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JP2005202212A - 液晶表示装置および楕円偏光板 - Google Patents

液晶表示装置および楕円偏光板 Download PDF

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JP2005202212A
JP2005202212A JP2004009203A JP2004009203A JP2005202212A JP 2005202212 A JP2005202212 A JP 2005202212A JP 2004009203 A JP2004009203 A JP 2004009203A JP 2004009203 A JP2004009203 A JP 2004009203A JP 2005202212 A JP2005202212 A JP 2005202212A
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Kentaro Toyooka
健太郎 豊岡
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Abstract

【課題】用途に合わせて上下方向、左右方向それぞれの視野角での表示品位を著しく向上させる。
【解決手段】少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板5,8と、一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸6,9によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層7と、液晶層を挟んで配置された一対の偏光板1,12と、液晶層と該一対の偏光板の少なくとも一方との間に、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層3,10とを有する液晶表示装置であって、前記の一対の基板、一対の偏光膜及び光学異方性層の配置が、(1)前記一対の基板の配向軸6,9が、それぞれに対してより近くに位置する偏光板の吸収軸2,3と平行でない、及び/又は(2)前記一対の基板の配向軸6,9が、それぞれに対してより近くに位置する前記光学異方性層の配向軸4,11と平行でない。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置および楕円偏光板に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(cathode ray tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型で、軽量で、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を含む。偏光板は、通常、保護膜と偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。また、反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル一枚以上の光学補償シート及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、通常、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON−OFF表示を行い、透過型、反射型及び反透過型のいずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。さらに偏光板の保護膜としても機能する。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。様々な表示モードに対応した液晶性化合物を用いた光学補償シートが、既に種々提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。
TNモード液晶表示装置では、電界印加により、液晶セル中の液晶分子のねじれ構造が解消するが、その際、液晶セルの基板面に対して傾斜した配向状態の光学異方性層を有する光学補償シートによって光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れを防止し、コントラストの視角特性を向上させている。光学補償の代表例としては、位相差が同一の延伸フィルムを直交に積層し、面内リターデーションを0に近づけたフィルム組を、上下偏光板と液晶セルの間に各々配置する(特許文献1参照)。しかし、液晶セル中の分子は電界印加時に完全に基板に対して垂直配向せず、基板近傍では平行配向のままである。一方、基板中央部の液晶分子は垂直配向しており、その間の液晶分子は連続的に傾斜配向している。このような液晶セルの配向状態を光学補償するには、光学補償シートも同じような光学性能にすればよい。そのような光学補償シートとしては、液晶性化合物をハイブリット配向させて固定し、フィルム状にしたものがある。例えば、液晶性化合物として、円盤状液晶性化合物を使用したり(特許文献2参照)、棒状液晶性化合物を使用した例がある(特許文献3参照)。
特開平4−162018号公報 特開平6−214116号公報 特開平10−186356号公報
しかし、円盤状液晶性化合物を均一にハイブリッド配向させた光学補償シートを用いても、液晶セルを全視野角方向で完全に光学的に補償することは非常に難しい。また、表示装置はその使用目的によって主に観察する方向が異なってくる。例えば、航空機のコックピットに用いられる表示装置はその性質上、表示装置の上下方向の視野角で主に観察される。また、一般家庭で用いられるテレビは複数人で横に並んで観察することが多く、表示装置の左右方向の視野角で主に観察される。本発明は簡易な構成で、このような各用途に適した液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することを課題とする。
該課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板と、該液晶層と該一対の偏光板の少なくとも一方との間に、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記一対の基板、前記一対の偏光膜及び前記光学異方性層の配置が、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たしているとともに、下記(1)及び(2)の双方の条件を満たさずに配置された場合と比較して、上下方向及び/又は左右方向の視野角が拡大されている液晶表示装置;
(1) 前記一対の基板の対向面が有する配向軸が、前記一対の基板のそれぞれに対してより近くに位置する偏光板の吸収軸と平行でない、
(2) 前記一対の基板のうち前記光学異方性層により近い基板の対向面が有する配向軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行でない。
[2] 前記一対の基板の対向面のそれぞれが有する配向軸のなす角度が80°〜100°であり、前記液晶層が、ツイスト角80°〜100°のTNモードの液晶層である[1]の液晶表示装置。
[3] 前記一対の偏光板のうち前記光学異方性層に対してより近くに位置する偏光板の吸収軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行である[1]または[2]の液晶表示装置。
