JP2005272385A - アセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低酸素分圧であっても触媒の失活を招くことなく、高い反応性で、選択性よく酸化反応を進行させることのできる、工業的に有利になオレフィン酸化物の製造方法を提供する。
【解決手段】 パラジウム、鉄及び銅を含有する触媒の存在下、エチレン性二重結合を有する化合物のエチレン性二重結合と酸素及びアルコールとを反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する反応において、パラジウムに対する鉄及び銅の合計がモル比で100より大きくすることを特徴とするアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 パラジウム、鉄及び銅を含有する触媒の存在下、エチレン性二重結合を有する化合物のエチレン性二重結合と酸素及びアルコールとを反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する反応において、パラジウムに対する鉄及び銅の合計がモル比で100より大きくすることを特徴とするアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明はオレフィンを酸素及びアルコールと反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する方法に関する。詳しくは、酸素分圧の低い条件、特に反応混合物の爆発下限界以下の酸素濃度条件であっても、工業生産性を有する反応速度で、オレフィンからアセタールおよび/またはビニルエーテルを得る方法に関するものである。
オレフィンの分子状酸素による酸化反応は、工業的にも有用な方法であり、中でも有用な方法は、一般にWacker反応として知られている反応である。即ち、塩化パラジウム、及び塩化銅を含む水溶液を触媒として、分子状酸素により、エチレンからアセトアルデヒド、プロピレンからアセトンを製造する方法が工業的にも採用された。このWacker反応の溶媒として水の代わりに、アルコール類を用いると、生成物としてアセタール化合物が得られることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。これは非常に反応性が乏しく、TOF(Turnover Frequency)が1以下という結果が報告されており、実用的ではない。これに対し、本出願人は、高活性な反応系として、触媒成分としてパラジウム及び銅に加え、鉄を用いる系を報告している。(例えば、特許文献1及び2参照)。
「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal Of Organic Chemistry)」(米国)、1987、52号、p.1758−1764 特開2002−12569号公報
特開2002−187860号公報
オレフィンの分子状酸素による酸化反応は、工業的にも有用な方法であり、中でも有用な方法は、一般にWacker反応として知られている反応である。即ち、塩化パラジウム、及び塩化銅を含む水溶液を触媒として、分子状酸素により、エチレンからアセトアルデヒド、プロピレンからアセトンを製造する方法が工業的にも採用された。このWacker反応の溶媒として水の代わりに、アルコール類を用いると、生成物としてアセタール化合物が得られることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。これは非常に反応性が乏しく、TOF(Turnover Frequency)が1以下という結果が報告されており、実用的ではない。これに対し、本出願人は、高活性な反応系として、触媒成分としてパラジウム及び銅に加え、鉄を用いる系を報告している。(例えば、特許文献1及び2参照)。
「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal Of Organic Chemistry)」(米国)、1987、52号、p.1758−1764
しかしながらこの高活性な系は、その実施例において酸素分圧が約1MPaで行っている
ことが示すように、比較的高圧の酸素分圧を必要とする。これは、低酸素分圧下では、パラジウムが0価となり再酸化されず、触媒が失活してしまうためである。この失活をふせぐために反応温度を低くすると反応時間が極端に長くなってしまい生産性が悪い。一方、工業生産において安全性の確保は必要不可欠な事項であり、通常、有機物の酸化反応のように爆発の危険性が高い反応は、その反応混合物の爆発下限界以下で運転するのが常識である。高い酸素分圧である前述の反応は、即ち、爆発の危険性が大きいということを示しており、その回避のために特殊な装置を必要とし、そのために生産コストの上昇及び生産量に制限があり、工業的生産を考えた場合、適切とはいえない。
ことが示すように、比較的高圧の酸素分圧を必要とする。これは、低酸素分圧下では、パラジウムが0価となり再酸化されず、触媒が失活してしまうためである。この失活をふせぐために反応温度を低くすると反応時間が極端に長くなってしまい生産性が悪い。一方、工業生産において安全性の確保は必要不可欠な事項であり、通常、有機物の酸化反応のように爆発の危険性が高い反応は、その反応混合物の爆発下限界以下で運転するのが常識である。高い酸素分圧である前述の反応は、即ち、爆発の危険性が大きいということを示しており、その回避のために特殊な装置を必要とし、そのために生産コストの上昇及び生産量に制限があり、工業的生産を考えた場合、適切とはいえない。
つまり、上記のような高活性なWacker反応を、一般の汎用反応器で行うことは、酸素分圧の問題があり、工業的には困難であると考えられていた。
本発明は、高い活性を維持したまま、酸素分圧を低圧化することのできるWacker型酸化方法を提供することを目的とする。
本発明は、高い活性を維持したまま、酸素分圧を低圧化することのできるWacker型酸化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討を加えた結果、触媒成分のパラジウムに対する鉄および銅の割合を大幅に増大させることにより、低酸素分圧であっても触媒の失活を招くことなく、高い反応性で、選択性よく酸化反応が進行しうることを見出し、工業的に適用可能な新しいオレフィンの酸化方法を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、パラジウム、鉄及び銅を含有する触媒の存在下、エチレン性二重結合を有する化合物のエチレン性二重結合と酸素及びアルコールとを反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する反応において、パラジウムに対する鉄及び銅の合計がモル比で100より大きくすることを特徴とするアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法に存する。
即ち本発明の要旨は、パラジウム、鉄及び銅を含有する触媒の存在下、エチレン性二重結合を有する化合物のエチレン性二重結合と酸素及びアルコールとを反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する反応において、パラジウムに対する鉄及び銅の合計がモル比で100より大きくすることを特徴とするアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法に存する。
本発明の第2の要旨は、アクリル酸および/またはそのエステルを用いて上記反応により得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルを、上記反応で用いたアルコールとは異なるアルコールを用いてエステル交換することを特徴とする3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルの製造方法に存する。
本発明の第3の要旨は、アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いて上記反応により得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルを脱アルコールすることを特徴とする3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルの製造方法に存する。
本発明の第3の要旨は、アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いて上記反応により得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルを脱アルコールすることを特徴とする3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルの製造方法に存する。
本発明の第4の要旨はこれらの方法で得られた3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルに、上記のアルコールとは異なるアルコールを反応させることを特徴とするアセタール部分が非対称である3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルの製造方法に存する。
本発明の第5の要旨は、アクリル酸および/またはそのエステルを用いて上記反応により得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルもしくは3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルを加水分解および還元することを特徴とする1,3−プロパンジオールの製造方法に存する。
