態によるGaN系レーザ構造の結晶成長方法の詳細について説明する。
まず、図1から図4までと同じ手順で(0001)面を主面とするGaN基板を酸溶液を用いて洗浄を行なう。
その後、スパッタ装置を用いてSiからなる拡散マスク12を基板主面上に5nm程度堆積させる。次に、拡散マスク12上にレジスト膜13を塗布する。
続いて、フォトリソグラフィー法によりレジスト膜13をストライプ状(20mm幅、間隔360mm)に加工する。次に、フッ酸エッチングにより拡散マスク12を前記ストライプ状に加工し、レジスト膜12をアセトンなどの有機溶液で除去する。この段階で、GaN基板主面上には、20mm幅のSiからなる拡散マスク12が360mmの開口幅でストライプ状に形成されていることになる。
続いて、基板を酸素プラズマ装置(図示せず)のサセプタに保持して真空排気する。
次に、酸素ガスを流入しプラズマを発生させる。酸素プラズマ処理は、圧力は約5×10-3Torr、印加パワーは100Wで実施した。この酸素プラズマ処理により拡散マスクがGaN基板表面に拡散し、拡散領域では酸化によりSiOx層14が形成される(図5と同様)。
次に、前記GaN基板上にGaN系レーザを結晶成長工程およびレーザ加工プロセスに移行するが、以降の工程は上記実施形態1と同様である。
結晶成長終了後、成長表面を光学顕微鏡で観察すると、連続した平面的な表面ではなく、凹部が周期的にストライプ状に形成されている様子が確認できた。また、基板表面全面においてクラックが確認されなかった。この様子は上記実施形態1と同様である。つまり、SiOx層14が選択成長マスクの働きをしたために、SiOx層14上での成長が阻害されたためと推測される。
したがって、本発明による選択成長では、基板内に酸化領域を有するために、ELO成長開始界面は非常に平坦である。このため、ELO成長界面において結晶性が悪化することがない。さらに、レーザ構造がGaN基板全面ではなくストライプ状に自己形成されていることで、ストライプに垂直方向の応力が緩和される。つまり、レーザ構造に内在されている格子不整合による内部応力が緩和され、クラック発生が防止されると推測される。
第4の実施形態は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。
本実施形態により作製したレーザ素子6は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々35mA、1.4W/Aであった。次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度であり、1000時間以上の安定動作を確認した。このレーザ素子4の長寿命化は、GaN基板内部にSiOx膜73を形成した結果、結晶性に優れたレーザ構造がストライプ形状に選択成長し自己分離することで、内部応力が大幅に緩和されたことに起因している。
本発明によれば、内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザが提供される。このGaN系半導体レーザは、光ディスク装置に組み込まれ、光ディスクに対して情報を記録したり、読み出したりする際の光源として用いられ得る。
11 GaN基板
12 拡散マスク
13 レジスト膜
14 SiOx層
15 n型GaN層
16 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
17 n型GaN光ガイド層
18 多重量子井戸活性層
19 (In0.02Ga0.98N)Mg拡散防止層
20 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
21 p型 GaN光ガイド層
22 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
23 p型 GaNコンタクト層
24 SiO2膜
25 n側電極
26 p側電極
27 2次へき開位置
31 サファイア基板
32 GaN膜
33 絶縁膜
34 ELO-GaN膜
35 ボイド(空孔)
71 GaN基板
72 拡散マスク
73 SiOx層
81 GaN基板
82 SiO2膜
83 SiOx層
12 拡散マスク
13 レジスト膜
14 SiOx層
15 n型GaN層
16 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
17 n型GaN光ガイド層
18 多重量子井戸活性層
19 (In0.02Ga0.98N)Mg拡散防止層
20 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
21 p型 GaN光ガイド層
22 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
23 p型 GaNコンタクト層
24 SiO2膜
25 n側電極
26 p側電極
27 2次へき開位置
31 サファイア基板
32 GaN膜
33 絶縁膜
34 ELO-GaN膜
35 ボイド(空孔)
71 GaN基板
72 拡散マスク
73 SiOx層
81 GaN基板
82 SiO2膜
83 SiOx層
Claims (6)
- 窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第1の窒化物化合物半導体層を成長する工程において、前記窒化物半導体基板の主面を部分的に前記不純物で高濃度化した後に前記第1の半導体層を成長することを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 請求項1において、前記窒化物半導体基板の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 請求項1および請求項2において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 請求項1、2および請求項3において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 請求項1、2、3および請求項4において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第1の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 請求項1、2、3、4および請求項5において、前記第1の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする窒化物半導体発光素子。
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-
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- 2004-01-13 JP JP2004005246A patent/JP2005203411A/ja active Pending
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