[4] 上記(1)及び(2)の双方の条件を満たしている[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって上下方向の視野角が拡大されている[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、前記第4の配向軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって上下方向の視野角が拡大されている[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって左右方向の視野角が拡大されている[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第1の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第2の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、前記第4の配向軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、反時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって左右方向の視野角が拡大されている[1]〜[4]及び[7]のいずれかの液晶表示装置。
[9] 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層を有する液晶表示装置に組み込まれる楕円偏光板であって、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層と直線偏光膜とを有するとともに、前記一対の基板の表面と略同一な形状を有し、前記一対の基板の表面上に端と端とを合わせて重ねた場合に、下記の(3)及び(4)の少なくとも一方の条件を満たす楕円偏光板;
(3) 前記直線偏光膜の吸収軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている、
(4) 前記光学異方性層の配向軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている。
本明細書において、角度について、「+」は反時計周り方向を意味し、「−」は時計周り方向を意味するものとする。また、液晶表示装置上方向を12時方向、下方向を6時方向としたときに、角度方向の絶対値0°方向とは3時方向を意味することとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本発明では、液晶セルおよび、光学補償シート、偏光板の配置角度関係を調整することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、用途に合わせて上下方向、左右方向それぞれの視野角での表示品位を著しく向上させた液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板と、該液晶層と該一対の偏光板の少なくとも一方との間に、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層とを有する液晶表示装置に関する。本発明では、(1)一対の基板の対向面が有する配向軸が、前記一対の基板のそれぞれに対してより近くに位置する偏光板の吸収軸と平行にならないように配置する、又は(2)一対の基板のうち前記光学異方性層により近い基板の対向面が有する配向軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行とならないように配置することで、液晶表示装置の上下方向及び/又は左右方向の視野角特性を改善している。従来のTNモード液晶表示装置では、偏光板吸収軸方向および光学異方性層の液晶性化合物の配向軸は、液晶セルの配向軸に対して平行であった。発明者の鋭意検討により、液晶層の配向軸、光学補償用光学異方性層の配向軸及び偏光板の吸収軸の配置角度関係を調整することで、上下方向及び/又は左右方向それぞれに、視野角に依存したコントラストの低下を軽減し、視野角特性を著しく改善できることを見出した。
なお、本発明において「平行ではない」とは、2つの軸間に少なくとも時計方向もしくは反時計方向に0.1°以上のずれがあることを意味する。TNモードの液晶表示装置の態様では、前記(1)及び(2)における2つの軸間のずれは、時計方向もしくは反時計方向に0.1〜10°であるのが好ましく、0.3〜7°であるのがより好ましく、0.5〜5°であるのがさらに好ましい。
本発明では、(1)及び(2)のいずれか一の条件を満たすことによって、上下方向及び/又は左右方向の視野角特性の改善効果が得られる。(1)及び(2)の双方を満たしているのが好ましい。また、光学補償のための光学異方性層を2以上備えた液晶表示装置では、いずれか1つの光学異方性層の配向軸が、(2)の条件を満たしていれば、上下方向及び/又は左右方向の視野角特性の改善効果が得られる。全ての光学異方性層の配向軸が(2)の条件を満たしているのが好ましい。
液晶表示装置の上下方向に対してより正確に光学補償し、上下方向の視野角に依存したコントラストを改善(以下、「コントラスト視野角の拡大」という場合は、「視野角に依存したコントラストの改善」をいうものとする)させるためには、前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸を、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして、且つ前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸を、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置するのが好ましい。
又は、同様に、液晶表示装置の上下方向に対してより正確に光学補償し、上下方向コントラスト視野角を拡大させるために、前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸を、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして、前記第4の配向軸を、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する。
一方、液晶表示装置の左右方向に対してより正確に光学補償し、左右方向コントラスト視野角を拡大させるためには、前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸を、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する。
又は、同様に、液晶表示装置の左右方向に対してより正確に光学補償し、左右方向コントラスト視野角を拡大させるためには、前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第1の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第2の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸を、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置し、前記第4の配向軸を、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する。
なお、本発明の種々の態様において、偏光板の吸収軸と光学補償用の光学異方性層の配向軸との関係については、特に制限はないが、前記一対の偏光板のうち前記光学異方性層に対してより近くに位置する偏光板の吸収軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行であるのが好ましい。
次に、本発明をTNモードの液晶表示装置に適用した実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1の液晶表示装置は、上側基板5及び下側基板8と、これらに挟持され、液晶分子7から形成される液晶層とからなる液晶セルを有する。基板5及び8の液晶分子7に接触する表面(対向面)は、所望により配向膜(不図示)が形成されている。対向面は、ラビング処理等により配向軸(ラビング軸)6及び9を有し、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子7の配向が制御されている。また、基板5及び8の対向面には、液晶分子7からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