本発明の第5の要旨は、アクリル酸および/またはそのエステルを用いて上記反応により得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルもしくは3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルを加水分解および還元することを特徴とする1,3−プロパンジオールの製造方法に存する。
本発明の製造方法によれば、低酸素分圧であっても触媒の失活を招くことなく、高い反応性で、選択性よく酸化反応が進行しうるので、オレフィンからアセタールおよび/またはビニルエーテルを工業的に有利に製造することができる。さらには、基質のパラジウムに対する比を大幅に増大させることができ、効率良く反応することができる。
<エチレン性二重結合を有する化合物>
反応基質であるエチレン性二重結合を有する化合物とは、分子内に炭素−炭素二重結合を1個以上有するオレフィンである。オレフィン中のエチレン性二重結合の数にはなんら制限はないが、通常8個以下であり、好ましくは3個以下である。オレフィンの種類は反応系で液体であれば特に限定されず、鎖状でも環状でもよい。
反応基質であるエチレン性二重結合を有する化合物とは、分子内に炭素−炭素二重結合を1個以上有するオレフィンである。オレフィン中のエチレン性二重結合の数にはなんら制限はないが、通常8個以下であり、好ましくは3個以下である。オレフィンの種類は反応系で液体であれば特に限定されず、鎖状でも環状でもよい。
鎖状オレフィンとしては、主鎖の炭素数が、通常2以上、好ましくは3以上であり、通常25以下、好ましくは12以下である。二重結合の位置は末端でも、内部でも良い。
環状オレフィンとしては、環を形成する炭素数が、通常4以上、好ましくは5以上であり、通常20以下、好ましくは12以下のものである。また、縮合環を有する化合物であってもよい。
環状オレフィンとしては、環を形成する炭素数が、通常4以上、好ましくは5以上であり、通常20以下、好ましくは12以下のものである。また、縮合環を有する化合物であってもよい。
鎖状又は環状オレフィンは、置換基を有していてもよい。置換基の種類としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されず、具体的にはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、イミド基、スルホニル基等が挙げられる。
アルキル基の炭素数は1以上10以下が好ましく、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は1以上10以下が好ましく、好ましいアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アリール基の炭素数は6以上22以下が好ましく、好ましいアリール基としてはフェニル基が挙げられる。好ましいハロゲン原子としてはクロロ基、ブロモ基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は1以上10以下が好ましく、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は1以上10以下が好ましく、好ましいアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アリール基の炭素数は6以上22以下が好ましく、好ましいアリール基としてはフェニル基が挙げられる。好ましいハロゲン原子としてはクロロ基、ブロモ基が挙げられる。
置換基の位置は特に限定されないが、エチレン性二重結合のα位および/またはβ位に電子吸引基が存在するのが好ましい。電子吸引基の種類は、特に問わないが、パーフルオ
ロアルキル基などの炭素数1以上10以下のハロゲン置換アルキル基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基などが挙げられる。
ロアルキル基などの炭素数1以上10以下のハロゲン置換アルキル基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基などが挙げられる。
このようなオレフィンとしては、具体的には、アクロレイン、メタアクロレイン、クロチルアルデヒド、2−ヘキセナール、シンナムアルデヒド、2−シクロヘキセンカルボアルデヒドなどのα、β−不飽和アルデヒド;アクロレインジメチルアセタール、アクロレインジエチルアセタール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−ビニル−1,3−ジオキサンなどのアセタール;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、3−ペンテン−2−オンなどのα、β−不飽和ケトン;ビニルメチルケトンジメチルケタール、2,2−エチルビニル−1,3−ジオキソランなどのケタール;アクリル酸、メタアクリル酸、シンナム酸、2−シクロヘキセンカルボン酸などのα、β−不飽和カルボン酸;無水マレイン酸等のα、β−酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、3−ヒドロキシプロピルアクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチルアクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステル、また、γ−クロトノラクトンなどのラクトン;ならびにビニルアセテート、ビニルブチレートなどのビニルエステル;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N―イソプロピルアクリルアミド等のアミド化合物等が挙げられる。
中でもα,β−不飽和アルデヒドおよびそのアセタール、α,β−不飽和ケトンおよびそのケタール、ならびにα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルが好ましく、特にα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルが、反応性が高い点で好ましい。
これらの化合物は二種以上を混合して反応に用いても良い。
反応系中のオレフィン類の存在量は、下限が、通常1vol%以上、好ましくは5vo
l%以上であり、上限が、通常90vol%以下、好ましくは50vol%以下の範囲で選ぶことができる。
これらの化合物は二種以上を混合して反応に用いても良い。
反応系中のオレフィン類の存在量は、下限が、通常1vol%以上、好ましくは5vo
l%以上であり、上限が、通常90vol%以下、好ましくは50vol%以下の範囲で選ぶことができる。
これらのオレフィン原料の中には、熱等により重合したり、ラジカル自動酸化を起こしやすいものが含まれる。そのような場合は、ヒドロキノン、フェノチアジンなどのラジカル補足剤、重合禁止剤などを系中に加えるとよい。
<酸素>
酸素としては通常分子状酸素用いる。酸素の分圧は通常、0.001Mpa以上、好ましくは0.01Mpa以上、より好ましくは0.05MPa以上であり、通常10MPa以
下、好ましくは5MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。酸素を他のガスで希釈
して用いてもよい。希釈するガスは、爆発の回避し安全性を確保するために、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性なガスが好ましい。希釈した場合の酸素濃度は、特に制限はないが、通常50%以下、好ましくは25%以下であって、通常1%以上、好ましくは5%以上であり、空気(20.9%)を用いるのが安価であるため、より好ましい。
<酸素>
酸素としては通常分子状酸素用いる。酸素の分圧は通常、0.001Mpa以上、好ましくは0.01Mpa以上、より好ましくは0.05MPa以上であり、通常10MPa以
下、好ましくは5MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。酸素を他のガスで希釈
して用いてもよい。希釈するガスは、爆発の回避し安全性を確保するために、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性なガスが好ましい。希釈した場合の酸素濃度は、特に制限はないが、通常50%以下、好ましくは25%以下であって、通常1%以上、好ましくは5%以上であり、空気(20.9%)を用いるのが安価であるため、より好ましい。
反応条件によるが、反応器出口の酸素濃度、即ち消費後の酸素濃度が用いる基質の爆発限界濃度以下で反応を行うことが望ましい。本発明によれば、酸素分圧を下げても反応活性を保つことができるため、酸素、エチレン性二重結合を有する化合物およびアルコールの反応混合物の爆発下限界以下にすることができる。
<アルコール>
反応に使用するアルコールについては、反応系で液体であれば特に制限はない。反応により主として生成するアセタールは、アルデヒド及び/又はケトンと平衡状態にあり、この平衡が生成物であるアセタールに偏るアルコールを用いるのが、さらなる酸化を受けにくくなるためという点で好ましい。
以上の観点から、反応に用いるアルコールとしては、アセタールを形成した際に安定なアルコールが好ましい。アルコールの炭素数は通常1以上であって、通常10以下、好ましくは4以下である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが例示
される。
反応に使用するアルコールについては、反応系で液体であれば特に制限はない。反応により主として生成するアセタールは、アルデヒド及び/又はケトンと平衡状態にあり、この平衡が生成物であるアセタールに偏るアルコールを用いるのが、さらなる酸化を受けにくくなるためという点で好ましい。
