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JP2005200019A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP2005200019A JP2005105691A JP2005105691A JP2005200019A JP 2005200019 A JP2005200019 A JP 2005200019A JP 2005105691 A JP2005105691 A JP 2005105691A JP 2005105691 A JP2005105691 A JP 2005105691A JP 2005200019 A JP2005200019 A JP 2005200019A
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Abstract

【課題】運転者が車両を発進させようとした時から、常時適度なハンドル戻しトルクが生成可能な電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】中立位置学習部241の学習結果であるハンドル中立位置ΘO が少なくとも最初に1回出力されるまでの間は、ハンドル戻しトルクTR は操舵速度ωH に基づいて決定する。ωH は操舵トルクτとモータ回転角θM に基づいて操舵速度推定部242により算出される。この様に、ハンドル戻しトルクTR を操舵速度ωH に基づいて決定すれば、制御不感帯においても、所望のハンドル戻しトルクを出力することが可能となる。また、学習の少なくとも最初の1回が完了してから、より望ましくは学習されたハンドル中立位置ΘO の精度が十分に向上してから、その後の制御は、凍結路等の低摩擦路面でも十分なハンドル戻し性能を発揮可能な、操舵角θH に基づいたハンドル戻し制御を実施する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両のステアリング・シャフト又はステアリング・ギヤに対してトルクを付与するモータを備えた操舵機構と、このモータを駆動制御する制御装置を有する電動パワーステアリング装置に関し、特に、ハンドル操舵の中立位置を学習する機能を有してハンドル戻し制御を実行する上記の制御装置に関する。
ハンドル操舵の中立位置を学習する機能を有してハンドル戻し制御を実行する電動パワーステアリング装置としては、例えば、特許文献1「学習機能付き電動パワーステアリング」に記載されているもの等が一般に知られている。
特開平7−132845
図7は、上記の従来技術により実施される中立位置学習機能を有するハンドル戻しトルク演算部の機能構成を例示するブロック図であり、本図における各符号は、Vn が車速、τがハンドルの操舵トルク、θH が外付けの舵角センサより入力されたハンドル回転角、ΘO が学習されたハンドル中立位置、TR がハンドル戻しトルク(指令値)をそれぞれ示すものである。
この様に上記の従来技術は、車速条件、操舵トルク条件、舵角条件等から判定することができる「車両が直進する条件」のもとで、操舵角の中立位置を学習し、所定の統計操作によりこの中立位置の精度を徐々に高くし、この操舵角に基づいてハンドル戻し制御を実行することにより、特に、低速走行時のハンドル戻し性能を十分に確保しようとするものである。
しかしながら、上記の従来技術においては、学習により操舵角の中立位置ΘO の精度を長時間に渡り徐々に高くしていくことが可能であるものの、少なくともこの学習開始当初においては、制御不感帯の幅を概ね±15°程度と非常に幅広く設定せざるを得ず、このため少なくとも上記の「車両が直進する条件」が所定回数満たされるまでの間は、上記の制御不感帯において全くハンドル戻し性能を確保することができないという問題があった。
パワーステアリングの機能は元来、運転者が車両を発進させようとしてから、この様な「車両が直進する条件」が満たされるに至るまでの走行期間中に特に必要とされるケースが多いため、この問題はハンドル戻しトルクを生成する上で、極めて重大と言わざるを得ない。
また、上記の従来技術では、ハンドル戻しトルクの設定例を図7のTR ′のグラフに示す様に、上記の制御不感帯の外側において十分なハンドル戻し性能を確保するためには、この制御不感帯の幅が広い場合程、制御不感帯の境界付近(外側)において、TR ′の値を急激に変化させなくてはならなくなる。しかしながら、この様な設定を行うと、操舵角が制御不感帯を脱出した直後からハンドル戻しトルクが急増して、操舵に大きな違和感が生じるという問題が発生する。この問題は、中立位置ΘO の精度が徐々に高くなるにつれて徐々に解消可能となるものの、特に学習開始当初等においては顕著にならざるを得ない。
