JP2005298478A - １，３，４，５−テトラヒドロ−２ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン化合物の新規な合成方法、並びにイバブラジン及び薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の合成への適用 - Google Patents

Abstract

【課題】 薬学的に貴重な薬理及び治療特性、特に徐脈特性を有しているイバブラジンを収率よく合成する中間体の提供。
【解決手段】
式（Ｉ）

［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、同じであるか、又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖若しくは分枝鎖Ｃ₁〜Ｃ₈アルコキシ基を表すか、又はそれらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン若しくは１，３−ジオキセパン環を形成する］で示される化合物の合成方法、並びにイバブラジン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、及びその水和物の合成への適用を開示する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン化合物の合成方法、並びにイバブラジン（ivabradine）、及び薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の合成へのその適用に関するものである。

より具体的には、本発明は、式（Ｉ）：

［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、同じであるか、又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖若しくは分枝鎖Ｃ₁〜Ｃ₈アルコキシ基を表すか、又はそれらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン若しくは１，３−ジオキセパン環を形成する］
で示される化合物の合成方法に関するものである。

本発明の方法に従って得られる式（Ｉ）の化合物は、式（II）：

で示されるイバブラジン、すなわち３−｛３−［｛［（７Ｓ）−３，４−ジメトキシビシクロ［４．２．０］オクタ−１，３，５−トリエン−７−イル］メチル｝（メチル）アミノ］プロピル｝−７，８−ジメトキシ−１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩及びその水和物の合成に役立つ。

イバブラジン、並びに薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、特にその塩酸塩は、非常に貴重な薬理及び治療特性、特に徐脈特性を有していて、そのため、これらの化合物は、狭心症、心筋梗塞及び関連する心拍障害のような心筋虚血の様々な臨床的状況、並びに心拍障害、特に上室性心拍障害が関与する様々な病理の治療又は予防に役立つ。

イバブラジン及び薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、特にその塩酸塩の製造及び治療的使用は、ヨーロッパ特許明細書EP0 534 859に記載されている。

この特許明細書は、式（III）：

で示される化合物と、式（IV）：

で示される化合物とを反応させて、式（Ｖ）：

で示される化合物を得て、その接触水素化がイバブラジンを与え、次いでこれをその塩酸塩へと変換することによる、塩酸イバブラジンの合成を記載している。

この方法は、塩酸イバブラジンを、３工程にわたって全体として非常に低い収率、すなわち１７％未満でのみ与えるにすぎないという短所を有する。

この非常に低い収率は、部分的には、式（Ｖ）の化合物の１，３−ジヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン官能基の、対応する１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オンへの接触水素化の工程が平凡な収率であるためである。

用いられた条件（氷酢酸中、環境温度での１０％水酸化パラジウムを用いて触媒される水素化）下では、この還元反応の収率は、実際、４０％にすぎない。

イバブラジン及びその塩の薬物学的価値に鑑みて、式（Ｉ）の１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン化合物を効果的な工業的方法によって、特に優れた収率で入手できることは緊要であった。

１，３−ジヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン官能基の還元のためのEP 0 534 859に記載された平凡な収率を考慮すると、接触水素化は、そのような一揃いの必要条件を満たすことはできないと思われた。

ところが、驚くべきことに、本出願人は、非常に特異的な反応条件、特に溶媒の選択が、対応する１，３−ジヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オンの接触水素化によって、式（Ｉ）の１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン化合物を非常に優れた収率で得るのを可能にすることを見出した。

より具体的には、本発明は、式（Ｉ）：

［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、同じであるか、又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖若しくは分枝鎖Ｃ₁〜Ｃ₈アルコキシ基を表すか、又はそれらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン若しくは１，３−ジオキセパン環を形成する］
で示される化合物の合成方法であって、式（VI）：

［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、上記に定義されたとおりである］
で示される化合物を、非酸性溶媒中で接触水素化反応に付し、次いで、反応混合物を濾過して、式（Ｉ）の化合物を得ることを特徴とする合成方法に関するものである。

本発明の方法に用いることができる好適な非酸性溶媒のうちでも、酢酸エステル、アルコール、好ましくはエタノール、メタノール又はイソプロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン及びキシレンを、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。

本発明の方法に用いることができる触媒のうちでも、パラジウム、白金、ニッケル、ルテニウム、ロジウム及びそれらの化合物、特に、担持された形態、又は酸化物形態でのそれを、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。好適な触媒は、パラジウム炭素である。