以上の観点から、反応に用いるアルコールとしては、アセタールを形成した際に安定なアルコールが好ましい。アルコールの炭素数は通常1以上であって、通常10以下、好ましくは4以下である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが例示
される。
反応系中のアルコールの存在量は、反応容積全体に対して、下限が、通常1vol%以
上、好ましくは5vol以上であり、上限が、通常90vol%以下、好ましくは80vol%以下の範囲内である。
原料のオレフィンとアルコールの反応初期における反応系中のモル比は、特に限定されるものではないが、オレフィン類1に対しアルコールが、下限が、通常1以上、好ましくは1.2以上であり、上限が、通常100以下、好ましくは90以下、より好ましくは80以下である。特にアルコール量が多いほど、前述のアセタールと、アルデヒド もしくはケトン間の平衡が、アセタール側に偏るため、有利である。
上、好ましくは5vol以上であり、上限が、通常90vol%以下、好ましくは80vol%以下の範囲内である。
原料のオレフィンとアルコールの反応初期における反応系中のモル比は、特に限定されるものではないが、オレフィン類1に対しアルコールが、下限が、通常1以上、好ましくは1.2以上であり、上限が、通常100以下、好ましくは90以下、より好ましくは80以下である。特にアルコール量が多いほど、前述のアセタールと、アルデヒド もしくはケトン間の平衡が、アセタール側に偏るため、有利である。
<触媒>
本発明において使用する触媒は、パラジウム、鉄及び銅を含むものである。パラジウム、銅、鉄のそれぞれの金属または化合物を混合して触媒として用いてもよいし、このうち2種又は全種の複合化合物を用いることも可能である。また、均一系でも不均一系でもよ
く、特に制限はない。これらパラジウム、鉄及び銅の原料化合物としては、市販のものなど多くが知られており、それらの中から任意に選ぶことができる。
本発明において使用する触媒は、パラジウム、鉄及び銅を含むものである。パラジウム、銅、鉄のそれぞれの金属または化合物を混合して触媒として用いてもよいし、このうち2種又は全種の複合化合物を用いることも可能である。また、均一系でも不均一系でもよ
く、特に制限はない。これらパラジウム、鉄及び銅の原料化合物としては、市販のものなど多くが知られており、それらの中から任意に選ぶことができる。
パラジウム化合物としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン化パラジウム、Na2PdCl4 、Li2PdCl4等のパラデート、硝酸パラジウム、硫酸パラジウ
ム、酢酸パラジウム、トリフロロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート等の無機酸又は有機酸のパラジウム塩、酸化パラジウム、水酸化パラジウム等の無機パラジウム、更にはこれらの金属塩から誘導される塩基の配位した化合物、例えば、PdCl2(
CH3CN)2、PdCl2(PhCN)2、PdCl2(PPh3)2等があるが、これらに
限定される訳ではない。これらのパラジウム化合物の中でも、反応混合物に可溶なものが望ましく、Na2PdCl4 、Li2PdCl4等のパラデート、PdCl2(CH3CN)2、PdCl2(PhCN)2、PdCl2(PPh3)2等塩基の配位した化合物が好ましい
。また、カーボンやその他の無機担体に担持したパラジウムも用いることができる。この場合、担持されたパラジウムが溶出したものが反応に寄与する場合があるが、それでも構わない。
ム、酢酸パラジウム、トリフロロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート等の無機酸又は有機酸のパラジウム塩、酸化パラジウム、水酸化パラジウム等の無機パラジウム、更にはこれらの金属塩から誘導される塩基の配位した化合物、例えば、PdCl2(
CH3CN)2、PdCl2(PhCN)2、PdCl2(PPh3)2等があるが、これらに
限定される訳ではない。これらのパラジウム化合物の中でも、反応混合物に可溶なものが望ましく、Na2PdCl4 、Li2PdCl4等のパラデート、PdCl2(CH3CN)2、PdCl2(PhCN)2、PdCl2(PPh3)2等塩基の配位した化合物が好ましい
。また、カーボンやその他の無機担体に担持したパラジウムも用いることができる。この場合、担持されたパラジウムが溶出したものが反応に寄与する場合があるが、それでも構わない。
鉄化合物としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)等の塩化物、臭化鉄(II)、
臭化鉄(III)等の臭化物、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III
)等の無機酸塩、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、ギ酸鉄、アセチルアセトン鉄等の各種の塩又は配位化合物の形態で反応に供することができる。
臭化鉄(III)等の臭化物、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III
)等の無機酸塩、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、ギ酸鉄、アセチルアセトン鉄等の各種の塩又は配位化合物の形態で反応に供することができる。
銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)等の塩化物、臭化銅(I)、臭化銅(II)等の臭化物、硫酸銅、硫酸銅、硝酸銅、硝酸銅等の無機酸塩、酢酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅、シュウ酸銅、ギ酸銅、アセチルアセトン銅等の各種の塩又は配位化合物の形態で反応に供することができる。
これら鉄化合物と銅化合物の組み合わせとしては、塩化銅(I)と塩化鉄(III)、塩
化銅(II)と塩化鉄(II)、銅(0)と塩化鉄(III)、酢酸銅(II)と塩化鉄(III)、塩化銅(II)と酢酸鉄(II)、酢酸銅(II)と塩化鉄(II)などが好ましく、特に経済性の面から、銅(0)と塩化鉄(III)が好ましい。但し、この組み合わせの場合、銅を溶解
させるためには、等モル以上の塩化鉄が必要で、溶解しない銅は触媒として働かないと推
測されるため、銅化合物のモル数を鉄化合物のそれより増やしたい場合は、例えば、塩化銅(I)と塩化鉄(III)などの可溶性の銅を用いる方が好ましい。
これら鉄化合物と銅化合物の組み合わせとしては、塩化銅(I)と塩化鉄(III)、塩
化銅(II)と塩化鉄(II)、銅(0)と塩化鉄(III)、酢酸銅(II)と塩化鉄(III)、塩化銅(II)と酢酸鉄(II)、酢酸銅(II)と塩化鉄(II)などが好ましく、特に経済性の面から、銅(0)と塩化鉄(III)が好ましい。但し、この組み合わせの場合、銅を溶解
させるためには、等モル以上の塩化鉄が必要で、溶解しない銅は触媒として働かないと推
測されるため、銅化合物のモル数を鉄化合物のそれより増やしたい場合は、例えば、塩化銅(I)と塩化鉄(III)などの可溶性の銅を用いる方が好ましい。
触媒として用いる銅と鉄との比率は、銅に対する鉄の割合が金属元素のモル比で通常0.1以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であって、通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。一般に、銅が小過剰の方が反応活性がよい傾向がある。
触媒として用いる銅及び鉄のパラジウムに対するモル比が、本発明の最も重要な部分である。反応液中の鉄又は銅の濃度はパラジウムに対する相対濃度で記述することができる。本発明においては、鉄及び銅のモル数合計のパラジウム対するモル比が、100より大きい範囲であり、150以上が好ましく、中でも好ましくは200以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上である。上限には特に制限がないが、通常10000より多く加えてもその効果は変わらず、好ましくは、8000以下、より好ましくは、5000以下である。
触媒として用いる銅及び鉄のパラジウムに対するモル比が、本発明の最も重要な部分である。反応液中の鉄又は銅の濃度はパラジウムに対する相対濃度で記述することができる。本発明においては、鉄及び銅のモル数合計のパラジウム対するモル比が、100より大きい範囲であり、150以上が好ましく、中でも好ましくは200以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上である。上限には特に制限がないが、通常10000より多く加えてもその効果は変わらず、好ましくは、8000以下、より好ましくは、5000以下である。
この比の範囲内とすることにより、酸素分圧の影響がごく僅かであり、即ち、活性を維持したまま、酸素分圧を下げることができ、反応圧の低圧化は、安全性の確保と同時に、反応装置の簡略化、コストダウンをもたらす。
上記の鉄及び銅の濃度の基準となるパラジウム濃度は、一般的に低濃度であることが経済的な観点では好ましい。これらの観点においてパラジウムの濃度は、反応基質であるエチレン性二重結合を有する化合物のパラジウムに対するモル比が、通常200以上、好ましくは8000以上、より好ましくは3万以上、さらに好ましくは5万以上であって、通常500万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