また、上記の従来技術においては、学習開始当初等の操舵角の中立位置ΘO の精度が非常に低いため、ハンドル戻しトルクTR の左右対称性が、特に学習開始当初等では正確には保証されない。このため、中立位置ΘO の誤差が大きい場合には、一方に大きく偏った左右非対称の操舵感(ハンドル戻しトルク)が実現されてしまい、操作安定性の面で望ましくない。
また、上記の従来技術においては、舵角センサとして、減速ギヤ付近に外付けされた回転角センサが使用されているが、この様に舵角センサを構成した場合、部品点数や材料コストが抑制できず、生産コストの面で問題が生じる。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、運転者が車両を発進させようとした時から、常時適度なハンドル戻しトルクが生成可能な電動パワーステアリング装置を提供することであり、また、油圧式のパワーステアリング装置と同様の操舵感が得られる電動パワーステアリング装置を安価に提供することである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、車両のステアリング・シャフト又はステアリング・ギヤに対してトルクを付与するモータを備えた操舵機構と、モータを駆動制御する制御装置とを有する電動パワーステアリング装置において、車両の速度v、及び運転者がハンドルに対して及ぼす操舵トルクτが所定の「車両直進条件」を満たす際にハンドルの操舵角θH の中立位置を所定の統計操作に従って学習する中立位置学習手段と、この中立位置を基準として操舵角θH に基づいてハンドル戻しトルクTR を決定する第1ハンドル戻し制御手段と、操舵トルクτに基づいてハンドルの操舵状態を判別する操舵状態判別手段とを備え、更に、第1ハンドル戻し制御手段において、操舵状態に応じて、保舵又は切り込み操作時には操舵に対するアシストトルクを低減させない様にハンドル戻しトルクTR を抑制し、手放し又はハンドル戻し操作時にはハンドル戻しトルクTR を維持又は調整するハンドル戻しトルク制限手段を備えることである。
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、同期用の回転角センサを内蔵するブラシレス直流モータを備えた操舵機構と、回転角センサの出力信号に基づいてハンドルの操舵角θH を推定する操舵角推定手段とを備えることである。
更に、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、モータの回転角速度ωM に基づいてハンドル戻しトルクTR を算出する第2ハンドル戻し制御手段を備え、少なくとも中立位置学習手段による中立位置の学習が1回完了するまでの間は、第2ハンドル戻し制御手段によりハンドル戻しトルクTR を決定することである。
また、第4の手段は、上記の第3の手段において、中立位置学習手段による中立位置の学習が完了した後は、ハンドル戻しトルクTR を第1ハンドル戻し制御手段により決定することである。
以上の手段により、前記の課題を解決することができる。
本発明の第1の手段を用いれば、低速走行時にハンドルが切られている状態から、運転者がハンドル戻し操作をゆっくり(或いは弱く)行った際にもハンドル戻しトルクTR が有効となるため、運転者はハンドル戻し操作実行時においても、従来の油圧式のパワーステアリング装置と略同様の操舵感が得られる様になる。
また、本発明の第2の手段を用いれば、電動パワーステアリング装置において、外付けの回転角センサを具備する必要が無くなるため、部品点数が削減され、生産効率が向上できると共に、生産コストを削減することができる。
操舵角の中立位置ΘO の精度が非常に低い場合、即ち、中立位置学習手段による中立位置の学習が少なくとも1回完了するまでの間は、図7に示した様に制御不感帯の幅が相当に広いため、学習開始当初においては前記の課題が発生する。
しかしながら、本発明の第3の手段を用いれば、この様な場合、ハンドル戻しトルクTR はモータ回転角速度ωM (或いは、その関連値である操舵速度ωH 等)に基づいて決定できるため、ハンドルの操舵角θH が制御不感帯に位置する場合、即ち中立位置の学習開始当初等においても、おおよそ所望のハンドル戻しトルクTR を生成することが可能となる。
