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JP2005203308A - 膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜電極接合体の製造方法 Download PDF

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JP2005203308A JP2004010445A JP2004010445A JP2005203308A JP 2005203308 A JP2005203308 A JP 2005203308A JP 2004010445 A JP2004010445 A JP 2004010445A JP 2004010445 A JP2004010445 A JP 2004010445A JP 2005203308 A JP2005203308 A JP 2005203308A
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信雄 吉年
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Abstract

【課題】 固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の耐久性を向上させる。
【解決手段】 電極の拡散層上に触媒物質担持体含有インクを塗布し、該触媒物質担持体含有インクを乾燥し、該触媒物質担持体含有インク面を高分子電解質膜側に対向配置して、該電極と該高分子電解質膜を加熱・加圧して、接合し、膜電極接合体を製造する方法において、接合の前に、該触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池の電極として、一般に、触媒物質(例えば、白金や白金合金)と担持体(例えば、カーボン担体)と水性溶媒あるいは有機溶媒とからなる触媒物質担持体含有インクを触媒層として固体高分子電解質膜の上に配した膜電極接合体が用いられる。電極と固体高分子電解質膜を接合する手段としては、高圧ホットプレス法が行われてきた。
ところで、高圧ホットプレス法によれば、加圧圧力が100〜200kg/cmと高いため、例えば低圧縮強度の電極基材を用いた電極と固体高分子電解質膜を接合した場合、電極基材が破壊されることがある。このため、電極でのガス拡散性が低下し、発電性能の低下を引き起こすという問題があった。
一方、圧縮強度の高い電極基材を用いた場合には、電極基材の破壊は解消できるが、固体高分子電解質膜が損傷することがあった。固体高分子電解質膜は電解質としてだけでなく、燃料ガスと酸化剤ガスの分離機能も有しているため、燃料ガスと酸化剤ガスのクロスリークが発生し、燃料電池特性が大きく低下するという問題があった。
そこで、電極と固体高分子電解質膜を接合して膜電極接合体を製造する際の圧力による、電極基材の破壊と固体高分子電解質膜の損傷を防止する目的で、下記特許文献1には、電極と固体高分子電解質膜を接合する際に、固体高分子電解質を含む溶液を電極触媒層と固体高分子電解質膜との間に介在させて、この固体高分子電解質を含む溶液が接合時の圧力を低減させる発明が開示されている。
下記特許文献2には、上記のような膜電極接合体において、触媒物質担持体含有インクである触媒層の表面の凹凸によって電解質膜が突き破られてピンホールが発生し、膜電極接合体の性能低下や寿命の短縮を引き起こすことがあり、それを回避するために、触媒層と電解質膜との間に、電解質材料からなる電解質層をさらに形成することが記載されている。
特開平4−329264号公報 特開平11−16584号公報
特許文献1のように、固体高分子電解質を含む溶液を用いて電極と固体高分子電解質膜とを接合すると、該溶液によって電極側が溶融し、乾燥時にひび割れ、亀裂等が発生する原因となり、膜電極接合体の製品精度が低下するという問題があった。
又、従来用いられている触媒物質担持体含有インクを用いて電解質膜上に触媒層を形成した場合、触媒層の表面に存在する微細な凹凸によって電解質膜が損傷を受け、膜電極接合体の性能低下や寿命の短縮化を引き起こすことは知られており、特許文献2のように、付加的手段を施して、損傷を回避すると、境界層として電解質層をさらに形成することになり、わずかとはいえ膜電極接合体の厚みを増す原因となると共に、工程数も多くなり、実用的な解決策ではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、触媒物質担持体含有インクで形成される触媒層の表面に存在することが当然とされていた微細な凹凸をなくし、あるいはきわめて少数とし、それにより、当該凹凸によって電解質膜が損傷を受けないようにして、膜電極接合体の性能低下や寿命の短縮化を効果的に回避することのできる膜電極接合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、電極と高分子電解質膜を加熱・加圧して、接合し、膜−電極接合体を製造する方法において、接合の前に、該触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理することによって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、電極の拡散層上に触媒物質担持体含有インクを塗布し、該触媒物質担持体含有インクを乾燥し、該触媒物質担持体含有インク面を高分子電解質膜側に対向配置して該電極と該高分子電解質膜を加熱・加圧して、接合し、膜−電極接合体を製造する方法において、接合の前に、該触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理することを特徴とする。