上記の鉄及び銅の濃度の基準となるパラジウム濃度は、一般的に低濃度であることが経済的な観点では好ましい。これらの観点においてパラジウムの濃度は、反応基質であるエチレン性二重結合を有する化合物のパラジウムに対するモル比が、通常200以上、好ましくは8000以上、より好ましくは3万以上、さらに好ましくは5万以上であって、通常500万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
この比が大きすぎると、製品に対する触媒コストが増大する傾向があり、また、小さすぎると反応時間が長くなり、触媒コストを下げられたとしても、反応器の使用時間が長くなったり、反応器に大きなものを必要としたり、結果として製造費の固定費部分の増大につながる傾向がある。
本反応においては、反応系中にハロゲンイオン、特にはClイオン又はBrイオンを存在させることが好ましい。ここで「イオン」とは、反応系中において、解離したイオンの形態であってもよいし、解離せずに塩の形態であってもよい。ハロゲンイオンを存在させる方法としては、触媒として用いるパラジウム、銅、鉄から選ばれる少なくとも一種の原料化合物として塩化物や臭化物等のハロゲン塩を用いることが望ましい。また、これとは別に反応系中にハロゲン化合物を添加することもできる。ハロゲン化合物としては、NaCl、LiCl、SnCl2等の無機塩を用いることができる。これらハロゲンイオンの
反応系中の存在量は特に制限はないが、銅化合物、鉄化合物のモル数の合計に対して、モル比で、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であって、通常10以下、好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下である。
この比が大きすぎると反応を抑制する傾向があり、また小さいと、初期反応活性は高いが、反応途中で触媒活性が失われる傾向にある。実施例が示すとおり、このモル比が同じであれば、ほぼ反応活性が同じであり、用いる銅、鉄化合物の価数とは関係がない。
本反応においては、反応系中にハロゲンイオン、特にはClイオン又はBrイオンを存在させることが好ましい。ここで「イオン」とは、反応系中において、解離したイオンの形態であってもよいし、解離せずに塩の形態であってもよい。ハロゲンイオンを存在させる方法としては、触媒として用いるパラジウム、銅、鉄から選ばれる少なくとも一種の原料化合物として塩化物や臭化物等のハロゲン塩を用いることが望ましい。また、これとは別に反応系中にハロゲン化合物を添加することもできる。ハロゲン化合物としては、NaCl、LiCl、SnCl2等の無機塩を用いることができる。これらハロゲンイオンの
反応系中の存在量は特に制限はないが、銅化合物、鉄化合物のモル数の合計に対して、モル比で、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であって、通常10以下、好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下である。
この比が大きすぎると反応を抑制する傾向があり、また小さいと、初期反応活性は高いが、反応途中で触媒活性が失われる傾向にある。実施例が示すとおり、このモル比が同じであれば、ほぼ反応活性が同じであり、用いる銅、鉄化合物の価数とは関係がない。
<反応溶媒>
本発明においては反応させるアルコールを溶媒として過剰に用いることもできるが、原料アルコールとは別の他の溶媒を加えてもよい。他の溶媒としては、アルコールとオレフィン以外の化合物であれば特に限定されず、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶媒やハロゲン化炭化水素が挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、フルオロベンゼンなどが例示される。これら他の溶媒の添加量に特に制限はないが、アルコール及びエチレン性二重
結合を有する化合物の合計に対して重量比で、下限が、通常0.05以上、好ましくは0.1以上であり、上限が100以下、好ましくは25以下である。
本発明においては反応させるアルコールを溶媒として過剰に用いることもできるが、原料アルコールとは別の他の溶媒を加えてもよい。他の溶媒としては、アルコールとオレフィン以外の化合物であれば特に限定されず、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶媒やハロゲン化炭化水素が挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、フルオロベンゼンなどが例示される。これら他の溶媒の添加量に特に制限はないが、アルコール及びエチレン性二重
結合を有する化合物の合計に対して重量比で、下限が、通常0.05以上、好ましくは0.1以上であり、上限が100以下、好ましくは25以下である。
<反応>
本反応は一般的な酸化の方法に従って行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器により特定の反応時間、エチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を含有するガスを接触させて酸化反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、エチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を含有するガスを連続的に供給して酸化反応を進行させることもできる。一方、触媒成分が、固体である場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応するエチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
本反応は一般的な酸化の方法に従って行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器により特定の反応時間、エチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を含有するガスを接触させて酸化反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、エチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を含有するガスを連続的に供給して酸化反応を進行させることもできる。一方、触媒成分が、固体である場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応するエチレン性二重結合を有する化合物、アルコールおよび酸素を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
酸素の供給は、酸素を含有するガスを攪拌翼によって細かい気泡とする手法、反応器の内側に邪魔板を設け酸素を含有するガスを細かい気泡とする手法、ノズルより高線速で系中に噴霧するといった手法により、反応溶液系への酸素の溶解に有効な手法を採用することができる。
反応温度は、通常20℃以上、好ましくは40℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下とすることにより経済的にも有利な反応速度を得ることが出来る。
反応温度は、通常20℃以上、好ましくは40℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下とすることにより経済的にも有利な反応速度を得ることが出来る。
反応圧力は、通常、0.001Mpa以上、好ましくは0.01Mpa以上、より好ましくは0.05MPa以上であり、通常10MPa以下、好ましくは5MPa以下、より好
ましくは1MPa以下である。反応装置の簡便性の点では常圧で行うのが好ましい。
反応時間は所望の反応成績に応じて適宜設定すればよいが、通常1分以上、好ましくは30分以上であって、通常1週間以下、好ましくは1日以下である。
ましくは1MPa以下である。反応装置の簡便性の点では常圧で行うのが好ましい。
反応時間は所望の反応成績に応じて適宜設定すればよいが、通常1分以上、好ましくは30分以上であって、通常1週間以下、好ましくは1日以下である。
尚、本発明の反応において、アセタール類が生成する際に生じる水は、アセタール類とアルデヒド類又はケトン類との間の熱力学的平衡をアルデヒド類又はケトン類に有利にする。これら遊離のカルボニル化合物は酸化反応に対する反応性がアルコール付加体よりも高い為、逐次酸化を受けやすい。従って、系中に生成した水はなるべく系外へ除去することが好ましく、反応系中の水量として50重量%以下に維持するのが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下に維持するのが好ましい。その手法としては、水を吸着する無水の金属塩やゼオライト等のモレキュラーシーブ等を共存させる方法、水と共沸する成分を添加し、蒸留除去する方法、気体を流通させることにより同伴留去する方法、または水と反応して反応に負の影響を与えない化合物に変換される化合物、例えば、金属アルコキシドなどを添加する方法といった手法がある。
酸化反応後の反応液は、加圧状態にある場合には、圧力をある程度解放し、低圧化させてもよい。触媒成分、水及び副成物から目的生成物の分離は、一般の操作方法、例えば、蒸留分離、抽出分離、晶析分離、沈降分離、濾別分離などを用いることができる。特に
低沸点のアルコールを用いた場合は、反応溶液をそのまま蒸留することは難しい場合がある。このような場合は、アルカリ性水溶液を加え、中和して、中性、もしくはアルカリ性に液性をしてから、アルコールを留去するとよい。
触媒の分離には、キレート樹脂などを用いての分離や、塩基を添加することにより水酸化物として沈殿させ濾別するのが、簡便である。特に、用いたアルコールが水よりも低沸点の場合は、少量の水、もしくは塩を溶解した水を加えた後に、アルコールを留去すると、水層と有機層に分離することがある。この場合、有機層に含まれる目的生成物と水層に含まれる触媒、もしくはその残査を容易に分離することができる。