上記の本発明の手段を効果的に組み合わせることにより、上記の作用効果を効果的に(複合的に)得ること、即ち、常時適度なハンドル戻しトルクが生成可能な電動パワーステアリング装置を得ることができると共に、油圧式のパワーステアリング装置と同様の操舵感が得られる電動パワーステアリング装置を安価にすることも可能となる。
また、本発明の第4の手段を用いれば、例えば凍結路等の低摩擦路面においてもハンドル戻し性能が十分に確保可能となると共に、勢い余ってハンドルが戻り過ぎてしまう所謂オーバーシュート現象も回避可能となる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
図1は、本実施例の電動パワーステアリング装置100のハードウエア構成図である。
ステアリングシャフト10の一端には、ハンドル(ステアリングホイール)11が取り付けられ、他端にはギヤボックス12に軸承されたピニオン軸13が結合されている。ピニオン軸13は、ギヤボックス12に嵌装されたラック軸14に噛合され、また図示していないが、このラック軸14の両端はボールジョイント等を介して図略の操向車輪に連結されている。また、ステアリングシャフト10には、アシストトルクを付与するブラシレス直流モータM(以下、単に「モータM」という)が、2つの歯車17を介して連結されている。
この直流モータMには、モータ制御装置110の駆動回路113より、電流検出器115を介してU,V,Wの3相に対する各モータ駆動電流iu,iv,iwが供給される。
更に、ステアリングシャフト10には、運転者からステアリングホイール(ハンドル)11に加えられたマニュアル操舵力の大きさ及びその方向(操舵トルクτ)を検出するためのトルク検出器15が設けられている。
また、モータMには、その回転角を検出する同期用のレゾルバR/D(回転角センサ)が内蔵されており、CPU111は、レゾルバR/Dが出力するモータMの位相n(6ビットの整数情報(0≦n<63)。π/32ラジアンを1単位とする。)を入力して、モータMの回転角θM (位相:0≦θM <2π)を算出する。レゾルバR/Dはこの1単位の回転角をカウントする図略のカウンタを内蔵しており、nはモータMが所定方向に回転した際には増加し、その逆方向に回転した際には減少する。nはモーターが1周する毎にオーバーフロー又はアンダーフローする数値である。
モータ制御装置110は、CPU111、ROM112b、RAM112a、駆動回路113、入力インターフェイス(IF)114、電流検出器115等から構成されている。駆動回路113は、図略のバッテリー、PWM変換器、PMOS駆動回路等から構成され、チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータMに電力を供給する。
モータ制御装置110のCPU111には、上記の位相nや、ハンドルの操舵トルクτの検出に利用されるトルクセンサ15、車速Vn の算出に利用される車速計50等からの出力信号(測定値)が入力インターフェイス(IF)114を介して入力される。CPU111は、これらの入力値から所定のトルク計算に基づいて、モータMが出力すべきトルク値(指令トルクT)を決定し、更に、この指令トルクTに基づいてd軸とq軸の各電流指令値(id* ,iq* )を決定する。だだし、本実施例においては、「id* =0」とする。
図2は、本実施例のモータMを駆動制御するモータ制御装置110の論理的構成を示すブロック図である。本図2のトルク電流変換部280は、q軸の電流指令値iq* を指令トルクTに基づいて決定する制御ブロックであり、主にiq* −Tマップ(テーブルデータ)等から構成されている。
指令トルク演算部200は、角度検出部310により算出されたモータMの位相θM や、操舵トルク演算部330により算出されたハンドルの操舵トルクτや、車速演算部320により算出された車速Vn や、操舵角演算部500により算出された操舵角θH 等に基づいて、出力すべき所望のトルク(指令トルクT)の値を算出する。
例えば、角度検出部310は、レゾルバR/Dの出力値nに基づいて、次式(1)により、モータMの回転角(位相)θM を算出する。
θM =2πn/64 (nは整数。0≦n<63) …(1)