図1の液晶表示装置は、TNモードであるのが好ましい。TNモードの液晶表示装置においては、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶分子7は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向が上下基板の間で略90°捩れている。印加電圧を大きくしていくと液晶分子7は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。
TNモードでは、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜1.2μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。また、液晶層のねじれ角(ツイスト角)は80〜100°が好ましく、85〜95°がより好ましい。こられの範囲では白表示輝度が高く、視野角の広い液晶表示装置が得られる。液晶性分子7のツイスト角を80〜100°とするには、基板5及び8のそれぞれのラビング軸6および9のなす角を80〜100°とする。例えば、基板の水平面中の左右方向を0°とした場合に、バックライト側には、−45°程度の方向に傾いたラビング軸を有する基板を配置し、観察者側には、+45°方向程度の方向に傾いたラビング軸を有する基板を配置するのが好ましい。
液晶セル中の液晶材料は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できる。屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。また、Δnが大きい方がセルギャップを小さくでき、高速応答が可能となる。
図1の液晶表示装置は、上記液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1および12を有する。さらに、液晶セルと一対の偏光板との間には、任意の配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層3および10が、液晶セルを中心としてそれぞれ対照的位置に配置され、液晶セルを光学的に補償している。光学異方性層3及び10はそれぞれ、ラビング軸4及び11によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する。また、直線偏光板1及び12は、それぞれの吸収軸2および13が略直交になるように、配置されている。図1の液晶表示装置では、上記(1)又は(2)の条件を満たして、配向軸8、9、4及び11、並びに吸収軸2及び13の角度関係が調整され、それによって、上下方向及び/又は左右方向の視野角特性が改善されている。
以下に、配向軸8、9、4及び11、並びに吸収軸2及び13の好ましい角度関係について説明する。なお、以下において、図1中、上を観察者側、下をバックライト側とする。
まず、図1の液晶表示装置を、上下方向に対してより正確に光学補償し、上下方向のコントラスト視野角を拡大するためには、吸収軸2を、ラビング軸6に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置し、且つ吸収軸13を、ラビング軸9に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する、及び/又は、ラビング軸4を、ラビング軸6に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置し、且つラビング軸11を、ラビング軸9に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する。
一方、液晶表示装置の左右方向に対してより正確に光学補償し、左右方向コントラスト視野角を拡大させるためには、吸収軸2を、ラビング軸6に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置し、且つ吸収軸13を、ラビング軸9に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する、及び/又はラビング軸4を、ラビング軸6に対して時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置し、且つラビング軸11を、ラビング軸9に対して反時計方向に0.1°〜10°(好ましくは0.3〜7°、より好ましくは0.5〜5°)ずらして配置する。
図1の液晶表示装置では、吸収軸2とラビング軸4、及び吸収軸13とラビング軸11とは略平行であるのが好ましい。
なお、通常、偏光板は偏光膜及びそれを挟持する一対の透明保護膜によって構成されているが、図1では、詳細構造は省略した。偏光板1及び12の液晶セルに近い側の保護膜(不図示)は、光学異方性層3および10の支持体を兼ねていてもよく、偏光板1および12は、光学異方性層3および10と共に一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。本発明の液晶表示装置では、光学補償シートの透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜と兼ねた構成、即ち、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)及び光学異方性層の順序で積層した一体型楕円偏光板を用いることができる。この一体型楕円偏光板は、光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、該一体型楕円偏光板を用いると、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層の順序で積層することが好ましい。
なお、図1には、TNモードの液晶表示装置の態様を示したが、本発明の液晶表示装置は、TNモードだけでなく、VAモード、IPSモード、OCBモード、ECBモードの態様であってもよい。
また、本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん該光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた反透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子反導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
次に、本発明の液晶表示装置に用いられる各部材について説明する。
本発明では、液晶セルの光学補償のために、配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を用いる。本発明では、該光学異方性層を、支持体上に形成して、光学補償シートとして液晶表示装置中に組み込んでもよいし、該光学補償シートと直線偏光膜とを一体化した楕円偏光板として液晶表示装置中に組み込んでもよい。上記のように角度設定された光学補償シートおよび偏光板の作製方法は、特に限定されないが、光学補償シート又は偏光板作製時に、ロール搬送方向に対して配向制御方向や延伸方向などを調整する方法;及び光学補償シート及び偏光板をロール・トゥ・ロールにて作製後、打抜き時に設定角度で打抜く方法;が挙げられる。
[光学補償シート]
本発明に使用可能な光学補償シートの例は、光学的に透明な支持体と、該支持体上に、液晶性化合物から形成された光学異方性層とを有する。この光学補償シートを液晶表示装置に用いることで、他の諸特性を低下させることなく、液晶セルを光学的に補償することができる。