また、分離によって生じた副成物、もしくは副成物を含む多価アルコールを再び反応器に戻すこともできる。
低沸点のアルコールを用いた場合は、反応溶液をそのまま蒸留することは難しい場合がある。このような場合は、アルカリ性水溶液を加え、中和して、中性、もしくはアルカリ性に液性をしてから、アルコールを留去するとよい。
触媒の分離には、キレート樹脂などを用いての分離や、塩基を添加することにより水酸化物として沈殿させ濾別するのが、簡便である。特に、用いたアルコールが水よりも低沸点の場合は、少量の水、もしくは塩を溶解した水を加えた後に、アルコールを留去すると、水層と有機層に分離することがある。この場合、有機層に含まれる目的生成物と水層に含まれる触媒、もしくはその残査を容易に分離することができる。
また、分離によって生じた副成物、もしくは副成物を含む多価アルコールを再び反応器に戻すこともできる。
<反応生成物>
本発明の製造方法によりアセタール、ビニルエーテルが得られる。
副成分としては、これらが加水分解した形であるアルデヒド、ケトン、さらに、これらが酸化を受けたカルボン酸、もしくはそのエステルも少量観測される。さらに、反応が進行するに従って系中に生じる水が、アルコールの代わりに反応したヘミアセタールも観測される。このヘミアセタールは構造的に不安定な化合物で、分解しやすく、選択性を下げる原因となるので、これがなるべく生じない反応条件を選ぶとよい。
本発明の製造方法によりアセタール、ビニルエーテルが得られる。
副成分としては、これらが加水分解した形であるアルデヒド、ケトン、さらに、これらが酸化を受けたカルボン酸、もしくはそのエステルも少量観測される。さらに、反応が進行するに従って系中に生じる水が、アルコールの代わりに反応したヘミアセタールも観測される。このヘミアセタールは構造的に不安定な化合物で、分解しやすく、選択性を下げる原因となるので、これがなるべく生じない反応条件を選ぶとよい。
具体的には、アクリル酸メチルを原料とした場合、主生成物として3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル(アセタール)、また条件により、3−メトキシアクリル酸メチル(ビニルエーテル)が得られる。また、反応後期には、3−ヒドロキシ−3−メトキシプロピオン酸メチルも若干生じる。これら主成分の他に、これらが加水分解等した、3,3−ジメトキシプロピオン酸、3−メトキシアクリル酸も少量得られる。また、系中の水の量が多い場合、さらなる酸化が進み、マロン酸、マロン酸メチル、マロン酸ジメチルなどのマロン酸類を得ることも可能である。また、酸素が関与せず、アルコールが直接オレフィン部分に挿入したエーテルも若干ながら副生物として観測されることがある。具体的には、メタノールが酸化を経ずに、アクリル酸メチルに付加した3-メトキシプロピオン酸メチルなどである。
このように、アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを原料に用いた場合は、主として3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/または3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル(アセタール)と、3−アルコキシアクリル酸および/またはその3−アルコキシアクリル酸エステル(ビニルエーテル)とを生じる。
このように、アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを原料に用いた場合は、主として3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/または3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル(アセタール)と、3−アルコキシアクリル酸および/またはその3−アルコキシアクリル酸エステル(ビニルエーテル)とを生じる。
<反応生成物の誘導体>
(1)アセタールの誘導体
・3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステル
エチレン性二重結合を有する化合物としてアクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いた場合に、本発明の方法によりアセタールとして3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/または3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルが得られるが、これらのアセタールは、酸触媒存在下で、加熱等により脱アルコールして3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステル(ビニルエーテル)を生じることが知られている。
・反応生成物と異なる構造を有するアセタール
このアセタールの脱アルコールにより得られた3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルに、塩基触媒存在下、アルコールを反応させるとアセタールを得ることができる。酸化反応に用いたアルコールと別のアルコールを用いれば、非対称なアセタールを容易に製造することができる。
(1)アセタールの誘導体
・3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステル
エチレン性二重結合を有する化合物としてアクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いた場合に、本発明の方法によりアセタールとして3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/または3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルが得られるが、これらのアセタールは、酸触媒存在下で、加熱等により脱アルコールして3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステル(ビニルエーテル)を生じることが知られている。
・反応生成物と異なる構造を有するアセタール
このアセタールの脱アルコールにより得られた3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルに、塩基触媒存在下、アルコールを反応させるとアセタールを得ることができる。酸化反応に用いたアルコールと別のアルコールを用いれば、非対称なアセタールを容易に製造することができる。
また、酸化反応で生じた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルおよび上記の反応により生じた非対称なアセタールを、塩基触媒下、アルコールと反応させるとエステル交換反応をすることができる。この場合、アルコキシ部分は反応しない。
以上を図式でまとめると以下のようになる。
以上を図式でまとめると以下のようになる。
(2)ビニルエーテルの誘導体
・アセタール
エチレン性二重結合を有する化合物としてアクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いた場合に、本発明の方法によりビニルエーテル化合物として3−アルコキシアクリル酸および/または3−アルコキシプロピオン酸エステルが得られる。これらのビニルエーテル化合物に塩基触媒存在下、アルコールを反応させるとアセタールを得ることができる。酸化反応に用いたアルコールと別のアルコールを用いれば、非対称なアセタールを容易に得ることができる。
また、上記の反応により生じたアセタールを、塩基触媒下、アルコールと反応させるとエステル交換反応をすることができる。この場合、アルコキシ部分は反応しない。
・アセタール
エチレン性二重結合を有する化合物としてアクリル酸および/またはアクリル酸エステルを用いた場合に、本発明の方法によりビニルエーテル化合物として3−アルコキシアクリル酸および/または3−アルコキシプロピオン酸エステルが得られる。これらのビニルエーテル化合物に塩基触媒存在下、アルコールを反応させるとアセタールを得ることができる。酸化反応に用いたアルコールと別のアルコールを用いれば、非対称なアセタールを容易に得ることができる。
また、上記の反応により生じたアセタールを、塩基触媒下、アルコールと反応させるとエステル交換反応をすることができる。この場合、アルコキシ部分は反応しない。
(3)アセタールおよびビニルエーテルの誘導体
・1,3−プロパンジオール
アクリル酸エステルを酸化して得られる3,3−ジメトキシプロピオン酸エステルおよび3−メトキシアクリル酸エステル、さらには3−ヒドロキシ−3−メトキシプロピオン酸エステル等は、水存在下で加水分解し、還元すると1,3−プロパンジオールが得られる。1,3−プロパンジオールは、ポリエステル、ポリエーテルの原料として有用なジアルコールである。この際には、酸化の際に用いるアルコールを1,3−プロパンジオールを用いれば、加水分解還元後、アルコールの分離が必要なく、便利である。
・1,3−プロパンジオール
アクリル酸エステルを酸化して得られる3,3−ジメトキシプロピオン酸エステルおよび3−メトキシアクリル酸エステル、さらには3−ヒドロキシ−3−メトキシプロピオン酸エステル等は、水存在下で加水分解し、還元すると1,3−プロパンジオールが得られる。1,3−プロパンジオールは、ポリエステル、ポリエーテルの原料として有用なジアルコールである。この際には、酸化の際に用いるアルコールを1,3−プロパンジオールを用いれば、加水分解還元後、アルコールの分離が必要なく、便利である。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、酸化反応時の収率、選択性、生成比は以下の式により計算した。