指令トルク演算部200は、主に、アシスト・トルクTA を算出するアシストトルク演算部210と、慣性補償トルクTK を算出する慣性補償トルク演算部220と、ダンパー・トルクTD を算出するダンパー・トルク演算部230と、ハンドル戻しトルクTR を算出するハンドル戻しトルク演算部240等から構成されている。指令トルク演算部200は、次式(2)に従って、指令トルクTを算出する。
T=TA +TK +TD +TR …(2)
図3は、本実施例の中立位置学習部241の初回の学習完了前のハンドル戻しトルク演算部240の機能構成を示すブロック図である。中立位置学習部241は、車両のイグニッションキーがON状態にスイッチされてから、ハンドルの中立位置(操舵角のゼロ点)ΘO の学習を開始する。この学習は、車両の車速Vn 、及び運転者がハンドルに対して及ぼす操舵トルクτが所定の「車両直進条件」を満たす際に、ハンドルの操舵角θH をサンプリングし、このサンプルデータに基づいて所定の統計操作によって実行される。従って、このサンプル数が所定の数に達しない内は、ハンドル中立位置ΘO は中立位置学習部241から1度も出力されることがない。
この学習結果であるハンドル中立位置ΘO が、少なくとも1回(最初に)出力されるまでの間は、ハンドル戻しトルクTR (指令値)は、操舵速度ωH に基づいて決定する。この操舵速度ωH は、操舵トルクτとモータ回転角θM に基づいて、操舵速度推定部242により算出される。この操舵速度ωH は、操舵トルクτの変化量より算出されるトルクセンサ15のトーション・バーの回転角速度と、モータ回転角θM の変化量より算出されるピニオン軸13の回転角速度の和として算出される。
更に、その後、中立位置の学習の少なくとも最初の1回が完了するまでの間は、ハンドル戻しトルクTR は、次式(3)〜(5)に従って決定される。
R =G1・TR ″ …(3)
G1=g1(Vn ) …(4)
R ″=f1(ωH ) …(5)
ただし、ここで、関数g1、f1は、例えば図3のデータマップ243、及びデータマップ244の様な形で定義されるものである。
この様に、中立位置の学習の少なくとも最初の1回が完了するまでの間、ハンドル戻しトルクの指令値TR を操舵速度ωH に基づいて決定すれば、従来大きく取らざるを得なかった制御不感帯においても、所望のハンドル戻しトルクをモータMより出力することが可能となる。
また、中立位置の学習の少なくとも最初の1回が完了してから、より望ましくは、中立位置学習部241により学習されたハンドル中立位置ΘO の精度が十分に向上してから、その後の制御は、セルフ・アライニング・トルクによりハンドルが回転し難い、(即ち、路面反力によりモータMが回転させられ難い、)凍結路等の低摩擦路面でも十分なハンドル戻し性能を発揮することが可能な、操舵角(ハンドル回転角)θH に基づいたハンドル戻し制御を実施する。
この操舵角θH に基づいた制御によれば、操舵速度ωH に基づく制御では補償し難い低摩擦路でのハンドル戻し性能も十分に確保できる様になり、同時に、ハンドルが過剰に戻ってしまう所謂オーバーシュート現象も回避することができる様になる。
即ち、より具体的には、この様な操舵角θH に基づいたハンドル戻しトルクの制御は、例えば図4のハンドル戻しトルク演算部240によって実現することができる。
図4は、本実施例の中立位置学習部241の学習完了後のハンドル戻しトルク演算部240の機能構成を示すブロック図である。
本図4に示す様に、ハンドルの操舵角θH のサンプル数が所定の数に達した後は、ハンドル中立位置ΘO は中立位置学習部241から出力される。
その後、ハンドル戻しトルクTR は、次式(6)〜(9)に従って決定することができる。
R =G1・G2・TR ′ …(6)
R ′=f2(Θ) …(7)
Θ=θH −ΘO …(8)
G2=g2(τ) (Θ>0の時),
G2=g2(−τ) (Θ<0の時) …(9)
ただし、ここで、関数f2、g2は、例えば図4のデータマップ245、及びデータマップ246(Θ>0の時)の様な形で定義されるものである。
ここで、関数g2は、本発明のハンドル戻しトルク制限手段を実現するものであり、運転者がハンドル戻し操作をゆっくり(或いは弱く)行った際や手放し状態の場合に、ゲインG2を1にする様に構成されている。このため、図4の方法、即ち、例えば図4の操舵判定マップ246を用いて実現することができる本発明の操舵状態判別手段とハンドル戻し電流制限手段(図4では、「Θ>0」の場合を例示。)によれば、低速走行時にハンドルが切られている状態から、運転者がハンドル戻し操作をゆっくり(或いは弱く)行った際、及び手放し状態の場合にもハンドル戻しトルクTR が有効となるので、油圧式のパワーステアリング装置と略同様の操舵感が実現できる。