以下、光学補償シートの構成材料について説明する。
《支持体》
前記光学補償シートは、支持体を有していてもよい。光学異方性層が付設される透明支持体の遅相軸の方向は、特に限定されないが、液晶性化合物の配向制御方向(例えばラビング軸)に対して−30°〜30°であることが好ましく、−10°〜10°であることがさらに好ましく、−5°〜5°であることが最も好ましい。該支持体は、ガラス又は透明なポリマーフィルムであるのが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーは、WO’00/26705号明細書に記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御したものを用いるのが好ましい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましい。
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。なお、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。2位、3位及び6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
これらの具体的なアシル基、及びセルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行 発明協会)の9ページに詳細に記載されている。
ポリマーフィルムを光学補償シートに用いる場合、ポリマーフィルムは、所望のレターデーション値を有することが好ましい。フィルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I) Re=|nx−ny|×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(I)および(II)において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率、dは、単位をnmとするフィルムの厚みである。
ポリマーフィルムレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶セルやその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なるが、Reレターデーション値は0〜200nmであるのが好ましく、Rthレターデーション値は70〜400nm範囲であるのが好ましい。液晶表示装置に二枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は70〜250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性層を使用する場合、基材のRthレターデーション値は150〜400nmの範囲にあることが好ましい。
なお、基材フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028〜0.020の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001〜0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、又、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。例えば、欧州特許0911656A2号明細書、特開2000−111914号、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
更には、本発明の光学補償シートに用いるセルロースアセテートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。なお、吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフィルムから幅5mm。長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物もしくは微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。又、ポリマーフィルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースアセテートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
ポリマーフィルムに添加する上記した添加剤又は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号 2001−1745号技法の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい
《ポリマーフィルム(支持体)の製造方法》
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
上記のような二層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、前記の公技番号2001−1745の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明のフィルム(支持体)の厚さは、15〜120μmであることが好ましく、更には30〜80μmが好ましい。
《ポリマーフィルム(支持体)の表面処理》
ポリマーフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液中に浸漬、鹸化液を塗布する等何れでもよいが、塗布方法が好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報に内容の記載が挙げられる。
表面処理の代わりに、表面処理に加えて下塗り層(特開平7−333433号公報記載)、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布するいわゆる重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
《配向膜》
本発明では、光学異方性層中の液晶性化合物は配向軸によって配向制御され、その状態に固定されている。前記液晶性化合物を配向制御する配向軸としては、光学異方性層と前記ポリマーフィルム(支持体)との間に形成された配向膜のラビング軸が挙げられる。但し、本発明において配向軸はラビング軸に限定されるものではなく、ラビング軸と同様に液晶性化合物を配向制御し得るものであれば、いかなるものであってもよい。
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
《光学異方性層》
次に、液晶性化合物からなる光学異方性層の好ましい態様について詳細を記述する。光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜414に記載されている。光学異方性層は、ラビング軸等の配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する。
光学異方性層に用いる液晶性分子の例には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。光学異方性層の作製に棒状液晶性化合物を用いた場合は、棒状液晶性分子は、その長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、光学異方性層の作製に円盤状液晶性化合物を用いた場合は、円盤状液晶性分子は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、後述のハイブリッド配向が好ましい。
《棒状液晶性分子》
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
《円盤状液晶性分子》