・収率(%)=(3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシアクリル酸メチルの生成モル数の合計)/仕込みのアクリル酸メチルのモル数
・生成比(モル比)=3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルの生成モル数/3−メトキ
シアクリル酸メチルの生成モル数
実施例によっては発明効果をわかりやすくするために、収率の代わりに以下の数値を用いている。尚、収率は、転化率と選択性の乗数である。
・選択性(%)=(3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシアクリル酸メチルの生成モル数の合計)/(消費したアクリル酸メチルのモル数)
・転化率(%)=(消費したアクリル酸メチルのモル数)/仕込みのアクリル酸メチルのモル数
実施例及び比較例において、酸化反応時の収率、選択性、生成比は以下の式により計算した。
・収率(%)=(3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシアクリル酸メチルの生成モル数の合計)/仕込みのアクリル酸メチルのモル数
・生成比(モル比)=3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルの生成モル数/3−メトキ
シアクリル酸メチルの生成モル数
実施例によっては発明効果をわかりやすくするために、収率の代わりに以下の数値を用いている。尚、収率は、転化率と選択性の乗数である。
・選択性(%)=(3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシアクリル酸メチルの生成モル数の合計)/(消費したアクリル酸メチルのモル数)
・転化率(%)=(消費したアクリル酸メチルのモル数)/仕込みのアクリル酸メチルのモル数
実施例1
テフロン(登録商標)内筒及び攪拌子付のステンレス製オートクレーブに、アクリル酸
メチル(9.48g)、メタノール(30.0g)入れ、中を酸素置換した後、温水を流したジャケットに入れ加熱した。オートクレーブ内が70℃になった時点で、Na2PdC
l4(0.9947mg)、CuCl(78.7mg)、FeCl3(133.2mg)を2mlのメタノールに入れ攪拌した液体を、酸素により圧入して、反応器内酸素圧力を0.2MPaにした。その後、1000rpmで攪拌しながら、消費された酸素分の圧を補給し、圧が一定になるようにした。反応途中で約2mlづつ反応混合物を抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
○ 本反応のパラジウムに対する基質モル数(以下S/C)は28700である。
○ Cu/Pd=207、Fe/Pd=214であり、パラジウムに対する鉄及び銅のモ
ル数の合計は421(以下Fe・Cu/Pd)である。
○鉄及び銅のモル数に対するハロゲン(塩素)のモル比は、2.0(以下Cl/Fe・C
u)である。
○アルコール(メタノール)の基質(アクリル酸メチル)に対するモル比は、8.9であ
る。
180分後の転化率は、42.9%で、選択性は99.5%、即ち 収率は42.7%で
あった。反応結果を表1に示す。
テフロン(登録商標)内筒及び攪拌子付のステンレス製オートクレーブに、アクリル酸
メチル(9.48g)、メタノール(30.0g)入れ、中を酸素置換した後、温水を流したジャケットに入れ加熱した。オートクレーブ内が70℃になった時点で、Na2PdC
l4(0.9947mg)、CuCl(78.7mg)、FeCl3(133.2mg)を2mlのメタノールに入れ攪拌した液体を、酸素により圧入して、反応器内酸素圧力を0.2MPaにした。その後、1000rpmで攪拌しながら、消費された酸素分の圧を補給し、圧が一定になるようにした。反応途中で約2mlづつ反応混合物を抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
○ 本反応のパラジウムに対する基質モル数(以下S/C)は28700である。
○ Cu/Pd=207、Fe/Pd=214であり、パラジウムに対する鉄及び銅のモ
ル数の合計は421(以下Fe・Cu/Pd)である。
○鉄及び銅のモル数に対するハロゲン(塩素)のモル比は、2.0(以下Cl/Fe・C
u)である。
○アルコール(メタノール)の基質(アクリル酸メチル)に対するモル比は、8.9であ
る。
180分後の転化率は、42.9%で、選択性は99.5%、即ち 収率は42.7%で
あった。反応結果を表1に示す。
実施例2〜8および比較例1〜4(Fe・Cu/Pdが酸素分圧と反応成績との関係に
及ぼす影響)
実施例1と同じ条件で(但し実施例3,4は反応温度が50℃)、実施例では、Fe・Cu/Pdが100以上で、比較例では100以下で反応を行った。偶数の実施例は奇数の実施例に対して、酸素分圧を変化させた。実施例3は実施例1に対してS/Cを小さくした。比較例3〜4と実施例5〜8は、実施例1および2に対してFe・Cu/Pdを変化させた。結果を表1に示す。
及ぼす影響)
実施例1と同じ条件で(但し実施例3,4は反応温度が50℃)、実施例では、Fe・Cu/Pdが100以上で、比較例では100以下で反応を行った。偶数の実施例は奇数の実施例に対して、酸素分圧を変化させた。実施例3は実施例1に対してS/Cを小さくした。比較例3〜4と実施例5〜8は、実施例1および2に対してFe・Cu/Pdを変化させた。結果を表1に示す。
表1において、Fe・Cu/Pdが100以下である比較例1〜4においては、酸素分圧が変化することで収率が大きく変化しているが、Fe・Cu/Pdが100以上である実施例1〜8においては酸素分圧が変化しても収率の変化が小さいことから、Fe・Cu/Pdの値が高い時は、酸素分圧の影響を受けにくいことがわかる。
実施例9〜14(触媒およびS/Cが異なる場合に、Fe・Cu/Pdが酸素分圧と反応成績との関係に及ぼす影響)
触媒として、CuClの代わりにCu粉を用いて、表1に記載の条件とした以外は、実施例1同様に反応を行った。実施例10は実施例9に対して酸素分圧を変化させた。実施例11〜14において、偶数の実施例は奇数の実施例に対してFe・Cu/Pdを変化させた。結果を表1に示す。
表1から、触媒の種類およびS/Cが変化しても同様に反応が進行することがわかる。
触媒として、CuClの代わりにCu粉を用いて、表1に記載の条件とした以外は、実施例1同様に反応を行った。実施例10は実施例9に対して酸素分圧を変化させた。実施例11〜14において、偶数の実施例は奇数の実施例に対してFe・Cu/Pdを変化させた。結果を表1に示す。
表1から、触媒の種類およびS/Cが変化しても同様に反応が進行することがわかる。
実施例15〜28および比較例5 (ハロゲンの鉄および銅の合計に対する量(Cl/Fe・Cu)が反応成績に及ぼす影響)
実施例2の反応条件で、S/Cは40000、Cu/Pd=230、Fe/Pd=23
0に変え(但し実施例25のみ S/Cが25000、Cu/Pd=500,Fe/Pd=500)、種々の銅化合物、鉄化合物を組合せて、反応系中のハロゲンの鉄および銅の合計に対する量(Cl/Fe・Cu)を変えて反応を行った。結果を表2に示す。
実施例2の反応条件で、S/Cは40000、Cu/Pd=230、Fe/Pd=23
0に変え(但し実施例25のみ S/Cが25000、Cu/Pd=500,Fe/Pd=500)、種々の銅化合物、鉄化合物を組合せて、反応系中のハロゲンの鉄および銅の合計に対する量(Cl/Fe・Cu)を変えて反応を行った。結果を表2に示す。
表中で化合物の前にある1/2、1/3、2/3等の表記は、その化合物を添加した銅、又は鉄化合物の全体のモル数のそれぞれ1/2、1/3、2/3等添加したという意味である。
実施例15、22および28と比較例5とを対比すると、ハロゲンの鉄及び銅の合計に対するモル比が0.5〜2の場合、高い活性が得られることがわかる。
また、その他の実施例は、銅化合物および鉄化合物として様々な種類の化合物を組み合わせてCl/Fe・Cuの割合を変えたものであるが、銅化合物および鉄化合物の種類によらず、Cl/Fe・Cuが0.5〜2の範囲であれば高い活性が得られることがわかる。
また、その他の実施例は、銅化合物および鉄化合物として様々な種類の化合物を組み合わせてCl/Fe・Cuの割合を変えたものであるが、銅化合物および鉄化合物の種類によらず、Cl/Fe・Cuが0.5〜2の範囲であれば高い活性が得られることがわかる。
実施例29〜33(銅化合物と鉄化合物のパラジウムに対するモル比(Cu・Fe/Pd)が反応成績に及ぼす影響)
実施例1同様の方法で、銅化合物と鉄化合物のパラジウムに対するモル比を個別に変化させた。但し、実施例29,30は銅化合物としてCuClを、実施例31,32はCu紛を用いた。結果を表3に示す。
実施例1同様の方法で、銅化合物と鉄化合物のパラジウムに対するモル比を個別に変化させた。但し、実施例29,30は銅化合物としてCuClを、実施例31,32はCu紛を用いた。結果を表3に示す。
実施例29と30および実施例31と33とを比較すると、銅化合物が鉄化合物に対して過剰な方が収率が高いことがわかる。
実施例34〜41 (酸素濃度、酸素流量および酸素分圧が反応成績に及ぼす影響)
実施例34
テフロン(登録商標)内筒及び攪拌子付のステンレス製オートクレーブに、アクリル酸メチル(9.49g)、メタノール(30.0g)入れ、中を酸素置換した後、温水を流したジャケットに入れ加熱した。これに、12.9vol%酸素/窒素を常圧体積115.8ml/分で導入した。 オートクレーブ内が70℃になった時点で、Na2PdCl4(1.2953mg)、Cu紛(139.9mg)、FeCl3(357.4mg)を2m