ここで、平滑化処理は触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面の突起高さが5μm以下であることが好ましい。
平滑化処理の1例として、コールドプレスを採用することが出来る。コールドプレスの好ましい例として、ナノオーダーの凹凸模様を有する金型を押圧するパターン転写技術であるナノプリント法を採用することが出来る。
又、触媒物質担持体含有インクの塗布は、スプレー方式又はインクジェット方式が好ましく採用できる。
接合の前に、触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理することによって、触媒物質担持体含有インク面の突起が低くなり、加熱・加圧時に膜面が破損する恐れが減少し、耐久性(封圧変化量(クロスリーク量)が限界値となるまでの放電時間)が改善された膜電極接合体を得ることができる。
又、ナノプリント法で所望の凹凸模様を付与することにより、触媒層の反応に関与する表面積が向上する。
図1に、本発明における、拡散層への触媒層形成、及び触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面の平滑化処理の模式図を示す。
図1(a)において、触媒インクを、スプレー方式にて拡散層に薄膜で塗布・乾燥し、触媒層を形成する。その後、図1(b)において、コールドプレスによる触媒層面の平滑化を行う。これにより、電解質膜への触媒インク塗布による電解質膜へのダメージ(膨潤や収縮)を与えず、また電解質膜と触媒層と拡散層との密着性向上を狙い、スプレー方式やインクジェット方式により、拡散層へ触媒インクを塗布・乾燥し、その後、電解質膜へのダメージレス化と密着性向上を狙い、塗布面の平滑化のため、コールドプレスする。その触媒層付拡散層を、電解質膜に熱圧・転写することにより、高耐久性の燃料電池用膜電極接合体(MEA)を製造する。特に、ナノプリント技術を利用したナノ金型によるコールドプレスを行うと、触媒層面の平滑化と同時に表面積の増大を図ることが出来る。
これに対して、従来技術では、触媒インクを、基材のフッ素樹脂シートに、ダイ式塗工機により、塗布・乾燥して、基材に触媒層を形成する。その後、触媒層を塗布した基材を、熱圧転写方式により、電解質膜上に触媒層を形成させる。次に、電解質膜に、直接に、触媒インクをスプレーにて塗布・乾燥して、触媒層を形成させる。このような従来技術では、電解質膜は、機械的ダメージに弱いという欠点がある。すなわち、触媒層を塗布した基材を、機械的に熱圧転写方式により、電解質膜上に触媒層を形成させる。このため、触媒層塗面表面のヒビ割れや触媒ダマが電解質膜に食い込みを発生させることで、膜に傷や亀裂が発生し、それが成長しリーク不良が増大し、電極・電圧が低下し、電池の寿命が短くなる。又、電解質膜に、スプレーやインクジェット方式により、触媒層を塗布した場合も、触媒層の膜と反対側に、触媒ダマの突起物が出来て、拡散層の接合・圧着時に、その突起物が、拡散層により、押し出されて、膜に傷や亀裂が発生し、それが成長し、リーク不良が増大し、電池の寿命が短くなる。
ここで、『触媒ダマ』とは、触媒塗布面に形成される高さ約5μm、直径30μm程度の突起物(凝集物)である。本発明者は、触媒物質担持体含有インクを塗布して形成される触媒層の表面性状を顕微鏡写真やレーザ顕微鏡によって解析し、その表面性状と膜電極接合体の耐久性能との相関について、実証的な実験を行った。それにより、インクの調整方法や塗布方法をいろいろと工夫することにより、凹凸の大きさを小さくし、また、凹凸の数を少なくすることがある程度までは可能であるが、インクの種類によっては、高さ約5μm、直径30μm程度の突起物が塗面の表面に形成されるのをどうしても回避できないことを知った。また、その単位面積当たりの発生数もインクの種類によって異なっていた。そのような大きさの突起物を『触媒ダマ』と表現するものである。図2に、触媒物質担持体含有インクの塗膜表面のレーザ顕微鏡写真を示す。図2(a)は、触媒ダマの多い塗面であり、図2(b)は、それと比較して少ない塗面を示すレーザ顕微鏡写真による図である。高さ約5μm、直径30μm程度の触媒ダマが、図2(a)のものでは70個/1mm程度、図2(b)のものでは4個/1mm程度で発現している。
本発明は、以下のような手段を採用するのが好ましい。
1)スプレー方式やインクジェット方式により、拡散層へ触媒インクを塗布・乾燥し、電解質膜の上に触媒層を形成する。