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜「0168」記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の円盤面と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の円盤面方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
《光学異方性層中の他の添加物》
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
《光学異方性層の形成》
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
《液晶性分子の配向状態の固定》
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
《楕円偏光板》
本発明では、前記光学異方性層を直線偏光膜と一体化させた楕円偏光板を用いることができる。楕円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込める様に、液晶セルを構成している一対の基板と略同一な形状に成型されているのが好ましい(例えば、液晶セルが矩形状ならば、楕円偏光板も同一な矩形状に成型されているのが好ましい)。本発明では、液晶層の配向軸と直線偏光膜の吸収軸、及び/又は光学異方性層の配向軸が特定の角度に調整されているので、楕円偏光板を液晶セルの一対の基板の表面上に端と端とを合わせて重ねた場合に、下記(3)及び/又は(4)の条件を満たす様に楕円偏光板を作製するのが好ましい;
(3) 前記直線偏光膜の吸収軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている、
(4) 前記光学異方性層の配向軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている。
なお、直線偏光膜の吸収軸と、光学異方性層の配向軸との関係については、特に制限はないが、双方の軸が平行となるように、直線偏光膜と光学補償シートとを積層するのが好ましい。
前記楕円偏光板は、前記光学補償シートと直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。光学補償シートは、直線偏光膜の保護フィルムを兼ねていてもよい。
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。直線偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
《楕円偏光板の製造》
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10〜80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度が、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の吸収軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度と等しくなるように、延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10〜80度斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
直線偏光膜の光学異方性層と反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板、上側光学補償シート、液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側光学補償シート、下側偏光板を積層し、さらに下側偏光板の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、セルギャップ(d)4μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層13のΔndを410nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)。また、液晶セル液晶層の上側(観察者側)ラビング方向は45°、下側(バックライト側)ラビング方向は−45°で、ねじれ角は90°とした。この様にしてTNモードの液晶セルを作製した。
<セルロースアセテートフィルムの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
Figure 2005202212
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分間乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは8nm、Rthは78nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
<光学異方性層用の配向膜の作製>
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアセテートフィルムの遅相軸と平行であった)。
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
Figure 2005202212
<光学異方性層の作製>
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0g、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)の1.3gを、207gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2ml/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。
Figure 2005202212
作製した光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加しており、平均傾斜角37°でハイブリッド配向していた。光学異方性層はシュリーレン等の欠陥がない均一な膜であった。傾斜角はエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出した。
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出できなかった。
<偏光膜の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した光学補償シートを支持体面で偏光膜の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80U、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の吸収軸と光学補償シートの支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とは平行になるように配置した。このようにして偏光板を作製した。
作製したTNセルに、作製した偏光板を光学補償シートが液晶セル側になるようとなるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、偏光板の吸収軸方向および光学補償シートの配向制御方向が、対面する液晶セルのラビング方向に反平行な方向に対して、観察者側では反時計方向に3°、バックライト側では時計方向に3°の角度になるように調整して液晶表示装置を作製した。
[実施例2]
光学異方性層の配向制御方向が対面する液晶セルのラビング方向に反平行になり、偏光板吸収軸の方向が、液晶セルのラビング方向に対して、観察者側で反時計方向に3°、バックライト側では時計方向に3°の角度になるように調整したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[実施例3]