lのメタノールに入れ攪拌した液体を圧入して、反応器内圧力を0.9MPaにした。その後、1000rpmで攪拌しながら、同じ流量で13%酸素/窒素を導入し、内圧を0.9MPaに保った。反応途中で、約2mlづつ反応混合物を抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。本反応のPdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=
500、Fe/Pd=500であった。結果を表4に示す。
実施例34〜41 (酸素濃度、酸素流量および酸素分圧が反応成績に及ぼす影響)
実施例34
テフロン(登録商標)内筒及び攪拌子付のステンレス製オートクレーブに、アクリル酸メチル(9.49g)、メタノール(30.0g)入れ、中を酸素置換した後、温水を流したジャケットに入れ加熱した。これに、12.9vol%酸素/窒素を常圧体積115.8ml/分で導入した。 オートクレーブ内が70℃になった時点で、Na2PdCl4(1.2953mg)、Cu紛(139.9mg)、FeCl3(357.4mg)を2m
lのメタノールに入れ攪拌した液体を圧入して、反応器内圧力を0.9MPaにした。その後、1000rpmで攪拌しながら、同じ流量で13%酸素/窒素を導入し、内圧を0.9MPaに保った。反応途中で、約2mlづつ反応混合物を抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。本反応のPdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=
500、Fe/Pd=500であった。結果を表4に示す。
実施例35〜36
反応液に流通させるガスの酸素濃度を変化させた他は実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4に示されるように、実施例34、35および36を対比すると、希釈酸素濃度であっても本反応は、高い活性が得られることがわかる。
実施例37〜38
反応全圧を変化させた以外は実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4
に示されるように、実施例34、37および38とを対比すると反応全圧を下げても本反応は、高い活性が得られることがわかる。
反応液に流通させるガスの酸素濃度を変化させた他は実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4に示されるように、実施例34、35および36を対比すると、希釈酸素濃度であっても本反応は、高い活性が得られることがわかる。
実施例37〜38
反応全圧を変化させた以外は実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4
に示されるように、実施例34、37および38とを対比すると反応全圧を下げても本反応は、高い活性が得られることがわかる。
実施例39〜40
反応液に流通させるガスの酸素濃度及び反応圧力を変化させるが、酸素分圧は実施例34と同じにして、実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4に示されるように、実施例34、39および40を対比すると、酸素分圧が同じであれば同じ成績になることがわかる。したがって、爆発限界は酸素の濃度関数であるために全圧を高くして、酸素濃度を薄くする方法が採用できる。なお、溶媒の飛散率を抑制することができる点でも全圧が高い方が好ましい。
反応液に流通させるガスの酸素濃度及び反応圧力を変化させるが、酸素分圧は実施例34と同じにして、実施例34同様に反応を行った。結果を表4に示す。表4に示されるように、実施例34、39および40を対比すると、酸素分圧が同じであれば同じ成績になることがわかる。したがって、爆発限界は酸素の濃度関数であるために全圧を高くして、酸素濃度を薄くする方法が採用できる。なお、溶媒の飛散率を抑制することができる点でも全圧が高い方が好ましい。
実施例41
反応液に流通させるガスを常圧体積57.0ml/分で流す以外は実施例37同様に反
応を行った。結果を表4に示す。
反応液に流通させるガスを常圧体積57.0ml/分で流す以外は実施例37同様に反
応を行った。結果を表4に示す。
実施例42〜44 (流通条件下における様々な反応条件による反応)
実施例42
メタノールを55.0g用いる以外は実施例41同様に反応を行った。120分後の収率は30.5%、生成比は5.2、540分後の収率は73.4%、生成比は18.0であった。
実施例42
メタノールを55.0g用いる以外は実施例41同様に反応を行った。120分後の収率は30.5%、生成比は5.2、540分後の収率は73.4%、生成比は18.0であった。
実施例43
Pdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=200、Fe/Pd=200に変
化させる以外は実施例42同様に反応を行った。120分後の収率は14.9%、生成比は1.5、1200分後の収率85.9%、生成比は42.0であった。
実施例44
用いる触媒の量、及び アクリル酸メチルの量を半分にする以外は、実施例42同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質対するモル比は32である。120分後の収率は、39.1%、生成比は5.2、540分後の収率は74.1%、生成比は18.0であった。
Pdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=200、Fe/Pd=200に変
化させる以外は実施例42同様に反応を行った。120分後の収率は14.9%、生成比は1.5、1200分後の収率85.9%、生成比は42.0であった。
実施例44
用いる触媒の量、及び アクリル酸メチルの量を半分にする以外は、実施例42同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質対するモル比は32である。120分後の収率は、39.1%、生成比は5.2、540分後の収率は74.1%、生成比は18.0であった。
実施例45〜46(アルコールの基質に対するモル比が反応成績に及ぼす影響)
実施例45
メタノールを55.0g用いる以外は実施例11同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質に対するモル数は16である。結果を表5に示す。
実施例46
用いる触媒の量、及びアクリル酸メチルの量を半分にする以外は実施例45同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質に対するモル数は32である。結果を表5に示す。
実施例45
メタノールを55.0g用いる以外は実施例11同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質に対するモル数は16である。結果を表5に示す。
実施例46
用いる触媒の量、及びアクリル酸メチルの量を半分にする以外は実施例45同様に反応を行った。本反応のアルコールの基質に対するモル数は32である。結果を表5に示す。
以上のように、アルコールの基質に対するモル比が高い場合、高い選択性が得られることがわかる。
実施例47(3,3−ジメトシキプロピオン酸メチルの合成)
アクリル酸メチルが18.97g、メタノールが61.51g、Na2PdCl4が2.5948mg、Cu紛が280.2mg、FeCl3が715.7mgである以外は実施
例1同様に反応を行った。本反応のPdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=
500、Fe/Pd=500であった。10時間後、攪拌をとめ室温に冷却した。反応混合物をオートクレーブより取り出し、これに炭酸ナトリウム飽和水溶液を反応液が微アルカリ性になるまで攪拌しながら加えた。この際に、3−メトキシアクリル酸メチルは、3,3-ジメトキシプロピオン酸メチルに変換され、ほとんど消失した。22.7KPaに
て、40℃沸点までのメタノールを主成分とする軽沸成分を留去した。これを室温に冷却すると2層に分離した。この上層(有機層)を分離し、4.1KPaにて減圧蒸留すると78%の収率で3,3−ジメトシキプロピオン酸メチルを得た。
実施例47(3,3−ジメトシキプロピオン酸メチルの合成)
アクリル酸メチルが18.97g、メタノールが61.51g、Na2PdCl4が2.5948mg、Cu紛が280.2mg、FeCl3が715.7mgである以外は実施
例1同様に反応を行った。本反応のPdに対する基質モル数は25000、Cu/Pd=
500、Fe/Pd=500であった。10時間後、攪拌をとめ室温に冷却した。反応混合物をオートクレーブより取り出し、これに炭酸ナトリウム飽和水溶液を反応液が微アルカリ性になるまで攪拌しながら加えた。この際に、3−メトキシアクリル酸メチルは、3,3-ジメトキシプロピオン酸メチルに変換され、ほとんど消失した。22.7KPaに
て、40℃沸点までのメタノールを主成分とする軽沸成分を留去した。これを室温に冷却すると2層に分離した。この上層(有機層)を分離し、4.1KPaにて減圧蒸留すると78%の収率で3,3−ジメトシキプロピオン酸メチルを得た。
実施例48〜51(3,3−ジメトシキプロピオン酸メチルを用いた種々の誘導体の合成)
実施例48(3−メトキシプロピオン酸メチル)
実施例47で合成した3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル52gにp−トルエンスルホン酸水和物を100mg加え、常圧で60〜90℃に加熱し、生じるメタノールを留去した。メタノール留去後、温度を上げ、常圧で蒸留し、3−メトキシプロピオン酸メチルを85%の収率で、メタノールを95%の収率で得た。