2)触媒インク塗面の乾燥後に、ナノ金型によるコールドプレス化(温度:15℃〜25℃、圧力2〜10kgf/cm、4分間〜8分間)による塗面の平滑化(塗面の凸突起高さ:5μm以下)と塗面表面に均一なまたは、ガス反応性を計画した凹凸模様を転写する。ナノ金型のパターンは、幅:40〜1μmかつ深さ:40〜1μmの線模様や1μm径のドット凸形状であるが、パターン形状は、これにこだわらない。
3)拡散層を、前記の触媒層に熱圧・転写(温度:100〜160℃、圧力:30〜50kgf/cm、4分間〜8分間)し、電極形成する。
上記手段により以下のような問題点の解決(作用/効果)が奏される。
1)電解質膜と触媒層との密着性向上
触媒インク塗布面のコールドプレス化により、塗面のスプレーダマが平滑化がなされ触媒層と電解質膜との接触面積が増加し、上記の接合強度が向上した。
2)触媒インク塗布面のコールドプレス化により、塗面のスプレーダマ平滑化がなされ、電解質膜への転写時の膜への機械的ダメージが減少した。
3)以上のことより、クロスリーク量が減少し、電極の耐久性が延長した。
4)触媒層の塗面の表面積拡大により、反応ガスとの反応性向上して、電池性能が向上する。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。本発明がこれに限定されないことは当然である。
[実施例]
触媒層の形成方法:
電解質膜に触媒インクをカソード側とアノード側にスプレー塗布した。インクの組成、インク物性値、触媒量は、下記表1の通りである。乾燥させて、触媒層を形成する。その後、触媒層のスプレーダマつぶしと触媒層表面積拡大のため、触媒層表面を、ナノ金型(1μm径の凸形状)により、コールドプレス(圧力:10kgf/cm、常温25℃)を実施する。
その後、拡散層を、ホットプレスで接合し(接合条件:100℃4MPa、4分間)、MEAを完成させる。そのあと、セパレータにMEAをセットし、モジュールを製作する。
[比較例]
触媒層の形成方法:
転写用基材のフッ素樹脂シートに触媒インクをダイ塗工機で塗工機で塗布・乾燥する。下記表1の条件で触媒層の転写品を製造した。
Figure 2005203308
[モジュールの放電耐久性評価試験]
上記実施例及び比較例で製作したモジュールに対して、放電耐久性評価試験を実施した。その結果を、図3に『耐久時間とクロスリーク量との関係』、及び図4に『耐久時間と電圧との関係』として示す。
図3に示されるように、触媒インクスプレー塗布・コールドプレスした方(実施例)が、転写品(比較例)と比較し、クロスリーク量の増大が少ない。又、図4に示されるように、触媒インクスプレー塗布・コールドプレスした方(実施例)が、転写品(比較例)と比較し、電圧低下も少ない。これより、触媒インクスプレー塗布・コールドプレス品の耐久性が良いことが確認でき、同時に電池の性能低下も少ないことが分る。
電極と高分子電解質膜を加熱・加圧して、接合する前に、触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理することによって、触媒物質担持体含有インクで形成される触媒層の表面に存在することが当然とされていた微細な凹凸を減少させ、当該凹凸によって電解質膜が損傷を受けないようにして、膜電極接合体の性能低下や寿命の短縮化を効果的に回避することができる。これにより、固体高分子型燃料電池の耐久性を大幅に向上させることができる。
本発明における、拡散層への触媒層形成、及び触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面の平滑化処理の模式図を示す。 触媒物質担持体含有インクの塗膜表面のレーザ顕微鏡写真。 実施例及び比較例における耐久時間とクロスリーク量との関係を示すグラフ。 実施例及び比較例における耐久時間と電圧との関係との関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 電極の拡散層上に触媒物質担持体含有インクを塗布し、該触媒物質担持体含有インクを乾燥し、該触媒物質担持体含有インク面を高分子電解質膜側に対向配置して、該電極と該高分子電解質膜を加熱・加圧して、接合し、膜電極接合体を製造する方法であって、接合の前に、該触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面を平滑化処理することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  2. 前記平滑化処理は前記触媒物質担持体含有インクの乾燥した塗布面の突起高さが5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体の製造方法。
  3. 前記平滑化処理は、コールドプレスするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記コールドプレスは、ナノオーダーの凹凸模様を有する金型を押圧するものであることを特徴とする請求項3に記載の膜電極接合体の製造方法。
  5. 前記触媒物質担持体含有インクの塗布は、スプレー方式又はインクジェット方式で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法。
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