水素化反応の温度は、好ましくは２０〜１００℃、より好ましくは４０〜８０℃、さらに好ましくは４５〜６５℃である。

式（VI）の化合物の水素化反応の際の水素圧は、好ましくは１〜２２０バール、より好ましくは１〜１００バール、さらに好ましくは１〜３０バールである。

本発明による方法では、好ましく用いられる式（VI）の化合物は、式（VI）の化合物の特定の場合である、式（VIａ）の化合物（式中、Ｒ₁及びＲ₂が、それらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン又は１，３−ジオキセパン環を形成する）である。

式（Ｉ）の化合物は、化学又は製薬工業において、特にイバブラジン、及び薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の合成中間体として役立つ、新規生成物であり、その限りで、本発明の不可欠の部分を形成する。

例示すると、式（Ｉ）のジアセタールの脱保護は、式（VII）：

で示されるアルデヒドを与えて、これを、還元的アミノ化の条件下で（７Ｓ）−３，４−ジメトキシビシクロ［４．２．０］オクタ−１，３，５−トリエン−７−イル］−Ｎ−メチルメタンアミンと反応させて、イバブラジンを得る。

式（Ｉ）の好適化合物は、Ｒ₁及びＲ₂が、それらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン又は１，３−ジオキセパン環を形成するものである。

以下の実施例は、本発明を例示する。

例：３−［２−（１，３−ジオキソラン−２−イル）エチル］−７，８−ジメトキシ−１，３，４，５−テトラヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン
水素化装置内に、３−［２−（１，３−ジオキソラン−２−イル）エチル］−７，８−ジメトキシ−１，３−ジヒドロ−２Ｈ−３−ベンゾアゼピン−２−オン１００g、イソプロパノール５００ml、及びＰｄ／Ｃ１０gを導入した。窒素、次いで水素で掃気し、６０℃に加熱し、次いで１バールの圧力下、この温度で４時間水素化した。触媒を除去するために、反応混合物を６０℃で濾過した。イソプロパノール２ｘ５０mlで洗浄した。５０℃に冷却し、tert−ブチルメチルエーテル（ＭＴＢＥ）２００mlを加えた。２０℃に冷却し、次いで、５℃で１時間０分冷蔵した。得られた結晶を５℃で濾取した。一定の重量になるまで乾燥した。期待された化合物を、８８％の収率、及び９８％より高い化学的純度で得た。

Claims (11)

1. 式（Ｉ）：
   

   

   
   ［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、同じであるか、又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖若しくは分枝鎖Ｃ₁〜Ｃ₈アルコキシ基を表すか、又はそれらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン若しくは１，３−ジオキセパン環を形成する］
   で示される化合物の合成方法であって、式（VI）：
   

   

   
   ［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、上記に定義されたとおりである］
   で示される化合物を、非酸性溶媒中で接触水素化反応に付し、次いで、反応混合物を濾過して、式（Ｉ）の化合物を得る合成方法。
2. 式（VI）の化合物の水素化反応のための触媒が、パラジウム炭素である、請求項１記載の合成方法。
3. 式（VI）の化合物の水素化反応の際の水素圧が、１〜２２０バールである、請求項１又は２のいずれかに記載の合成方法。
4. 式（VI）の化合物の水素化反応を、アルコール性溶媒中で実施する、請求項１〜３のいずれか一項に記載の合成方法。
5. アルコール性溶媒がエタノール、メタノール又はイソプロパノールである、請求項４記載の合成方法。
6. 温度が２０〜１００℃である、請求項１〜５のいずれか一項に記載の合成方法。
7. 温度が４０〜８０℃である、請求項６記載の合成方法。
8. 式（VI）の化合物の特定の場合である、式（VIａ）の化合物（式中、Ｒ₁及びＲ₂が、それらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン又は１，３−ジオキセパン環を形成する）を出発原料として用いる、請求項１〜７のいずれか一項に記載の合成方法。
9. 式（Ｉ）：
   

   

   
   ［式中、Ｒ₁及びＲ₂は、同じであるか、又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖若しくは分枝鎖Ｃ₁〜Ｃ₈アルコキシ基を表すか、又はそれらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン若しくは１，３−ジオキセパン環を形成する］
   で示される化合物。
10. Ｒ₁及びＲ₂が、それらを担持する炭素原子とともに、１，３−ジオキサン、１，３−ジオキソラン又は１，３−ジオキセパン環を形成する、請求項９記載の化合物。
11. イバブラジン、薬学的に許容され得るその塩及びその水和物の合成方法であって、式（VI）の化合物を、請求項１記載の方法に従って、式（Ｉ）の中間体化合物へと変換し、次いで、式（Ｉ）の中間体化合物を、イバブラジンへと変換する合成方法。