実施例48(3−メトキシプロピオン酸メチル)
実施例47で合成した3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル52gにp−トルエンスルホン酸水和物を100mg加え、常圧で60〜90℃に加熱し、生じるメタノールを留去した。メタノール留去後、温度を上げ、常圧で蒸留し、3−メトキシプロピオン酸メチルを85%の収率で、メタノールを95%の収率で得た。
実施例49(3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチル)
実施例48で合成した3−メトキシアクリル酸メチル10gをn−ブタノール60gに溶解し、金属ナトリウムを200mg加え、室温で15時間攪拌した。その後、約200mlの塩化メチレンを反応混合物に加え、水で数回有機層を洗った後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、塩化メチレン、ブタノールをエバポレーターで留去後、減圧蒸留により、3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチルを16.02g(収率80%)で得た。
実施例48で合成した3−メトキシアクリル酸メチル10gをn−ブタノール60gに溶解し、金属ナトリウムを200mg加え、室温で15時間攪拌した。その後、約200mlの塩化メチレンを反応混合物に加え、水で数回有機層を洗った後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、塩化メチレン、ブタノールをエバポレーターで留去後、減圧蒸留により、3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチルを16.02g(収率80%)で得た。
実施例50(3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチル)
n−ブタノールの代わりにi−ブタノールを用いる他は実施例49と同様に反応した。3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを13.93g(収率70%)で得た。
実施例51(3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチル)
実施例49で合成した3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチル5gをi−ブタノール30gに溶解し、金属ナトリウムを100mg加え、室温で5時間攪拌し
た。その後、約200mlの塩化メチレンを反応混合物に加え、水で数回有機層を洗った後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、塩化メチレン、ブタノールをエバポレーターで留去後、減圧蒸留により、3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを2.5g(収率50%)で得た。
n−ブタノールの代わりにi−ブタノールを用いる他は実施例49と同様に反応した。3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを13.93g(収率70%)で得た。
実施例51(3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチル)
実施例49で合成した3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチル5gをi−ブタノール30gに溶解し、金属ナトリウムを100mg加え、室温で5時間攪拌し
た。その後、約200mlの塩化メチレンを反応混合物に加え、水で数回有機層を洗った後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、塩化メチレン、ブタノールをエバポレーターで留去後、減圧蒸留により、3−n−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを2.5g(収率50%)で得た。
実施例52(3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチル)
実施例50で合成した3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを用い、i−ブタノールの代わりに、n−ブタノールを用いる他は実施例50と同様に反応した。3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチルを3.53g(収率70%)で得た。
実施例50で合成した3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸i−ブチルを用い、i−ブタノールの代わりに、n−ブタノールを用いる他は実施例50と同様に反応した。3−i−ブトキシ−3−メトキシプロピオン酸n−ブチルを3.53g(収率70%)で得た。
本発明の製造方法によれば、低酸素分圧であっても触媒の失活を招くことなく、高い反応性で、選択性よく酸化反応が進行しうるので、オレフィン酸化物を工業的に有利に製造することができる。
Claims (10)
- パラジウム、鉄及び銅を含有する触媒の存在下、エチレン性二重結合を有する化合物のエチレン性二重結合と酸素及びアルコールとを反応させて、アセタールおよび/またはビニルエーテルを製造する反応において、パラジウムに対する鉄及び銅の合計がモル比で100より大きくすることを特徴とするアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
- パラジウムに対するエチレン性二重結合を有する化合物のモル比が8000以上である請求項1に記載のアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
- 反応系内に銅及び鉄のモル数の合計に対して、0.5モル以上2モル以下のハロゲンを存在させる、請求項1または2に記載のアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
- エチレン性二重結合を有する化合物が、α,β−不飽和アルデヒドおよびそのアセタール、α,β−不飽和ケトンおよびそのケタール、もしくはα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルから選ばれる1種以上の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載
のアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。 - エチレン性二重結合を有する化合物が、アクリル酸および/またはそのエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法。
- 請求項5に記載の方法で得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルを請求項1で用いたアルコールとは異なるアルコールを用いてエステル交換することを特徴とする3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルの製造方法。
- 請求項5に記載の方法で得られた3,3−ジアルコキシプロピオン酸および/またはそのエステルを脱アルコールすることを特徴とする3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルの製造方法。
- 請求項5または請求項7に記載の方法で得られた3−アルコキシアクリル酸および/またはそのエステルに請求項1に記載のアルコールとは異なるアルコールを反応させることを特徴とするアセタール部分が非対称である3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルの製造方法。
- 請求項8に記載の方法で得られたアセタール部分が非対称である3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルに請求項7で用いたアルコールとは異なるアルコールを用いてエステル交換することを特徴とするアセタール部分が非対称である3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステルの製造方法。
- 請求項5に記載の方法で合成したアセタールおよび/またはビニルエーテルを加水分解および還元することを特徴とする1,3−プロパンジオールの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004089944A JP2005272385A (ja) | 2004-03-25 | 2004-03-25 | アセタールおよび/またはビニルエーテルの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116328825A (zh) * | 2023-02-22 | 2023-06-27 | 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 | 一种催化剂,其制备方法以及采用其催化甲醇和乙酸甲酯制备3-甲氧基丙酸甲酯的方法 |
-
2004
- 2004-03-25 JP JP2004089944A patent/JP2005272385A/ja active Pending
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