また、図5(b)に、本実施例の学習完了後のハンドル戻しトルク演算部240の操舵判定マップ246の変形例(操舵判定マップ246b)を例示する。本グラフは、「Θ>0」成る時の関数g2の変形例である関数g3の形を示すものである。この様に、τの絶対値|τ|が大きい場合には、ハンドル戻し時に、アシスト・トルクTA とハンドル戻しトルクTR との和が大きくなり過ぎない様に、G2の大きさを調整する方法も考えられる。この様な方法によれば、ハンドル戻し時に、モータMが操舵系(操舵機構)に対してトルクを付与し過ぎると言う現象(オーバーシュート)をより確実に防止することができる。
また、この様な調整は、アシスト・トルクTA を算出するアシスト・トルク演算部210(図1)の側で実施しても良い。例えば、アシスト・トルク演算部210の側に学習後の中立位置が調整済みの操舵角Θを入力する等の方法によれば、この様な調整は、上記の方法と略同様に実施することが可能である。
図6は、図1の操舵角演算部500(操舵角推定手段)を実現する制御プログラム500aのフローチャートである。本制御プログラム500aでは、まず最初にステップ520により、角度検出部310(図1)にて式(1)に従って算出されたモータMの回転角(位相)θM を用いて、この位相θM の前制御周期からの変化量D(=θM −θ0)を求める。ただし、ここで、θ0は前制御周期における位相θM の値である。
次に、ステップ530では、変化量Dの大きさを判定し、πよりも大きければステップ540へ、そうでなければステップ550へ処理を移す。ステップ540では、変化量Dの値を2π減少させる(アンダーフロー時)。
ステップ550では、変化量Dの大きさを判定し、−πよりも小さければステップ560へ、そうでなければステップ570へ処理を移す。ステップ560では、変化量Dの値を2π増加させる(オーバーフロー時)。
ステップ570では、モータ回転角θm の値を、以上の処理で求めた変化量Dに基づいて、即ち、次式(10)に従って算出する。
θm =θm +D …(10)
ステップ580では、ハンドル(ピニオン軸13)の回転角θH を次式(11)に従って算出する。ただし、ここで、Rはモータとハンドルとの間の減速比(図1の2つのギヤ(17)の間のギヤ比)である。
θH =θm /R …(11)
ステップ590では、今回の(現制御周期の)モータMの位相θM を退避領域θ0に記憶する。
この様なオーバーフロー/アンダーフロー判定は、ハンドルの回転角速度(、即ち、操舵速度ωH )の最大値ωHmaxと、本プログラム500aが定期的に実行される制御実行周期t0が次式(12)を満たす際に成立する。
π>R・ωHmax・t0 …(12)
操舵速度ωH の最大値ωHmaxは、操舵機構の構成にも若干は依存するものの、これは通常人間が操作可能な操舵速度の最大値であるため、おおよそ20〔rad/sec〕程度が普通である。従って、式(12)から判る様に、減速比Rと制御実行周期t0との積R・t0の値が、π/ωHmaxを確実に下回る様にシステムを構成することにより、上記の本発明の操舵角推定手段を実現する、即ち、プログラム500aを有効に動作させることが可能となる。
より具体的には、例えば、R=5、t0=1/100〔sec〕程度に設定すれば、この様な条件を確実に満たすことが可能となる。
また、前記のレゾルバR/D(回転角センサ)の出力値n(6ビット情報:0〜63)は、モータMの位相(0≦θM <2π)のみを表現するものであったが、この出力値nの情報量を例えば上位ビット側に3〜5ビット程度拡張すれば、プログラム500aで算出した前記のモータ回転角θm は、容易に、即ちオーバーフロー等の判定処理を省略して、ハードウェア(レゾルバR/D)より直截的に求めることも可能となる。
前記の本発明の第2の手段は、この様なハードウェア構成の基で実施しても良い。即ち、前記の本発明の第2の手段は、この様なハードウェア構成による実施形態をも含んだものであり、この様な場合においても本発明の作用・効果を得ることが可能である。
また、上記の実施例は、前記の本発明の第3或いは第4の手段により構成されているが、前記の本発明の第1の手段、第2の手段はそれぞれ個々に単独で実施することも可能である。