偏光板の吸収軸方向が対面する液晶セルのラビング方向に対して平行となり、光学異方性層の配向制御方向が対面する液晶セルのラビング方向に反平行な方向に対して、観察者側で反時計方向に3°、バックライト側では時計方向に3°の角度になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[実施例4]
偏光板の吸収軸方向および光学補償シートの配向制御方向が、対面する液晶セルのラビング方向に反平行な方向に対して、観察者側では時計方向に3°、バックライト側では反時計方向に3°の角度になるように調整して液晶表示装置を作製した。
[実施例5]
光学異方性層の配向制御方向が対面する液晶セルのラビング方向に反平行なり、偏光板の吸収軸方向が対面する液晶セルのラビング方向に対して、観察者側で時計方向に3°、バックライト側では反時計方向に3°の角度になるように調整したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[実施例6]
偏光板の吸収軸方向が対面する液晶セルのラビング方向に対して平行となり、光学異方性層の配向制御方向が対面する液晶セルのラビング方向に反平行な方向に対して、観察者側で時計方向に3°、バックライト側では反時計方向に3°の角度になるように調整したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[比較例1]
偏光板の吸収軸方向および光学補償シートの配向制御方向が、対面する液晶セルのラビング方向に反平行になるように調整したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
<TN液晶セルでの評価>
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。測定機として(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い、透過率の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比の視野角特性を測定した。コントラスト比が20以上の範囲を第1表に示す。
[比較例2]
光学異方性層の配向制御方向が対面する液晶セルのラビング方向に反平行になり、偏光板吸収軸の方向が、液晶セルのラビング方向に対して、観察者側で反時計方向に15°、バックライト側では時計方向に15°の角度になるように調整したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
Figure 2005202212
第一表に示される結果より、本発明により、実施例1〜3では上下方向でのコントラスト視野角特性が著しく改善され、実施例4〜6では左右方向でのコントラスト視野角特性が著しく改善されていることが明らかである。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 上側偏光板
2 上側偏光板の吸収軸
3 上側光学異方性層
4 上側光学異方性層作製時の配向制御方向
5 液晶セル上側基板
6 上側基板液晶配向用ラビング方向
7 液晶分子(液晶層)
8 液晶セル下側基板
9 下側基板液晶配向用ラビング方向
10 下側光学異方性層
11 下側光学異方性層作製時の配向制御方向
12 下側偏光板
13 下側偏光板の吸収軸

Claims (8)

  1. 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板と、該液晶層と該一対の偏光板の少なくとも一方との間に、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記一対の基板、前記一対の偏光膜及び前記光学異方性層の配置が、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たしているとともに、下記(1)及び(2)の双方の条件を満たさずに配置された場合と比較して、上下方向及び/又は左右方向の視野角特性が改善されている液晶表示装置;
    (1) 前記一対の基板の対向面が有する配向軸が、前記一対の基板のそれぞれに対してより近くに位置する偏光板の吸収軸と平行でない、
    (2) 前記一対の基板のうち前記光学異方性層により近い基板の対向面が有する配向軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行でない。
  2. 前記一対の基板の対向面のそれぞれが有する配向軸のなす角度が80°〜100°であり、前記液晶層が、ツイスト角80°〜100°のTNモードの液晶層である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記一対の偏光板のうち前記光学異方性層に対してより近くに位置する偏光板の吸収軸が、前記光学異方性層の配向軸と平行である請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって上下方向の視野角特性が改善されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、前記第4の配向軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって上下方向の視野角特性が改善されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板の吸収軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して反時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって左右方向の視野角特性が改善されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記一対の偏光板のうち観察者側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第3の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第1の光学異方性層を有するとともに、前記一対の偏光板のうちバックライト側に配置された偏光板と前記液晶層との間に、第4の配向軸によって配向制御され、且つその状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の第2の光学異方性層を有し、前記第3の配向軸が、前記一対の基板のうち観察者側に配置された基板の対向面が有する第1の配向軸に対して時計方向に0.1°〜10°傾き、前記第4の配向軸が、前記一対の基板のうちバックライト側に配置された基板の対向面が有する第2の配向軸に対して、反時計方向に0.1°〜10°傾き、それによって左右方向の視野角特性が改善されている請求項1〜3及び6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層を有する液晶表示装置に組み込まれる楕円偏光板であって、配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する少なくとも一層の光学異方性層と直線偏光膜とを有するとともに、前記一対の基板の表面と略同一な形状を有し、前記一対の基板の表面上に端と端とを合わせて重ねた場合に、下記の(3)及び(4)の少なくとも一方の条件を満たす楕円偏光板;
    (3) 前記直線偏光膜の吸収軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている、
    (4) 前記光学異方性層の配向軸が、前記一対の基板のいずれかの対向面が有する配向軸に対して時計方向もしくは反時計方向に0.1°〜10°傾いている。

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