また、前記の所定の「車両直進条件」は、例えば学習回数等の学習履歴や学習結果に応じて動的に変化させても良い。その一例としては、例えば学習回数の増加と共に、「車両直進条件」の判定に用いられる車速の境界値を、最小30km/hr程度から最大50km/hr程度にまで徐々に増加させていく等の方法が挙げられる。例えばこの様な手段によれば、初期学習完了までの時間を短縮できると共に、学習履歴等に応じて学習精度の向上をも同時に図ることが可能となる。
本発明の実施例に係わる電動パワーステアリング装置100のハードウエア構成図。 本発明の実施例に係わる電動パワーステアリング装置100のモータMを駆動制御するモータ制御装置110の論理的構成を示すブロック図。 本発明の実施例に係わる中立位置学習部241の学習完了前のハンドル戻しトルク演算部240の機能構成を示すブロック図。 本発明の実施例に係わる中立位置学習部241の学習完了後のハンドル戻しトルク演算部240の機能構成を示すブロック図。 本発明の実施例に係わる、学習完了後のハンドル戻しトルク演算部240の操舵判定マップ246を例示するグラフ(a),(b)。 本発明の実施例に係わる操舵角演算部(操舵角推定手段)500を実現する制御プログラム500aのフローチャート。 従来技術による中立位置学習機能を有するハンドル戻しトルク演算部の機能構成を示すブロック図。
符号の説明
M : モータ
R/D : レゾルバ(モータMの回転角センサ)
n : レゾルバ出力信号
θM : モータ回転角(位相:0≦θM <2π)
θm : モータ回転角
θH : ハンドル回転角
ωH : 操舵速度
ΘO : ハンドル中立位置
R : ハンドル戻しトルク(指令値)
T : 指令トルク
τ : 操舵トルク
n : 車速
10 : ステアリング・シャフト
11 : ステアリング・ホイール(ハンドル)
100 : 電動パワーステアリング装置
110 : モータ制御装置
111 : CPU
200 : 指令トルク演算部
240 : ハンドル戻しトルク演算部
241 : 中立位置学習部
246 : 操舵判定マップ(操舵状態判別手段とハンドル戻し電流制限手段に相当。図4では、「Θ>0」の場合を例示。)
500 : 操舵角演算部(操舵角推定手段)
500a: 操舵角演算部(操舵角推定手段)を実現する制御プログラム

Claims (4)

  1. 車両のステアリング・シャフト又はステアリング・ギヤに対してトルクを付与するモータを備えた操舵機構と、前記モータを駆動制御する制御装置とを有する電動パワーステアリング装置において、
    前記車両の速度v、及び運転者がハンドルに対して及ぼす操舵トルクτが、所定の「車両直進条件」を満たす際に、前記ハンドルの操舵角θH の中立位置を所定の統計操作に従って学習する中立位置学習手段と、
    前記中立位置を基準として、前記操舵角θH に基づいて、ハンドル戻しトルクTR を決定する第1ハンドル戻し制御手段と、
    前記操舵トルクτに基づいて、ハンドルの操舵状態を判別する操舵状態判別手段とを有し、
    更に、前記第1ハンドル戻し制御手段は、前記操舵状態に応じて、
    保舵又は切り込み操作時には、操舵に対するアシストトルクを低減させない様に前記ハンドル戻しトルクTR を抑制し、
    手放し又はハンドル戻し操作時には、前記ハンドル戻しトルクTR を維持又は調整する
    ハンドル戻しトルク制限手段を備えている
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 同期用の回転角センサを内蔵するブラシレス直流モータを備えた操舵機構と、
    前記回転角センサの出力信号に基づいて、ハンドルの操舵角θH を推定する操舵角推定手段とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記モータの回転角速度ωM に基づいて、ハンドル戻しトルクTR を算出する第2ハンドル戻し制御手段を有し、
    少なくとも前記中立位置学習手段による前記中立位置の学習が1回完了するまでの間は、前記第2ハンドル戻し制御手段により前記ハンドル戻しトルクTR を決定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記中立位置学習手段による前記中立位置の学習が完了した後は、前記ハンドル戻しトルクTR を前記第1ハンドル戻し制御手段により決定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
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